上記のようなタイムアウト処理機能を備えている印刷装置において、タイムアウト処理が行われると、タイムアウト処理の直前に受け取った印刷データに関してはタイムアウト処理によってデータがクリアされている。そして、タイムアウト解除後に印刷データの転送が再開されると、印刷装置では、次に送信されてくる印刷データを新たな印刷ジョブと判断してしまう。しかしながら、一つの印刷ジョブのデータ転送途中にタイムアウト処理が行われると、次に転送される印刷データは、途中からのデータ(つまり、不完全な印刷データ)となっており、印刷装置ではこれを一つの印刷ジョブとして印刷処理を行うことになる。これによって、ユーザの期待しない印刷処理が行われてしまうことになる。
また、上記特許文献1に記載のシステムでは、タイムアウト解除後に再送された印刷データについてデータのクリアを行っているが、この文献に記載の技術は、一台の印刷装置に対して一台のホストコンピュータのみが接続されているネットワーク構成を前提とするものである。そのため、このシステムを一台の印刷装置に対して複数のコンピュータが接続されている印刷システム(以下、このような印刷システムを1対多の印刷システムと呼ぶ)に適用した場合、タイムアウト解除後にタイムアウト処理が行われたコンピュータとは異なるコンピュータから印刷データが送信された場合に、タイムアウト処理が行われたコンピュータからの印刷データと区別することができない。
したがって、タイムアウト処理が行われたコンピュータとは異なるコンピュータから送信された正常な印刷ジョブをクリアしてしまうという危険性が高くなる。また、特許文献1には受信した印刷データのページ情報を判別するという技術も記載されている。しかしながら、最初のページからの印刷データが転送されることが確実である、タイムアウト処理が行われたコンピュータとは異なるコンピュータに対しても無差別にページ情報の判別処理を行うため、結果的に不必要なデータ処理を行うことになり効率的ではない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、1対多の印刷システムなどのように一つの出力装置に対して複数の機器が接続されているネットワークシステムにおいて、機器から転送されたデータについてタイムアウト処理を行った後のデータ転送再開時に、各機器からの送信データの出力処理を適切に行うことのできる出力装置、上記出力装置にデータの送信を行う送信装置、データ出力制御方法、データ出力制御プログラム、および、記録媒体を提供することにある。
本発明にかかる出力装置は、上記課題を解決するために、複数の機器と接続され、上記機器から転送されるデータに基づいて出力処理を行う出力装置であって、機器からのデータの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該機器との接続を断ち、当該機器をタイムアウト該当機器として登録するタイムアウト登録手段と、データの受信時に、データの転送元の機器が上記タイムアウト該当機器として登録されているか否かを判別する判別手段とを備え、上記判別手段は、受信したデータがタイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合、当該データを出力する決定をすることを特徴としている。
本発明の出力装置は、複数の機器と接続され、この複数の機器から送られてくる各データの出力を行うものである。この出力装置は、機器からのデータの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該機器との接続を一旦断ち、他の機器との接続を可能とするとともに、上記切断を断たれた機器をタイムアウト該当機器として登録する。なお、上記機器との接続を断つとは、機器とのネットワーク接続を完全に断つという意味ではなく、転送中のデータの送受信を中止することを意味する。
このような出力装置において、データの転送開始時に転送されたデータが転送中断時に出力装置に対してデータの転送を行っていた機器(つまり、タイムアウト該当機器として登録されている機器)から転送されたデータである場合には、当該データは、転送中断時にデータ転送が途中で途切れたことによって転送されずに残された途中からのデータであるため、正常に出力されない可能性がある。一方、当該転送データがタイムアウト該当機器として登録されていない機器からのデータである場合には、途中からのデータである可能性はない。
そこで、上記の出力装置は、データ受信中に転送が中断した場合、このときにデータ転送中であった転送元の機器を登録しておき、データ受信の時に、登録された機器からのデータであるか否かを判別する。さらに、判別手段は、受信したデータがタイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合、当該データを出力するという決定をする。
これによって、データの転送を再開した場合のデータを受信時に、正常に出力されることが確実なタイムアウト該当機器ではない機器からのデータについて効率的な出力処理を行うことができる。つまり、タイムアウト該当機器以外の機器からのデータについては、最初からのデータのみが転送されてくるため、通常通り出力するように制御することができる。これに対して、例えば、前回の転送時にデータ転送が中断して途中で途切れてしまい、その残りのデータが送信される可能性のある、タイムアウト該当機器からのデータについては破棄するように制御することができる。
このように、本発明によれば、一つの出力装置に対して複数の機器が接続されているネットワークシステムにおいて、データ転送の中断が発生した後のデータ転送再開時に、各機器から送信されるデータの出力処理を適切に行うことができる。
本発明の出力装置は、上記の構成に加えて、上記データは、ページごとに区切られる記録物に関するデータであって、各ページが上記記録物の何ページ目に該当するかというページ情報を有するとともに、上記ページ情報に基づいて、受信したデータが上記記録物の途中ページからのデータであるか否かを判別するデータ識別手段をさらに備え、上記判別手段が、上記受信したデータをタイムアウト該当機器からのデータであると判別し、かつ、上記データ識別手段が、上記受信したデータを上記記録物の途中ページからのデータであると判別した場合は、当該データを破棄することが好ましい。
上記の構成では、判別手段が転送開始時に転送されたデータをタイムアウト該当機器から転送されたデータであると判別した場合であっても、データ識別手段が転送されたデータを途中ページからのデータではないと判別した場合には、その転送データの破棄を行わずに出力処理を行う。上記の構成によれば、タイムアウト該当機器から転送されたデータであっても、当該データが最初のページからのデータである場合には、ユーザの意図しないデータが出力されることはなく、目的とするデータを出力させることができる。そのため、ユーザの目的としない途中ページのデータから始まる転送データについては確実に破棄することができ、ユーザの求めている最初のページから始まる転送データについては、データの破棄を行わずに出力処理を行うことができる。
本発明の出力装置は、上記の構成に加えて、上記データは、ページごとに区切られる記録物に関するデータであって、最終ページのデータにジョブ終了情報を有しており、上記タイムアウト登録手段は、受信したデータの中に、上記ジョブ終了情報が含まれているか否かによって、データ転送が中断されたか否かを判断することが好ましい。
上記の構成によれば、データ内にジョブ終了情報が含まれていることによって、データ転送が中断されたことを容易に判断することができる。
なお、このようにしてタイムアウト登録手段によってデータ転送が中断されたと判断された場合には、出力装置内に備えられたデータ出力指示手段が、当該中断されたデータを破棄するように制御してもよいし、転送されたデータ中に含まれるページ情報に基づいて、前半のページのみを出力するように制御してもよい。
本発明の出力装置において、上記タイムアウト登録手段は、データの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、上記データの転送元の機器をタイムアウト該当機器として登録するとともに、上記データの転送に使用された上記機器のポートの情報についても登録し、上記判別手段は、受信したデータをタイムアウト該当機器からのデータであると判別し、かつ、受信したデータが上記タイムアウト登録手段によって登録されたポートを使用して転送されたデータであると判別した場合に、当該データを破棄することが好ましい。
転送再開時に転送されるデータがタイムアウト該当機器からのデータであると判別された場合であっても、複数のポートを使用してデータの転送を行うことのできる機器であれば、登録されたポート以外のポートから転送されたデータについては、転送が中断されたジョブとは異なるジョブであるため、データを破棄しないことが好ましい。上記の構成によれば、登録されたポートから転送されたデータのみ破棄し、登録されたポート以外のポートから転送されたデータについては、破棄せずに出力するように制御することができる。
なお、上記ポートとは、機器が外部の機器との情報の送受信を行う場合に、接続端子として機能するものである。ポートには、ハードウェア的なものとソフトウェア的なものとが存在するが、ここでは両方を含む。
本発明の出力装置において、上記タイムアウト登録手段によってデータ転送が中断されたと判断された場合に、中断前に転送されたデータ中に含まれるページ情報に基づいて、当該転送されたデータに含まれるページのみのデータを出力するように制御するとともに、上記機器に対して、上記記録物の残りのページに関するデータを再度送信するように指示するデータ出力指示手段をさらに備えることが好ましい。
上記の構成によれば、データ転送が中断した場合に、中断前に転送された前半部分のページのデータを先に出力し、かつ、データ転送再開後に残りの後半部分のページのデータを出力することができる。その結果、ユーザの目的とする全てのページを最終的に出力することができる。
本発明の出力装置は、上記の構成に加えて、上記データを破棄したこと、あるいは、中断前に転送されたデータに含まれるページのみのデータを出力したという情報を上記機器に対して送信する通信部をさらに備えることが好ましい。
上記の構成によれば、出力装置においてデータの破棄が行われたことや、一つのジョブ内のどのページまでを出力処理したという情報を機器が受け取り、機器の表示部にその旨の表示をさせ、機器側にいるユーザに報知することができる。これによって、機器のユーザは、再度出力装置に対して、印刷データを送信することができる。また、上記の情報を機器が受け取り、機器内で自動的に残りのページのデータを作成し、出力装置に対して再送信することもできる。
本発明にかかる送信装置は、上記課題を解決するために、ページごとに区切られる記録物に関するデータを生成し、上記データを外部の出力装置へ送信する送信装置であって、上記データの送信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、上記出力装置が中断前に転送されたデータに含まれるページのみのデータを出力すると、上記出力装置から出力済みのページの情報を取得し、この情報に基づいて、出力されていない残りのページに関するデータを取得し、出力装置に送信する未出力データ送信手段を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、出力装置との間でのデータ転送が中断した場合に、中断前に転送された前半部分のページのデータを先に出力し、かつ、データ転送再開後に残りの後半部分のページのデータを出力することができる。その結果、ユーザの目的とする全てのページを最終的に出力することができる。
なお、未出力データ送信手段が出力されていない残りのページに関するデータを取得する方法としては、例えば、送信装置内の記憶部から取得する方法、あるいは、送信装置内のデータ生成部において再度生成されたデータを取得する方法などが挙げられる。
本発明にかかるデータ出力制御方法は、上記課題を解決するために、複数の機器と接続され、上記機器から転送されるデータに基づいて出力処理を行う出力装置におけるデータ出力制御方法であって、機器からのデータの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該機器との接続を断ち、当該機器をタイムアウト該当機器として登録するタイムアウト登録ステップと、データの受信時に、データの転送元の機器が上記タイムアウト該当機器として登録されているか否かを判別し、受信したデータがタイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合、当該データを出力するという決定をする判別ステップとを有することを特徴としている。
本発明のデータ出力制御方法は、複数の機器と接続され、この複数の機器から送られてくる各データの出力装置においてデータの出力を制御するものである。この出力制御方法では、機器からのデータの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該機器との接続を一旦断ち、他の機器との接続を可能とするとともに、上記切断を断たれた機器をタイムアウト該当機器として登録する。なお、上記機器との接続を断つとは、機器とのネットワーク接続を完全に断つという意味ではなく、転送中のデータの送受信を中止することを意味する。
このような出力制御方法において、データの転送開始時に転送されたデータが転送中断時に出力装置に対してデータの転送を行っていた機器(つまり、タイムアウト該当機器として登録されている機器)から転送されたデータである場合には、当該データは、転送中断時にデータ転送が途中で途切れたことによって転送されずに残された途中からのデータであるため、正常に出力されない可能性がある。一方、当該転送データがタイムアウト該当機器として登録されていない機器からのデータである場合には、途中からのデータである可能性はない。
そこで、上記の出力制御方法は、データ受信中に転送が中断した場合、このときにデータ転送中であった転送元の機器を登録しておき、データの受信時に、登録された機器からのデータであるか否かを判別する。そして、受信したデータがタイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合、当該データを出力するという決定をする。
これによって、データの転送を再開した場合のデータを受信時に、正常に出力されることが確実なタイムアウト該当機器ではない機器からのデータについて効率的な出力処理を行うことができる。つまり、タイムアウト該当機器以外の機器からのデータについては、最初からのデータのみが転送されてくるため、通常通り出力するように制御することができる。これに対して、例えば、前回の転送時にデータ転送が中断して途中で途切れてしまい、その残りのデータが送信される可能性のある、タイムアウト該当機器からのデータについては破棄するように制御することができる。
このように、本発明によれば、一つの出力装置に対して複数の機器が接続されているネットワークシステムにおいて、データ転送の中断が発生した後のデータ転送再開時に、各機器から送信されるデータの出力処理を適切に行うことができる。
なお、上記出力装置におけるデータ出力制御は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として機能させることにより上記出力装置をコンピュータにて実現させる制御プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
すなわち、本発明にかかるデータ出力制御プログラムは、上記の何れかの出力装置におけるデータ出力制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるためのものである。また、本発明にかかる記録媒体は、上記のデータ出力制御プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
本発明にかかる出力装置は、以上のように、機器からのデータの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該機器との接続を断ち、当該機器をタイムアウト該当機器として登録するタイムアウト登録手段と、データの受信時に、データの転送元の機器が上記タイムアウト該当機器として登録されているか否かを判別する判別手段とを備え、上記判別手段は、受信したデータがタイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合、当該データを出力する決定をするというものである。
本発明にかかるデータ出力制御方法は、以上のように、機器からのデータの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該機器との接続を断ち、当該機器をタイムアウト該当機器として登録するタイムアウト登録ステップと、データの受信時に、データの転送元の機器が上記タイムアウト該当機器として登録されているか否かを判別し、受信したデータがタイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合、当該データを出力するという決定をする判別ステップとを有するものである。
それゆえ、本発明の出力装置またはデータ出力制御方法によれば、データ転送を再開した場合のデータ受信時に、転送中断時にデータ転送をしていた機器(すなわち、タイムアウト該当機器)から送信されたデータであるか否かを判別し、タイムアウト該当機器からのデータでないと判断した場合に当該データを出力することで、正常に出力されることが確実なタイムアウト該当機器ではない機器からのデータについて効率的な出力処理を行うことができる。そして、一つの出力装置に対して複数の機器が接続されているネットワークシステムにおいて、データ転送の中断が発生した後のデータ転送再開時に、各機器から送信されるデータの出力処理を適切に行うことができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施形態について、図1から図6に基づいて以下に説明する。本実施の形態では、本発明にかかる出力装置の一例として、コンピュータから送信された印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置を例に挙げて説明する。また、本実施の形態では、上記印刷装置と複数のコンピュータ(機器)と社内LANなどのネットワークを介して接続された印刷システムについても説明する。
図1には、本実施の形態にかかる印刷装置10と複数のコンピュータ21、22、22…とを含んで構成される印刷システム1を示す。図1に示すように、印刷システム1においては、1台の印刷装置(出力装置)10に対して複数のコンピュータ(機器)21、22,23…がネットワーク20を介して接続されている。各コンピュータ21、22、23…は、印刷データ(データ)を生成し、印刷装置10へ転送する。印刷装置10では、転送された印刷データに基づいて印刷処理を行う。
まず、印刷装置10の構成について説明する。
印刷装置10は、ネットワーク20に接続され、コンピュータ21などの外部の機器と情報の送受信を行う通信部14、印刷データに基づいて印刷処理の制御を行う印刷制御部13、印刷データ・タイムアウト情報・タイムアウト設定情報などを記憶する記憶装置12、印刷を実行する印刷部12、装置に対して目的とする操作を行わせるための指示情報(例えば、タイムアウト設定値など)の入力を受け付ける操作部19、ユーザに対して印刷装置10における処理状況や動作状態を示す表示部9、操作部19において入力された入力情報を設定情報として印刷制御部13へ送信したり、印刷制御部13から送信された情報に基づいて表示部9において表示させるデータの設定を行ったりする設定部18、および、コンピュータ21などからの印刷データの転送が中断してからの時間を計測するタイマー16を備えている。
また、印刷制御部13の内部には、データ印刷・格納指示部31(判別手段・データ出力指示手段)、タイムアウト登録指示部32(タイムアウト登録手段)、印刷データ取得部33、印刷データ識別部34(データ識別手段)が設けられている。
データ印刷・格納指示部31は、印刷ジョブ(記録物)ごとに転送される印刷データを通信部14から受信し、上記印刷データに基づいて印刷を行うように印刷部11に対して指示を出したり、すぐに印刷処理できない印刷データについては記憶装置12へ格納したりする。また、本実施の形態では、データ印刷・格納指示部31は、印刷データの転送再開時に、データの転送元のコンピュータが上記タイムアウト該当コンピュータとして登録されているか否かを、タイムアウトPC記憶部42に記憶されている情報に基づいて判別する判別手段としての機能も果たしている。
タイムアウト登録指示部32は、コンピュータ21などからの印刷データの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、当該コンピュータをタイムアウト該当コンピュータとして記憶装置12内のタイムアウトPC記憶部42に登録する処理を行う。
印刷データ取得部33は、データ印刷・格納指示部31からの指示に基づいて、データ印刷・格納指示部31から直接印刷データを受け取ったり、あるいは、記憶装置12内の印刷データ記憶部41から該当する印刷データを取得したりする。そして、この印刷データを印刷部11へ送信して印刷処理を実行させる。
印刷データ識別部34は、ページごとに区切られる印刷ジョブにおいて、各ページが上記印刷ジョブの何ページ目に該当するかというページ情報に基づいて、転送されたデータの中断状況を判断する。
そして、記憶装置12の内部には、印刷データ記憶部41およびタイムアウトPC記憶部42が備えられている。
印刷データ記憶部41は、コンピュータ21などから転送された印刷データをすぐに印刷処理しない場合に、データ印刷・格納指示部31の指示によって印刷データを記憶しておく記憶部である。
タイムアウトPC記憶部42は、タイムアウト登録指示部32によってタイムアウト該当コンピュータと判断されたコンピュータをタイムアウト該当コンピュータとして登録しておく記憶部である。
続いて、コンピュータ21の構成について説明する。
コンピュータ21は、通信部4、印刷ジョブ生成部5、操作部6、表示部7、印刷ジョブ記憶部8などを備えている。
通信部4は、ネットワーク20に接続され、印刷装置10などの外部の装置と情報の送受信を行う。印刷ジョブ生成部5は、自動的あるいは操作部6からユーザによって入力された情報に基づいて文書や画像などからなる印刷ジョブを生成する。操作部6は、コンピュータ21に目的とする動作を行わせるために、情報の入力を行うものである。操作部6は、キーボードなどによって実現される。表示部7は、ディスプレイなどによって実現され、情報の表示を行う。印刷ジョブ記憶部8は、印刷ジョブ生成部5において生成された印刷データをジョブごとに記憶する。
なお、図示はしていないが、コンピュータ21以外のコンピュータ22、23…についてもコンピュータ21と同様の構成をしている。
次に、図2に示すフローチャートを参照して、上記印刷装置10における、印刷処理の流れを説明する。ここでは、特に通信部14が1つの印刷ジョブを受信した場合に行われる印刷処理の流れについて説明する。
通信部14が外部のコンピュータ21などから印刷データを受信すると、通信部14は、印刷制御部13へ印刷データを送信し、印刷処理を開始する。まず、印刷制御部13に印刷データが送信されると、データ印刷・格納指示部31は、印刷データに含まれている送信側コンピュータのIPアドレスやPC名等と、記憶装置12内のタイムアウトPC記憶部42とを参照して、転送された印刷データがタイムアウト該当コンピュータとして登録されているコンピュータから送信されたものであるか否かを判別する(S1)。ここで、タイムアウトPC記憶部42に登録されているコンピュータからの印刷データではないと判別された場合には(S1でNo)、通常の印刷処理が行われる(S2)。つまり、印刷データはデータ印刷・格納指示部31から印刷データ取得部33へと送られた後、印刷データ取得部33は、この印刷データに基づいて印刷部11が印刷を実行するように指示を出す。
この通常印刷処理中に、印刷データの転送が中断した場合には、データ印刷・格納指示部31は、タイムアウト登録指示部32へデータ転送が中断したということを通知する。タイムアウト登録指示部32では、タイマー16を利用してデータ転送が中断してからの時間を計測する。そして、タイマー16が所定期間(例えば、30秒)をカウントした場合に、タイムアウト登録指示部32では、タイムアウト発生と判断し(S3でYes)、上記印刷データの転送元であるコンピュータをタイムアウト該当コンピュータとしてタイムアウトPC記憶部42に登録する(S9)。その後、データ印刷・格納指示部31(データ出力指示手段)は、タイムアウト処理を行った後(S10)、この印刷ジョブの処理を終了する。
上記タイムアウト処理ステップ(S10)では、中断するまでに送られたデータを用いて印刷処理を行い、ページの途中で中断していれば途中までしかデータのないページは読み捨て(データの破棄)を行ってもよいし、中断するまでに送られた最初のページから途中ページまでの全ての印刷データの破棄を行うようにしてもよい。さらに、上記タイムアウト処理(S10)では、タイムアウトが起きたコンピュータとのセッション(接続)を切ることで、他のコンピュータからの印刷ジョブ受信を可能とする。
なお、印刷ジョブと印刷ジョブとの間においても、データ転送が中断されるが、この場合は正常な中断である。そこで、このような正常な中断が発生した場合に、誤ってタイムアウト発生と判断することを防止するために、印刷データには、ジョブの最後(すなわち、最終ページのデータ)にジョブ終了情報を付している。そして、タイムアウト登録指示部32は、データ印刷・格納指示部31からデータ転送が中断したという通知あり、かつ、転送されてきたデータの中に、上記ジョブ終了情報が含まれていない場合に、タイムアウト印刷データの転送が中断したと判断する。
一方、通常印刷処理中に、タイムアウト登録指示部32がタイムアウトが発生したという判断を行わなかった場合には(S3でNo)、引き続き通常の印刷処理が行われ(S4)、データ印刷・格納指示部31が印刷データ中のジョブ終了情報を確認することによって、一つのジョブの印刷処理が終了する。
また、上記ステップS1において、タイムアウトPC記憶部42に登録されているコンピュータからの印刷データであると判別された場合には(S1でYes)、印刷データ識別部34(データ識別手段)において、その印刷データが正常な印刷データか、あるいは、異常な印刷データかの判別を行う(S5)。
ここで、正常な印刷データとは、印刷ジョブの開始となるデータ(すなわち、最初のページのデータ)から送られるものであって、例えば、PJLコマンドから始まる印刷ジョブである。また、異常な印刷データとは、一旦データ転送が中断した後、データ転送が再開された場合などに送信される可能性のある、印刷ジョブの途中から始まる印刷データこのことである。例えば、PJLコマンドから始まっていない場合に、印刷ジョブの途中からのデータであると判別することができる。
そこで、上記ステップS5では、転送された印刷データがPJLコマンドから始まるか否かによって、正常な印刷データであるか異常な印刷データであるかを判断している。ここで、転送された印刷データがPJLコマンドから始まる場合(S5でYes)、印刷データ識別部34は、正常な印刷データであると判断して、データ転送元のコンピュータについてタイムアウト登録の解除を行う(S6)。つまり、タイムアウトPC記憶部42に登録されているタイムアウト該当コンピュータの中から、上記転送元のコンピュータを削除する。そして、転送された印刷データについて通常の印刷処理を行う(上記ステップS2からの処理を行う)。
一方、上記ステップS5において、転送された印刷データがPJLコマンドから始まらない場合(S5でNo)、印刷データ識別部34は、異常な印刷データであると判断する。そして、この判断に基づいて、データ印刷・格納指示部31は、当該印刷データの破棄(読み捨て)を行う(S7)。上記のステップS7において、印刷ジョブの途中からのデータについては、以前にタイムアウト処理した印刷ジョブの残りのデータであると判断して破棄することで、不完全なデータにより予期しない印刷処理結果を得られないようにすることができる。その後、破棄した印刷データの転送元のコンピュータについては、転送の中断によって発生した不完全な印刷データが削除されたため、上記ステップS6と同様にしてタイムアウト該当コンピュータから削除し(S8)、処理を終了する。
以上のようにして、一つの印刷ジョブの印刷処理が行われる。このような処理を行うことによって、転送中断後のデータ転送再開時に、正常な印刷処理が行われない可能性のある不完全なデータ(ページ途中からの印刷データ)を破棄し、ユーザの意図しないデータが印刷されることを防止することができる。そして、一つの印刷装置に対して複数のコンピュータが接続されている印刷システム1において、データ転送の中断が発生した後のデータ転送再開時に、各コンピュータから送信される印刷データの印刷処理を適切に行うことができる。
なお、図2のフローチャートに示す印刷処理では、転送された印刷データは印刷データ記憶部41に記憶されることなく、そのまま印刷が実行される場合を示しているが、本実施の形態では、このような処理に限定されることなく、転送された印刷データを一旦印刷データ記憶部41に格納してもよい。この場合は、印刷データ記憶部41に記憶されている順に、印刷データ取得部33が印刷データをジョブごとに取得し、順次ジョブの印刷を実行すればよい。
また、本実施の形態では、図2におけるS5において、正常なデータであるか否かの判定を、印刷ジョブがPJLコマンドから始まるか否かによって行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明では、他の判定方法として、PDL(ページ記述言語)の宣言、独自のコマンドなどを用いることもできる。
続いて、上記の印刷装置10において実行される印刷処理の他の例を図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示す印刷処理では、タイムアウト該当コンピュータとして登録されたコンピュータから転送された印刷データが異常な印刷データであると判断され、当該印刷データの破棄(読み捨て)を行った場合に、印刷装置10の表示部9および/またはコンピュータ21などの表示部7に表示させることができる。その他の印刷処理については、図2に示す処理の流れと同じである。
そこで、ここでは上述の図2を用いた処理の流れと異なる部分(すなわち、ステップS15、S17、S18、S19)のみを説明する。なお、ここで説明を省略した各ステップS11、S12、S13、S14、S16、S20、S21については、図2に示すフローチャートの各ステップS1、S2、S3、S4、S6、S9、S10にそれぞれ相当する。また、この処理を行う場合、印刷装置10は、上述のデータ印刷・格納指示部31とは一部異なる機能を有するデータ印刷・格納指示部31aを備えている。また、コンピュータ21は、上述の表示部7とは一部異なる機能を有する表示部7aを備えている。
図3に示すフローチャートにおいて、ステップS15では、上記ステップS5と同様に、転送された印刷データがPJLコマンドから始まるか否かによって、正常な印刷データであるか異常な印刷データであるかを判断している。このステップS15において、転送された印刷データがPJLコマンドから始まらない場合(S15でNo)、印刷データ識別部34は、異常な印刷データであると判断する。そして、この判断に基づいて、データ印刷・格納指示部31aは、当該印刷データの破棄(読み捨て)を行う(S17)。
次に、データ印刷・格納指示部31aは、図1の破線矢印で示すように、異常な印刷データを破棄したという情報を設定部18および/または通信部14に送信する。設定部18では、この情報に基づいて、表示部9にコンピュータからの印刷データの転送がタイムアウトによって中断され、転送再開後の印刷データは破棄された旨の表示をさせる(S18)。また、通信部14では、上記の情報に基づいて、該当するコンピュータ(例えば、コンピュータ21)に対して、異常な印刷データを破棄したという情報を送信する(S18)。
その後、破棄した印刷データの転送元のコンピュータ(ここではコンピュータ21)については、転送の中断によって発生した不完全な印刷データが削除されたため、上記ステップS8と同様にしてタイムアウト該当コンピュータから削除し(S19)、処理を終了する。
一方、コンピュータ21側では、上記ステップS18において、通信部14から送信された異常な印刷データを破棄したという情報を通信部4が受信する。このときのコンピュータ21における処理の流れを図4のフローチャートに示す。
図4に示すように、コンピュータ21では、先ず、通信部14から送信された異常な印刷データを破棄したという情報を通信部4が受信する(S25)。その後、表示部7aでは、この情報に基づいて、例えば図5に示すような「印刷データの転送がタイムアウトによって中断され、転送再開後の印刷データは破棄された」という旨の表示を行う(S26)。
このように、コンピュータ21の表示部7に印刷データをクリアしたという情報を表示させることによって、ジョブを正常に印刷していないとコンピュータのユーザにも分からせることができ、再度印刷ジョブを送るなどのアクションをユーザがとることができる。
続いて、上記の印刷装置10において実行される印刷処理のさらに他の例を図6に示すフローチャートを用いて説明する。図6に示す印刷処理では、転送された印刷データについてタイムアウト該当コンピュータとして登録されたコンピュータからのものであるか否かを確認し、さらに、当該印刷データを転送する際に使用したコンピュータのポートの情報についても確認を行う。そして、タイムアウト該当ポートとして登録されたポートを用いて転送された印刷データについては印刷を行わずに破棄するという処理を行う。その他の処理については、図2に示す処理の流れと同じである。
そこで、ここでは上述の図2を用いた処理の流れと異なる部分(すなわち、ステップS35)のみを説明する。なお、ここで説明を省略した各ステップS31、S32、S33、S34、S36、S39、S37、S38、S40、S41については、図2に示すフローチャートの各ステップS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10にそれぞれ相当する。また、この処理を行う場合、印刷装置10は、上述のデータ印刷・格納指示部31とは一部異なる機能を有するデータ印刷・格納指示部31b、および、上述のタイムアウト登録指示部32とは一部異なる機能を有するタイムアウト登録指示部32bを備えている。
タイムアウト登録指示部32bは、印刷データの受信中に転送が中断して所定期間が経過した場合に、上記データの転送元のコンピュータをタイムアウト該当コンピュータとして登録する。さらに、タイムアウト登録指示部32bは、上記データの転送に使用された上記コンピュータのポートを、登録された上記タイムアウト該当コンピュータと関連付けて、タイムアウト該当ポートとして登録する。この登録された内容については、タイムアウトPC記憶部42に記憶される。
また、データ印刷・格納指示部31bは、転送再開時に転送された印刷データがタイムアウト登録指示部32bによって登録されたポートを使用して転送されたデータであると判別した場合に、当該印刷データの破棄を行う。
具体的には、図6に示すフローチャートのステップS31において、印刷データ・格納指示部31bが、タイムアウトPC記憶部42に登録されているコンピュータからの印刷データであると判別した場合(S31でYes)、続いて、タイムアウトPC記憶部42に上記コンピュータと関連付けて登録されているポートを用いて転送されてものであるか否かの確認が行われる(S35)。
ここで、タイムアウトPC記憶部42に登録されているポートからの印刷データであると判別された場合(つまり、コンピュータとポートとの組み合わせが、タイムアウト記憶部42に記憶されているコンピュータおよびポートの組み合わせと完全に一致する場合)には(S35でYes)、上記ステップS5と同様に、印刷データ識別部34において、その印刷データが正常な印刷データか、あるいは、異常な印刷データかの判別を行う(S36)。一方、タイムアウトPC記憶部42に登録されているポートからの印刷データではないと判別された場合には(S35でNo)、ステップS32からの通常の印刷処理が行われる。以降の処理については、図2に示すものと同様である。
1台のコンピュータであっても、複数のポートによって印刷装置に印刷データを送ることが可能である場合、データ転送再開後にタイムアウト処理が行われたポートとは別のポートによってデータが送られると、印刷ジョブの途中からのデータであることはなく、最初のページからのデータとなっている。そこで、上記のような処理を行うことによって、別のポートを用いて送られた印刷データについては、タイムアウト処理された印刷ジョブとは別の印刷ジョブが送られたと判断して、通常の印刷処理を行うことができる。
本実施の形態では、本発明にかかる出力装置の一例として印刷装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明は印刷装置に限られず、外部から送信されたデータに基づいて出力を行う機能を有する他のデータ出力装置(例えば、ファクシミリ、画像表示装置など)にも適用することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図7から図12に基づいて以下に説明する。本実施の形態では、本発明にかかる出力装置の一例として、コンピュータから送信された印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置を例に挙げて説明する。また、本実施の形態では、上記印刷装置と複数のコンピュータ(機器)と社内LANなどのネットワークを介して接続された印刷システムについても説明する。なお、本実施の形態では、印刷システムを構成する各装置内の構成部材について、実施の形態1で説明した部材と同様の機能を果たす部材については同じ部材番号を付すとともに、その説明を省略する。
図7には、本実施の形態にかかる印刷装置10aと複数のコンピュータ21a、22a、22a…とを含んで構成される印刷システム2を示す。図7に示すように、印刷システム2においては、1台の印刷装置(出力装置)10aに対して複数のコンピュータ(機器・送信装置)21a、22a、23a…がネットワーク20を介して接続されている。各コンピュータ21a、22a、23a…は、印刷データ(データ)を生成し、印刷装置10aへ転送する。印刷装置10aでは、転送された印刷データに基づいて印刷処理を行う。
印刷装置10aは、実施の形態1で説明した印刷装置10と同様に、ネットワーク20に接続され、コンピュータ21aなどの外部の機器と情報の送受信を行う通信部14、印刷データに基づいて印刷処理の制御を行う印刷制御部13、印刷データ・タイムアウト情報・タイムアウト設定情報などを記憶する記憶装置12、印刷を実行する印刷部12、ユーザが装置に対して目的とする操作を行わせるための指示情報(例えば、タイムアウト設定値など)を入力する操作部19、ユーザに対して印刷装置10における処理状況や動作状態を示す表示部9、操作部19において入力された入力情報を設定情報として印刷制御部13へ送信したり、印刷制御部13から送信された情報に基づいて表示部9において表示させるデータの設定を行ったりする設定部18、コンピュータ21などからの印刷データの転送が中断してからの時間を計測するタイマー16を備えている。
また、印刷制御部13の内部には、データ印刷・格納指示部31c(判別手段・データ出力指示手段)、タイムアウト登録指示部32(タイムアウト登録手段)、印刷データ取得部33、印刷データ識別部34(データ識別手段)が設けられている。但し、データ印刷・格納指示部31cについては、実施の形態1において説明したデータ印刷・格納指示部31とは一部異なる機能を有している。
上記データ印刷・格納指示部31cは、タイムアウト登録指示部32によってデータ転送が中断されたと判断された場合に、中断前に転送されたデータ中に含まれるページ情報に基づいて、当該転送されたデータに含まれるページのみのデータを印刷するように制御するとともに、そのデータを転送したコンピュータに対して、上記データを含む印刷ジョブのうちの出力されなかった残りのページに関するデータを再度送信するように指示する機能を有している。
そして、記憶装置12の内部には、印刷データ記憶部41およびタイムアウトPC記憶部42が備えられている。
また、本実施の形態では、印刷システム2においてデータ送信側の機器として機能するコンピュータ21a、21b、21c…(送信装置)の構成についても、実施の形態1におけるコンピュータとは異なっている。
ここで、上記印刷システム2を構成するコンピュータの一つであるコンピュータ21aを例に挙げて説明する。
図7に示すように、コンピュータ21aは、実施の形態1にかかるコンピュータ21と同様に、通信部4a、印刷ジョブ生成部5、操作部6、表示部7、印刷ジョブ記憶部8などを備えている。但し、通信部4aについては、実施の形態1において説明した通信部4とは一部異なる機能を有している。
本実施の形態では、印刷装置10aは、印刷データの送信中に転送が中断してタイムアウト処理が行われた際に、中断前に転送されたデータ中に含まれるページ情報に基づいて、当該転送されたデータに含まれるページのみのデータを印刷する。そして、データを転送したコンピュータ(ここではコンピュータ21aとする)に対して、上記データを含む印刷ジョブのうちの出力されなかった残りのページに関するデータを再度送信するように指示する。
このとき、コンピュータ21aでは、印刷装置10aの通信部14から印刷済みのページの情報(印刷完了ページ情報)を取得し、出力されていない残りのページに関するデータを再度生成するか、あるいは、印刷ジョブ記憶部8から取得し、未印刷データとして印刷装置10aへ再度送信する。このような動作を行うために、コンピュータ21aの通信部4a内には、印刷ジョブ生成部5あるいは印刷ジョブ記憶部8から取得し、印刷装置10aへ転送する未印刷データ送信部(未出力データ送信手段)が設けられている。ここで、上記印刷完了ページ情報とは、例えば、タイムアウト発生前に受信した印刷データにより印刷処理が行われたページ数を示す情報のことを言う。
なお、図示はしていないが、コンピュータ21a以外のコンピュータ22a、23a…についてもコンピュータ21と同様の構成をしている。
次に、図8に示すフローチャートを参照して、上記印刷装置10aにおける、印刷処理の流れを説明する。ここでは、特に通信部14が1つの印刷ジョブを受信した場合に行われる印刷処理の流れについて説明する。
通信部14が外部のコンピュータ21aなどから印刷データを受信すると、通信部14は、印刷制御部13へ印刷データを送信し、印刷処理を開始する。まず、印刷制御部13に印刷データが送信されると、データ印刷・格納指示部31cは、印刷データに含まれている送信側コンピュータのIPアドレスやPC名等と、記憶装置12内のタイムアウトPC記憶部42とを参照して、転送された印刷データがタイムアウト該当コンピュータとして登録されているコンピュータから送信されたものであるか否かを判別する(S51)。ここで、タイムアウトPC記憶部42に登録されているコンピュータからの印刷データではないと判別された場合には(S51でNo)、通常の印刷処理が行われる(S52)。つまり、印刷データはデータ印刷・格納指示部31cから印刷データ取得部33へと送られた後、印刷データ取得部33は、この印刷データに基づいて印刷部11が印刷を実行するように指示を出す。
この通常印刷処理中に、印刷データの転送が中断した場合には、データ印刷・格納指示部31cは、タイムアウト登録指示部32へデータ転送が中断したということを通知する。タイムアウト登録指示部32では、タイマー16を利用してデータ転送が中断してからの時間を計測する。そして、タイマーが所定期間(例えば、30秒)をカウントした場合に、タイムアウト登録指示部32では、タイムアウト発生と判断し(S53でYes)、上記印刷データの転送元であるコンピュータをタイムアウト該当コンピュータとしてタイムアウトPC記憶部42に登録する(S60)。その後、データ印刷・格納指示部31c(データ出力指示手段)は、中断するまでに送られたデータを用いて印刷処理を行うように指示を行うとともに、印刷完了ページ情報を印刷データ記憶部41に格納させる(S61)。続いて、データ印刷・格納指示部31cは、タイムアウト処理を行った後(S62)、この印刷ジョブの処理を終了する。
データ転送がページの途中で中断していれば、上記タイムアウト処理ステップ(S62)において、データ印刷・格納指示部31cが途中までしかデータのないページについて読み捨て(データの破棄)を行う。さらに、上記タイムアウト処理(S62)では、タイムアウトが起きたコンピュータとのセッションを切ることで、他のコンピュータからの印刷ジョブ受信を可能とする。
なお、印刷ジョブと印刷ジョブとの間においても、データ転送が中断されるが、この場合は正常な中断である。そこで、このような正常な中断が発生した場合に、誤ってタイムアウト発生と判断することを防止するために、印刷データには、ジョブの最後(すなわち、最終ページのデータ)にジョブ終了情報を付している。そして、タイムアウト登録指示部32は、データ印刷・格納指示部31cからデータ転送が中断したという通知あり、かつ、転送されてきたデータの中に、上記ジョブ終了情報が含まれていない場合に、タイムアウト印刷データの転送が中断したと判断する。
一方、通常印刷処理中に、タイムアウト登録指示部32がタイムアウトが発生したという判断を行わなかった場合には(S53でNo)、引き続き通常の印刷処理が行われ(S54)、データ印刷・格納指示部31cが印刷データ中のジョブ終了情報を確認することによって、一つのジョブの印刷処理が終了する。なお、本実施の形態にかかる印刷装置10aでは、データ印刷・格納指示部31cが印刷データ中のジョブ終了情報を確認したときに、当該印刷ジョブの印刷処理が完了したというジョブ完了情報を、通信部14を介してコンピュータ21aの通信部4aに送信する。
また、上記ステップS51において、タイムアウトPC記憶部42に登録されているコンピュータからの印刷データであると判別された場合には(S51でYes)、印刷データ識別部34(データ識別手段)において、その印刷データが正常な印刷データか、あるいは、異常な印刷データかの判別を行う(S55)。
ここで、正常な印刷データとは、印刷ジョブの開始となるデータ(すなわち、最初のページのデータ)から送られるものであって、例えば、PJLコマンドから始まる印刷ジョブである。また、異常な印刷データとは、一旦データ転送が中断した後、データ転送が再開された場合などに送信される可能性のある、印刷ジョブの途中から始まる印刷データこのことである。例えば、PJLコマンドから始まっていない場合に、印刷ジョブの途中からのデータであると判別することができる。
そこで、上記ステップS55では、転送された印刷データがPJLコマンドから始まるか否かによって、正常な印刷データであるか異常な印刷データであるかを判断している。ここで、転送された印刷データがPJLコマンドから始まる場合(S55でYes)、印刷データ識別部34は、正常な印刷データであると判断して、データ転送元のコンピュータについてタイムアウト登録の解除を行う(S56)。つまり、タイムアウトPC記憶部42に登録されているタイムアウト該当コンピュータの中から、上記転送元のコンピュータを削除する。そして、転送された印刷データについて通常の印刷処理を行う(上記ステップS52からの処理を行う)。
一方、上記ステップS55において、転送された印刷データがPJLコマンドから始まらない場合(S55でNo)、印刷データ識別部34は、異常な印刷データであると判断する。そして、この判断に基づいて、データ印刷・格納指示部31cは、当該印刷データの破棄(読み捨て)を行う(S57)。上記のステップS57において、印刷ジョブの途中からのデータについては、以前にタイムアウト処理した印刷ジョブの残りのデータであると判断して破棄することで、不完全なデータにより予期しない印刷処理結果を得られないようにすることができる。
次に、データ印刷・格納指示部31cは、異常な印刷データを破棄したという情報および上記S61において予め印刷データ記憶部41に記憶しておいた印刷完了ページ情報を設定部18および/または通信部14に送信する。設定部18では、この情報に基づいて、表示部9にコンピュータからの印刷データの転送がタイムアウトによって中断され、転送再開後の印刷データは破棄されたという情報、および、複数ページからなる印刷ジョブのうちの何ページ目まで印刷が完了したかという情報を表示させる(S58)。また、通信部14では、上記の情報に基づいて、該当するコンピュータ(例えば、コンピュータ21a)に対して、異常な印刷データを破棄したという情報を送信する(S58)。
その後、破棄した印刷データの転送元のコンピュータについては、転送の中断によって発生した不完全な印刷データが削除されたため、上記ステップS6と同様にしてタイムアウト該当コンピュータから削除し(S59)、処理を終了する。
一方、コンピュータ21a側では、上記ステップS58において、通信部14から送信された異常な印刷データを破棄したという情報および印刷完了ページ情報を通信部4aが受信する。このときのコンピュータ21aにおける処理の流れを図11のフローチャートに示す。
図11に示すように、コンピュータ21aでは、先ず、通信部14から送信された異常な印刷データを破棄したという情報を通信部4aが受信する(S28)。その後、表示部7では、この情報に基づいて、例えば図12に示すような「印刷データの転送がタイムアウトによって中断され、転送中断前までに送信されたページについては正常に印刷が完了し、以降のページのデータについてはクリアされた」という旨の表示を行う(S29)。
このように、コンピュータ21aの表示部7に、印刷完了ページの情報、および、未印刷データをクリアしたという情報を表示させることによって、ジョブの途中ページまでしか正常に印刷されていないということをコンピュータのユーザにも分からせることができる。これによって、再度印刷ジョブを送るなどのアクションをユーザがとることができる。
さらに、本実施の形態にかかるコンピュータ21aでは、データ転送の中断によって印刷ジョブの途中で印刷処理が終了し、未印刷ページがある場合に、未印刷部分のみのデータを印刷ジョブ記憶部8から取得して印刷装置に再送信することもできる。このときのコンピュータ21a側における処理の流れについて図9に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、コンピュータ21a内の印刷ジョブ生成部5は、印刷装置10aに送信するための印刷データを生成し(S71)、印刷ジョブ記憶部8に印刷データを保存する(S72)。次に、通信部4aは印刷ジョブ記憶部8に保存された印刷データを取り出し、印刷装置10aへ送信する(S73)。その後、送信が完了するまで送信を継続する(S74、S75)。
送信が完了すると(S74でYes)、印刷装置10aからの情報受信を待機する(S76)。ここで、印刷ジョブの印刷処理が完了したというジョブ完了情報を受信した場合には(S77)、印刷ジョブ記憶部8に記憶されていた印刷ジョブの削除を行い(S78)、処理を終了する。
一方、情報受信の待機中(S76)に、タイムアウトが発生し、異常な印刷データを破棄したという情報および印刷完了ページ情報を通信部4aが受信した場合には(S79)、通信部4a内の未印刷データ送信部51は、上記印刷完了ページ情報に基づいて出力されていない残りのページに関するデータ(未印刷データ)を印刷ジョブ記憶部8から取得する。そして、上記未印刷データを印刷装置10aへ再送信する(S80)。その後は、上述したステップS74からの処理を繰り返す。
また、本実施の形態にかかるコンピュータ21aでは、データ転送の中断によって印刷ジョブの途中で印刷処理が終了し、未印刷ページがある場合に、未印刷部分のみのデータを印刷ジョブ生成部5にて再度生成して印刷装置に再送信することもできる。このときのコンピュータ21a側における処理の流れについて図10に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この場合には、コンピュータ21内には、上述の未印刷データ送信部51とは一部異なる機能を有する未印刷データ送信部51aが備えられている。
まず、コンピュータ21a内の印刷ジョブ生成部5は、印刷装置10aに送信するための印刷データを生成し(S91)、通信部4aを経由して当該印刷データを印刷装置10aへ送信する(S92)。その後、送信が完了するまで送信を継続する(S93、S94)。
送信が完了すると(S93でYes)、印刷装置10aからの情報受信を待機する(S95)。ここで、印刷ジョブの印刷処理が完了したというジョブ完了情報を受信した場合には(S96)、処理を終了する。
一方、情報受信の待機中(S95)に、タイムアウトが発生し、異常な印刷データを破棄したという情報および印刷完了ページ情報を通信部4aが受信した場合には(S97)、通信部4a内の未印刷データ送信部51aは、上記印刷完了ページ情報に基づいて出力されていない残りのページに関するデータ(未印刷データ)を再度生成するように印刷ジョブ生成部5に指示する。印刷ジョブ生成部5では、この指示に基づいて未印刷データを再生成し、未印刷データ送信部51aへ送信する。そして、未印刷データ送信部51aは、上記未印刷データを印刷装置10aへ再送信する(S98)。その後は、上述したステップS93からの処理を繰り返す。
以上のようにして、一つの印刷ジョブについて印刷処理が行われる。このような処理を行うことによって、転送中断後のデータ転送再開時に、正常な印刷処理が行われない可能性のある途中ページからの印刷データを破棄し、ユーザの意図しないデータが印刷されることを防止することができる。そして、一つの印刷装置に対して複数のコンピュータが接続されている印刷システムにおいて、データ転送の中断が発生した後のデータ転送再開時に、各コンピュータから送信される印刷データの印刷処理を適切に行うことができる。
なお、図8のフローチャートに示す印刷処理では、転送された印刷データは印刷データ記憶部41に記憶されることなく、そのまま印刷が実行される場合を示しているが、本実施の形態では、このような処理に限定されることなく、転送された印刷データを一旦印刷データ記憶部41に格納してもよい。この場合は、印刷データ記憶部41に記憶されている順に、印刷データ取得部33が印刷データをジョブごとに取得し、順次ジョブの印刷を実行すればよい。
本実施の形態では、本発明にかかる出力装置の一例として印刷装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明は印刷装置に限られず、外部から送信されたデータに基づいて出力を行う機能を有する他のデータ出力装置(例えば、ファクシミリ、画像表示装置など)にも適用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上記実施形態の印刷装置の印刷制御部や各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の印刷装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。