JP4553871B2 - 食器洗浄機 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭用もしくは業務用として皿などの食器や調理具を自動的に洗浄する食器洗浄機に関するものである。
従来の食器洗浄機として、ノズルから洗浄水を間欠的に噴射するものがある。間欠的に噴射される洗浄水は、食器に当たったときに衝撃力となり、食器に付着した汚れを容易に落とすことを可能にしている。(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−17646号公報(第1頁、図1)
従来の食器洗浄機は、ノズルから間欠的に洗浄水を噴射するため、一様に洗浄水を噴射する場合と比べて、食器に付着した汚れに対し洗浄水が大きな衝撃力を発揮して洗浄力を向上させるものであるが、ノズルから噴射される洗浄水の量が多く、このため、洗浄ポンプがエア噛みを起こさないように大量の洗浄水を用意しなければならず、水道代などランニングコストが余計に掛かってしまうという課題があった。また、洗浄ポンプがエア噛みを起こすようなことがあった場合には、洗浄力が低下する上に、騒音が増加し、耐久性が低下するという課題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、洗浄水の量が少なくても、洗浄ポンプにエア噛みがなく、高い洗浄力で食器を洗浄できる食器洗浄機を提供することを目的とする。
本発明に係る食器洗浄機は、食器類を収納する洗浄槽と、洗浄槽内に供給された洗浄水を吸引して加圧する洗浄ポンプと、洗浄槽内に配設され、洗浄ポンプからの加圧に応じて水を噴射しながら回転し、洗浄槽内の食器類を洗浄する洗浄ノズルと、洗浄ポンプを高速回転と低速回転交互に繰り返し運転して、洗浄ノズルから噴射される洗浄水の噴射量を変化させ、高速回転時に使用される水量が所定量に達したときに低速回転に切り替える制御手段とを備え、制御手段は、予め設定された洗浄ポンプの高速回転時の噴射水量及び洗浄水の回収率に基づいて高速回転時に使用される水量の上限使用水量を算出し、かつ、算出した上限使用水量より少ない所定量を算出する。
本発明においては、洗浄ポンプの高速回転時に使用される水量が所定量に達したときに低速回転に切り替えるようにしている。その所定量を洗浄ポンプの高速回転時に使用される水量の上限使用水量より少なくしていることから、高速回転時の洗浄ポンプエア噛みを起こすことなく、洗浄水を節水しながら、食器を高い洗浄力で洗浄することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機を示す概略構成図、図2は高速回転時と低速回転時に洗浄に使用される水量の説明図、図3は洗浄ポンプの回転数と洗浄に使用される水量の相関を示す図、図4は洗浄ポンプの回転数の変化を示す図である。
食器洗浄機本体1に備えられたタンク2は、外部から水を引き込むための注水口3と排水口6とをそれぞれ有し、注水口3を通じて供水される水4の水位を検出する水位センサ5と貯水された水4を加熱するためのヒータ6とが配置されている。水位センサ5は、洗浄工程とすすぎ工程の各工程で必要な水量を検出するためのものである。タンク2の上方に設けられた洗浄槽7は、洗浄対象の食器を載せるための下かご8と上かご9が着脱可能に配置され、側面側には洗浄槽7内に供給された洗浄水(すすぎ水)の液面変化を検出するための反射型液面センサ10が取り付けられている。洗浄槽7内に給湯口12が設けられた管路上に給湯ポンプ11が設置されている。この給湯ポンプ11は、洗浄工程とすすぎ工程の各工程において制御部20により駆動制御され、前記のヒータ20は、制御部20の通電制御により、タンク2内の水4が例えば60℃になるように加熱する。ヒータ2への通電制御は、すすぎが終了するまで行われている。
洗浄ポンプ13は、ケーシング部13a(羽根内蔵)とモータ13bとからなり、洗浄槽7内に供給された洗浄水(すすぎ水)を吸引して加圧し、洗浄ノズル14へ吐出する。この洗浄ノズル14は、洗浄ポンプ13のケーシング部13a側に回動自在に取り付けられ、洗浄ポンプ13からの水量に応じて複数の噴射口14aから洗浄水(すすぎ水)を噴射しながら一方向に回転する。この回転は、複数の噴射口14aから噴射される洗浄水の噴射力の反力による。洗浄槽7の底部側に洗浄槽7内の汚水を排水口16から排水する排水ポンプ15が設置されている。洗浄槽7と洗浄ポンプ13とを連結する管路の上流側にフィルタ17が着脱可能に取り付けられている。このフィルタ17により、洗浄時に食器から落ちた残菜が収集される。排水ポンプ15は、食器の洗浄とすすぎが終了する毎に、制御部20によって駆動制御され、前述した洗浄ポンプ13は、洗浄工程およびすすぎ工程の各工程において、制御部20により駆動制御される。
ここで、制御部20による洗浄ポンプ13の駆動制御について説明する。まず、図2を用いて洗浄ポンプ13の回転数と洗浄(すすぎ)に使用される水量との関係を説明する。洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させた場合、洗浄(すすぎ)で使用される水量、即ち、洗浄ノズル14から噴射された洗浄水(すすぎ水)が洗浄槽7の底部に回収されていない水量(使用水量)が時間の経過と共に増えて第1の使用水量L1に近づき、この状態から低速回転数A2に切り替えた場合は、使用水量が徐々に減少して第2の使用水量L2に近づいていく。このように、使用水量は、高速回転時に多くなり、低速回転時に減少する。第1の使用水量L1は、高速回転時の使用水量の上限値であり、第2の使用水量L2は、低速回転時の使用水量の上限値であり、これらは、予め測定して得られた使用水量である。
実施の形態1においては、洗浄ポンプ13の高速回転時の洗浄水(すすぎ水)の使用水量(洗浄槽7の底部に回収されていない水量)が少なくなるようにしている。例えば図3に示すように、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させたときの使用水量が第1の使用水量L1(上限使用水量)よりも少ない所定量Lに達したとき、洗浄ポンプ13の回転数を高速回転数A1から低速回転数A2に切り替える。低速回転時の使用水量が所定量Lから例えば一定量まで減少したときに、再び高速回転数A1に切り替え、これを繰り返し行う。この場合、図4に示すように、洗浄ポンプ13の回転数がパルス状に変化する。使用水量が所定量Lに達したか否かの判定、また、使用水量が所定量Lから一定量まで減少したか否かの判定は、洗浄槽7内に設けられた反射型液面センサ10の液面検出に基づいて行っている。
次に、前記のように構成された食器洗浄機の動作を図1、図3及び図4を参照しながら説明する。
タンク2に設置された水位センサ5が水4を検出すると、制御部20は、水位センサ5の高さまで水4が給水されたと判断して、給水を停止させる旨を例えば音で報知し、洗浄工程に入る。まず、ヒータ5に通電してタンク2内の水4を加熱し、その水温が例えば60℃まで上昇したときに給湯ポンプ11を駆動し、タンク2内の温水4を洗浄槽7内に給湯する。この時、予め定められた洗浄に必要な総水量が供給されたか否かを反射型液面センサ10を通して判定し、また、タンク2の水温が60℃に保たれるようにヒータ5への通電を制御する。なお、ヒータ5への通電制御は、前述したようにすすぎが終了するまで行われている。
制御部20は、反射型液面センサ10を通して、洗浄に必要な総水量が洗浄槽7内に供給されたことを検知すると、給湯ポンプ11の駆動を停止し、次いで、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させ、洗浄ノズル14から洗浄水を噴射させる。この時、洗浄槽7の底部に回収されていない使用水量が所定量Lに達したか否かを反射型液面センサ10の液面検出に基づいて判定する。図3に示すように使用水量が所定量Lに達したときは、洗浄ポンプ13の回転数を高速回転数A1から低速回転数A2に切り替え、高速回転時の噴射量より少ない洗浄水を洗浄ノズル14から噴射させる。この時、使用水量が所定量Lから一定量まで減少したか否かを反射型液面センサ10の液面検出に基づいて判定し、同図3に示すように使用水量が一定量まで減少したときは、洗浄ポンプ13の回転数を再び高速回転数A1に切り替え、前述した動作を繰り返す。この場合、前述したように洗浄ポンプ13の回転数がパルス的に変化する(図4参照)。
一方、洗浄ノズル14は、洗浄ポンプ13が高速回転数A1で回転しているとき、上かご9の食器に洗浄水を当てながら回転し、洗浄ポンプ13が低速回転数A2で回転しているときは、下かご8の食器に洗浄水を当てながら回転する。この場合、洗浄ポンプ13が高速回転数A1と低速回転数A2を一周期として回転したとき、洗浄ノズル14が一回転しないので、洗浄ノズル14から噴射される洗浄水の噴射タイミングがずれていく。
食器の洗浄時間が経過すると、洗浄ポンプ13の駆動を停止し、次いで、排水ポンプ15を駆動して、洗浄槽7内の汚水を排水口16から外部へ排水させ、洗浄工程を終了する。その後、再び給湯ポンプ11を駆動してすすぎ工程に入る。なお、すすぎ工程における給湯ポンプ11の駆動制御、洗浄ポンプ13の駆動制御、及び排水ポンプ15の駆動制御については、前述した洗浄工程とほぼ同じであるため、動作説明を割愛する。
以上のように実施の形態1によれば、洗浄工程とすすぎ工程の各工程において、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させ、この時の洗浄水(すすぎ水)の使用水量が第1の使用水量L1より少ない所定量Lに達したとき、洗浄ポンプ13の回転数を高速回転数A1から低速回転数A2に切り替え、低速回転時の洗浄水(すすぎ水)の使用水量が所定量Lから一定量まで減少したときは、洗浄ポンプ13の回転数を低速回転数A2から高速回転数A1に切り替えて、これを繰り返すようにしたので、洗浄水(すすぎ水)を節水しながら、食器を高い洗浄力で洗浄することができる。
なお、前記の実施の形態1では、洗浄ポンプ13の高速回転時の使用水量が所定量Lに達したときに、回転数を高速回転数A1から低速回転数A2に切り替え、低速回転時の使用水量が所定量Lから一定量まで減少したときに、回転数を低速回転数A2から高速回転数A1に切り替えるようにしたが、洗浄ポンプ13の高速回転時の使用水量が所定量Lに達したときの時間を予め測定しておき、また、低速回転時の使用水量が所定量Lから一定量まで減少したときの時間を予め測定しておき、これら時間を基に洗浄ポンプ13の回転数A1、A2の切り替えを行うようにしても良い。
例えば、図5に示すように、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させ、高速回転を開始してから時間T1を経過したとき、高速回転時の使用水量が所定量Lに達したと判断して、回転数を低速回転数A2に切り替え、低速回転に切り替えてから時間T2を経過したときは、低速回転時の使用水量が所定量Lから一定量まで減少したと判断して、再び高速回転数A1に切り替え、時間T1、T2を一周期として繰り返し行う。なお、高速回転時の時間T1は、低速回転時の時間T2よりも短くなっている。この場合も、前記と同様に洗浄水(すすぎ水)を節水しながら、食器を高い洗浄力で洗浄することができる。
また、実施の形態1では、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させ、その後、回転数を低速回転数A2に切り替えて、これを繰り返すようにしたが、まず、低速回転数A2で洗浄ポンプ13を回転させ、その後、回転数を低速回転数A2から高速回転数A1に切り替えて、これを繰り返し行うようにしても良い。
実施の形態2.
実施の形態1では、洗浄ポンプ13の高速回転時の使用水量の上限である第1の使用水量L1、低速回転時の使用水量の上限である第2の使用水量L2、及び所定量Lについては、予め測定された値を用いるようにしたが、実施の形態2は、予め定められた高速回転数と低速回転数とから自動的に第1及び第2の使用水量L1、L2を算出し、この得られたL1とL2に基づいて所定量Lを求めるようにしたものであり、以下、実施の形態2の食器洗浄機について、具体的に説明をする。なお、本実施の形態2は、制御部20を除いて実施の形態1とほぼ同じであるため、図1を用いて説明をする。
実施の形態2の食器洗浄機本体1には、例えば、食器の汚れ度合いに応じて標準洗浄、或いは強力洗浄の何れか一方を選択させるためのスイッチ(図示せず)が設けられている。前記の制御部20は、標準洗浄に対応して洗浄ポンプ13の回転数A1、A2が、強力洗浄に対応して回転数A11、A21がデータとして設定されている。A1とA21は高速回転数で、A1<A21の関係になっている。また、A2とA21は低速回転数で、A2<A21の関係になっている。標準洗浄、或いは強力洗浄の何れか一方が選択されたときは、下記に示す式を用いて、それぞれ第1の使用水量L1(上限使用水量)と第2の使用水量L2を算出する。
L1 = W1/μ …(1)
L2 = W2/μ …(2)
式(1) 中のW1は、洗浄ポンプ13を高速回転させたときの洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たりの噴射水量で、高速回転数A1のときの噴射水量と高速回転数A11のときの噴射水量とがある。式(2) 中のW2は、洗浄ポンプ13を低速回転させたときの洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たりの噴射水量で、低速回転数A2のときの噴射水量と低速回転数A21のときの噴射水量とがある。これら噴射水量は、予め実験によって測定されたもので、データとして制御部20に設定されている。また、μは、噴射された洗浄水が単位時間当たりに洗浄槽7の底部に回収される割合を示す回収率で、前記と同様にデータとして制御部20に設定されている。
また、制御部20は、前記式から得た第1の使用水量L1と第2の使用水量L2の中間値を算出する。この中間値は、洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるときの所定量Lである。低速回転A21から高速回転A11に切り替えるときの一定量は、実施の形態1と同じ値である。なお、前記式によって得られた第1の使用水量L1は、高速回転数A1ときよりもA11の方が多くなり、第2の使用水量L2は、低速回転数A2のときよりもA21の方が多くなっている。
実施の形態2においては、標準洗浄、或いは強力洗浄の何れかをスイッチで選択すると、制御部20は、洗浄工程に入ってタンク2内の温水(60℃)4を給湯ポンプ11を介して洗浄槽7内に供給し、スイッチの選択に基づいて第1及び第2の使用水量L1、L2の算出に入る。その選択が強力洗浄のときは、高速回転数A11のときの噴射水量W1と回収率μを式(1) に当てはめて第1の使用水量L1を算出し、次いで、低速回転数A21のときの噴射水量W2と回収率μを式(2) に当てはめて第2の使用水量L2を算出し、これら演算によって得られたL1とL2に基づいて所定量Lを求める。
そして、洗浄ポンプ13を高速回転数A11で回転させ、この時の使用水量が演算した所定量Lに達したときに、洗浄ポンプ13の回転数を高速回転数A11から低速回転数A21に切り替え、低速回転時の使用水量が所定量Lから一定量まで減少したときは、洗浄ポンプ13の回転数を低速回転数A21から高速回転数A11に切り替え、これを繰り返し行う。この場合、洗浄ノズル14から噴射される高速回転時と低速回転時の噴射量は、前述したように洗浄ポンプ13を回転数A1、A2で回転させたときよりも多くなっている。つまり、回転数A1、A2のときよりも強い噴射力で食器を洗浄することになる。
なお、すすぎ工程における洗浄ポンプ13の制御は、前述した洗浄工程のときと同じように、洗浄ポンプ13を高速回転数A11で回転させ、この時の使用水量が演算した所定量Lに達したときに、洗浄ポンプ13の回転数を高速回転数A11から低速回転数A21に切り替え、低速回転時の使用水量が所定量Lから一定量まで減少したときは、洗浄ポンプ13の回転数を低速回転数A21から高速回転数A11に切り替え、これを繰り返し行う。
以上のように実施の形態2においては、選択された洗浄ポンプ13の回転数(高速と低速)から自動的に第1及び第2の使用水量L1、L2を算出し、得られたL1とL2を用いて洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるための所定量Lを算出できるようにしたので、洗浄ポンプ13を様々な高速回転と低速回転で回転させることが可能になり、このため、食器に付着した頑固な汚れや、多量の油などを容易に洗浄することが可能になり、洗浄力が向上するという効果がある。
なお、前記の実施の形態2では、洗浄工程とすすぎ工程での洗浄ポンプ13の制御を同じようにしたが、洗浄工程とすすぎ工程で異なる回転数で回転させるようにしても良い。
実施の形態3.
実施の形態3は、予め洗浄ポンプ13の高速回転時の時間と低速回転時の時間が決められていたときに、洗浄工程とすすぎ工程でそれぞれ必要な総水量を、洗浄ポンプ13がエア噛みを起こさない範囲で、できるだけ少なくなるように設定したものであり、以下、本実施の形態3の食器洗浄機について説明をする。なお、本実施の形態3は、制御部20を除いて実施の形態1とほぼ同じであるため、図1を用いて説明をする。
実施の形態3における制御部20には、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させる時間T1と低速回転数A2で回転させる時間T2が設定され、また、洗浄工程とすすぎ工程でそれぞれ必要な総水量Sを算出するための式(3)が設定されている。
S = Xm + W1/μ - (exp{μT2} - 1)(W1 - W2)/μ(exp{μ(T1 + T1)} - 1) …(3)
式中のXmは、洗浄ポンプ13を回転させたとき、洗浄ポンプ13がエア噛みを起こさないぎりぎりの水量で、予め実験によって得られた値である。S は、時間T1の間、高速回転数A1で、時間T2の間、低速回転数A2で交互に切り替えて回転させたときに必要な最小限の洗浄槽7内の総水量である。W1は、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させたときの洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たりの噴射水量、W2は、洗浄ポンプ13を低速回転数A2で回転させたときの洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たりの噴射水量、また、μは、噴射された洗浄水が単位時間当たりに洗浄槽7の底部に回収される割合を示す回収率である。
次に、動作を図5を用いて説明する。なお、図5は実施の形態3における洗浄ポンプの回転数の変化を示す図である。
制御部20は、洗浄工程とすすぎ工程の各工程に入る度に前記の式を用いて、洗浄槽7に供給する最小限の総水量Sを算出する。そして、給湯ポンプ11を駆動し、反射型液面センサ10の液面検出に基づいて総水量Sに達したか否かを判定する。洗浄槽7内の洗浄水が総水量Sに達したときは、給湯ポンプ11の駆動を停止して、洗浄ポンプ13を駆動する。図5に示すように、時間T1の間、高速回転数A1で回転させ、その後、時間T2の間、低速回転数A2で回転させ、これを周期Tとして繰り返し行う。
以上のように実施の形態3によれば、高速回転時の時間T1と低速回転時の時間T2とが与えられたときに、洗浄ポンプ13にエア噛みが生じない必要最小限の水量(総水量S)で食器を洗浄したり、すすぎしたるすることができるので、節水効果がある。
実施の形態4.
実施の形態1乃至3では、洗浄ポンプ13の高速回転時の使用水量の上限である第1の使用水量L1と低速回転時の使用水量の上限である第2の使用水量L2は、洗浄ポンプ13の回転数が決まると固定されていたが、実施の形態3は、下かご8と上かご9に載置された食器の種類や数によって洗浄槽7の底部に回収される水量に応じて、第1及び第2の使用水量L1、L2と所定量Lとを変更するようにしたものである。この機能は、予備洗浄として、洗浄工程の前に実行されるようになっており、以下、実施の形態4の食器洗浄機について説明をする。なお、実施の形態4は、制御部20を除いて実施の形態1とほぼ同じであるため、図1を用いて説明する。
実施の形態4における制御部20は、例えば、食器洗浄の開始スイッチ(図示せず)のオン操作を検知した後に、予備洗浄を促すスイッチのオン操作を検知したとき、第1及び第2の使用水量L1、L2と所定量Lとを得るための動作に入る。タンク2内に水4が供給されると、給湯ポンプ11を駆動してタンク2内の水4を洗浄槽7内に供給し、反射型液面センサ10の液面検出を通して、洗浄槽7内の水4が予備洗浄に必要な水量に達したか否かを判定する。予備洗浄に必要な水量に達したときは、給湯ポンプ11の駆動を停止し、次いで、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させる。この時、洗浄ノズル14から噴射されることによって低下する洗浄槽7内の水位(洗浄水)を反射型液面センサ10を通して検知し、この水位低下が定常状態になったときは、その時の水位を洗浄ポンプ13を駆動する前の水位から減算して水位差を求め、かつ、その水位差と予め設定された洗浄槽7の断面積Aとの積から回収されていない水量を算出し、これを第1の使用水量L1(上限使用水量)とする。
次に、洗浄ポンプ13を高速回転数A1から低速回転数A2に切り替えて、前記と同様に、洗浄槽7内の水位低下を反射型液面センサ10を通して検知し、この水位低下が定常状態になったときは、その時の水位を洗浄ポンプ13を駆動する前の水位から減算して水位差を求め、かつ、その水位差と洗浄槽7の断面積Aとの積から回収されていない水量を算出し、これを第2の使用水量L2とする。また、得られた第1及び第2の使用水量L1、L2から中間値を算出し、これを所定量Lとして設定する。なお、低速回転A21から高速回転A11に切り替えるときの一定量は、実施の形態1と同じ値である。
下かご8と上かご9に載置された食器の種類や数に応じた第1及び第2の使用水量L1、L2と所定量Lの算出が終了すると、排水ポンプ15を駆動して洗浄槽7内の汚水を排水させ、洗浄工程に入る。洗浄工程における洗浄ポンプ13の高速回転から低速回転への切り替えは、予備洗浄で算出した所定量Lに高速回転時の使用水量が達したときで、実施の形態1と同じように洗浄ポンプ13の回転数がパルス的に変化する。なお、すすぎ工程における洗浄ポンプ13は、洗浄工程と同じように制御する。
以上のように実施の形態4によれば、洗浄工程に入る前に、下かご8と上かご9に載置された食器の種類や数に応じて、洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるための所定量Lを決めるようにしたので、洗浄ポンプ13がエア噛みを起こすこと無く、食器を洗浄(すすぎ)することができるという効果がある。
実施の形態5.
実施の形態4では、下かご8と上かご9に設置された食器の種類や数に応じて第1及び第2の使用水量L1、L2を決定し、このL1とL2に基づいて洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるための所定量Lを求るようにしたが、実施の形態5は、食器の設置後に洗浄水の回収率μを求め、この回収率μを実施の形態2に示す式(1)(2)に当てはめて第1及び第2の使用水量L1、L2を決定し、このL1とL2に基づいて前記の所定量Lを求めるようにしたものであり、以下、実施の形態5の食器洗浄機について説明をする。なお、本実施の形態5は、制御部20を除いて実施の形態1とほぼ同じであるため、図1を用いて説明する。
実施の形態5においては、制御部20によって、前述した演算処理が行われ、洗浄工程に入る前の予備洗浄時に実行される。例えば、洗浄槽7に予備洗浄に必要な水量が蓄えられると、洗浄ポンプ13をしばらくの間駆動して停止させる。そして、反射型液面センサ10の液面検出を通して、予め設定された時間Δtの間に洗浄槽7の底部に回収される水量ΔXを算出し、その時の水位を反射型液面センサ10を通して測定する。図6に示すように、その時の水位をyとしたとき、予め設定された洗浄槽7の断面積Aとの積から洗浄槽7の底部に残っている洗浄水の水量Xを算出する。そして、下記に示す式にそれぞれの値を当てはめて回収率μを算出する。式中のSは、予備洗浄時に洗浄槽7内に供給された総水量である。
μ = ΔX/(S - X)Δt …(4)
前記のようにして得られた回収率μを、予め設定された実施の形態2と同じ式(1)(2)に当てはめて、第1及び第2の使用水量L1、L2を算出し、この得られた第1及び第2の使用水量L1、L2の中間値を算出し、これを、洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるための所定量Lとして設定する。なお、実施の形態5においては、前記式(1) 中のW1は、洗浄ポンプ13を高速回転数A1で回転させたときの洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たりの噴射水量であり、W2は、洗浄ポンプ13を低速回転数A2で回転させたときの洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たりの噴射水量である。
その後は、排水ポンプ15を駆動して洗浄槽7内の汚水を排水させ、洗浄工程に入る。洗浄工程における洗浄ポンプ13の高速回転から低速回転への切り替えは、予備洗浄時で算出した所定量Lに高速回転時の使用水量が達したときで、実施の形態1と同じように洗浄ポンプ13の回転数がパルス的に変化する(図4参照)。なお、すすぎ工程においては、洗浄工程と同じように洗浄ポンプ13を制御する。
以上のように実施の形態5によれば、洗浄工程に入る前の予備洗浄時に洗浄水の回収率を求め、この結果を基に洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるための所定量Lを決定するようにしたので、各種の食器や、数の異なる食器が設置されたとしても、洗浄ポンプにエア噛みを起こさせること無く、節水効果のある食器洗浄機を提供できる。
なお、前記の実施の形態5では、式(4) を用いて回収率μを求めるようにしたが、これに代えて、下記に示す式(5) から回収率μを求めるようにしてもよい。
μ = W/(S - X) …(5)
式中のW は、洗浄ポンプ13を定常状態に達するまで所定の回転数で回転させ、この時の洗浄ノズル14から噴射される単位時間当たり噴射水量、S は、予備洗浄時に洗浄槽7内に供給された総水量、X は、定常状態のときの洗浄槽7内に貯えられている洗浄水の水量である。この場合、この式より得られた回収率を基に洗浄ポンプ13を高速回転から低速回転に切り替えるための所定量Lを決定できるので、前記と同様に、各種の食器や数の異なる食器が設置されたとしても、洗浄ポンプにエア噛みを起こさせること無く、節水効果のある食器洗浄機を提供できる。
また、式(4) 及び式(5) で得られた回収率μから第1及び第2の使用水量L1、L2を算出するようにしたが、この回収率μを実施の形態3で述べた式(3) に当てはめて、洗浄工程とすすぎ工程に各工程で必要な総水量Sを求めるようにしても良い。
ところで、前述した各実施の形態では、食器洗浄機の構成として、洗浄水を一旦タンク2に貯水して加熱し、その後、洗浄槽7へ給湯する構成として説明したが、これに限るものではなく、洗浄槽7へ直接注水し、洗浄槽7内に設置したヒータ6で湯沸しながら洗浄する食器洗浄機にも適用できることは明白である。また、反射型液面センサ10は、水位を検知することができる電界センサ等のセンサに置き換えることができる。
本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機を示す概略構成図である。 高速回転時と低速回転時に洗浄に使用される水量の説明図である。 洗浄ポンプの回転数と洗浄に使用される水量の相関を示す図である。 洗浄ポンプの回転数の変化を示す図である。 実施の形態3における洗浄ポンプの回転数の変化を示す図である。 洗浄槽に貯えられている洗浄水の水量と水位の関係を示す図である。
符号の説明
1 食器洗浄機本体、2 タンク、5 水位センサ、6 ヒータ、7 洗浄槽、8 下かご、9 上かご、10 反射型液面センサ、11 給湯ポンプ、13 洗浄ポンプ、
13a ケーシング部、13b モータ、14 洗浄ノズル、14a 噴射口、15 排水ポンプ。

Claims (6)

  1. 食器類を収納する洗浄槽と、
    該洗浄槽内に供給された洗浄水を吸引して加圧する洗浄ポンプと、
    前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄ポンプからの加圧に応じて水を噴射しながら回転し、洗浄槽内の食器類を洗浄する洗浄ノズルと、
    前記洗浄ポンプを高速回転と低速回転交互に繰り返し運転して、前記洗浄ノズルから噴射される洗浄水の噴射量を変化させ、高速回転時に使用される水量が所定量に達したときに低速回転に切り替える制御手段とを備え、
    前記制御手段は、予め設定された前記洗浄ポンプの高速回転時の噴射水量及び洗浄水の回収率に基づいて高速回転時に使用される水量の上限使用水量を算出し、かつ、算出した上限使用水量より少ない前記所定量を算出することを特徴とする食器洗浄機。
  2. 前記洗浄槽内の洗浄水の液面を検出する液面センサを備え、
    前記制御手段は、高速回転時に使用される水量が前記所定量に達したか否かを前記液面センサの液面検出から判定することを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
  3. 前記制御手段は、前記洗浄ポンプの高速回転時に使用される水量が前記所定量に達するのに要する時間が予め設定され、前記洗浄ポンプを高速回転させてから前記時間を経過したときに低速回転に切り替えることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
  4. 食器類を収納する洗浄槽と、
    該洗浄槽内に洗浄水を供給する給湯ポンプと、
    前記洗浄槽内に供給された洗浄水を吸引して加圧する洗浄ポンプと、
    前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄ポンプからの加圧に応じて水を噴射しながら回転し、洗浄槽内の食器類を洗浄する洗浄ノズルと、
    前記洗浄ポンプを時間T1の間高速で回転させ、その後、該洗浄ポンプを時間T2の間低速で回転させ、これを交互に繰り返し切り替えて前記洗浄ノズルから噴射される洗浄水の噴射量を変化させる制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記各時間及び予め得られた洗浄水の回収率とに基づいて洗浄工程とすすぎ工程でそれぞれ必要な総水量を算出し、該総水量を洗浄工程とすすぎ工程の各工程において前記洗浄槽内に供給させることを特徴とする食器洗浄機。
  5. 食器類を収納する洗浄槽と、
    該洗浄槽内に洗浄水を供給する給湯ポンプと、
    前記洗浄槽内に供給された洗浄水を吸引して加圧する洗浄ポンプと、
    前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄ポンプからの加圧に応じて水を噴射しながら回転し、洗浄槽内の食器類を洗浄する洗浄ノズルと、
    洗浄槽内の洗浄水の液面を検出する液面センサと、
    前記洗浄ポンプを高速回転と低速回転で交互に繰り返し運転して、前記洗浄ノズルから噴射される洗浄水の噴射量を変化させ、高速回転時に使用される水量が所定量に達したときに低速回転に切り替える制御手段とを備え、
    前記制御手段は、洗浄工程に入る前に前記洗浄ポンプを高速で回転させて、該洗浄ポンプを回転させる前からの洗浄槽内の低下水位を前記液面センサで測定し、その低下水位に基づいて高速回転時に使用される水量の上限使用水量を算出し、かつ、算出した上限使用水量より少ない前記所定量を算出することを特徴とする食器洗浄機。
  6. 前記制御手段は、洗浄工程に入る前に前記洗浄ポンプを回転させて前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させ、該洗浄ポンプを停止させたときの前記洗浄槽内の残りの水量に基づいて洗浄水の回収率を算出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の食器洗浄機。
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