JP4548950B2 - メッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物及び湿式伸線加工方法 - Google Patents
メッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物及び湿式伸線加工方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物及び湿式伸線加工方法に係る。タイヤ、高圧ホース、ベルト等にこれらの主材であるゴムの補強用としてスチールコードが使用されている。このスチールコードは一般にメッキ鋼線材を伸線加工した伸線材を撚り合わせたもので、この伸線材は一般に、メッキ鋼線材を潤滑剤組成物の水性液中にて伸線加工すること、すなわちメッキ鋼線材を湿式伸線加工することにより製造されている。本発明はかかるメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物(以下、単に潤滑剤組成物という)及び湿式伸線加工方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記のような潤滑剤組成物として、有機カルボン酸石鹸とリン系化合物とを含有する各種の組成物が提案されている。これには例えば、1)有機カルボン酸金属石鹸とアルキルリン酸エステルアミン塩とを含有する組成物(雑誌「潤滑」、1979年、第24巻、第10号、643頁)、2)オレイン酸トリエタノールアミン塩とリン酸エチレンジアミン塩とを含有する組成物(特許第2858967号)、3)脂肪酸塩と無機リン酸塩とアルキルリン酸エステルとを含有する組成物(特開平8−155532)等がある。ところが、これら従来の潤滑剤組成物には、湿式伸線加工における伸線加工性の向上と、得られる伸線材のゴムに対する接着性の向上とを、同時に且つ充分に図ることができないという問題がある。メッキ鋼線材の湿式伸線加工においては、線材の断線、湿式伸線加工に用いるダイスの摩耗、伸線速度、得られる伸線材の表面品質等が複合的に影響する伸線加工性の向上を図ることが求められ、同時に得られる伸線材のゴムに対する接着性の向上を図ることが求められているが、従来の潤滑剤組成物では、かかる伸線加工性及び接着性の向上を同時に且つ充分に図ることができないのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、メッキ鋼線材の湿式伸線加工における伸線加工性の向上と、得られる伸線材のゴムに対する接着性の向上とを、同時に且つ充分に図ることができる潤滑剤組成物及び湿式伸線加工方法を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、特定の有機カルボン酸アミン塩、特定の有機リン酸エステルアミン塩及び特定の有機金属塩を所定割合で含有して成る潤滑剤組成物、或は更に特定の硬化ひまし油誘導体を所定割合で含有して成る潤滑剤組成物が正しく好適であり、またこれらの潤滑剤組成物の所定濃度の水性液中でメッキ鋼線材を伸線加工する湿式伸線加工方法が正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、下記のA成分、B成分及びC成分から成り、且つ該A成分を25〜90重量%、該B成分を5〜70重量%及び該C成分を0.1〜10重量%の割合で含有して成ることを特徴とする潤滑剤組成物に係る。
【0006】
また本発明は、下記のA成分、B成分及びC成分と、更に下記のD成分とから成り、且つ該A成分を25〜90重量%、該B成分を5〜70重量%、該C成分を0.1〜10重量%及び該D成分を4〜30重量%の割合で含有して成ることを特徴とする潤滑剤組成物に係る。
【0007】
更に本発明は、前記のような本発明に係る潤滑剤組成物を0.5〜20重量%の水性液となし、該水性液中でメッキ鋼線材を伸線加工することを特徴とする湿式伸線加工方法に係る。
【0008】
A成分:含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩
B成分:(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩
C成分:下記の式1で示される有機ジチオリン酸金属塩、下記の式2で示される有機ジチオリン酸金属塩、下記の式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩及び下記の式4で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩の有機金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上
D成分:(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルと有機カルボン酸とをエステル化反応させて得られる硬化ひまし油誘導体
【0009】
【式1】
【式2】
【式3】
【式4】
【0010】
式1〜4において、
R1〜R6:炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18のアルケニル基
X1,X2:カルシウム、亜鉛、カドミウム、錫、アンチモン又は鉛
m,n:1〜4の整数
y,z:0〜4の整数であって、y+z=4を満足する整数
p,q:0〜4の整数であって、p+q=4を満足する整数
【0011】
本発明に係る潤滑剤組成物は、前記のA成分、B成分及びC成分の3成分系から成るもの、或は前記のA成分、B成分、C成分及びD成分の4成分系から成るものである。
【0012】
A成分は含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩であり、該含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩は含硫黄脂肪族カルボン酸とアミン化合物とから得られるものである。A成分の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩を得るのに用いる含硫黄脂肪族カルボン酸としては、ラウリルチオ酢酸、ラウリルチオプロピオン酸、フェニルメルカプト酢酸、チオジコハク酸、チオジプロピオン酸、メチレンビスチオプロピオン酸等の総炭素数3〜30の含硫黄脂肪族カルボン酸等が挙げられる。なかでもラウリルチオプロピオン酸、チオジプロピオン酸等の総炭素数4〜20の含硫黄脂肪族カルボン酸が好ましい。
【0013】
またA成分の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩を得るのに用いるアミン化合物としては、1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン等の脂肪族アミン化合物、2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物、3)α−ラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の数6、以下v=6という)、α−ステアリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシプロピレン(オキシプロピレン単位の数6、以下w=6という)、α−オレイルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=15)等の脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物、4)アニリン、2−ナフチルアミン、ベンジルアミン等の芳香族アミン化合物、5)ピリジン、モルホリン、ピペラジン等の複素環アミン化合物等が挙げられる。なかでもアルカノールアミン化合物、脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物が好ましく、脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物が特に好ましい。
【0014】
A成分の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩は、公知の方法で合成できる。これには例えば、1)含硫黄脂肪族モノカルボン酸1モルを脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物1モルで中和する方法、2)含硫黄脂肪族ジカルボン酸1モルを脂肪族アミンのオキシアルキレン付加物2モルで中和する方法が挙げられる。
【0015】
B成分は(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩であり、該(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩は酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルとアミン化合物とから得られるものである。B成分の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩を得るのに用いる酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルとしては、酸性(ポリ)オキシアルキレンオクチルリン酸エステル、酸性(ポリ)オキシアルキレン−2−エチルヘキシルリン酸エステル、酸性(ポリ)オキシアルキレンイソステアリルリン酸エステル、酸性(ポリ)オキシアルキレンベヘニルリン酸エステル、酸性(ポリ)オキシアルキレンテトラコシルリン酸エステル等のアルキル基の炭素数が8〜24であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン基の数が1〜5である酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。以上例示した酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルのなかでもアルキル基の炭素数が8〜18であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン基の数が1〜5である酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルが好ましい。
【0016】
またB成分の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩を得るのに用いるアミン化合物としてはA成分の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩を得るのに用いる前記したアミン化合物と同じものが使用できる。
【0017】
B成分の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩は、公知の方法で合成できる。これには例えば、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル3モルと五酸化リン1モルとから酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを得た後、この酸性(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルをアミン化合物で中和する方法が挙げられる。
【0018】
C成分は、1)式1で示される有機ジチオリン酸金属塩、2)式2で示される有機ジチオリン酸金属塩、3)式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩及び4)式4で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩の有機金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上である。
【0019】
C成分の式1で示される有機ジチオリン酸金属塩としては、1)ジ−n−プロピルジチオリン酸亜鉛塩、ジ−n−アミルジチオリン酸アンチモン塩、ジ−(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸鉛塩、ジステアリルジチオリン酸カルシウム塩等のアルキル基の炭素数が1〜18のジアルキルジチオリン酸金属塩、2)ジアリルジチオリン酸亜鉛塩、ジオレイルジチオリン酸鉛塩等のアルケニル基の炭素数が3〜18のジアルケニルジチオリン酸金属塩が挙げられる。かかる式1で示される有機ジチオリン酸金属塩の合成には公知の方法、例えば特公平3−32596号公報に記載された方法を適用できる。例えば、脂肪族アルコール4モルと五硫化リン1モルとから酸性有機ジチオリン酸エステルを得た後、この酸性有機ジチオリン酸エステルを塩化カルシウムや塩化亜鉛等の金属塩化物で中和することにより合成できる。
【0020】
C成分の式2で示される有機ジチオリン酸金属塩としては、1)硫化オキシモリブデン−ジ−イソプロピルホスホロジチオエート、硫化オキシモリブデン−ジ−n−アミルホスホロジチオエート、硫化オキシモリブデン−ジ−(2−エチルヘキシル)ホスホロジチオエート、硫化オキシモリブデン−ジ−ステアリルホスホロジチオエート等のアルキル基の炭素数が1〜18の硫化オキシモリブデンジアルキルホスホロジチオエート、2)硫化オキシモリブデン−ジ−アリルホスホロジチオエート、硫化オキシモリブデン−ジ−オレイルホスホロジチオエート等の炭素数が3〜18の硫化オキシモリブデンジアルケニルホスホロジチオエートが挙げられる。かかる式2で示される有機ジチオリン酸金属塩の合成には公知の方法、例えば特公平3−32596号公報に記載された方法を適用できる。例えば、脂肪族アルコール4モルと五硫化リン1モルとから酸性有機ジチオリン酸エステルを得た後、この酸性有機ジチオリン酸エステル1モルと三酸化モリブデン0.25モルとを反応させることにより合成できる。
【0021】
C成分の式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩としては、1)ジ−n−プロピルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジ−n−アミルジチオカルバミン酸アンチモン塩、ジ−(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸鉛塩、ジステアリルジチオカルバミン酸カルシウム塩等のアルキル基の炭素数が1〜18のジアルキルジチオカルバミン酸金属塩、2)ジアリルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジオレイルジチオカルバミン酸アンチモン塩等のアルケニル基の炭素数が3〜18のジアルケニルジチオカルバミン酸金属塩が挙げられる。かかる式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩の合成には公知の方法、例えば化学大辞典4巻321頁(共立出版株式会社発行)に記載された方法を適用できる。例えば、ジアルキルアミン1モルと二硫化炭素1モルと水酸化ナトリウム1モルとからジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム塩を得た後、このジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム塩と塩化カルシウムや塩化亜鉛等の金属塩化物とを反応させることにより合成できる。
【0022】
C成分の式4で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩としては、1)硫化オキシモリブデンジ−n−プロピルジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンジ−n−アミルジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンジ−n−(2−エチルヘキシル)ジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンジ−ステアリルジチオカルバメート等のアルキル基の炭素数が1〜18の硫化オキシモリブデンジアルキルジチオカルバメート、2)硫化オキシモリブデンジ−アリルジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンジ−オレイルジチオカルバメート等のアルケニル基の炭素数が3〜18の硫化オキシモリブデンジアルケニルジチオカルバメートが挙げられる。かかる式4で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩の合成には公知の方法、例えば特公昭40−8426号公報に記載された方法を適用できる。例えば、ジアルキルアミン1モルと二硫化炭素1モルと水酸化ナトリウム1モルとからジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム塩を得た後、このジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム塩とモリブデン酸ナトリウムのジハイドレート水溶液とを反応させることにより合成できる。
【0023】
以上説明したC成分は、単独物として、或は混合物として用いることができるが、単独物として用いる場合には式1で示される有機ジチオリン酸金属塩又は式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩が好ましく、式1で示される有機ジチオリン酸金属塩と式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩との混合物が特に好ましい。
【0024】
D成分は(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルと有機カルボン酸とをエステル化反応させて得られる硬化ひまし油誘導体である。ここで(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルは硬化ひまし油にアルキレンオキサイドを付加反応或は挿入反応させて得られるものである。D成分の硬化ひまし油誘導体を得るのに用いる(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルとしては、1)オキシエチレン(v=1、vはオキシエチレン単位の数、以下同じ)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=5)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=10)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=25)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=35)硬化ひまし油エーテル等の(ポリ)オキシエチレン硬化ひまし油エーテル、2)オキシプロピレン(w=1、wはオキシプロピレン単位の数、以下同じ)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシプロピレン(w=5)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシプロピレン(w=10)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシプロピレン(w=25)硬化ひまし油エーテル等の(ポリ)オキシプロピレン硬化ひまし油エーテル、3)オキシエチレン(v=1)オキシプロピレン(w=1)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=10)ポリオキシプロピレン(w=10)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=15)ポリオキシプロピレン(w=15)硬化ひまし油エーテル等の(ポリ)オキシエチレンポリオキシプロピレン硬化ひまし油エーテルが挙げられる。なかでもポリオキシエチレン(v=25)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=10)ポリオキシプロピレン(w=10)硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン(v=15)ポリオキシプロピレン(w=15)硬化ひまし油エーテルが好ましい。これらの(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルの合成には公知の方法、例えばジャーナルオブザアメリカンオイルケミカルソサイティー72巻781頁に記載された方法を適用できる。
【0025】
またD成分の硬化ひまし油誘導体を得るのに用いる有機カルボン酸としては、1)酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸、カプロン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等の炭素数2〜30の脂肪族モノカルボン酸、2)マロン酸、琥珀酸、グルタン酸、アジピン酸、イタコン酸、セバシン酸、ペンタデセニルコハク酸、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,3−ブタントリカルボン酸、2−(3−カルボキシプロピル)−1,1,5,6−ヘプタンテトラカルボン酸等の炭素数3〜30の脂肪族ポリカルボン酸、3)安息香酸、メチルベンゼンカルボン酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸、4)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、5)乳酸、グリセリン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の炭素数3〜30の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、6)タルトロン酸、りんご酸、酒石酸等の炭素数3〜30の脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸、7)プロピルチオ酢酸、ラウリルチオ酢酸、ラウリルチオプロピオン酸、フェニルメルカプト酢酸等の炭素数3〜30の含硫黄モノカルボン酸、8)チオジコハク酸、チオジプロピオン酸、メチレンビスチオプロピオン酸等の炭素数3〜30の含硫黄ジカルボン酸等が挙げられる。なかでも炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸、炭素数3〜22の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数8〜18の脂肪族モノカルボン酸が特に好ましい。
【0026】
D成分の硬化ひまし油誘導体は、以上説明した(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルと有機カルボン酸とをエステル化反応させて得られるものであるが、これには例えば、1)(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのラウリン酸トリエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのステアリン酸トリエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステル等の、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのヒドロキシ基/有機カルボン酸のカルボキシル基=1/1(モル比)の条件でエステル反応させて得られる硬化ひまし油誘導体、2)(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのアジピン酸ジエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのテレフタル酸ジエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのリシノール酸モノエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのチオジプロピオン酸ジエステル等の、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのヒドロキシ基/有機カルボン酸のカルボキシル基>1/1(モル比)の条件でエステル反応させて得られる硬化ひまし油誘導体、3)(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのピロメリット酸トリエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルの2−(3−カルボキシプロピル)−1,1,5,6−ヘプタンテトラカルボン酸トリエステル等の、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのヒドロキシ基/有機カルボン酸のカルボキシル基<1/1(モル比)の条件でエステル反応させて得られる硬化ひまし油誘導体が挙げられる。なかでも(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのラウリン酸トリエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのステアリン酸トリエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステルが好ましい。
【0027】
本発明に係る潤滑剤組成物は、それが以上説明したようなA成分、B成分及びC成分の3成分系から成るものである場合、A成分を25〜90重量%、B成分を5〜70重量%及びC成分を0.1〜10重量%の割合で含有して成るものであるが、A成分を40〜70重量%、B成分を25〜55重量%及びC成分を1〜5重量%の割合で含有して成るものが好ましい。また本発明に係る潤滑剤組成物は、それが以上説明したようなA成分、B成分、C成分及びD成分の4成分系から成るものである場合、A成分を25〜90重量%、B成分を5〜70重量%、C成分を0.1〜10重量%及びD成分を4〜30重量%の割合で含有して成るものであるが、A成分を30〜70重量%、B成分を20〜50重量%、C成分を1〜5重量%及びD成分を9〜20重量%の割合で含有して成るものが好ましい。
【0028】
本発明に係る湿式伸線加工方法では、以上説明したような本発明に係る潤滑剤組成物を0.5〜20重量%の水性液となし、該水性液中でメッキ鋼線材を伸線加工する方法である。水性液中でのメッキ鋼線材の伸線加工に際しては、合目的的に他の剤、例えば、抗酸化剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、消泡剤、キレート剤等を適宜に併用することができるが、その使用量は可及的に少量とするのが好ましい。
【0029】
本発明に係る伸線加工方法はメッキ鋼線材の湿式伸線加工に適用するものであるが、とりわけブラスメッキ鋼線材に適用する場合により効果が高い。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係る潤滑剤組成物及び伸線加工方法の実施形態としては、次の1)〜8)が挙げられる。
1)下記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−1)65重量%、下記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)34重量%、下記の有機金属塩(C−1)0.5重量%及び下記の有機金属塩(C−3)0.5重量%から成る潤滑剤組成物(T−10)。そしてこの潤滑剤組成物(T−10)を3重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−1):ラウリルチオプロピオン酸=α−ラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=6)
(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1):ポリオキシエチレン(v=3)−2−エチルヘキシルリン酸エステル=α−ラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=6)
有機金属塩(C−1):ジ−n−プロピルジチオリン酸亜鉛塩
有機金属塩(C−3):ジ−n−アミルジチオカルバミン酸アンチモン塩
【0031】
2)下記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−2)50重量%、下記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−2)46重量%、下記の有機金属塩(C−2)2.5重量%及び下記の有機金属塩(C−4)1.5重量%から成る潤滑剤組成物(T−11)。そしてこの潤滑剤組成物(T−11)を3重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−2):チオジプロピオン酸=α−ステアリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシプロピレン(w=6)
(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−2):ポリオキシエチレン(v=5)オレイルリン酸エステル=ジエタノールアミン
有機金属塩(C−2):ジ−(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸鉛塩
有機金属塩(C−4):ジステアリルジチオカルバミン酸カルシウム塩
【0032】
3)下記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−3)68重量%、前記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)30重量%、前記の有機金属塩(C−1)1重量%及び前記の有機金属塩(C−4)1重量%から成る潤滑剤組成物(T−12)。そしてこの潤滑剤組成物(T−12)を8重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−3):フェニルメルカプト酢酸=ジエタノールアミン
【0033】
4)下記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−4)65重量%、前記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)34重量%、前記の有機金属塩(C−2)0.5重量%及び前記の有機金属塩(C−3)0.5重量%から成る潤滑剤組成物(T−13)。そしてこの潤滑剤組成物(T−13)を5重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−4):メチレンビスチオプロピオン酸=モノエタノールアミン
【0034】
5)前記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−1)57重量%、前記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)30重量%、前記の有機金属塩(C−1)0.5重量%、前記の有機金属塩(C−3)0.5重量%及び下記の硬化ひまし油誘導体(D−1)12重量%から成る潤滑剤組成物(T−14)。そしてこの潤滑剤組成物(T−14)を2重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
硬化ひまし油誘導体(D−1):ポリオキシエチレン(v=25)硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステル
【0035】
6)前記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−2)54重量%、前記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−2)29重量%、前記の有機金属塩(C−2)1重量%、前記の有機金属塩(C−4)1重量%及び下記の硬化ひまし油誘導体(D−2)15重量%から成る潤滑剤組成物(T−15)。そしてこの潤滑剤組成物(T−15)を2重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
硬化ひまし油誘導体(D−2):ポリオキシプロピレン(w=20)硬化ひまし油エーテルのラウリン酸トリエステル
【0036】
7)前記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−3)53重量%、前記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)28重量%、前記の有機金属塩(C−1)0.5重量%、前記の有機金属塩(C−4)0.5重量%及び前記の硬化ひまし油誘導体(D−3)18重量%から成る潤滑剤組成物(T−16)。そしてこの潤滑剤組成物(T−16)を3重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
硬化ひまし油誘導体(D−3):ポリオキシエチレン(v=10)ポリオキシプロピレン(w=10)硬化ひまし油エーテルのラウリン酸トリエステル
【0037】
8)前記の含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−4)55重量%、前記の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)29重量%、前記の有機金属塩(C−2)0.5重量%、前記の有機金属塩(C−3)0.5重量%及び下記の硬化ひまし油誘導体(D−4)15重量%から成る潤滑剤組成物(T−17)。そしてこの潤滑剤組成物(T−17)を3重量%の水性液となし、該水性液中でブラスメッキ鋼線材を伸線加工する伸線加工方法。
硬化ひまし油誘導体(D−4):ポリオキシエチレン(v=5)ポリオキシプロピレン(w=15)硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステル
【0038】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部、%は重量%である。
【0039】
【実施例】
試験区分1(硬化ひまし油誘導体の合成)
・硬化ひまし油誘導体(D−1)の合成
硬化ひまし油938g(1モル)及び水酸化カリウム4gをオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、120〜140℃に温度を保ちながらエチレンオキサイド1100g(25モル)を3時間かけて圧入した後、同温度で1時間の熟成を行い、触媒を除去して反応物を得た。ここで得られた反応物を分析したところ、水酸基価82、平均分子量2040(GPC法、ポリスチレン換算、以下同じ)であって、硬化ひまし油1モルにエチレンオキサイド25モルが挿入反応した(NMR分析法、以下同じ)ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルであった。このポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル204g(0.1モル)、オレイン酸85g(0.3モル)及び硫酸1gをフラスコに仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら120〜130℃に加温した。同温度で生成する水を減圧下に除去しながら2時間反応を続けて生成物を得た。ここで得られた生成物は、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルの3個の水酸基にオレイン酸が各1個導入された、平均分子量2800のポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステルである硬化ひまし油誘導体(D−1)であった。
【0040】
・硬化ひまし油誘導体(D−2)〜(D−8)の合成
硬化ひまし油誘導体(D−1)の場合と同様にして、硬化ひまし油誘導体(D−2)〜(D−8)を合成した。以上で合成した各硬化ひまし油誘導体の内容を表1にまとめて示した。
【0041】
【表1】
【0042】
試験区分2(潤滑剤組成物の調製)
・実施例1{潤滑剤組成物(T−1)の調製}
含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩(A−1)55部、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(B−1)43部及び有機金属塩(C−1)2部を混合して、実施例1の潤滑剤組成物(T−1)を調製した。
【0043】
・実施例又は参考例2〜21及び比較例1〜6{潤滑剤組成物(T−2)〜(T−21)及び(R−1)〜(R−6)の調製}
実施例1の潤滑剤組成物(T−1)と同様にして、実施例又は参考例2〜21の潤滑剤組成物(T−2)〜(T−21)及び比較例1〜5の潤滑剤組成物(R−1)〜(R−6)を調製した。以上の各例で調製した潤滑剤組成物の内容を表2及び表3にまとめて示した。
【0044】
試験区分3(メッキ鋼線材の湿式伸線加工及び評価)
・メッキ鋼線材の湿式伸線加工
試験区分2で調製した各例の潤滑剤組成物に水を加え、所定濃度の潤滑剤組成物の水性液とした。これを潤滑液槽に満たした後、超硬合金製ダイスを装着した強制潤滑・冷却伸線装置を用いて、1.2mm径のブラスメッキ鋼線材を0.25mm径の伸線材に湿式伸線加工した。
【0045】
・伸線加工性の評価
伸線材50kgを得るまでの湿式伸線加工時における断線の程度を下記の基準で評価した。結果を表2及び表3にまとめて示した。
◎:断線はなく、伸線加工性に優れている
○:断線はごく僅であり、伸線加工性に問題なし
△:断線が時々あり、伸線加工性にやや問題あり
×:断線が頻繁にあり、伸線加工性に重大な問題あり
【0046】
・ゴムに対する接着性の評価
伸線材を3本撚り合わせてスチールコードを作製した。このスチールコードを未加硫ゴム上に並べて載せ、更にその上に未加硫ゴムを張り合わせ、スチールコードが動かない状態として、温度160℃、圧力4MPaで30分加硫して、スチールコードの埋め込み試料を作製した。作製した埋め込み試料からスチールコードをASTM−D−2229に準じた条件で引き抜く試験を行い、スチールコードへのゴムの付着率を測定した。同様の試験を5回行い、測定値の平均値を次の基準で評価した。結果を表2及び表3にまとめて示した。
◎:90%以上
○〜◎:90%未満〜80%以上
○:80%未満〜70%以上
△:70%未満〜50%以上
×:50%未満
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
表2及び表3において、
浴濃度:潤滑液槽に満たした水性液の潤滑剤組成物濃度(%)
割合:%
A−1:ラウリルチオプロピオン酸=α−ラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=6)
A−2:チオジプロピオン酸=α−ステアリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシプロピレン(w=6)
A−3:フェニルメルカプト酢酸ジエタノールアミン
A−4:メチレンビスチオプロピオン酸モノエタノールアミン
A−5:オレイン酸モノエタノールアミン
A−6:セバシン酸ジエタノールアミン
A−7:フタル酸トリエチルアミン
A−8:リシノール酸イソプロパノールアミン
【0050】
B−1:ポリオキシエチレン(v=3)−2−エチルヘキシルリン酸エステル=α−ラウリルアミノ−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(v=6)
B−2:ポリオキシエチレン(v=5)オレイルリン酸エステル=ジエタノールアミン
B−3:2−エチルヘキシルリン酸エステル=モルホリン
B−4:イソステアリルリン酸エステル=トリエチルアミン
【0051】
C−1:ジ−n−プロピルジチオリン酸亜鉛塩
C−2:ジ−(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸鉛塩
C−3:ジ−n−アミルジチオカルバミン酸アンチモン塩
C−4:ジステアリルジチオカルバミン酸カルシウム塩
C−5:ジオレイルジチオリン酸鉛塩
C−6:硫化オキシモリブデンジ−n−アミルホスホロジチオエート
C−7:硫化オキシモリブデンジ−オレイルホスホロジチオエート
C−8:硫化オキシモリブデンジ−n−アミルジチオカルバメート
C−9:硫化オキシモリブデンジ−アリルジチオカルバメート
【0052】
D−1:ポリオキシエチレン(v=25)硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステル
D−2:ポリオキシエチレン(v=25)硬化ひまし油エーテルのラウリン酸トリエステル
D−3:ポリオキシエチレン(v=10)ポリオキシプロピレン(w=10)硬化ひまし油エーテルのステアリン酸トリエステル
D−4:ポリオキシエチレン(v=5)ポリオキシプロピレン(w=15)硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステル
D−5:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=15,w=15)硬化ひまし油エーテルのアジピン酸ジエステル
D−6:ポリオキシエチレン(v=25)硬化ひまし油エーテルのフタル酸ジエステル
D−7:ポリオキシプロピレン(w=20)硬化ひまし油エーテルのリシノール酸ジエステル
D−8:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(v=15,w=15)硬化ひまし油エーテルのチオジプロピオン酸ジエステル
【0053】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、メッキ鋼線材の湿式伸線加工における伸線加工性の向上と、得られる伸線材のゴムに対する接着性の向上とを、同時に且つ充分に図ることができるという効果がある。
Claims (9)
- 下記のA成分、B成分及びC成分から成り、且つ該A成分を25〜90重量%、該B成分を5〜70重量%及び該C成分を0.1〜10重量%の割合で含有して成ることを特徴とするメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
A成分:含硫黄脂肪族カルボン酸アミン塩
B成分:(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩
C成分:下記の式1で示される有機ジチオリン酸金属塩、下記の式2で示される有機ジチオリン酸金属塩、下記の式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩及び下記の式4で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩の有機金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【式1】
【式2】
【式3】
【式4】
(式1〜4において、
R1〜R6:炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18のアルケニル基
X1,X2:カルシウム、亜鉛、カドミウム、錫、アンチモン又は鉛
m,n:1〜4の整数
y,z:0〜4の整数であって、y+z=4を満足する整数
p,q:0〜4の整数であって、p+q=4を満足する整数) - A成分を40〜70重量%、B成分を25〜55重量%及びC成分を1〜5重量%の割合で含有する請求項1記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
- 請求項1記載のA成分、B成分及びC成分と、更に下記のD成分とから成り、且つ該A成分を25〜90重量%、該B成分を5〜70重量%、該C成分を0.1〜10重量%及び該D成分を4〜30重量%の割合で含有して成ることを特徴とするメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
D成分:(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルと有機カルボン酸とをエステル化反応させて得られる硬化ひまし油誘導体 - A成分を30〜70重量%、B成分を20〜50重量%、C成分を1〜5重量%及びD成分を9〜20重量%の割合で含有する請求項3記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
- C成分が式1で示される有機ジチオリン酸金属塩又は式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩である請求項1〜4のいずれか一つの項記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
- C成分が式1で示される有機ジチオリン酸金属塩と式3で示される有機ジチオカルバミン酸金属塩との混合物である請求項1〜4のいずれか一つの項記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
- D成分が、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのラウリン酸トリエステル、(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのステアリン酸トリエステル及び(ポリ)オキシアルキレン硬化ひまし油エーテルのオレイン酸トリエステルから選ばれる一つ又は二つ以上である請求項3〜6のいずれか一つの項記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一つの項記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工用潤滑剤組成物を0.5〜20重量%の水性液となし、該水性液中でメッキ鋼線材を伸線加工することを特徴とするメッキ鋼線材の湿式伸線加工方法。
- メッキ鋼線材がブラスメッキ鋼線材である請求項8記載のメッキ鋼線材の湿式伸線加工方法。
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