JP4548917B2 - 煙突筒身等の検査システム及びそれに用いる壁面移動台車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙突筒身の外周面のような鉛直面及び傾斜面等を有する構造物の壁面上を移動して、壁面、壁面下又は壁面近傍の環境等を検査するための煙突筒身等の検査システム及びそれに用いる壁面移動台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人らは、特許第2799667号公報(特開平8−68622号公報)、又は特開平10−71976号公報に開示されているような、煙突筒身検査システム及びそれに用いる壁面移動台車を開発してきた。例えば、特許第2799667号公報の図4には、車体に4個の磁輪(駆動輪)が軸支された煙突筒身検査用の壁面移動台車が図示されている。また、特開平10−71976号公報の図1には、車体に軸支されたキャリアに、さらに3輪の遊星磁輪(駆動輪)が軸支され、車輪駆動機構及び車輪駆動源のみを有する壁面移動台車が図示されている。これら3輪は、三角形の各頂点に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、煙突筒身の外周面のような鉛直面上において、より高い障害物をより安定した状態で乗り越えることができる壁面移動台車及びそれを用いた検査システム、特に、煙突筒身等の検査システムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
ここで、本発明を完成するに至った経緯、及び本発明者らの知見を説明する。
【0005】
本発明者らは、先に、三個の遊星車輪が三角形状に配置された壁面移動台車を提案した。この壁面移動台車においては、壁面に吸着している車輪は二個のみであり、壁面に吸着していない一個の車輪が存在する。このため、吸着している車輪が壁面から引き離されたとき、場合によっては、台車の走行安定性が損なわれるおそれがある。
【0006】
そこで今回、本発明者らは、2個の車輪を有し、この2個の車輪のキャリアを障害物に応じて回動させることができ、常時、全ての車輪が壁面に吸着した状態を維持できる、新規な壁面移動台車を想到した。
【0007】
この新規な壁面移動台車が、鋭角凸部のような障害物を乗り越える際、該台車の姿勢が壁面から離れるように傾斜することによって、当該車輪には、その吸着力に逆らって、車輪が壁面から離れるよう台車の荷重が作用する。なお、一旦、吸着力を失った車輪は、自力では、吸着を回復することができない。
【0008】
ところが、この新規な壁面移動台車においては、車輪が壁面から離れないよう、又は、一旦離れた車輪を壁面に接近させるように、前記キャリアを強制的に回動駆動させることができ、これによって、車輪の吸着能力を回復させることができる。
【0009】
なお、この新規な壁面移動台車が、例えば、略直角以下の凸部又は凹部のような、軽微な障害物を乗り越える際には、キャリアを能動的に回動させなくてもよい場合がある。
【0010】
以上の知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成し、下記の新規な壁面移動台車を提供するに至ったものである。
【0011】
すなわち、上記目的を達成するため、本発明は、車体と、前記車体に対して軸支され回動駆動されるキャリアと、一個の前記キャリアに対して1個又は2個軸支され回転駆動されると共に壁面に吸着する車輪と、前記キャリアを前記車輪とは独立して回動駆動するためのキャリア駆動機構と、前記車輪を回転駆動するための車輪駆動機構と、前記キャリア駆動機構を介して前記キャリアに伝達される回動駆動力を出力するキャリア駆動源と、前記車輪駆動機構を介して前記複数の車輪に伝達される回転駆動力を出力する車輪駆動源と、を有し、前記キャリア駆動機構が、前記キャリアに連結されると共に回動駆動されることによって該キャリアを回動させるウォームホイールと、前記ウォームホイールに噛合されると共に前記キャリア駆動源からの回動駆動力が伝達されるウォームと、を備えたウォームギヤ機構を含んで構成された壁面移動台車、前記複数の車輪の接地状態又は障害物との接触状態等の走行状況を検出する監視手段と、前記監視手段によって検出された走行状況に応じて、前記キャリア駆動源を制御し、これによって、前記キャリアを回動駆動させる制御手段と、が搭載された壁面移動台車、前記2個の車輪が軸支された前記キャリアの軸は、該2個の車輪の車輪軸を結ぶ直線上の中間位置に設けられる壁面移動台車、或いは、これらのいずれか一の前記壁面移動台車を用いること、前記壁面移動台車の前記車体に検査用センサが搭載されたこと、前記壁面移動台車の前記車輪が壁面に吸着しながら、該台車が走行ないし昇降すること、前記検査用センサにより、前記壁面、前記壁面下又は前記壁面近傍の環境を検査すること、前記車輪の接地状態又は障害物との接触状態等の走行状況を検出するCCDカメラと、前記CCDカメラによって検出された走行状況に応じて、前記キャリア駆動源を制御し、これによって、前記キャリアを回動駆動させる制御手段と、を有し、前記壁面移動台車から離間した車外に、該壁面移動台車に搭載された前記CCDカメラから送信された画像を表示するモニタと、前記検査用センサから送信された検査信号を受信すると共に、前記モニタを監視するオペレータによって操作され、少なくとも前記キャリア駆動源を前記制御手段を介して制御するための制御盤と、が設置された検査システムを提供する。
【0012】
この壁面移動台車は、検査用センサを搭載することができ、鉛直な壁面であっても、安定した状態で走行ないし昇降しながら、この検査用センサを用いて、検査データを欠測なく採取することができる。
【0013】
また、本発明は、前記キャリア駆動機構が、前記キャリアに連結されると共に回動駆動されることによって該キャリアを回動させるウォームホイールと、前記ウォームホイールに噛合されると共に前記キャリア駆動源からの回動駆動力が伝達されるウォームと、を備えたウォームギヤ機構を含んで構成されたことを特徴とする壁面移動台車を提供する。
【0014】
この壁面移動台車によれば、キャリアの回動角度を、ウォームギヤを介して、微調整することができると共に、キャリアの予期せぬ逆転が防止される。例えば、キャリアの駆動力が一時的に消失した場合であっても、キャリアの予期せぬ逆転が防止される。
【0015】
なお、上述したような、車輪の吸着能力の低下のおそれがない壁面状態の場合には、一個のキャリアが一個の車輪を備えることで十分である。この構成を有する本発明の壁面移動台車においても、キャリアの回動制御によって該台車の姿勢を適切に制御すれば、車輪の吸着能力が向上する共に、検査データの欠測のない採取が容易となる。
【0016】
このような壁面移動台車によれば、障害物乗り越え時、全ての車輪が壁面ないし障害物上の面に吸着した状態が可及的に維持されると共に、各車輪と壁面ないし障害物上の面との滑りが小さくされる。かくして、この壁面移動台車は、より安定した状態で障害物を乗り越えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0018】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、本発明による壁面移動台車が傾斜面上及び鉛直面上を自在に走行ないし昇降可能となるよう、壁面に吸着する車輪として磁輪(マグネット車輪)が用いられる。また、空気力で壁面に吸着する車輪を用いることもできる。
【0019】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、車体左右方向に沿って対向する一対のキャリアが、連動して駆動される。
【0020】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、車体の前後左右に4個のキャリア(駆動キャリア)がそれぞれ軸支され、各キャリアに2個の駆動車輪が軸支される。
【0021】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、キャリア駆動機構と車輪駆動機構が独立して設けられる。これによって、キャリアと車輪を独立して駆動制御することが容易となる。さらに好ましくは、キャリア駆動源と車輪駆動源を独立して設ける。
【0022】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、キャリア駆動機構が、キャリアに連結されると共に回動駆動されることによってキャリアを回動させるウォームホイールと、ウォームホイールに噛合されると共にキャリア駆動源からの回動駆動力が伝達されるウォームと、を備えたウォームギヤ機構を含んで構成される。このように、ウォームギヤ機構を介して、キャリアを回動することにより、キャリア回動角度を微調整することができる。
【0023】
別の好ましい実施の形態によれば、キャリア駆動源とキャリアの間をリンク機構を介して連結する。このキャリア駆動源として、例えば、各種アクチュエータ、例えば、油圧シリング等を用いることができる。
【0024】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、車輪駆動機構が、キャリア上に搭載され車輪駆動源からの回転駆動力を複数の車輪に伝達する遊星歯車機構を含んで構成される。このように、遊星歯車機構を用いることにより、複数の車輪を駆動する必要がある車輪駆動機構をコンパクトに構成することができる。また、キャリア上に、この遊星歯車機構を搭載することにより、車体本体のスペースを空けることができる。
【0025】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、車輪駆動用シャフト上にキャリアが遊嵌される。この実施の形態によれば、車輪駆動用シャフトに、多機能、すなわち、複数の車輪への回転駆動力伝達機能と、キャリア軸支機能を持たせることにより、別途新たに、キャリア軸支用のシャフトを用いる必要がなくされ、壁面移動台車の軽量化及びコンパクトが達成される。
【0026】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、キャリアが、回動制御される回動部材(特に、ウォームホイール)、ばねを介して連結される。この実施の形態によれば、キャリアの急激な回動が緩和され、キャリアに加わった衝撃が直接的に上記回動部材に伝達されることが防止される。
【0027】
本発明による壁面移動台車の好ましい実施の形態においては、壁面移動台車に、前記複数の車輪の接地状態又は障害物との接触状態等の走行状況を検出する監視手段と、前記監視手段によって検出された走行状況に応じて、前記キャリア駆動源を制御し、これによって、前記キャリアを回動駆動させる制御手段と、が搭載される。
【0028】
本発明による好ましい壁面移動台車は、車体と、前記車体に対して軸支され該車体の左右方向に沿って延在する車輪駆動用シャフトと、前記車輪駆動用シャフト上に遊嵌され前記車体の側面に沿って回動駆動されるキャリアと、前記キャリアに対して軸支された2個の車輪と、前記2個の車輪とそれぞれ一体回転する2個の車輪ギヤと、前記車輪駆動用シャフト上に一体回転するよう設けられた太陽ギヤと、前記キャリア上に軸支され、前記太陽ギヤとそれぞれ噛合すると共に前記2個の車輪ギヤのいずれかとそれぞれ噛合する2個のピニオンと、前記車体に搭載され、前記車輪駆動用シャフトを回転駆動することにより、前記太陽ギヤ、前記2個のピニオン及び前記2個の車輪ギヤを介して、前記2個の車輪をそれぞれ回転させる車輪駆動源と、前記キャリアに連結ないし一体化され、前記車体の側面に沿って回動することにより該キャリアを該車体の側面に沿って回動させるウォームホイールと、前記ウォームホイールの上方に配置され前記車体の前後方向に沿って延在するキャリア駆動用シャフトと、前記キャリア駆動用シャフト上に一体回転するよう設けられ前記ウォームホイールと噛合するウォームと、前記キャリア駆動シャフト上に設けられた被動ベベルギヤと、前記車体に対して軸支され該車体の左右方向に沿って延在するベベルギヤ駆動シャフトと、前記ベベルギヤ駆動シャフト上に一体回転するよう設けられ前記被動ベベルギヤと噛合する駆動ベベルギヤと、前記車体に搭載され、前記ベベルギヤ駆動シャフトを回転駆動することにより、前記駆動ベベルギヤ、前記被動ベベルギヤ、前記キャリア駆動シャフト、前記ウォーム及び前記ウォームホイールを介して、前記キャリアを前記車体の側面に沿って回動させるキャリア駆動源とを有することを特徴とする。
【0029】
さらに好ましくは、前記キャリアは、前記車体の左右方向に沿って対向する一対のキャリアプレートを含んで構成され、前記一対のキャリアプレートの間に前記ウォームホイールが配され、前記一対のキャリアプレート同士は、前記ウォームホイールを貫通するボルトによって一体化され、前記ウォームホイールの回動方向に沿って、前記ボルトと前記ウォームホイールの間には、前記一対のキャリアプレートと該ウォームホイール間の相対回動を許容するようクリアランスが存在すること、前記一対のキャリアプレートと前記ウォームホイールは、ばねを介して連結されたことを特徴とする。
【0030】
本発明による検査システムの好ましい実施の形態においては、本発明による壁面移動台車にCCDカメラと検査用センサが搭載され、一方、この壁面移動台車の車外に、前記CCDカメラから送信された画像を表示するモニタと、前記検査用センサから送信された検査信号を受信すると共に、前記モニタを監視するオペレータによって操作され、少なくともキャリア駆動源を制御手段(例えば、壁面移動台車に搭載されたマイクロコンピュータ)を介して制御するための制御盤(コントローラ)と、が設置される。前記検査用センサは、この壁面移動台車が走行ないし昇降する壁面、壁面下又は壁面近傍の環境を検査する。この検査用センサとして、例えば、超音波又は渦電流を検知するセンサ、或いはCCDカメラ、更に、その他種々の検知器を用いることができる。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、1個のキャリアに軸支された2個の車輪を独立して駆動制御する。これによって、これら2個の車輪は異なる速度で回転可能とされ、特に、障害物乗り越え時、車輪の滑りが防止される。
【0032】
図15(A)及び図15(B)は、この実施の形態の原理を説明するための図であって、図15(A)は1個のキャリアに軸支された2個の車輪を一緒に駆動制御する場合、車輪が障害物上方に差し掛かったときの動作説明図であり、図15(B)は、同じく、車輪が障害物基部に差し掛かったときの動作説明図である。
【0033】
図15(A)及び図15(B)を参照すると、1個のキャリア3に2個の車輪、すなわち前車輪1−1及び後車輪1−2が軸支されている。ここで、前車輪1−1及び後車輪1−2を一緒に駆動制御する場合、障害物のない平坦壁面上を走行するときには、前車輪1−1及び後車輪1−2は、同一速度で回転し、換言すれば、両者の一定時間当たり移動距離は同じである。しかし、障害物Hを乗り越えるときにおいて、前車輪1−1が障害物Hの基部又は上部に差し掛かったときには、前車輪1−1と後車輪1−2は同一速度で回転駆動されているにもかかわらず、両者の一定時間当たり移動距離は互いに異なることとなる。すなわち、図15(A)においては、一定時間当たり、前車輪1−1がほとんど移動しないのに対して、後車輪1−2は距離w1分移動する。図15(B)においては、一定時間当たり、後車輪1−2がほとんど移動しないのに対して、前車輪1−1は距離w2分移動する。このような、前車輪1−1と後車輪1−2の一定時間当たりの移動距離の相違によって、壁面ないし障害物上の面との間に滑りが生じる。そこで、前述したように、1個のキャリアに軸支された2個の車輪を独立して駆動制御すること、すなわち、2個の車輪に互いに独立した駆動系を接続することにより、前記滑りを高度に防止することができる。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、1個のキャリアに2個の車輪を軸支し、さらに、このキャリアの軸を該2個の車輪軸を結ぶ直線上の中間位置に設ける。
【0035】
図16(A)及び図16(B)は、この実施の形態の原理を説明するための図であって、図16(A)は2個の車輪軸を結ぶ直線上の中間位置にキャリア軸が位置する場合の説明図、図16(B)は2個の車輪軸を結ぶ直線より上方にキャリア軸が位置する場合の説明図である。
【0036】
図16(A)を参照すると、1個のキャリア3に2個の車輪、すなわち前車輪1−1及び後車輪1−2が軸支されている。さらに、2個の車輪軸1−1d,1−2dを結ぶ直線上の中間位置に、キャリア軸3dが配置されている。この構成によれば、障害物Hを乗り越えるとき、キャリア軸3dが後退することなく、台車が進行方向に向かって距離w3分前進することとなる。この結果、後車輪1−2の滑り及び逆転が防止される。
【0037】
なお、好ましくは、キャリア軸を2個の車輪軸のうちの一方の車輪軸近傍に配置することにより、他方の車輪は、台車の荷重によってそれが壁面から剥離させられる力が軽減されるため、壁面に好ましく吸着する。特に、台車の最前部(壁面昇降時の最上部)の車輪の吸着性能が向上され、台車の移動は一層安定する。
【0038】
一方、図16(B)を参照すると、1個のキャリア3に2個の車輪、すなわち前車輪1−1及び後車輪1−2が軸支されている。さらに、2個の車輪軸1−1d,1−2dを結ぶ直線上の上方に、キャリア軸3dが配置されている。この構成によれば、前車輪1−1が障害物Hの基部及び上方角部に差し掛かったとき、後車輪1−2に滑りが生じるか、ないし台車が距離w4分後退することとなる。
【0039】
例えば、上述の特開平10−71976号公報の図1に開示された壁面移動台車においては、1個のキャリアに対して3個の遊星磁輪が軸支され、これら3個の遊星磁輪が三角形の各頂点に配置されている。この構成は、前記図16(B)に示した構成に該当するものである。
【0040】
本発明による壁面移動台車は、障害物、例えば、ジャッキアップリング、補強リブ、溶接の余盛りが被検査面上に存在する煙突筒身の検査、特に、鋼板厚さの測定に好適に適用され、或いは、その一部に鉛直面又傾斜面を含む、配管、貯蔵タンク、船舶等の内外壁面の検査に好適に適用される。
【0041】
【実施例】
以上説明した本発明の好ましい実施の形態をさらに明確化するために、以下図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。
【0042】
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例に係る壁面移動台車について説明する。図1(A)〜図1(F)は、本発明の第1の実施例に係る壁面移動台車が、障害物を乗り越える際の駆動制御方法及び動作を説明するための工程図である。
【0043】
まず、本発明の第1の実施例に係る壁面移動台車の構造を説明する。図1(A)を参照すると、この壁面移動台車は、左右一対の前キャリア3−1,3−1及び左右一対の後キャリア3−2,3−2を有している(向こう側の前後キャリア3−1,3−2は不図示)。左右一対の前キャリア3−1,3−1は互いに連動して駆動される。同様に、左右一対の後キャリア3−2,3−2も互いに連動して駆動される。左右一対の前キャリア3−1,3−1及び左右一対の後キャリア3−2,3−2は、車体の側面に沿って回動可能となるよう、車体に対して軸支されている。
【0044】
左右一対の前キャリア3−1,3−1の下部には、前部前車輪1−1及び前部後車輪1−2が軸支されている(向こう側の前部前車輪及び前部後車輪1−1,1−2は不図示)。同様に、左右一対の後キャリア3−2,3−2の下部には、後部前車輪1−3及び後部後車輪1−4が軸支されている(向こう側の前部前車輪及び前部後車輪1−3,1−4は不図示)。各車輪1−1,1−2,1−3,1−4は磁輪、或いは気圧差によって壁面に吸着する車輪として構成される。
【0045】
次に、本発明の第1の実施例に係る壁面移動台車が障害物を乗り越える際の制御方法及び動作を説明する。
【0046】
まず、図1(A)を参照して、各車輪1−1,1−1,…1−4,1−4が反時計方向にそれぞれ自転していることにより、この壁面移動台車は、図中左方向に向かって走行ないし昇降を続けている。
【0047】
図1(B)を参照して、この壁面移動台車が障害物Hに差し掛かると、制御によって、左右一対の前キャリヤ3−1,3−1は、進行方向後方に向かって回動する(以下、この方向の回転を「後転」という)。これによって、左右の前部前車輪1−1,1−1が持ち上げられ、障害物H上に乗り上がる。
【0048】
図1(C)を参照して、次に、左右一対の前キャリヤ3−1,3−1は、制御によって、左右の前部後車輪1−2,1−2が障害物Hと接触するまで、進行方向前方に向かって回動する(以下、この方向の回転を「前転」という)。
【0049】
図1(D)を参照して、さらに、左右一対の前キャリヤ3−1,3−1は、制御によって、前転し、左右の前部前車輪1−1,1−1と前部後車輪1−2,1−2の中間に、障害物Hが位置するようになる。
【0050】
図1(E)を参照して、さらに、左右一対の前キャリヤ3−1,3−1は、制御によって、左右の前部前車輪1−1,1−1が接地するまで、前転する。接地後、左右一対の前キャリヤ3−1,3−1は、制御によって、後転する。
【0051】
図1(F)を参照して、やがて、左右の前部後車輪1−2,1−2も接地する。かくして、左右一対の前部前車輪1−1,1−1及び前部後車輪1−2,1−2の障害物乗り越え動作が終了する。以下、同様に、左右一対の後キャリヤ3−2、左右一対の後部前車輪1−3,1−3及び後部後車輪1−4,1−4を制御することにより、これら後側のキャリヤ3−2らも障害物Hを乗り越えることができる。かくして、この壁面移動台車は、障害物Hを乗り越える。
【0052】
以上説明した本発明の第1の実施例に係る壁面移動台車によれば、障害物を乗り越える際、キャリアを、所定方向へ回動するよう駆動制御することにより、車輪径を超える高さの障害物を容易に乗り越えることができるようになる。
【0053】
<第2の実施例>
次に、本発明の第2の実施例として、煙突筒身検査システムを説明する。この煙突筒身検査システムは、煙突筒身の外周面上を鉛直方向に走行ないし昇降する壁面移動台車と、地上に設置されこの壁面移動台車と制御ケーブルを介して接続された制御システムとを含んで構成されている。まず、この煙突筒身検査システムの概略構成を説明する。図2は、この煙突筒身検査システムの構成を説明するための図である。
【0054】
図2を参照すると、壁面移動台車には、駆動系の機構として、キャリア駆動機構50、車輪駆動機構51、車輪観察カメラ駆動機構52、探触子走査機構53、及び剥離防止機構(補助輪機構)54が搭載されている。さらに、この壁面移動台車には、検出系の機構として、ウォームホイールの原点検出センサ60、キャリア駆動シャフトの回転検出センサ61、ベベルギヤ駆動シャフト7(図13参照)の回動角度検出センサ62、車体の傾斜角度を検出する傾角センサ63、超音波探触子64、車輪観察カメラ65、探触子観察カメラ66及び距離センサ67が搭載されている。加えて、この壁面移動台車には、マイクロコンピュータ70が搭載されている。
【0055】
一方、地上に設置された制御システムは、オペレータによって操作されると共に、超音波探触子67が出力する探傷信号等が入力される制御盤(外部コントローラ)81と、車輪観察カメラ65及び探触子観察カメラ66によって撮影された画像を表示するオペレータ監視用のモニタ82と、制御盤81によって制御され、超音波探触子67と被検査面の間に媒質供給ホース84を通じて媒質を供給するためのポンプ83とを含んで構成されている。
【0056】
そして、壁面移動台車に搭載された車載のマイクロコンピュータ70と、車外の制御盤81の間は、制御ケーブル80を介して接続されている。マイクロコンピュータ70には、上記検出系の機構から出力される検出信号が入力される。マイクロコンピュータ70は、この検出信号を制御盤81に出力する。モニタ82を監視しているオペレータは、上記検出信号ないしモニタ82に表示された画像を監視しながら、制御盤81を操作することにより、車載のマイクロコンピュータ70に制御信号を送信し、マイクロコンピュータ70は、この制御信号に基づき、上記各種駆動機構を駆動制御する。なお、マイクロコンピュータ70自体が、上記各種駆動機構を駆動制御することも可能である。
【0057】
また、煙突の頂上には、ウインチ90が設置され、このウインチ90に接続された集合ケーブル91に、壁面移動台車が接続される。この集合ケーブル91には、前記制御ケーブル80及び媒質供給ホース84が内蔵されている。
【0058】
次に、各機構の詳細を説明する。
【0059】
図3は、本発明の第2の実施例に係る煙突検査システムに含まれる検査用の壁面移動台車の構造を説明するための正面図である。図4は、図3に示した壁面移動台車の平面図(上面図)である。
【0060】
[キャリア駆動機構50(図2参照)]
図3及び図4を参照すると、この壁面移動台車においては、車体下部の前後左右、計4箇所に、キャリア3がそれぞれ軸支されている。車体左右方向に沿って対向するキャリア3,3同士は、互いに連動して駆動される。ここで、車体の前後左右にそれぞれ設けられた4つのキャリア駆動機構同士は、基本的に共通の構造を有するから、以下、主として、1つのキャリア駆動機構について説明する。
【0061】
特に、図7(A)、図7(B)、図8(A)及び図8(B)を参照すると、車体には、車輪駆動用シャフト2が回転自在に軸支されている。車輪駆動用シャフト2上、その両端には、略半円形のキャリア3が回動可能に軸支されている。キャリア3は一対のキャリアプレート3a,3bから構成されている。一対のキャリアプレート3a,3bの間には、一対のキャリアプレート3a,3bと同心に、ウォームホイール4が配されている。
【0062】
ウォームホイール4には、一対のキャリアプレート3a,3bの回動方向に沿って、該方向に延在する複数の長穴4aが貫通形成されている。一方、一対のキャリアプレート3a,3bにおいて、長穴4aに対向する位置には、ピン孔がそれぞれ形成されている。長穴4a及び上記ピン孔には、中空ピン8cが挿通されている。中空ピン8cは、一対のキャリアプレート3a,3bと係合している。一方、ウォームホイール4の回動方向に沿って、中空ピン8cとウォームホイール4の間には、所定のクリアランスが形成されている(中空ピン8cの両側にクリアランスがある)。
【0063】
ところで、この壁面移動台車が、煙突筒身の検査をする場合、該煙突筒身上の障害物(例えば、ジャッキアップリング、補強リブ等)の設計上の高さを、予め、検査システムに入力しておき、この検査システムに乗り越えるべき高さに対応するキャリアの回動角度を計算させ、実際の障害物乗り越え時、計算された回動角度分、キャリアを回動させることが好ましい。
【0064】
しかし、実際の障害物高さは、溶接による鋼板の変形等によって、製作図面とは異なっていることが多い。そこで、図7(B)を参照して、本実施例に係る壁面移動台車においては、上述したように、障害物乗り越え時における車輪(マグネット車輪)の剥離を防止するため、キャリアプレート3a,3bとウォームホイール4を連結するためのウォームホイール上のボルト穴を、ボルト径(中空ピン8c外径)より大きな長穴4aとし、所定のクリアランスを設けている。このクリアランスにより、ウォームホイールの回転とキャリアプレートを介して車輪の動きに若干の余裕が生じる。さらに、本実施例に係る壁面移動台車においては、後述するように、片寄った余裕が生じないよう、キャリアプレート3a,3bとウォームホイール4上部をばね9,9により連結し、相対回動可能可能としている。
【0065】
中空ピン8cが長穴4a及び上記ピン孔に挿通された状態で、中空ピン8cの内部両端にボルト8a,8bがそれぞれ螺合され、これによって、一対のキャリアプレート3a,3bが一体の回転体となる。
【0066】
さらに、キャリア3の側面及びウォームホイール4の側面において、ウォームホイール4の上部中央と、キャリアプレート3aの上部両側との間は、おおよそウォームホイール4の回動方向に沿ってそれぞれ延在するばね9,9によって連結されている。これによって、キャリア3(一対のキャリアプレート3a,3b)は、ウォームホイール4に対して相対回動可能とされている。この相対回動角度の上限は、中空ピン8cとウォームホイール4の上記クリアランスの大きさによって定められる。
【0067】
特に、図7(A)、図7(B)、図8(A)及び図8(B)を参照すると、ウォームホイール4の上方には、車体の前後方向に沿って延在するキャリア駆動用シャフト5が配置されている。キャリア駆動用シャフト5上には、キャリア駆動用シャフト5と一体回転するよう設けられ、ウォームホイール4と噛合するウォーム6が固定ないし一体に形成されている。
【0068】
特に、図3及び図9を参照すると、キャリア駆動用シャフト5の一端上には、被動ベベルギヤ5aが固定ないし一体に形成されている。一方、車体には、車体左右方向に沿って延在するベベルギヤ駆動シャフト7が軸支されている。ベベルギヤ駆動シャフト7の両端にはそれぞれ、駆動ベベルギヤ7aが固定ないし一体に形成されている。これら駆動ベベルギヤ7a,7aは、車体左右の被動ベベルギア5a,5aとそれぞれ噛合している。
【0069】
特に、図9及び図11を参照して、ベベルギヤ駆動シャフト7の一側には、スパーギヤ10が固定されている。スパーギヤ10の外周面上には、径大な環状歯車列10aと径小な環状歯車列10bが形成されている。一方、車体後端には、上部キャリア駆動用モータ13a及び下部キャリア駆動用モータ13bが、上下方向に沿って互いに並列配置された状態で搭載されている。上部キャリア駆動用モータ13aの駆動軸11上には、上部モータ駆動ギヤ11aが一体回転するよう固定され、この上部モータ駆動ギヤ11aは径大な環状歯車列10aと噛合している。キャリア駆動用下部モータ13の駆動軸12上には、下部モータ駆動ギヤ12aが一体回転するよう固定され、下部モータ駆動ギヤ12aは径小な環状歯車列10bと噛合している。
【0070】
このようなキャリア駆動機構によって、車体左右のキャリア3,3は、連動して駆動され、同様の動作をする。
【0071】
[車輪駆動機構、特に、遊星歯車機構]
図3及び図4を参照すると、この壁面移動台車においては、車体下部の前後左右、計4箇所に、一対の車輪1,1(遊星磁輪)が設けられている。同じキャリア3に軸支された一対の車輪1,1同士は、互いに連動して駆動される。ここで、車体の前後左右にそれぞれ設けられた4つの車輪駆動機構同士は、基本的に共通の構造を有するから、以下、主として、1つの車輪駆動機構について説明する。
【0072】
キャリヤ3の下部には、2個の車輪1,1がそれぞれ軸支されている。車輪1,1の軸上には、各軸と一体回転するよう遊星ギヤ2p,2pがそれぞれ固定されている。また、車輪駆動用シャフト2上には、この車輪駆動用シャフト2と一体回転するよう太陽ギヤ2sが固定されている。キャリア3の下部には、さらに、一対のアイドルギヤ2i,2iが軸支されている。一対のアイドルギヤ2i,2iはそれぞれ、太陽ギヤ2sと噛合すると共に、2個の車輪1,1のいずれか一方と噛合している。このような遊星歯車機構を介して、車輪駆動用シャフト2に入力された回転駆動力が、車輪1,1にそれぞれ伝達される。
【0073】
続いて、車輪駆動源(モータ18)から車輪駆動用シャフト2へ、回転駆動力を伝達するための構成について説明する。
【0074】
特に、図8及び図13を参照すると、車輪駆動用シャフト2上には、車輪駆動用ウォームホイール15が一体回転するよう固定されている。車輪駆動用ウォームホイール15には、車輪駆動用ウォームシャフト16上に固定された車輪駆動用ウォーム16aが噛合している。また、車輪駆動用ウォームシャフト16上には、車輪駆動用下部スパーギヤ(不図示)が一体回転するよう固定されている。車輪駆動用下部スパーギヤは、車輪駆動用上部スパーギヤ17と噛合している。車輪駆動用上部スパーギヤ17は、後述の車輪駆動用モータ18の駆動軸上に一体回転するよう固定されている。なお、車体後部の下部には、車体左右方向に沿って並置された状態で、後部左右の車輪駆動用モータ18,18が搭載されている。後部左側の車輪駆動用モータ20は上述したように、車体後部左側の車輪1,1を回転駆動し、後部右側の車輪駆動用モータ18は、車体後部右側の車輪1,1を、上記後部左側の車輪1,1とは独立して、回転駆動することができる。
【0075】
以上の構成によって、左右の車輪駆動用モータ20,21が出力する回転駆動力が、左右の車輪(1,1)、(1,1)にそれぞれ伝達される。
【0076】
次に、壁面移動台車に搭載されたマイクロコンピュータ70(図2参照)、各種センサ及びその駆動機構等について説明する。
【0077】
[ウォームホイールの原点検出センサ60]
図3を参照すると、壁面移動台車の車体上、ウォームホイール4と対向する位置(車体側部)には、ウォームホイール4の原点を検出するための原点検出センサ60(図12参照)が取付けられている。原点検出センサ60はホール素子を備え、このホール素子はウォームホイール4の各歯の回動を検出して、マイクロコンピュータ70(図2参照)に出力する。
【0078】
[キャリア駆動用シャフトの回転検出センサ61]
図12及び図13を参照すると、壁面移動台車の車体側部には、キャリア駆動用シャフト5の回転を検出する回転角度検出センサ61が設けられている。この回転角度検出センサ61は、図14を参照すると、キャリア駆動用シャフト5の他端に取付けられた回転プレート30と、車体側に取付けられ、回転プレート30の回転を光学的に検出するフォトセンサ31を含んで構成されている。
【0079】
[ベベルギヤ駆動シャフトの回転角度検出センサ62]
図5及び図13を参照すると、壁面移動台車の車体後端には、ベベルギヤ駆動シャフト7の回転を検出する回転角度検出センサ62が設けられている。この回動角度検出センサ62、図14を参照すると、ベベルギヤ駆動シャフト7に取付けられた回転プレート30と、車体側に取付けられ、回転プレート30の回転を光学的に検出するフォトセンサ31を含んで構成されている。なお、車体前端にも、同様に、前部のベベルギヤ駆動シャフトの回転を検出するための回転角度検出センサが設けられている。
【0080】
[車体の傾きを検出する傾角センサ63]
車体内部には、壁面移動台車の車体の傾きを検出する傾角センサ63(図2参照)が搭載されている。
【0081】
[壁面移動台車の走行距離を測定する距離センサ64]
図2及び図3を参照して、壁面移動台車の車体底部には、ロータリエンコーダからなる距離センサ64が取付けられている。距離センサ64は、壁面移動台車の走行距離を検出する。
【0082】
[車輪観察カメラ(CCDカメラ)65及び車輪観察カメラ駆動機構52]
図3及び図5を参照すると、壁面移動台車の車体側方には、左右の車輪観察カメラ65,65が張り出している。左右の車輪観察カメラ65,65は、車体前後方向に沿ってスライド可能な車輪観察カメラ駆動機構52上に搭載されている。車輪観察カメラ65,65は、前後左右の各車輪の状態、特に、接地状態を撮影して、その画像信号を出力する。この画像信号は、制御盤81或いはマイクロコンピュータ70に入力される。
【0083】
[剥離防止機構(補助輪機構)54]
図3を参照して、壁面移動台車の車体後端には、車輪1が検査面から剥離することを防止するため、剥離防止機構54が設けられている。剥離防止機構54は、補助輪と、補助輪を弾性的に懸架する補助輪軸と、補助輪軸を昇降するための補助輪軸駆動源とを備えている。
【0084】
[超音波探触子67及び探触子走査機構53、さらに探触子観察カメラ66]
図3、図4及び図6を参照して、壁面移動台車の車体後部から張り出したフレーム上には、探触子走査機構53が搭載されている。探触子走査機構53には、超音波探触子67が検査面に接地するよう連結される。さらに、上記フレーム上には、超音波探触子67の状態、特に、接地状態を観察するための探触子観察カメラ66が搭載されている。
【0085】
[制御ケーブル及び制御ケーブルコネクタ]
図5を参照して、壁面移動台車の車体前部には、各種の制御線を内包する制御ケーブルが接続される制御ケーブルコネクタ32が取付けられている。制御ケーブルコネクタ32には、制御ケーブル80(図2参照)が接続されている。図2を参照して、この制御ケーブル80に内蔵された信号線を介して、壁面移動台車に搭載されたマイクロコンピュータ70、並びに車輪観察カメラ65、探触子観察カメラ66及び超音波探触子67と、壁面移動台車から離間した車外に設置された制御盤81との間で、検出信号、制御信号、及び画像信号の送受信が行われる。
【0086】
[ウインチ90及び集合ケーブル91]
図2を参照して、壁面移動台車の車体には、ウインチ90(不図示)に接続された集合ケーブル91が係合されている。これによって、特に、鉛直面を検査する場合、壁面移動台車の落下が防止される。
【0087】
[媒質供給ホース]
図2を参照して、壁面移動台車の車体には、超音波探触子67と被検査面の間に、媒質を供給するための媒質供給ホース84(集合ケーブル91に内蔵されている)が掛けられ、媒質供給ホース84の基端は、外部のポンプ83に接続される。
【0088】
<測定例>
以上説明した本発明の第2の実施例に係る壁面移動台車を用いて、障害物の乗り越え試験を行ったところ(車輪径80mm)、上述した特開平10−71976号公報に開示された比較例に係る壁面移動台車が乗り越え困難であった、高さ80mm、85mm、90mmの障害物(煙突筒身上の補強リブに擬したもの)を安定した状態で乗り越えることができた。また、溶接余盛り上の走行試験を行ったところ、本発明の第2の実施例に係る壁面移動台車によれば、上記比較例に係る壁面移動台車に比べて、車輪が走行面から剥離することなく、安定した姿勢で走行が持続された。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、煙突筒身の外周面のような鉛直面上において、高い障害物を安定した状態で乗り越えることができる壁面移動台車及びそれを用いた検査システム、特に、煙突筒身等の検査システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(F)は、本発明の第1の実施例に係る壁面移動台車が、障害物を乗り越える際の駆動制御方法及び動作を説明するための工程図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る煙突筒身検査システムの構成を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る煙突検査システムに含まれる検査用の壁面移動台車の構造を説明するための正面図である。
【図4】図3に示した壁面移動台車の平面図である。
【図5】図3に示した壁面移動台車の前面図(左側面図)である。
【図6】図3に示した壁面移動台車の後面図(右側面図)である。
【図7】(A)は図3に示した壁面移動台車が備えるキャリア駆動機構の正面図であり、(B)は同後面図(側面図)である。
【図8】(A)は図3に示した壁面移動台車が備える車輪駆動機構を説明するための正面図であり、(B)は同後面図(側面図)である。
【図9】図3に示した壁面移動台車が備えるキャリア駆動機構及びキャリア駆動源を示す部分平面図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】図9に示したキャリア駆動機構の部分正面図である。
【図12】図3に示した壁面移動台車が備えるキャリア駆動機構を示す別の部分正面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】図3に示した壁面移動台車に搭載されたフォトセンサの構造を説明するための図である。
【図15】(A)及び(B)は、本発明の好ましい一実施の形態の原理を説明するための図であって、(A)は1個のキャリアに軸支された2個の車輪を一緒に駆動制御する場合、車輪が障害物上方に差し掛かったときの動作説明図であり、(B)は、同じく、車輪が障害物基部に差し掛かったときの動作説明図である。
【図16】(A)及び(B)は、本発明の別の好ましい一実施の形態の原理を説明するための図であって、(A)は2個の車輪軸を結ぶ直線上の中間位置にキャリア軸が位置する場合の説明図、(B)は2個の車輪軸を結ぶ直線より上方にキャリア軸が位置する場合の説明図である。
【符号の説明】
1 車輪(遊星磁輪)
1−1 前部前車輪
1−1d 車輪軸(前車輪軸)
1−2 前部後車輪
1−2d 車輪軸(後車輪軸)
1−3 後部前車輪
1−4 後部後車輪
2 車輪駆動用シャフト
2s 太陽ギヤ
2i アイドルギヤ
2p 遊星ギヤ
3 キャリア
3a,3b 一対のキャリヤプレート
3c ピン孔
3d キャリア軸
4 ウォームホイール
4a 長穴
5 キャリヤ駆動用シャフト
5a 被動ベベルギヤ
6 ウォーム
7 ベベルギヤ駆動シャフト
7a 駆動ベベルギヤ
8a,8b ボルト(一対のキャリヤプレート連結用)
8c 中空ピン
9 ばね(キャリアとウォームホイールの連結用)
10 スパーギヤ
10a 径大な環状歯車列
10b 径小な環状歯車列
11 キャリア駆動用上部モータの駆動軸
11a 上部モータ駆動ギヤ
12 キャリア駆動用下部モータの駆動軸
12a 下部モータ駆動ギヤ
13,13 キャリア駆動用上部及び下部モータ
15 車輪駆動用ウォームホイール
16 車輪駆動用ウォームシャフト
16a 車輪駆動用ウォーム
17 車輪駆動用上部スパーギヤ
18 車輪駆動用モータ
30 回転プレート
31 フォトセンサ
32 ケーブルコネクタ
50 キャリア駆動機構
51 車輪駆動機構
52 車輪観察カメラ駆動機構
53 探触子走査機構
54 剥離防止機構(補助輪機構)
60 ウォームホイールの原点検出センサ
61 キャリア駆動用シャフトの回転角度検出センサ
62 ベベルギヤ駆動シャフトの回転角度検出センサ
63 車体の傾斜角を検出する傾角センサ
64 走行距離を検出する距離センサ(ロータリエンコーダ)
65 車輪観察カメラ(CCDカメラ)
66 探触子観察カメラ
67 超音波探触子
70 壁面移動台車に搭載されたマイクロコンピュータ
80 制御ケーブル
81 制御盤(外部コントローラ)
82 モニタ(オペレータ用監視モニタ)
83 ポンプ(媒質供給用ポンプ)
84 媒質供給ホース
90 ウインチ
91 集合ケーブル
H 障害物
w1,w2,w3,w4 距離(前車輪と後車輪の移動距離の差)

Claims (4)

  1. 壁面上を走行ないし昇降する壁面移動台車であって、
    車体と、
    前記車体に対して軸支され回動駆動されるキャリアと、
    一個の前記キャリアに対して1個又は2個軸支され回転駆動されると共に壁面に吸着する車輪と、
    前記キャリアを前記車輪とは独立して回動駆動するためのキャリア駆動機構と、
    前記車輪を回転駆動するための車輪駆動機構と、
    前記キャリア駆動機構を介して前記キャリアに伝達される回動駆動力を出力するキャリア駆動源と、
    前記車輪駆動機構を介して前記複数の車輪に伝達される回転駆動力を出力する車輪駆動源と、
    を有し、
    前記キャリア駆動機構が、前記キャリアに連結されると共に回動駆動されることによって該キャリアを回動させるウォームホイールと、前記ウォームホイールに噛合されると共に前記キャリア駆動源からの回動駆動力が伝達されるウォームと、を備えたウォームギヤ機構を含んで構成されたことを特徴とする壁面移動台車。
  2. 壁面上を走行ないし昇降する壁面移動台車であって、
    車体と、
    前記車体に対して軸支され回動駆動されるキャリアと、
    一個の前記キャリアに対して1個又は2個軸支され回転駆動されると共に壁面に吸着する車輪と、
    前記キャリアを前記車輪とは独立して回動駆動するためのキャリア駆動機構と、
    前記車輪を回転駆動するための車輪駆動機構と、
    前記キャリア駆動機構を介して前記キャリアに伝達される回動駆動力を出力するキャリア駆動源と、
    前記車輪駆動機構を介して前記複数の車輪に伝達される回転駆動力を出力する車輪駆動源と、
    を有し、
    前記複数の車輪の接地状態又は障害物との接触状態等の走行状況を検出する監視手段と、
    前記監視手段によって検出された走行状況に応じて、前記キャリア駆動源を制御し、これによって、前記キャリアを回動駆動させる制御手段と、
    が搭載されたことを特徴とする壁面移動台車。
  3. 壁面上を走行ないし昇降する壁面移動台車であって、
    車体と、
    前記車体に対して軸支され回動駆動されるキャリアと、
    一個の前記キャリアに対して1個又は2個軸支され回転駆動されると共に壁面に吸着する車輪と、
    前記キャリアを前記車輪とは独立して回動駆動するためのキャリア駆動機構と、
    前記車輪を回転駆動するための車輪駆動機構と、
    前記キャリア駆動機構を介して前記キャリアに伝達される回動駆動力を出力するキャリア駆動源と、
    前記車輪駆動機構を介して前記複数の車輪に伝達される回転駆動力を出力する車輪駆動源と、
    を有し、
    前記2個の車輪が軸支された前記キャリアの軸は、該2個の車輪の車輪軸を結ぶ直線上の中間位置に設けられることを特徴とする壁面移動台車。
  4. 請求項1〜3のいずれか一記載の前記壁面移動台車を用いること、
    前記壁面移動台車の前記車体に検査用センサが搭載されたこと、
    前記壁面移動台車の前記車輪が壁面に吸着しながら、該台車が走行ないし昇降すること、
    前記検査用センサにより、前記壁面、前記壁面下又は前記壁面近傍の環境を検査すること、
    前記車輪の接地状態又は障害物との接触状態等の走行状況を検出するCCDカメラと、
    前記CCDカメラによって検出された走行状況に応じて、前記キャリア駆動源を制御し、これによって、前記キャリアを回動駆動させる制御手段と、
    を有し、
    前記壁面移動台車から離間した車外に、該壁面移動台車に搭載された前記CCDカメラから送信された画像を表示するモニタと、前記検査用センサから送信された検査信号を受信すると共に、前記モニタを監視するオペレータによって操作され、少なくとも前記キャリア駆動源を前記制御手段を介して制御するための制御盤と、が設置されたこと、
    を特徴とする検査システム。
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