JP2010189314A - IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント - Google Patents

IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント Download PDF

Info

Publication number
JP2010189314A
JP2010189314A JP2009035413A JP2009035413A JP2010189314A JP 2010189314 A JP2010189314 A JP 2010189314A JP 2009035413 A JP2009035413 A JP 2009035413A JP 2009035413 A JP2009035413 A JP 2009035413A JP 2010189314 A JP2010189314 A JP 2010189314A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adjuvant
iga antibody
nasal
inducing
antibody according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009035413A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Moriyama
雅美 森山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2009035413A priority Critical patent/JP2010189314A/ja
Publication of JP2010189314A publication Critical patent/JP2010189314A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】粘膜、好ましくは呼吸器粘膜、例えば鼻腔粘膜に滞留的に投与することにより、効果的にIgA抗体の産生を誘導させる経鼻投与アジュバントと提供すること、更には、かかる経鼻投与アジュバントにより効率的に鼻づまり症状を改善させること。
【解決手段】アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントであり、さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬、或いは増粘剤を含むことを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘膜、特に呼吸器粘膜、例えば鼻腔粘膜に滞留的に投与することにより、効果的にIgA抗体の産生を誘導させ、鼻づまり等の鼻炎症状を緩和する経鼻投与アジュバントに関する。
近年の生活環境の変化に伴って、各種アレルゲンに起因するアレルギー症状に罹患する人が増大している。特に春先のスギ花粉に起因する花粉症患者の増大はめまぐるしく、スギ花粉に限らず、他の植物の花粉(例えば、ヒノキ、ブタクサ等の花粉)、ハウスダスト、或いは自動車の排気ガス等に起因するアレルギー症状の増大が社会的な問題となってきている。
このようなアレルギー症状の緩和には、一義的に各種抗アレルギー剤の投与が行われているが、これらの抗アレルギー剤には眠気等の副作用等の発現が多く、また、そのようなアレルギー症状に罹患した患者は特に鼻づまり等の鼻炎症状が一つの苦痛となり、通常の生活に支障を来すまでになっている。
最近アレルギー症状に対する一つの療法として減感作療法が行われている。減感作療法とは即時型アレルギーの原因となるアレルゲンを少量ずつアレルギー患者に投与することによって原因アレルゲンに対する感受性を低下させる療法であり、特に吸入型アレルゲン(花粉、ハウスダスト等)の場合に用いられ、例えば、花粉症の場合はスギ花粉などのエキスを、長い時間をかけ少しずつ注射し、身体を徐々に慣れさせていく治療法である。
その機序は、投与アレルゲンによって、アレルギー性疾患の原因となるレアギン(IgE抗体の一種)とは異なる別個の抗体(阻止抗体または遮断抗体)が産生され、これが侵入するアレルゲンと結合することによってアレルゲンとレアギンが結合してアレルギー反応を起こすのを阻止すると考えられている。
本発明者も、アレルギー症状の緩和、特に鼻づまり等の鼻炎症状の緩和を目的として種々検討を加えてきている。
その中で、これまでにウイルスに対する粘膜投与型ワクチンをいくつか提案してきている(特許文献1〜3)。これまで提案してきている粘膜投与型ワクチンは、ウイルスの不活性抗原のワクチン効果をより完全なものとすることを目的として、ワクチンに対するアジュバント作用を有する物質を同時に効果的に鼻腔内粘膜上に投与するものであり、例えば、液状のワクチンをアジュバントと共に霧状に噴霧したり、或いは微粉末状にして噴霧したりするものであり、粘膜上におけるIgA抗体の誘導を確保したものであり、その点で特異的なものである。
ところで、アレルギー症状の緩和療法としての減感作療法においては、スギ花粉等のアレルゲンの投与ではIgE抗体(レアギン)だけしか誘導されず、即効的な花粉症対策にはならない。これに対して、上記経鼻投与型ワクチン投与では効率よくIgA抗体が産生され、それに基づく血清中でのIgG抗体応答が得られ、アレルギー症状の緩和を得ることができる。
かかる点を考慮すると、アジュバントと共に非特異的抗原、或いは特異的抗原を経鼻投与することによりIgA抗体が誘導され、誘導されたIgA抗体が外部抗原を中和し、効率的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和するものと考えられる。
本発明者は、上記の考えに基づいて、非特異的抗原、或いは特異的抗原に対するアジュバント作用を有する物質(アジュバント)と共に経鼻投与すれば、効率的に粘膜上でのIgA抗体分泌が行われ、かかるIgA抗体が外部抗原を中和することにより鼻づまり症状を改善する効果が認められることを確認し、本発明を完成させるに至った。
特開2005−082581号公報 特開2007−077073号公報 特開2008−231037号公報
したがって、本発明は、粘膜、好ましくは呼吸器粘膜、例えば鼻腔粘膜に滞留的に投与することにより、効果的にIgA抗体の産生を誘導させる経鼻投与アジュバントと提供すること、更には、かかる経鼻投与アジュバントにより効率的に鼻づまり症状を改善させることを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、その基本的な一態様として、アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントである。
また本発明は、さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬を含有するIgA抗体を誘導する経鼻アジュバントである。
また、本発明は上記の経鼻投与アジュバンであって、さらに増粘剤を含むことを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントであり、増粘剤が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択されるものである経鼻投与アジュバントである。
より具体的には、本発明はアジュバントが、TLR(Toll-Like Receptor)のリガンドである二重鎖または一重鎖RNAであり、当該一重鎖RNAが、Poly(I)又はPoly(C)であり、さらに二重鎖RNAが、Poly(I:C)又はPoly(A:C)であるIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
最も具体的には、本発明は、アジュバントであるPoly(I:C)又はPoly(A:C)の分子サイズが1〜300bp以上であるIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
また本発明は、アジュバントが、CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末であるIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
さらに本発明は、別の態様として、アレルギー性鼻炎又は花粉症に基づく鼻づまり症状の治療のための上記したIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントであり、アジュバントを凍結乾燥し粉末の形態にし、含有することを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
また更に本発明は、ヒト以外の動物に対するアレルギー症状の治療のための上記したIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントである。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、非特異的抗原或いは特異的抗原と共に経鼻投与されるものであり、粘膜上で効率的にIgA抗体を誘導し、産生されたIgA抗体が鼻づまり症状を惹起する外部抗原を中和することにより効果的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することができる。
これまで、抗アレルギー剤の投与により鼻炎症状を緩和するしか方法がなかった現状下で、眠気等の副作用がなく、効果的、且つ即効的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和できる点で、特に有用なものである。
また、本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、粉末状、或いは噴霧状の液体として簡便に鼻腔粘膜上に投与し得るものであり、その有用性は多大なものである。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントにおいて、アジュバントとして使用されるPoly(I:C)誘導体は、Toll様レセプター(Toll−like receptor:TLR)のリガンドである二重鎖RNAであり、自然免疫系を刺激するTLRのリガンドとして、病原菌あるいはウイルス等の微生物の攻撃に対する防御免疫獲得能を発揮する。
事実、Poly(I:C)を含むTLRのリガンドである二重鎖RNAが、アジュバントとしてワクチンと共に投与された場合には、そのワクチン能を増強させるのではなく、二重鎖RNAであるPoly(I:C)自体が、種々の病原菌あるいはウイルス等の病原体の攻撃に対する防御免疫能を増強せしめ、特にウイルスまたは病原菌特異的IgA抗体及びIgG抗体を誘導させることによって病原体による感染を防御する。
本発明においては、かかるPoly(I:C)自体が産生するIgA抗体により外部抗原を中和するものであり、これにより鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することとなる。
本発明で使用する二重鎖RNAであるPoly(I:C)は、その分子の大きさとしては、その塩基対(bp)として低〜高サイズの種々のものを用いることが可能であるが、免疫応答に対してより優れた応答を発揮するものは、1〜300bp以上の分子サイズを有することが必要であることが判明した。そのような分子サイズを有するものとして、例えば、100〜1000bpのPoly(I:C)は、容易に入手することができる。
アジュバントとしては上記したPoly(I:C)誘導体に限定されるものではなく、一重鎖RNAであるPoly(I)又はPoly(C)であり、さらに二重鎖RNAとしてPoly(A:C)等、アジュバント作用を有する物質であれば、広く本発明の経鼻投与アジュバントとして使用することができることはいうまでもない。
さらに、そのようなアジュバント作用を有する物質として、例えば、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末、β−グルカン、マンノース誘導体、更にはCTB(コレラ毒素Bサブユニット)等を挙げることができる。
一方、本発明が提供する経鼻投与アジュバントにより、アジュバントと共に投与される非特異的抗原或いは特異的抗原としては、インフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)等を挙げることができる。
しかしながら、これらに限定されるものではなく、鼻炎症状を惹起する各種の抗原を挙げることができる。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、アジュバントであるPoly(I:C)誘導体、または他のアジュバントにさらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬を含有させることができる。
フクシン、フクシン酸又は塩基性フクシンは、一般的に染色試薬として使用されている物質であるが、抗ウイルス作用や抗菌作用を持つことが知られているこれらの物質はアジュバント共に経鼻投与されることにより、より感染防御に役立つと考えられる。特にヒト生細胞を傷つけずに染色(生体染色)され得るため、一般細胞への毒性は極めて低い。
同様な観点から、細胞染色試薬もアジュバントと共に経鼻投与することにより効果的にIgA抗体を産生させるものであり、このような細胞染色試薬としてクリスタルバイオレットやゲンチアンバイオレットなどを挙げることができる。
また、本発明の経鼻投与アジュバントにおいては、アジュバントと共に増粘剤を一緒に投与するのが効果的である。
本発明でアジュバントと共に使用する増粘剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウム等をあげることができる。
増粘剤としては、上記のものに限定されるものではなく、粘膜上で増粘作用を発揮し、アジュバントと共に粘膜上に滞留させ得るものであれば、どのようなものでも使用することができる。
なお、アジュバントとしてのキチン、キトサン、β−グルカン、キチン微粒子、或いはマンノース誘導体にあっては、増粘剤としての作用も発揮する。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントの投与量として、投与する対象者の年齢、体重、投与方法により一概に限定し得ないが、通常成人1回当たり、0.01〜10mg、好ましくは、0.01〜1mg程度であることより、これに対応した抗原、アジュバント、フクシン、フクシン酸等、更には増粘剤の量を調整すればよい。
具体的には、抗原としてのインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)の量としては、0.1〜500μgであり、フクシン、フクシン酸等の量としては抗原と同程度の0.1〜10μgを用いるのがよい。
また、増粘剤の量としては0.01〜10mgの範囲で適宜調整することができる。
本発明の経鼻投与アジュバントの投与は、微粉末を鼻腔内粘膜上に噴霧することにより行うことができる。また、懸濁製剤として同様鼻腔内粘膜上に噴霧することにより行うことができる。ヒトの粘膜には、消化器、呼吸器、排出器、生殖器などの特に外通性の中腔器官の内壁が含まれる。しかしながら、本発明経鼻投与アジュバントとしては、鼻腔投与(経鼻投与)が好まし。鼻腔は特に、抗原進入の門戸であることから、粘膜投与により分泌型IgA反応を引き起こし、粘膜上皮細胞中に分泌型IgA抗体を産生させ、進入する抗原を中和し、鼻づまり等の鼻炎症状を緩和するものである。
さらに本発明は、ヒト以外の動物、例えば、イヌ、猫等の愛玩動物、或いは家畜等の動物に対するアレルギー症状の治療のためのIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントを提供するものであり、最近の愛玩動物が罹患するアレルギー症状を効果的に緩和する点で、特に優れたものである。
以下に本発明を、実施例に代わる具体的試験例より、さらに詳細に説明する。
試験例1:マウスにおける実験(その1)
免疫スケジュールとしては、ワクチンとして全粒子不活性化ワクチンのベトナム株から得られたNIBRG14(A/Vietnam)1μgを用い、アジュバントとしてPoly(I:C)を10μg用いた。
マウス[BALB/cマウス(6週齢、雌性)]で経鼻、若しくは皮下接種で2回接種後、チャレンジを3種のcladeの異なる、ワクチン株と同じ抗原性を持つベトナム株、あとは1997年に香港で流行を起こした香港株のH5N1株、あとはclade2に属するインドネシアで分離されたH5N1株(いずれもヒトから分離した株)で攻撃感染実験を実施した。
[結果]
(1)NIBRG14(A/Vietnam)に対する抗体誘導は、接種ルートを経鼻の場合と、皮下接種した場合を比較すると、皮下接種では鼻粘膜上のIgA抗体は全く誘導されなかった。
これに対して、経鼻接種した場合には、鼻粘膜上にIgA抗体が誘導され、血中の中和抗体価を調べた結果、中和抗体は、ベトナム株に対してのみ認められており、他の株では認められず、他の香港株、インドネシア株に対する中和抗体価は全く認められなかった。
次に、チャレンジした後の生存と、感染3日後の鼻腔内でのウイルス価を測定した。
まず、ワクチン株と同じ抗原性を有するベトナム株でチャレンジした場合、皮下接種群と経鼻接種群共に、生存率は100%であったが、コントロール群としてワクチン接種をしない群のマウスでの死亡率は100%であった。
ところが、鼻粘膜上のウイルス価を検討すると、皮下接種群では、有意にウイルス価は減少していたが、経鼻接種群では、生きたウイルスの分離は認められなかった。
このことは、経鼻接種により、ウイルス感染自体防御し、その結果100%の生存率を得たこととなる。
(2)1997年の香港株でチャレンジした場合には、皮下接種群ではウイルスの減少は全く認められず、生存率も全く認められず、100%の死亡を示していた。
これに対し、経鼻接種の場合には、生存率は80%であり、ウイルス価の減少が認められた。
(3)1000PFUのウイルス価で感染させるインドネシア株でチャレンジした場合には、経鼻接種群では有意に、また皮下接種群においてもウイルス価の減少は認められたが、生存率において、経鼻接種群は100%、皮下接種群は40%、コントロール群は20%であった。
以上のように、マウスにおいてアジュバント効果を認めたので、ヒトに近い霊長類であるサルを用いて検討を行った。
試験例2:カニクイザルにおける実験
用いたワクチンは、全粒子不活性化ワクチンのベトナム株から得られたNIBRG14(A/Vietnam)を用い、抗原量として総蛋白は90μg、アジュバントとしてPoly(I:C)を500μg用いた。
感染は、ベトナム株のウイルスを用いた。
[方法]
免疫応答を確認するために、カニクイザル(各群3匹:雌2匹/雄1匹)にワクチンを感染チャレンジ前の3回(7週前、4週前及び2週前の3回)経鼻接種し、経時的に抗体応答を観察した。
最終ワクチン投与後2週目に感染チャレンジを行った。
なお、コントロール群としてワクチン接種を行わないで感染チャレンジをした群をおいた。
[結果]
図1及び図2に、各群における唾液中のIgA抗体量(平均値)の変化を示した。
図1はワクチン投与群の結果であり、図2はコントロール群の結果である。
図中に示した結果からも判明するように、ワクチン投与群においては、唾液中に良好に特異的IgA抗体の産生が観察され、ウイルス感染チャレンジ後においてもIgA抗体の減少は認められたものの、高い抗体価で推移しているのが判明する。
これに対してコントロール群は、ワクチン投与期間においてIgA抗体の産生が低いものであり、ウイルス感染チャレンジ後に顕著にIgA抗体産生の低下が認められた。
図3及び図4に、血清中のIgG抗体量の変化を示した。
図3はワクチン投与群の結果であり、図4はコントロール群の結果である。
図中に示した結果からも判明するように、ワクチン投与群においては、2回の接種で血中のIgG抗体の産生がかなり高く誘導されており、この値はコントロール群に感染した2週間後の値よりも高いものであった。
症状としては、コントロール群においては、全てのサルにおいて摂食することがなくなり、うつうつの状態が継続し、鼻水、咳、下痢等の症状が観察され、その症状が2週間程度継続し、徐々に改善されていった。
これに対して、経鼻ワクチン投与群では、摂食行動に全くの変化はなく、臨床症状も全く観察されなかった。
以上記載のように、本発明の経鼻投与アジュバントは、非特異的抗原或いは特異的抗原と共に経鼻投与されるものであり、粘膜上で効率的にIgA抗体を誘導し、産生されたIgA抗体が鼻づまり症状を惹起する外部抗原を中和することにより効果的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することができる。
これまで、抗アレルギー剤の投与により鼻炎症状を緩和するしか方法がなかった現状下で、眠気等の副作用がなく、効果的、且つ即効的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和できるものであり、特に粉末状、或いは噴霧状の液体として簡便に鼻腔粘膜上に投与し得る点で、その有用性は多大なものである。
試験例2の結果を示す図であり、アカゲサルにおけるアジュバント投与群の唾液中IgA抗体産生の程度を示す図である。 試験例2の結果を示す図であり、アカゲサルにおけるコントロール群の唾液中IgA抗体産生の程度を示す図である。 試験例2の結果を示す図であり、アカゲサルにおけるアジュバント投与群の血清中IgG抗体産生の程度を示す図である。 試験例2の結果を示す図であり、アカゲサルにおけるコントロール群の血清中IgG抗体産生の程度を示す図である。

Claims (12)

  1. アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバント。
  2. さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシンを含有する請求項1に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  3. さらに増粘剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  4. アジュバントが、TLR(Toll-Like Receptor)のリガンドである二重鎖または一重鎖RNAである請求項1、2又は3に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  5. 一重鎖RNAが、Poly(I)又はPoly(C)である請求項4に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  6. 二重鎖RNAが、Poly(I:C)又はPoly(A:C)である請求項4に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  7. Poly(I:C)の分子サイズが300bp以上である請求項6に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  8. アジュバントが、CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末である請求項1に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  9. 増粘剤が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択されるものである請求項2に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  10. アジュバントを凍結乾燥し粉末の形態にし、含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
  11. アレルギー性鼻炎又は花粉症に基づく鼻づまり症状の治療のための請求項1〜10のいずれかに記載のIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバント。
  12. ヒト以外の動物に対するアレルギー症状の治療のための請求項1〜10のいずれかに記載のIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバント。
JP2009035413A 2009-02-18 2009-02-18 IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント Pending JP2010189314A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009035413A JP2010189314A (ja) 2009-02-18 2009-02-18 IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009035413A JP2010189314A (ja) 2009-02-18 2009-02-18 IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010189314A true JP2010189314A (ja) 2010-09-02

Family

ID=42815768

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009035413A Pending JP2010189314A (ja) 2009-02-18 2009-02-18 IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010189314A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63159324A (ja) * 1986-12-22 1988-07-02 Lion Corp スギ花粉症用経口ワクチン
JPH02235823A (ja) * 1989-03-09 1990-09-18 Watanabe Mitsuko 抗アレルギー剤
JPH02275819A (ja) * 1988-12-28 1990-11-09 Toray Ind Inc エイズ原因ウィルスに対する抗ウィルス剤
JPH0338529A (ja) * 1989-07-04 1991-02-19 Toko Yakuhin Kogyo Kk 鼻腔内噴霧投与用インフルエンザワクチンゲル製剤
JP2005082581A (ja) * 2003-09-11 2005-03-31 Masami Moriyama 分泌型IgA抗体誘導剤
JP2005314277A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Masami Moriyama 分泌型IgA抗体誘導剤
JP2007077073A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Masami Moriyama 分泌型IgA及びIgG抗体誘導剤
JP2008231037A (ja) * 2007-03-21 2008-10-02 Masami Moriyama 粉末形状の分泌型IgA及び/又はIgG抗体誘導剤

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63159324A (ja) * 1986-12-22 1988-07-02 Lion Corp スギ花粉症用経口ワクチン
JPH02275819A (ja) * 1988-12-28 1990-11-09 Toray Ind Inc エイズ原因ウィルスに対する抗ウィルス剤
JPH02235823A (ja) * 1989-03-09 1990-09-18 Watanabe Mitsuko 抗アレルギー剤
JPH0338529A (ja) * 1989-07-04 1991-02-19 Toko Yakuhin Kogyo Kk 鼻腔内噴霧投与用インフルエンザワクチンゲル製剤
JP2005082581A (ja) * 2003-09-11 2005-03-31 Masami Moriyama 分泌型IgA抗体誘導剤
JP2005314277A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Masami Moriyama 分泌型IgA抗体誘導剤
JP2007077073A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Masami Moriyama 分泌型IgA及びIgG抗体誘導剤
JP2008231037A (ja) * 2007-03-21 2008-10-02 Masami Moriyama 粉末形状の分泌型IgA及び/又はIgG抗体誘導剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kumar et al. Th17 cell based vaccines in mucosal immunity
AU2006335368B2 (en) Mucosal immunogenic substances comprising a polyinosinic acid - polycytidilic acid based adjuvant
CA2632516C (en) Dsrnas as influenza virus vaccine adjuvants or immuno-stimulants
Shim et al. Elicitation of Th1/Th2 related responses in mice by chitosan nanoparticles loaded with Brucella abortus malate dehydrogenase, outer membrane proteins 10 and 19
Eng et al. PCEP enhances IgA mucosal immune responses in mice following different immunization routes with influenza virus antigens
CN101300027B (zh) 分泌性IgA和IgG抗体诱导剂
Anggraeni et al. Development of mucosal vaccine delivery: an overview on the mucosal vaccines and their adjuvants
CN102497879A (zh) 单时疫苗
Wizel et al. Nasal and skin delivery of IC31®-adjuvanted recombinant HSV-2 gD protein confers protection against genital herpes
Yi et al. Intranasal immunization with curdlan induce Th17 responses and enhance protection against enterovirus 71
JP2009209086A (ja) 粘膜投与型ワクチン
Zhang et al. Vaccination with recombinant Lactococcus lactis expressing HA1-IgY Fc fusion protein provides protective mucosal immunity against H9N2 avian influenza virus in chickens
Zhang et al. Comparison of oral and nasal immunization with inactivated porcine epidemic diarrhea virus on intestinal immunity in piglets
JP2010189314A (ja) IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント
CN100393358C (zh) 马属动物抗人、禽流感免疫球蛋白的制备及其药物制剂
Yang et al. The immunogenicity of Alum+ CpG adjuvant SARS-CoV-2 inactivated vaccine in mice
Zhao et al. Protection from infection with influenza A H7N9 virus in a mouse model by equine neutralizing F (ab′) 2
JP6893765B2 (ja) 人以外の陸上動物用のウイルス感染症に対する抗体誘導剤とその補助剤
JP2020079308A (ja) 人以外の陸上動物用のウイルス感染症に対する抗体誘導剤とその補助剤
Kumar et al. Nasal Vaccine for the Control of Emerging Variants of SARS-CoV-2
Li Exploring mucosal vaccination as an alternative to conventional vaccines
Chiang Yu-Li Lin1, Yen-Hung Chow2, 3, Li-Min Huang 4, Szu-Min Hsieh5, Pei-Yun Cheng1, Kai-Chieh Hu2
Hoover et al. N-dihydrogalactochitosan serves as an effective mucosal adjuvant for intranasal vaccine in combination with recombinant viral proteins against respiratory infection
AU2022246020A1 (en) New application of an immunogenic or vaccine composition
CN113827614A (zh) 制备药用混合物的方法、所得药用混合物及其医药用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20120216

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130501

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130829