JP4553993B2 - インクジェット記録方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録方式に関し、さらに詳しく述べると、水系媒体と、該水系媒体中に微分散せしめられた、色材にて着色された微小樹脂粒子とを含む水系分散インクを用いて印字を行うインクジェット記録方法及び装置に関する。本発明のインクジェット記録方法及び装置を使用すると、色材にて着色された微小樹脂粒子をそのガラス転移温度(Tg)以上の温度に加熱した状態で印字を行うことにより、記録画像に光沢を与え、印字品位を上げることができる。また、使用するインクが分散安定性に優れた水系分散インクであるので、耐目詰まり性及び噴射安定性に優れた印字が行え、色鮮やかで、高耐水性及び高耐光性の画像を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、ファクシミリ装置、複写機などの電子機器に内蔵、あるいは接続される印刷機として、インクジェットプリンタが広く用いられている。また、インクジェットプリンタで用いられる印字インク、すなわち、インクジェットインクとしては、従来、染料と、水溶性有機溶剤と、水とから基本的に構成されている染料水溶液が用いられている。この種の染料インクは、しかし、ノズルから飛ばされたインクが記録紙に付着した時、インクが記録紙上ににじむという問題を避けることができず、したがって、記録紙上のインクのドットはノズルからのインク液滴の直径よりも大きくなってしまったり、また、着色成分として使用する染料に特有の性質のため、耐水性、耐光性に関して満足し得る記録物を得ることができない。
【0003】
上記したような染料インクの問題を解決するため、染料に代えて顔料を使用することが実行されている。顔料インクの特徴としては、まず、得られる記録物においてその耐水性及び耐光性が、染料インクの比べて格段に高いことが挙げられる。また、染料インクと比較して、記録物の濃度が高く、にじみの発生も少ないことも特徴である。
【0004】
さらに、染料及び顔料のいずれも着色成分として使用可能なインクジェットプリンタ用インクも提案されている。例えば、特開平7−97540号公報は、染料又は顔料によって着色され、かつ特定のベンゾトリアゾール系の化合物、例えば2−(5−メチル−2−ヒドロキシルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを含有し、20〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を含有するポリエステル粒子を分散質とする水分散体であることを特徴とするインクジェットプリンタ用インクを開示している。この発明のインクは、耐光性を向上させるために特定のベンゾトリアゾール系の化合物を使用するとともに、高い画像濃度を得るという課題に対して、染色が容易であるポリエステルを着色粒子として使用している。
しかし、このインクを使用した記録方法及び装置では、インクが記録媒体にしみ込んで、記録媒体の繊維が印字に悪影響を与えて、印字品位を低下させるという問題がある。
【0005】
ここで、従来の技術における記録媒体の加熱について考察すると、従来の染料インクを用いたインクジェットプリンタにおいても、印字後の記録媒体を加熱することが行われているが、本発明で使用する水系分散インクとは異なって、満足し得る光沢を生む効果は得られてない。
また、特開昭61−29581号公報は、水系染料インクを用いるインクジェット記録装置であって、インク吸収層を有する被記録材について、記録位置のインク吸収層の温度をそのガラス転移温度以上とし得る加熱手段を備えていることを特徴とするインクジェット記録装置を開示している。この記録装置では、しかし、記録媒体にあらかじめインク吸収層を塗布しておく作業が必要であり、その結果、製造コスト及び装置価格が上昇してしまうという問題がある。
【0006】
さらに、特開平1−278361号公報は、インク噴射ヘッドによる印字位置の直前の位置から下流側の領域中のいずれかの位置に印字用紙を加熱する印字用紙加熱装置を設けたことを特徴とするホットメルト式インクジェットプリンタを開示している。しかし、このプリンタでは、固形インクをヘッドから噴射するまでに十分に加熱して液状に溶融させながら印字を行うホットメルト方式を採用しているので、インクカートリッジやヘッドを加熱する手段が必要で、また、熱変化に伴うインクの体積変化によりヘッド内に気泡を生じやすく、ノズルの目詰まりを生じやすいという問題がある。
【0007】
さらにまた、特開平4−251747号公報は、環状の循環式のワックスインク記録用中間媒体の内側に加熱手段を配設したことを特徴とするワックスジェット式記録装置を開示している。しかし、この記録装置も、先に説明したホットメルト式インクジェットプリンタと同様な問題をかかえている。すなわち、ワックスの溶融に原因してノズルの目詰まりが発生しやすく、また、ワックスインク像の熱転写のために加熱手段を配設しなければならないので、機構の複雑化や製品コストの上昇を避けることができないという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、したがって、上記したような従来の技術の問題点を解決して、インクが記録媒体にしみ込むことがなく、よって、記録画像に光沢を与え、印字品位を向上させることができ、ノズルの目詰まりを生ぜず、装置を複雑化せず、装置コストも上昇させないインクジェット記録方法及び装置を提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、また、噴射安定性、耐水性、そして耐光性に優れ、かつ色鮮やかでにじみのない印字を行うことのできるインクジェット記録方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水系媒体と、該水系媒体中に微分散せしめられた、色材にて着色させた微小樹脂粒子とを含む水系分散インクを用いて印字を行うインクジェット記録方法であって、前記微小樹脂粒子は、20〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を含有するポリエステル樹脂で、その粒子径は1.0μm以下であり、記録媒体に印字する工程の直後において、前記記録媒体とは非接触に設けられた加熱手段により、印字面を前記微小樹脂粒子のガラス転移温度以上かつ該ガラス転移温度を5℃以上は超えない温度まで加熱された状態とするとともに、中空体からなるプラテンの内部に組み込まれた補助加熱手段により、前記印字面の裏面を前記印字面よりも低い温度で、しかも前記微小樹脂粒子のガラス転移温度未満の温度で加熱された状態とすることによって、前記記録媒体が前記プラテンに巻きついた状態で、定着を行うことを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、水系媒体と、該水系媒体中に微分散せしめられた、色材にて着色された微小樹脂粒子とを含む水系分散インクを用いて印字を行うインクジェット記録装置であって、前記微小樹脂粒子は、20〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を含有するポリエステル樹脂で、その粒子径は1.0μm以下であり、記録媒体に印字した直後の着において、印字面を前記微小樹脂粒子のガラス転移温度以上かつ該ガラス転移温度を5℃以上は超えない温度まで加熱された状態とするため前記記録媒体とは非接触に設けられた加熱手段と、前記印字面の裏面を前記加熱手段よりも低い温度で、しかも前記微小樹脂粒子のガラス転移温度未満の温度で加熱するため中空体からなるプラテンの内部に組み込まれた補助加熱手段とを装備し、前記プラテンに前記記録媒体を巻き付けた状態で定着することを特徴とするインクジェット記録装置も提供される。
【0012】
本発明では、記録媒体に対するインクのしみ込みを防止するという課題に対して、特定の水系分散インクを使用し、また、印字工程の直後において、印字面をインク中の微小樹脂粒子のガラス転移点温度以上の温度まで加熱された状態とするとともに、前記印字面の裏面を印字面よりも低い温度に加熱された状態とすることによって定着を行うことにより、印字後の定着において、溶融したインクが印字面から媒体の内部に向かって過度に流れ込んでいくのを効果的に防止することができ、印字面の光沢をさらに効率よく発現させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によるインクジェット記録方法及び装置では、上記したように、水系媒体と、該水系媒体中に微分散せしめられた、色材にて着色された微小樹脂粒子とを含む水系分散インクを使用する。
水系媒体は、インクジェットインクの分野で一般的に行われているように、水と水溶性有機溶剤とから構成するのが好ましい。水系媒体の調製に有利に使用される水溶性有機溶剤は、その一例を以下に列挙すると、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルなどを包含する。これらの水溶性有機溶剤のなかで、特に好適に使用することができる有機溶剤は、ジエチレングリコール等の2価アルコールである。これらの有機溶剤は、単独で使用してもよく、あるいは混合して使用してもよい。また、かかる有機溶剤の使用量は、水系媒体中に分散せしめられるべき微小樹脂粒子の種類及び量やその他のファクタに応じて広く変更することができるというものの、通常、水系媒体の全量を基準にして1〜20重量%の範囲であるのが有利である。
【0014】
水系媒体中には、以下に詳細に説明するように染料、顔料などの色材にて着色された、天然あるいは合成の樹脂の微小粒子が微分散せしめられる。本発明のインクジェットインクでは特に、微小樹脂粒子の含有量を、インクの全量を基準にして30重量%以下とするのが好ましい。これは、微小樹脂粒子の含有量が30重量%を上回った場合、残余が水であっても、粘度が20cpよりも大きくなることもあり、また、20cpよりも粘度が小さい樹脂粒子の水分散体でも、湿潤剤などを添加すると、その粘度が20cpを超えてしまうからである。
【0015】
色材にて着色せしめられた後に水系媒体中に分散せしめられるべき微小樹脂粒子は、上記したように天然あるいは合成の樹脂の微小粒子であることができ、いろいろな樹脂の使用可能性を包含している。かかる微小粒子の形成に適当な樹脂は、しかし、染色が容易であり、すぐれた水分散性を発現させることなどの観点から、イオン性基含有ポリエステル樹脂、特に20〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を含有するポリエステル樹脂である。また、かかる樹脂粒子の粒子径は1.0μm以下であることが好ましい。実際、ポリエステル微小樹脂粒子は、エマルジョンであるため、記録媒体に付着した時の滲みも少なく、また、ポリエステル自体に耐水性があるため、得られる記録物の耐水性も優れている。
【0016】
本発明の実施において微小樹脂粒子の形成に有利に使用することのできるポリエステル樹脂は、高分子化学の分野において一般的によく知られているようなポリエステル樹脂を包含し、その典型例は、多価カルボン酸類と多価アルコール類の反応生成物である。
出発物質として用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、さらにまた、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を挙げることができる。
【0017】
また、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリトリトールなどの脂肪族多価アルコール類、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、トリシクロデカンジオールなどの脂環族多価アルコール類、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、1,4−フェニレングリコールなどの芳香族多価アルコール類、その他を挙げることができる。
【0018】
ポリエステル樹脂の形成は、常用の重合法を使用して実施することができる。
また、その際、必要に応じて、上記した単量体成分の他、その他の単量体成分を追加的に併用してもよい。
ポリエステル樹脂中に導入されるべきイオン性基は、特に限定されないというものの、好ましくは、スルホン酸アルカリ金属塩基又はスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノ−又はジカルボン酸、カルボン酸アルカリ金属塩基又はカルボン酸アンモニウム塩基を有する単量体、硫酸基、燐酸基、ホスホン酸基等の酸基単量体もしくはそのアンモニウム塩、金属塩等のアニオン性基単量体、あるいはその第1アミン基、第3アミン基等のカチオン性基単量体、その他である。
【0019】
イオン性基の導入もいろいろな手法に従って実施することができる。例えば、カルボン酸アルカリ金属塩基又はカルボン酸アンモニウム塩基を有する単量体を用いてそのイオン性基をポリエステル樹脂中に導入する場合には、ポリエステルの重合の最終段階で、トリメリット酸等の多価カルボン酸を重合系内に導入することにより、生成途中のポリマーの末端にカルボキシ基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウム等で中和することによりカルボン酸塩の基となす方法を使用することができる。
【0020】
本発明で用いられるイオン性基含有ポリエステル樹脂において、イオン性基の含有量は、好ましくは、上記したように20〜1000eq/tonの範囲である。イオン性基の含有量が20eq/tonを下回る場合には、満足し得る程度の水分散性が得られないであろう。反対に1000eq/tonを上回る場合には、イオン性基の含有量が増加したにもかかわらず得られる効果に向上が期待できないであろう。
【0021】
上記したイオン性基含有ポリエステル樹脂及びその他の樹脂の微小粒子は、色材にて着色せしめられた状態で使用される。樹脂の着色のための色材としては、染料及び顔料のいずれも使用することができ、さもなければ、必要に応じて、染料と顔料を混合して使用してもよい。
本発明の実施において、特に、カラーの印字を目的とするような場合には、色が鮮やかとなるので、色材として染料を使用することが好ましい。染料を使用する場合、所望とするインクの色調やその他のファクタに応じて、各種の商業的に入手可能な染料、例えば分散染料、油溶性染料、建染め染料、ヴァット染料、塩基性染料などのなかから適当な染料を選択して使用することができる。本発明のインクのような水系分散体の特徴を生かすためには、特に分散染料や油溶性染料を使用するのが好ましい。これは、インクをカラーインクジェットプリンタで使用する場合、色再現範囲が広く、かつ高耐水性の印字が可能になるためである。
適当な分散染料あるいは油溶性染料の一例を示すと、C.I.DisperseYellow 198、C.I.Disperse Red 92、C.I.Disperse Violet 26、C.I.Disperse Blue60、C.I.Solvent Yellow 162、C.I.Solvent Blue 25、C.I.Solvent Blue 64、C.I.Solvent Black 3、その他を挙げることができる。なお、画像を色鮮やかにするためにかかる染料を使用した場合には、場合によって耐光性が低下する恐れがあるけれども、そのような時には、樹脂中に紫外線吸収剤等を添加することが推奨される。
【0022】
色材としての染料及び以下に詳細に説明する顔料は、所望とする結果などに応じていろいろな量で使用することができる。また、樹脂に対する染料等の色材の比率が高ければ高いほど、インクが記録紙に付着した時の画像濃度が高くなるけれども、通常、微小樹脂粒子の重量を基準にして2〜20重量%の量で色材を使用するのが好ましい。色材の量が20重量%を超えると、色材が遊離して、水系分散体の安定性が悪くなったり、記録紙に付着した際の耐水性が著しく悪化する。また、反対に色材の量が2重量%を下回ると、記録紙上の画像濃度が不足し、良好な画質を得ることができない。
【0023】
染料で微小樹脂粒子を着色するに当たっては、いろいろな技法を使用することができ、その一例として、例えば、高温分散染色法を挙げることができる。しかし、染料を樹脂に対して直接に練り込む方法は、加熱により染料に対して悪い影響が及ぼされるなどの不都合を考慮した場合、好ましい方法ではない。
樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、それに対して高温分散染色法で染料を含有せしめる場合には、本発明で使用されるポリエステル樹脂はイオン性基の作用により水中にて良好かつ安定な分散性を呈することができるので、樹脂の粒子状態を維持したまま高濃度な染色が可能である。また、別法によれば、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解してエマルジョンを調製する時、あわせて染料を添加して着色を行ってもよい。
【0024】
本発明において用いられるインクジェットインクでは、顔料を色材として使用して微小樹脂粒子を着色してもよい。例えば、黒色顔料を色材として使用して、得られた顔料インクを黒インクとして使用することもできる。このようなインクを使用すると、にじみのない高品位のモノクロ黒記録を行うことができる。モノクロ黒記録において、インクを構成する水系分散体において有利に使用することのできる黒色顔料は、カーボンブラックである。カーボンブラックの特性は、一般的に、粒子径、表面積、吸油量、揮発分、pH値などで決定され、また、したがって、本発明の実施において有利に使用することのできるカーボンブラックも、それを特性的に規定すると、30nm以下の一次粒径、200m2/g以下のBET表面積、80ml/100g以下のDBP吸油量、2.0%以上の揮発分及び7以下のpH値を有しているものである。これは、使用するカーボンブラックの特性が上記した範囲を外れていると、水系分散体中で凝集が起こりやすく、分散が不安定となるからである。
【0025】
上記したようなカーボンブラックは、通常、商業的に入手可能であり、また、その一例を示すと、三菱化学社製のMA−7、MA−8及びMA−11(商品名)、コロンビアンカーボン社製のRaven 1255、Raven 1250及びRaven 1080 Ultra(商品名)、キャボット社製のMogul−L及びRegal 400R(商品名)、デグサ社製のSpecial Black 550及びPrintex 150T(商品名)などを挙げることができる。これらのカーボンブラックも、単独で使用しても、あるいは混合して使用してもよい。
【0026】
顔料インクは、上記したような黒インクに代えて、カラーインクとして使用してもよい。カラーインクで使用する顔料は、所望とする色相などによっていろいろに変更することができる。使用可能な顔料の一例を示すと、例えば、不溶性型アゾ系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンゾイミダゾロン系顔料、縮合アゾ系顔料などの黄色系顔料、不溶性型アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料などの赤色系顔料、フタロシアニン系顔料、インダスレン系顔料などの青色系顔料を挙げることができる。
【0027】
上記の説明から理解されるように、本発明で用いられる微小着色樹脂粒子を調製するため、色材としての染料又は顔料を樹脂中に含有せしめ、均一に分散させることが必要である。この色材の分散には、この技術分野において通常用いられている各種の分散手段、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、ロールミル、ビーズミル、コロイドミル、超音波ホモジナイザ、高圧ホモジナイザなどの商業的に入手可能な各種の分散機を使用することができる。
【0028】
上記したような着色樹脂の微小粒子は、本発明のインクジェットインクおいて使用する場合、0.1μm以下の平均粒子径を有していることが好ましい。微小樹脂粒子の粒子径がことさら大きくなると、水系媒体中に分散せしめた時に分散安定性が悪化し、所望とする水系分散体を得ることができないおそれがある。
本発明で用いられるインクジェットインクでは、上記したような微小樹脂粒子と組み合わせて、湿潤剤を、樹脂粒子:湿潤剤の比(重量比)が1:0.5〜1:2となるような量で存在せしめることが好ましい。適当な湿潤剤としては、例えば、グリセリンや、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコールを挙げることができる。これらの湿潤剤は、単独で使用してもよく、あるいは2種類以上の湿潤剤を混合して使用してもよい。湿潤剤は、その樹脂粒子との重量比が上記した範囲となるような量で使用することが好ましく、もしもその範囲を外れた量で使用すると、満足し得る湿潤効果を得ることができないであろう。
【0029】
本発明のインクジェットインクでは、さらに、それをカラーインクとして使用する際に、記録紙上での、隣接した色間におけるインクの流れ出し、いわゆるブリードを防止するため、ノニオン系又はアニオン系界面活性剤を追加的に使用することが好ましく、そのような場合、界面活性剤は、インクの全量を基準にして0.1〜10重量%の量で使用するのが好ましい。適当なノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン、ソルビタン脂肪酸エステルなどを挙げることができ、また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸ドデシルナトリウムなどを挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で使用してもよく、あるいは2種類以上の界面活性剤を混合して使用してもよい。界面活性剤は、上記した範囲となるような量で使用することが好ましく、もしもその範囲を外れた量で使用すると、そのブリード防止の効果を得ることができないであろう。
【0030】
さらに、本発明のインクジェットインクでは、その粘度が20cp以下であることが好ましい。インクの粘度が20cpを上回ると、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりを生じたり、ノズルから吐出させる時に最良の状態でインク液滴を飛翔させることができないであろう。
以上、本発明でインクジェットインクとして用いられる水系分散インクを構成する必須成分について説明したけれども、本発明のインクジェットインクは、この技術分野において一般的に行われているように、必要に応じて任意の添加剤を含有することができる。適当な添加剤の一例として、例えば、pH調整剤あるいは緩衝剤、防錆剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、防カビ剤、蒸発促進剤、浸透剤、金属イオン封鎖キレート化剤などを挙げることができる。
【0031】
本発明のインクジェットインクの調製は、すなわち、微小着色樹脂粒子を水系媒体中に微分散せしめた水系分散インクを調製するプロセスは、微小着色樹脂粒子とその他の必要な成分を予め混合して、得られた混合物にさらに水を添加して混合する方法、すべてのインク形成性成分を一緒に混合して加熱する方法などに従って実施することができる。また、場合によって微小着色樹脂粒子に加えて粗大着色樹脂粒子(粒子径が1μmよりも大)が存在するかもしくはその可能性がある場合、インク化の際に沈殿が生成するのを回避するため、例えば、調製した水系分散体をポアサイズ0.8μmのメンブレンフィルタで濾過及び蒸留して、所望とする粒子径の微小着色樹脂粒子を所定の固形分濃度で含有する水分散体を得ることが推奨される。
【0032】
以上に説明したような水分散系インクを使用することにより、本発明方法及び装置では、耐目詰まり性及び噴射安定性に優れた印字が行え、色鮮やかで、高耐水性及び高耐光性の画像記録を得ることができる。
なお、参考までに記載すると、本発明の実施において、特に着色ポリエステル樹脂の微小粒子の形成は、例えば特開平4−296321号公報に記載の手法に従って実施してもよく、また、かかる微小着色樹脂粒子の水系媒体中における微分散とそれによるインクの調製は、例えば特開平7−97540号公報(先に引用した)及び特開平7−196965号公報に記載の手法に従って実施してもよい。
【0033】
本発明の実施において、インクジェットインクを使用して記録が付与されるべき記録媒体は、特に限定されないというものの、好ましくは記録紙である。適当な記録紙の一例を示すと、その製造原料によって多種多様であるけれども、乾式複写機等で広く用いられているいわゆる「普通紙」、再生紙、インクジェット記録用専用紙などを挙げることができる。
【0034】
本発明によるインクジェット記録方法は、基本的に、上記したような水系分散インクを使用して、従来より一般的に用いらているインクジェット記録方式、例えばピエゾ(圧電)方式、バブルジェット(BJ)方式などに準じて実施することができる。本発明方法は、特に、通常の手法に従って印字を行った後、特にその印字の直後、インク中に含まれる微小樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度まで印字部を加熱することによって定着を行うことを特徴とする。加熱温度は、いろいろなファクタによって変更可能であるというものの、通常、Tg上20℃前後以内の温度であることが好ましく、さらに好ましくはTg上5℃前後以内の温度である。印字部の加熱は、いろいろな形で行うことができるというものの、記録媒体を予熱又は加熱する形で行うのが好ましい。
【0035】
また、本発明によるインクジェット記録装置は、上記したような水系分散インクを収容した容器を含むインクカートリッジと、該インクカートリッジの容器からのインクを所望の記録パターンに従って記録媒体上に適用する手段とを含んで構成され,特に、装置の印字部を加熱するための加熱手段を装備していることを特徴とする。加熱手段は、いろいろな形態で装備することができるというものの、好ましくは、記録媒体を予熱又は加熱する手段として装備することができる。
ここで有利に使用することのできる加熱手段の具体的な例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、発熱体、例えば加熱ローラ、加熱シャフトなど、あるいは発光体、例えばキセノン光源、赤外光源など、を挙げることができる。これらの加熱手段を、印字部の適当な場所に任意に配置することができる。例えば、2個の加熱手段を記録媒体をサンドイッチするように対向して配置して、その際、媒体の裏面を印字面よりも低い温度で加熱するように構成することができる。また、このようにして加熱手段を配置する場合には、媒体の裏面の温度が水系分散インク中の微小樹脂粒子のガラス転移温度未満となるように加熱手段を配置するのが好ましい。加熱手段をこのような形態で配置した場合には、印字後の定着において、溶融したインクが印字面から媒体の内部に向かって過度に流れ込んでいくのを効果的に防止することができる。
【0036】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例についてさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことを理解されたい。なお、「部」は、特に断りのある場合を除いて「重量部」を表す。
例1
共重合ポリエステル樹脂(1)の調製:
下記の出発物質を用意した。
【0037】
ジメチルテレフタレート 290部
エチレングリコール 109部
ネオペンチルグリコール 180部
2−ジメチルアミノメチル,2−メチル−1,3−プロパンジオール15部
テトラブトキシチタネート 0.2部
温度計及び攪拌機を装備したオートクレーブに上記の出発物質を記載の量で装填し、エステル交換反応のため、150〜220℃の温度で180分間にわたって加熱した。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を徐々に低下させて30分後に10mmHgとし、この圧力の下で60分間にわたって反応を継続した。引き続いて、オートクレーブを窒素ガスでパージし、大気圧とした。分子量が3200でありかつイオン性基含有量が150eq/tonである共重合ポリエステル樹脂(1)が得られた。
例2
共重合ポリエステル樹脂(2)の調製:
下記の出発物質を用意した。
【0038】
ジメチルテレフタレート 130部
ジメチルイソフタレート 56部
5ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル 6部
エチレングリコール 159部
ネオペンチルグリコール 268部
テトラブトキシチタネート 0.1部
温度計及び攪拌機を装備したオートクレーブに上記の出発物質を記載の量で装填し、エステル交換反応のため、180〜230℃の温度で120分間にわたって加熱した。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を1〜10mmHgとし、この圧力の下で60分間にわたって反応を継続した。引き続いて、オートクレーブを窒素ガスでパージし、大気圧とした。分子量が3200でありかつイオン性基含有量が150eq/tonである共重合ポリエステル樹脂(2)が得られた。
例3
微小樹脂粒子(Y1)及び(Y2)の調製:
前記例1及び例2で調製した共重合ポリエステル樹脂(1)及び(2)を使用して、本発明で用いられるインクジェットインクの調製に使用する着色ポリエステル樹脂の微小粒子(微小樹脂粒子)を調製した。
【0039】
下記の成分:
共重合ポリエステル樹脂(1)又は(2) 100部
黄色染料(C.I. Solvent Yellow 162) 15部
メチルエチルケトン 175部
テトラヒドロフラン 175部
を入念に混合して溶解した。次いで、得られた溶液に600部の水を添加し、さらに混合を継続した。得られた混合物をポアサイズ0.8μmのメンブレンフィルタで濾過し、さらに蒸留した。固形分濃度40重量%の微小樹脂粒子の水分散体が得られた。この水分散体中に微分散せしめられている微小樹脂粒子は、約0.7μmの粒子径を有する、黄色に着色したポリエステル樹脂の微小粒子であった。なお、このようにして得られた微小樹脂粒子は、以下、その原料ポリエステル樹脂及び染料の色調に応じて、微小樹脂粒子(Y1)又は(Y2)と記すことにする。
例4
その他の色調の微小樹脂粒子の調製:
前記例3に記載の手法を繰り返した。しかし、本例では、黄色以外の色調の微小樹脂粒子を調製するため、色材として、黄色染料(C.I. Solvent Yellow 162) に代えて下記の表に記載の染料を同量で使用した。下記の表に略語で例示する微小樹脂粒子が得られた。
【0040】
Figure 0004553993
例5
インクジェットインクの調製:
前記例3で調製した微小樹脂粒子(Y1)の水分散体を、ノズル内の目詰まりを防止するための湿潤剤、グリセリン及び隣接した色間におけるインクの流れ出し(ブリード)を防止するためのノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと混合した。得られたインクジェットインク(YI1)において、不揮発分(樹脂粒子+染料)は15重量%、グリセリンは10重量%、ノニオン系界面活性剤は0.8重量%、そして残余は水であり、また、粘度は4cpであった。
【0041】
さらに、前記例3で調製した微小樹脂粒子(Y2)及び前記例4で調製した微小樹脂粒子(M1、M2、C1、C2、B1及びB2)を使用して、上記と同様にしてインクジェットインク(YI2、MI1、MI2、CI1、CI2、BI1及びBI2)を調製した。
例6
インクジェットインクの評価:
前記例5で調製したインクジェットインク(YI1)を使用して、(1)記録画像における光沢の有無及び(2)印字画質の2項目に関して印字試験を実施した。印字条件は、▲1▼印字の直後に行う加熱シャフトによる定着加熱の省略、▲2▼印字の直後、微小樹脂粒子(Y1)中で使用したポリエステル樹脂のガラス転移温度=60℃を下回る54℃に加熱した加熱シャフトによる定着加熱を併用、▲3▼印字の直後、微小樹脂粒子(Y1)中で使用したポリエステル樹脂のガラス転移温度=60℃に加熱した加熱シャフトによる定着加熱を併用、とした。なお、本例で使用したインクジェットインク記録装置は、図1に印字部を示す本発明によるインクジェットプリンタ10である。図示のプリンタ10の場合、記録媒体(ここでは、電子写真複写機で使用されている普通紙を使用)1は、ベイルローラ11で押さえられてプラテン12に巻き付けられており、矢印Aの方向に移動可能である。プラテン12と平行に設けられたステーシャフト13には、キャリッジ14が摺動自在に取り付けられていて、記録媒体1の表面にそってキャリッジ14が往復運動(矢印Bを参照されたい)可能である。キャリッジ14には、図示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(Bk)の液体インク(水系分散インク)を貯留した4個のインクカートリッジ1Y、1M、1C及び1Bkと、そのインクカートリッジから供給されるインクに圧力を加えてノズル(図示せず)から記録媒体1の記録面に向かってインクを噴出させる、前記インクカートリッジにそれぞれ対応する4個のインクジェットヘッド2Y、2M、2C及び2Bkが取り付けられている。インクカートリッジとインクジェットヘッドは、各色インク別に一体的に設けられていて、キャリッジ14に対して取り外し可能に固定されている。また、ベイルローラ11の前、すなわち、印字位置の直後の空間には、図示されるように、熱源を内蔵した加熱シャフト15が記録媒体1とは非接触で設けられている。図示のプリンタ10を運転すると、インクジェットヘッドのノズル(図示せず)から記録媒体1に向かってインク滴が吐出されて、所定のピッチのドットが記録媒体1上に形成される。そして、インク滴の吐出タイミング、キャリッジ14の横断方向の走査、さらに記録媒体1の垂直方向の走査により、記録媒体1にドットのパターンが形成されて、任意の文字や図形、自然画等を記録することができる。また、記録媒体1上で各色インクの付着量を制御することにより、各種の色を表現することができる。
【0042】
得られた印字試験の結果を下記の第1表に示す。なお、(1)記録画像における光沢の有無及び(2)印字画質とも、20人のパネラーによる肉眼による評価の結果をもとにしている。
Figure 0004553993
さらに、上記した印字試験を、前記例5で調製したその他のインクジェットインクを使用して繰り返したところ、第1表に記載した結果と同様な結果を得ることができた。すなわち、本発明によると、印字直後に記録紙を60℃に加熱して定着を行ったため、優れた光沢及び印字画質を得ることができた。
例7
インクジェットプリンタの変更(1):
前記例5で調製したインクジェットインク(YI1)を使用して、前記例6に記載の印字試験を繰り返した。本例では、図1に示したインクジェットプリンタに代えて、図2に示したインクジェットプリンタ、すなわち、加熱シャフト15に代えて赤外光の加熱ランプ16を装備したプリンタを使用した。印字条件は、前記例6と同一とした。本例でも、前記第1表に記載した結果と同様な結果を得ることができた。
インクジェットプリンタの変更(2):
熱効率及び印字品質をさらに向上させるため、図1に示したインクジェットプリンタの加熱機構を図3に示すインクジェットプリンタのように変更することも試みた。すなわち、図3のプリンタでは、記録紙を中心にして加熱シャフト15の反対側に、もう1本の加熱シャフト、補助加熱シャフト17(熱源内蔵)を配置した。また、図示の例では、省スペースのため、プラテン12を中空体として、その内部に加熱シャフト17を組み込んだ。
【0043】
図3のプリンタを使用した場合、記録紙の印字面よりも、その裏面のほうが温度が高いと、インクが溶融したまま記録紙にしみ込み、記録密度を低下させる可能性がある。このため、図示の補助加熱シャフトあるいはその他の補助加熱手段を用いての記録紙裏面からの加熱は、必ず印字面よりも低い温度、それも、使用するインク中に含まれる樹脂のガラス転移温度よりも低い温度で行うことが望ましい。このようにすることにより、印字面の光沢をさらに効率よく発現させることができる。
【0044】
また、裏面加熱を記録紙の予熱に利用すると、インクをすばやく乾燥させることができ、また、それにあわせて非浸透性のインク(界面活性剤を含まないインク)を使用すると、より記録密度の高い、鮮明でかつ光沢のある画質を得ることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明方法及び装置を使用して印字を行えば、インクが記録媒体にしみ込むことがなく、よって、記録画像に光沢を与え、印字品位を向上させることのできる。さらに、本発明によれば、ノズルの目詰まりが発生することがなく、装置が複雑化することもなく、また、装置コストが上昇することもない。さらにまた、本発明によれば、耐目詰まり性及び噴射安定性に優れた印字を行うことができ、また、色鮮やかでにじみがなく、耐水性及び耐光性に優れた記録画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインクジェット記録装置の印字部の好ましい1態様を示した斜視図である。
【図2】本発明によるインクジェット記録装置の印字部のもう1つの好ましい態様を示した斜視図である。
【図3】本発明によるインクジェット記録装置の印字部のさらにもう1つの好ましい態様を示した斜視図である。
【符号の説明】
1…記録媒体
10…インクジェット記録装置
11…ベイルローラ
12…プラテン
13…ステーシャフト
14…キャリッジ
15…加熱シャフト
16…加熱ランプ
17…補助加熱シャフト

Claims (6)

  1. 水系媒体と、該水系媒体中に微分散せしめられた、色材にて着色させた微小樹脂粒子とを含む水系分散インクを用いて印字を行うインクジェット記録方法であって、
    前記微小樹脂粒子は、20〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を含有するポリエステル樹脂で、その粒子径は1.0μm以下であり、
    記録媒体に印字する工程の直後において、前記記録媒体とは非接触に設けられた加熱手段により、印字面を前記微小樹脂粒子のガラス転移温度以上かつ該ガラス転移温度を5℃以上は超えない温度まで加熱された状態とするとともに、中空体からなるプラテンの内部に組み込まれた補助加熱手段により、前記印字面の裏面を前記印字面よりも低い温度で、しかも前記微小樹脂粒子のガラス転移温度未満の温度で加熱された状態とすることによって、前記記録媒体が前記プラテンに巻きついた状態で、定着を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記印字面及び前記裏面の加熱に先立って、記録媒体を加熱しておく工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記記録媒体を加熱しておく工程は、前記裏面を加熱することにより行われることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 水系媒体と、該水系媒体中に微分散せしめられた、色材にて着色された微小樹脂粒子とを含む水系分散インクを用いて印字を行うインクジェット記録装置であって、
    前記微小樹脂粒子は、20〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を含有するポリエステル樹脂で、その粒子径は1.0μm以下であり、
    記録媒体に印字した直後の着において、印字面を前記微小樹脂粒子のガラス転移温度以上かつ該ガラス転移温度を5℃以上は超えない温度まで加熱された状態とするため前記記録媒体とは非接触に設けられた加熱手段と、前記印字面の裏面を前記加熱手段よりも低い温度で、しかも前記微小樹脂粒子のガラス転移温度未満の温度で加熱するため中空体からなるプラテンの内部に組み込まれた補助加熱手段とを装備し、前記プラテンに前記記録媒体を巻き付けた状態で定着することを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記印字面および前記裏面の加熱に先立って記録媒体を加熱しておく手段を装備していることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記補助加熱手段を、前記印字面および前記裏面の加熱に先立って記録媒体を加熱しておく手段として用いることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
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