JP4549485B2 - 水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性高分子組成物、水溶性高分子水溶液、石油回収用薬剤、および水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶性高分子は、増粘作用、ゲル化作用、粘結作用、保湿作用、皮膜形成作用、金属イオン封鎖作用、吸収作用、メタン等のハイドレート生成抑制作用など様々な機能を有しており、洗剤、化粧品、医薬品、塗料、繊維、土木、建築等の広範囲な産業分野で使用されている。
【0003】
例えば、水溶液高分子の一種であるアクリルアミド系重合体は、高分子凝集剤、製紙用薬剤、石油回収用薬剤、掘削泥水用増粘剤等の多くの用途があり、使用に際しては水溶液で用いられることが多い。例えば、アクリルアミド系重合体の水溶液は、石油回収用薬剤として石油回収率を向上させる目的等に使用される。
【0004】
水溶性高分子水溶液の安定剤として様々なものが提案されている。例えば、アクリルアミド系重合体の分解を抑制して粘度低下を少なくする添加剤としては、ベンゾトリアゾール(特公昭49−27658号公報)、ジメチルジチオカルバミン酸の金属塩(特公昭49−27660号公報)、2−メルカプトベンゾイミダゾール(特公昭58−47414号公報)、メチオニン(特公平6−57722号公報)等が挙げられる。
【0005】
また、油田において石油回収率を向上させる方法の一つとして、超高浸透性区域を埋める方法がある。超高浸透性区域を埋めることにより、石油を押し出すために使用する水や石油回収用薬剤の油層中の体積掃攻率が上がり、石油回収率が向上する。超高浸透性区域を埋める方法として、米国特許第4917186号では油層にマンガンやクロム等とこれらの金属とゲル化が可能な高分子、例えばキサンタンガム、アクリルアミド系重合体およびジカルボン酸の混合水溶液を導入し、超高浸透性区域でゲルを生成させる方法が提案されている。ここにおいて、マンガンやクロムはゲル化させるために使用されており、記載されているクロムの添加量はアクリルアミド系重合体に対して2500〜20000ppmである。また、マンガンの添加量については具体的な記載はないが、マンガンより優れた効果を有すると記載されているクロムの添加量を下回ることはないと考えられる。
【0006】
一方、アクリルアミド単量体を製造あるいは貯蔵する際に、アクリルアミド単量体の重合抑制剤として、例えば、マンガン(II)イオンを添加する方法(特公昭41−1930号公報)、マンガンおよびエチレンジアミン四酢酸等を共存させる方法(特公昭48−3813号公報)、リン酸マンガン等を共存させる方法(特開昭50−14623号公報)等が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行文献に記載された添加剤を含む水溶性高分子組成物または水溶性高分子水溶液は、ある程度粘度低下を抑制することができるものの、工業的には更に高い安定性が要望されている。
【0008】
特にアクリルアミド系重合体等の水溶性高分子は、水溶液の状態では分解を起こし易いという問題がある。具体的には、ある程度の粘度が必要な用途において使用される水溶性高分子の水溶液は、太陽光や蛍光灯等紫外線に晒されると、分解反応が生じるためか、粘度が低下するなど、その品質が低下する。また暗所で保存した場合でも、熱や酸素等の影響で分解するので品質が経時的に低下する。
【0009】
石油回収用薬剤は、石油が存在する地下の油層中に圧入され、その高粘性を利用して油層中の石油を押し出すための流体として使用されるものである。圧入された石油回収用薬剤は、注入井から石油の生産井に至るまで、油層中において数ヶ月から数年の長期に亘って必要な粘度を保持することが要求される。油層の温度は通常40℃以上、場合によっては100℃以上のこともあるので、このような高温の条件下では、従来の水溶性高分子水溶液、例えば、アクリルアミド系重合体水溶液からなる石油回収用薬剤の粘度は経時的に低下する。油層中で水溶性高分子の粘度が低下する理由は明らかではないが、水溶液中の溶存酸素等が関与するラジカル反応により水溶性高分子の主鎖が切断されることが一つの要因と考えられる。
【0010】
米国特許第4917186号に記載されているアクリルアミド系重合体水溶液は、クロムやマンガンの含有率が高い。このようなアクリルアミド系重合体水溶液は、高分子の架橋が経時的に進行してゲル化を起こすため、水溶液として長期間安定に保持しておくことは困難である。また、このようなアクリルアミド系重合体水溶液は、油層の石油を押し出すための石油回収用薬剤として用いることは困難である。
【0011】
マンガンを重合抑制剤として含むアクリルアミド単量体は、前述したように既に知られている。このようなアクリルアミド単量体を重合すると、マンガン塩類を含有するアクリルアミド系重合体またはその溶液が得られる。しかし、マンガンは単量体の製造途中の重合を抑制するために添加されており、ほとんどが製造工程の最終段階である単量体の晶析時に大部分が除去されている。そのためアクリルアミド系重合体またはその溶液に含まれるマンガンはわずかである。仮に、マンガンが全く除去されていない単量体からアクリルアミド系重合体またはその溶液を製造した場合でも、マンガンの量はアクリルアミド系重合体に対し8ppm以下であり、安定化効果はほとんどない。
【0012】
従って、本発明の目的は、水に溶解した場合に粘度低下が少なく、またゲル化しない安定な水溶液となる水溶性高分子組成物、粘度低下が少なく、またゲル化しない安定な水溶性高分子水溶液、高温下で粘度低下が少なく、またゲル化しない安定な石油回収用薬剤、および、水溶性高分子水溶液の粘度低下を抑制する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水溶性高分子水溶液に、マンガン、コバルトおよびクロムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属含有物を水溶性高分子に対して、金属として10〜1000ppmとなるように添加することを特徴とする水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性高分子組成物または水溶性高分子水溶液に含まれる金属は、マンガン、コバルトおよびクロムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である。通常、このような金属は金属塩類、すなわちマンガン塩類、コバルト塩類およびクロム塩類として水溶性高分子組成物または水溶性高分子水溶液に添加される。含まれる金属としてはマンガンが特に好ましい。
【0017】
マンガン塩類は、2価のマンガンイオンを生成するものが使用できる。このようなマンガン塩類としては、例えば、塩化マンガン、弗化マンガン、臭化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸マンガン、ぎ酸マンガン、酢酸マンガン、蓚酸マンガン、安息香酸マンガン、アクリル酸マンガン等が挙げられる。なかでも硫酸マンガン、塩化マンガンが好ましい。
【0018】
クロム塩類は、3価のクロムイオンを生成するものが使用できる。このようなクロム塩類としては、例えば、塩化クロム、弗化クロム、臭化クロム、硫酸クロム、硝酸クロム、リン酸クロム、ぎ酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、安息香酸クロム、アクリル酸クロム、クロムカリミョウバン等が挙げられる。なかでもクロムカリミョウバン、塩化クロムが好ましい。
【0019】
コバルト塩類は、2価のコバルトイオンを生成するものが使用できる。このようなコバルト塩類としては、例えば、塩化コバルト、弗化コバルト、臭化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、リン酸コバルト、ぎ酸コバルト、酢酸コバルト、蓚酸コバルト、安息香酸コバルト、アクリル酸コバルト等が挙げられる。なかでも塩化コバルト、硫酸コバルトが好ましい。
【0020】
本発明の実施において用いられる水溶性高分子とは、新版高分子辞典(高分子学会、高分子辞典編集委員会編、1998年11月25日初版第一刷、216ページ)に記載されているように、水に溶解する高分子の総称であり、天然、半合成、合成の水溶性高分子が数多く存在し、食品、のり剤、その他多岐にわたる分野で利用されているものである。水溶性高分子に共通する化学的特徴は分子中に水との強い相互作用を有する極性基(イオン性基、水酸基、アミノ基、アミド基、エーテル基など)を数多く含むことである。
【0021】
代表的な水溶性高分子としては、例えば、合成高分子として(メタ)アクリルアミド系重合体、N―置換(メタ)アクリルアミド系重合体、N−ビニル(メチル)アミド系重合体、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、 ポリビニルアコール、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアリルアミン(塩)等が挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリルアミド系重合体、N―置換(メタ)アクリルアミド系重合体、N−ビニル(メチル)アミド系重合体、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とは、各々(メタ)アクリルアミド単量体単位、N―置換(メタ)アクリルアミド単量体単位、N−ビニル(メチル)アミド単量体単位、(メタ)アクリル酸(塩)単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体を指す。このような単量体単位の割合は10〜100モル%が好ましく、特に50〜100モル%が好ましい。
【0023】
N―置換(メタ)アクリルアミド単量体としては、例えば、N,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドおよびこれらの塩および4級アンモニウム塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルキルスルホン酸およびその塩、ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド等が挙げられる。
【0024】
N−ビニル(メチル)アミド単量体としては、例えば、N−ビニル(メチル)ホルムアミド、N−ビニル(メチル)アセトアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、N,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの塩および4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0026】
このような水溶性合成高分子は、例えば、これらの単量体を単独重合または共重合することにより製造することができる。その際にはこれらの単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合してもよい。
【0027】
水溶性高分子の製造方法は特に限定されず、例えば、アクリルアミド系重合体、N―置換(メタ)アクリルアミド系重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、N−ビニル(メチル)アミド系重合体を製造する方法としては、ラジカル重合開始剤を用いる水溶液重合法が例示できる。
【0028】
水溶性高分子の製造に使用できる重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、過酸化水素、有機過酸化物等の過酸化物、或いはこれらに3級アミン、亜硫酸塩、第一鉄塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤、またはレドックス系開始剤とアゾ系開始剤とを併用した併用開始剤等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、通常、単量体重量の0.0001〜0.4重量%程度である。
【0029】
重合反応は通常−10〜100℃で実施される。光で開始ラジカルを生成する光開始剤を用いる場合は、光照射により重合を実施する。このようにして得られた水溶性高分子は適宜粉状にすることができる。製造された水溶性高分子が含水ゲル状のアクリルアミド系重合体の場合は、適宜、解砕し、乾燥し、粉砕することにより粉体のアクリルアミド系重合体とすることができる。
【0030】
水溶液重合以外の重合方法としては、例えば、乳化重合、分散重合等が挙げられる。
【0031】
水溶性天然高分子としては、例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、澱粉等の多糖類系の天然高分子、デキストリン、レバン等の微生物系の天然高分子、例えば、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等の動物系の天然高分子等が挙げられる。
【0032】
水溶性半合成系高分子としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースをエステルやエーテルなどの誘導体としたセルロース系、可溶性澱粉、カルボキシメチル澱粉、メチル澱粉等の澱粉系、アルギン酸塩等のアルギン酸系半合成高分子等が挙げられる。
【0033】
水溶性高分子は、その一部が変成されたものでもよい。変成の方法としては、例えば、アクリルアミド系重合体のアミド基の加水分解やメチロール化、マンニッヒ反応による他の官能基の導入等が挙げられる。
【0034】
本発明の水溶性高分子組成物および水溶性高分子水溶液に含まれる水溶性高分子は、1種だけでなく2種以上を含んだものであってもよい。
【0035】
本発明のマンガン、コバルトおよびクロムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を10〜1000ppm含む水溶液高分子組成物および水溶性高分子水溶液の製造方法は、例えば、重合前の原料単量体(溶液)にそれら金属の塩類を添加して重合する方法、水溶性高分子の粉末とそれら金属の塩類を混合する方法、水溶性高分子重合反応液にそれら金属の塩類の溶液を添加する方法、水溶性高分子の水溶液にそれら金属の塩類を添加する方法等が挙げられる。
【0036】
マンガンを含むアクリルアミド系重合体水溶液の製造方法としては、例えば、アクリルアミド系重合体を重合する前の原料単量体の水溶液にマンガン塩類を添加して重合する方法、アクリルアミド系重合体あるいはその水溶液にマンガン塩類を添加する方法等が挙げられる。原料単量体にマンガン塩類を添加する方法は、特別な装置を必要としない点で優れており、重合体あるいは重合体水溶液にマンガン塩類を添加する方法は、重合の際にマンガン塩類の影響が無い点で優れている。
【0037】
本発明の水溶性高分子組成物および水溶性高分子水溶液において、水溶性高分子に対するマンガン、コバルト、クロムの量は10〜1000ppmであり、好ましくは15〜800ppmであり、更に好ましくは30〜500ppmである。水溶性高分子がアクリルアミド系重合体の場合、これら金属が10ppm未満であると分解抑制効果が不十分であり、1000ppmを超えるとゲル化する場合がある。本発明の水溶性高分子組成物および水溶性高分子水溶液には、マンガン、コバルト、クロム以外の安定剤が含まれていてもよい。
【0038】
水溶性高分子水溶液の溶媒として使用する水は特に限定されず、例えば、海水、河川水、地下水、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が使用できる。
【0039】
本発明のアクリルアミド系重合体水溶液中のアクリルアミド系重合体の濃度は50〜10000ppmであり、50〜6000ppmであることが好ましい。
濃度は低いほどコスト面で有利であり、高いほど水溶液の粘性が上昇する。しかし、濃度が高すぎるとコスト面で不利であるとともに、場合によっては粘度が高くなりすぎるために液体として取り扱うことが困難になる。
【0040】
本発明の水溶性高分子重合体組成物あるいは水溶性高分子水溶液は、0℃というような室温より低い温度でも、70〜120℃のような高温でも、分解が少ないので、粘度の安定性に優れている。また、本発明の水溶性高分子組成物あるいは水溶性高分子水溶液は、光による分解に対しても優れた安定性を有する。このような特性を有する本発明の水溶性高分子組成物あるいは水溶性高分子水溶液は、例えば、高分子凝集剤、製紙用薬剤、石油回収用薬剤、掘削泥水用増粘剤等として好ましく使用できる。なかでも、本発明の水溶性高分子水溶液、特にアクリルアミド系重合体水溶液は、高温下でも長期間に亘って粘度低下が少ないことから石油回収用薬剤として好ましい。
【0041】
また本発明は、水溶性高分子水溶液に、マンガン、コバルトおよびクロムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を水溶性高分子に対して10〜1000ppm添加することを特徴とする水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法である。水溶性高分子水溶液にマンガン、コバルト、クロムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属含有物を添加しておくことにより、該水溶液が経時的に粘度低下していくことを抑制できる。通常、金属含有物としては金属塩類が用いられる。金属塩類としてはマンガン塩類が好ましく、特に硫酸マンガン、塩化マンガンが好ましい。金属含有物の添加量は、水溶性高分子に対して金属として10〜1000ppmが好ましく、15〜800ppmがより好ましく、30〜500ppmが特に好ましい。
【0042】
水溶性高分子組成物あるいは水溶性高分子水溶液の粘度の安定性は、加熱や光照射等の前後における粘度の比(以下、粘度保持率という。)で評価できる。粘度は、例えば、B型粘度計、ウベローデ粘度計、スクリーンファクター粘度計等を用いて測定できる。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。ここにおいて、水溶性高分子組成物あるいは水溶性高分子水溶液の粘度の安定性は、粘度保持率で評価した。粘度は、25℃の試料溶液についてB型粘度計で測定した。
【0044】
[実施例1]
油田で使用される水のモデルとして、イオン交換水に塩化ナトリウムと塩化カルシウムを、それぞれ140ppと160ppmとなるように溶解させたモデル水を調製した。
【0045】
このモデル水に、アクリルアミド単量体単位84モル%とアクリル酸ソーダ単量体単位16モル%よりなる[η]=19(dL/g)のアクリルアミド系重合体を1000ppmとなるように加えて溶解した。このようにして得られた重合体水溶液に、0.1重量%の硫酸マンガン(MnSO4)水溶液をアクリルアミド系重合体に対し、マンガンとして50ppmとなるように溶解した。その後、この溶液を70℃に調整した恒温槽に入れ、1週間後に恒温槽から取り出した。
次式により算出した粘度保持率を表1に示した。
粘度保持率(%)=恒温槽から取り出した後の粘度/溶解直後の粘度×100
【0046】
[実施例2〜4]
0.1重量%硫酸マンガン水溶液の量をアクリルアミド系重合体に対し、マンガンとして200ppm、15ppm、30ppmとなるように変更した以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0047】
[実施例5]
硫酸マンガンの代わりに塩化マンガンを使用した以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0048】
[実施例6]
硫酸マンガンの代わりに塩化コバルトを使用した以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0049】
[実施例7]
硫酸マンガンの代わりにクロムカリミョウバンを使用した以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0050】
[比較例1]
0.1重量%硫酸マンガン水溶液の量をアクリルアミド系重合体に対し、マンガンとして8ppmとなるように変更した以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0051】
[比較例2]
硫酸マンガン水溶液を添加しなかった以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0052】
[比較例3]
0.1重量%硫酸マンガン水溶液の代わりに0.1重量%のメチオニン水溶液を重合体に対し5000ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様に実施した結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
[実施例8]
イオン交換水70重量%、アクリルアミド20重量%、アクリル酸ソーダ10重量%の単量体水溶液に、1%硫酸マンガン水溶液をアクリルアミド系重合体に対し、マンガンとして50ppmとなるように加えたものを重合容器に入れ、系内を窒素置換した後開始剤を加えて重合し、ゲル状のアクリルアミド系重合体を得た。得られた含水重合体ゲルを粒状に解砕し、乾燥後、粉砕して[η]=21(dL/g)のアクリルアミド系重合体組成物を得た。この重合体組成物を実施例1と同様のモデル水に溶解して1000ppmの水溶液を調製した。この水溶液の粘度保持率を実施例1と同様にして測定した結果を表2に示した。
【0055】
[比較例4]
硫酸マンガンを添加しなかった以外は、実施例8と同様に実施した結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
[実施例9]
イオン交換水70重量%、アクリルアミド20重量%、アクリル酸ソーダ10重量%の単量体水溶液を重合容器に入れ、系内を窒素置換した後開始剤を加えて重合し、ゲル状のアクリルアミド系重合体を得た。このアクリルアミド系重合体を約5mmの粒状に解砕したものに、1重量%硫酸マンガン水溶液をアクリルアミド系重合体に対し、マンガンとして200ppmとなるよう混合した。これを乾燥後、粉砕し、[η]=19(dL/g)のアクリルアミド系重合体組成物を得た。このアクリルアミド系重合体組成物の1000ppm水溶液について、粘度保持率を実施例1と同様にして測定した結果を表3に示した。
【0058】
[比較例5]
硫酸マンガンを添加しない以外は、実施例9と同様に実施した結果を表3に示した。
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例10]
横浜市の水道水に、アクリルアミド単量体単位84モル%とアクリル酸ソーダ単量体単位16モル%よりなる[η]=19(dL/g)のアクリルアミド系重合体を1000ppmとなるように加えて溶解した。このようにして得られた重合体水溶液に、0.1%硫酸マンガン水溶液をアクリルアミド系重合体に対し、マンガンとして200ppmとなるように溶解した。この溶液を50mlガラス製ビーカーに50g計り取り、20W蛍光灯型ケミカルランプ(東芝社製FL−20S−BL)を用いて、上部より7時間光照射した。溶液の液面での光強度は約30W/m2であった。次式により算出した粘度保持率を表4に示した。
粘度保持率(%)=光照射後の溶液粘度/溶解直後の溶液粘度×100
【0061】
[比較例6]
硫酸マンガンを添加しなかった以外は実施例10と同様に実施した結果を表4に示した。
【0062】
【表4】
【0063】
[実施例11〜14]
横浜市の水道水に、表5に示した重合体を,表5に示す量溶解した。このようにして得られた重合体水溶液に、0.1重量%の硫酸マンガン(MnSO4)水溶液を、重合体に対しマンガンとして表5に示す量となるよう溶解した。この溶液の25℃における粘度をB型粘度計で測定した。その後、この溶液を70℃に調温した恒温槽に入れ、表5に示した時間経過後に恒温槽から取り出して25℃における粘度を測定した。次式により算出した粘度保持率を表5に示した。
粘度保持率(%)=恒温槽から取り出した後の粘度/溶解直後の粘度×100
【0064】
[実施例15]
横浜市の水道水に、N−イソプロピルメタアクリルアミド/N−ビニル−N−メチルアセトアミド共重合体高分子水溶液を表5に示す量溶解した。このようにして得られた重合体水溶液を50℃に調温した恒温槽に入れた他は、実施例11と同様に実施した結果を表5に示した。
【0065】
[比較例7〜10]
硫酸マンガンを加えなかった他は、実施例11〜14と同様に実施した結果を表5に示した。
【0066】
[比較例11]
硫酸マンガンを加えなかった他は、実施例15と同様に実施した結果を表5に示した。
【0067】
【表5】
【0068】
【発明の効果】
本発明の水溶性高分子組成物は、水に溶解した場合、粘度低下が少なく、またゲル化しない安定な水溶液となる。本発明は、水溶性高分子がアクリルアミド系重合体の場合に適している。
【0069】
本発明の水溶性高分子水溶液は、粘度低下が少なく、またゲル化しない安定なものである。本発明は、アクリルアミド系重合体水溶液の場合に適している。本発明の水溶性高分子水溶液は、高温下で粘度低下が少なく、またゲル化しないので石油回収用薬剤に適している。
【0070】
本発明の水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法によれば、水溶性高分子水溶液の経時的な粘度低下を少なくすることができる。
Claims (2)
- 水溶性高分子水溶液に、マンガン、コバルトおよびクロムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属含有物を水溶性高分子に対して、金属として10〜1000ppmとなるように添加することを特徴とする水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法。
- 水溶性高分子がアクリルアミド系重合体であり、アクリルアミド系重合体の濃度が50ppm〜10000ppmであることを特徴とする請求項1記載の水溶性高分子水溶液の粘度低下抑制方法。
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