JP2014108947A - アミノ酸含有免疫調整剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飢餓状態の生体に投与される、イソロイシンと、アジュバントおよび/またはイソロイシン以外の分岐鎖アミノ酸を含む免疫調整剤。当該免疫調整剤は、さらにトレハロースや乳酸菌を含んでいてもよい。前記アジュバンドとしては、たとえばセラミック化ホッキ貝粉末、イカキチンおよびPoly(I:C)が挙げられる。このような免疫調整剤は、医薬組成物の有効成分として、または乳酸菌食品への添加物として使用することができる。
【選択図】なし
Description
[2]さらに、トレハロースを含む、[1]に記載の免疫調整剤。
[4]前記アジュバントが、セラミック化ホッキ貝粉末、イカキチンまたはPoly(I:C)である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の免疫調整剤。
[6][1]〜[4]のいずれか一項に記載の免疫調整剤を含む乳酸菌食品。
さらに、トレハロースを含有させることにより、上記効果に加え、ダイエット効果を有し、無理なく体重の減量を確保することができる。
なお、本明細書において、「アジュバント」とは、生体の免疫反応(免疫調整作用)を増強する作用を有する物質をいう。「飢餓状態」とは、生体のエネルギー需要を充足するだけの十分な栄養が外部から補給されていない状態をいい、好ましくは、断食状態にある生体の状態をいう。ヒトにおける飢餓状態とは、例えば、通常12時間以上の断食状態にある状態をいい、イスラム教におけるラマダーン月に行われる断食(日の出から日没まで)において生じる状態が典型例として挙げられる。また、消化管内腔に直接栄養が供給されない状況も消化管の飢餓状態ということができ、本明細書における「飢餓状態」に含まれる。
本発明の免疫調整剤は、イソロイシンと、アジュバントおよび/またはイソロイシン以外の分岐鎖アミノ酸を含む。さらに必要に応じて、トレハロース、乳酸菌、製剤用担体、その他の成分を含むことができる。
本発明の免疫調整剤は、イソロイシン(2-アミノ-3-メチルペンタン酸)を含む。本発明の免疫調整剤に含まれるイソロイシンは通常L体であり、生体内でイソロイシンとなるイソロイシン誘導体であってもよい。
本発明の免疫調整剤は、一つの実施形態においてアジュバントを含む。アジュバントとしては、生体における免疫賦活作用(アジュバント作用)を奏し、生体にとっての安全性が高いものであって、かつ、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、核酸ポリマー、セラミックスカルシウム、食物繊維、乳酸菌、β−グルカン、酵母等があげられる。
核酸ポリマーとしては、Poly(I:C)を好適に挙げることができる。Poly(I:C)は、Toll様レセプター(Toll−like receptor:TLR)のリガンドである2本鎖RNAである。本発明で使用する二本鎖RNAであるPoly(I:C)は、その塩基対(bp)として低〜高サイズの種々のものを用いることが可能であるが、免疫応答に対してより優れた応答を発揮する観点から、300bp以上の分子サイズであることが好ましい。そのような分子サイズを有するものとして、例えば、100〜1000bpのPoly(I:C)は、一般試薬会社から容易に入手することができる。
セラミックスカルシウムとしては、例えば、セラミック化ホッキ貝微粉末等を挙げることができる。セラミック化ホッキ貝微粉末は、ホッキ貝を焼成して得た粉末であり、多孔質の微粉末である。より詳しくは、10〜100μg程度の不定形の構造物よりなるものである。セラミック化ホッキ貝微粉末は、除菌作用あるいは殺菌作用を有し、また微量有害物質、例えば、残留農薬等の除去効果があるため、好ましい。セラミック化ホッキ貝粉末自体は、製品として市販されているものを用いることができる。
食物繊維としては、例えば、キチン、キトサン等を好適に挙げることができる。キチンとしては、イカ由来キチン(イカキチン)を好適に挙げることができる。食物繊維の含有量としては、本発明の医薬組成物のおける強い免疫調整作用が得られる観点から、イソロイシンに1gに対し、0.1g〜0.5gであることが、好ましい。
β−グルカンとしては、市販の精製品を用いればよいが、β−グルカンを多量に含むキノコ担子類を用いてもよい。キノコ担子類としては、例えば、アガリクス、ハナビラタケ、メシマコブ、マイタケ、カバノアナタケ、冬虫夏草、霊芝、シイタケ等が挙げられる。本発明の免疫調整剤のおける強い免疫調整作用が得られる観点から、イソロイシン1gに対し、0.01〜0.1mgであることが、好ましい。
本発明の免疫調整剤が含むアジュバントとしては、Poly(I:C)またはセラミック化ホッキ貝粉末が、強い免疫賦活作用(アジュバント作用)を得られる点で好ましい。
本発明の免疫調整剤は、もう一つの実施形態において、イソロイシン以外の分岐鎖アミノ酸として、ロイシン(2-アミノ-4-メチルペンタン酸)およびバリン(2-アミノ-3-メチル酪酸)からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸を含む。ロイシンまたはバリン自体の代わりに、生体内でこれらのアミノ酸となるアミノ酸誘導体を用いてもよい。これらのアミノ酸を含むと本発明の免疫調整効果が増強されるため好ましい。
本発明の免疫調整剤は、さらにトレハロースを含むことができる。トレハロースを含む本発明の免疫調整剤はダイエット効果を有する点で好ましい。トレハロースは市販されており、例えば株式会社長瀬産業(品名:トレハ(登録商標))より入手することが可能である。
本発明の免疫調整剤のおけるトレハロースの含有量としては、ダイエット効果を得る観点から、イソロイシン1gに対し、1〜5gであることが、好ましい。
本発明の免疫調整剤は、さらに乳酸菌を含むことができる。乳酸菌を含む本発明の免疫調整剤は飢餓状態における腸内環境を改善する点で好ましい。乳酸菌としては、乳酸球菌または乳酸桿菌のいずれを用いてもよいが、乳酸桿菌を用いることが好ましい。
本発明の免疫調整剤は、必要に応じて製剤用担体を含むことができる。製剤用担体としては、本発明の目的を阻害しない範囲において、公知の物質を用いることができるが、例えば、デンプン、乳糖、白糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等の賦形剤;アカシア、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等の滑沢剤;加工デンプン、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤を含むことができる。
本発明の免疫調整剤は、その他の成分として、医薬品、食品等に含まれ得る既知の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、香料、色素、防腐剤等が挙げられる。
本発明の免疫調整剤は、そのまま摂取することもできるが、医薬組成物の有効成分として、または乳酸菌食品への添加物として使用することができる。本発明の免疫調整剤の剤型は、生体に投与が可能であれば特に限定されないが、製剤学的に汎用されている経口投与製剤である錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤等が好適に挙げられる。また、食品の形態にすることもでき、例えば、乳酸菌食品等が好適に挙げられ、ヨーグルト、乳酸菌飲料がより好適に挙げられる。
本発明の免疫調整剤は、飢餓状態にある生体に投与される。投与回数は特に限定されないが、毎日、3〜4日間隔で5〜6回投与するか、または、2〜3週間の間に3〜4回投与することを任意の回数繰り返すことが好ましい。
本発明に係る飢餓状態の生体としては、自然免疫系および獲得免疫系の両方を有する生物であれば限定されないが、通常脊椎動物であり、哺乳類であることが好ましく、ヒトであることがさらに好ましい。また、非経口的に栄養を摂取している対象も本発明に係る飢餓状態の生体であり、例えば炎症性腸疾患患者が好適に挙げられる。
なお、対象となる生体の免疫状態の改善は、自覚症状によるもののほか、既知の免疫学的指標を用いて評価することができる。免疫学的指標としては、例えば、唾液中のIgA量、ツベルクリン反応、糖代謝能等を好適に挙げることができる。
[実施例1]
(ヨーグルト)
以下の成分を、牛乳を乳酸発酵させたヨーグルト中に均一に混合し、ヨーグルトを調製した。
(組成)ヨーグルト100g部中
イソロイシン 0.5〜3.0g
トレハロース 1〜10.0g
セラミック化ホッキ貝粉末 0.1〜1.5g
1日服用としての自然免疫ヨーグルトが調製された。なお、イソロイシンにあっては、適宜上記の範囲で変動させることができる。
(乳酸菌飲料)
以下の組成からなる乳酸菌飲料を調製した。
(組成)乳酸菌飲料100mL中
イソロイシン 0.6〜3.0g
ロイシン 0.6〜3.0g
トレハロース 1〜10g
乳固形21%発酵乳 15.0g
ペクチン 0.5g
クエン酸 0.08g
香料 適量
水 残部
なお、イソロイシン、ロイシンにあっては、適宜上記の範囲で変動させることができる。
<試験方法>
1.対象患者
18〜50才の健常人(体重60kg以下)、男女各25名を被験者とした。
2.免疫調整剤のプロトコールおよびその試験評価
イソロイシン0.5g%およびロイシン0.5gからなる組成物を、1回1g×1回(飢餓時)/日、2週間(14日間)、連日経口投与した。投与終了後、所定の項目に該当するかどうかについてアンケートを行った。アンケートの項目および結果を下記表1に示す。この結果から、上記組成物を飢餓時に摂取することにより、自然免疫系および獲得免疫系の両方の免疫状態を改善する効果があったと考えられる。
(イソロイシンによる飢餓状態にある生体の免疫状態の改善)
潰瘍性大腸炎(IBD:Inflammatory Bowel Disease)の患者は、経口摂取による栄養補給が困難であり、腸内細菌の欠如、一種の飢餓状態にあるということができる。本発明の医薬組成物の飢餓状態にある生体の免疫状態改善の効果について、IBD患者を対象に試験を実施した。なお、試験にあたっては、前もって被験者からのインフォームドコンセントを得ている。
(排便状態の改善)
<試験方法>
1.対象患者
潰瘍性大腸炎、クローン病患者および健常人ボランティアとして、下記の対象者を被験者(19名)とした。
クローン病患者:12名
潰瘍性大腸炎患者:5名
健常人ボランティア:2名
2.イソロイシン投与のプロトコールおよびその試験評価
イソロイシン(1回2g×2回/日:全4g/日)を4週間(28日間)、連日経口投与した。投与前2週間前から投与終了後の2週間経過時まで、下痢の回数について記録を行った。
全試験対象者における水様/泥状下痢/1日の平均発生回数の推移を図1に示し、クローン病患者(CD)および潰瘍性大腸炎患者(IBD、UC)における水様/泥状下痢/1日の平均発生回数の推移を図2に示した。
図1および図2に示した結果から明らかなように、イソロイシンを投与することにより水様/泥状下痢/1日の平均発生回数が有意に低下した。
(糞便中の乳酸杆菌数)
<試験方法>
6名のクローン病患者に、イソロイシン(1回2g×2回/日:全4g/日)を1週間にわたり経口投与し、投与前の患者の糞便と、イソロイシンを1週間投与した後の7日目における患者の糞便を採取し、糞便中の乳酸杆菌(Lactobacilli)数を評価した。培地としてLBS(Lactobacilli Selective agar)寒天培地(ベクトン&デイッキンソン社製)を使用し、37℃にて72時間嫌気性条件下に培養した。培地上に認められたコロニー数をCFU(colony forming unit:コロニー形成単位)として表示した。
イソロイシン投与前およびイソロイシン投与後のLog CFUの変動を図3に示した。図中に示した結果からも判明するように、常在腸内細菌である乳酸杆菌(Lactobacilli)の増加の傾向が認められた。
Claims (6)
- 飢餓状態の生体に投与される、イソロイシンと、アジュバントおよび/またはイソロイシン以外の分岐鎖アミノ酸とを含む免疫調整剤。
- さらに、トレハロースを含む、請求項1に記載の免疫調整剤。
- さらに、乳酸菌を含む、請求項1または2に記載の免疫調整剤。
- 前記アジュバントが、セラミック化ホッキ貝粉末、イカキチンまたはPoly(I:C)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫調整剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の免疫調整剤を有効成分として含む医薬組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の免疫調整剤を含む乳酸菌食品。
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