JP4546803B2 - 高層建築物 - Google Patents
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Description
本発明者らは、このような曲げ戻し架構を備えた高層建築物について、地震発生時の揺れや外力の作用状態について研究ならびに実験を重ねたところ、曲げ戻し架構を備えた高層建築物に限っては、必ずしも下方の階ほど大きな引張力が作用するとは限らず、むしろ上方階の方により強い引張力が作用することを知見するに至った。
したがって、曲げ戻し架構を備えた高層建築物において、上述した従来技術のように、下方の階にのみコンクリート製のプレストレス柱を使用すると、曲げ戻し架構に近接する上方階のコンクリート製の柱にひび割れが発生して柱の軸剛性が大きく低下し、軸剛性の低下を防止するには多量の鉄筋を必要とすることも明らかとなった。
したがって、地震などにより上方階の柱に大きな引張力が発生しても、大きな軸力で対抗することができ、その結果、多量の鉄筋を使用することもなく、上方階におけるコンクリート製柱のひび割れを効果的に抑制して柱の軸剛性の低下を防止することができる。
また、高層建築物における多数のプレストレス柱において、各柱の支配床面積に応じて、支配床面積が大きいほどプレストレス力が小に、支配床面積が小さいほどプレストレス力が大に設定されているので、つまり、支配床面積が大きいほど柱により大きな重力が作用して軸力も増大することになるが、その支配床面積に基づく軸力の増減を予め考慮に入れて、各柱のプレストレス力を調整することになるので、各柱に対して必要最小限のプレストレス力を導入して各コンクリート製柱の軸剛性の低下を合理的に防止することができる。
このような高層建築物の一例としては、例えば、図1に示すような鉄筋コンクリート構造による地下1階、地上50階の超高層建築物Bがあり、その超高層建築物Bの頂部には、地震対策用の曲げ戻し架構としての曲げ戻し用トラス1が備えられている。
この超高層建築物Bは、構造的に異なる多数の柱、つまり、支配床面積などに応じて構造的に異なる多種多様の柱により構築されているのであるが、便宜上、図2に示すように、比較的支配床面積の大きな第1の柱2と比較的支配床面積の小さな第2の柱7との構造的に異なる2種類の柱2,7により構築されるものと仮定して説明する。
第2プレストレス柱7も、図4に示すように、コンクリート製の柱本体8を備え、第1プレストレス柱2に使用したのと同じPC鋼棒4、主筋5、ならびに、フープ筋6などを備えて構成され、これら第1と第2プレストレス柱2,7の全ては、その上端部が曲げ戻し用トラス1に剛接合されている。
それに対して、支配床面積の小さな第2プレストレス柱7においては、図4に示すように、曲げ戻し用トラス1への接合部を含む50階から47階に至るまでは9本のPC鋼棒4が、46階から42階に至るまでは6本のPC鋼棒4が、41階から37階に至るまでは4本のPC鋼棒4が、36階から32階に至るまでは2本のPC鋼棒4が使用されて、それら鋼棒4が第2プレストレス柱7に沿って挿入配置されている。
言い換えると、少なくとも曲げ戻し用トラス1に接続されて超高層建築物Bの上方階に位置する柱がプレストレス柱2,7で構成され、そのプレストレス柱2,7において、支配床面積の大きい第1プレストレス柱2ほどプレストレス力が小に設定され、支配床面積が小さい第2プレストレス柱7ほどプレストレス力が大に設定されている。
それに加えて、各プレストレス柱2,7の柱本体3,8にプレストレス力を導入するPC鋼棒4の本数が、上方階から下方階へ行くにしたがって減少され、それによって、プレストレス柱2,7に導入されるプレストレス力が、上方階から下方階へ行くにしたがって減少するように構成されている。
そして、各PC鋼棒4は、シース12内を挿通して上方階に至り、その上端部が頂部支圧板13、ナット14により、各PC鋼棒4に必要なプレストレス力が導入された状態で、さらに、ベースプレート15を挿通し、そのPC鋼棒4の最上端部がナット部材16により固定保持されるとともに、各プレストレス柱2,7の上端部が曲げ戻し用トラス1に剛接合されている。
(1)先の実施形態では、鉄筋コンクリート構造による高層建築物Bを例にして説明したが、鉄骨鉄筋コンクリート構造による高層建築物にも適用可能である。
また、先の実施形態では、便宜上、支配床面積の大きな第1プレストレス柱2と支配床面積の小さな第2プレストレス柱7との2種類の柱2,7のみを使用して高層建築物Bを構築した例を示したが、実際の実施に際しては、支配床面積の異なる3種類以上のプレストレス柱を使用して実施することになる。
また、先の実施形態では、各プレストレス柱2,7の最下方階近くにおいてPC鋼棒4を使用しない構成を示したが、最上階から最下階に至るまでPC鋼棒4を挿入配置して実施することもできる。
2,7 プレストレス柱
3,8 コンクリート製の柱本体
4 PC鋼材
B 高層建築物
Claims (3)
- プレストレス力が導入されたコンクリート製のプレストレス柱を備えて構築される高層建築物であって、
その高層建築物の頂部に曲げ戻し架構が備えられ、少なくとも前記曲げ戻し架構に接続されて前記高層建築物の上方階に位置する柱が、前記プレストレス柱で構成してあり、前記プレストレス柱は、各柱の支配床面積に応じて、支配床面積が大きいほどプレストレス力が小に、支配床面積が小さいほどプレストレス力が大に設定されている高層建築物。 - 前記プレストレス柱に導入されるプレストレス力が、前記上方階から下方階へ行くにしたがって減少するように構成されている請求項1に記載の高層建築物。
- 前記プレストレス柱が、コンクリート製の柱本体と、その柱本体にプレストレス力を導入するPC鋼材を備えていて、前記柱本体に対するPC鋼材の本数が、前記上方階から下方階へ行くにしたがって減少するように構成されている請求項2に記載の高層建築物。
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