JP4552250B2 - 塗料、塗膜の形成方法及び該方法により形成された塗膜 - Google Patents

塗料、塗膜の形成方法及び該方法により形成された塗膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鏡、ガラス、レンズ等の表面に塗布することにより密着性に優れた塗膜を形成することができる塗料、該塗料を用いた塗膜の形成方法、及び、該塗膜の形成方法により形成された塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
寒冷時に、建物の窓ガラス、眼鏡のレンズ、各種計器のカバーガラス等に水分が付着して曇るのは、しばしば経験することである。また、浴室や洗面所に置かれた鏡や眼鏡のレンズが湯気で曇ることも、よく経験する。
【0003】
このようなガラス等の透明部材の表面に曇りが生ずるのは、その部材が雰囲気の露点以下の温度であるため、雰囲気中の水分が凝縮して表面に結露が生ずるからである。
この場合、透明部材の表面に付着した水滴の直径が、サブミクロンオーダーの充分に細かいものであっても、この水滴は光を散乱するために、この部材は不透明に見える。
【0004】
また、これらの水滴がさらに成長して大きくなった場合においても、水滴の表面と空気との界面及び水滴と透明部材の表面との界面おいて光の屈折が生ずるため、ぼやけや翳り、曇り等の現象が生じ、透視性が損なわれる。
本明細書では、このような部材の表面に水滴が付着することにより、鏡やガラス等の透明部材の透視性が失われる種々の現象を総合して曇り現象ということとし、このような曇り現象を防止し、部材の透視性を確保することを防曇ということとする。
【0005】
従来より、このような透明部材の表面に防曇機能を有する透明な塗膜を形成する種々の発明がなされているが、その主なものは、塗膜中にチタニア粒子等の光触媒を含有する塗膜を形成して、その塗膜に光触媒機能を付与し、この光触媒機能が発現することによりその表面が親水性になることを利用して、防曇機能を実現させる発明である。
【0006】
しかしながら、これらのチタニア粒子を含有する塗膜は、光触媒機能を有する塗膜であり、紫外線の照射により、この紫外線を吸収してチタニア粒子に電子と正孔とが生成し、これにより初めて親水性が発現する。
このため、紫外線の極めて少ない室内等においては、このような光触媒機能を有する塗膜が形成された部材であっても、親水性が発現せず、防曇機能が実現されないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、ガラスや鏡等の基材表面に密着性に優れた塗膜を形成することができ、形成された塗膜が親水性を示し、防曇機能を有する塗料、該塗料を用いた塗膜の形成方法、及び、該塗膜の形成方法により形成された塗膜を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を行った結果、メチル基を含むオルガノシランをバインダーとし、かつ、平均粒径が0.1μm以下のルチル型酸化チタン微粒子を用いることにより、形成された塗膜そのものが親水性を示し、防曇効果を示すことを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、バインダーとして、メチル基を含むオルガノモノシラン、硬化触媒として、酸、アルカリ、亜鉛化合物、チタン化合物及びジルコニウム化合物からなる群から選択された少なくとも1種、並びに、平均粒径が0.1μm以下のルチル型酸化チタン微粒子を含む組成物からなることを特徴とする塗料である。
【0009】
第二の本発明は、バインダーとして、メチル基を含むオルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1種、並びに、硬化触媒として、酸、アルカリ、亜鉛化合物、チタン化合物及びジルコニウム化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む組成物からなる第1層用の塗料と、第2層に用いられる上記第一の本発明の塗料との2種類の塗料から構成されることを特徴とする塗料である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
第一の本発明の塗料は、バインダーとして、メチル基を含むオルガノモノシラン、硬化触媒として、酸、アルカリ、亜鉛化合物、チタン化合物及びジルコニウム化合物からなる群から選択された少なくとも1種、並びに、平均粒径が0.1μm以下のルチル型酸化チタン微粒子を含む組成物からなることを特徴とする。
【0011】
上記バインダーとして使用されるメチル基を含むオルガノモノシランは、一般式(1):
(CH34-a SiXa
(式中、Xは、アルコキシル基又はハロゲン原子であり、aは、2又は3である)で表される。
上記アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、上記ハロゲン原子としては、例えば、Cl、Br等が挙げられる。
【0012】
一般式(1)で表されるオルガノモノシランとしては特に限定されず、例えば、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0013】
上記塗料用の硬化触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ、酸化亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛化合物、四塩化チタン、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、チタニウムテトラ−i−プロポキシド、チタニル硫酸等のチタン化合物、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物等が挙げられる。
これらのなかでは、塩酸、硫酸、硝酸等の酸が好ましい。これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの触媒の量は特に限定されないが、ごく少量でも充分に触媒としての効果を発揮する。
【0014】
上記塗料は、通常、上記バインダー及び上記硬化触媒のほかに溶剤を含む。
上記溶剤としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルメソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。
これら溶剤のなかでは、室温でも比較的大きな蒸気圧を有し、乾燥時に蒸発し易いものが好ましく、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等が好ましい。
これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記したように、第一の本発明の塗料では、組成物中に平均粒径が0.1μm以下のルチル型酸化チタン微粒子を含む。
上記ルチル型酸化チタン微粒子は、平均粒径が0.1μm以下のものであれば特に限定されるものではないが、その平均粒径は0.03μm以下が特に好ましい。ルチル型酸化チタン微粒子の粒径が小さくなる程、形成された塗膜の防曇性が大きくなる傾向があるからである。このような平均粒径を有するルチル型酸化チタン微粒子としては、例えば、堺化学社製のSTR−100(平均粒径:14nm)、STR−60(平均粒径:20nm)、STR−40(平均粒径:27nm)等の超微粒子ルチル型酸化チタン等が挙げられる。
【0016】
上記ルチル型酸化チタン微粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、形成した塗膜の防曇効果が小さくなってしまう。
【0017】
上記塗料中には、塗膜を形成した際に塗膜の透明性が阻害しない範囲で、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、アルミナ等の体質顔料が含まれていてもよい。
これら体質顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塗膜中にこれらの顔料が含まれていると、基材に対する密着性が向上する。
【0018】
また、本発明の塗料は、ノニオン系界面活性剤を含有していてもよい。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等が挙げられる。
【0019】
また、上記塗料中のバインダー含有量は、SiO2 換算値で5〜15重量%が好ましい。
上記塗料が顔料を含有する場合の含有量は、顔料/(バインダーのSiO2 換算値)で、60/40〜10/90が好ましい。
【0020】
上記塗料中のルチル型酸化チタン微粒子の含有量は、TiO2 /(バインダーのSiO2 換算値)で、30/70〜95/5(重量比)が好ましく、60/40〜90/10がより好ましい。
【0021】
上記重量比が30/70未満であると、塗膜中の酸化チタンの量が少なすぎるため、塗膜の防曇効果が小さくなってしまい、一方、上記重量比が95/5を超えると、バインダー量が少なすぎるため、塗膜の強度や密着性が低下する。
【0022】
上記塗料中の固形分濃度〔(TiO2 +バインダーのSiO2 換算値)×100/全塗料〕(重量%)は、塗膜がより透明性に優れるところから1〜2重量%が好ましい。
【0023】
上記塗料を用いて基材表面に塗膜を形成する際には、バインダー、硬化触媒、ルチル型酸化チタン微粒子等を含有する塗料組成物を、ガラス等の基材に塗布して塗膜を形成した後、常温〜300℃の温度範囲で数十分間〜数十時間乾燥させるとともに、塗膜を硬化させる。乾燥温度は、100〜200℃がより好ましい。これにより、べたつきがなく、基材との密着性に優れた塗膜を形成することができる。
【0024】
上記塗料を用いた塗膜の形成方法としては特に限定されず、例えば、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法が挙げられる。
【0025】
このような方法により形成した塗膜は、親水性が大きく、防曇効果を示す。上記塗膜が防曇効果を示す理由は明らかではないが、メチル基を有するSi化合物と平均粒径が0.1μm以下のルチル型酸化チタン微粒子とを含む塗膜表面の化学的性質に起因しており、光触媒効果とは別の効果によるものと考えられる。
【0026】
第一の本発明の塗料が対象とする基材は特に限定されるものではないが、例えば、室内の浴室、洗面所、寝室等に置かれる鏡、その他の建物内部の化粧鏡等の鏡、建物の内部や外側の窓ガラス、ショーウインドウ、乗物等のガラス、眼鏡のレンズ、各種計器のカバーガラスに好適に使用することができ、これらの基材上に塗膜を形成することにより基材に防曇効果を付与することができる。
上記した塗膜の形成方法及び該塗膜の形成方法により形成された塗膜も本発明の一つである。
【0027】
次に、第二の本発明の塗料について説明する。
第二の本発明の塗料は、バインダーとして、メチル基を含むオルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーからなる群から選択された少なくとも1種、並びに、硬化触媒として、酸、アルカリ、亜鉛化合物、チタン化合物及びジルコニウム化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む組成物からなる第1層用の塗料と、第2層に用いられる第一の本発明の塗料との2種類の塗料から構成されることを特徴とする。
【0028】
上記第1層用の塗料は、プライマー層用の塗料であり、上記ルチル型酸化チタン微粒子を含まない点、及び、バインダーとして、メチル基を含むオルガノシランオリゴマーを用いてもよいほかは、上記第一の本発明の塗料と同様に構成されている。上記硬化触媒は、上記第一の本発明の場合と同様のものを用いることができる。
【0029】
バインダーとしては、上記したメチル基を含むオルガノモノシランのほかに、メチル基を含むオルガノシランオリゴマーを用いることができる。
上記メチル基を含むオルガノシランオリゴマーは、上記オルガノモノシラン等が重合した重合体であって、Si原子同士は、酸素を介して、Si−O−Siの形で結合され、Si原子に、メチル基、アルコキシル基等が結合しているオリゴマーをいう。
【0030】
上記オルガノシランオリゴマーは、通常、数百以下の重合度を有するものであるが、本発明では、20以上の重合度を有し、分子量が1700以上のものが好ましい。
上記メチル基を含むオルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
また、上記塗料中のバインダー含有量は、SiO2 換算値で5〜15重量%が好ましい。
上記塗料が顔料を含有する場合の含有量は、顔料/(バインダーのSiO2 換算値)で、60/40〜10/90が好ましい。
上記塗料中の固形分濃度〔(バインダーのSiO2 換算値)×100/全塗料〕(重量%)は、塗膜がより透明性に優れるところから1〜2重量%が好ましい。
【0032】
上記第1層用の塗料を使用することにより形成された塗膜は、基材との密着性に優れるとともに、第2層との密着性にも優れる。
上記第1層用の塗料を用いて、基材表面に第1層を形成することにより、その上に形成した第2層は、直接、基材と接触しない。
【0033】
そのため、基材がポリカーボネートやアクリル樹脂のようなプラスチック製のもので、直接、上記ルチル型酸化チタン微粒子を含む塗膜を基材表面に形成した場合には、基材の劣化が進行する場合であっても、この第二の本発明の場合には、基材の劣化が進行するおそれがない。
【0034】
また、ソーダガラスのようなアルカリを含有する基材に、塗膜を形成した場合であっても、上記第1層により、基材からのアルカリの溶出を抑えることができ、アルカリによる第2層を構成する塗膜の機能低下を防止することができる。
【0035】
上記第2層用の塗料は、第一の本発明の塗料と全く同様に構成されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
第二の本発明の塗料を用いて塗膜を形成する際には、第一の本発明の場合と同様に、上記第1層用の塗料を、基材に塗布して塗膜を形成し、常温〜300℃で数十分間〜数十時間乾燥させ、第1層の塗膜を形成した後、この第1層塗膜の上に第2層用の塗料を塗布し、常温〜300℃の温度で数十分間〜数十時間乾燥させることにより、2層からなる塗膜を形成する。基材がポリカーボネート等のプラスチック製のものである場合には、乾燥温度は、基材の耐熱性より低い温度が好ましい。
【0036】
上記第二の本発明の塗料が対象とする基材も特に限定されず、例えば、第一の本発明で挙げたものは勿論、特に、その他のガラス、セラミックス、プラスチックからなる部材で、第一の本発明の塗料を用いて基材に直接塗膜を形成すると支障があるものに適用することができる。
具体的には、例えば、プラスチック等からなる温室の屋根材や壁材、眼鏡のレンズ等に好適に使用することができ、これらの基材上に塗膜を形成することにより防曇効果を付与することができる。
上記した塗膜の形成方法及び該塗膜の形成方法により形成された塗膜も本発明の一つである。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
まず、超微粒子ルチル型酸化チタンのゾル(堺化学社製、R−CSB 塩酸酸性:pH1以下、TiO2 :10重量%)100重量部を純水250重量部で希釈した。
【0039】
次に、ノニオン系界面活性剤(花王社製、エマルゲルMS−110)1.3重量部とメチルトリメトキシシラン9.7重量部をエタノール339重量部に溶解した液350重量部を加えた。このようにして調製した塗料組成物中のTiO2 とメチルトリメトキシシランのSiO2 換算値との割合(TiO2 /SiO2 )は、70/30であった。また、液中の固形分濃度〔(TiO2 +メチルトリメトキシシランのSiO2 換算値)×100/全塗料〕は、2重量%であった。
【0040】
このようにして塗料組成物を調製した後、ガラス板の表面に塗膜を形成した。
すなわち、この塗料組成物に、アセトンで表面を脱脂、洗浄したガラス板(70×150×1.2mm)を侵漬した後引き上げ、室温で30分間放置後、乾燥器中で110℃、30分間乾燥、硬化させることにより、塗膜を形成した。この後、以下の方法により、塗膜の密着性及び親水性の評価を行った。
また、上記ガラス板と同じ寸法の鏡を用い、同様の方法により鏡面が形成された面の反対側面に塗膜を形成し、防曇性の評価を行った。塗料組成を表1に、その結果を表2に示した。
【0041】
評価方法
(1)密着性
塗膜にセロハンテープを圧着した後、一気にセロハンテープを剥がし、セロハンテープへの塗膜の付着具合により、塗膜の密着性を評価した。
○:セロハンテープに塗膜がほとんど付着しない
△:セロハンテープに塗膜が少し付着する
×:セロハンテープに塗膜がほぼ全部付着する
【0042】
(2)親水性
乾燥、硬化により塗膜が形成されたガラス板表面の水との接触角を測定した。
【0043】
(3)防曇性
鏡に息を吹きかけた後、鏡面を目視により観察し、表面の曇り具合により、防曇性を評価した。
○:表面が全く曇らない
△:表面がわずかに曇り、鏡に写る像が少しぼやける
×:表面が完全に曇り、鏡に写る像を観察することができない
【0044】
実施例2
まず、超微粒子ルチル型酸化チタンの粉末(堺化学社製、STR−100、平均粒径:14nm)100重量部に10%硝酸45重量部及び純水155重量部、直径が1mmのガラスビーズ500重量部を加え、ペイントシェーカーで120分間混合、分散を行った。
次に、純水700重量部を加え、再び、ペイントシェーカーで30分間混合、分散を行い、TiO2 の濃度が10重量%の液を得た。次に、本液100重量部をさらに純水250重量部で希釈した。
【0045】
その後、このTiO2 を含む溶液に、実施例1と同様に、ノニオン系界面活性剤とメチルトリメトキシシランとエタノールとを混合した液を加えて塗料組成物を調製した。
【0046】
調製した塗料組成物中のTiO2 とメチルトリメトキシシランのSiO2 換算値との割合(TiO2 /SiO2 )は、70/30であり、液中の固形分濃度は、2重量%であった。
この後、実施例1と同様にして、ガラス板及び鏡の表面に塗膜を形成し、形成された塗膜の密着性、親水性及び防曇性の評価を行った。塗料組成を表1に、その結果を表2に示した。
【0047】
実施例3
超微粒子ルチル型酸化チタンの粉末を堺化学社製のSTR−60(平均粒径:20nm)に代えたほかは、実施例2と同様にして、塗料組成物を調製し、ガラス板及び鏡に塗膜を形成し、形成された塗膜の密着性、親水性及び防曇性の評価を行った。塗料組成を表1に、その結果を表2に示した。
【0048】
実施例4
超微粒子ルチル型酸化チタンの粉末を堺化学社製のSTR−40(平均粒径:27nm)に代えたほかは、実施例2と同様にして、塗料組成物を調製し、ガラス板及び鏡に塗膜を形成し、形成された塗膜の密着性、親水性及び防曇性の評価を行った。塗料組成を表1に、その結果を表2に示した。
【0049】
比較例1〜2
まず、超微粒子アターゼ型酸化チタンのゾル(堺化学社製、CSB 硝酸酸性:pH1以下、TiO2 :40重量%)を水及び若干の硝酸で希釈して、TiO2 の含有量を10重量%に調整し、さらに、このTiO2 含有溶液100重量部を純水250重量部で希釈した。
【0050】
この後、表1に示した割合で、バインダー及びエタノール(溶剤)を添加して実施例1、3と同様に塗料組成物を調製し、ガラス板及び鏡に塗膜を形成し、形成された塗膜の密着性、親水性及び防曇性の評価を行った。なお、実施例1の場合と同様に、ノニオン系界面活性剤を添加した。塗料組成を表1に、その結果を表2に示した。
【0051】
【表1】
Figure 0004552250
【0052】
【表2】
Figure 0004552250
【0053】
実施例5〜6
超微粒子ルチル型酸化チタンの粉末を10重量%含む溶液を調製せず、バインダーと硬化触媒とエタノールと純水とを表3に示す割合で混合して、第1層用の塗料組成物を調製した。なお、実施例1と同様に、ノニオン系界面活性剤(花王社製、エマルゲルMS−110)を加えた。
【0054】
次に、実施例2、3の場合と同様にして、超微粒子ルチル型酸化チタンを含む第2層用の塗料組成物を調製した。
このようにして、第1層用の塗料組成物と第2層用の塗料組成物とを調製した後、これらを使用して、塗膜を形成した。
まず、第1層用の塗料組成物に、エタノールで表面を脱脂、洗浄したポリカーボネート板(70×150×1.2mm)を侵漬した後引き上げ、その後110℃で30分間乾燥、硬化させることにより、第1層の塗膜を形成した。
【0055】
次に、第2層用の塗料組成物に、第1層が形成されたポリカーボネート板を侵漬した後引き上げ、その後110℃で30分間乾燥させることにより、第2層の塗膜を形成した。この後、実施例1の場合と同様にして、塗膜の密着性及び親水性の評価を行った。また、このポリカーボネート板を用い、息を吹きかける側と反対側に鏡を密着させて、実施例1と同様に防曇性を評価した。さらに、第1層の塗膜についても、密着性の評価を行った。塗料の組成を表3に、評価結果を表4に示した。
【0056】
比較例3〜4
実施例5、6と同様にして、第1層用の塗料組成物を調製した。また、比較例1、2の場合と同様にして、超微粒子ルチル型酸化チタンを含む第2層用の塗料組成物を調製した。この後、これらの塗料組成物を使用し、実施例5、6の場合と同様にポリカーボネート板に塗膜を形成し、形成された塗膜の密着性、親水性及び防曇性の評価を行った。塗料組成を表3に、その結果を表4に示した。
【0057】
【表3】
Figure 0004552250
【0058】
【表4】
Figure 0004552250
【0059】
表2及び表4に示した評価結果より明らかなように、本発明の塗料を用いることにより、ガラスやプラスチック等の基材に透明な塗膜を形成することができ、形成された塗膜は、塗膜形成直後から親水性を示し、防曇効果を示す。
【0060】
【発明の効果】
第一の本発明の塗料は、上述の構成よりなるので、ガラスや鏡等の基材の表面に密着性に優れた透明な塗膜を形成することができ、形成された塗膜は形成直後から親水性を示し、防曇効果を示す。
第二の本発明の塗料は、上述の構成よりなるので、プラスチック等の基材の表面に2層からなる密着性に優れた透明な塗膜を形成することができ、形成された塗膜は形成直後から親水性を示し、防曇機能を有する。また、チタン微粒子を含有しないプライマー層の上にルチル型チタン微粒子を含有する塗膜が形成されているので、基材がチタン含有塗膜により劣化するおそれがない。

Claims (6)

  1. バインダーとして、メチル基を含むオルガノモノシラン、硬化触媒として、塩酸又は硝酸、平均粒径が0.1μm以下のルチル型酸化チタン微粒子からなる粉末、及び、水を含む水性組成物からなることを特徴とする塗料。
  2. 基材上に、請求項1記載の塗料を塗布した後、室温〜300℃の温度で乾燥、硬化させることを特徴とする塗膜の形成方法。
  3. 請求項2記載の塗膜の形成方法により形成されたことを特徴とする塗膜。
  4. バインダーとして、メチル基を含むオルガノモノシラン及びメチル基を含むオルガノシランオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1種、並びに、硬化触媒として、酸、アルカリ、亜鉛化合物、チタン化合物及びジルコニウム化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む組成物からなる第1層用の塗料と、第2層に用いられる請求項1記載の塗料との2種類の塗料から構成されることを特徴とする塗料。
  5. 請求項4記載の塗料を用いた塗膜の形成方法であって、
    第1層用の塗料を基材上に塗布し、室温〜300℃の温度範囲で乾燥、硬化させて第1層を形成した後、前記第1層上に第2層用塗料を塗布し、室温〜300℃の温度範囲で乾燥、硬化させ、前記第1層上に第2層を形成することを特徴とする塗膜の形成方法。
  6. 請求項5記載の塗膜の形成方法により形成された第1層塗膜と第2層塗膜との2層からなることを特徴とする2層型塗膜。
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