JP4551577B2 - 乗用田植機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用田植機に係わり、詳しくは、ミッションケースにおけるクラッチ機構の潤滑構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の乗用型の田植機においては、エンジンからの動力を変速して前輪と後輪に動力を伝達するトランスミッションの主クラッチ機構は、ミッションケースのエンジン側の左右途中部に設けると共に、該クラッチ機構(以下「内部クラッチ機構」とする)の潤滑は、ミッションケース内に注入して循環させる潤滑油により行うようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記内部クラッチ機構は、ミッションケース内部に固設されているために、容易に着脱できず、製造時の組み立て性、点検時のメンテナンス性に劣る、という問題があり、加えて、アップダウンの激しい圃場などで作業する場合には、内部クラッチ機構に対する油面変化が著しく、油面から完全に上がってしまい、焼き付きが発生する、という問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
エンジン(5)からの動力をミッションケース(6)に入力し、該ミッションケース(6)内で変速して前輪(2)と後輪(3)に動力を伝達する乗用田植機において、前記ミッションケース(6)の一側面より入力軸となる伝達軸(56)を突出し、該伝達軸(56)の突出部にクラッチ機構(14)を設けると共に、該クラッチ機構(14)を収納するクラッチ室(87)とミッションケース(6)とを連通する油路(163)を、クラッチ機構(14)を配設するミッションケース(6)の壁面に設け、前記油路(163)は、安定走行姿勢(165)にあるミッションケース(6)の状態における潤滑油の油面(158a)と平行で前記伝達軸(56)の軸心を通過する水平線と、該水平線と前記伝達軸(56)の軸心で直交する垂直線との二本の線によって、機体進行方向側面視で伝達軸(56)の周囲で、前記クラッチ機構(14)を配設するミッションケース(6)の壁面を四つの分割面とし、反時計回りに、第一象限・第二象限・第三象限・第四象限とした場合に、第三象限(160)内に配設し、該ミッションケース(6)とクラッチ室(87)内の潤滑油は、該油路(163)を介して自在に循環可能とし、該ミッションケース(6)が前後に傾斜姿勢(166)の状態では、該ミッションケース(6)内の潤滑油の油面(158b)よりも、該クラッチ室(87)内の潤滑油の油面(159b)の方が高くなると共に、該油路(163)は該クラッチ室(87)内の油面(159b)よりも上方に位置し、該クラッチ室(87)が潤滑油の貯留タンクとなるように構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を基に説明する。図1は、本発明に係わる乗用田植機の全体側面図、図2は同じく平面図、図3は車体フレームへとミッションケースの概略斜視図、図4はエンジンとミッションケース間の概略斜視図、図5はミッションケース全体の左側面図、図6はミッションケース前部の左側面図、図7はミッションケース後部の左側面図、図8はミッションケース全体の平面展開断面図、図9はミッションケース前部の平面展開断面図、図10はミッションケース後部の平面展開断面図、図11はミッションケース前部における入力軸からPTO出力軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図、図12はクラッチ機構を示す平面展開断面図、図13はミッションケース前部における副変速軸から主変速軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図、図14は主変速軸のブレーキ機構を示す平面展開断面図、図15は主クラッチペダルによるクラッチ操作を示す機体前部の左側面図、図16は苗継ぎレバーによるクラッチ・ブレーキ操作を示す機体前部の左側面図、図17は主クラッチペダル・苗継ぎレバーによるクラッチ・ブレーキ操作を示す機体前部の平面図、図18はクラッチ機構の潤滑構成を示すミッションケース全体の左側面図、図19は安定走行姿勢におけるクラッチ室の油面位置を示すミッションケース前部の左側面図、図20は傾斜姿勢におけるクラッチ室の油面位置を示すミッションケース前部の左側面図である。
【0006】
初めに、本発明に係わる乗用田植機の全体構成について、図1乃至図3により説明する。乗用田植機は、走行車両1と、該走行車両1の後部に連結した植付部9とで構成されている。そして、走行車両1の前部及び後部にはそれぞれ前輪2と後輪3とが懸架され、車体フレーム4の前部には動力部であるエンジン5が搭載されている。
【0007】
該エンジン5後方の車体フレーム4の左右略中央には前後方向に長く形成したミッションケース6が配置されており、該ミッションケース6の前部に前輪2が支持され、後部に後輪3が支持されている。エンジン5を覆うボンネット22の両側には予備苗載台90が配設されると共に、車体カバー20によってミッションケース6等が覆われている。該車体カバー20の後上部には運転席7が設けられ、車体カバー20の前部のボンネット22の後方には操向ハンドル8が配設されている。
【0008】
前記植付部9は、4条植えとした苗載台91や複数の植付爪93等から構成されており、前高後低に配設した苗載台91を、下部レール95及びガイドレール96を介して植付伝動フレーム92に左右往復摺動自在に支持させると共に、ロータリケースの回転により先端が楕円状軌跡を描く植付爪93を、植付伝動フレーム92の後部に配設している。
従って、前輪2及び後輪3を走行駆動して移動させるとともに、左右に往復摺動可能な苗載台91から1株分の苗を植付爪93によって取り出し、連続的に苗植え作業が行えるようになっている。
【0009】
植付伝動フレーム92の前部には、ローリング支点軸17を介してヒッチ94が設けられ、該ヒッチ94は、ヒッチ94上部に枢支されているトップリンク11と、ヒッチ94下部に枢支されているロワーリンク12とを含む昇降リンク機構10を介して走行車両1の後部に連結されている。
【0010】
このうちトップリンク11は、背面視逆U字状のリアフレーム43の上部に軸支される一方、ロワーリンク12は、前部に側面視三角状の支持体12aを有し、該支持体12aの前部が、前記リアフレーム43の下部に軸支されると共に、支持体12aの上部には、昇降リンク機構10を昇降駆動させる昇降シリンダー15が連結されている。そして、リアフレーム43は、前記ミッションケース6の後部に一体的に設けられているリアアクスルケース38に、取付プレート39を介して連結されている。
【0011】
このような構成により、昇降リンク機構10昇降可能な平行リンクが形成されており、圃場の凹凸に合わせて昇降させても、植付けられた苗の植付け姿勢が変わらないようにしている。さらに、前記リアフレーム43は昇降リンク機構10の支持部としても兼用されており、植付部9の安定した昇降、部品点数の削減、構成のシンプル化が図られているのである。なお、前記支持体12aの上部とロワーリンク12の後端部との間には補強アーム12bが連結されており、ロワーリンク12の剛性を高めるようにしている。
【0012】
また、運転席7等が設置される車体カバー20には、主変速レバー75、苗継ぎレバー76、副変速レバー72、植付昇降レバー77、主クラッチペダル74、ブレーキペダル73等が配設され、植付部9の下部には、植付部9を一定の高さに保持する均平用のセンターフロート97とサイドフロート98・99が配設されている。前記センターフロート97は、走行車両1の左右中心線上に配置され、センターフロート97の左右対称位置にサイドフロート98・99が配設されて、植付部9の左右のバランスを良好に保ち、植え付け姿勢を安定させて、正確に植え付けができるようにしている。
【0013】
次に、このような全体構成を有する乗用田植機において、ミッションケース6に係わる各部の構成について説明する。まず、ミッションケース6の走行車両1への取付け構成について、図1乃至図4により説明する。ミッションケース6を取り付ける前記車体フレーム4は、平面視拡開した略U字状をなすフロントフレーム40と、ミッションケース6と平行に前後方向に形成された左右一対のサイドフレーム41・42と、前記リアフレーム43とから構成されている。そして、サイドフレーム41・42の前端部は、フロントフレーム40背面に連結されると共に、サイドフレーム41・42の前後方向略中央部41a・42aより後方側は、上方に向かって屈曲形成された上、該サイドフレーム41・42の後端部には、前記リアフレーム43の閉塞側上部が連結されている。
【0014】
前記前後方向略中央部41a・42aよりも後方には、センター連結フレーム46が横架され、前後方向略中央部41a・42aよりも前方には、フロント連結フレーム45が横架されており、該フロント連結フレーム45の両側端部と前記フロントフレーム40の両側端部との間には、平面視L字状に曲げたステー29が介設固定されている。そして、該ステー29の外側には角パイプ状の保持部28が固定され、該保持部28に前記予備苗載台90の支柱90aが嵌入して固定されるようにしている。
【0015】
なお、フロント連結フレーム45でサイドフレーム41・42より両側方への延出部には、補強板47が設けられており、該補強板47により、前記保持部28とサイドフレーム41・42との間は強固に連結され、予備苗載台90の支柱90aを確実に支持固定できるようにしている。
【0016】
また、フロントフレーム40の左右中央より後下方に向かって平板状の支持部材50が略水平に延設され、該支持部材50上に前記エンジン5が載置固定されている。そして、支持部材50の後端部は前記連結フレーム45によって支持されると共に、支持部材50には、前から順に開口部50a・50bが穿設されている。
【0017】
前記開口部50a・50bは、機体全体の軽量化を図るとともに、エンジン5の放熱効果を促進するためのものである。また、この支持部材50は平板状であるため、エンジン5下部の保護カバーとしても利用でき、別途保護カバーを設ける場合に比べて、部品点数の削減、軽量化することができ、さらには組立工数を減らすこともでき、コストダウンが図れるようになっている。
【0018】
このような構成において、ミッションケース6の前端部は、前記支持部材50の後端部上面に設けられた取付部材49に連結されると共に、ミッションケース6の前後途中部は、前記センター連結フレーム46の機体幅方向略中央に設けられた取付部材48の下部に連結されている。なお、該取付部材48の上部には、前記植付部9を昇降させる油圧式の昇降シリンダー15の基部が連結されている。さらに、前述の如く、ミッションケース6の後部は、一体的に設けられたリアアクスルケース38を介して、取付プレート39によってリアフレーム43下端に連結されている。
【0019】
すなわち、車体フレーム4にミッションケース6の前、後、中央を連結することにより、ミッションケース6を、車体フレーム4と共に田植機の有効な強度補強部材として機能させ、車体フレーム4の水平、垂直、ねじり方向の剛性及び強度を大きく向上するようにしているのである。
【0020】
次に、ミッションケース6の概略構造について、図1、図5乃至図10により説明する。ミッションケース6の前部には、各種変速機構が内設される変速室60が形成され、該変速室60の左右両側面にはフロントアクスルケース37が一体的に固設されている。該フロントアクスルケース37の左右端部より下方に向かっては、車軸ケースが固設され、該車軸ケースの下端部に前輪2を固設する前車輪軸66が軸支されている。
【0021】
一方、前述の如く、ミッションケース6の後端部には、軸芯を左右方向に持つ筒状のリアアクスルケース38が一体的に形成され、該リアアクスルケース38内には、前から順に、サイドクラッチ機構79、中間軸31が設けられている。該中間軸31の左右両端部には減速ギア32が固設され、該減速ギア32は減速ギア33に噛合され、該減速ギア33は、前記後輪3を外側端部に固設した後車輪駆動軸69の内側端部に固設されている。そして、これら減速ギア32・33の外側には、後車輪駆動軸69を軸支するファイナルケース16が覆設されている。
【0022】
このように、フロントアクスルケース37とリアアクスルケース38とをミッションケース6に一体的に設けると、ミッションケース6により前後車輪2・3を支持することができ、前述のように機体強度補強部材としてのフレームの一部を担うことができるので、車体フレーム4への負担を軽減することができる。
【0023】
また、前記変速室60の右側部には、植付伝達室34が形成され、該植付伝達室34の後部には前後方向に軸芯を有する植付PTO軸65が軸支されており、該植付PTO軸65後端は、図示せぬPTO伝動軸等を介して前記植付部9に連結され、苗植え装置駆動のための動力を伝達するようにしている。同様にして、変速室60の左側部にも、施肥伝達室201が形成され、該施肥伝達室201の後部に前後方向に軸芯を有する施肥PTO軸202が軸支され、該施肥PTO軸202後端は、変速機等を介して、運転席7後方の側条施肥機205に連結され、該側条施肥機205駆動のための動力を伝達するようにしている。このように、植付PTO軸65・施肥PTO軸202は、いずれもミッションケース6の側面から後方に向かって延出されているため、植付部9を昇降させたときにも干渉されることがなく、動力を安定して伝達することができる。
【0024】
次に、このようなミッションケース6内への動力入力構成について、図1、図3、図4により説明する。前記支持部材50上にはエンジン5が載置固定されると共に、該エンジン5から左側方には出力軸52が突出され、該出力軸52上に、一対の皿状の円錐プーリからなる駆動プーリ53が固設されている。
【0025】
一方、前記ミッションケース6前部からは入力軸56が側方に突出され、該入力軸56にも、同様にして一対の皿状の円錐プーリからなる従動プーリ55が取り付けられると共に、該従動プーリ55と前記駆動プーリ53との間にはベルト54が巻回されて、ベルト式無段変速機構13が形成されている。
【0026】
そして、該ベルト式無段変速機構13において、前記円錐プーリ間に形成される溝幅を変更することにより、各プーリ53・55の有効径を自在に変化させ、ミッションケース6内へ、エンジン5からの動力を変速して入力できるようにしている。
【0027】
次に、ミッションケース6内における動力伝達構成ついて、図4乃至図6、図9乃至図11、図13により説明する。図4乃至図6、図11に示すように、前記変速室60においては、入力軸56の斜め下後方に、副変速軸63、主変速軸61が順に平行に軸支され、さらに、このうちの副変速軸63の後方には、後進軸67、株間変速軸68、PTO出力軸64も順に平行に軸支されている。
【0028】
このうちの入力軸56の一端は、前述の如く、ベルト式無段変速機構13を介してエンジン5の出力軸52に連結連動されており、該エンジン5側の駆動プーリ53とミッションケース6側の従動プーリ55とは略直線上に配設され、前輪2及び後輪3に動力を伝達する動力伝達経路が省スペースで効率のよい配置構成となっている。
【0029】
また、入力軸56の他端は、ミッションケース6より右外側方に突出され、該突出部にはクラッチ機構14が設けられる一方、入力軸56上の左右略中央には、大径ギア121a・小径ギア121bからなる二連の遊嵌ギア121が配置されており、後で詳述するクラッチ機構14により、入力軸56から遊嵌ギア121までの動力伝達が断接できるようにしている。
【0030】
すなわち、エンジン5からの動力をミッションケース6に入力し、該ミッションケース6内で変速して前輪2と後輪3に動力を伝達する乗用田植機において、ミッションケース6の一側面より入力軸56となる伝達軸を突出し、該伝達軸の突出部にクラッチ機構14を設けたので、該クラッチ機構14に外部から容易にアクセスすることができ、クラッチ機構をミッションケース6内部に設けた場合に比べ、製造時の組み立て性、点検時のメンテナンス性が向上する。
【0031】
また、エンジン5からの動力をミッションケース6に入力し、該ミッションケース6内で変速して前輪2と後輪3に動力を伝達する乗用田植機において、ミッションケース6の両側面より入力軸56を突出し、該入力軸56の一側には、前記エンジン5との間の変速機構であるベルト式無段変速機構13を設け、他側には、クラッチ機構14を設けたので、機体の左右バランスが良くなり走行安定性が向上し、また、機体幅を狭くして小型化を図ることができる。更には、前記変速機構の仕様変更、例えば、ベルト式無段変速機構13から油圧式無段変速機構への変更に対しては、クラッチ機構14はそのままで変速機構の変更のみで対応でき、クラッチ機構の共有化による部品コストの低減を図ることができる。
【0032】
図11、図13に示すように、副変速軸63上には、右側から順に、前記遊嵌ギア121に噛合可能でスプライン嵌合した二連の摺動ギア120と、固定ギア118と、大径ギア119a・小径ギア119bからなる固定ギア119とが配置され、そのうちの摺動ギア120には、シフトフォーク101が嵌合されている。該シフトフォーク101はフォーク軸102に固設され、該フォーク軸102は前記副変速レバー72に連結連動している。
【0033】
ここで、摺動ギア120は低速ギア120aと高速ギア120bとから構成されており、副変速レバー72を操作して摺動ギア120を右方に摺動し、摺動ギア120の低速ギア120aを前記遊嵌ギア121の小径ギア121bと噛合させることにより、低速伝達可能としている。逆に、摺動ギア120を左方に摺動し、摺動ギア120の高速ギア120bを前記遊嵌ギア121の大径ギア121aと噛合させることにより、高速伝達可能として、副変速機構70を構成している。
【0034】
図5、図9、図10、図13に示すように、主変速軸61上の左右略中央には、ギア122aと駆動スプロケット122bからなる動力分岐ギア122が固設されており、該動力分岐ギア122の左側には前記固定ギア119に噛合可能な二連の摺動ギア124が配置されている。該摺動ギア124にもシフトフォーク103が嵌合され、該シフトフォーク103はフォーク軸104に固設され、該フォーク軸104は前記主変速レバー75に連結連動されている。さらに、主変速軸61の右側端部にはブレーキ機構78が設けられており、該ブレーキ機構78により、主変速軸61を制動する。
【0035】
ここで、摺動ギア124は低速ギア124aと高速ギア124bとから構成されており、主変速レバー75を操作して摺動ギア124を右方に摺動し、摺動ギア124の高速ギア124bを、前記固定ギア119の大径ギア119aと噛合させることにより、高速伝達可能としている。逆に、摺動ギア124を左方に摺動し、摺動ギア124の低速ギア124aを前記固定ギア119の小径ギア119bと噛合させることにより、低速伝達可能として、主変速機構71を構成しているのである。
【0036】
そして、主変速軸61上の駆動スプロケット122bとミッションケース6後部の従動スプロケット126との間には、チェーン張り86により張設されたチェーン80が巻回され、主変速軸61の駆動力が後車輪駆動軸69に伝達できるようにする一方、主変速軸61上のギア122aには、左右の前車輪駆動軸62を駆動する差動装置81のリングギア123が噛合されており、動力分岐ギア122を用いて動力を前後2方向に分岐するようにしている。
【0037】
また、図9に示すように、該差動装置81側部にはデフロック機構84が配置されている。該デフロック機構84においては、リングギア123の側端部にロック用のギア123aが形成され、該ギア123aに前車輪駆動軸62上にスプライン係合されているロック体136側面の噛合歯136aが係合可能となっている。該ロック体136はバネ85によって外側に付勢され、前車輪駆動軸62の段差部に当接するように付勢されている。この位置では、リングギア123のギア123aとロック体136側面の噛合歯136aとが係合されない非係合位置となっており、左右の前車輪駆動軸62・62が差動される。
【0038】
前記ロック体136外周面の外側には溝136bが形成され、ミッションケース6に枢支したロック操作ピン137先部が係合されている。該ロック操作ピン137先部には、片側を半円状にした当接部137aが形成される一方、逆側は凹状部137bが形成され、さらに、ロック操作ピン137基部にはアーム138が突設されている。
【0039】
前記アーム138は、図9に示す状態では、ロック操作ピン137の当接部137aがロック体136の溝136bに位置し、ロック体136をリングギア123に対して非係合位置に位置させている。そして、アーム138が、図示せぬデフロック操作ペダルに連動して回動され、ロック操作ピン137が回転されると、当接部137aでロック体136を押して、噛合歯136aとギア123aとが係合される。この係合によって、リングギア123がロック体136を介して前車輪駆動軸62に係合された、いわゆる「差動装置81のロック状態」となり、左右の前車輪駆動軸62・62が差動されないデフロック機構84が構成されている。
【0040】
また、図11、図13に示すように、後進軸67上の左半分には、中間ギア127が固設され、該中間ギア127は、前記副変速軸63上の固定ギア118と常時噛合する入力ギア127aと、大径ギア127b・小径ギア127dと、逆転ギア127cとからなり、該逆転ギア127cは、前記主変速軸61上の低速ギア124aと噛合可能である。
【0041】
ここで、主変速レバー75を操作して、主変速軸61の低速ギア124aを副変速軸63の固定ギア119から離脱させて更に左方に摺動させると、この主変速軸61の低速ギア124aは、後進軸67の逆転ギア127cと噛合するようになり、入力軸56から副変速軸63まで伝達されてきた駆動力は、副変速軸63→固定ギア118→入力ギア127a→後進軸67→逆転ギア127c→低速ギア124a→主変速軸61のように伝達される。つまり、駆動力はそのまま主変速軸61には伝達されず、後進軸67で一旦回転方向が逆転された後、逆転の駆動力として主変速軸61に伝達されるのである。
【0042】
そして、図11に示すように、株間変速軸68上の右半分には、第一ギア131a・第二ギア131b・第三ギア131cからなる固定ギア131が配置され、左半分には、株間変速用の爪式クラッチ82が設けられている。該爪式クラッチ82においては、株間変速軸68上に、内側面に噛合歯を固設した高速クラッチギア129と低速クラッチギア130とが遊嵌され、そのうち高速クラッチギア129は前記大径ギア127bに、低速クラッチギア130は前記小径ギア127dに常時噛合されている。さらに、この高速クラッチギア129と低速クラッチギア130との間には、左右両側面に噛合歯を固設した摺動クラッチ爪128がスプライン嵌合されると共に、該摺動クラッチ爪128には、シフトフォーク106が嵌合され、該シフトフォーク106は、フォーク軸107上を移動可能に外嵌され、図示せぬ操作手段に連結連動されている。
【0043】
ここで、該操作手段を操作して摺動クラッチ爪128を右方に摺動し、摺動クラッチ爪128の噛合歯を高速クラッチギア129の噛合歯に係合させることにより、前記後進軸67に入力された駆動力は、大径ギア127b→高速クラッチギア129→摺動クラッチ爪128→株間変速軸68→固定ギア131のようにして高速伝達可能としている。逆に、摺動クラッチ爪128を左方に摺動し、摺動クラッチ爪128の噛合歯を低速クラッチギア130の噛合歯に係合させることにより、前記後進軸67に入力された駆動力は、小径ギア127d→低速クラッチギア130→摺動クラッチ爪128→株間変速軸68→固定ギア131のように低速伝達可能としている。
【0044】
また、図9、図11に示すように、PTO出力軸64の右半分には筒体108が遊嵌され、該筒体108の外周には、スプライン嵌合した摺動ギア132と、前記第三ギア131cに常時噛合する遊嵌ギア133とが外嵌されている。該摺動ギア132にはシフトフォーク105が嵌合されており、該シフトフォーク105は、前記フォーク軸107上を左右動可能に外嵌されると共に、図示せぬ操作手段に連結連動されている。
【0045】
さらに、筒体108の左方には、PTO出力軸64への駆動力の断接を行うPTOクラッチ83が設けられている。該PTOクラッチ83においては、右側面に噛合歯を固設した摺動クラッチ爪134が、PTO出力軸64にスプライン嵌合された上、押圧バネ111により、筒体108の左側端に固設したクラッチギア135の噛合歯に係合する方向に付勢されており、さらに、摺動クラッチ爪134には、フォーク109が嵌合され、該フォーク109はミッションケース6に軸支される操作軸110に連結されている。そして、該操作軸110には、PTOクラッチレバーを兼用する前記植付昇降レバー77が連結連動されている。
【0046】
ここで、摺動ギア132を左方に摺動して、摺動ギア132の左側面からの突出部132aを、遊嵌ギア133に開口した受け孔部133aに係合すると、それまで小径の前記第一ギア131aまたは第二ギア131b→摺動ギア132→筒体108と伝達されてきた駆動力は、大径の第三ギア131c→遊嵌ギア133→摺動ギア132→筒体108の順で伝達されるようになり、筒体108の回転速度を変速することができる。
【0047】
そして、植付昇降レバー77を操作して摺動クラッチ爪134を左方に摺動させることにより、該摺動クラッチ爪134の噛合歯と前記筒体108のクラッチギア135の噛合歯との係合を解除して、筒体108→クラッチギア135→摺動クラッチ爪134→PTO出力軸64という動力伝達経路を切断可能として、PTOクラッチ83を形成している。
【0048】
次に、前記クラッチ機構14について、図6、図11、図12により詳細に説明する。入力軸56はミッションケース6より右外側方に向かって突出され、この突出部には、右外側方に開放した腕状の回動体145が着脱自在に設けられ、該回動体145の外周側面には、ドーナツ状の摩擦板145aが所定間隔で平行に積層固定されている。そして、該摩擦板145aの外周部に形成された隙間には、外方に設けたドーナツ状の摩擦板146aの内周部が、交互に挿入されると共に、該摩擦板146aの外周部は、腕状のクラッチ146の内周側面に固設され、該クラッチ146は、前記遊嵌ギア121の右端部に着脱自在に設けられている。
【0049】
これら回動体145、クラッチ146は入力軸56に着脱自在に軸支され、該入力軸56は、遊嵌ギア121を介してベアリングなどの軸受け147により回動可能に支持されている。そして、該軸受け147は、ミッションケース6の右側面に形成した凹部6aの底面よりも内側、つまりミッションケース6内部に配設されるようにしている。これにより、回動体145、クラッチ146などから成るクラッチ機構14を入力軸56から取り外した後でも、該入力軸56はミッションケース6に保持される。
【0050】
すなわち、ミッションケース6の少なくとも一側面より入力軸56となる伝達軸を突出し、該伝達軸の突出部にはクラッチ機構14を着脱自在に設けると共に、伝達軸を支持する支持体である軸受け147はミッションケース6内部に設けるので、クラッチ機構14を取り外した状態でも、入力軸56は常に定位置に組み込まれた状態にあり、クラッチ機構14の組み立て時、点検時の取り扱い性を大幅に向上することができる。
【0051】
さらに、クラッチ機構14を設けた凹部6aには、該クラッチ機構14とともにクラッチ室87を形成するクラッチカバー139が覆設されており、該クラッチカバー139は、ボルトなどの連結部材154によって着脱自在に固設されている。すなわち、ミッションケース6の一側面より入力軸56となる伝達軸を突出し、該伝達軸の突出部にクラッチ機構14を設けた乗用田植機において、該クラッチ機構14は、連結部材154等により着脱可能なカバー部材であるクラッチカバー139により覆設されるので、該クラッチカバー139を取り外すだけで容易にクラッチ機構14内部を露出させることができ、点検時のメンテナンス性に優れ、しかも、泥水等の侵入等も確実に防止できる。
【0052】
そして、クラッチカバー139内で前記入力軸56と同軸上には、入力軸56に向かって摺動可能な加圧軸149が挿設され、該加圧軸149には、制御板142が軸受け150により回動可能に外嵌されている。該制御板142は、大径の外板151と小径の内板152とから構成される。そのうち外板151の外周縁には平面視L字状の摩擦部151aが形成され、該摩擦部151aの側方には、前記クラッチ146の摩擦板146aよりも外側に固設したドーナツ状の摩擦板146bに近接して配置している。
【0053】
また、内板152の一部には、連結部材153により加圧体144が固定され、該加圧体144は前記回動体145の外周面にスプライン嵌合されると共に、この回動体145に設けたバネ受け145bと、内板152の内側面との間には、クラッチバネ143が介設されている。
【0054】
一方、加圧軸149の頭部には、該加圧軸149に直交してクラッチ操作ピン141が係合されており、該クラッチ操作ピン141の基部よりアーム140が突設されている。詳しくは、該クラッチ操作ピン141途中部の片側半分に、凹状の凹部141aが形成され、該凹部141aに前記加圧軸149の頭部が係合する構造となっている。
【0055】
このような構成において、通常は、図12に示すように、加圧軸149の頭部がクラッチ操作ピン141の凹部141aに位置しており、前記クラッチバネ143によって、内板152が外側方に付勢して押し出されると共に、該内板152に連結されている加圧体144の加圧部144aが、回動体145の当て板部145cとの間に前記摩擦板145a・146aを挟持した上で加圧するようにしている。なお、内板152は外板151と共に制御板142を構成する。
【0056】
これにより、回動体145が摩擦板145a・146aを介してクラッチ146と連結連動されて「クラッチ入」となり、エンジン5からミッションケース6内に入力された駆動力は、入力軸56→回動体145→クラッチ146→遊嵌ギア121→摺動ギア120→副変速軸63のようにして副変速軸63に駆動力が伝達されるのである。なお、この時、外板151も外側方に付勢されるため、該外板151の摩擦部151aは、クラッチ146の摩擦板146aと接触せずに離間した位置にあり、クラッチ146は自在に回動することができる。
【0057】
そして、アーム140が、前記主クラッチペダル74、苗継ぎレバー76に連動して回動されて、クラッチ操作ピン141が回動されると、前記凹部141aの反対側の外周部に相当する当接部141bにより、加圧軸149の頭部が押され、該加圧軸149に外嵌された制御板142も内側方に押し込まれる。
【0058】
すると、内板152が、前記クラッチバネ143の弾性力に抗して内側方に移動されると共に、内板152に連結された加圧体144の加圧部144aも、前記摩擦板145a・146aから離間する。これにより、回動体145とクラッチ146との連結が切断されて「クラッチ切」となり、エンジン5からの駆動力は入力軸56から副変速軸63には伝達されなくなって、動力断接機構が構成されている。同時に、内板152と一体的に形成された外板151も内側方に移動され、該外板151の摩擦部151aがクラッチ146の摩擦板146bに加圧され、クラッチ146の回動が制動されるようにして、制動機構が構成されている。
【0059】
このような動力断接機構と制動機構とからクラッチ機構14は構成されており、「クラッチ切」時には、クラッチ146の回動を間違いなく停止させ、下流への動力伝達を確実に防止できるようにしている。
【0060】
また、入力軸56より一軸伝動下流側には前記副変速軸63が軸支され、該副変速軸63は、ミッションケース6内に設けた軸受け148により支持されると共に、該軸受け148は、前記クラッチ146の外径146aと、側面視で一部重なるように構成している。
【0061】
すなわち、伝達軸である入力軸56より一軸伝動下流側の隣接伝達軸である副変速軸63を支持する隣接支持体である軸受け148は、側面視で前記クラッチ機構14のクラッチ146外径に少なくとも一部重なると共に、該隣接支持体はミッションケース6内部に設けるので、入力軸56と副変速軸63の軸間距離を短くすることができ、必要なギア径が小さくなり、ミッションケース6前端部の小型化を図ることができるのである。
【0062】
次に、前記ブレーキ機構78及びその操作構成について、図6、図12、図14乃至図17により説明する。図6、図14に示すように、前述の如く、主変速軸61上の左右略中央には動力分岐ギア122が固設されると共に、該動力分岐ギア122の右側方の主変速軸61上には、摩擦板61aが所定間隔で平行に積層固定されている。そして、該摩擦板61aの外周部に形成された隙間には摩擦板168が交互に挿入され、該摩擦板168は、ミッションケース6の側壁に係止して回り止めされており、これら摩擦板61a・168は、押圧板169の右側面と、ミッションケース6の側壁に固設した当て部材167の左側面との間に配設されている。
【0063】
前記押圧板169は平面視半円状の半割部170aに固設され、該半割部170aは円筒状の操作軸170の下部に形成され、該操作軸170はミッションケース6内に上下方向に水平回動可能に軸支されると共に、ミッションケース6上部より突設されている。そして、この操作軸170を回動することにより、前記押圧板169が摩擦板61a・168を当て部材167との間に挟持した上で加圧し、摩擦板61aを有する主変速軸61の回動が制動されるようにして、ブレーキ機構78を構成している。
【0064】
このような構成からなるブレーキ機構78を作動させると、入力軸56→副変速軸63→主変速軸61→前車輪駆動軸62・後車輪駆動軸69と伝達されるべき駆動力は、主変速軸61の段階で制動されるため、たとえ前記副変速機構70・主変速機構71が中立位置にあっても、前車輪駆動軸62・後車輪駆動軸69は空回りすることなくブレーキをかけることができるのである。
【0065】
すなわち、エンジン5からの動力をミッションケース6に入力し、該ミッションケース6内で変速して前輪2と後輪3に動力を伝達する乗用田植機において、ミッションケース6内への入力軸56よりも伝動下流側にブレーキ機構78を設け、該ブレーキ機構78は、前記前輪2と後輪3への動力分岐部である主変速軸61に配設したので、ブレーキ機構を作動させると、変速機構70・71が中立位置の場合であっても、車輪2・3が回転することなく、確実に走行車両1を停止することができる。
【0066】
また、ミッションケース6の左右一側方にブレーキ機構78を配設すると共に、該ブレーキ機構78の操作軸をミッションケース上部より突設したので、該操作軸を左右側方に突設する場合に比べて、ミッションケース6の左右幅を小さくすることができ、機体のコンパクト化を図ることができるのである。
【0067】
さらに、ブレーキ機構78は、ミッションケース6の側壁内方近傍に設けるので、ブレーキ機構78を作動させるための機構の一部、例えば当て部材167などをミッションケース6で支持することができ、部品点数の削減によるコストダウンや組み立て性の向上を図ることができる。
【0068】
ここで、該ブレーキ機構78や前記クラッチ機構14に対する苗継ぎレバー76や主クラッチペダル74による操作構成について説明する。図12、図14、図16、図17に示すように、苗継ぎレバー76の基部は、支持部材173に前後に横架した左右回動軸171上に固設されると共に、前記支持部材173はエンジン5後部に左右に設けた支点軸172上に枢支され、該支点軸172下部には側面視く字状の操作板174が垂設されている。
【0069】
前記操作板174の前下端部174aは、リンク175を介して左連結アーム177の先部に連結され、該左連結アーム177の基部は、前記支持部材50の後部に横架された枢支軸176の左端部に固設されている。該枢支軸176の右端部は、前記サイドフレーム41に回動可能に支持されると共に、右連結アーム178の基部と連結され、該右連結アーム178の先部からは、後方に向かってリンク179が延出されて、前記クラッチ操作ピン141を操作するアーム140に連結されている。一方、操作板174の後下端部174bは、リンク180を介し、水平回動可能に設けたアーム181の先部に連結され、該アーム181の基部は、ミッションケース6上面より突出した前記操作軸170上部に固設されている。
【0070】
このような構成において、図16、図17に示すように、苗継ぎレバー76を手前に操作して後方に傾倒させると、操作板174は支点軸172を中心にして左側面視で時計回りに回動し、リンク180を介してアーム181は前方に牽引され、前記ブレーキ機構78の操作軸170は、図14に示すように、平面視で時計回りに回動する。すると、押圧板169が摩擦板61a・168を当て部材167との間で加圧し、摩擦板61aを有する主変速軸61の回動が制動され、ブレーキ機構78が作動する。
【0071】
同時に、操作板174の回動によって、リンク175→左連結アーム177→枢支軸176→右連結アーム178→リンク179と伝達された操作力は、アーム140を前方に回動し、前記クラッチ機構14のクラッチ操作ピン141を回動する。すると、図12に示すように、当接部141bにより、加圧軸149を介して制御板142が内側方に押し込まれ、内板152がクラッチバネ143の弾性力に抗して内側方に移動されて、加圧体144の加圧部144aが摩擦板145a・146aから離間し、回動体145とクラッチ146との連結が切断されて「クラッチ切」となり、クラッチ機構14が作動する。
【0072】
すなわち、苗継ぎレバー76を操作するだけで、前記クラッチ機構14とブレーキ機構78とが同時に作動し、ミッションケース内への動力を切断すると共に機体全体にブレーキがかけられるようにしており、トラック荷台への走行車両の積込みや積下ろし時などの作業が迅速かつ容易に行うことができる。
【0073】
また、図12、図15、図17に示すように、主クラッチペダル74の基部は、サイドフレーム42に左右に設けた支点軸182上に枢支され、該支点軸182には連結アーム183が固設され、該連結アーム183上部に立設する取付部183aはリンク184を介して左連結アーム187の先部に連結されている。そして、該左連結アーム187の基部は、左右のサイドフレーム41・42間に回動可能に横架した枢支軸185の左端部に固設され、該枢支軸185の右端部は、右連結アーム188の基部と連結され、該右連結アーム188の先部からは、前方に向かってリンク186が延出されて、前記クラッチ操作ピン141を操作するアーム140に連結されている。
【0074】
このような構成において、図15、図17に示すように、主クラッチペダル74を踏み込むと、連結アーム183の取付部183aは支点軸182を中心にして反時計回りに回動し、リンク184→左連結アーム187→枢支軸185→右連結アーム188→リンク186と伝達された操作力は、アーム140を後方に牽引し、前記クラッチ機構14のクラッチ操作ピン141を回動する。すると、前述の苗継ぎレバー76を操作した場合と同様にして、クラッチ機構14が作動する。
【0075】
すなわち、クラッチ機構14の作動を、苗継ぎレバー76と主クラッチペダル74の両者で可能としており、機体に乗ったまま又は降りたままでもそれらの操作が可能で、また、手動操作具であるレバーと足動操作具であるペダルなので両者を識別して操作することが容易になって誤操作がないようにしている。
【0076】
次に、このような動力伝達が可能なミッションケース6内の潤滑構成について、図8、図12、図13、図18乃至図20により説明する。図8、図13、図18に示すように、図示せぬコントロールバルブからの戻り油管155が、ミッションケース6の前後略中央の右側面に設けられると共に、ミッションケース6内の潤滑油を吸引するためのサクション管156が、ミッションケース6前部の変速室60下部に設けられ、該変速室60の主変速軸61の斜め後方に介装した筒状のサクションフィルター157側部に連通されている。これにより、ミッションケース6下部からミッションケース6上部途中部の変速室60までの領域に、潤滑油を貯留可能としたタンクが形成される。
【0077】
さらには、戻り油管155とサクション管156とがチェーン80を挟んで対向するように配設されているため、戻り油管155からミッションケース6内に戻される高温の潤滑油は、チェーン80の駆動によって後下方に送って攪拌され、ミッションケース6内を対流する間に十分に冷却効果を発揮する。従って、高温の潤滑油が前方のサクション管156側へすぐに移動することなく、ミッションケース6内の油温をほぼ均一にできるようにしている。
【0078】
そして、図12、図18に示すように、前記クラッチ機構14を収納したミッションケース6の凹部6aの下部側面の壁面6bには貫通孔を穿設して油路163が形成され、該油路163を介して、ミッションケース6内の潤滑油がクラッチ室87内に流入、またはクラッチ室87内から流出するようにしている。
【0079】
すなわち、エンジン5からの動力をミッションケース6に入力し、該ミッションケース6内で変速して前輪2と後輪3に動力を伝達する乗用田植機において、ミッションケース6の一側面より入力軸56となる伝達軸を突出し、該伝達軸の突出部にクラッチ機構14を設けると共に、該クラッチ機構14を収納するクラッチ室87とミッションケース6とを連通する油路163を、クラッチ機構14を配設するミッションケース6の壁面6bに設けたので、クラッチ機構14をミッションケース6内部に設けた場合に比べ、製造時の組み立て性、点検時のメンテナンス性が向上するばかりでなく、クラッチ室87が潤滑油の貯留タンクとして機能し、しかも、より大型の貯留タンクといえるミッションケース6から、油路163を介して十分な量の潤滑油が循環されるため、アップダウンの激しい圃場などで作業して油面変化が著しい場合であっても、摩擦板145a・146a、摩擦部146bなどの摩擦部分における焼き付きを確実に防止することができるのである。
【0080】
ここで、図19に示すように、通常の平坦な圃場を作業中または走行中のミッションケース6は姿勢165(以下「安定走行姿勢」とする)の状態にあり、この時、前記油路163は第三象限160内に配設されるようにしている。この場合、ミッションケース6内とクラッチ室87内の潤滑油は、その油面158a・159aは同一高さにあり、油路163を介して自在に循環可能であるため、この安定走行姿勢165においては、クラッチ室87内の摩擦部分には十分な量の潤滑油を供給することができる。
【0081】
そして、図20に示すように、機体前部が大きく持ち上がり、ミッションケース6が姿勢166(以下「傾斜姿勢」とする)の状態となった場合には、ミッションケース6内の潤滑油の油面158bよりもクラッチ室87内の潤滑油の油面159bの方が高くなると共に、油路163は該油面159bよりも上方に位置する。そのため、前述の如く、クラッチ室87が潤滑油の貯留タンクとして機能するようになり、所定量の潤滑油がクラッチ室87内に確保される。
【0082】
なお、油路が第一象限、第二象限に位置する場合161・162には、安定走行姿勢165・傾斜姿勢166のいずれにおいても、常に油面159a・159bよりも上方に位置するため、ミッションケース6内からクラッチ室87内への潤滑油の供給が不可能であり、また、油路が第四象限に位置する場合164には、傾斜姿勢166において、該油路164を介してクラッチ室87内の潤滑油がミッションケース6内に流下して、クラッチ室87が潤滑油の貯留タンクとして機能せず、所定量の潤滑油がクラッチ室87内に確保できなくなるのである。
【0083】
すなわち、油路は、安定走行姿勢165にあるミッションケース6において、機体進行方向左側面視で前記壁面である壁面6bの第三象限内に配設するので、たとえ、機体前部が大きく持ち上がりミッションケース6が大きく傾斜しても、油路163は油面159bよりも上方に位置し、しかも、クラッチ室87が潤滑油の貯留タンクとして機能するため、所定量の潤滑油をクラッチ室87内に確保することができ、摩擦部分における焼き付きを確実に防止することができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏する。
エンジン(5)からの動力をミッションケース(6)に入力し、該ミッションケース(6)内で変速して前輪(2)と後輪(3)に動力を伝達する乗用田植機において、前記ミッションケース(6)の一側面より入力軸となる伝達軸(56)を突出し、該伝達軸(56)の突出部にクラッチ機構(14)を設けると共に、該クラッチ機構(14)を収納するクラッチ室(87)とミッションケース(6)とを連通する油路(163)を、クラッチ機構(14)を配設するミッションケース(6)の壁面に設け、前記油路(163)は、安定走行姿勢(165)にあるミッションケース(6)の状態における潤滑油の油面(158a)と平行で前記伝達軸(56)の軸心を通過する水平線と、該水平線と前記伝達軸(56)の軸心で直交する垂直線との二本の線によって、機体進行方向側面視で伝達軸(56)の周囲で、前記クラッチ機構(14)を配設するミッションケース(6)の壁面を四つの分割面とし、反時計回りに、第一象限・第二象限・第三象限・第四象限とした場合に、第三象限(160)内に配設し、該ミッションケース(6)とクラッチ室(87)内の潤滑油は、該油路(163)を介して自在に循環可能とし、該ミッションケース(6)が前後に傾斜姿勢(166)の状態では、該ミッションケース(6)内の潤滑油の油面(158b)よりも、該クラッチ室(87)内の潤滑油の油面(159b)の方が高くなると共に、該油路(163)は該クラッチ室(87)内の油面(159b)よりも上方に位置し、該クラッチ室(87)が潤滑油の貯留タンクとなるように構成したので、クラッチ機構をミッションケース内部に設けた場合に比べ、製造時の組み立て性、点検時のメンテナンス性が向上するばかりでなく、クラッチ室が潤滑油の貯留タンクとして機能し、しかも、より大型の貯留タンクといえるミッションケースから、油路を介して十分な量の潤滑油が循環されるため、アップダウンの激しい圃場などで作業して油面変化が著しい場合であっても、摩擦板、摩擦部などの摩擦部分における焼き付きを確実に防止することができるのである。
【0085】
また、たとえ、機体前部が大きく持ち上がりミッションケースが大きく傾斜しても、油路はクラッチ室内の油面よりも上方に位置し、しかも、クラッチ室が潤滑油の貯留タンクとして機能するため、所定量の潤滑油をクラッチ室内に確保することができ、摩擦部分における焼き付きを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる乗用田植機の全体側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 車体フレームへとミッションケースの概略斜視図である。
【図4】 エンジンとミッションケース間の概略斜視図である。
【図5】 ミッションケース全体の左側面図である。
【図6】 ミッションケース前部の左側面図である。
【図7】 ミッションケース後部の左側面図である。
【図8】 ミッションケース全体の平面展開断面図である。
【図9】 ミッションケース前部の平面展開断面図である。
【図10】 ミッションケース後部の平面展開断面図である。
【図11】 ミッションケース前部における入力軸からPTO出力軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図である。
【図12】 クラッチ機構を示す平面展開断面図である。
【図13】 ミッションケース前部における副変速軸から主変速軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図である。
【図14】 主変速軸のブレーキ機構を示す平面展開断面図である。
【図15】 主クラッチペダルによるクラッチ操作を示す機体前部の左側面図である。
【図16】 苗継ぎレバーによるクラッチ・ブレーキ操作を示す機体前部の左側面図である。
【図17】 主クラッチペダル・苗継ぎレバーによるクラッチ・ブレーキ操作を示す機体前部の平面図である。
【図18】 クラッチ機構の潤滑構成を示すミッションケース全体の左側面図である。
【図19】 安定走行姿勢におけるクラッチ室の油面位置を示すミッションケース前部の左側面図である。
【図20】 傾斜姿勢におけるクラッチ室の油面位置を示すミッションケース前部の左側面図である。
【符号の説明】
2 前輪
3 後輪
5 エンジン
6 ミッションケース
6b 壁面
14 クラッチ機構
56 伝達軸(入力軸)
87 クラッチ室
160 第三象限
163 油路
165 安定走行姿勢

Claims (1)

  1. エンジン(5)からの動力をミッションケース(6)に入力し、該ミッションケース(6)内で変速して前輪(2)と後輪(3)に動力を伝達する乗用田植機において、前記ミッションケース(6)の一側面より入力軸となる伝達軸(56)を突出し、該伝達軸(56)の突出部にクラッチ機構(14)を設けると共に、該クラッチ機構(14)を収納するクラッチ室(87)とミッションケース(6)とを連通する油路(163)を、クラッチ機構(14)を配設するミッションケース(6)の壁面に設け、前記油路(163)は、安定走行姿勢(165)にあるミッションケース(6)の状態における潤滑油の油面(158a)と平行で、前記伝達軸(56)の軸心を通過する水平線と、該水平線と前記伝達軸(56)の軸心で直交する垂直線との二本の線によって、機体進行方向側面視で伝達軸(56)の周囲で、前記クラッチ機構(14)を配設するミッションケース(6)の壁面を四つの分割面とし、反時計回りに、第一象限・第二象限・第三象限・第四象限とした場合に、第三象限(160)内に配設し、該ミッションケース(6)とクラッチ室(87)内の潤滑油は、該油路(163)を介して自在に循環可能とし、該ミッションケース(6)が前後に傾斜姿勢(166)の状態では、該ミッションケース(6)内の潤滑油の油面(158b)よりも、該クラッチ室(87)内の潤滑油の油面(159b)の方が高くなると共に、該油路(163)は該クラッチ室(87)内の油面(159b)よりも上方に位置し、該クラッチ室(87)が潤滑油の貯留タンクとなるように構成したことを特徴とする乗用田植機。
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