JP4545340B2 - スライム排出方法及び場所打ち杭工法並びにそれらに用いられる袋体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、削孔内に発生するスライムの排出方法、及び基礎の耐力を向上させる場所打ち杭工法、並びにそれに用いられる袋体に関する。
【0002】
【従来の技術】
場所打ち杭は、施工時の地盤の応力開放や乱れ、杭先端に堆積するスライムの影響により打ち込み杭にくらべて杭先端部での沈下量が大きく生じる傾向がある。工法としては、鋼管を埋め込み、先端部に根固球根造成のため予め掘削を行い、先端に袋状物を取付けた注入管を掘削した部分まで挿入し、袋体の下部からの注入により袋状物を膨張させ根固球根を造成し、鋼管を通してスライムを除去することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法においては、スライムは杭鋼管を通して除去するので、鋼管にスライムが残り、鋼管にモルタルを注入しても、杭に欠陥が残る可能性がある。さらに杭のスライムの除去を確実にするために袋体にかける圧力を増すと杭の浮き上がりが起こるという問題がある。
【0004】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、袋体の膨張力によるスライム排出方法、前記スライム排出方法を用いることで基礎の耐力を向上させた場所打ち杭工法、及びそれらに用いられる袋体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載のスライム排出方法は、削孔された孔の底部に堆積するスライムを排出するスライム排出方法であって、前記削孔された孔の底部に堆積したスライムを排出するスライム排出管を設置するとともに、前記削孔された孔に袋体を挿入して該袋体に流体を注入し、該流体の注入による前記袋体の膨張力によって、前記孔の底部に堆積したスライムを前記スライム排出管の底部に形成された排出口から前記スライム排出管内に押し入れてスライムを排出し、前記袋体は、底部が前記袋体の内側に反転されると共に反転制御手段を備えており、該反転制御手段により折り返し位置を調整することにより前記流体注入時に袋体の膨張速度が調節されるスライム排出方法である。
袋体の本体部分が膨張し、孔に密着するので、スライムには十分な圧力がかかり、スライムはスライム排出用の管から排出される。スライム排出のための管を挿入しているため、削孔内の底円以外にスライムが付着する心配がない。また、このように袋体の膨張力によってスライムを排出するため、大型設備を別途準備する必要がなく、簡易な設備でスライムの排出が可能になる。
【0006】
また、袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整できスライムの排出が可能となり、削孔内に袋体を密着させることができるので、袋体が削孔内をずり落ちることがない。また、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働く。
【0007】
請求項2に記載のスライム排出方法は、前記反転制御手段が前記底部に取付けられたワイヤーであり、前記ワイヤーの送り出し長さを調整することによって、前記流体注入時における前記袋体の膨張速度が調節される請求項1に記載のスライム排出方法である。
袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整できスライムの排出が可能となり、削孔内に袋体を密着させることができるので、袋体が削孔内をずり落ちることがない。また、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働く。
【0008】
請求項3に記載のスライム排出方法は、前記反転制御手段が、前記袋体の前記底部とこの底部に連なる部分を閉じる縫製であり、縫製密度が前記袋体の底部から開口側に向かって疎になるように縫製されている請求項1に記載のスライム排出方法である。
流体の注入量が増えていくと、袋体の縫製の糸が切れていくことで袋体の反転が進む。袋体の縫製密度を疎密にし袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整できスライムの排出が可能となり、削孔内に袋体を密着させることができるので、袋体が削孔内をずり落ちることがない。また、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働く。
【0009】
請求項4に記載の場所打ち杭工法は、削孔された孔に、スライム排出管と、底部が内側に向かって反転されると共に反転制御手段を備えた袋体とを挿入し、前記袋体に自硬性流体を注入しつつ前記反転制御手段により折り返し位置を調整することにより前記流体注入時の袋体の膨張速度を調節し、該自硬性流体の注入による前記袋体の膨張力によって、前記孔の底部に堆積するスライムを前記スライム排出管内に押し入れることによって排出し、前記袋体内の自硬性流体が完全に硬化する前に前記スライム排出管を抜き取り、前記スライム排出管を抜き取った後に、前記袋体の上部の前記孔に自硬性流体を注入するものである。
袋体に自硬性流体を注入し、袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整でき、スライムの排出を行なうとともに、自硬性流体が硬化後には、場所打ち杭とできる。また、削孔内に袋体を密着させることができるので、強固な場所打ち杭となる。さらに、袋体内より自硬性流体の余分な水分が脱水し、自硬性流体が固化後、十分な強度を発揮する。脱水された水分はスライムとともにスライム排出管から排出される。さらに、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働くため、圧力を増しても杭の持ち上がりがない。ここで、自硬性流体として、セメントミルク、モルタル等を使用することができる。
【0010】
請求項5に記載の場所打ち杭工法は、前記削孔された孔に、前記孔と略同等の径の鋼管を挿入し前記スライム排出管と、前記袋体を挿入する請求項4に記載の場所打ち杭工法である。
鋼管を挿入した後袋体を挿入し、場所打ち杭とするため、強固な場所打ち杭とできる。また、削孔された孔に鋼管を挿入し、スライムの発生量が少ない場合、スライム排出管を挿入しスライムを排出せずともスライムを排出でき、強固な杭とできる。
【0011】
請求項6に記載の袋体は、底部とこの底部に連なる部分が縫製によって閉じられるとともに、その縫製密度が前記底部から開口側に向かって疎になるように縫製され、前記縫製された部分が内側になるように前記開口側が反転されて、流体注入用の注入管に固着された、削孔された孔底部のスライム排出及び場所打ち杭工法に用いられるものである。
流体の注入量が増加し袋体内の圧力が高まると、縫製の糸が切れていき、袋体は反転する。膨張力の増加に伴い縫製は密になっていくので、反転終わり近くでも反転速度は同じであり、スライムに対して十分な押し出し圧力を負荷できる。
【0012】
請求項7に記載の袋体は、底部が内側に向かって反転されると共に、該底部に接続されたワイヤーが前記底部と反対側に位置する開口部から引き出され、前記ワイヤーが上下に可動自在となるように前記開口部とともに流体注入用の注入管に固着された、削孔された孔底部のスライム排出及び場所打ち杭工法に用いられるものである。
反転速度をワイヤーと流体注入量により調節することができるので、スライムに対して十分な押し出し圧力を負荷できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態の一例を説明する。図1は、本実施形態例に係るワイヤーにより袋体の反転速度を調節する場合の袋体取付構造Aを示す。
【0014】
袋体取付構造Aは、注入管1と、袋体2と、ワイヤー3と、取付部4と、固定具5と、挿入管6とを備えてなり、袋体2の反転され内側となる一端は、ワイヤー3に取付部4で強く固定されており、ワイヤー3は挿入管6を通され、挿入管6と注入管1は袋体2の他端で覆い被さるように包まれ固定具5で固定されている。注入される流体の種類によっては袋体2に注入された後、挿入管6から出てくる可能性があるが、その場合には挿入管6の内側にスポンジや柔らかい布材をはさんでおいたらよい。注入管1は、両端に開口1a、1bを有し、袋体に収納される軸部分に注入口1cが複数個設けてある。流体は、注入管1の一端の開口1aより注入され、他端の開口1b、注入口1cから袋体2に流し込まれ、袋体2を反転しながら膨張させる。この時、ワイヤー3の送り出し長さを調整することにより反転速度が調節される。ここで、袋体2はナイロン・ビニロン等の汎用繊維、アラミド等の高張力繊維等によって織成されたものを使用することができる。
【0015】
次に、以上のようにして構成された袋体取付構造Aを用いたスライム排出方法について図2を参照しながら説明する。
【0016】
まず、図2(a)に示すように、所定の大きさ、深さの孔7を削孔する。この時、孔7内の底部に、水分と汚泥とからなるスライム8が堆積する。次に、図2(b)に示すように、孔7の中にスライム排出管9を挿入し、次いで、図2(c)に示すように、図1に示す袋体取付構造Aを挿入する。そして、図2(d)に示すように、注入管1の開口1aより流体10を注入すると、開口1b、注入口1cから袋体2に流し込まれ、袋体2は反転しながら膨張する。この時、スライム8は地盤に密着しながら下方に押し出されていくため、スライム排出管9の開口9bに押し込まれ、排出口9cから排出される。なお、スライム排出管9の開口9bは、複数個設けられていても良い。また、スライム排出管9の内部には、逆流防止用の弁等が設けられ、スライムの逆流が防止されている。逆止弁以外にも、二重管にしておいて片方の管をひねることで穴を塞ぐような手段を用いてもよい。また、スライム排出管9は、孔7内に複数本挿入されて良い。
【0017】
上記のスライム排出方法によりスライム8が排出された後、袋体2は気密であるので、袋体2を引っ張ることで流体10を除去し、袋体2を撤去することができる。
【0018】
次に、上記のスライム排出方法を用いた場所打ち杭工法の、削孔内に鋼管を入れた場合を、図3を参照しながら説明する。
【0019】
まず、図3(a)に示すように、所定の大きさ、深さの孔7を削孔し、鋼管11を挿入する。この時、孔7内の底部に、水分と汚泥とからなるスライム8が堆積する。次に、図3(b)に示すように、孔7の中にスライム排出管9を挿入し、次いで、図3(c)に示すように、図1に示す袋体取付構造Aを挿入する。そして、図3(d)に示すように、注入管1の開口1aより自硬性流体12を注入すると、開口1b、注入口1cから袋体2に流し込まれ、袋体2は反転しながら膨張する。この時、スライム8は地盤に密着しながら下方に押し出されていくため、スライム排出管9の開口9bに押し込まれ、排出口9cから排出される。袋体2内の圧力が所定の圧力まで昇圧したら、自硬性流体12aの注入を止め、自硬性流体12aが完全に硬化する前に、スライム排出管9を抜き取る。その後、図1で示す袋体取付構造Aは挿入したまま、図3(e)に示すように、袋体2の上部に自硬性流体12bを孔7に注入し、場所打ち杭とする。なお、自硬性流体12bを注入する前に、袋体2内に、自硬性流体12aを注入し、袋体2内の圧力をさらに高め、袋体2を孔7内に密着させることで、より強固な基礎とすることが可能となる。
【0020】
次に、上記のスライム排出方法を用いた場所打ち杭工法の、削孔内に鋼管を入れた場合で、スライムの発生量が少ない場合を、図4を参照しながら説明する。
【0021】
まず、図4(a)に示すように、所定の大きさ、深さの孔7を削孔し、鋼管11を挿入する。この時、孔7内の底部に、水分と汚泥とからなるスライム8が堆積するが、鋼管11を挿入すると、孔7内における孔壁からのスライム8の発生が制限され、スライム8の発生量が少ない場合がある。この場合、スライム排出管9によりスライム8を排出しなくても、孔7内の底部から周辺部に押し出すのみで、袋体2内に、自硬性流体12aを注入し、袋体2の圧力を高めた場合であっても、袋体2の浮き上がり等を防止することができる。削孔後、図4(b)に示すように、図1による袋体取付構造Aを挿入する。次に、図4(c)に示すように、注入管1の開口1aより自硬性流体12を注入すると開口1b、注入口1cから袋体2に流し込まれ、袋体2は反転しながら膨張し、スライム8は地盤に密着しながら下方に押し出されてゆき、孔7の周辺部に押し出される。そして、袋体2内の圧力が所定の圧力まで昇圧したら、自硬性流体12aの注入を止め、図1で示す袋体取付構造Aは挿入したまま、図4(d)に示すように、袋体2の上部に自硬性流体12bを孔7に注入し、場所打ち杭とする。
【0022】
図1に示す袋体取付構造Aは、図5に示すような、袋体2の縫製密度により反転速度を調節する袋体取付構造Aとすることもできる。図5(a)は、本発明に係る袋体2の縫製密度により袋体2の反転速度を調節する場合の袋体取付構造、図5(b)は、図5(a)における袋体2の縫製状態、図5(c)は、図5(a)における袋体2の取付け状態を示す。
【0023】
図5(a)で示す袋体取付構造Aは、注入管1と、袋体2と、取付部4と、固定具5とを備えてなり、袋体2の反転された内側の一端は、取付部4で軽く固定されており、注入管1は袋体2の他端で覆い被さるように包まれ固定具5で固定されている。注入管1の袋体2に収納される部分には注入口1cが複数個設けてあり、注入管1の開口1aより流体を注入すると開口1b、注入口1cから袋体2に流し込まれ、袋体2は反転しながら膨張する。袋体2の縫製密度の疎密により、反転速度を調節する。縫製部分は、接着剤等を用いて固着しても良い。図5(b)において、袋体2の縫製状態を示す。袋体2の一方2a側は縫製により閉じられており、袋体の中心付近まで縫製されている。袋体2の一方2a側の縫製は密であり、袋体2の他方2b側に近づくにつれ縫製は疎となる。反転の初期と比べて、反転の終わりでは、縫製部分に加わるモルタル重量が大きくなるため、この重量の差を考慮して、袋体2の一方2a側を密にする。図5(c)において、袋体2の他方2b側は反転され、袋体2の一方2a側を包み込んでいる。ここで、袋体2はナイロン・ビニロン等の汎用繊維、アラミド等の高張力繊維等によって織成されたものを使用することができる。
【0024】
なお、図5に示す縫製により反転速度を調節する袋体取付構造Aは、図1に示すワイヤーの長さで反転速度を調節する袋体取付構造Aと、同じ機能を果たすので、図2から図4に示すスライム排出方法と場所打ち杭工法で適用可能である。
【0025】
次に、上記のスライム排出方法を用いた場所打ち杭工法の、削孔内に鋼管を入れた場合で、図5に示す袋体取付構造Aを用いる場合を、図6を参照しながら説明する。
【0026】
まず、図6(a)に示すように、所定の大きさ、深さの孔7を削孔し、鋼管11を挿入する。この時、孔7内の底部に、水分と汚泥とからなるスライム8が堆積する。次に、図6(b)に示すように、孔7の中にスライム排出管9を挿入する。次いで、図6(c)に示すように、図5に示す袋体取付構造Aを挿入する。そして、図6(d)に示すように、注入管1の開口1aより自硬性流体12を注入すると開口1b、注入口1cから袋体2に流し込まれ、袋体2は反転しながら膨張する。この時、スライム8は地盤に密着しながら下方に押し出されていくため、スライム排出管9の開口9bに押し込まれ、排出口9cから排出される。袋体2内の圧力が所定の圧力まで昇圧したら、自硬性流体12aの注入を止め、完全に硬化する前に、スライム排出管9を抜き取る。その後、袋体取付構造は挿入したまま、図6(e)に示すように、袋体2の上部に自硬性流体12bを孔7に注入し、場所打ち杭とする。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0028】
(実施例1)
袋体として、ポリエステル製のφ350・全長6000mmの筒状織物を使用した。注入管として、φ40mm鋼管を用い、注入管の袋体内に収納される部分には注入がスムーズにいくように穴をあけた。袋体は片端を縫製してふさぎ、縫製部付近に、ワイヤー外径と一致する内径を有するワイヤー挿入用管を取付けた、反転速度調整用ワイヤーの一端を取付けた。次に、袋体の縫製側に注入管を取付け開放側を反転させ、袋体の開放側とワイヤー挿入用管とを注入管に金属バンドで固定した。さらに、袋体の外周にビニールテープを巻き回し、80mm程度の太さにした。スライム排出管としては、φ40mm鋼管を使用し、鋼管先付近にはスライム排出用の穴を開け、逆流防止の弁を付けた。オーガでφ350の縦穴を削孔し、φ300の鋼管を挿入した。次に、スライム排出管を孔の底にほぼ届くように設置し、袋体を孔内の所定の位置に設置した。次いで、注入管を介して袋体内にモルタルを注入し、袋体を膨張させ、さらにモルタルを注入していき袋体を反転させ、袋体内の圧力が所定の圧力まで昇圧したら注入をやめた。そして、スライム排出管を抜き取り、杭の上部からモルタルを流し込んだ。
【0029】
(実施例2)
実施例1の袋体構造を変更した。縫製糸としては、1500d(1670T)のテトロンミシン糸を使用した。袋体は片端を縫製して塞ぎ、さらに袋体の縫製側から袋体の中心付近にまで縦方向に2cm間隔で縫製を入れた。縫製は3mmピッチとした。さらに、縫製側から袋体長さの1/3程度の位置まで縫製を1cm間隔にし、袋体の縫製側から1/6程度の位置まで縫製を横方向に5cm間隔で入れた。そして、袋体の縫製側を内側に折り込み、注入管を挿入し、袋体の縫製部分を注入管にひもで軽く縛りつけ、袋体の開放側を注入管に金属バンドで固定した。
【0030】
(実施例3)
実施例1の袋体構造を、内面にウレタンをコーティングして気密性を持たせるように変更した。また、実施例1の施工工程について、削孔に鋼管を挿入せず、袋体構造にモルタルではなく水を注入し、スライム排出後に袋体内中の水を抜いた後、袋体を孔内から抜き取る、というように変更した。
【0031】
(実施例4)
実施例1の施工方法において、スライムが発生しにくいケーシング削孔を行い、袋体を挿入し、それ以降は実施例1と同じ工程を行った。念のため通常よりも高目の圧力にした。スライムの粘度にもよるが、通常は0.4MPa以下の圧力でスライム排出されるところを今回は0.7MPaかけた。
【0032】
実施例1で、袋体を膨張させる時、スライム排出管からスライムの排出が確認された。施工後掘り起し確認を行うと、袋体は孔先端まで到達しており、スライムは袋体および孔壁に多少へばりついていたものの殆どなく、スライム排出管の中はスライムで満たされていた。
【0033】
実施例4の確認作業として、袋体を孔内の所定の位置に設置したとき、杭は殆ど持ち上がらなかった。掘り起こし確認を行うと、スライム量は実施例1よりも若干多いものの殆ど残っておらず、残っていたスライムも押し込められていた。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、袋体の本体部分が膨張し、孔に密着するので、スライムには十分な圧力がかかり、スライムはスライム排出用の管から排出される。
スライム排出のための管を挿入しているため、削孔内の底円以外にスライムが付着する心配がない。また、このように袋体の膨張力によってスライムを排出するため、大型設備を別途準備する必要がなく、簡易な設備でスライムの排出が可能になる。
【0035】
また、袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整できスライムの排出が可能となり、削孔内に袋体を密着させることができるので、袋体が削孔内をずり落ちることがない。また、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働く。
【0036】
また、請求項2の発明によると、袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整できスライムの排出が可能となり、削孔内に袋体を密着させることができるので、袋体が削孔内をずり落ちることがない。また、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働く。
【0037】
また、請求項3の発明によると、流体の注入量が増えていくと、袋体の縫製の糸が切れていくことで袋体の反転が進む。袋体の縫製密度を疎密にし袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整できスライムの排出が可能となり、削孔内に袋体を密着させることができるので、袋体が削孔内をずり落ちることがない。また、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働く。
【0038】
また、請求項4の発明によると、袋体に自硬性流体を注入し、袋体の膨張速度を調節することによってスライムへの負荷圧力を調整でき、スライムの排出を行なうとともに、自硬性流体が硬化後には、場所打ち杭とできる。また、削孔内に袋体を密着させることができるので、強固な場所打ち杭となる。さらに、袋体内より自硬性流体の余分な水分が脱水し、自硬性流体が固化後、十分な強度を発揮する。脱水された水分はスライムとともにスライム排出管から排出される。さらに、袋体は反転しながら膨張するため、削孔内の底円では中心から周辺部に向かってスライムを押し出すよう圧力が働くため、圧力を増しても杭の持ち上がりがない。ここで、自硬性流体として、セメントミルク、モルタル等を使用することができる。
【0039】
また、請求項5の発明によると、鋼管を挿入した後袋体を挿入し、場所打ち杭とするため、強固な場所打ち杭とできる。また、削孔された孔に鋼管を挿入し、スライムの発生量が少ない場合、スライム排出管を挿入しスライムを排出せずともスライムを排出でき、強固な杭とできる。
【0040】
また、請求項6の発明によると、流体の注入量が増加し袋体内の圧力が高まると、縫製の糸が切れていき、袋体は反転する。膨張力の増加に伴い縫製は密になっていくので、反転終わり近くでも反転速度は同じであり、スライムに対して十分な押し出し圧力を負荷できる。
【0041】
また、請求項7の発明によると、反転速度をワイヤーと流体注入量により調節することができるので、スライムに対して十分な押し出し圧力を負荷できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る、袋体の反転速度をワイヤーにより調節する袋体取付構造の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスライム排出方法の工程を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る場所打ち杭工法の、削孔内に鋼管を入れた場合の工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る場所打ち杭工法の、削孔内に鋼管を入れた場合でスライムの発生量が少ない場合の工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、袋体の反転速度を縫製密度により調節する袋体取付構造の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、袋体の反転速度を縫製密度により調節する袋体取付構造を用いた場合の、場所打ち杭工法の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 注入管
2 袋体
3 ワイヤー
4 取付部
5 固定部
6 挿入管
7 孔
8 スライム
9 スライム排出管
10 流体
11 鋼管
12 自硬性流体
Claims (7)
- 削孔された孔の底部に堆積するスライムを排出するスライム排出方法であって、前記削孔された孔の底部に堆積したスライムを排出するスライム排出管を設置するとともに、前記削孔された孔に袋体を挿入して該袋体に流体を注入し、該流体の注入による前記袋体の膨張力によって、前記孔の底部に堆積したスライムを前記スライム排出管の底部に形成された排出口から前記スライム排出管内に押し入れてスライムを排出し、
前記袋体は、底部が前記袋体の内側に反転されると共に反転制御手段を備えており、該反転制御手段により折り返し位置を調整することにより前記流体注入時に袋体の膨張速度が調節されるスライム排出方法。 - 前記反転制御手段が、前記底部に取付けられたワイヤーであり、前記ワイヤーの送り出し長さを調整することによって、前記流体注入時における前記袋体の膨張速度が調節される請求項1に記載のスライム排出方法。
- 前記反転制御手段が、前記袋体の前記底部とこの底部に連なる部分を閉じる縫製であり、縫製密度が前記袋体の底部から開口側に向かって疎になるように縫製されている請求項1に記載のスライム排出方法。
- 削孔された孔に、スライム排出管と、底部が内側に向かって反転されると共に反転制御手段を備えた袋体とを挿入し、前記袋体に自硬性流体を注入しつつ前記反転制御手段により折り返し位置を調整することにより前記流体注入時の袋体の膨張速度を調節し、該自硬性流体の注入による前記袋体の膨張力によって、前記孔の底部に堆積するスライムを前記スライム排出管内に押し入れることによって排出し、前記袋体内の自硬性流体が完全に硬化する前に前記スライム排出管を抜き取り、前記スライム排出管を抜き取った後に、前記袋体の上部の前記孔に自硬性流体を注入する場所打ち杭工法。
- 前記削孔された孔に、前記孔と略同等の径の鋼管を挿入し、前記鋼管内に前記スライム排出管と、前記袋体を挿入する請求項4に記載の場所打ち杭工法。
- 底部とこの底部に連なる部分が縫製によって閉じられるとともに、その縫製密度が前記底部から開口側に向かって疎になるように縫製され、前記縫製された部分が内側になるように前記開口側が反転されて、流体注入用の注入管に固着された、削孔された孔底部のスライム排出及び場所打ち杭工法に用いられる袋体。
- 底部が内側に向かって反転されると共に、該底部に接続されたワイヤーが前記底部と反対側に位置する開口部から引き出され、前記ワイヤーが上下に可動自在となるように前記開口部とともに流体注入用の注入管に固着された、削孔された孔底部のスライム排出及び場所打ち杭工法に用いられる袋体。
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