JP4547744B2 - プリコート膜の形成方法、成膜装置のアイドリング方法、載置台構造及び成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリコート膜の形成方法、成膜装置のアイドリング方法、載置台構造及び成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路を製造するためには、半導体ウエハ等のシリコン基板に対して、成膜とパターンエッチング等を繰り返し行なって、多数の所望の素子を形成するようになっている。
ところで、各素子間を接続する配線、各素子に対する電気的コンタクトを図る配線層の下層には、基板のSiと配線材料との相互拡散を抑制する目的で、或いは下地層との剥離を防止する目的でバリヤメタルが用いられるが、このバリヤメタルとしては、電気抵抗が低いことは勿論のこと、耐腐食性に優れた材料を用いなければならない。このような要請に対応できるバリヤメタルの材料として、特に、TiN膜が多用される傾向にある。
【0003】
TiN膜のバリヤメタルを形成するには、一般的には非常に薄いTi膜をプラズマCVDにより成膜し、これを窒化処理して、更にTiN膜を、TiCl4 とNH3 ガスを用いて熱CVDで成膜するようになっている。
このTi膜の成膜時のプロセス温度は、一般的な薄膜を成膜する場合と同様に、膜特性を高く維持するために、特に厳しく管理されなければならない。
半導体ウエハを載置する載置台の表面には、このウエハの熱的面内均一性を保持し、且つ載置台等に含まれる金属元素に起因する金属汚染等を防止する目的で、TiN膜よりなるプリコート膜が予め形成されているのが一般的である。このプリコート膜は、成膜装置内をクリーニングする毎に除去されてしまうので、クリーニングした場合に、実際にウエハに成膜するに先立って前処理として載置台の表面に薄くプリコート膜を堆積させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このプリコート膜は、例えば680℃程度の高温域で形成されるが、上述のように、一旦形成されると、次に成膜装置内をクリーニングするまで、長期間連続的に使用されることになる。この場合、成膜処理に使用されない、いわゆるアイドリング期間が発生すると、プリコート膜の膜質が変化しない温度、例えば300〜500℃程度まで降温させて待機するようになっている。この理由は、載置台の昇降温操作及び温度安定化操作に多くの時間を要することから、スループットの向上の上からは、TiN膜形成のプロセス温度に載置台温度を維持するのが好ましいが、例えば680℃程度の高温に載置台を晒しておくと、処理容器内の微量なアウターガスや微量なリークガス等によってプリコート膜が変質してこの輻射率や透過率等が変化し、結果的に、同じように温度制御しているにもかかわらず、上記輻射率や透過率等の変化により載置台からの熱が逃げ易くなっていることから、投入電力量が増大してウエハ温度が予定よりも高くなる傾向になるからである。
【0005】
図5はこの時の状況を示すグラフであり、成膜装置内の載置台にプリコート膜を付着して、直ちにTiN膜をプロセス温度略680℃で成膜した時と、その後、載置台を略680℃に維持して17時間放置した後に成膜した時の膜質(比抵抗)の変化を示す。これによると、17時間放置後のTiN膜の比抵抗は、放置前と比較して略50ohms/sq程低下している。これは、ウエハ温度に換算すると、17時間放置後の方が、略20℃程度温度が高くなっていることを意味する。
このようなことから、従来にあっては、前述のように成膜装置のアイドリング期間中には、載置台の温度を300〜500℃程度まで低下させ、更に、N2 ガス等の不活性ガスを流すなどしてウエハ温度不安定化の原因となるプリコート膜の変質を防止していた。
【0006】
このため、載置台の昇降温操作や温度安定化操作に多くの時間を要し、成膜処理を再開しようと思っても迅速な処理ができず、スループットを大きく下げる原因となっていた。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、プリコート膜を安定化させることにより、アイドリング期間であっても載置台の温度を下げる必要がなく、これによりスループットを向上させることができるプリコート膜の形成方法、載置台構造及び成膜装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、プリコート膜を安定させなくても、アイドリング期間中に所定のガスを流すことにより、アイドリング期間であっても載置台の温度を下げる必要がなく、これによりスループットを向上させることができる成膜装置のアイドリング方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、TiN膜よりなるプリコート膜の変質について鋭意研究した結果、変質の原因は、プリコート膜の表面には分子レベルで不安定なサイトが存在し、これが長期間に亘って徐々に他の原子と反応する点に存在する、という知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
請求項1に規定する発明は、載置台構造のプリコート膜の形成方法において、被処理体を載置するための載置台を有する載置台構造を内部に有する成膜装置内に処理ガスを流してTiN膜よりなるプリコート膜を前記載置台の表面に堆積させる堆積工程と、前記載置台を前記堆積工程の温度よりも高い温度に維持しつつNH3 (アンモニア)含有ガスに晒して前記プリコート膜を安定化させる安定化工程とを有する。
【0008】
このように、TiN膜よりなるプリコート膜を、NH3 含有ガス中に晒してアニールすることにより安定化できる。これにより、成膜装置のアイドリング期間に載置台の温度を下げる必要もなくなり、従って、被処理体への成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることが可能となる。
請求項2に規定する発明は、載置台構造のプリコート膜の形成方法において、被処理体を載置するための載置台を有する載置台構造を内部に有する成膜装置内に処理ガスを流してTiN膜よりなるプリコート膜を前記載置台の表面に堆積させる堆積工程と、前記載置台をO2 (酸素)含有ガス或いはH2 O(水分)含有ガスに晒して前記プリコート膜を安定化させる安定化工程とを有する。
このように、TiN膜よりなるプリコート膜を、O2 含有ガス、或いはH2 O含有ガス中に晒してアニールすることにより安定化できる。これにより、成膜装置のアイドリング期間に載置台の温度を下げる必要もなくなり、従って、被処理体への成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることが可能となる。
【0009】
請求項3に規定するように、上記O2 含有ガス或いはH2 O含有ガスを用いて処理を行なう前記安定化工程における前記載置台の温度は、前記成膜装置内で前記被処理体に対して成膜処理を行なう時のプロセス温度と略同じである。
これにより、プリコート膜の安定化後、載置台を昇降温することなく直ちに被処理体の成膜処理へ移行できるので、スループットを一層向上させることが可能となる。
【0010】
請求項4に規定するように、例えば前記成膜装置では、前記被処理体に対して、Ti膜、或いはTi含有膜を堆積させる。
請求項5に規定する発明は、被処理体にTi膜、或いはTiN膜を形成するために真空引き可能になされた処理容器内に、表面にTiN膜よりなるプリコート膜を形成した載置台を有する載置台構造が設けられた成膜装置のアイドリング方法において、前記処理容器内にNH3 含有ガスを流すようにする。
【0011】
これにより、TiN膜よりなるプリコート膜を安定化させる必要がなく、アイドリング期間に単にNH3 含有ガスを流しておくだけで、例えば載置台を成膜プロセス温度に維持していても、プリコート膜の変質を防止することが可能となる。従って、被処理体に対する成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることが可能となる。
この場合、例えば請求項6に規定するように、前記載置台の温度は、前記処理容器内で行なう成膜プロセス時の温度と略同じ温度に維持される。
【0012】
請求項7に規定する発明は、前述したような安定化処理された載置台を有する載置台構造を規定したものであり、被処理体にTi膜、或いはTi含有膜を堆積させるための成膜処理を施す成膜装置内に、前記被処理体を載置するために設けられた載置台を有する載置台構造において、前記載置台の表面に、安定化処理がなされたTiN膜よりなるプリコート膜を形成したことを特徴とする載置台構造である。
請求項8に規定する発明は、上記載置台構造を備えた成膜装置を規定したものであり、被処理体にTi膜、或いはTi含有膜を形成する成膜装置において、真空引き可能になされた処理容器と、この処理容器内に必要な処理ガスを供給するガス供給手段と、前記被処理体を載置するために、表面に安定化処理がなされたTi膜よりなるプリコート膜を形成した載置台を有する載置台構造と、前記被処理体を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする成膜装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るプリコート膜の形成方法、成膜装置のアイドリング方法、載置台構造及び成膜装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の載置台構造を有する成膜装置を示す構成図、図2はNH3 ガスを用いて載置台にプリコート膜を形成する工程を示す工程図、図3はO2 ガスを用いて載置台にプリコート膜を形成する工程図である。
本実施例では、成膜装置によりTiN膜を形成する場合を例にとって説明する。
図示するように、成膜装置2は、例えばステンレススチール等により円筒体状に成形された処理容器4を有している。この処理容器4の底部6には、容器内の雰囲気を排出するための排気口8が設けられており、この排気口8には真空引きポンプ10を介設した排気系12が接続されて、処理容器4内を底部周辺部から均一に真空引きできるようになっている。
【0014】
この処理容器4内には、支柱14とこの上に支持される円板状の載置台16とよりなる載置台構造18が設けられ、この円板状の載置台16上に被処理体として例えば半導体ウエハWを載置し得るようになっている。具体的には、この載置台16は、支柱14に直接支持される例えばAlNなどのセラミック製の下台16Aと、この上面に接合されるAlN等の上台16Bとよりなり、これらの接合面に加熱手段として抵抗加熱ヒータ20が挟み込まれている。この下台16Aと上台16Bは、その接合面にて例えば溶着により接合される。そして、この載置台16の表面、すなわち、下台16Aの側面と上台16Bの側面及び上面に、TiN膜よりなる本発明の特徴とする安定化処理されたプリコート膜22が全面的に形成されている。このプリコート膜22の厚さは、例えば1μm程度であり、この成膜及び安定化処理については後述する。
【0015】
一方、処理容器4の天井部には、必要な処理ガスを供給するガス供給手段としてシャワーヘッド24が一体的に設けられた天井板26が容器側壁に対して気密に取り付けられている。このシャワーヘッド24は、上記載置台16の上面の略全面を覆うように対向させて設けられており、載置台16との間に処理空間Sを形成している。このシャワーヘッド24は、処理空間Sに各種のガスをシャワー状に導入するものであり、シャワーヘッド24の下面の噴射面28にはガスを噴射するための多数の噴射孔30が形成される。また、このシャワーヘッド24の内部には、多数の拡散孔32を有する拡散板34が設けられてガスを拡散できるようになっている。
【0016】
そして、このシャワーヘッド24の上部には、ヘッド内にガスを導入するガス導入ポート36が設けられており、このガス導入ポート36にはガスを流す供給通路38が接続されている。この供給通路38には、複数の分岐管40が接続され、各分岐管40には、成膜用のガスとして、例えばTiCl4 ガスを貯留するTiCl4 ガス源42、NH3 ガスを貯留するNH3 ガス源44、不活性ガスとして例えばN2 ガスを貯留するN2 ガス源46、O2 ガスを貯留するO2 ガス源48がそれぞれ接続されている。そして、各ガスの流量は、それぞれの分岐管に介設した流量制御器、例えばマスフローコントローラ50により制御される。尚、ここでは、成膜時の各ガスを1つの供給通路38内を混合状態で供給する場合を示しているが、これに限定されず、一部のガス或いは全てのガスを個別に異なる通路内に供給し、シャワーヘッド24内、或いは処理空間Sにて混合させる、いわゆるポストミックスのガス搬送形態を用いるようにしてもよい。
【0017】
また、処理容器4の側壁及びシャワーヘッド24の側壁には、この壁面の温度調節を行なうために、必要に応じて例えば冷却された、或いは加熱された熱媒体を選択的に流すための温調ジャケット52が設けられている。また、この容器側壁には、ウエハの搬入・搬出時に気密に開閉可能になされたゲートバルブ54が設けられる。尚、図示されていないが、ウエハ搬入・搬出時にこれを持ち上げたり、持ち下げたりするウエハリフタピンが載置台に設けられるのは勿論である。
【0018】
次に、以上のように構成された装置を用いて行なわれる本発明のプリコート膜の形成方法について図2乃至図3も参照して説明する。
まず、処理容器4内の載置台16上には、半導体ウエハWを何ら載置していない状態とし、処理容器4内を密閉する。この処理容器4内は、例えば前工程において、クリーニング処理されて不要な膜が全て除去されており、従って、図2(A)に示すように載置台16の表面には何らプリコート膜がついておらず、載置台16の素材が剥き出し状態となっている。
そして、処理容器4内を密閉したならば、成膜用ガスとしてTiCl4 ガスと、NH3 ガスと、キャリアガスとしてのN2 ガスを、それぞれシャワーヘッド24から所定の流量で処理容器4内に導入し、且つ真空引きポンプ10により処理容器4内を真空引きし、所定の圧力に維持する。
【0019】
この時の載置台16の温度は、載置台16に埋め込んだ抵抗加熱ヒータ20により所定の温度により加熱維持される。この熱CVD操作により、載置台16の表面には、図2(B)に示すように、TiN膜が堆積して薄いプリコート膜22が形成されることになる。
この時のプロセス条件は、載置台16の寸法が8インチウエハサイズの時はTiCl4 ガスの流量が30〜50sccm程度、NH3 ガスの流量が400sccm程度、N2 ガスが500sccm程度であり、プロセス圧力は40Pa(≒300mTorr)程度、プロセス温度は680℃程度である。このプロセス温度は、これに限定されず、TiN膜が熱CVDにより成膜できる温度、例えば400℃以上ならばどのような温度でもよい。
【0020】
このように、厚さが例えば1μm程度のプリコート膜22を形成して堆積工程が終了したならば、次に上記プリコート膜22を安定化させる安定化工程へ移行する。この安定化工程では、アニールによって不完全な反応状態のTiNプリコート膜22の表面を安定化させるために、TiNの成膜時のプロセス温度よりも例えば50℃程度高い温度、略730℃まで載置台16の温度を昇温する。これは、50℃に限定されず、TiNの成膜温度よりも高ければ何度でも良く、温度が高い程、安定化処理を迅速に行なうことができる。
また、この時のアニール用のガスとしては、NH3 ガスを用い、希釈ガスとしてN2 ガスも用いる。この時のプロセス条件は、NH3 ガスは1000sccm程度、N2 ガスは500sccm程度であり、プロセス圧力は40Pa(≒300mTorr)〜1333Pa(≒10Torr)程度である。この安定化処理を、所定の時間、例えば2分程度行なうことにより、プリコート膜22の表面の不安定な原子(サイト)は、NH3 ガスと反応してTiNへ完全に変化し、安定な状態となる。これにより、プリコート膜の安定化工程が終了することになる。
【0021】
これ以後は、この処理容器4内に半導体ウエハをロードして、通常の成膜処理、例えばTiCl4 ガスとNH3 ガスとを用いて例えばプロセス温度680℃にて熱CVDによりTiN膜を連続的に成膜すればよい。また、処理すべき半導体ウエハWがなくなった時には、上述のようにプリコート膜22は化学的に安定しているので、載置台16の温度を従来のように降下させる必要はなく、この温度をプロセス温度、すなわちここでは680℃程度に維持した状態で、次に処理すべき半導体ウエハが発生するまでアイドリングを行なえばよい。従って、次に処理すべき半導体ウエハが発生した場合には、載置台16の温度はアイドリング期間を通じて、プロセス温度に維持されているので、直ちに成膜処理に入ることができる。従って、載置台16をプロセス温度まで昇温するため時間が省け、その分、スループットを向上させることが可能となる。
【0022】
上記したようなプリコート膜22の成膜及びこの安定化処理は、前述の如く一般的には、処理容器4内をクリーニング処理する毎に行なわれることになる。
ここでは、安定化工程として、NH3 含有ガスを用いたが、これに代えてO2 含有ガス或いはH2 O含有ガスを用いてもよい。図3は、O2 含有ガスとしてO2 ガスとN2 ガスを用いて安定化工程を行なった時の状態を示す図である。尚、堆積工程は、図2(B)で説明したと同様に行なう。この図3に示す安定化工程では、先の図2(C)に示すNH3 ガスに代えてO2 ガスを流す。尚、キャリアガスとしてのN2 ガスに代えて他の不活性ガス、例えばHe、Ne、Ar等を供給してもよい。
この時のプロセス条件は、O2 ガスは200sccm程度、N2 ガスは100sccm程度、プロセス温度は680℃程度、プロセス圧力は133Pa(≒1Torr)程度である。
【0023】
この場合は、酸素は活性に富むので、安定化工程のプロセス温度はTiN膜のプリコート膜22の成膜温度と同じ680℃で行なうことができ、従って、プリコート膜安定化のために載置台16の温度を昇降温させる必要がなく、このプリコート膜の安定化処理の後に直ちに半導体ウエハに対する成膜処理を行なうことができ、その分、一層スループットを向上させることが可能となる。
また、上記安定化処理により、プリコート膜22の表面の不安定な原子や分子(サイト)は、O2 ガスと反応してTiO或いはTiONへ完全に変化し、安定な状態となる。安定化のためには、O2 ガス濃度にもよるが、プリコート膜22の厚さが1μm程度の時は、例えば少なくとも2分間程度のアニール処理を行なえばよい。
また、O2 ガスを用いた安定化処理のプロセス温度は、前述のようにO2 ガスが反応性に富むので、TiNプリコート膜22の成膜温度よりも低い温度でもよく、例えば400℃程度でTiNプリコート膜22を安定化させることができる。
【0024】
ここで実際に上記プロセス条件下において、O2 ガスとN2 ガスを用いてTiNプリコート膜の安定化処理を行なった時の評価を行なったので、その評価結果について図4を参照して説明する。
図4は安定化アニール処理時間に対するTiN膜の比抵抗の変化を示すグラフである。ここでは、プリコート膜をアニールする際に、安定化アニール処理時間を、0分、2分、4分、6分、8分と種々変化させ、このようにアニール処理したプリコート付きの載置台を用いてウエハ上にTiN膜を実際に堆積させ、このウエハ上のTiN膜の比抵抗を測定した。このグラフから明らかなように、O2 アニール処理していない場合には比抵抗が450ohms/sqであるが、O2 アニール処理を2分以上行なうと、比抵抗は略400ohms/sqに安定していることが判明する。従って、2分以上O2 アニール処理を行なえばTiNプリコート膜22が化学的に安定することが判明する。
【0025】
また、上記各実施例では、TiNプリコート膜22を予め化学的に安定化させる安定化処理を行なうことによって、成膜装置のアイドリング時にこのプリコート膜22が変質することを防止するようにしたが、これに限定されず、上述のような安定化処理を施さなくても、成膜装置のアイドリング時に、この処理容器4内にNH3 含有ガス(純粋NH3 ガスを含む)を流し続けることにより、上記したと同様な作用効果を発揮することができる。
【0026】
すなわち、この場合には、図2(C)或いは図3に示すようなプリコート膜の安定化処理を行なわず、装置のアイドリング時には、NH3 ガスとN2 ガスとを処理容器4内に流し続け、これにより、TiNプリコート膜22が変質することを防止する。この時のガス流量は、例えばNH3 ガスが500sccm程度、N2 ガスが500sccm程度である。これによれば、プリコート膜22の表面の不安定なサイト部分がNH3 ガスによって占められるので、他のガスと反応することがない。この場合にも、装置のアイドリング時には、載置台16の温度を、ウエハに対してTiNの成膜を行なう時のプロセス温度と同じ温度、例えば680℃に維持しておけば、ウエハにTiNの成膜を行なう必要が生じた時には、載置台16の昇降温の操作を行うことなく直ちに成膜処理に移行することができるので、スループットを向上させることができる。
【0027】
尚、以上の各実施例では、成膜装置として半導体ウエハ表面にTiN膜を熱CVDにより成膜する装置を例にとって説明したが、これに限定されず、Ti膜或いはTiNのようなTi含有膜を形成するようなすべての成膜装置に適用できる。例えば、TiCl4 ガスとH2 ガスとを用いて、プラズマCVDによりTi膜を成膜するようなプラズマCVD成膜装置にも本発明を適用することができる。
また、加熱手段として、抵抗発熱ヒータに限らず、ランプ加熱を用いた装置にも本発明を適用できる。更に、被処理体としては、半導体ウエハに限定されず、ガラス基板、LCD基板等にも適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプリコート膜の形成方法、成膜装置のアイドリング方法、載置台構造及び成膜装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1に規定する発明によれば、TiN膜よりなるプリコート膜を、NH3 含有ガス中に晒してアニールすることにより安定化できる。これにより、成膜装置のアイドリング期間に載置台の温度を下げる必要もなくなり、従って、被処理体への成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることができる。
請求項2に規定する発明によれば、TiN膜よりなるプリコート膜を、O2 含有ガス、或いはH2 O含有ガス中に晒してアニールすることにより安定化できる。これにより、成膜装置のアイドリング期間に載置台の温度を下げる必要もなくなり、従って、被処理体への成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることができる。
請求項3に規定する発明によれば、O2 含有ガス或いはH2 O含有ガスを用いて安定化工程を行なう時に、その温度を被処理体に対して成膜処理を行なう時のプロセス温度と略同じに設定することにより、プリコート膜の安定化後、載置台を昇降温することなく直ちに被処理体の成膜処理へ移行できるので、スループットを一層向上させることができる。
請求項5及び6に規定する発明によれば、TiN膜よりなるプリコート膜を安定化させる必要がなく、アイドリング期間に単にNH3 含有ガスを流しておくだけで、例えば載置台を成膜プロセス温度に維持していても、プリコート膜の変質を防止することができる。従って、被処理体に対する成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることができる。
請求項7及び8に規定する発明によれば、載置台のプリコート膜は安定化されているので、成膜装置のアイドリング期間に載置台の温度を下げる必要もなくなり、従って、被処理体への成膜開始時に昇温に要する時間も不要になるので、その分、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の載置台構造を有する成膜装置を示す構成図である。
【図2】NH3 ガスを用いて載置台にプリコート膜を形成する工程を示す工程図である。
【図3】O2 ガスを用いて載置台にプリコート膜を形成する工程図である。
【図4】安定化アニール処理時間に対するTiN膜の比抵抗の変化を示すグラフである。
【図5】成膜装置内にプリコート膜を付着して、直ちにTiN膜を成膜した時と、その後、載置台を17時間放置した後に成膜した時の膜質(比抵抗)の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
2 成膜装置
4 処理容器
16 載置台
18 載置台構造
20 抵抗加熱ヒータ(加熱手段)
22 プリコート膜
24 シャワーヘッド(ガス供給手段)
W 半導体ウエハ(被処理体)
Claims (8)
- 載置台構造のプリコート膜の形成方法において、被処理体を載置するための載置台を有する載置台構造を内部に有する成膜装置内に処理ガスを流してTiN膜よりなるプリコート膜を前記載置台の表面に堆積させる堆積工程と、前記載置台を前記堆積工程の温度よりも高い温度に維持しつつNH3 (アンモニア)含有ガスに晒して前記プリコート膜を安定化させる安定化工程とを有することを特徴とするプリコート膜の形成方法。
- 載置台構造のプリコート膜の形成方法において、被処理体を載置するための載置台を有する載置台構造を内部に有する成膜装置内に処理ガスを流してTiN膜よりなるプリコート膜を前記載置台の表面に堆積させる堆積工程と、前記載置台をO2 (酸素)含有ガス或いはH2 O(水分)含有ガスに晒して前記プリコート膜を安定化させる安定化工程とを有することを特徴とするプリコート膜の形成方法。
- 前記安定化工程における前記載置台の温度は、前記成膜装置内で前記被処理体に対して成膜処理を行なう時のプロセス温度と略同じであることを特徴とする請求項2記載のプリコート膜の形成方法。
- 前記成膜装置では、前記被処理体に対して、Ti膜、或いはTi含有膜を堆積させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプリコート膜の形成方法。
- 被処理体にTi膜、或いはTiN膜を形成するために真空引き可能になされた処理容器内に、表面にTiN膜よりなるプリコート膜を形成した載置台を有する載置台構造が設けられた成膜装置のアイドリング方法において、前記処理容器内にNH3 含有ガスを流すようにしたことを特徴とする成膜装置のアイドリング方法。
- 前記載置台の温度は、前記処理容器内で行なう成膜プロセス時の温度と略同じ温度に維持されることを特徴とする請求項5記載の成膜装置のアイドリング方法。
- 被処理体にTi膜、或いはTi含有膜を堆積させるための成膜処理を施す成膜装置内に、前記被処理体を載置するために設けられた載置台を有する載置台構造において、前記載置台の表面に、安定化処理がなされたTiN膜よりなるプリコート膜を形成したことを特徴とする載置台構造。
- 被処理体にTi膜、或いはTi含有膜を形成する成膜装置において、真空引き可能になされた処理容器と、この処理容器内に必要な処理ガスを供給するガス供給手段と、前記被処理体を載置するために、表面に安定化処理がなされたTi膜よりなるプリコート膜を形成した載置台を有する載置台構造と、前記被処理体を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする成膜装置。
Priority Applications (8)
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