JPH08259869A - 水性インクセット、これを用いたインクジェット記録方法及び機器 - Google Patents

水性インクセット、これを用いたインクジェット記録方法及び機器

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JPH08259869A
JPH08259869A JP9191995A JP9191995A JPH08259869A JP H08259869 A JPH08259869 A JP H08259869A JP 9191995 A JP9191995 A JP 9191995A JP 9191995 A JP9191995 A JP 9191995A JP H08259869 A JPH08259869 A JP H08259869A
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ink
recording
water
fine particles
polymer
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JP9191995A
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Isao Kimura
勲 木村
Hiroyuki Maeda
浩行 前田
Hidemi Kubota
秀美 久保田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録ドットの発色性等の記録特性を低下させ
ることなく、普通紙記録におけるカラーブリーディング
を解消し、記録ドットのエッジをよりシャープにし、且
つ高品位な記録画像を得ることが出来る水性インクセッ
ト、これを用いたインクジェット記録方法及び機器類の
提供。 【構成】 色材と液媒体とを含む液組成物からなる色相
が異なるインクを少なくとも2種類含む水性インクセッ
トにおいて、液媒体に不溶性の微粒子を含み、少なくと
も1色のインク中にポリアクリル酸又はポリメタクリル
酸が含まれ、且つ他の色のインク中に該ポリアクリル酸
又はポリメタクリル酸と混合されてゲルが生成される高
分子材料が含まれていることを特徴とする水性インクセ
ット、これを用いたインクジェット記録方法及び機器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを吐出口(オリ
フィス)から小液滴として吐出、飛翔させ、この小液滴
を被記録材表面へ付着させて記録を行なうインクジェッ
ト記録において使用し、記録ドットのエッジをよりシャ
ープにする水性インクセットに関し、特に、カラーブリ
ーディングを実質的に解消した優れた水性インクセッ
ト、これを用いたインクジェット記録方法及び機器に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録用のイン
クとしては、安全性及び臭気等の面から水性インクが主
流であり、インクジェット用インクとしては、各種の水
溶性染料や顔料を、水又は水と水溶性有機溶媒に溶解又
は分散させ、更に必要に応じて、保湿剤、染料溶解助剤
及び防かび剤等を添加したインクが知られている。又、
インクジェット記録は、インクを毎秒数千滴以上のイン
ク滴を吐出することが可能であり、高速記録が容易であ
ること、騒音が少ないこと、カラー化が容易であるこ
と、高解像度化が可能であること、普通紙記録が可能で
あること等の多くの長所を持っており、数年来普及が目
覚ましい。更に、近年パソコンの低価格化、高性能化及
びGUI環境の標準化により、プリンター等の画像記録
も、高発色、高品位、高堅牢性、高解像度記録及び高速
記録の要求が高まり、記録ドットのエッジを鮮明にし、
特に、混色滲み(ブリーディング)を少なくするという
技術手段が提案されつつある。
【0003】従来より知られているブリーディングを抑
制する手段としては、下記に挙げる種々の方法がある。
先ず、第1の例として、米国特許5181045号明細
書には、2色の境界部で混色させることによって、酸−
アルカリ反応により染料を折出させ、ブリードを防止す
る方法が開示されている。具体的には、インクの1色の
色材にpHによって溶解度が異なる染料を用い、例えば
これをアルカリ性にしておき、他の1色を、該染料が折
出する様な酸性のpHにしておき、紙面上で2色のイン
ク滴が接触した際にこれらのインクの境界部で染料が折
出させることによって、ブリーディングが抑えられると
いうものである。
【0004】又、第2の例として、米国特許51980
23号明細書に、黒のアニオン染料インクと黄色のカチ
オン染料インクとを、塩化カルシウム等の金属塩により
沈澱させる方法が開示されている。これは、カラーブリ
ードが特に黒色と黄色間で顕著に目立つことから、黄色
インクにカチオン染料に加え、沈澱剤として金属塩を含
有させておくことによって異色インクの境界でのブリー
ドを減少させる手法である。
【0005】更に、第3の例として、米国特許5211
747号明細書には、高速定着、フェザリング及びブリ
ーディングの防止手段として、水又はアルコール可溶の
糊抜き剤(ポリオキシアルキレン誘導体、親水性ポリジ
メチルシロキサン及び脂肪族イミダゾリン誘導体等)を
インク中に添加しておくことにより、インクを紙へ高速
に浸透させて前記課題を解決することが開示されてい
る。ここで、該糊抜き剤は紙のサイズ度を下げる働きが
あるとしている。
【0006】一方、第4の例として、特開平5−194
884号公報には、高分子コロイドとCMC(臨界ミセ
ル濃度)以上の界面活性剤を含み、CMC以上の界面活
性剤の添加により形成されるミセルへの染料の吸着作用
と高分子コロイドの会合による染料分子の吸着効果によ
り、ブリーディングを抑制することが開示されている。
【0007】又、第5の例として、M.Crouchr
eらは、従来の均一系インクの問題点を指摘すると共
に、将来のインクジェット用インクとして、ラテックス
を利用した不均一系のインクを提案している(M.D.Crou
chre and M.L.Hair ; Ind.Eng.Chem.Res.1989,28,1712-
1718 "Design Criteria and Future Directions in Ink
jet Ink Technology")。
【0008】更に、第6の例として、米国特許4246
154号明細書には、染料で着色したビニルポリマーの
微粒子をアニオン的に安定化させたインクが開示されて
いる。又、米国特許4680332号明細書には、油溶
性染料を含み、非イオン性安定剤が結合した水不溶性ポ
リマーを液媒体に分散させた不均一インクが開示されて
いる。更に、米国特許5100471号明細書には、溶
剤と、ポリマーコアと染料とが共有結合したシリカシェ
ルからなる着色粒子とからなる水性インクが提案されて
いる。該インクは、記録紙上でより鮮明な色が形成され
ること、温度に安定なこと、画像の耐水性が高いこと等
の特徴を有している。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、上
記第1に挙げた例では、染料の沈澱生成によりブリーデ
ィグを抑制している為、沈澱がインク滴中に浮遊してし
まい、ブリーディグ抑制の効果は少ない。又、第2に挙
げた例では、インク中に塩化カルシウム等の金属塩が含
有されている為、熱インクジェット記録方法では熱発生
部表面にコゲーションを生成し、記録特性が低下すると
いう問題がある。
【0010】第3に挙げた例は、紙のサイズ度を下げる
ことによって、高速定着、フェザリング及びブリーディ
ングを抑制する方法である為、インク滴の紙への浸透が
過大となり発色性に劣るという問題がある。更に、第4
に挙げた例では、CMC以上の界面活性剤を用いる為、
定着時間は短縮されるものの、第3の例と同様に紙への
インクの浸透量が大きくなり、発色性が劣るという問題
がある。
【0011】又、第5に挙げた例では、インクに微粒子
を添加しただけであるので、単色での効果は得られるも
のの、カラー記録においてはブリーディングが発生す
る。更に、被記録材への格別な付着力がないので画像の
堅牢性に劣るという問題もある。又、アニオン的に安定
化させたものでは、安定分散するpH領域が狭く、染料
の選択範囲が小さいという問題もある。又、記録ドット
の紙上での広がりが小さく、必要な光学濃度(O.D.)
が得にくいという欠点もある。又、高速記録に必要な定
着時間の短縮という点では、従来の画像形成手段と同様
に、定着が蒸発及び浸透にのみ依存している為、効果が
少ない。
【0012】又、第6に挙げた例では、油溶性染料を含
み、非イオン性安定剤が結合したポリマーを分散させた
インクでは、染料の選択範囲が拡大するものの、上記と
同様に蒸発と浸透に依存する定着機構によるものである
から、定着時間の短縮には効果が少ないという問題があ
る。又、異なるカラー間の混色(ブリード)についても
隣接ドット間で定着に時間がかかる為、不利である。更
に、別の例であるポリマーコア/シリカシェル構造の分
散インクでは、顔料の分散安定性という点では優れてい
るが、色材の紙表面での凝集に特別の手段を持たない
為、画像濃度が充分ではないという問題がある。又、上
記と同様に、蒸発と浸透に依存する定着機構によるもの
であるから、定着時間の短縮には効果が少なく、ブリー
ディングの問題がある。
【0013】従って、本発明の目的は、記録ドットの発
色性等の記録特性を低下させることなく、普通紙記録に
おけるカラーブリーディングを解消し、記録ドットのエ
ッジをよりシャープにし、且つ高品位な記録画像を得る
ことが出来る水性インクセット、これを用いたインクジ
ェット記録方法及び機器類を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、色材と液媒
体とを含む液組成物からなる色相が異なるインクを少な
くとも2種類含む水性インクセットにおいて、液媒体に
不溶性の微粒子を含み、少なくとも1色のインク中にポ
リアクリル酸又はポリメタクリル酸が含まれ、且つ他の
色のインク中に該ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸
と混合されてゲルが生成される高分子材料が含まれてい
ることを特徴とする水性インクセット、これを用いたイ
ンクジェット記録方法及び機器である。
【0015】
【作用】本発明で用いるポリアクリル酸又はポリメタク
リル酸(以下、ポリ(メタ)アクリル酸と略記する)
は、弱解離のアニオン性基であるカルボン酸を含有する
水溶性高分子であり、これらの高分子材料は、他の水溶
性高分子材料と反応してゲルを生成する。この場合の反
応は、多官能基化合物である高分子同士の反応である
為、生成する物質が高分子鎖の架橋を伴うという特徴が
ある。得られる架橋物は場合によっては繊維状のゲルに
なったり、極めて増粘したりする。更にこれに液媒体に
対し不溶性の微粒子を添加しておけば、繊維状物質中に
無数の微粒子が凝集することになる。本発明者らは、従
来技術の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、上記の反
応が画像の定着性を高めインクのブリーディング防止手
段として、更には、記録ドットのエッジをシャープにす
る手段として極めて有効であることを知見して本発明を
完成した。
【0016】
【好ましい実施態様】以下、本発明の好ましい実施態様
を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の水性インク
セットは、色材と液媒体とを含む液組成物からなる色相
が異なるインクを少なくとも2種類含む水性インクセッ
トであって、液媒体に対して不溶性の微粒子を含み、少
なくとも1色のインク中にポリアクリル酸又はポリメタ
クリル酸が含まれ、且つ他の色のインク中に該ポリアク
リル酸又はポリメタクリル酸と混合されてゲルが生成さ
れる高分子材料が含まれていることを特徴とする。
【0017】本発明で用いるポリ(メタ)アクリル酸
は、上記した様に、弱解離のアニオン性基であるカルボ
ン酸を含有する水溶性高分子であるが、本発明において
は、分子量2,000〜100,000程度のものを使
用するのが好ましい。勿論、本発明は、何らこれに限定
されるものではない。これらの高分子材料は、他の水溶
性高分子材料と反応してゲルを生成する。この場合の反
応は、多官能基化合物である高分子同士の反応である
為、生成する物質が高分子鎖の架橋を伴い、得られる架
橋物は場合によっては繊維状のゲルとなる。本発明で
は、インク中に、液媒体に対して不溶性の微粒子が添加
されている為、この繊維状物質中に無数の微粒子が凝集
する。この結果、記録ドットのエッジがシャープにな
り、ゲル化が促進されて画像の定着性が高まる。
【0018】本発明で使用する微粒子としては、液媒体
に不溶性の微粒子であればいずれのものも好ましく用い
られるが、好ましくは、シリコーン変性アクリル酸エス
テル系のコロイダルディスパーション微粒子等の造膜性
のあるもの、より好ましくは、微粒子表面に反応性基を
導入した表面変性可能なコア/シェル構造の微粒子を用
いるのが好ましい。即ち、微粒子表面に反応性基を導入
し表面変性可能なコア/シェル構造とすることによっ
て、他の少なくとも1色のインク中に含有される高分子
と結合性を有し、ゲル化と微粒子の凝集とをドット境界
で促進させ、ブリーディングを一層防止することが可能
となる。又、被記録材へ定着させた後に、適度な付着力
を与えることが可能である為、記録画像の堅牢性を発揮
させることが出来る。
【0019】コア/シェル構造の微粒子の具体的なもの
としては、コアがスチレン・ジビニルベンゼン等の高架
橋度を有するポリマーで、シェルが表面変性可能な構造
を有する有機微粒子からなるものがある。表面変性する
ことにより、後述する高分子化合物に対して結合性を有
する反応性基の導入が可能になる。この際の反応性基と
しては、イオン性基、環状構造基、多重結合含有基等が
挙げられ、具体的には、カルボキシル基、水酸基、アミ
ノ基、エポキシ基、アミド基、ヒドロキシメチル基、イ
ソシアネート基及び酸無水物等が有用である。又、本発
明で使用する微粒子の粒子径は出来るだけ小さいものが
好ましいが、あまり小さくなり過ぎると粒子同士の凝集
が避けられなくなる。そこで、本発明で用いる微粒子の
好適な粒子径としては、直径が15〜100nm程度の
ものを用いる。100nm以上では分散安定性が低下
し、インクの保存性に問題が生じるので好ましくない。
【0020】本発明で使用されるポリ(メタ)アクリル
酸と混合されてゲルを生成する高分子材料としては、分
子構造中に、親水性の水酸基、エーテル酸素、アミド
基、エステル基等を有する材料を広範に使用することが
可能である。この様な高分子材料として、特に、ポリエ
チレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエ
チレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合
体、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイ
ド−ポリエチレンオキサイド共重合体、ポリアクリルア
ミド、ポリ−N−アルキルアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルア
ルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、メ
チルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等が、
本発明において好適に用いられる。
【0021】本発明の水性インクセットを使用した場合
におけるブリーディング防止機構について以下に具体的
に説明する。先ず、黒色インク(色B)として、コア/
シェル微粒子分散液(コア:スチレン・ジビニルベンゼ
ン、シェル:水酸基変性;粒子径18nm)が5%、分
子量20,000のポリエチレンオキサイドが10%溶
解されたものに、黒色染料を加えたものを用い、黄色イ
ンク(色A)として、シリコーン/アクリル酸エステル
分散液(コロイダルディスパーション:粒子径38n
m)5%と、分子量60,000のポリメタクリル酸が
10%溶解されたものに、黄色染料を加えたものを夫々
調製する。このインクを、典型的なインクジェットカラ
ープリンタ(キヤノン製BJC−600)に充填し、図
7に示す様なブリーディングテストパターンをゼロック
ス4024紙へ記録する。図中に点線で示した様に、ブ
リーディングのレベルを5段階に分けて、2色境界部
(矢印の線)から混色滲みがどの線の位置まで発生する
かを観察し、これをブリーディングのレベルとして5段
階評価した。評価基準としては、境界線から1ドットラ
イン以内でブリーディングが止まっている場合を5と
し、以下どのラインまでブリーディングが発生したかに
より、4、3、2、1と評価する。
【0022】その結果、本発明のインクを使用した場合
の記録画像について評価すると、ランク4〜5で、目視
ではブリーディングが確認しづらかった。又、2色の境
界部を拡大して観察すると、高分子材料同士の反応によ
って繊維状のゲルが生成されており、該繊維状物質中に
無数の微粒子が凝集してブリーディングが抑制されてい
た。又、記録速度を更に上げても、高分子材料同士の反
応である為、部分的な反応であっても高分子全体のみか
けの分子量増大による増粘効果で充分ブリーディングは
抑制されることが判明した。
【0023】そこで、本発明者らは、上記のポエチレン
オキサイド以外に、ポリ(メタ)アクリル酸と混合して
ゲル化する水溶性高分子について種々検討を行った。そ
の結果、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキ
サイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチ
レンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドポリエチレ
ンオキサイド共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ−N
−アルキルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポ
リビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルアミ
ン、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース
等多くの高分子材料も同様にゲル化することを見い出し
た。
【0024】これらいずれの水溶性高分子も、ブリーデ
ィング防止の為にはある程度分子量が大きい方が効果が
高い。一方、インクジェット記録用インクではインク粘
度に制限があり、粘度が20mPa・s以下であること
が望ましい為、上記の高分子材料の添加量にはおのずか
ら上限がある。即ち、本発明で使用される水溶性高分子
の分子量は、好ましくは、2,000以上、より好まし
くは、20,000以上のものを用い、又、この様な高
分子材料のインク中への添加量を、0.01〜20wt
%とするのが好ましい。尚、上記した様な種々の高分子
材料は、単独で用いても混合して用いても効果は変わら
ない。又、本発明のインクに用いられるポリ(メタ)ア
クリル酸の分子量は、等モル混合として組み合わせた場
合、水溶性高分子の分子量の30倍以下となる様にする
のが好ましい。
【0025】本発明の水性インクの構成成分として使用
することの出来る色材としては、アニオン性の色素イオ
ンを形成する染料が好ましく、例えば、直接染料、酸性
染料及び反応性染料等が好適である。具体的には、C.I.
Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Dire
ct Black 62、C.I.Direct Black 154、IJA26
0、IJA286、C.I.Food Black 2、C.I.Reactive
Black 5、USP−5,053,495に記載の染料等
のブラック染料、C.I.Direct Yellow 11、C.I.Direct
Yellow 44、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Y
ellow 142、C.I.Reactive Yellow 2等のイエロー染
料、C.I.Direct Red 227、C.I.Direct Red 52、I
JR−016、C.I.45100等のマゼンダ染料及びC.
I.Acid Blue 15、C.I.Direct Blue 199、C.I.42
090、C.I.Acid Blue 9、C.I.Reactive Blue 5等の
シアン染料を挙げることが出来る。これらの染料以外で
も、可溶化基を減らして耐水性を高めたもの、溶解度を
pHの変化に対して敏感にした特殊なグレードのもの
等、いずれも本発明で使用することが可能である。
【0026】又、顔料も本発明の効果に影響を与えない
ので使用され得る。即ち、カーボンブラック(三菱化成
製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、N
o.40、No.45、No.52、MA7、MA8、#220
0B、MA−100、コロンビヤカーボン社製のRaven
1255、Raven1060、キャボット社製のRega1 3
30R、Rega1 660R、Mogul L、DEGUSSA社
製のColor Black FW18、Printex 35、Printex U
等)、カーボンブラックの表面を酸化処理、或いはプラ
ズマ処理したもの、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フ
タロシアニン系顔料、イソインドリノン系高級顔料、キ
ナクリドン系高級顔料、ジオキサンバイオレット、ペリ
ノン・ペリレン系高級顔料等の有機顔料、更に、群青
(ウルトラマリン)、紺青(プルシアンブルー)、チタ
ニウムイエロー、モリブデンレッド等の無機顔料を使用
することが出来る。更に、上記顔料に分類される色材材
料である染料を体質顔料に染めつけた、所謂、染色レー
キも本発明の水性インクを構成する色材として使用可能
である。
【0027】以上の様な構成の本発明の水性インクに
は、信頼性及び保存安定性等、より優れたインクジェッ
ト記録適性を付与する為に、次に挙げる様な、保湿剤、
或いは溶解助剤を含有させてもよい。この様な材料とし
て、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2,4−
ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
ール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエレン
グリコール200、ジプロピレングリコール、2,2’
−チオジエタノール、1,2,6−ヘキサントリオール
等のアルキレングリコール類、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコ
ールアミン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−
プロパンスルトン等の非プロトン性極性溶媒、1,2−
ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2
−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールジブチルエーテル、2−メトキシエタ
ノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメト
キシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1−
メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロ
パノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエ
ーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、
ホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
リドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ソルビト
ール、ソルビット、ウレア、1,3−ビス(β−ヒドロ
キシエチル)ウレア等が挙げられる。
【0028】これらの添加剤のインク中における含有量
は、インク全重量の1〜30%の範囲とするのが好まし
い。又、メタノール、エタノール、プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のア
ルキルアルコールを含有させると吐出性が向上し更に効
果的である。これらのアルコール類は、インク全重量の
1〜10%の範囲で含有させることが好ましい。本発明
においては、更に必要に応じて、界面活性剤、pH調整
剤、防錆剤、防かび剤及び酸化防止剤等の添加剤をイン
ク中に含有させることも可能である。
【0029】以上の様に本発明のインクは、インクジェ
ット記録に用いられる際、優れた効果が発揮される。本
発明で使用するインクジェット記録方法としては、所期
の目的を達成し得ればいずれのものでもよいが、例え
ば、インクに力学的エネルギーを作用させ液滴を吐出す
る記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインク
の発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、これら
のインクジェット記録方法に本発明のインクを使用する
のが特に好適である。
【0030】上記の記録方法のうち、先ず、第一に、熱
エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部
であるヘッドの構成例を、図1及び図2に示す。図1
は、インク流路に沿ったヘッドの断面図であるが、これ
について以下に説明する。ヘッド1は、インクを通す流
路(ノズル)2を有するガラス、セラミック、シリコン
又はプラスチック板等と、発熱素子基板3とを接着して
得られる。該発熱素子基板3は、酸化シリコン、窒化シ
リコン及び炭化シリコン等で形成される保護層4、アル
ミニウム、金及びアルミニウム−銅合金等で形成される
電極5、HfB2、TaN 及びTaAl等の高融点材料で形成され
る発熱抵抗体層6、熱酸化シリコン又は酸化アルミニウ
ム等で形成される蓄熱層7、及び、シリコン、アルミニ
ウム又は窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成
される基板8より構成されている。
【0031】上記の様な構成を有するヘッド1の電極5
にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板3
の、hで示される領域が急速に発熱する為、この表面に
接しているインクに気泡が発生し、その発生する圧力で
メニスカス10が突出し、インクがヘッド1のノズル2
を通して吐出し、オリフィス11より球状の記録小液滴
12となり、被記録材13に向かって飛翔する。図2
に、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの外
観図を示す。尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド断
面図である。
【0032】図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワ
イピング部材としてのブレードであり、その一端はブレ
ード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチ
レバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッド65
による記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッド
65の移動経路中に突出した形態で保持される。又、6
2は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレ
ード61に隣接するホームポジションに配設され、記録
ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク
吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。
更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク
吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の
移動経路中に突出した形態で保持される。
【0033】上記ブレード61、キャップ62及びイン
ク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレ
ード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面
の水分、塵挨等の除去が行われる。65は吐出エネルギ
ー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する
被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、6
6は記録ヘッド65を搭載してその移動を行う為のキャ
リッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可
能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によ
って駆動されるベルト69と接続(不図示)している。
これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動
が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその
隣接した領域の移動が可能となる。
【0034】51は被記録材を挿入する為の給紙部、5
2は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーで
ある。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面
と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行する
につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙され
る。
【0035】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキ
ャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避してい
るが、ブレード61は移動経路中に突出している。この
結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接して
キャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの
移動経路中に突出する様に移動する。
【0036】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホ
ームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ば
かりでなく、記録ヘッド65が記録の為に記録領域を移
動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジ
ションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行
われる。
【0037】図4は、ヘッドにインク供給部材、例え
ば、チューブを介して供給されるインクを収容したイン
クカートリッジ45の一例を示す図である。ここで、4
0は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、イ
ンク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられ
ている。この栓42に針(不図示)を挿入することによ
り、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならし
める。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
インク収容部としては、インクとの接液面がポリオレフ
ィン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明
にとって好ましい。
【0038】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、上記の如きヘッドとインクカートリッジと
が別体となったものに限らず、図5に示す如きそれらが
一体になったものにも好適に用いられる。図5におい
て、70は記録ユニットであって、この中にはインクを
収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納さ
れており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリ
フィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出さ
れる構成になっている。
【0039】インク吸収体の材料としては、ポリウレタ
ンを用いることが本発明にとって好ましい。又、インク
吸収体を用いずに、インク収容部が内部にバネ等を仕込
んだインク袋である様な構造であってもよい。72は記
録ユニット内部を大気に連通させる為の大気連通口であ
る。この記録ユニット70は、図2に示す記録ヘッドに
代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し
着脱自在になっている。
【0040】次に、本発明で使用するインクジェット記
録装置の第2のものとしては、複数のノズルを有するノ
ズル形成基板と、ノズルに対向して配置された圧電材料
と導電材料とからなる圧力発生素子と、該圧力発生素子
の周囲を満たすインクを備え、且つ印加電圧により圧力
発生素子を変位させてインクの小液滴をノズルから吐出
させる形態のオンデマンドインクジェット記録ヘッドを
有する装置を挙げることが出来る。
【0041】上記の様な記録装置の主要部である記録ヘ
ッドの構成例を図6に示したが、ヘッドは、インク室
(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積の
インク滴を吐出する為のオリフィスプレート81と、イ
ンクに直接圧力を作用させる振動板82と、該振動板8
2に接合され電気信号により変位する圧電素子83と、
これらの圧電素子83、オリフィスプレート81及び振
動板82等を支持固定する為の基体84とから構成され
ている。図6において、インク流路80は感光性樹脂等
で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、
ニッケル等の金属に電鋳或いはプレス加工による穴あけ
等により設けられた吐出口85が形成され、振動板82
は、ステンレス、ニッケル及びチタン等の金属フィル
ム、或いは高弾性樹脂フィルム等で形成されており、圧
電素子83は、チタン酸バリウム又はPZT等の誘電体
材料で形成されている。
【0042】以上の様な構成の記録ヘッドは、圧電素子
83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そ
のエネルギーが圧電素子に接合された振動板82を変形
させてインク流路内のインクを垂直に加圧し、インク滴
をオリフィスプレートの吐出口85より吐出、記録を行
なう様に動作する。かかる記録ヘッドは、図3に示した
ものと同様な記録装置に組み込まれて使用される。又、
記録装置の細部の動作は前述したと同様に行なうもので
差しつかえない。
【0043】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。尚、表中のインク組成は、特に断
わりがない限り重量%である。ポリ(メタ)アクリル酸
等の高分子化合物は、適切な濃度(5〜20%)の水溶
液として予め作成しておき、この水溶液に微粒子分散液
を所定量加え、4時間以上充分に攪拌して高分子/微粒
子分散液とした。次に、色材に染料を用いる場合は、こ
の様にして作製した高分子/微粒子分散液に、染料水溶
液、保湿剤及び溶解助剤を順次添加し、必要に応じて界
面活性剤、pH調整剤等の添加剤を加えるのが好まし
い。又、色材に顔料を用いる場合は、予め所定の顔料を
適切な分散剤水溶液に分散し、この分散液を上記の高分
子/微粒子分散液に加え、必要に応じて保湿剤及び溶解
助剤を添加するのが好ましい。表1に、本発明のインク
に使用し得る高分子材料の名称/入手先、分子量を記載
した。又、微粒子分散液の性状を表2に示す。
【0044】 表1 実施例及び比較例で使用した高分子材料
【0045】 表2:実施例で使用する微粒子分散液の性質 ※製造元はすべて日本合成ゴム株式会社
【0046】実施例1〜12 次に、表1に示した高分子材料と、表2に示す微粒子分
散液を用いて、表3〜表4に示した組成からなる各種黒
色インクBk1〜Bk12、及び表3に示した組成から
なる黄色インクY1及びY2を夫々作製した。そして、
これらのインクを組み合わせて使用して、実施例1〜実
施例12のインクセットを夫々作製した。各インクの作
製方法としては、表3に示した組成となる様に各成分を
混合して6時間攪拌後、0.45μmのメンブレンフィ
ルターにて吸引濾過し、実施例1〜実施例12で使用す
るインクを夫々作製した。
【0047】 表3 実施例で使用する黒色インクの組成成分 *:FB2は、C.I.Food Black 2染料
の略号。 **:カーボンブラックは、三菱化成(株)製 MA−1
00使用。 ***:スチレン−マレイン酸ポリマーは、顔料分散剤で
あり、酸価70、分子量50,000使用。 ****:アセチレノール100は、川研ファインケミカル
(株)製の界面活性剤。 尚、微粒子の添加量は分散液としての添加量であり、ポ
リマーの添加量は固形分としての添加量である。
【0048】表4 実施例で使用する黄色インクの組成 *:DY86は、C.I.Direct Yelllow 86染料の略号。 **:DY142は、C.I.Direct Yelllow 142染料の
略号。 尚、微粒子の添加量は分散液としての添加量であり、ポ
リマーの添加量は固形分としての添加量である。
【0049】比較例1〜比較例4 比較例として、本発明のインクを構成する特定の高分子
材料及び微粒子を含有しない、表5の組成を有する比較
例で使用する黒色インクRefl〜Ref4及び黄色イ
ンクRef5を作製した。そして、これらのインクを組
み合わせて使用して比較例1〜比較例5のインクセット
を夫々作製した。これらのインクセットを使用して、後
述する評価項目についてインクとしての性能評価を行っ
た。
【0050】 表5:比較例のインクセットについて評価結果
【0051】
【評価】上記で得られた本発明の実施例1〜実施例12
のインクセット、及び比較例1〜比較例5のインクセッ
トの各々について、性能評価を行なった。インクの性能
評価項目としては、ブリーディング、光学濃度(O
D値)及びフェザリング3項目とした。いずれの評価
も、評価試験を温度23℃湿度60%の恒温試験室で行
なった。又、記録装置としては、キヤノン(株)製BJ
C−600(解像度360dpi)を使用した。インク
の供給は、夫々の専用インク容器に目的のインクを充填
する方法を用いて行った。以下に各評価の方法及び評価
基準について具体的に説明する。
【0052】 ブリーディング 図8に示した様な評価パターンを用意し、矢印の線で示
した2色境界部から混色滲みがどの線の位置まで発生す
るかをブリーディングのレベルとし、ブリーディングを
5段階で評価した。即ち、境界線から1ドットライン以
内でブリーディングが止まっている場合を5とし、以下
どのラインまでブリーディングが発生したかにより、評
価を4、3、2、1とした。図8に示す様に、評価パタ
ーンは、A部はカラー地(例えば、本発明の実施例及び
比較例では黄色地)B部は黒字パターンであり、2色の
境界を矢印の線で示し、1ドットライン/1ドットスペ
ースの間隔で破線で5ラインの記録がしてある。尚、こ
の際、記録用紙は、Xerox4024紙(LotN
o.P435−309−T03−AB)、NP−SK紙
(LotNo.OKK107)を使用した。
【0053】 光学濃度(OD値) A4サイズの用紙に、10mm四方の正方形のベタ部が
5箇所あるパターンをプリントし、30分間以上経過後
のプリントサンプルについて光学濃度の測定を行なっ
た。プリント画像内の5箇所のベタ部の濃度を、マクベ
ス反射濃度計RD914にて測定し、その平均値をOD
値とした。この際に使用した用紙は、評価項目のブリ
ーディングの場合で使用したのと同じである。尚、この
際、記録用紙は、NP−SK紙(LotNo.OKK1
07)を使用した。
【0054】 フェザリング A4用紙(NP−SK紙)に36文字×30行からなる
漢字を黒色インクで記録し、記録文書のエッジの尖鋭性
を目視にて5段階で官能評価した。最高ランクを5と
し、ランク5の基準用として、上記の評価用の文章と同
じ書体で同じ用紙にレーザービームプリンタ(キヤノン
(株)製LBP−A404E)を用いて記録したものを
用意した。評価はランク数で行い、記録文字のエッジが
シャープであり、LBPで記録したものと判別できない
ものを5とし、以下尖鋭性が劣るに従い、4、3、2、
1と評価した。
【0055】評価結果 評価項目のブリーディング及びの光学濃度について
の評価結果を表6に、評価項目のフェザリングについ
ての結果を表7に示した。
【0056】 表6:評価結果(画像濃度、及びブリーディング) 表7 評価結果(フェザリング)
【0057】表6の結果により、本発明の実施例のイン
クはブリーディング抑制に優れた効果を示し、2色の境
界は従来と比較して極めてシャープな画像と認識される
レベルにあった。又、表6の光学濃度測定結果において
も、本発明のインクは微粒子とポリマーを添加してある
為、過度の紙へのインク浸透が少なく、従来例より濃度
が高い傾向にあることが判明した。
【0058】更に、表7に示したフェザリング評価結果
では、いずれも記録ドットエッジでの不溶なインクの浸
透が抑制されて、記録画像のエッジがシャープであり、
従来インクを格段に上回っていた。尚、黒色インクBk
11及びBk12は色材に顔料を使用している為、記録
紙へのインク浸透が染料インクより遅く、ブリーディン
グ抑制が染料の場合より少し劣ると考えられる。但し、
事実上いずれのインクも記録画像の品位は問題になるレ
ベルではなかった。
【0059】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、高品
位・高解像度記録の実現の為にブリーディングを満足出
来るレベルまでに防止し、尚且つ、発色性も従来のイン
クによるものよりも優れ、更に、記録画像のエッジのシ
ャープさがもたらされた。本発明のインクセットは、水
性インクである為、特に、インクジェット記録装置と組
み合わせて使用することによって効果がより顕著に発揮
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面
図である。
【図2】インクジェット記録装置の複数のノズルを有す
るヘッド部の一例。
【図3】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図4】インクカートリッジの一例を示す縦断面図であ
る。
【図5】インクジェット記録ヘッドとインクカートリッ
ジが一体である仕様の斜視図である。
【図6】圧電素子を用いたインクジェット記録ヘッドの
縦断面図である。
【図7】ブリーディング評価用画像パターンである。
【符号の説明】
1:ヘッド 2:インクを通す流路(ノズル) 3:発熱素子基板 4:保護層 5:電極 6:発熱抵抗体層 7:蓄熱層 8:基板 10:メニスカス 11:オリフィス(微細孔) 12:インク小滴 13:被記録材 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ワイピング部材 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:インクジェット記録ヘッド 66:キャリッジ 67:キャリッジガイド軸 68:キャリッジ駆動部 69:駆動用ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口 80:インク流路 81:オリフィスプレート 82:振動板 83:圧電素子 84:基体 85:吐出口

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材と液媒体とを含む液組成物からなる
    色相が異なるインクを少なくとも2種類含む水性インク
    セットにおいて、液媒体に対し不溶性の微粒子を含み、
    少なくとも1色のインク中にポリアクリル酸又はポリメ
    タクリル酸が含まれ、且つ他の色のインク中に該ポリア
    クリル酸又はポリメタクリル酸と混合されてゲルが生成
    される高分子材料が含まれていることを特徴とする水性
    インクセット。
  2. 【請求項2】 高分子材料が、ポリエチレンオキサイ
    ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイ
    ド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチレン
    オキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレン
    オキサイド共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ−N−
    アルキルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ
    ビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリ酢
    酸ビニル、ポリビニルアセタール、メチルセルロース及
    びヒドロキシアルキルセルロースの中から選択される1
    種類以上の水溶性高分子化合物を含む材料である請求項
    1に記載の水性インクセット。
  3. 【請求項3】 ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸、
    及びゲルを生成する高分子化合物のインク中における含
    有量が0.01〜20wt%である請求項1に記載の水
    性インクセット。
  4. 【請求項4】 微粒子がコア/シェル構造を有し、且つ
    コアが高架橋度のポリマーであり、シェルが表面変性可
    能な構造の有機微粒子である請求項1に記載の水性イン
    クセット。
  5. 【請求項5】 微粒子がシリコーン変性アクリル酸エス
    テル系のポリマーであり、且つ該ポリマーがコロイド分
    散されている請求項1に記載の水性インクセット。
  6. 【請求項6】 有機微粒子の直径が15〜100nmで
    ある請求項4又は請求項5に記載の水性インクセット。
  7. 【請求項7】 色材と液媒体とを含むインクの液滴を記
    録信号に応じて記録ヘッドのオリフィスから吐出させて
    被記録材に記録を行うインクジェット記録方法いおい
    て、請求項1に記載の水性インクセットを用いて記録を
    行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 インクに熱エネルギーを作用させて液滴
    を吐出させて記録を行なう請求項7に記載のインクジェ
    ット記録方法。
  9. 【請求項9】 インクに力学的エネルギーを作用させ液
    滴を吐出させて記録を行なう請求項7に記載のインクジ
    ェット記録方法。
  10. 【請求項10】 インクを収容したインク収容部、イン
    クをインク滴として吐出させる為の記録ヘッド部を備え
    た記録ユニットにおいて、該インクが請求項1に記載の
    水性インクセットである記録ユニット。
  11. 【請求項11】 インクを収容したインク収容部、イン
    クをインク滴として吐出させる記録ユニットを備えたイ
    ンクジェット記録装置において、請求項10に記載の記
    録ユニットが用いられていることを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
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