以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは走行車両の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ走行車両の「上下」方向を意味するものとする。図1は、本発明の実施形態の一例としての走行車両を示す右側面図である。図2は、図1の平面図である。図3は、主に車体フレームと懸架装置の構成を示す右側面図である。図4は、図3の平面図である。図5は、前方の斜め上方から見る車体フレームの斜視図である。
図1〜図4に示されるように、走行車両1は、車体フレーム10と、前部に備える左右一対の走行装置としての前クローラ走行装置30と、この左右一対の前クローラ走行装置30を車体フレーム10に懸架する前懸架装置50と、後部に備える左右一対の走行装置としての後クローラ走行装置70と、この左右一対の後クローラ走行装置70を車体フレーム10に懸架する後懸架装置90とを備える。また、走行車両1は、原動機としてのエンジンEと、エンジンEによって駆動する図示せぬポンプと、演算部や記憶部等から構成され、各装置を制御するここでは図示せぬ制御部等も備える。
車体フレーム10の上には、本体カバー110を被せる。本体カバー110は、車体フレーム10を覆うものである。本体カバー110は、前クローラ走行装置30の上方にフロントフェンダ111を備え、後クローラ走行装置70の上方にリアフェンダ112を備える。
前クローラ走行装置30と後クローラ走行装置70との間で本体カバー110上には、運転シート113を備える。
運転シート113の前方には、走行車両1の走行操作をするためのハンドル114を備える。ハンドル114は、ステアリングシャフト115と、ステアリングシャフト115の上端に設けられた左右の外方に突出するハンドルバー116と、ハンドルバー116の一端に設けられるアクセルとしてのアクセルグリップ117等から構成される。
ステアリングシャフト115は、車体フレーム10に対して回動自在に支持される。ステアリングシャフト115の下端には、ステアリングシャフト115の回動角を検出するここでは図示せぬハンドルセンサを備える。
アクセルグリップ117は、ハンドルバー116に回動自在に支持される。アクセルグリップ117は、アクセルグリップ117の回動角を検出するここでは図示せぬアクセルグリップセンサを備える。
運転シート113の下方には、左右のステップフロア118を備える。走行車両1は鞍乗型走行車両である。乗員は運転シート113に跨って座り、左右のステップフロア118に足を乗せて乗車する。
次に、車体フレーム10について説明する。なお、車体フレーム10は、左右対称形状であるため、必要に応じて、右側を構成する部材には符号R、左側を構成する部材には符号Lを適宜付す。
図3〜図5に示すように、車体フレーム10は、複数の鋼材を溶接等によって結合して構成される。鋼材は円筒状や四角筒状のパイプ等である。車体フレーム10は、前後に延設されたメインフレーム11と、メインフレーム11の左右両側に略平行して前後方向に延設された左右一対のサイドフレーム12(12R,12L)と、メインフレーム11や左右のサイドフレーム12R,12Lとの間に掛け渡された複数の補強フレーム13,14,15,16,17と、前懸架装置50が取り付けられる板状のフロントサポートプレート18等を備える。
図3に示すように、メインフレーム11およびサイドフレーム12は、前後方向水平に延びたフロント部19と、フロント部19から前高後低に傾斜するフロントスロープ部20と、フロントスロープ部20から前後方向水平に延びたセンター部21と、センター部21から前低後高に傾斜するリアスロープ部22と、リアスロープ部22から前低後高に傾斜するリア部23とからなる。これらは、メインフレーム11およびサイドフレーム12を折り曲げることによって形成される。
左右のサイドフレーム12R,12Lは、それぞれの前端同士と後端同士が連結しており、この連結部は平面視U字形状である。この前後の連結部には、メインフレーム11の前端と後端がそれぞれ連結している。
補強フレーム13は、平面視略U字形状であり、略水平に配置され、一端はリアスロープ部22の右サイドフレーム12Rに連結し、他端はリアスロープ部22の左サイドフレーム12Lに連結する。また、補強フレーム13は、フロントスロープ部20のメインフレーム11および左右のサイドフレーム12R,12Lとも連結している。
補強フレーム14は、平面視略U字形状であり、補強フレーム13の上方に略水平に配置され、一端はリアスロープ部22の右サイドフレーム12Rに連結し、他端はリアスロープ部22の左サイドフレーム12Lに連結する。また、補強フレーム14は、フロントスロープ部20のメインフレーム11および左右のサイドフレーム12R,12Lとも連結している。
補強フレーム15は、平面視前後方向に延びた環状形状であり、補強フレーム14の上方に略水平に配置され、フロントスロープ部20のセンターフレーム11および左右のサイドフレーム12R,12Lと連結し、リア部23のセンターフレーム11および左右のサイドフレーム12R,12Lとも連結している。
補強フレーム16は、背面視逆U字形状であり、略垂直に配置され、一端はリアスロープ部22の右サイドフレーム12Rに連結し、他端はリアスロープ部22の左サイドフレーム12Lに連結する。また、補強フレーム16は、補強フレーム14,15とも連結している。
補強フレーム17は、板状部材であって、背面視左右方向に延びた環状形状であり、補強フレーム16の後方に略垂直に配置され、左右の端部は左右のサイドフレーム12R,12Lにそれぞれ連結し、中央下部はセンターフレーム11に連結する。また、補強フレーム17は、補強フレーム15とも連結している。
リアスロープ部22のセンターフレーム11には、左右方向に延びた回動シャフト24が取り付けられ、回動シャフト24の両端は、補強フレーム13に連結している。
回動シャフト24の上方であって、リアスロープ部22のセンターフレーム11には、左右方向に延び、回動シャフト24と平行な回動シャフト25が取り付けられ、回動シャフト25の両端は、補強フレーム14に連結している。
また、車体フレーム10の左右方向の中央には、前後方向に延び、補強フレーム16と補強フレーム17とのそれぞれ上部に連結した回動シャフト26が設けられている。そして、これら回動シャフト24,25,26は、後述する後懸架装置70の連結に用いられる。
フロントサポートプレート18は、平面視前後方向に延びた略矩形状であり、上面がフロント部19のセンターフレーム11およびサイドフレーム12に固定される。フロントサポートプレート18は上下方向に貫通した貫通孔27を備える。そして、この貫通孔27は、後述する前懸架装置50の連結に用いられる。
なお、車体フレーム10は、上述の構成に限定されるものではない。車体フレーム10は、前懸架装置50および後懸架装置70の取り付けが可能であり、走行車両としての十分な剛性を備えるものであればよい。例えば、車体フレーム10は、円筒状のパイプの替わりに、中空の四角柱部材や断面がL字形状やH字形状の鋼材等から構成されるものであっても良い。
次に、左右一対の走行装置としての前クローラ走行装置30について説明する。なお、左右の前クローラ走行装置30は左右対称形状であるため、以下では右の前クローラ走行装置30を取り上げて説明を行う。左の前クローラ走行装置30の構成については説明を省略する。また、必要に応じて、右の前クローラ走行装置には符号R、左の前クローラ走行装置には符号Lを適宜付す。図6は前クローラ走行装置30の右側面図であり、図7は車両内方から見た前クローラ走行装置30の側面図(左側面図)である。また、図8は前クローラ走行装置30の一部拡大断面図であって、駆動輪の取り付け構成を説明するためのものであり、右側が車両の内側、左側が車両の外側である。
図6、図7に示すように、前クローラ走行装置30は、上部に駆動輪31と、前部と後部とに従動輪32と、2つの従動輪32の間に4つの補助ローラ33と、クローラベルト34と、取付フレーム35と、連結フレーム36と、油圧モータ37等を備える。
クローラベルト34は、駆動輪31、2つの従動輪32、4つの補助ローラ33に外接するように掛け回されている。
取付フレーム35には、従動輪32と補助ローラ33が回動自在に支持されるとともに、油圧モータ37が取り付けられる。
連結フレーム36は、上向き三角形状であり、取付フレーム35の車両内側に位置し、三角形状の上側の頂点近傍には貫通孔38が設けられる。
図8に示すように、前クローラ走行装置30の駆動装置としての油圧モータ37は、駆動輪31の車両内側に位置し、取付フレーム35に取り付けられている。油圧モータ37の駆動軸39の先端に駆動輪31が固定されている。この油圧モータ37によって駆動輪31を回転させる。
取付フレーム35は、油圧モータ37の駆動軸39と同軸上に回動軸40を備え、この回動軸40は連結フレーム36の貫通孔38に挿通しており、この回動軸40を軸として連結フレーム36に回動自在に支持されている。したがって、前クローラ走行装置30は、連結フレーム36に対して、回動軸40を軸として、前後方向に揺動自在に支持されている。
ここで、取付フレーム35は、回動軸40を中心とした円弧状の切り欠き41を有し、この切り欠き41には、連結フレーム36から垂設されたピン42が挿入される。取付フレーム35が連結フレーム36に対して回動する際、ピン42は切り欠き41内を摺動するため、このピン42と切り欠き41とによって、取付フレーム35の回動軸40を軸とした回動可能な範囲が規制されている。つまり、前クローラ走行装置30の回動軸40を軸とした前後方向の揺動可能な範囲が規制されている。
前クローラ走行装置30は、前後および上下に頂点が位置し、前後方向に延びた略菱形形状である。そして、下方に位置する頂点近傍のクローラベルト34が地面と接地する接地部43となる。なお、この菱形形状は、前方の頂点が後方の頂点よりも上方に偏った形状である。
また、連結フレーム36の三角形状の下側の2つの頂点近傍には、車両内方に向かって垂設された回動軸44,45が設けられている。この2つの回動軸44,45は、後述する前懸架装置50の連結に用いられる。
前クローラ走行装置30は、上述のような構成にすることで、地面の上方に隆起した凸部を乗り越える際、凸部にクローラベルト34が引っかかり易くなり、走行が安定する。
また、接地部43を小さくすることで、後述する旋回走行時の地面との摩擦抵抗を低減し、旋回走行が向上する。
また、前クローラ走行装置30は、前後方向に揺動自在に支持されているため、地面との接地性が向上するとともに、前クローラ走行装置30の揺動による緩衝効果が発生し、安定して走行できるとともに乗り心地が向上する。
また、前クローラ走行装置30の上部に駆動輪31が位置しており、駆動輪31を回転させる油圧モータ37の駆動軸39の先端に駆動輪31が取り付けられ、油圧モータ37の車両内方への突出を少なくしている。つまり、油圧モータ37は、インホイール状に配設されている。したがって、左右の前クローラ走行装置30R,30L間での車体フレーム10の下方には大きな空間を形成することができる。そして、この空間には後述する前懸架装置50の連結機構を配置することができ、スペースを有効に活用することで車幅が増大することがない。
また、前クローラ走行装置30は、回動軸40を軸とした前後方向の揺動可能な範囲が規制されているため、過度な揺動を防止することができ、前クローラ走行装置30および前懸架装置50の故障を防止することができる。
なお、前クローラ走行装置30は、取付フレーム35に対する従動輪32の位置を移動させることでクローラベルト34のテンションを調節する図示せぬテンション調節装置、駆動輪31の回転を止める図示せぬブレーキ装置、連結フレーム36に対する前クローラ走行装置30の前後方向の揺動を抑制する緩衝機構としてのダンパ等も備える。このダンパは、取付フレーム35と連結フレーム36との間に備えられるものであり、前クローラ走行装置30が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。また、このダンパによって、前クローラ走行装置30が不整地の凹凸と当接する際、前懸架装置50との連結部へのねじれや衝撃等の負荷を低減することができ、耐久性が向上する。
次に、前懸架装置50について説明する。なお、前懸架装置50は左右対称形状であるため、必要に応じて、右側を構成する部材には符号R、左側を構成する部材には符号Lを適宜付す。図9は車両内側から見た前クローラ走行装置30と前懸架装置50の側面図(左側面図)である。図10は、前懸架装置50の動作を説明する図であり、(a)は図9におけるリンク機構が伸長した状態あり、(b)は図9におけるリンク機構が収縮した状態である。
図4、図6、図9に示すように、前懸架装置50は、ボギーフレーム51と、ボギーフレーム51の左右に左右の前クローラ走行装置30R,30Lをそれぞれ連結する左右一対の連結機構としてのリンク機構52等を備える。なお、図9において、左のリンク機構52Lおよび左の前クローラ走行装置30Lの記載は省略されている。
ボギーフレーム51は、平面視前後方向に延びた略矩形状の直方体状であり、上面の左右方向の中央に操舵軸としての回動軸53が垂設されている。回動軸53は、フロントサポートプレート18の貫通孔27に挿通される。そして、ボギーフレーム51は、フロントサポートプレート18に回動軸53を軸として回動自在に連結される。つまり、ボギーフレーム51は、車体フレーム10に上下方向を軸として回動自在に支持される。なお、図6、図9、図10中の直線L1は、回動軸53の中心(ボギーフレーム51の回動中心)であって、操舵軸の軸方向を示し、鉛直である。
また、ボギーフレーム51の左右の側面には、回動軸54(54R,54L)と回動軸55(55R,55L)とが垂設されている。回動軸54と回動軸55は、直線L1に対して線対称の位置に設けられている。
なお、ボギーフレーム51は上述の構成に限定されるものではなく、車体フレーム10に上下方向の操舵軸を軸として回動自在に支持されるものであればよい。また、ボギーフレーム51の操舵軸としての回動軸53は、鉛直であるものに限定されるものではなく、回動軸53は、前低後高に傾倒したキャスター角を有するものであってもよい。このように回動軸53がキャスター角を有する場合は、走行性および耐久性が向上する。なお、回動軸53が鉛直である場合は、前懸架装置50の構成が簡易であり、生産性が高い。
リンク機構52は、第1リンク部材56と、第2リンク部材57と、第3リンク部材58と、第4リンク部材59と、第5リンク部材60とから構成される。第1リンク部材56と、第2リンク部材57と、第3リンク部材58と、第4リンク部材59とは同一形状であり、略円弧状に湾曲した棒状部材である。第5リンク部材60は湾曲せず、直線的な棒状部材である。これら5つのリンク部材56,57,58,59,60の端部が連結することで、リンク機構が構成される。
第1リンク部材56は、一端がボギーフレーム51の回動軸54に連結する。第2リンク部材57は、一端が第1リンク部材56の他端に連結し、他端が前クローラ走行装置30の連結フレーム36の回動軸44に連結する。第3リンク部材58は、一端がボギーフレーム51の回動軸55に連結する。第4リンク部材59は、一端が第3リンク部材58の他端に連結し、他端が前クローラ走行装置30の連結フレーム36の回動軸45に連結する。第5リンク部材は、一端が第1リンク部材56と第2リンク部材57との連結部61に連結し、他端が第3リンク部材58と第4リンク部材59との連結部62に連結する。なお、第5リンク部材は、第1リンク部材56、第2リンク部材57、第3リンク部材58、第4リンク部材59の車両内方に配置されている。
ここで、リンク機構52は、第5リンク部材60を中心として、上下対称構造である。そして、回動軸54と連結部61との距離と、連結部61と回動軸44との距離と、回動軸55と連結部62との距離と、連結部62と回動軸45との距離は同じである。また、第2リンク部材57が連結する回動軸44と第4リンク部材59が連結する回動軸45との距離は、ボギーフレームの回動軸54と回動軸55との距離と同一である。また、第1リンク部材56と、第2リンク部材57と、第3リンク部材58と、第4リンク部材59は、湾曲形状が前方に向かって突出する状態で連結されている。
第1リンク部材56と第5リンク部材60間、および第2リンク部材57と第5リンク部材60間にはそれぞれダンパ63,64を備える。ダンパ63,64は、スプリングとシリンダ等から構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構である。ダンパ63は、一端が第1リンク部材56のブラケット65に回動自在に取り付けられ、他端が第5リンク部材60のブラケット66に回動自在に取り付けられる。ダンパ64は、一端が第2リンク部材57のブラケット67に回動自在に取り付けられ、他端が第5リンク部材60のブラケット68に回動自在に取り付けられる。
2つのダンパ63,64は、上下対称の位置に配置され、これら2つのダンパ63,64の伸縮時に発生する緩衝力は同じである。なお、直線L1上には、前クローラ走行装置30の回動軸40が位置するとともに、前クローラ走行装置30の接地部43の中央も位置している。
ここで、図10に示すように、リンク機構52は、前方に向けて折れ曲がって変形することで上下方向に伸縮し、前クローラ走行装置30を上下に昇降可能としている。ここで、リンク機構52は、前クローラ走行装置30を直線L1上(操舵軸)に沿って上下に昇降可能としている。
これは、第1リンク部材56と第3リンク部材58と第5リンク部材60とダンパ63とからなる上側のリンク機構と、第2リンク部材57と第4リンク部材59と第5リンク部材60とダンパ64とからなる下側のリンク機構とが上下対称構造であり、ダンパ63とダンパ64の緩衝力が同じためである。
したがって、不整地の凹凸の変化に対して前クローラ走行装置30が昇降可能であり、凹凸のある不整地における走行性がよい。また、連結機構としてのリンク機構52は、緩衝機構としてのダンパ63,64を備えるため、車体フレーム10と前クローラ走行装置30との間における衝撃を緩衝し、前クローラ走行装置30が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。
また、前懸架装置50は、前クローラ走行装置30を上下に昇降可能とするものであり、後述する後懸架装置90のように上下に揺動可能とするものとは異なり、前方や後方等に延設される部材を備えない。したがって、走行車両1の全長を短くすることができ、旋回走行が容易となり、走行性が向上する。
次に、走行装置としての左右一対の後クローラ走行装置70について説明する。なお、左右の後クローラ走行装置70は左右対称形状であるため、以下では右の後クローラ走行装置70を取り上げて説明を行う。左の後クローラ走行装置70の構成については説明を省略する。また、必要に応じて、右の後クローラ走行装置には符号R、左の後クローラ走行装置には符号Lを適宜付す。図11は後クローラ走行装置70の右側面図であり、図12は後クローラ走行装置70と後懸架装置90の背面図である。
図11に示すように、後クローラ走行装置70は、上部に駆動輪71と、駆動輪71よりも下方であって前部と後部とに従動輪72と、この2つの従動輪72の間に4つの補助ローラ73と、クローラベルト74と、取付フレーム75と、油圧モータ77等を備える。
ここで、後クローラ走行装置70は、上述の前クローラ走行装置30とは側面視の形状が異なるものである。後クローラ走行装置70と後懸架装置90との連結は、上述のような連結フレーム36を介さずに連結するものである。そして、前クローラ走行装置30と同じ構成については説明を適宜省略する。
後クローラ走行装置70の駆動装置としての油圧モータ77は、上述の前クローラ走行装置30の油圧モータ37と同様に、駆動輪71の車両内側に位置し、取付フレーム75に取り付けられている。油圧モータ77の駆動軸79の先端に駆動輪71が固定されている。この油圧モータ77によって駆動輪71を回転させる。
また、取付フレーム75は、上述の前クローラ走行装置30の取付フレーム35と同様に、油圧モータ77の駆動軸79と同軸上に回動軸80を備える。ここで、この回動軸80は、後述する後懸架装置90の連結に用いられものであって、後クローラ走行装置70は、この回動軸80を軸として、前後方向に揺動自在に後懸架装置90と連結する。
また、取付フレーム75は、回動軸80を中心とした円弧状の切り欠き81を有し、この切り欠き81には、後述する懸架装置90に設けられたピン82が挿入される。取付フレーム75が後懸架装置90に対して回動する際、ピン82は切り欠き81内を摺動するため、このピン82と切り欠き81とによって、取付フレーム75の回動軸80を軸とした回動可能な範囲が規制されている。つまり、前クローラ走行装置30と同様に、後クローラ走行装置70の回動軸80を軸とした前後方向の揺動可能な範囲が規制されている。
また、後クローラ走行装置70は、前方の従動輪72が後方の従動輪72よりも上方に位置している。そして、後方の従動輪72と4つの補助ローラ73とが位置しているクローラベルト74が地面と接地する接地部83となる。つまり、後前クローラ走行装置70は、前クローラ走行装置30より接地部83が広い構成である。
後クローラ走行装置70は、上述のような構成にすることで、地面の上方に隆起した凸部を乗り越える際、凸部にクローラベルト74が引っかかり易くなり、走行が安定する。また、クローラベルト74の接地部83を広くすることで、安定した走行が可能となる。
また、後クローラ走行装置70は、前後方向に揺動自在に後懸架装置90に連結されているため、地面との接地性が向上するとともに、後クローラ走行装置70の揺動による緩衝効果が発生し、安定して走行できるとともに乗り心地が向上する。また、この緩衝効果によって、後懸架装置90との連結部へのねじれや衝撃等の負荷を低減することができ、耐久性が向上する。
また、後クローラ走行装置70の上部に駆動輪71が位置しており、駆動輪71を回転させる油圧モータ77の駆動軸79の先端に駆動輪71が取り付けられ、油圧モータ77の車両内方への突出を少なくしている。つまり、油圧モータ77は、インホイール状に配設されている。したがって、左右の後クローラ走行装置70R,70L間での車体フレーム10の下方には大きな空間を形成することができる。そして、この空間には後述する後懸架装置90の連結機構を配置することができ、スペースを有効に活用することで車幅が増大することがない。
また、後クローラ走行装置70は、回動軸80を軸とした前後方向の揺動可能な範囲が規制されているため、過度な揺動を防止することができ、後クローラ走行装置70および後懸架装置90の故障を防止することができる。
なお、後クローラ走行装置70は、上述の前クローラ走行装置30と同様に、取付フレーム75に対する従動輪72の位置を移動させることでクローラベルト74のテンションを調節する図示せぬテンション調節装置、駆動輪71の回転を止める図示せぬブレーキ装置、後懸架装置90に対する後クローラ走行装置70の前後方向の揺動を抑制する緩衝機構としてのダンパ等も備える。このダンパは、取付フレーム75と後懸架装置90との間に備えられるものであり、後クローラ走行装置70が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。また、このダンパによって、後クローラ走行装置70が不整地の凹凸と当接する際、後懸架装置90との連結部へのねじれや衝撃等の負荷を低減することができ、耐久性が向上する。
ここで、前後のクローラ走行装置30,70は、エンジンEの駆動力によって駆動する。エンジンEの駆動力は、車体フレーム10に備える図示せぬポンプに伝達され、さらに図示せぬ比例電磁弁を介して油圧モータ37,77に伝達される。そして、油圧モータ37,77を駆動させることで前後のクローラ走行装置30,70が駆動し、走行車両1を走行させることができる。なお、前後のクローラ走行装置30,70への駆動力の伝達は、柔軟性のある部材、例えばフレキシブルなホースによって伝達することが望ましい。前後のクローラ走行装置30,70は、前後の懸架装置50,90によって上下方向へ大きく昇降または揺動可能である。したがって、車体フレーム10と前後のクローラ走行装置30,70との間における駆動力の伝達は、この上下方向の昇降または揺動を阻害することなく行われることが好ましく、駆動力の伝達に柔軟性のある部材を用いることで、この上下方向の昇降または揺動を阻害することなく、駆動力を前後のクローラ走行装置30,70に伝達することができる。
なお、前後のクローラ走行装置30,70への駆動力の伝達は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lに対応した4つの比例電磁弁を設け、この4つの比例電磁弁をそれぞれ制御する構成であってもよい。
また、前後のクローラ走行装置30,70は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、側面視の形状が四角形状や台形状のクローラ走行装置であってもよい。また、前クローラ走行装置30と後クローラ走行装置70とが同じ形状であってもよく、このような構成にすることで、部品点数が少なくなり、生産性が向上する。
また、駆動輪31,71と油圧モータ37,77との間に変速装置を備え、油圧モータ37,77の駆動力をこの変速装置を介して駆動輪31,71に伝達する構成であってもよい。このような構成にすることで、前後のクローラ走行装置30,70を所望の出力で駆動することが更に容易にできる。
また、前後のクローラ走行装置30,70の油圧モータ37,77と駆動輪31,71との連結は上述の構成に限定されるものではなく、例えば、駆動輪31,71の車両外側に油圧モータ37,77を配置する構成であってもよく、ギヤを介して連結する構成としてもよい。このような構成にすることで、油圧モータの配置の自由度が向上する。
また、前後のクローラ走行装置30,70の駆動装置は、油圧モータ37,77によるものに限定されるものではない。例えば、油圧モータに替わって電動モータで駆動輪31,71を回転する構成であってもよい。この電動モータを用いる場合、エンジンEからクローラ走行装置への駆動力は、電気(電力)によって伝達されるものであり、柔軟性のある部材、例えば、フレキシブルなワイヤーハーネスを用いて伝達する。このような構成にすることで、上述の油圧モータの場合と同様に、前後のクローラ走行装置の上下方向の昇降および揺動を阻害することがない。
なお、前後のクローラ走行装置30,70の駆動装置に油圧モータを用いる場合には、容易に高出力で駆動することができる。また、前後のクローラ走行装置30,70の駆動装置に電動モータを用いる場合には、制御が容易であるとともに、応答性が良くなる。
次に、後懸架装置90について説明する。なお、後懸架装置90は左右対称形状であるため、必要に応じて、右側を構成する部材には符号R、左側を構成する部材には符号Lを適宜付す。
図11、図12に示すように、後懸架装置90は、左右にそれぞれ2つ、合計4つの牽引アーム91,92(91R,91L,92R,92L)と、揺動アーム93と、左右のダンパ94(94R,94L)等を備える。
牽引アーム91は、前後に延設された2つの四角筒状のパイプ(以下角パイプと称する)から構成される。牽引アーム91の一方の角パイプは、前後方向の略中央で2回それぞれ逆向きに折り曲げられ、この折り曲げられた部位から前端部までが車両内方にオフセットしている。牽引アーム91の他方の角パイプは、折り目を有さず直線状に延設されており、折り目を有する四角筒状パイプの車両外方に配置される。そして、牽引アーム91のこの2つの角パイプは、後端部から一方の角パイプの折り目までの間が接合されている。牽引アーム91の前後の両端部には、左右方向に貫通した貫通穴が形成されている。なお、牽引アーム92は同じ形状であり、その説明は省略する。
牽引アーム91の前端部の貫通穴には、車体フレーム10の回動シャフト24が挿通される。そして、牽引アーム91の前端部は、車体フレーム10に回動シャフト24を軸として回動自在に支持される。また、牽引アーム92の前端部の貫通穴には、回動シャフト25が挿通される。そして、牽引アーム92の前端部は、車体フレーム10に回動シャフト25を軸として回動自在に支持される。
牽引アーム91の後端部の貫通穴には、連結ピン95が挿通される。そして、牽引アーム91の後端部には、この連結ピン95を介して、両端に貫通孔を有する四角筒状パイプの連結部材96の一端が連結される。
牽引アーム92の後端部の貫通穴と、連結部材96の他端の貫通孔には、後クローラ走行装置70の取付フレーム75に設けられた回動軸80が挿通される。そして、牽引アーム92の後端部には、後クローラ走行装置70が回動軸80を軸として、回動自在に連結される。
なお、連結ピン95の車両外側端部には、上述した後クローラ走行装置70のピン82が垂設されている。そして、上述しように、このピン82と切り欠き81とによって、後懸架装置90に対する、後クローラ走行装置90の回動軸80を軸とした前後方向の揺動可能な範囲が規制される。
ここで、牽引アーム91,92は上述の構成に限定されるものではない。一端が車体フレーム10に左右方向を軸として回動自在に支持され、他端に後クローラ走行装置70を左右方向を軸として回動自在に連結するものであればよい。
例えば、牽引アーム91,92は、それぞれ一つの角パイプから構成されるものであってもよい。また、牽引アーム92のみによって車体フレーム10と後クローラ走行装置70とを連結する構成であってもよい。このような構成にすることによって、部品点数を削減することができ、生産性が高くなる。しかし、このような構成の場合は強度が減少するため、後クローラ走行装置70を車体フレーム10に連結する機構として必要な強度を有する構成とすることが好ましい。
揺動アーム93は、背面視上向き三角形状の板状のプレート97と、板状のプレート97の左右方向の中心から前後方向に延設された円筒状のパイプ98と、プレート97の下端に固定された左右に延設する円柱状のシャフト99等から構成される。円筒状のパイプ98には、車体フレーム10の回動シャフト26が挿通される。そして、揺動アーム93は、車体フレーム10に回動シャフト26を軸として回動自在に支持される。
ここで、揺動アーム93は上述の構成に限定されるものではない。揺動アーム93は、左右方向に延設され、左右方向の中心で車体フレーム10に前後方向を軸として回動自在に支持されるものであればよい。
ダンパ94は、スプリングとシリンダ等から構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構である。左のダンパ94Lの一端は自在継手としてのボールジョイント100Lを介して揺動アーム93のシャフト99の左側端部に連結される。左のダンパ94Lの他端は、自在継手としてのボールジョイント101Lを介して、左の牽引アーム91Lに連結される。
右のダンパ94Rの一端は自在継手としてのボールジョイント100Rを介して揺動アーム93のシャフト99の右側端部に連結される。右のダンパ94Rの他端は、自在継手としてのボールジョイント101Rを介して、右の牽引アーム91Lに連結される。
ここで、ダンパ94は上述の構成に限定されるものではない。ダンパ94は、一端が自在継手を介して揺動アーム93に連結され、他端が自在継手を介して後クローラ走行装置70に連結されるものであればよい。なお、上述の構成は、ダンパ94の一端が牽引アーム91を介して後クローラ走行装置70に連結される構成である。
例えば、自在継手のボールジョイントの替わりに、十字軸式の自在継手を用いてもよい。また、伸縮自在な緩衝機構としてのダンパ94に替わって、鋼材からなるアームを用いた構成であってもよい。しかし、安定して走行するとともに乗り心地を向上させるためには、伸縮自在な緩衝機構であるダンパ94を用いることが好ましい。また、このような構成にすることで、車体フレーム10と後クローラ走行装置70との間に別途緩衝機構を設けることがなくなり、部品点数を削減し、生産性が向上する。
そして、上述のような後懸架装置90によって、懸架された左右の後クローラ走行装置70R,70Lは、上下方向にそれぞれ逆向きに連動して揺動する。これは、左右の後クローラ走行装置70R,70Lが、車体フレーム10に前後方向に延びた回動シャフト26を軸として回動自在に支持される揺動アーム93を介して連結されているためである。
さらに、後クローラ走行装置70は、左右方向へ移動することなく、また、前後方向を軸として回動することなく、上下方向に揺動する。そして、後クローラ走行装置70の接地部83は、車体フレーム10に対して、常に平行状態に保たれている。つまり、後クローラ走行装置70は、背面視において、車体フレーム10に対して、上下方向にスライド移動する。これは、左右の後クローラ走行装置70R,70Lが、一端が車体フレーム10に左右方向に延びた回動シャフト24および回動シャフト25を軸として回動自在に支持され、他端が後クローラ走行装置70に左右方向の延びた回動軸80を軸として回動自在に支持される牽引アーム91R,92R,91L,92Lにそれぞれ連結しているためである。
したがって、不整地の凹凸の変化に対する後クローラ走行装置70の上下方向の追従が速く、走行性や乗り心地が良い。また、後懸架装置90は、左右の後クローラ走行装置70R,70Lを一体として車体フレーム10に懸架する構成であり、それぞれのクローラ走行装置を独立して懸架する構成よりも簡易であり、部品定数が削減され、生産性やメンテナンス性が良い。
なお、後懸架装置90は、上述の構成に限定されるものではなく、後クローラ走行装置70を車体フレーム10に懸架可能な構成であればよく、より好ましくは、後クローラ走行装置70を上下方向に揺動可能な構成であればよい。例えば、上述の後懸架装置90において、牽引アーム91,揺動アーム93,ダンパ94,連結部材96を備えない構成であってもよい。つまり、連結部材としての牽引アーム92R,92Lのみによって、後クローラ走行装置70R,70Lを車体フレーム10に懸架し、車体フレーム10と牽引アーム92との間に上述のダンパ94と同様のダンパを連結した構成としてもよい。したがって、左右の後クローラ走行装置70R,70Lは独立して車体フレーム10に懸架される構成である。このような構成にすることで、後懸架装置が簡易な構成となり、生産性とメンテナンス性が向上する。
また、後懸架装置90における牽引アーム92は、一端が車体フレーム10に支持され、他端が後クローラ走行装置70に支持される。しかし、後懸架装置90は、この牽引アーム92に替わって、公知のダブルウィッシュボーン式サスペンションで用いられる上下2組のアーム(アッパーアームとロワアーム)を車体フレーム10と後クローラ走行装置90との間に設ける構成であってもよい。このような構成にすることで、車体フレーム10と後クローラ走行装置90との間の連結の強度が高くなる。しかし、このような構成にすることで、後クローラ走行装置90の上下方向の揺動可能量(上下方向への移動可能量)が小さくなってしまうため、上述の牽引アーム92による構成の方が好ましい。
次に、走行車両1の走行および操舵について説明する。上述したように、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lは、それぞれが備える油圧モータ37R,37L,77R,77Lによって、各駆動輪31R,31L,71R,71Lを回動することによって駆動する。
油圧モータ37R,37L,77R,77Lは、エンジンEの駆動力によって駆動する図示せぬポンプによって駆動される。また、油圧モータ37R,37L,77R,77Lとポンプとの間に設けられた図示せぬ比例電磁弁をここでは図示せぬ制御部によって制御することで、各油圧モータ37R,37L,77R,77Lをそれぞれ独立して制御する。つまり、エンジンEの駆動力を、ポンプから比例電磁弁を介して各油圧モータ37R,37L,77R,77Lにそれぞれ独立して伝達する構成である。
このような構成にすることで、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lをそれぞれ独立して駆動させることができ走行車両1の前進、後進、旋回等を行うことができる。
前進および後進時には、前後左右のクローラ走行装置30R,30L,70R,70Lを同一方向および速度で駆動させる。
旋回時には、右の前クローラ走行装置30Rと、左の前クローラ走行装置30Lとを異なる速度で駆動させる。この左右の前クローラ走行装置30R,30Lの速度差によって、前クローラ走行装置30と前懸架装置50は、車体フレーム10に対して、前懸架装置50の回動軸53を軸として一体に回動する。つまり、前クローラ走行装置30と前懸架装置50は回動軸53を中心として回動する。したがって、車体フレーム10に対する前クローラ走行装置30の向きが変更され、走行車両1の走行方向を変更することができる。
そして、車体フレーム10に対する前クローラ走行装置30の向きを変更することで、走行車両1の走行方向を変更するため、確実に走行車両1の走行方向の変更を行うことができる。
なお、左右の前クローラ走行装置30R,30Lを異なる速度で駆動する際、左右の後クローラ走行装置70R,70Lも異なる速度で駆動させても良い。このような構成にすること、走行車両1は、更に小さい半径での旋回が可能となり、旋回動作も速くすることが可能となる。更には、走行車両1は、ゼロターンも可能となり、走行性が向上する。
ここで、前クローラ走行装置30は、前懸架装置50によって車体フレーム10に上下方向に大きく昇降可能に懸架されている。また、後クローラ走行装置70は、後懸架装置90によって車体フレーム10に上下方向に大きく揺動可能に懸架されている。したがって、前クローラ走行装置30と後クローラ走行装置70とは、不整地の凹凸や斜面に追従して上下方向に移動または揺動可能であり、不整地での走行性が向上する。
また、走行車両1は、不整地を走行する際、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lは、上下方向の位置が異なる状態となるが、このような状態であっても容易に旋回することが可能である。そして、走行車両1の旋回動作について説明する。
図13は、右の前後のクローラ走行装置30R,70Rに対して左の前後のクローラ走行装置30L,70Lが上方に位置している状態の概略右側面図である。図13において、前懸架装置50のダンパ63,64、後懸架装置90の牽引アーム91、揺動アーム93、ダンパ94等の記載は省略してある。図14は、図13における概略平面図である。図14において、円C1は回動軸53を中心とする円であり、直線L2は前クローラ走行装置30の接地部43の前後方向の中心を示すものであり、直線L3は左の前クローラ走行装置30Lの幅方向の中心を示すものであり、直線L4は右の前クローラ走行装置30Rの幅方向の中心を示すものである。
図13および図14に示すように、左右の後クローラ走行装置70R,70Lは、上下方向の位置が異なることで、右の後クローラ走行装置70Rに対して左の後クローラ走行装置70Lが後方に位置している。
なお、左右の前クローラ走行装置30R,30Lは、上下方向の位置が異なる状態においても、前後方向にはずれていない。つまり、左右の前クローラ走行装置30R,30Lは、平面視において、回動軸53に対して常に軸対称に位置している。これは、前懸架装置50の連結機構52によるものである。
ここで、左右のクローラ走行装置を異なる速度で駆動させて旋回させる構成において、左右のクローラ走行装置が前後方向にずれて位置していると旋回しにくい場合がある。例えば、上述の左右の後クローラ走行装置70R,70Lのように、右の後クローラ走行装置70Rに対して左の後クローラ走行装置70Lが後方に位置して状態で右旋回をさせようとすると、右の後クローラ走行装置70Rが邪魔となりスムースに旋回できない場合がある。逆に、このような状態において、左旋回をさせようとすると、通常のとき(左右のクローラ走行装置70R,70Lの上下方向の位置が同じ場合)よりも容易に旋回してしまう場合がある。したがって、所望の旋回動作をすることができない場合があるとともに、その制御が複雑となる。
しかし、左右の前クローラ走行装置30R,30Lは、上下方向の位置が異なる状態においても、前後方向にはずれはなく、平面視において、回動軸53に対して常に軸対称に位置している。したがって、左右の前クローラ走行装置30R,30Lを異なる速度で駆動させて、前クローラ走行装置30と前懸架装置50を回動軸53に対して回動させる際、左右の前クローラ走行装置30R,30Lの上下方向の位置の影響を受けにくく、所望の回動動作をすることができる。
これは、左右の前クローラ走行装置30R,30Lの地面に伝わる力が、回動動作に効率よく使われるからである。左の前クローラ走行装置30Lと右の前クローラ走行装置30Rの地面に伝わる力の方向は、それぞれ直線L3と直線L4の方向であり、この直線L3と直線L4は直線L2との交点で回動軸53を中心とする円C1と接する。したがって、直線L3と直線L4の方向の地面に伝わる力は、回動軸53を中心とする回動に無駄なく用いることが可能であり、所望の回動動作が容易に可能となる。なお、これは、前懸架装置50の連結機構52によって、前クローラ走行装置30の昇降方向が操舵軸方向である直線L1の方向に規制されているからであり、前クローラ走行装置30の接地部43が直線L1に沿って上下に移動する。そして、直線L2は、回動軸53の中心(直線L1)を常に通る構成である。
ここで、図15には、図13の状態から前クローラ走行装置30と前懸架装置50を回動軸53を中心として90°左方向(反時計周り)に回動させた概略右側面図を示す。図16には、図15の概略平面図を示す。なお、図16における矢印は、この回動時における前クローラ走行装置30の地面に伝わる力の向きを示すものである。
右の前クローラ走行装置30Rは、左方向への回動時に、前進時の方向にクローラベルト34Rを回転させる。この右クローラ走行装置30Rの地面に伝わる力は、回動軸53を中心とする円C1と接する向きであるため、その力の大半を左方向(反時計周り)の回動に用いることができる。逆に、左の前クローラ走行装置30Lは、左方向への回動時に、後進時の方向にクローラベルト34Lを回転させる。この左クローラ走行装置30Lの地面に伝わる力は、回動軸53を中心とする円C1と接する向きであるため、その力の大半を左方向(反時計周り)の回動に用いることができる。
したがって、左右の前クローラ走行装置30R,30Lの上下方向の位置が異なる状態であっても、左右の前クローラ走行装置30R,30Lを容易に回動することができ、走行車両1の走行方向を変更することができる。つまり、傾斜地や凹凸のある不整地において、車体フレーム10に対する前クローラ走行装置30の向きを所望の向きに変更することが容易であり、走行性が向上する。
また、前懸架装置50のリンク機構52は、ボギーフレーム51の外方であり、車体フレーム10の前方に向けて折れ曲がる構成である。つまり、リンク機構52は、走行車両1から外方に向けて折れ曲がる構成である。したがって、このリンク機構が折れ曲がるためのスペースを車両内方に確保する必要がなく、走行車両1の全長を短くすることができる。
また、走行車両1は、斜面横断走行時における前後のクローラ走行装置30,70の横滑りを低減することができ、斜面横断走行時の走行性が良い。前懸架装置50は、前クローラ走行装置30を、左右方向へ移動することなく、また、前後方向を軸として回動することなく、上下方向に昇降可能とする。そして、前クローラ走行装置30の接地部43は、車体フレーム10に対して、常に平行状態に保たれている。つまり、前クローラ走行装置30は、車体フレーム10に対して、上下方向にスライド移動する。また、後懸架装置90は、後クローラ走行装置70を、左右方向へ移動することなく、また、前後方向を軸として回動することなく、上下方向に揺動可能とする。そして、後クローラ走行装置70の接地部83は、車体フレーム10に対して、常に平行状態に保たれている。つまり、後クローラ走行装置70は、車体フレーム10に対して、上下方向にスライド移動する。
したがって、斜面横断走行する際、この斜面の傾斜に合わせて前クローラ走行装置30を上下方向に昇降した場合であっても、前クローラ走行装置30の接地部43は、車体フレーム10に対して常に平行状態に保たれる。また、後クローラ走行装置70の接地部83は、前クローラ走行装置30と同様に、車体フレーム10に対して常に平行状態に保たれる。したがって、走行車両1を傾斜地の山側に向けて傾倒させて車体フレーム10を水平に近づけることにより、前クローラ走行装置30の接地部43の山側部と、後クローラ走行装置70の接地部83の山側部とを斜面にエッジとして食い込ませることができる。そして、前後のクローラ走行装置30,70は斜面を横滑りしにくくなり、斜面横断走行時の走行性や乗り心地が良い。
次に、走行車両1の走行操作について説明する。上述したように、走行車両1は、制御部によって各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lをそれぞれ独立して制御することによって、前進、後進、旋回等を行う。
より詳細には、ステアリングシャフト115の回動角度を検出するハンドルセンサの検出値とアクセルグリップ117の回動角度を検出するアクセルグリップセンサの検出値とに基づいて比例電磁弁を制御し、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lの駆動の方向および速度を変更する。したがって、比例電磁弁の制御によって走行車両1の走行操作が可能となるため、生産性やメンテナンス性がよい。
なお、上述の構成では、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lは、乗員のハンドル114とアクセルグリップ117の操作量であるハンドルセンサとアクセルグリップセンサの検出値に基づいて制御されるが、この構成に限定されるものではない。各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lの制御は、少なくとも乗員の操作量であるハンドルセンサとアクセルグリップセンサの検出値に基づいて制御される構成であればよい。例えば、図17に示すように、走行車両1の走行状態を検出する各種センサを備え、これらの各種センサの検出値に基づいて制御される構成であってもよい。
走行車両1の走行状態を検出するセンサとして、車体フレーム10に対する前懸架装置50の回動角度を検出する操舵角センサS1と、左右のリンク機構52の連結部61における第1リンク部材56に対する第2リンク部材57の回動角度をそれぞれ検出する2つの第1リンクセンサS2R,S2Lと、左右のリンク機構52の連結部62における第3リンク部材58に対する第4リンク部材59の回動角度をそれぞれ検出する2つの第2リンクセンサS3R,S3Lと、各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの駆動軸39R,39L,79R,79Lの回転数をそれぞれ検出する4つのクローラ回転センサS4R,S4L,S5R,S5Lと、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lの各油圧モータ37R,37L,77R,77Lの出力トルクを検出する4つのトルクセンサS6R,S6L,S7R,S7L等を備える構成とする。そして、制御部Cは、ハンドルセンサS8とアクセルグリップセンサS9とともに、上述の各種センサの検出値に基づいて、各クローラ走行装置30R,30L,70R,70Lを制御する。
ここで、操舵角センサS1によって走行車両1の走行方向を検知できる。また、第1リンクセンサS2R,S2Lと第2リンクセンサS3R,S3Lによって各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの上下方向の昇降状態を検知できる。第1リンクセンサS2R,S2Lと第2リンクセンサS3R,S3Lの検出値(回動角度)に基づいて制御部Cが各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの昇降変位を算出する。つまり、第1リンクセンサS2R,S2Lと第2リンクセンサS3R,S3Lは、リンク機構52の上下方向の伸縮状態を検知でき、このリンク機構52の状態に基づいて各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの昇降状態を検出する昇降センサである。また、クローラ回転センサS4R,S4L,S5R,S5LとトルクセンサS6R,S6L,S7R,S7Lによって各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの接地状態(路面状況)を検知できる。また、ハンドルセンサS8とアクセルグリップセンサS9によって乗員の走行操作を検知できる。
したがって、各種センサによって走行車両1の走行状態を詳細に把握することができる。そして、制御部Cは、乗員のハンドルおよびアクセル操作に対して、走行車両1の走行状態に応じて各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lを制御することができ、走行車両1の走行性が向上する。
なお、各種センサの種類は特に限定されるものではなく、例えば、回動角度の検出にはポテンショメータやエンコーダ等を用いる。
また、制御部Cは、各種センサの検出値を継時的に記憶し、各種センサの検出値とその変化量とに基づいて制御する構成であってもよい。例えば、制御部Cは、第1リンクセンサS2R,S2Lと第2リンクセンサS3R,S3Lの検出値に基づいて各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの昇降変位を算出するとともに、この昇降変位の継時変化から各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの昇降速度を算出する構成であってもよい。このような構成にすることで、各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの昇降状態を昇降変位と昇降速度によって把握することができる。したがって、走行車両1の更に詳細な走行状態が把握でき、走行車両1の走行性が向上する。
また、走行状態を把握するための各種センサの構成は特に限定されるものではない。例えば、各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの上下方向の昇降状態を検出する昇降センサは、車体フレーム10と地面との距離を検出するセンサであってもよい。このような距離を検出するセンサとしては、超音波距離センサや赤外線距離センサを用いることができる。なお、昇降センサは、上述の第1リンクセンサS2R,S2Lと第2リンクセンサS3R,S3Lであることが好ましく、距離センサよりも正確に各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lの上下方向の昇降状態を把握することができる。
また、車体フレーム10やボギーフレーム51や各クローラ走行装置30R、30L,70R,70Lに加速度センサを備える構成としてもよい。このような構成にすることで、走行車両1の更に詳細な走行状態が把握できる。
また、走行車両1の水平に対する傾斜角度を検出する傾斜センサを更に備える構成であってもよい。このような傾斜センサとしては、ジャイロセンサ等を用いることができる。なお、傾斜センサは、少なくとも左右方向における傾斜のロール角を検出できるものであればよく、更に、前後方向における傾斜のピッチ角を検出できるものであってもよい。このような構成にすることで、走行車両1の水平に対する傾斜角度をより詳細に把握することができ、走行車両1の走行性および安定性を向上することができる。
また、各種センサを複数備える構成であってもよく、センサの数は限定されるものではない。例えば、昇降センサとしての上述の第1リンクセンサS2R,S2Lと第2リンクセンサS3R,S3Lは、いずれか1つからなる構成であってもよい。また、ボギーフレーム51に対する第1リンク部材56または第3リンク部材58の回動角度を検出するセンサや、前クローラ走行装置30の連結フレーム36に対する第2リンク部材57または第4リンク部材59の回動角度を検出するセンサを備える構成であってもよい。なお、各種センサは、複数設ける構成が好ましく、このような構成にすることで、より正確に走行車両1の走行状態を把握することができる。また、後クローラ走行装置70や後懸架装置90に上述と同様のセンサを備える構成としてもよい。
また、各種センサの検出値に基づいて制御部Cによって制御される警報装置を備える構成としてもよい。例えば、傾斜センサの検出値に基づいて制御される警報装置を備えてもよい。このような構成にすることで、乗員に走行中の斜面が危険であることを警告することが可能となり、横滑りや横転などの事故を未然に防ぐことができ、安全性が向上する。なお、警報装置は特に限定されるものではなく、乗員に警告することが可能なものであればよい。例えば、音や光によって乗員に警告するものである、警報音発生装置やランプ点滅装置などであってもよい。また、警報装置は、前後クローラ走行装置30,70を停止する非常停止装置であってもよい。
なお、前懸架装置は、上述の構成に限定されるものではなく、前クローラ走行装置30を操舵軸である回動軸53(直線L1上)に沿って上下に昇降可能な構成であればよい。ここで、前クローラ走行装置30の昇降方向は、連結機構としてのリンク機構52の構成等によって決まるものである。
例えば、連結機構は、上述のリンク機構52において、第5リンク部材60を備えない構成としてもよい。この際、ダンパ63,64に替わって、一端がボギーフレーム51に回動自在に連結し、他端が第3リンク部材に58に回動自在に連結し、鉛直方向に延伸して配置されるダンパをと、一端が連結フレーム36に回動自在に連結し、他端が第4リンク部材に59に回動自在に連結し、鉛直方向に延伸して配置されるダンパとを備える構成とする。このような構成にすることで部品点数を減少することができ、生産性が向上する。なお、このような構成の場合には、連結機構の強度が低下するため、第5リンク部材60を備える構成の方が好ましい。
また、連結機構は、上述のリンク機構52において、ダンパ63,64に替わって、一端が第1リンク部材56に回動自在に連結し、他端が第2リンク部材に57に回動自在に連結し、鉛直方向に延伸して配置されるダンパを設けた構成としてもよい。このような構成にすることで部品点数を減少することができ、生産性が向上する。
また、連結機構は、上述のリンク機構52において、第3リンク部材58と第4リンク部材59との連結部62が後方に向けて折れ曲がる構成としてもよい。つまり、連結機構は、側面視略菱形形状となるリンク機構であって、いわゆるパンタグラフ機構であってもよい。このような構成にすることで連結機構が簡易となり、生産性やメンテナンス性が向上する。また、リンク機構の伸縮の安定性が向上する。
また、連結機構は、上述のリンク機構52において、第1リンク部材56と第2リンク部材57がそれぞれ第5リンク部60材に連結し、第3リンク部材58と第4リンク部材59がそれぞれ第5リンク部材に連結する構成であってもよい。つまり、第1リンク部材56と第2リンク部材57および第3リンク部材58と第4リンク部材59が、第5リンク部材を介して連結する構成であってもよい。このような構成にすることで、連結部の構成が簡易となり、生産性やメンテナンス性が向上する。
また、連結機構は、ピストンヘッドを有するピストンロッドと、このピストンヘッドを内部に挿入可能とする有底筒状のシリンダーライナー等から構成される伸縮自在のシリンダであって、このシリンダの一端はボギーフレーム51に固定され、他端は前クローラ走行装置30の連結フレーム36に左右方向を軸として回動自在に取り付けられる構成であっても良い。なお、このシリンダは、上述のダンパ63,64と同様に、スプリングを備える構成としてもよい。このような構成にすることで、連結機構が簡易となり、生産性やメンテナンス性が向上する。
また、緩衝機構としてのダンパ63,64は、上述の構成に限定されるものではない。車体フレーム10と前クローラ走行装置30との間における衝撃を緩衝する構成であればよく、スプリングまたはシリンダのみの構成であってもよい。
また、走行車両は、図18に示すように、走行車両1の後クローラ走行装置70および後懸架装置90を、前クローラ走行装置30および前懸架装置50と同じ構成にした走行車両2であってもよい。このような構成にすることで、部品点数が少なくなり、生産性が向上する。また、走行車両2は、多様な走行、例えば、更に小さい半径での旋回や、車体フレーム210の向きを変えずに横方向への走行等が可能となる。
ここで、走行車両2の後懸架装置50は、前懸架装置50と逆向きにリンク機構52が折れ曲がるように配置される。つまり、リンク機構52がボギーフレーム51の外方であって、車体フレーム210の後方に向かって折れ曲がる。したがって、前後の懸架装置におけるリンク機構52,52は、いずれも走行車両2から外方に向けて折れ曲がる構成であり、このリンク機構52,52が折れ曲がるためのスペースを車両内方に確保する必要がなく、走行車両2の全長を短くすることができる。
また、走行車両は、上述の走行車両1,2のように、前後左右4つのクローラ走行装置30R,30L,70R,70Lで走行するものに限定されるものではない。少なくとも左右一対の走行装置で走行すればよい。例えば、図19に示すように、走行車両1における後クローラ走行装置70R,70Lが1つである走行車両3のような構成であってもよい。走行車両3は、走行車両1において、車体フレーム10の後部の左右方向中央に後クローラ走行装置70を1つ配置した構成である。走行車両3における後クローラ走行装置70は、前後に延設された左右一対の牽引アーム391,391の間に位置し、この牽引アーム391,391によって車体フレーム310に懸架される。左右の牽引アーム391,391は、一端が車体フレーム310に左右方向を軸(回動軸324)として回動自在に連結し、他端が後クローラ走行装置70に左右方向を軸(回動軸380)として回動自在に連結する。したがって、この左右の牽引アーム391,391は、後クローラ走行装置70を上下方向に揺動可能に車体フレーム310に懸架する。
なお、左右の牽引アーム391,391と車体フレーム310との間に、ダンパ94と同様のダンパ394,394をそれぞれ連結する。つまり、走行車両3は、前部に左右一対のクローラ走行装置30を備え、後部に1つのクローラ走行装置70を備えた3つのクローラ走行装置によって走行する構成である。
このような構成にすることで、3つの走行装置であっても傾斜地や不整地を安定して走行できる。また、部品点数を減少することができ、生産性とメンテナンス性が向上する。
また、走行車両1,2,3における走行装置は、クローラ式の走行装置に限定されるものではなく、ホイール式の走行装置であってもよい。このような構成にすることで、走行装置が簡易な構成となり、部品点数を減少することができ、生産性とメンテナンス性が向上する。なお、軟弱地等を走行する際は、地面とのグリップ性が高い上述のようなクローラ式走行装置とする構成が好ましい。
また、走行車両1,2,3は、鞍乗型走行車両に限定されるものではなく、キャビンを備え、乗車時に乗員が座席に腰掛けて着座する走行車両等であってもよい。座席の前方には、ステアリングシャフトの上端に円形状のハンドルバーを有するハンドルを備える。ハンドルの下方には、足で操作するアクセルペダルを備える。このような構成にすることによって、キャビンによって乗員の安全が確保される。
また、走行車両1,2,3は、上述のように乗員が乗車するものに限定されるのもではなく、遠隔操作で無人走行が可能な走行車両であってもよい。例えば、走行車両1の制御部Cに接続した通信装置を設け、外部操作装置によって走行車両1を遠隔操作が可能な構成としてもよい。ここで、通信装置は無線で情報の送受信を行うものであって、外部操作装置と情報の送受信が可能である。このような構成にすることによって、作業員は走行車両1の遠隔操作が可能となり、作業効率が向上するとともに、乗員の安全を確保することができる。
なお、このように遠隔操作を可能とする構成の場合は、更に、少なくとも走行方向の画像を撮像可能な撮像装置を走行車両1に設け、外部操作装置によって撮像された画像を確認できる構成としても良い。このような構成にすることによって、作業員は、走行車両1を目視できない離れた場所でも走行車両1の走行状態を確認して遠隔操作を行うことができる。
また、本発明は上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内であらゆる形態を取ることができる。