JP4550614B2 - ワイヤ電極の挿通方法および自動結線装置 - Google Patents

ワイヤ電極の挿通方法および自動結線装置 Download PDF

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本発明は、ワイヤカット放電加工においてワイヤ電極を自動結線するときにワイヤ電極を被加工物に形成された下穴や加工溝に自動的に挿通するワイヤ電極の挿通方法およびワイヤカット放電加工装置の自動結線装置に関する。
ワイヤカット放電加工では、被加工物から不要部分(中子)を切り出して取り除く場合、予め被加工物に穿設された加工開始孔(下穴)にワイヤ電極を挿通して、被加工物を挟んで設けられる一対のワイヤガイド間にワイヤ電極を結線する必要がある。また、加工中にワイヤ電極が不慮の断線をした場合は、ワイヤ電極を再度結線して張架する必要がある。数値制御ワイヤカット放電加工装置の多くは自動結線装置を備えており、自動結線装置によって自動的にワイヤ電極を下穴に挿通することができる。
最近の精密加工では、下穴がワイヤ電極径よりも僅かに大きい程度の極小さい内径であることがある。また、断線したワイヤ電極を挿通するときに、すでに被加工物に形成された加工溝に挿通することがあるが、加工溝はワイヤ電極の太さに対して放電ギャップ分だけ僅かに大きい。ワイヤ電極の多くは、直径が0.3mm以下の黄銅線やタングステン線であるが、しばしばφ0.1mm以下の極めて細い黄銅線が使用される。このようなワイヤ電極線は、剛性が小さい一方で屈曲しやすく曲がり癖がつきやすい。
そのため、このようにワイヤ電極との直径もしくは幅の差(以下、クリアランスという)が小さい下穴や加工溝に送り込むときに、ワイヤ電極の先端が下穴や加工溝の入口に挿入されなかったり、あるいは下穴や加工溝の途中で引っ掛かってワイヤ電極が座屈することがある。また、できる限り真っ直ぐに送り込むために、多くのワイヤカット放電加工装置の自動結線装置には、昇降するガイドパイプが設けられているが、ガイドパイプの内径も非常に小さいことから、ワイヤ電極がガイドパイプ内で引っ掛かることもある。ワイヤ電極の挿通に失敗してワイヤ電極が座屈したときは、座屈してから挿通の失敗を検出しワイヤ電極の送出しを停止するまでの間にタイムラグがあるために、ワイヤ電極は、ワイヤ電極が物理的に正規の通過軌跡(走行経路)に拘束されていない場所で走行経路から飛び出して弛んだ状態となる。
一般に、ワイヤ電極の挿通に失敗したときは、送出ローラによってワイヤ電極の弛みが除かれるまでワイヤ電極を一旦巻き上げて真っ直ぐにし直してからワイヤ電極を送り出して再度挿通を試みるようにされている。この方法は、ワイヤ電極の弛みを取り除くためにワイヤ電極を巻き上げた後にワイヤ電極を比較的ゆっくりと送り出さなければならないので、それだけ余分に時間がかかり、また、送り出されるワイヤ電極に勢いがないので再び座屈するおそれが大きい。そこで、再度ワイヤ電極の挿通を試みるときに、ワイヤ電極を弛んだ状態のままジェット流でワイヤ電極を送り出すことにより、ワイヤ電極に勢いを与えて弛みを取り除きながら一気に下穴を通過させる方法が考え出されている。この方法は、ワイヤ電極を下穴に通しやすくし、かつ時間を短縮することができる利点がある(特許文献1参照)。
また、ワイヤ電極が下穴や加工溝の入口で引っ掛かって座屈したときに、ワイヤ電極の弛みを取り除くように動作する座屈防止機構を設けることによって、ワイヤ電極の通過位置を正規の走行経路上に位置するように強制的に修正する方法が知られている。この方法によれば、ワイヤ電極を挿通する動作を繰り返すことを少なくすることができ、自動結線における作業効率を向上させることができる(特許文献2参照)。また、圧縮空気を与えて横方向に所定の振動幅の微振動を与えてワイヤ電極を下穴に導く方法が考えられている(特許文献3参照)。さらに、自動的に下穴を探索してワイヤ電極の先端を下穴や加工溝の入口に位置させる方法が知られている。この方法によれば、当初からワイヤ電極の正規の走行経路と送り出されるワイヤ電極の軸線とがずれている場合でもワイヤ電極を挿通することができる(特許文献4参照)。
特開2002−126951号公報(第12頁−第14頁) 特許第2922272号公報(第4頁) 特開2005−1054号公報(第6頁−第9頁) 特開平4−135423号公報(第4頁−第5頁)
ワイヤ電極を弛んだ状態でジェット流とともに送り出す方法は、ワイヤ電極と下穴や加工溝とのクリアランスが小さい場合やワイヤ電極の剛性が弱く真直になりにくい極細線の場合では、ワイヤ電極の挿通に失敗する可能性が大きく、また、送り出されるワイヤ電極の軸線と下穴や加工溝とがより厳密に整列させることが要求される。ワイヤ電極の通過位置を正規の走行経路に位置するように修正する方法は、特別な座屈防止機構が必要であり自動結線装置の構成が比較的複雑になるとともに、ワイヤ電極を送り出す勢いが弱いのでワイヤ電極が下穴や加工溝を通過する途中で座屈しやすいという不利な点がある。ワイヤ電極を振動させたり下穴を探索してワイヤ電極の先端を下穴や加工溝の入口に位置させる方法は、下穴や加工溝の手前でワイヤ電極がガイドパイプに拘束されていないので下穴や加工溝に導かれにくく、また、ワイヤ電極を送り出す勢いが弱いために、ワイヤ電極が下穴や加工溝を通過する途中で座屈しやすい問題がある。
これらの方法では、ワイヤ電極が下穴や加工溝の途中でワイヤ電極が引っ掛かってしまった場合は、ワイヤ電極の引っ掛かりを取り除くことができないので、最初から同じ動作を行なって再度挿通を試みなければならない。また、このようなワイヤ電極の挿通方法を実施する自動結線装置においては、ワイヤ電極の挿通を失敗しにくくするためには、ガイドパイプの出口と下穴または加工溝の入口とを可能な限り接近させておく必要があるが、上ワイヤガイドとしていわゆるダイスガイドを用いたワイヤカット放電加工装置では、上ワイヤガイドを越えてガイドパイプを下穴や加工溝の入口まで送り出すことができないことから、自動結線の成功率が低下する問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みて、比較的短時間で、確実にワイヤ電極を下穴や加工溝に挿通することができる新規なワイヤ電極の挿通方法および自動結線装置を提供することを目的とする。特に、仮にワイヤ電極径と下穴や加工溝とのクリアランスが小さい場合でも、より確実にワイヤ電極を下穴や加工溝に挿通することができるワイヤ電極の挿通方法および自動結線装置を提供することを目的とする。本発明のその他のいくつかの利点は、発明の実施の形態を説明とともにその都度具体的に説明される。
本発明のワイヤ電極の挿通方法は、ワイヤ電極を自動結線するときにワイヤ電極を被加工物に形成された下穴や加工溝に自動的に挿通するワイヤ電極の挿通方法において、ワイヤ電極が座屈したときに送出ローラとガイドパイプとの間でワイヤ電極が座屈により弛んでいる状態を保持しておき、ガイドパイプ内にジェットを供給しながらワイヤ電極を僅かに引き上げる動作とワイヤ電極を解放する動作を繰返し行なってワイヤ電極に上下方向の脈動を生じさせワイヤ電極をジェット流とともに送り出すようにするものである。また、上記ワイヤ電極の挿通方法は、好ましくは、前記ガイドパイプ内にジェットを供給しながら前記ワイヤ電極を僅かに引き上げる動作と前記ワイヤ電極を解放する動作を繰返し行ないながら前記ガイドパイプまたは被加工物を水平方向に往復移動させるようにする。
本発明のワイヤカット放電加工装置の自動結線装置は、ワイヤ電極を被加工物に形成された下穴や加工溝に自動的に挿通するワイヤカット放電加工装置の自動結線装置において、上ワイヤガイドの上側に設けられワイヤ電極を送り出す送出ローラと、上ワイヤガイドと送出ローラとの間に設けられワイヤ電極を案内する昇降自在のガイドパイプと、ガイドパイプにジェットを供給するジェット供給装置と、送出ローラとガイドパイプとの間に設けられワイヤ電極を小刻みに上下動させワイヤ電極に上下方向の脈動を生じさせる上下動手段と、を備える。上記上下動手段は、回転軸が偏心して設けられた偏心ローラと、偏心ローラを回転させるモータと、偏心ローラに接触可能に対向配置され偏心ローラの回転に従って間欠的に回転する従動ローラと、を含んでなる巻取ローラである。
本発明のワイヤ電極の挿通方法および自動結線装置は、ワイヤ電極が弛んだ状態でジェットを供給しながらワイヤ電極を僅かに引き上げる動作とワイヤ電極を解放する動作を繰返し行なうことで、ワイヤ電極に微小な上下動を与える。このワイヤ電極の小刻みな上下動によって、ワイヤ電極がガイドパイプ、下穴、あるいは加工溝の途中で引っ掛かっているときやワイヤ電極の先端が下穴や加工溝の入口から僅かに外れているときに、ワイヤ電極の引っ掛かりが取り除かれる。このとき、ワイヤ電極が弛んでおり、同時にジェット流が供給されているので、ワイヤ電極の引っ掛かりが取れると、ワイヤ電極が解放された瞬間にワイヤ電極は弛んだ分だけジェット流によって一気に送り出される。したがって、ワイヤ電極が引っ掛かったときでも再びワイヤ電極を巻き上げて挿通させる動作を行なったり、下穴を探したりする動作をさせる必要がなく、ワイヤ電極を下穴や加工溝に確実に挿通させることができる。
そのため、簡単な動作または簡単な構成によって確実にワイヤ電極を挿通させることができ、また、自動結線に要する時間を短縮することができる。特に、ワイヤ電極が座屈してもワイヤ電極の弛みが取り除かれる位置まで巻き戻すことなく引っ掛かりを解消して送り出すことができるから、ガイドパイプを下穴や加工溝の直近まで接近させる必要がなく、上ワイヤガイドがダイスガイドのようにガイドパイプが通過できない構成の場合であっても確実にワイヤ電極を挿通させることができるので、ワイヤガイドの種類が限定されない。また、ワイヤ電極と下穴や加工溝との間のクリアランスが小さくても確実にワイヤ電極を挿通させることができる。その結果、本発明は、自動結線における作業効率を向上させる優れた効果を奏する。
本発明のワイヤカット放電加工装置の自動結線装置が図1に示される。自動結線装置1は、テンション機構を含むワイヤ電極2を送り出す送出ローラ10と、ワイヤ電極2を案内する昇降自在のガイドパイプ20と、ワイヤ電極2を小刻みに上下動させる上下動手段である巻上げローラ30と、ガイドパイプ20に高圧の加工液をジェットとして供給するジェット供給装置50とを有する。ジェット供給装置50は、ガイドパイプ20にジェットを供給しガイドパイプ20を通して被加工物3に形成されている下穴4までジェットを供給する。
また、自動結線装置1は、ワイヤ電極2の荒れた先端を切断して廃棄する先端処理装置40を有する。先端処理装置40は、ワイヤ電極2を切断する切断装置41と、切断装置41によって切断され不要になったワイヤ電極2の切断片を回収する廃棄ボックス42と、ワイヤ電極2の切断片を把持して廃棄ボックス42まで搬送するクランプ装置43と、を含む。また、自動結線装置1は、ワイヤ電極2の先端を検出する先端検出器60と、ワイヤ電極2の弛みを検出する座屈検出器70と、を備えている。
ワイヤ電極2の供給機構5は、ワイヤボビン51が装着されワイヤ電極2にバックテンションを与えるブレーキモータを有するリール52と、テンションの変動を防止するサーボプーリ53と、ワイヤ電極にテンションを与えるテンション機構を兼用する送出ローラ10と、ワイヤ電極2の断線を検出するリミットスイッチのような断線検出器54と、ワイヤ電極2のテンションを検出する歪ゲージのような張力検出器55と、を含む。また、ワイヤ電極2の排出機構6は、被加工物3に垂直に張架されるワイヤ電極2の走行経路にオフセットを与えるとともにその進行方向を転換するアイドリングローラ61と、ワイヤ電極2を流体で搬送する搬送装置62と、ワイヤ電極2を巻き取る巻取ローラ63と、使用済のワイヤ電極2を回収するバケット64と、を含む。
ワイヤボビン51に巻き回されたワイヤ電極2は、ワイヤボビン51から引き出され、テンション機構を通って、自動結線装置1によって上通電体71と上ワイヤガイド72が組み込まれた上ガイドユニット7から下穴4に挿通される。下穴4に挿通されたワイヤ電極2は、図示しない下ワイヤガイドと下通電体が組み込まれた下ガイドユニット8を通ってアイドリングローラ61で方向転換される。搬送装置62で搬送されるワイヤ電極2は、巻取ローラ63に捕捉され、切断機で切断されるなどしてバケット64に回収される。
上ワイヤガイド72の上側に設けられる送出ローラ10は、サーボモータ11によって正逆回転する駆動ローラ12と駆動ローラ12に従動しワイヤ電極2を押さえるピンチローラ13とでなる。送出ローラ10は、ワイヤ電極2を巻き上げるときは、逆転してワイヤ電極2の先端が先端検出器60に検出されるまで回転する。送出ローラ10は、ワイヤ電極2を送り出すときは、正転してゆっくりとワイヤ電極2を送り出す。また、送出ローラ10は、ワイヤ電極2を走行させるときは、張力検出器55の信号を受けながら所要の速度で正転し、巻取ローラ63と協働してワイヤ電極2に所定のテンションを付与する。
ガイドパイプ20は、上ワイヤガイド72と送出ローラ10との間に設けられ、図示しないアクチュエータで動作する昇降装置21によって昇降する。ガイドパイプ20は、自動結線を行なわないときは、上限リミットまで上昇して停止している。ワイヤ電極2を下穴4や加工溝に挿通するときは、ガイドパイプ20は、ワイヤ電極2を送り出すのに合わせて少なくとも上ワイヤガイド72の直上まで下降し、ワイヤ電極2を上ワイヤガイド72まで案内する。ガイドパイプ20が上ワイヤガイド72を通過することができる場合は、ガイドパイプ20は、僅かな間隙をもって被加工物3に近接する位置まで下降し、ワイヤ電極2を予め被加工物3に穿設された下穴4もしくは被加工物3にすでに形成されている加工溝に案内する。
巻上げローラ30は、送出ローラ10とガイドパイプ20との間に設けられる。巻上げローラ30は、ワイヤ電極に小刻みに微小な上下動を与える上下動手段であり、ワイヤ電極2を僅かに引き上げる動作とワイヤ電極2を解放する動作を繰返し行なう。巻上げローラ30は、具体的には、回転軸が偏心して設けられた偏心ローラ31と、偏心ローラ31に接触可能に対向配置され偏心ローラ31の回転に従って間欠的に回転する従動ローラ32と、偏心ローラ31を回転させるモータ33とからなる。従動ローラ32は、加工中はワイヤ電極の走行経路から離されており、ワイヤ電極2の走行の邪魔にならない位置に待避している。巻上げローラ30は、ワイヤ電極2の供給経路(走行経路)の途中でワイヤ電極2が座屈して送出ローラ10とガイドパイプ20との間で正規の走行経路からはみ出して弛んだ状態で、ワイヤ電極2を巻き上げる方向に回転する。
以下に、本発明のワイヤ電極2の挿通方法を上述した自動結線装置1の動作に従って説明する。図2に、自動結線のプロセスに対応する送出ローラ10と巻上げローラ30の動作状態が示される。図1と一致する符号が付された部材は、図1に示される部材と同じ機能を具備する、もしくは同等の作用を有する部材を示す。
断線などによってワイヤ電極2を再度結線する必要が生じたときは、送出ローラ10を逆転させて先端検出器60がワイヤ電極2の先端を検出するまでワイヤ電極2を巻き上げる。そして、カッタのような切断装置41でワイヤ電極2を切断し、切断されて不要になったワイヤ電極2の切断片をクランプ装置43で把持しながら廃棄ボックス42まで搬送して廃棄する。
図2(A)に示されるように、ワイヤ電極の軸線方向と下穴または加工溝とを一致させて、ジェット供給装置50からジェットを供給するとともに送出ローラ10によってワイヤ電極を送り出す。図2(B)に示されるように、ワイヤ電極2が途中で引っ掛かって座屈して座屈検出器70がワイヤ電極2の弛みを検出したときは、送出ローラ10を停止して送出ローラ10とガイドパイプ20との間でワイヤ電極2が弛んでいる状態を保持しておく。同時に、ジェット供給装置50を停止してジェットの供給を中断する。このとき、送りローラ10を制御する図示しない制御装置および座屈検出器70は、上ワイヤガイド72と下ワイヤガイドとのワイヤガイド間距離を考慮してワイヤ電極2を下穴4に挿通するのに必要十分な弛みの長さになる時点でワイヤ電極2の送りが停止されるように設計されている。
次に、図2(C)に示されるように、ワイヤ電極2が弛んでいる状態で従動ローラ32を待避位置からワイヤ電極2の走行経路に接する位置に移動させる。その後、図2(D)に示されるように、ジェット供給装置50からガイドパイプ20内にジェットを供給しながら巻上げローラ30の偏心ローラ31を回転させてワイヤ電極を僅かに引き上げてから、図2(E)に示されるようにワイヤ電極を解放する。
巻上げローラ30が作動すると、図2(D)および図2(E)に示されるように、偏心ローラ31は、従動ローラ32に接触することと離れることを繰り返す。偏心ローラ31が従動ローラ32と間欠的に接触することによって偏心ローラ31と従動ローラ32とに挟まれたワイヤ電極2を僅かに引き上げる動作とそのワイヤ電極2を解放する動作が交互に繰り返される。そのため、ワイヤ電極2は、瞬間的に引き上げられてはジェット流に送り出されることを繰り返して、ワイヤ電極2に上下方向の微小な脈動が生じる。この動作は、ちょうど人がワイヤ電極をつまんで僅かに引き上げては先端を突く動作に似ている。そして、ワイヤ電極2の小刻みな上下動によって、ワイヤ電極2の引っ掛かりが解消される。または、ワイヤ電極2の微小な上下動とジェット流の拘束力および推進力とによって、ワイヤ電極2の先端が下穴4の入口に導かれる。
図2(F)に示されるように、障害が取り除かれたワイヤ電極2は、ジェット流によって一気に下穴4を通過する。同時に、送出ローラ10とガイドパイプ20との間で生じていた弛みがなくなった状態になる。座屈検出器70が所定時間座屈を検出する信号を発しなくなったときは、送出ローラ10を正転させてワイヤ電極2を送り出す。ワイヤ電極2は、搬送装置62によって巻取ローラ63まで送られる。そして、ワイヤ電極2の先端が巻取ローラ63に捕捉されて自動結線が完了する。なお、一旦障害が取り除かれて送り出されるワイヤ電極2がさらにその先で再び引っ掛かった場合でも、座屈検出器70が検出信号を出力している限り、ワイヤ電極2には繰返し微小な上下動が与えられ続けるから、再び障害が取り除かれる。
ワイヤ電極2が弛んだ状態で送出ローラ10に保持され巻上げローラ30がワイヤ電極の僅かな巻上げと解放を繰り返すとともにジェット流によって送り出そうとするので、ワイヤ電極は、小刻みに上下に微小な動きをする。この小刻みで微小な上下動によって、ワイヤ電極がガイドパイプ、下穴、加工溝の途中で引っ掛かったり、ワイヤ電極の先端が下穴や加工溝の入口から僅かに外れていても、ワイヤ電極の引っ掛かりが取り除かれる。このように、ワイヤ電極2がパイプガイド20や下穴4の途中で引っ掛かっても、ワイヤ電極2を弛みが取り除かれるまで巻き上げてから挿通を試みる必要がなく、ワイヤ電極2が下穴4に挿通される。
上述されたように、実施の形態のワイヤ電極の挿通方法は、基本的に図2(D)と図2(E)に示される動作を短い時間に繰り返すだけであるから、簡単な動作によって、ワイヤ電極の引っ掛かりを解消して確実にワイヤ電極2を下穴4や加工溝に挿通することができる。また、実施の形態の自動結線装置は、基本的に、ワイヤ電極2を弛ませた状態にしておく送出ローラ10と、ワイヤ電極2の先端を真っ直ぐに案内するガイドパイプ20、ワイヤ電極2に強力な拘束力と推進力を与えるジェット供給装置50と、ワイヤ電極2を僅かに引き上げる動作とワイヤ電極を解放する動作を繰返し行ないワイヤ電極2を小刻みに上下動させる偏心ローラ31を含む巻上げローラ30とによってワイヤ電極2を完全に巻き戻すことなくワイヤ電極2を下穴4や加工溝に挿通させることができるので、構成が簡単である。
上述した実施の形態のワイヤ電極の挿通方法は、本発明の利益を享受することができる他のワイヤ電極の挿通方法と組み合わせることができる。例えば、ワイヤ電極2の微小な上下動に合わせて被加工物2をXY軸方向(水平方向)に例えば数十μmないし数mm程度僅かに往復運動させる動作を組み合わせることができる。この応用方法によると、挿通しようとするワイヤ電極2の先端が曲がっていているときでも、ワイヤ電極2の引っ掛かりを解消してワイヤ電極2を下穴4や加工溝に挿通させることができる。
図1に示されるような本発明の具体的な例は、本発明を実施する上で好適な構成を示すものであるから、送出ローラ10、巻上げローラ30、先端処理装置40、座屈検出器70などの各部材は、本発明と同等の作用効果を有するものであれば、実施の形態に開示されている以外の構成にすることができる。例えば、巻上げローラ30に代えて、クランプ手段とそのクランプ手段を短い距離上下動させるアクチュエータとを組み合わせた構成として、巻上げローラ30と同じ作用を与えることができる。また、例えば、実施の形態の座屈検出器70に代えて送出時間を計時するカウンタとしても、ワイヤ電極2の座屈を検出することができる。
本発明は、ワイヤカット放電加工装置の自動結線装置に適用される。本発明は、通常のワイヤ電極はもちろんのこと、細く剛性のないワイヤ電極をクリアランスの小さい下穴、加工溝、ダイスガイドへ確実かつ効率よく挿通させることができ、ひいては精密金型や精密部品の加工効率と生産性の向上に貢献する。
本発明の自動結線装置を備えたワイヤ放電加工装置の全体の概略の構成を示す正面図である。 本発明の自動結線装置の動作を示す模式図である。
符号の説明
1 自動結線装置
2 ワイヤ電極
3 被加工物
4 下穴
5 供給機構
6 排出機構
7 上ガイドユニット
8 下ガイドユニット
10 送出ローラ
11 サーボモータ
12 駆動ローラ
13 ピンチローラ
20 ガイドパイプ
21 昇降装置
30 巻上げローラ
31 偏心ローラ
32 従動ローラ
33 モータ
40 先端処理装置
50 ジェット供給装置
60 先端検出器
70 座屈検出器
71 上通電体
72 上ワイヤガイド

Claims (4)

  1. ワイヤ電極を自動結線するときにワイヤ電極を被加工物に形成された下穴や加工溝に自動的に挿通するワイヤ電極の挿通方法において、ワイヤ電極が座屈したときに送出ローラとガイドパイプとの間で前記ワイヤ電極が前記座屈により弛んでいる状態を保持しておき、前記ガイドパイプ内にジェットを供給しながら前記ワイヤ電極を僅かに引き上げる動作と前記ワイヤ電極を解放する動作を繰返し行なって前記ワイヤ電極に上下方向の脈動を生じさせ前記ワイヤ電極をジェット流とともに送り出すようにしたワイヤ電極の挿通方法。
  2. 前記ガイドパイプ内にジェットを供給しながら前記ワイヤ電極を僅かに引き上げる動作と前記ワイヤ電極を解放する動作を繰返し行ないながら前記ガイドパイプまたは被加工物を水平方向に往復移動させるようにする請求項1に記載のワイヤ電極の挿通方法。
  3. ワイヤ電極を被加工物に形成された下穴や加工溝に自動的に挿通するワイヤカット放電加工装置の自動結線装置において、上ワイヤガイドの上側に設けられワイヤ電極を送り出す送出ローラと、前記上ワイヤガイドと前記送出ローラとの間に設けられワイヤ電極を案内する昇降自在のガイドパイプと、前記ガイドパイプにジェットを供給するジェット供給装置と、前記送出ローラと前記ガイドパイプとの間に設けられワイヤ電極を小刻みに上下動させ前記ワイヤ電極に上下方向の脈動を生じさせる上下動手段と、を備えたワイヤカット放電加工装置の自動結線装置。
  4. 前記上下動手段は、回転軸が偏心して設けられた偏心ローラと、前記偏心ローラを回転させるモータと、前記偏心ローラに接触可能に対向配置され前記偏心ローラの回転に従って間欠的に回転する従動ローラと、を含んでなる巻取ローラである請求項3に記載のワイヤカット放電加工装置の自動結線装置。
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