JP2010189314A - IgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント - Google Patents
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Abstract
【課題】粘膜、好ましくは呼吸器粘膜、例えば鼻腔粘膜に滞留的に投与することにより、効果的にIgA抗体の産生を誘導させる経鼻投与アジュバントと提供すること、更には、かかる経鼻投与アジュバントにより効率的に鼻づまり症状を改善させること。
【解決手段】アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントであり、さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬、或いは増粘剤を含むことを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
【選択図】図1
【解決手段】アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントであり、さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬、或いは増粘剤を含むことを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
【選択図】図1
Description
本発明は、粘膜、特に呼吸器粘膜、例えば鼻腔粘膜に滞留的に投与することにより、効果的にIgA抗体の産生を誘導させ、鼻づまり等の鼻炎症状を緩和する経鼻投与アジュバントに関する。
近年の生活環境の変化に伴って、各種アレルゲンに起因するアレルギー症状に罹患する人が増大している。特に春先のスギ花粉に起因する花粉症患者の増大はめまぐるしく、スギ花粉に限らず、他の植物の花粉(例えば、ヒノキ、ブタクサ等の花粉)、ハウスダスト、或いは自動車の排気ガス等に起因するアレルギー症状の増大が社会的な問題となってきている。
このようなアレルギー症状の緩和には、一義的に各種抗アレルギー剤の投与が行われているが、これらの抗アレルギー剤には眠気等の副作用等の発現が多く、また、そのようなアレルギー症状に罹患した患者は特に鼻づまり等の鼻炎症状が一つの苦痛となり、通常の生活に支障を来すまでになっている。
最近アレルギー症状に対する一つの療法として減感作療法が行われている。減感作療法とは即時型アレルギーの原因となるアレルゲンを少量ずつアレルギー患者に投与することによって原因アレルゲンに対する感受性を低下させる療法であり、特に吸入型アレルゲン(花粉、ハウスダスト等)の場合に用いられ、例えば、花粉症の場合はスギ花粉などのエキスを、長い時間をかけ少しずつ注射し、身体を徐々に慣れさせていく治療法である。
その機序は、投与アレルゲンによって、アレルギー性疾患の原因となるレアギン(IgE抗体の一種)とは異なる別個の抗体(阻止抗体または遮断抗体)が産生され、これが侵入するアレルゲンと結合することによってアレルゲンとレアギンが結合してアレルギー反応を起こすのを阻止すると考えられている。
本発明者も、アレルギー症状の緩和、特に鼻づまり等の鼻炎症状の緩和を目的として種々検討を加えてきている。
その中で、これまでにウイルスに対する粘膜投与型ワクチンをいくつか提案してきている(特許文献1〜3)。これまで提案してきている粘膜投与型ワクチンは、ウイルスの不活性抗原のワクチン効果をより完全なものとすることを目的として、ワクチンに対するアジュバント作用を有する物質を同時に効果的に鼻腔内粘膜上に投与するものであり、例えば、液状のワクチンをアジュバントと共に霧状に噴霧したり、或いは微粉末状にして噴霧したりするものであり、粘膜上におけるIgA抗体の誘導を確保したものであり、その点で特異的なものである。
その中で、これまでにウイルスに対する粘膜投与型ワクチンをいくつか提案してきている(特許文献1〜3)。これまで提案してきている粘膜投与型ワクチンは、ウイルスの不活性抗原のワクチン効果をより完全なものとすることを目的として、ワクチンに対するアジュバント作用を有する物質を同時に効果的に鼻腔内粘膜上に投与するものであり、例えば、液状のワクチンをアジュバントと共に霧状に噴霧したり、或いは微粉末状にして噴霧したりするものであり、粘膜上におけるIgA抗体の誘導を確保したものであり、その点で特異的なものである。
ところで、アレルギー症状の緩和療法としての減感作療法においては、スギ花粉等のアレルゲンの投与ではIgE抗体(レアギン)だけしか誘導されず、即効的な花粉症対策にはならない。これに対して、上記経鼻投与型ワクチン投与では効率よくIgA抗体が産生され、それに基づく血清中でのIgG抗体応答が得られ、アレルギー症状の緩和を得ることができる。
かかる点を考慮すると、アジュバントと共に非特異的抗原、或いは特異的抗原を経鼻投与することによりIgA抗体が誘導され、誘導されたIgA抗体が外部抗原を中和し、効率的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和するものと考えられる。
かかる点を考慮すると、アジュバントと共に非特異的抗原、或いは特異的抗原を経鼻投与することによりIgA抗体が誘導され、誘導されたIgA抗体が外部抗原を中和し、効率的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和するものと考えられる。
本発明者は、上記の考えに基づいて、非特異的抗原、或いは特異的抗原に対するアジュバント作用を有する物質(アジュバント)と共に経鼻投与すれば、効率的に粘膜上でのIgA抗体分泌が行われ、かかるIgA抗体が外部抗原を中和することにより鼻づまり症状を改善する効果が認められることを確認し、本発明を完成させるに至った。
特開2005−082581号公報
特開2007−077073号公報
特開2008−231037号公報
したがって、本発明は、粘膜、好ましくは呼吸器粘膜、例えば鼻腔粘膜に滞留的に投与することにより、効果的にIgA抗体の産生を誘導させる経鼻投与アジュバントと提供すること、更には、かかる経鼻投与アジュバントにより効率的に鼻づまり症状を改善させることを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、その基本的な一態様として、アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントである。
また本発明は、さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬を含有するIgA抗体を誘導する経鼻アジュバントである。
また、本発明は上記の経鼻投与アジュバンであって、さらに増粘剤を含むことを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントであり、増粘剤が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択されるものである経鼻投与アジュバントである。
より具体的には、本発明はアジュバントが、TLR(Toll-Like Receptor)のリガンドである二重鎖または一重鎖RNAであり、当該一重鎖RNAが、Poly(I)又はPoly(C)であり、さらに二重鎖RNAが、Poly(I:C)又はPoly(A:C)であるIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
最も具体的には、本発明は、アジュバントであるPoly(I:C)又はPoly(A:C)の分子サイズが1〜300bp以上であるIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
また本発明は、アジュバントが、CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末であるIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
さらに本発明は、別の態様として、アレルギー性鼻炎又は花粉症に基づく鼻づまり症状の治療のための上記したIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントであり、アジュバントを凍結乾燥し粉末の形態にし、含有することを特徴とするIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバントである。
また更に本発明は、ヒト以外の動物に対するアレルギー症状の治療のための上記したIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントである。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、非特異的抗原或いは特異的抗原と共に経鼻投与されるものであり、粘膜上で効率的にIgA抗体を誘導し、産生されたIgA抗体が鼻づまり症状を惹起する外部抗原を中和することにより効果的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することができる。
これまで、抗アレルギー剤の投与により鼻炎症状を緩和するしか方法がなかった現状下で、眠気等の副作用がなく、効果的、且つ即効的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和できる点で、特に有用なものである。
また、本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、粉末状、或いは噴霧状の液体として簡便に鼻腔粘膜上に投与し得るものであり、その有用性は多大なものである。
これまで、抗アレルギー剤の投与により鼻炎症状を緩和するしか方法がなかった現状下で、眠気等の副作用がなく、効果的、且つ即効的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和できる点で、特に有用なものである。
また、本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、粉末状、或いは噴霧状の液体として簡便に鼻腔粘膜上に投与し得るものであり、その有用性は多大なものである。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントにおいて、アジュバントとして使用されるPoly(I:C)誘導体は、Toll様レセプター(Toll−like receptor:TLR)のリガンドである二重鎖RNAであり、自然免疫系を刺激するTLRのリガンドとして、病原菌あるいはウイルス等の微生物の攻撃に対する防御免疫獲得能を発揮する。
事実、Poly(I:C)を含むTLRのリガンドである二重鎖RNAが、アジュバントとしてワクチンと共に投与された場合には、そのワクチン能を増強させるのではなく、二重鎖RNAであるPoly(I:C)自体が、種々の病原菌あるいはウイルス等の病原体の攻撃に対する防御免疫能を増強せしめ、特にウイルスまたは病原菌特異的IgA抗体及びIgG抗体を誘導させることによって病原体による感染を防御する。
本発明においては、かかるPoly(I:C)自体が産生するIgA抗体により外部抗原を中和するものであり、これにより鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することとなる。
事実、Poly(I:C)を含むTLRのリガンドである二重鎖RNAが、アジュバントとしてワクチンと共に投与された場合には、そのワクチン能を増強させるのではなく、二重鎖RNAであるPoly(I:C)自体が、種々の病原菌あるいはウイルス等の病原体の攻撃に対する防御免疫能を増強せしめ、特にウイルスまたは病原菌特異的IgA抗体及びIgG抗体を誘導させることによって病原体による感染を防御する。
本発明においては、かかるPoly(I:C)自体が産生するIgA抗体により外部抗原を中和するものであり、これにより鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することとなる。
本発明で使用する二重鎖RNAであるPoly(I:C)は、その分子の大きさとしては、その塩基対(bp)として低〜高サイズの種々のものを用いることが可能であるが、免疫応答に対してより優れた応答を発揮するものは、1〜300bp以上の分子サイズを有することが必要であることが判明した。そのような分子サイズを有するものとして、例えば、100〜1000bpのPoly(I:C)は、容易に入手することができる。
アジュバントとしては上記したPoly(I:C)誘導体に限定されるものではなく、一重鎖RNAであるPoly(I)又はPoly(C)であり、さらに二重鎖RNAとしてPoly(A:C)等、アジュバント作用を有する物質であれば、広く本発明の経鼻投与アジュバントとして使用することができることはいうまでもない。
さらに、そのようなアジュバント作用を有する物質として、例えば、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末、β−グルカン、マンノース誘導体、更にはCTB(コレラ毒素Bサブユニット)等を挙げることができる。
さらに、そのようなアジュバント作用を有する物質として、例えば、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末、β−グルカン、マンノース誘導体、更にはCTB(コレラ毒素Bサブユニット)等を挙げることができる。
一方、本発明が提供する経鼻投与アジュバントにより、アジュバントと共に投与される非特異的抗原或いは特異的抗原としては、インフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)等を挙げることができる。
しかしながら、これらに限定されるものではなく、鼻炎症状を惹起する各種の抗原を挙げることができる。
しかしながら、これらに限定されるものではなく、鼻炎症状を惹起する各種の抗原を挙げることができる。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントは、アジュバントであるPoly(I:C)誘導体、または他のアジュバントにさらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシン、或いは細胞染色試薬を含有させることができる。
フクシン、フクシン酸又は塩基性フクシンは、一般的に染色試薬として使用されている物質であるが、抗ウイルス作用や抗菌作用を持つことが知られているこれらの物質はアジュバント共に経鼻投与されることにより、より感染防御に役立つと考えられる。特にヒト生細胞を傷つけずに染色(生体染色)され得るため、一般細胞への毒性は極めて低い。
同様な観点から、細胞染色試薬もアジュバントと共に経鼻投与することにより効果的にIgA抗体を産生させるものであり、このような細胞染色試薬としてクリスタルバイオレットやゲンチアンバイオレットなどを挙げることができる。
フクシン、フクシン酸又は塩基性フクシンは、一般的に染色試薬として使用されている物質であるが、抗ウイルス作用や抗菌作用を持つことが知られているこれらの物質はアジュバント共に経鼻投与されることにより、より感染防御に役立つと考えられる。特にヒト生細胞を傷つけずに染色(生体染色)され得るため、一般細胞への毒性は極めて低い。
同様な観点から、細胞染色試薬もアジュバントと共に経鼻投与することにより効果的にIgA抗体を産生させるものであり、このような細胞染色試薬としてクリスタルバイオレットやゲンチアンバイオレットなどを挙げることができる。
また、本発明の経鼻投与アジュバントにおいては、アジュバントと共に増粘剤を一緒に投与するのが効果的である。
本発明でアジュバントと共に使用する増粘剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウム等をあげることができる。
増粘剤としては、上記のものに限定されるものではなく、粘膜上で増粘作用を発揮し、アジュバントと共に粘膜上に滞留させ得るものであれば、どのようなものでも使用することができる。
なお、アジュバントとしてのキチン、キトサン、β−グルカン、キチン微粒子、或いはマンノース誘導体にあっては、増粘剤としての作用も発揮する。
本発明でアジュバントと共に使用する増粘剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウム等をあげることができる。
増粘剤としては、上記のものに限定されるものではなく、粘膜上で増粘作用を発揮し、アジュバントと共に粘膜上に滞留させ得るものであれば、どのようなものでも使用することができる。
なお、アジュバントとしてのキチン、キトサン、β−グルカン、キチン微粒子、或いはマンノース誘導体にあっては、増粘剤としての作用も発揮する。
本発明が提供する経鼻投与アジュバントの投与量として、投与する対象者の年齢、体重、投与方法により一概に限定し得ないが、通常成人1回当たり、0.01〜10mg、好ましくは、0.01〜1mg程度であることより、これに対応した抗原、アジュバント、フクシン、フクシン酸等、更には増粘剤の量を調整すればよい。
具体的には、抗原としてのインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)の量としては、0.1〜500μgであり、フクシン、フクシン酸等の量としては抗原と同程度の0.1〜10μgを用いるのがよい。
また、増粘剤の量としては0.01〜10mgの範囲で適宜調整することができる。
具体的には、抗原としてのインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)の量としては、0.1〜500μgであり、フクシン、フクシン酸等の量としては抗原と同程度の0.1〜10μgを用いるのがよい。
また、増粘剤の量としては0.01〜10mgの範囲で適宜調整することができる。
本発明の経鼻投与アジュバントの投与は、微粉末を鼻腔内粘膜上に噴霧することにより行うことができる。また、懸濁製剤として同様鼻腔内粘膜上に噴霧することにより行うことができる。ヒトの粘膜には、消化器、呼吸器、排出器、生殖器などの特に外通性の中腔器官の内壁が含まれる。しかしながら、本発明経鼻投与アジュバントとしては、鼻腔投与(経鼻投与)が好まし。鼻腔は特に、抗原進入の門戸であることから、粘膜投与により分泌型IgA反応を引き起こし、粘膜上皮細胞中に分泌型IgA抗体を産生させ、進入する抗原を中和し、鼻づまり等の鼻炎症状を緩和するものである。
さらに本発明は、ヒト以外の動物、例えば、イヌ、猫等の愛玩動物、或いは家畜等の動物に対するアレルギー症状の治療のためのIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバントを提供するものであり、最近の愛玩動物が罹患するアレルギー症状を効果的に緩和する点で、特に優れたものである。
以下に本発明を、実施例に代わる具体的試験例より、さらに詳細に説明する。
試験例1:マウスにおける実験(その1)
試験例1:マウスにおける実験(その1)
免疫スケジュールとしては、ワクチンとして全粒子不活性化ワクチンのベトナム株から得られたNIBRG14(A/Vietnam)1μgを用い、アジュバントとしてPoly(I:C)を10μg用いた。
マウス[BALB/cマウス(6週齢、雌性)]で経鼻、若しくは皮下接種で2回接種後、チャレンジを3種のcladeの異なる、ワクチン株と同じ抗原性を持つベトナム株、あとは1997年に香港で流行を起こした香港株のH5N1株、あとはclade2に属するインドネシアで分離されたH5N1株(いずれもヒトから分離した株)で攻撃感染実験を実施した。
マウス[BALB/cマウス(6週齢、雌性)]で経鼻、若しくは皮下接種で2回接種後、チャレンジを3種のcladeの異なる、ワクチン株と同じ抗原性を持つベトナム株、あとは1997年に香港で流行を起こした香港株のH5N1株、あとはclade2に属するインドネシアで分離されたH5N1株(いずれもヒトから分離した株)で攻撃感染実験を実施した。
[結果]
(1)NIBRG14(A/Vietnam)に対する抗体誘導は、接種ルートを経鼻の場合と、皮下接種した場合を比較すると、皮下接種では鼻粘膜上のIgA抗体は全く誘導されなかった。
これに対して、経鼻接種した場合には、鼻粘膜上にIgA抗体が誘導され、血中の中和抗体価を調べた結果、中和抗体は、ベトナム株に対してのみ認められており、他の株では認められず、他の香港株、インドネシア株に対する中和抗体価は全く認められなかった。
(1)NIBRG14(A/Vietnam)に対する抗体誘導は、接種ルートを経鼻の場合と、皮下接種した場合を比較すると、皮下接種では鼻粘膜上のIgA抗体は全く誘導されなかった。
これに対して、経鼻接種した場合には、鼻粘膜上にIgA抗体が誘導され、血中の中和抗体価を調べた結果、中和抗体は、ベトナム株に対してのみ認められており、他の株では認められず、他の香港株、インドネシア株に対する中和抗体価は全く認められなかった。
次に、チャレンジした後の生存と、感染3日後の鼻腔内でのウイルス価を測定した。
まず、ワクチン株と同じ抗原性を有するベトナム株でチャレンジした場合、皮下接種群と経鼻接種群共に、生存率は100%であったが、コントロール群としてワクチン接種をしない群のマウスでの死亡率は100%であった。
ところが、鼻粘膜上のウイルス価を検討すると、皮下接種群では、有意にウイルス価は減少していたが、経鼻接種群では、生きたウイルスの分離は認められなかった。
このことは、経鼻接種により、ウイルス感染自体防御し、その結果100%の生存率を得たこととなる。
まず、ワクチン株と同じ抗原性を有するベトナム株でチャレンジした場合、皮下接種群と経鼻接種群共に、生存率は100%であったが、コントロール群としてワクチン接種をしない群のマウスでの死亡率は100%であった。
ところが、鼻粘膜上のウイルス価を検討すると、皮下接種群では、有意にウイルス価は減少していたが、経鼻接種群では、生きたウイルスの分離は認められなかった。
このことは、経鼻接種により、ウイルス感染自体防御し、その結果100%の生存率を得たこととなる。
(2)1997年の香港株でチャレンジした場合には、皮下接種群ではウイルスの減少は全く認められず、生存率も全く認められず、100%の死亡を示していた。
これに対し、経鼻接種の場合には、生存率は80%であり、ウイルス価の減少が認められた。
これに対し、経鼻接種の場合には、生存率は80%であり、ウイルス価の減少が認められた。
(3)1000PFUのウイルス価で感染させるインドネシア株でチャレンジした場合には、経鼻接種群では有意に、また皮下接種群においてもウイルス価の減少は認められたが、生存率において、経鼻接種群は100%、皮下接種群は40%、コントロール群は20%であった。
以上のように、マウスにおいてアジュバント効果を認めたので、ヒトに近い霊長類であるサルを用いて検討を行った。
試験例2:カニクイザルにおける実験
用いたワクチンは、全粒子不活性化ワクチンのベトナム株から得られたNIBRG14(A/Vietnam)を用い、抗原量として総蛋白は90μg、アジュバントとしてPoly(I:C)を500μg用いた。
感染は、ベトナム株のウイルスを用いた。
用いたワクチンは、全粒子不活性化ワクチンのベトナム株から得られたNIBRG14(A/Vietnam)を用い、抗原量として総蛋白は90μg、アジュバントとしてPoly(I:C)を500μg用いた。
感染は、ベトナム株のウイルスを用いた。
[方法]
免疫応答を確認するために、カニクイザル(各群3匹:雌2匹/雄1匹)にワクチンを感染チャレンジ前の3回(7週前、4週前及び2週前の3回)経鼻接種し、経時的に抗体応答を観察した。
最終ワクチン投与後2週目に感染チャレンジを行った。
なお、コントロール群としてワクチン接種を行わないで感染チャレンジをした群をおいた。
免疫応答を確認するために、カニクイザル(各群3匹:雌2匹/雄1匹)にワクチンを感染チャレンジ前の3回(7週前、4週前及び2週前の3回)経鼻接種し、経時的に抗体応答を観察した。
最終ワクチン投与後2週目に感染チャレンジを行った。
なお、コントロール群としてワクチン接種を行わないで感染チャレンジをした群をおいた。
[結果]
図1及び図2に、各群における唾液中のIgA抗体量(平均値)の変化を示した。
図1はワクチン投与群の結果であり、図2はコントロール群の結果である。
図中に示した結果からも判明するように、ワクチン投与群においては、唾液中に良好に特異的IgA抗体の産生が観察され、ウイルス感染チャレンジ後においてもIgA抗体の減少は認められたものの、高い抗体価で推移しているのが判明する。
これに対してコントロール群は、ワクチン投与期間においてIgA抗体の産生が低いものであり、ウイルス感染チャレンジ後に顕著にIgA抗体産生の低下が認められた。
図1及び図2に、各群における唾液中のIgA抗体量(平均値)の変化を示した。
図1はワクチン投与群の結果であり、図2はコントロール群の結果である。
図中に示した結果からも判明するように、ワクチン投与群においては、唾液中に良好に特異的IgA抗体の産生が観察され、ウイルス感染チャレンジ後においてもIgA抗体の減少は認められたものの、高い抗体価で推移しているのが判明する。
これに対してコントロール群は、ワクチン投与期間においてIgA抗体の産生が低いものであり、ウイルス感染チャレンジ後に顕著にIgA抗体産生の低下が認められた。
図3及び図4に、血清中のIgG抗体量の変化を示した。
図3はワクチン投与群の結果であり、図4はコントロール群の結果である。
図中に示した結果からも判明するように、ワクチン投与群においては、2回の接種で血中のIgG抗体の産生がかなり高く誘導されており、この値はコントロール群に感染した2週間後の値よりも高いものであった。
図3はワクチン投与群の結果であり、図4はコントロール群の結果である。
図中に示した結果からも判明するように、ワクチン投与群においては、2回の接種で血中のIgG抗体の産生がかなり高く誘導されており、この値はコントロール群に感染した2週間後の値よりも高いものであった。
症状としては、コントロール群においては、全てのサルにおいて摂食することがなくなり、うつうつの状態が継続し、鼻水、咳、下痢等の症状が観察され、その症状が2週間程度継続し、徐々に改善されていった。
これに対して、経鼻ワクチン投与群では、摂食行動に全くの変化はなく、臨床症状も全く観察されなかった。
これに対して、経鼻ワクチン投与群では、摂食行動に全くの変化はなく、臨床症状も全く観察されなかった。
以上記載のように、本発明の経鼻投与アジュバントは、非特異的抗原或いは特異的抗原と共に経鼻投与されるものであり、粘膜上で効率的にIgA抗体を誘導し、産生されたIgA抗体が鼻づまり症状を惹起する外部抗原を中和することにより効果的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和することができる。
これまで、抗アレルギー剤の投与により鼻炎症状を緩和するしか方法がなかった現状下で、眠気等の副作用がなく、効果的、且つ即効的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和できるものであり、特に粉末状、或いは噴霧状の液体として簡便に鼻腔粘膜上に投与し得る点で、その有用性は多大なものである。
これまで、抗アレルギー剤の投与により鼻炎症状を緩和するしか方法がなかった現状下で、眠気等の副作用がなく、効果的、且つ即効的に鼻づまり等の鼻炎症状を緩和できるものであり、特に粉末状、或いは噴霧状の液体として簡便に鼻腔粘膜上に投与し得る点で、その有用性は多大なものである。
Claims (12)
- アジュバント作用物質と共に、抗原としてインフルエンザワクチン、アレルギー抗原、又はツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含有し、IgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバント。
- さらにフクシン、フクシン酸又は塩基性フクシンを含有する請求項1に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- さらに増粘剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- アジュバントが、TLR(Toll-Like Receptor)のリガンドである二重鎖または一重鎖RNAである請求項1、2又は3に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- 一重鎖RNAが、Poly(I)又はPoly(C)である請求項4に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- 二重鎖RNAが、Poly(I:C)又はPoly(A:C)である請求項4に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- Poly(I:C)の分子サイズが300bp以上である請求項6に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- アジュバントが、CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、キチン、キトサン、ホッキ貝又はホタテ貝の微粉末である請求項1に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- 増粘剤が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース又はポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択されるものである請求項2に記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- アジュバントを凍結乾燥し粉末の形態にし、含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のIgA抗体を誘導する経鼻投与アジュバント。
- アレルギー性鼻炎又は花粉症に基づく鼻づまり症状の治療のための請求項1〜10のいずれかに記載のIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバント。
- ヒト以外の動物に対するアレルギー症状の治療のための請求項1〜10のいずれかに記載のIgA抗体を誘導することを特徴とする経鼻投与アジュバント。
Priority Applications (1)
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2009
- 2009-02-18 JP JP2009035413A patent/JP2010189314A/ja active Pending
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