JP4545597B2 - 可撓性面材付き樹脂発泡体の可撓性面材と樹脂発泡体との分離方法 - Google Patents
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Description
樹脂発泡体を回収してリサイクル化を行う場合、樹脂発泡体部に僅かに面材が混入することは、リサイクルの用途や成型法によっては、大きな問題にはならない場合もあるが、通常品と同等レベルの製品化を行う場合などにおいては、製造工程の各種機器や配管滞留部に詰まりを起こしたりすることが懸念される。また、回収する樹脂発泡体の純度を高める意味からも、可能な限り面材の混入を少なくすることが望ましい。また逆に面材を再利用する場合においては、樹脂発泡体の混入をなるべく少なくする必要がある。
人手により面材と樹脂発泡体を分離することも可能であるが、面材付き発泡体の廃材が様々な大きさや形状を有すること、及び作業性や省人化を考えると、効率的であるとはいえず、機械による面材分離の自動化技術が求められている。
芯材に接着した表被材である面材を、芯材から除去する技術に関しては各種の報告がなされている。特開平9−165244号では、石膏ボードのリサイクル化技術が紹介されており、この中で回転ボールミル等の粉砕エネルギーを規定した粉砕機を使用することで、表被材である木質繊維分の混入を一定量以下に抑えた粉砕方法が提案されているが、石膏ボードのリサイクル化に限定した粉砕方法に関する技術である。また、特開2002−307437号では、金属建築用の廃材から金属薄板と断熱材、石膏ボードを分別可能な金属薄板巻取装置が紹介されているが、所定の大きさを有する金属建築材の金属板の剥離技術であり、不定形かつ種々の大きさの表被材付き芯材を剥離する上では効率的といえない。一方、特開2003−94027号では、電離放射線硬化収縮性と粘着性を有する粘着材層を設けることで、廃棄時に電離放射線を照射して化粧シートと基材間の粘着力を低減せしめ、分離する技術も提案されているが、特殊な接着剤を用いることが前提となってしまい、分野が限定されてしまう。
すなわち、本発明は、
[1]樹脂製の不織布、樹脂製の織布、ガラス繊維不織布、または紙質からなる可撓性面材付きのフェノール樹脂発泡体からなる樹脂発泡体を予め圧縮減容処理してから、回転ボールミルを用いて粗粉砕し、次いで篩分けすることにより可撓性面材と樹脂発泡体とを分離することを特徴とする可撓性面材付き樹脂発泡体の可撓性面材と樹脂発泡体との分離方法、
[2]前記樹脂製の不織布、または前記樹脂製の織布がポリエステル、ポリプロピレン、またはナイロン、からなる[1]に記載の可撓性面材と樹脂発泡体との分離方法、である。
本発明において可撓性面材付き樹脂発泡体の樹脂発泡体としては、フェノール樹脂発泡体、硬質ウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体等が挙げられる。
可撓性面材とは、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる樹脂製の不織布及び織布、または、ガラス繊維不織布、あるいは水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の無機物質からなる紙、クラフト紙のような紙質からなり、芯材である樹脂発泡体の表裏面に接着した面材のことであり、通常ロール状の形態で提供されている。特にポリエステル面材、ポリプロピレン面材、ナイロン面材、紙質面材が、経済性の観点、面材と樹脂発泡体の二つの材質の破壊特性の差からの面材と樹脂発泡体を分離するにあたって好ましい。更に、これらの主成分の他に難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。なお、可撓性面材付き樹脂発泡体の面材と芯材である樹脂発泡体との接着方法は特に限定されるものではなく、芯材である樹脂発泡体が面材表面で熱硬化する際の自己固着力によるものやエポキシ樹脂等の接着剤を使用したものでも構わない。
なお、回転ボールミルを連続的に分離処理を行うには、樹脂発泡体の自動投入装置及び回転ボールミル内で分離された樹脂発泡体粗粉や面材の排出を行う為に吸引排出する構造にすることが望ましいが、バッチ式としミルの下部より断続的に排出させても構わない。なお、排出品は、振動篩等で面材及び樹脂発泡体の一部を篩上側に、樹脂発泡体粗粉砕物を篩下側に分別することができる。
また、振動ボールミルや振動ロッドミルを使用した場合には、樹脂発泡体部の回収率は良好であったものの、面材のダメージが大きく、樹脂発泡体への面材繊維の混入が多く見受けられ、適していない。
回転ボールミルを利用することで、可撓性面材付き樹脂発泡体から可撓性面材を効率的に分離することが可能となる。
次に樹脂発泡体の回収率、及びその回収粗粉の評価方法に関して説明する。
可撓性面材付き樹脂発泡体の密度は、20cm角の不織布面材付き樹脂発泡体を試料とし、この試料の面材、サイディング材を取り除いて重量と見かけ容積を測定して求めた値であり、JIS−K−7222に従い測定した。また、必要に応じて減容操作を行う場合でも、以下の記述の密度は減容前の値を、小数点以下を四捨五入して整数値として示すものとする。
r=W2/W1
となる。この樹脂発泡体から分離した面材は、面材内部に樹脂が浸透付着していても構わないものとする。
次に、面材付き樹脂発泡体試料を回転ボールミルにて所定条件で処理し、その排出品を目開き10mmの振動篩で篩分けを行った際の篩上量をW3(g)、篩下量をW4(g)とすると、その回収率(R;重量%)は、
R=W4/{(W3+W4)*(1−r)}*100
と定義する。
樹脂発泡体回収粗粉の嵩密度は、JIS−K−6911に従い測定した。
ポリエステル不織布面材を使用している厚み40mm(910×1820mm)のフェノール樹脂発泡体(旭化成建材(株)製、ネオマフォーム、密度27kg/m3)を、ロール式圧縮機(上下ロール2段圧縮式)で厚さが10〜20mmになるように減容し、50〜100×90〜110mmに四辺形状に切出し、そのうち150gを回転ボールミルへ投入し、3分後に全量取り出し、目開き10mmの振動篩で篩い分けした。
回転ボールミルは以下に示す回転ボールミルにて実施した。
回転ボールミル:入江商会(株)製、直径300mm×300mm、投入口径180mm、
粉砕媒体:材質SUS304ボール、ボール径31.8mm、ボール充填量7体積%、
回転架台:入江商会(株)製卓上型ボールミルV−2M、回転数85rpm
篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
回転ボールミルの回転数を60rpmとする以外は実施例1と同様に行った。篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
[実施例3]
試料を回転ボールミル投入後、10分後に取り出す以外は実施例1と同様に行った。篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
[実施例4]
紙質面材を使用している、厚み25mmのフェノール樹脂発泡体(日東紡(株)製、ファイアロック スーパーフォーム)を使用する以外は実施例1と同様に行った。篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
[実施例5]
試料を回転ボールミル投入後、10分後に取り出す以外は実施例4と同様に行った。篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
ポリエステル不職布面材を使用している厚み40mm(910×1820mm)のフェノール樹脂発泡体(旭化成建材(株)製、ネオマフォーム、密度27kg/m3)を、ロール式圧縮機(上下ロール2段圧縮式)で厚さが10〜20mmになるように減容し、50〜100×90〜110mmに四辺形状に切出し、60kg/hrの供給量にて回転ボールミルへ人手で投入し、連続排出できるように吸気ファンとサイクロンを配し吸込み風速を6m/secとして、10分間運転した。サイクロン下流側に排出品受け袋を配して、そこに得られた試料について、目開き10mmの振動篩装置で篩い分けを行った。
回転ボールミルは以下に示す回転ボールミルにて実施した。
連続吸引排出式回転ボールミル:乾式、直径600mm×1000mm、投入口径200mm、回転数18rpm、
粉砕媒体:材質カーボンスチール、ボール径30mm、ボール充填量10体積%
篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
[実施例7]
厚み60mmの試料を10〜20mmになるように減容し、かつボールミルの回転数を13rpmとする以外は、実施例6と同様に行った。篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
ポリエステル不織布面材を使用している厚み20mm(910×1820mm)のフェノール樹脂発泡体(旭化成建材(株)製、ネオマフォーム、密度27kg/m3)を、ロール式圧縮機(上下ロール2段圧縮式)で厚さが10〜20mmになるように減容し、90〜100×255〜265mmに四辺形状に切出し、75kg/hrの供給量にて二軸スクリュー式分別装置の一次破砕機へ人手で投入し、16分間運転した。トロンメルにて分別された篩上側及び篩下側の排出品を各々袋受けした。
二軸スクリュー式分別装置は以下に示すような、投入から分別、選別、排出機能を備えた、一般的な二軸スクリュー式石膏ボード分別装置(一次破砕された石膏ボードに、パドルシャフトによって叩く、揉みほぐす等の作用を加え、紙から石膏粉を分離する装置)を利用した。
一次破砕機:二軸破砕機、二次破砕機:二軸ロータ(180rpm固定)、微粉砕機:二軸溝付ロールで圧縮粉砕、分別機:トロンメル(目開き10mmのパンチングメタル)、排出コンベア:一軸スクリュー式
篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
ポリエステル不織布面材を使用している厚み35mm(910×1820mm)のフェノール樹脂発泡体(旭化成建材(株)製、ネオマフォーム、密度27kg/m3)を、ロール式圧縮機(上下ロール2段圧縮式)で厚さが10〜20mmになるように減容し、30〜40×90〜100mmに四辺形状に切出し、9kg/hrの供給量にて振動ロッドミルへ人手で投入し、5分間運転した。袋受けした排出品を、目開き10mmの振動篩で篩い分けした。振動ロッドミルは以下に示す連続式振動ロッドミル(直径220×1000mm)を利用した。
連続式振動ロッドミル:振動数1000cpm、全振幅9.5mm
粉砕媒体:SSロッド(直径30×500mm)、充填率60体積%
篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
試料を6kg/hrの供給量にて振動ロッドミルへ人手で投入し、7分間運転する以外は、比較例2と同様に行った。袋受けした排出品を、目開き10mmの振動篩で篩い分けした。篩上重量と篩下重量を把握し、篩下の樹脂発泡体粗粉の回収率及び嵩密度、篩上における面材の状態を表1に示す。
二軸スクリュー式分別装置を利用した際には、樹脂発泡体部の回収率が向上せず、また、面材破れや毛羽立ちにより、繊維状もしくは小片状となり、樹脂発泡体への面材繊維の混入が多く見受けられた。
また、振動ロッドミルを使用した場合には、樹脂発泡体部の回収率は良好であったものの、面材のダメージが大きく、樹脂発泡体への面材繊維の混入が多く見受けられた。
これらを総合的に評価して、回転ボールミルが、可撓性面材付き樹脂発泡体から可撓性面材を分離するのに最も適していることがわかる。
Claims (2)
- 樹脂製の不織布、樹脂製の織布、ガラス繊維不織布、または紙質からなる可撓性面材付きのフェノール樹脂発泡体からなる樹脂発泡体を予め圧縮減容処理してから、回転ボールミルを用いて粗粉砕し、次いで篩分けすることにより可撓性面材と樹脂発泡体とを分離することを特徴とする可撓性面材付き樹脂発泡体の可撓性面材と樹脂発泡体との分離方法。
- 前記樹脂製の不織布、または前記樹脂製の織布がポリエステル、ポリプロピレン、またはナイロン、からなる請求項1記載の可撓性面材と樹脂発泡体との分離方法。
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