JP4545837B2 - 冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機の空調システムや機器冷却ライン等に好適に適用可能な冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2に、従来より航空機に適用されている冷却装置の一例を示す。このものは、空気等を流通させる1次回路Aと、冷却目的である冷却液等を流通させる2次回路Bとの間に、冷媒を循環させて熱サイクルを繰り返し営ませる冷媒循環回路Cを構成している。この冷媒循環回路Cは、1次回路Aとの間、2次回路Bとの間に、それぞれコンデンサ1及びエバポレータ2を配設するとともに、エバポレータ2の入口に膨脹弁3を配置し、エバポレータ2からコンデンサ1に向かう流路にコンプレッサ4を配置している。
【0003】
この冷却装置では、先ず冷媒循環回路Cを流れる低圧の冷媒をコンプレッサ4で圧縮し、高温高圧の蒸気とした上で、その冷媒をコンデンサ1において空気等と熱交換させることにより凝縮させて液相にする。次に、膨脹弁3で膨脹させ、気液二相状態でエバポレータ2に入力して冷却液等との熱交換に供した後、気相状態で再度コンプレッサ4に入力し、以下同様の熱サイクルを営ませる。このような熱サイクルを繰り返す過程で、2次回路Bを流れる冷却液等が保有する熱を、冷媒循環回路Cを介して1次回路A側へ汲み出す作用を営む。
なお、前記膨脹弁3はエバポレータ2の出口に設けられた感温筒5に関連づけられていて、エバポレータ2を出た冷媒が確実に気相状態にあるように、つまり一定のスーパーヒート状態(飽和温度よりも温度の高い状態)にあるように、膨脹弁3の開度を変化させている。これは、エバポレータ2で冷媒を確実に蒸発させ、冷媒がコンプレッサ4に液相状態で流入することによるコンプレッサ4若しくは周辺要素部品の破損等を防ぐためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、2次回路B側が比較的低温であり、エバポレータ2への熱負荷が低いときには、過冷却を防ぐためにエバポレータ2の冷媒流量を減少させる必要がある。このため、図示冷却装置は、コンプレッサ4の出入口間を連絡する位置に弁6aを有するバイパス回路6を設け、このバイパス回路6で冷媒を出口から入口へ回り込ませて、エバポレータ2への冷媒の流入量を低減する方策をとっている。
【0005】
ところが、このような構成を採用した場合、コンプレッサ4の出入口における冷媒蒸気温度が上昇し過ぎる恐れがある。
そこで、図示冷却装置は、コンデンサ1からエバポレータ2へ向かう冷媒の一部を抽出回路7を介して抽出し、これを前記バイパス回路6に供給することで、コンプレッサ4の出入口における冷媒蒸気温度を下げる構成を併用している。
【0006】
このため、前記抽出回路7を構成する液ライン7aや制御バルブ7bが余分に必要になり、システム全体の重量増加を招くほか、液ライン7aや制御バルブ7bが漏れや故障の発生要因、ひいてはシステム全体の信頼性低下を招く要因となっているという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明は、コンプレッサで圧縮した冷媒をコンデンサで凝縮し、膨脹弁で膨脹させた後にエバポレータに流入させて冷却目的との熱交換に供し、更にエバポレータを出た冷媒を前記コンプレッサに再流入させる冷媒循環回路と、前記コンプレッサの入口と出口の間を連絡するバイパス回路とを具備するとともに、前記膨脹弁に、コンプレッサの入口若しくは出口の温度上昇を検出してその開度を増大させる開度制御機構を設けたことを特徴としている。
【0008】
このような構成のものであると、コンプレッサが過熱しそうになった場合、それに応じて開度制御機構が膨脹弁の開度を増大させる。このため、エバポレータへの冷媒流入量が増し、エバポレータの出口温度が低下する。そして、この冷媒がコンプレッサの出口からバイパス回路を介して回り込んだ冷媒と相混合されることにより、コンプレッサへ流入する冷媒全体の温度は開度制御機構が働く前に比べて確実に低くなり、コンプレッサの出口温度の過熱を有効に防止することとなる。しかも、従来の冷媒抽出回路に比べて、本発明は既存の冷媒循環回路をそのまま用いて構成できるものであり、重量増加や信頼性低下の要因を持ち込むことがない点で極めて有効なものとなる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1を参照して説明する。
なお、本実施例の構成は、図2に示したものと基本的に同様のものであり、共通する部分には同一符号を付している。すなわち、この実施例の冷却装置は、空気等を流通させる1次回路Aと、冷却目的である冷却液等を流通させる2次回路Bとの間に、冷媒を循環させて熱サイクルを繰り返し営ませる冷媒循環回路Cを構成している。この冷媒循環回路Cは、1次回路Aとの間、2次回路Bとの間に、それぞれコンデンサ1及びエバポレータ2を配設するとともに、エバポレータ2の入口に膨脹弁3を設け、エバポレータ2からコンデンサ1に向かう流路にコンプレッサ4を設けている。
【0010】
このような構成において、先ず冷媒循環回路Cを流れる低圧の冷媒をコンプレッサ4で圧縮し、高温高圧の蒸気とした上で、その冷媒をコンデンサ1で空気等と熱交換させることにより凝縮させて液相にする。次に、膨脹弁3で膨脹させ、気液二相状態でエバポレータ2に入力して冷却液等との熱交換に供した後、気相状態で再度コンプレッサ4に入力し、以下同様の熱サイクルを営ませる。このような熱サイクルを繰り返す過程で、2次回路Bを流れる冷却液等が保有する熱を、冷媒循環回路Cを介して1次回路A側へ汲み出す作用を営む。
【0011】
また、エバポレータ2に対して熱負荷が低いときの冷媒流量を減少させる目的で、コンプレッサ4の出入口間を連絡する位置に弁6aを有するバイパス回路6を設け、冷媒を出口から入口へバイパスさせる構成を併用している。
このような構成において、本実施例は更に、そのバイパス回路6を通じて冷媒がバイパスすることによるコンプレッサ4の出口における冷媒蒸気の過熱を防止するために、コンプレッサ4の入口温度T3若しくは出口温度T4を検出して膨脹弁3の開度制御を行う開度制御機構Dを設けている。
【0012】
この開度制御機構Dは、コンプレッサ4の入口温度T3若しくは出口温度T4を検出する第1の検出手段11と、エバポレター2の出口温度T2を検出する第2の検出手段12と、エバポレータ2の入口温度T1若しくは出口圧力P2を検出する第3の検出手段13と、これらの検出手段11、12、13から入力される検出値に基づいて前記膨脹弁3の開度を制御するコントローラ14とを具備してなる。制御の概要は、先ず前記第3の検出手段13からが検出するエバポレータ入口温度T1から直接に若しくは前記第2の検出手段12が検出するエバポレータ出口圧力P2から間接的に計算される飽和温度T1と、第2の検出手段12が検出するエバポレータ出口温度T2との差からエバポレータ2の出口における冷媒のスーパーヒート状態を検出し、それが予め定めたレベルに維持されるように前記膨脹弁3の開度を制御する。しかも、第1の検出手段11が検出するコンプレッサ4の入口温度T3若しくは出口温度T4が過熱状態になったと判断した場合には、前記スーパーヒートレベルを低レベル側(すなわち低温側)にシフトさせる補正を並行して行う。例えば、仮に飽和温度が15°Cであるとして、通常はスーパーヒート状態をそれよりも5°C程度高いレベル(20°C)に設定しておき、コンプレッサ4の出入口の過熱を検知したときには、飽和温度よりも4°Cないし3°C程度高い程度のレベル(19〜18°C)にまでレベルダウンさせる如くに機能する。
【0013】
次に、本実施例の作用を説明する。エバポレータ2における熱負荷が大きいときはバイパス回路6は弁6aによって閉じられている。熱負荷が小さくなると、エバポレータ2での冷媒の蒸発量が減少するため、コントローラ14は当初、スーパーヒートを一定に保つために膨脹弁3の開度を小さくする。また、バイパス回路6が開き、コンプレッサ4の出口から入口に冷媒がバイパスし始め、これによりエバポレータ2への流入量が抑制されて、2次回路B側への過冷却が防止される。一方、これによりコンプレッサ4の出入口温度が上昇し、過熱ぎみになると、コントローラ14はそれを認識して目標とするスーパーヒートレベルを低レベル側にシフトし、そのために膨脹弁3の開度を増大させる制御を行う。これにより、エバポレータ2への冷媒流入量が増大し、エバポレータ2の出口温度T2を低下させる。そして、この冷媒がコンプレッサ4の出口からバイパス回路6を介して回り込んだ冷媒と相混合されることにより、コンプレッサ4の入口へ流入する冷媒全体の温度が確実に降下し、結果的にコンプレッサ4の出口における過熱を有効に防止することとなる。
【0014】
以上のように、本実施例の冷却装置は、エバポレータ2の熱負荷が小さいときにはコンプレッサ4の出口から入口へ冷媒をバイパスさせることによって2次回路Bに対する過冷却を有効に防止する機能を確保すると同時に、上述した冷媒のバイパス作用によりコンプレッサ4の出入口における冷媒蒸気温度が過熱ぎみになったときには膨脹弁3の開度を増大させてエバポレータ2の出口温度T2を下げ、過熱を有効に防止することになる。しかも、この実施例は、かかる機能を既存設備の範囲内で有効に成立させることができるものであり、従来の冷媒抽出回路7のような新たな液ライン等を持ち込むものではないため、システム全体の重量増加を招くことがないばかりか、液漏れ等の恐れが生じることもなく、システムの信頼性を有効に確保しておくことができる。したがって、本実施例の冷却装置は、特に可及的な軽量コンパクト化や厳しい信頼性が要求される航空機の電子機器冷却ラインや空調ライン等に適用して極めて有用なものとなり得る。
【0015】
なお、上記実施例では、エバポレータ2の出口における冷媒のスーパーヒート状態を抑制する制御を行うようにしているが、これに代えて、コンプレッサ4の出入口における冷媒のスーパーヒート状態を抑制する制御を行うようにしてもよい。このようにした場合、エバポレータ2の出口におけるスーパーヒート状態を監視する必要がなくなるのは勿論のこと、それ以外にも、コンプレッサ4の入口さえ冷媒が安定した気相状態にあればエバポレータ2の出口は気液二相状態であっても構わない事になるため、より低い温度で冷媒をコンプレッサ4に供給することが可能となり、過熱防止の実効を高めることができる。また、上記実施例ではコントローラ14を通じた電気的な手法によって膨脹弁3を制御しているが、感温筒を用いて純機械的に制御を行うようにしてもよいのは勿論である。
【0016】
その他、各部の具体的な構成は図示実施例のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、コンプレッサが出入口をパイパス回路によって短絡されていることに起因して出入口における冷媒蒸気が過熱状態になることを防止するために、コンデンサからの冷媒をエバポレータに飽和蒸気として送り込むための膨脹弁を開度制御機構によって制御し、コンプレッサの入口若しくは出口の温度上昇を検出した際にその開度を増大させるようにしたものである。このため、エバポレータの熱負荷が小さいときにはコンプレッサの出口から入口へ冷媒をバイパスさせることによって2次回路に対する過冷却を有効に防止する機能を確保すると同時に、このような冷媒のバイパス作用によりコンプレッサの出入口における冷媒蒸気温度が過熱ぎみになったときには膨脹弁の開度を増大させてエバポレータの出口温度を下げ、過熱を有効に防止することができる。しかも、本発明は、かかる機能を既存設備の範囲内で有効に成立させるものであるので、システム全体の重量増加を招くことがないばかりか、液漏れ等の恐れが生じることもなく、システムの信頼性を有効に確保することができる。
【0018】
以上のように、本発明の冷却装置は、特に可及的な軽量コンパクト化や厳しい信頼性が要求される航空機等に適用して極めて有用なものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すシステム系統図。
【図2】従来例を示すシステム系統図。
【符号の説明】
1…コンデンサ
2…エバポレータ
3…膨脹弁
4…コンプレッサ
6…バイパス回路
C…冷媒循環回路
D…開度制御機構
Claims (1)
- コンプレッサで圧縮した冷媒をコンデンサで凝縮し、膨脹弁で膨脹させた後にエバポレータに流入させて冷却目的との熱交換に供し、更にエバポレータを出た冷媒を前記コンプレッサに再流入させる冷媒循環回路と、前記コンプレッサの入口と出口の間を連絡するバイパス回路とを具備してなるものにおいて、
冷媒のスーパーヒート状態を検出するための前記エバポレータの出口温度を検出する第二の検出手段と、前記エバポレータの入口温度または出口圧力を検出する第三の検出手段と、前記冷媒循環回路におけるバイパス回路の入口と出口との間に位置し前記コンプレッサの入口若しくは出口の温度上昇を検出する第一の検出手段とを具備してなり、前記第二、第三の検出手段が検出する検出値に基づき目標とする冷媒のスーパーヒートレベルを維持するために前記膨脹弁の開度を制御するとともに、前記第一の検出手段が前記温度上昇を検出した場合には前記スーパーヒートレベルを低レベル側にシフトさせ前記膨脹弁の開度を増大させる制御を行う開度制御機構を設けたことを特徴とする航空機用冷却装置。
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1997
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