JP4545301B2 - 急速継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体用の急速継手に関し、より詳しくいえば、その急速継手の分離時に内部の液体がこぼれるのを防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の急速継手には、従来では、日本国・特開平3−96790号公報に示すものがある。
上記の従来技術は、ソケットとプラグとを突き合わせ接続することによって、そのプラグの先端に設けた押筒が上記ソケットのスライド筒を開き位置へ退入させると共に、そのスライド筒に挿入した第1ロッドが上記の押筒に挿入した第2ロッドを開き位置へ退入させるようになっている。
そして、その従来技術では、上記ソケットと上記プラグとを分離したときに液体がこぼれるのを防止するため、上記の第1ロッドの先端溝に装着したOリングの外周面を上記スライド筒の筒孔に保密状に嵌入して第1封止部分を構成し、上記の押筒の筒孔の先端溝に装着したOリングの内周面に上記の第2ロッドの先端部を保密状に嵌入して第2封止部分を構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術は次の問題がある。
上記の各Oリングは、半径方向に所定のつぶし代が必要なので軸心方向の摺動抵抗が大きい。このため、急速継手の接続時と分離時に大きな操作力が要求される。
また、上記の各Oリングは、軸心方向への摺動時に不整に作用する摩擦抵抗を受けてネジレやすいので、液漏れを起こしやすい。
本発明の目的は上記の問題点を解消することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、例えば図1と図2に示すように、急速継手を次のように構成した。第1継手部材Aと第2継手部材Bとを突き合わせ接続することによって、その第2継手部材Bの先端に設けた押筒60が上記の第1継手部材Aのスライド筒13を開き位置へ退入させると共に、そのスライド筒13内に挿入した第1ロッド14が上記の押筒60に挿入した第2ロッド64を開き位置へ退入させるようにした急速継手であって、上記の第1ロッド14の先端部に、先端方向へ拡径する第1テーパ部25を設けると共に、上記スライド筒13の先端部に第1閉止部28を設けて、その第1閉止部28を基端側から上記の第1テーパ部25に接当させて第1封止部分29を構成し、上記の押筒60の先端部に、先端方向へ縮径する第2テーパ部75を設けると共に、上記の第2ロッド64の先端部に第2閉止部78を設けて、その第2閉止部78を基端側から上記の第2テーパ部75に接当させて第2封止部分79を構成し、上記の第1ロッド14の先端部の外周に第1溝23を形成し、その第1溝23に設けられる第1弾性部材24を、上記の第1溝23に嵌着される嵌着部分46と、その嵌着部分46から半径方向の外方かつ先端方向へ一体に突出されたリップ部分47とによって構成し、上記リップ部分47の外周に前記の第1テーパ部25を設け、上記の第1弾性部材24の嵌着部分46の先端面と上記の第1溝23の先端壁23aとの少なくとも一方に、前記の第1封止部分29の基端側と先端側との差圧力が設定圧力を越えたときに上記リップ部分47の前記の第1テーパ部25の少なくとも一部が半径方向の内方へ移動するのを許容する第1空所48を、周方向へ所定の間隔をあけて凹入形成したものである。
【0005】
上記の請求項1の発明は、次の作用効果を奏する。
第1テーパ部に第1閉止部を軸心方向に接当させることによって第1封止部分を構成し、また、第2テーパ部に第2閉止部を軸心方向に接当させることによって第2封止部分を構成したので、上記の各封止部分の摺動抵抗がほとんど無くなり、急速継手の接続時と分離時の操作力も小さくなる。そのうえ、上記の各封止部分は、軸心方向の摺動抵抗をほとんど受けないので、ネジレを防止して液漏れを防止できる。
【0006】
上記の急速継手の分離状態において、前記のスライド筒の筒孔内の液体の圧力が低圧または無圧の場合には、前記の第1弾性部材の弾性力によって前記の第1テーパ部が前記の第1閉止部に閉止接当した状態に保たれるため、上記の液体が外部へこぼれるのを阻止できる。
これに対して、上記の急速継手の分離状態において、何らかの原因によって前記のスライド筒の筒孔内の圧力が異常に上昇した場合には、前記の第1封止部分の前後の差圧力が大きくなっていく。しかし、その差圧力が設定圧力を越えたときに、その差圧力によって前記の第1弾性部材が弾性変形して、上記の第1封止部分の封止状態を解除する。これにより、上記スライド筒の筒孔の液体が外部へ排出され、その圧力が異常に上昇するのを防止できる。その結果、上記の第1弾性部材が、上記の異常圧力によって損傷したり前記の第1溝から抜け落ちるのを防止できる。
また、上記の第1弾性部材を嵌着する第1溝の底壁と同上の第1弾性部材との間に上記の圧力上昇した高圧液体が侵入した場合には、その侵入した高圧液体が前記の第1空所を通って外部へ排出される。このため、上記の第1溝と第1弾性部材との間に圧力流体が閉じ込められるのを防止できる。その結果、上記の第1溝から第1弾性部材が抜け落ちるのを確実に防止できる。
【0008】
また、前記の目的を達成するため、請求項2の発明は、例えば図1と図2に示すように、急速継手を次のように構成した。第1継手部材Aと第2継手部材Bとを突き合わせ接続することによって、その第2継手部材Bの先端に設けた押筒60が上記の第1継手部材Aのスライド筒13を開き位置へ退入させると共に、そのスライド筒13内に挿入した第1ロッド14が上記の押筒60に挿入した第2ロッド64を開き位置へ退入させるようにした急速継手であって、上記の第1ロッド14の先端部に、先端方向へ拡径する第1テーパ部25を設けると共に、上記スライド筒13の先端部に第1閉止部28を設けて、その第1閉止部28を基端側から上記の第1テーパ部25に接当させて第1封止部分29を構成し、上記の押筒60の先端部に、先端方向へ縮径する第2テーパ部75を設けると共に、上記の第2ロッド64の先端部に第2閉止部78を設けて、その第2閉止部78を基端側から上記の第2テーパ部75に接当させて第2封止部分79を構成し、上記の第2ロッド64の先端部の外周に第2溝73を形成し、その第2溝73に嵌着した第2弾性部材74の外周に前記の第2閉止部78を設け、上記の第2弾性部材74の先端面及び内周面と上記の第2溝73の先端壁73a及び底壁73cとの少なくとも一方に、前記の第2封止部分79の基端側と先端側との差圧力が設定圧力を越えたときに上記の第2弾性部材74の前記の第2閉止部78の少なくとも一部が半径方向の内方へ移動するのを許容する第2空所98を、周方向へ所定の間隔をあけて凹入形成したものである。
【0009】
上記の請求項2の発明は、前記の請求項1の発明と実質的に同じ次の作用効果を奏する。第1テーパ部に第1閉止部を軸心方向に接当させることによって第1封止部分を構成し、また、第2テーパ部に第2閉止部を軸心方向に接当させることによって第2封止部分を構成したので、上記の各封止部分の摺動抵抗がほとんど無くなり、急速継手の接続時と分離時の操作力も小さくなる。そのうえ、上記の各封止部分は、軸心方向の摺動抵抗をほとんど受けないので、ネジレを防止して液漏れを防止できる。
【0011】
前記の押筒の筒孔内の液体の圧力が低圧または無圧の場合には、前記の第2弾性部材の弾性力によって前記の第2閉止部が第2テーパ部に閉止接当した状態に保たれる。このため、上記の液体が外部へこぼれるのを阻止できる。これに対して、上記の急速継手の分離状態において、何らかの原因によって前記の押筒の筒孔の内圧が異常に上昇した場合には、前記の第2封止部分の前後の差圧力が大きくなっていく。しかし、その差圧力が設定圧力を越えたときに、その差圧力によって前記の第2弾性部材が前記の第2空所へ向けて弾性変形して、上記の第2封止部分の封止状態を解除する。これにより、上記の押筒の筒孔の液体が外部へ排出され、その圧力が異常に上昇するのを防止できる。その結果、上記の第2弾性部材が、上記の異常圧力によって損傷したり前記の第2溝から抜け落ちるのを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1と図2及び図3(a)と図3(b)及び図4(a)と図4(b)は、本発明の第1実施形態を示している。
まず、図1と図2によって本発明の急速継手の全体構成を説明する。図1は、上記の急速継手の分離状態の縦断面図である。図2は、上記の急速継手の接続開始状態の接続部分の拡大図である。
【0014】
上記の急速継手は、圧油を供給また排出するためのものであって、第1継手部材であるソケットAと第2継手部材であるプラグBとによって構成される。上記ソケットAの第1ハウジング1と上記プラグBの第2ハウジング2とがほぼ同軸上で向かい合わせに配置されている。
【0015】
上記ソケットAは次のように構成されている。
上記の第1ハウジング1の右部内に第1こぼれ止め弁5が設けられると共に、同上の第1ハウジング1の左部内に第1高圧保持弁6が設けられる。その第1ハウジング1の左端部(基端部)に設けた第1給排口7は、油圧ポンプと油タンクとに(いずれも図示せず)選択的に連通可能になっている。
【0016】
上記の第1こぼれ止め弁5は、次のように構成されている。
上記の第1ハウジング1に形成した筒孔11に封止具12を介してスライド筒13が軸心方向へ移動自在で保密状に挿入される。上記スライド筒13内に軸心方向へ移動自在挿入した第1ロッド14が押しバネ15よって右端方向(先端方向)へ付勢され、その第1ロッド14のフランジ16が環状のストップ壁17によって受け止められる。上記スライド筒13と上記の第1ロッド14との間に環状の第1流路18が形成されている。
なお、上記の第1流路18の径方向の外側に筒状の第1先端フィルタ20が装着されている。
【0017】
上記の第1ロッド14の右端部(先端部)に円環状の第1溝23が形成され、その第1溝23に第1弾性部材24が嵌着される。その第1弾性部材24は、合成ゴムまたは合成樹脂によって円錐台状に形成されており、その第1弾性部材24の外周部によって第1テーパ部25を構成してある。
前記スライド筒13が第1進出バネ26によって右方向へ付勢され、そのスライド筒13の筒孔13aの右端に設けた第1閉止部28が左側(基端側)から上記の第1テーパ部25に接当される。その接当部分によって第1封止部分29を構成してある。
上記の第1閉止部28の外周壁にOリング製のガスケット31が装着され、そのガスケット31の外周部がリング部材32の突起33によって半径方向の内方へ押圧されている。
【0018】
前記の第1高圧保持弁6は、次のように構成されている。
前記の第1ハウジング1の左部内に第1高圧室35が形成され、その第1高圧室35に挿入した第1ポペット36が第1閉じバネ37によって第1弁座38に付勢される。なお、上記の第1高圧室35の外周部に筒状の第1基端フィルタ40が装着されている。
【0019】
前記プラグBは次のように構成される。
前記の第2ハウジング2の左部内に第2こぼれ止め弁55が設けられると共に、その第2ハウジング2の右部内に第2高圧保持弁56が設けられる。上記の第2ハウジング2の右端部(基端部)に設けた第2給排口57は、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータ(図示せず)に連通されている。
【0020】
上記の第2こぼれ止め弁55は、次のように構成されている。
上記の第2ハウジング2の左部に、前記スライド筒13に対面する押筒60が設けられる。その押筒60の左端面に形成した封止面61が前記ガスケット31に接当可能になっている。上記の押筒60の筒孔の左端部(先端部)には、左方向(先端方向)へ縮径する第2テーパ部75が設けられている。
【0021】
また、上記の第2ハウジング2の左部内に第2ロッド64が軸心方向へ移動自在に挿入される。その第2ハウジング2と上記の第2ロッド64との間に環状の第2流路68が形成されている。上記の第2ロッド64の左端部(先端部)に円環状の第2溝73が形成され、その第2溝73に、第2閉止部78を構成する第2弾性部材74が装着される。その第2弾性部材74は、合成ゴムまたは合成樹脂によって円錐台状に形成されている。
上記の第2ロッド64が第2進出バネ76によって左方向へ付勢され、これにより、上記の第2弾性部材74が右側(基端側)から前記の第2テーパ部75に接当される。その接当部分によって第2封止部分79を構成してある。
なお、上記の第2流路68の径方向の外側に筒状の第2先端フィルタ70が装着されている。
【0022】
前記の第2高圧保持弁56は次のように構成されている。
前記の第2ハウジング2の右部内に第2高圧室85が形成され、その第2高圧室85に挿入した第2ポペッ86が第2閉じバネ87によって第2弁座88に付勢される。その第2閉じバネ87の付勢力は、前記の第1閉じバネ37の付勢力よりも大きい値に設定してある。
なお、上記の第2高圧室85の外周部に筒状の第2基端フィルタ90が装着されている。
【0023】
次に、前記の第1弾性部材24の詳細な構造を、上記の図2を参照しながら図3(a)と図3(b)によって説明する。図3(a)は、上記の第1弾性部材24の断面図である。図3(b)は、上記の図3(a)の右側面図である。
上記の第1弾性部材24は、前記の第1溝23に嵌入される嵌着部分46と、その嵌着部分46から右上向きに一体に突設したリップ部分47とを備える。上記の嵌着部分46の右面に、周方向へ所定の間隔をあけて3つの第1空所48が凹入形成される。上記リップ部分47の外周部によって前記の第1テーパ部25が構成されている。
なお、図2中の参照符号23aと23bと23cは、それぞれ、上記の第1溝23の先端壁と基端壁と底壁である。
【0024】
また、前記の第2弾性部材74の詳細な構造を、前記の図2を参照しながら図4(a)と図4(b)によって説明する。図4(a)は、上記の第2弾性部材74の断面図である。図4(b)は、上記の図4(a)の左側面図である。
上記の第2弾性部材74には周方向へ所定の間隔をあけて3つの第2空所98が凹入形成される。その第2空所98は、上記の第2弾性部材74の左面と内周面とにわたって断面視でL字状に形成されている。そして、上記の第2弾性部材74の左部の傾斜面によって前記の第2閉止部78が構成されている。
なお、図2中の参照符号73aと73bと73cは、それぞれ、上記の第2溝73の先端壁と基端壁と底壁である。
【0025】
上記構成の急速継手は、図1と図2に示すように、次のように作動する。
前記ソケットAと前記プラグBとを図1の分離状態から突き合わせ接続していくと、まず、図2に示すように、前記の押筒60が前記ガスケット31に封止接当すると共に、前記の第2ロッド64の左端が前記の第1ロッド14の右端に接当する。次いで、上記の押筒60が、前記の押しバネ15によって右方へ付勢された第1ロッド14に対して前記スライド筒13を左方の開き位置へ退入させ、これにより、前記の第1封止部分29が開く。これとほぼ同時に、上記の第1ロッド14によって受け止められた第2ロッド64に対して上記の押筒60が左方へ移動することにより、前記の第2封止部分79が開く。
【0026】
引き続いて、上記の第1ロッド14と上記の第2ロッド64とが相互に突き合うことにより、前記の第1弁座38から前記の第1ポペット36が離間し、その後、前記の第2弁座88から前記の第2ポペット86が離間する。
これにより、前記の第1給排口7は、前記の第1基端フィルタ40と前記の第1弁座38内と第1ラジアル孔43と前記の第1先端フィルタ20と前記の第1流路18と前記の第2流路68と前記の第2先端フィルタ70と第2ラジアル孔93と前記の第2弁座88内と前記の第2基端フィルタ90とを順に通って、前記の第2給排口57に連通される。
【0027】
このため、上記の第1給排口7を前記の油圧ポンプ(図示せず)へ接続している場合には、その油圧ポンプの圧油が上記ソケットAと上記プラグBとを通って前記の油圧アクチュエータ(図示せず)へ供給される。また、上記の第1給排口7を前記の油タンク(図示せず)へ接続している場合には、上記の油圧アクチュエータの圧油が上記プラグBと上記ソケットAとを順に通って上記の油タンクへ排出される。
【0028】
上記の接続状態において、上記ソケットAと上記プラグBとを分離していくと、まず、前記の第2閉じバネ87によって第2ポペット86が第2弁座88に接当すると共に、前記の第1閉じバネ37によって第1ポペット36が第1弁座38に接当する。これにより、第1給排口7と第2給排口57の圧油が前記の第1流路18と前記の第2流路68とへ流出することを阻止する。その後で、前記の第2封止部分79が閉じると共に前記の第1封止部分29が閉じるのである。
このため、上記の第1と第2の各流路18・68の各圧力が低圧(又は、ほとんど無圧)となる。
【0029】
上記の急速継手の分離状態において、上述したように、上記の第1流路18内の圧油の圧力が低いので、前記の第1弾性部材24の前記のリップ部分47が前記の第1閉止部28に弾性的に閉止接当した状態に保たれ、その圧油が外部へこぼれ出るのを阻止できる。
これと同様に、前記の第2流路68内の圧油の圧力も低いので、前記の第2弾性部材74が前記の第2テーパ部75に弾性的に閉止接当した状態に保たれ、その圧油が外部へこぼれ出るのを阻止できる。
【0030】
これに対して、上記の急速継手の分離状態において、前記の第1弁座38に異物が噛み込む等の原因によって前記の第1給排口7の高圧油が上記の第1流路18へ漏出した場合には、その第1流路18の圧力が上昇して、前記の第1封止部分29の左右の差圧力が大きくなっていく。そして、上記の差圧力が設定圧力を越えたときに、その差圧力によって上記リップ部分47が半径方向の内方へ押圧されて前記の第1閉止部28から離間する。これにより、上記の第1封止部分29の封止状態が解除されて、上記の第1流路18内の圧油が外部へ排出されるので、その第1流路18の圧力が異常に上昇するのを防止できる。その結果、上記の第1弾性部材24が、上記の異常圧力によって損傷したり前記の第1溝23から抜け落ちるのを防止できる。
さらに、上記の第1弾性部材24を嵌着する第1溝23の底壁23cと同上の第1弾性部材24との間に上記の圧力上昇した高圧液体が侵入した場合には、その侵入した高圧液体が前記の第1空所48を通って外部へ排出される。このため、上記の第1溝23と第1弾性部材24との間に圧力流体が閉じ込められるのを防止できる。その結果、上記の第1溝23から第1弾性部材24が抜け落ちるのを確実に防止できる。
【0031】
また、前記の第2弁座88に異物が噛み込む等の原因によって前記の第2給排口57の高圧油が前記の第2流路68へ漏出した場合には、その第2流路68の圧力が上昇して、前記の第2封止部分79の左右の差圧力が大きくなっていく。
そして、上記の差圧力が設定圧力を越えたときに、その差圧力によって前記の第2弾性部材74の外周部分が上記の第2空所98へ向けて弾性変形する。これにより、上記の第2封止部分79の封止状態が解除されて、上記の第2流路68内の圧油が外部へ排出されるので、その第2流路68の圧力が異常に上昇するのを防止できる。その結果、上記の第2弾性部材74が、上記の異常圧力によって損傷したり前記の第2溝73から抜け落ちるのを防止できる。
【0032】
上記の第1実施形態は次のように変更可能である。前記の第1空所48は、第1弾性部材24に設けることに代えて、又はそれに加えて、第1溝23の先端壁23aに設けてもよい。また、前記の第2空所98は、第2弾性部材74に設けることに代えて、又はそれに加えて、第2溝73の先端壁73aおよび底壁73cに設けてもよい。
【0033】
図5は、本発明の第1参考例を示している。この第1参考例は、上記の第1実施形態と比べると、プラグBを同一に構成すると共にソケットAを次のように変更したものである。なお、この第1参考例においては、上記の第1実施形態と同じ構成の部材には原則として同一の参照符号を付けてある。
【0034】
前記の第1ロッド14の右端は、前記の図2の第1弾性部材24を省略しており、そのロッド右端を右向きに拡径することによって前記の第1テーパ部25を構成してある。また、前記の図1中の押しバネ15を省略しており、上記の第1ロッド14を左方向へ付勢するリリーフバネ101を設けてある。なお、参照符号102は、バネ受け用の止め輪である。
そして、前記の第1封止部分29の差圧力が設定圧力を越えたときには、その差圧力によって上記の第1ロッド14が上記リリーフバネ101に抗して右方向へ移動する。これにより、前記スライド筒13の前記の第1閉止部28から上記の第1テーパ部25が離間して、上記の第1封止部分29の封止状態を解除するのである。
【0035】
図6は、第2参考例を示し、上記の図5に相当する部分図であって、その図5の第1参考例を次のように変更したものである。この場合、前記スライド筒13の筒孔13aの右半部に合成樹脂製の段付きスリーブ106を保密状に嵌入し、そのスリーブ106の内周面の右端部によって前記の第1閉止部28を構成してある。なお、前記の第1進出バネ26の右端と前記リリーフバネ101の右端とを上記スリーブ106の左端面によって受け止めてある。
【0036】
上記の各実施形態や変形例は、さらに次のように変更可能である。
本発明は、前記の第1高圧保持弁6と第2高圧保持弁56の両者のうちのいずれか一方または両方を備えてない急速継手にも適用可能である。
本発明の急速継手は、圧油を給排するものに代えて、水等の他の種類の液体を給排するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の急速継手の分離状態の縦断面図である。
【図2】上記の急速継手の接続開始状態の接続部分の拡大図である。
【図3】図3(a)は、上記の急速継手の第1継手部材に設けた第1弾性部材の断面図である。図3(b)は、上記の図3(a)の右側面図である。
【図4】図4(a)は、上記の急速継手の第2継手部材に設けた第2弾性部材の断面図である。図4(b)は、上記の図4(a)の左側面図である。
【図5】本発明の第1参考例を示し、上記の第1継手部材の縦断面図であって、前記の図1に相当する図である。
【図6】第2参考例を示し、上記の図5に相当する部分図である。
【符号の説明】
13…スライド筒、14…第1ロッド、23…第1溝、23a…先端壁、24…第1弾性部材、25…第1テーパ部、28…第1閉止部、29…第1封止部分、46…第1弾性部材24の嵌着部分、48…第1空所、60…押筒、64…第2ロッド、73…第2溝、74…第2弾性部材、75…第2テーパ部、78…第2閉止部、79…第2封止部分、98…第2空所、101…リリーフバネ、A…第1継手部材(ソケット)、B…第2継手部材(プラグ)。
Claims (2)
- 第1継手部材(A)と第2継手部材(B)とを突き合わせ接続することによって、その第2継手部材(B)の先端に設けた押筒(60)が上記の第1継手部材(A)のスライド筒(13)を開き位置へ退入させると共に、そのスライド筒(13)内に挿入した第1ロッド(14)が上記の押筒(60)に挿入した第2ロッド(64)を開き位置へ退入させるようにした急速継手であって、
上記の第1ロッド(14)の先端部に、先端方向へ拡径する第1テーパ部(25)を設けると共に、上記スライド筒(13)の先端部に第1閉止部(28)を設けて、その第1閉止部(28)を基端側から上記の第1テーパ部(25)に接当させて第1封止部分(29)を構成し、
上記の押筒(60)の先端部に、先端方向へ縮径する第2テーパ部(75)を設けると共に、上記の第2ロッド(64)の先端部に第2閉止部(78)を設けて、その第2閉止部(78)を基端側から上記の第2テーパ部(75)に接当させて第2封止部分(79)を構成し、
上記の第1ロッド(14)の先端部の外周に第1溝(23)を形成し、その第1溝(23)に設けられる第1弾性部材(24)を、上記の第1溝(23)に嵌着される嵌着部分(46)と、その嵌着部分(46)から半径方向の外方かつ先端方向へ一体に突出されたリップ部分(47)とによって構成し、上記リップ部分(47)の外周に前記の第1テーパ部(25)を設け、
上記の第1弾性部材(24)の嵌着部分(46)の先端面と上記の第1溝(23)の先端壁(23a)との少なくとも一方に、前記の第1封止部分(29)の基端側と先端側との差圧力が設定圧力を越えたときに上記リップ部分(47)の前記の第1テーパ部(25)の少なくとも一部が半径方向の内方へ移動するのを許容する第1空所(48)を、周方向へ所定の間隔をあけて凹入形成した、ことを特徴とする急速継手。 - 第1継手部材(A)と第2継手部材(B)とを突き合わせ接続することによって、その第2継手部材(B)の先端に設けた押筒(60)が上記の第1継手部材(A)のスライド筒(13)を開き位置へ退入させると共に、そのスライド筒(13)内に挿入した第1ロッド(14)が上記の押筒(60)に挿入した第2ロッド(64)を開き位置へ退入させるようにした急速継手であって、
上記の第1ロッド(14)の先端部に、先端方向へ拡径する第1テーパ部(25)を設けると共に、上記スライド筒(13)の先端部に第1閉止部(28)を設けて、その第1閉止部(28)を基端側から上記の第1テーパ部(25)に接当させて第1封止部分(29)を構成し、
上記の押筒(60)の先端部に、先端方向へ縮径する第2テーパ部(75)を設けると共に、上記の第2ロッド(64)の先端部に第2閉止部(78)を設けて、その第2閉止部(78)を基端側から上記の第2テーパ部(75)に接当させて第2封止部分(79)を構成し、
上記の第2ロッド(64)の先端部の外周に第2溝(73)を形成し、その第2溝(73)に嵌着した第2弾性部材(74)の外周に前記の第2閉止部(78)を設け、
上記の第2弾性部材(74)の先端面及び内周面と上記の第2溝(73)の先端壁(73a)及び底壁(73c)との少なくとも一方に、前記の第2封止部分(79)の基端側と先端側との差圧力が設定圧力を越えたときに上記の第2弾性部材(74)の前記の第2閉止部(78)の少なくとも一部が半径方向の内方へ移動するのを許容する第2空所(98)を、周方向へ所定の間隔をあけて凹入形成した、ことを特徴とする急速継手。
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