JP4544421B2 - ポリエチレン樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、包装袋、ラップ、プロテクト、シーラントに使用されるポリエチレン樹脂フィルムに関する。さらに詳しくは、フィルム製膜時の成形加工性が良好で、かつフィルムに要求される機械強度に優れたポリエチレン樹脂フィルムに関するものである。
エチレン系重合体は、剛性、耐衝撃性、ESCR、伸び特性、耐久性等の機械的性質に優れ、耐薬品性や電気的特性にも優れているため、押出成形品、射出成形品、フィルム、パイプ、ブロー容器など多岐な分野で使用されている。
エチレン系重合体を良好に成形加工するために要求される特性はその成形方法や用途により異なり、たとえばインフレーション成形法によりフィルムを製造する場合は、良好なフィルムを高速で安定して得るためにはバブルのゆれや破断がないように比較的高い溶融張力が必要である。同様の特性はTダイ成形時のネックインを抑制するため、あるいはブロー成形時のパリソンの垂れ下がりを抑制するためにも必要である。
また押出成形においては、高せん断速度下におけるエチレン系重合体のせん断応力が小さいことも重要な特性である。押出時の負荷が減少することにより、高速成形への対応が可能となる、押出した樹脂の肌荒れが抑制され成形品の品質が向上する、成形時の消費電力が低減され経済性が良くなる等のメリットがある。
しかし、エチレン系重合体の分子構造や分子量・分子量分布などの分子設計において、機械的物性と成形加工性は相反する場合が多く、例えば、メタロセン系触媒により得られるエチレン系共重合体は分子量分布および組成分布がチーグラー触媒で得られるものと比較して狭く、透明性などの光学特性は向上する反面、成形加工性は低下する。
一般に、成形加工性を向上させるにおいて、分子量分布が広いエチレン系重合体が有利である。さらに、分子量分布が広いエチレン系重合体は分子量分布が狭いエチレン系重合体に比べて、成形加工性を大幅に改良できる。従来分子量分布を広げるためには複数の反応器を用いたり、Cr触媒を用いた重合でエチレン系重合体を製造してきた。しかしながら、複数の反応器を用いる場合は実質的に高分子量成分のみのポリマー粒子が副生し、Cr触媒を用いた場合は多量のオレフィン末端を有し、GPCでの半値幅が広く、実質的に分子量分布が広いポリマーを得ることしかできなかった。
よって、メタロセン触媒による高分子量成分と低分子量成分が均質に相溶した分子構造上の特徴を有するエチレン系重合体が得られれば、機械強度と成形加工性のバランスの良い材料とすることができ、その工業的価値は極めて大きい。
オレフィンの重合によりポリオレフィンを製造する方法として、遷移金属化合物および有機金属化合物の組み合わせからなる触媒系を用いることは、すでに知られている。また、カミンスキーらは、メタロセンとメチルアルミノキサンを用いた触媒が、プロピレンを含むオレフィン重合体を製造する際に、高い活性を示すことを報告している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ここで開示されている触媒系は重合活性には優れるが、触媒系が反応系に可溶性であるために、溶液重合系を採用することが多く、製造プロセスが限定されるばかりか、工業的に有用な物性を示すポリマーを製造するためには、比較的高価なメチルアルミノキサンを大量に用いる必要がある。このため、これら触媒系を用いた場合、コスト的な問題やポリマー中に大量のアルミニウムが残存する等の問題があった。
これに対して、不均一系のメタロセン触媒の例として有機カチオンでイオン交換した粘土化合物を助触媒とする触媒系が開示され、高い重合活性が実現されている(例えば、特許文献2,3,4参照)が、いずれも分子量分布の狭く従来のメタロセン触媒による樹脂と同等のものしか得ることができなかった。
メタロセン触媒において、ポリマーの分子量分布を広げるために異なる重合挙動を示す複数のメタロセン触媒を用いる方法が検討されており、例えばその方法として、コンフォーマーの異なる2種類のメタロセンとアルミノキサンを担持させた触媒が報告されているが、この方法では加工性に著しい効果を発現させる高分子量側の分子量分布Mz/MwがMw/Mnに比べ小さいものであった(例えば、特許文献5参照)。
一方、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン系重合体の加工性を改良する目的で低密度ポリエチレンをブレンドする方法が知られているが、これによりブレンド体の溶融張力が向上し成形加工安定性は良好になるものの、押出時の高せん断速度下で樹脂に加わるせん断応力を低下させる効果は十分とは言えず、メルトフラクチャーの発生による成形体の肌荒れが起こりやすいといった問題があった(例えば、特許文献6参照)。
特開昭58−19309号公報 特開平7−224106号公報 特開平10−324708号公報 特開平11−335408号公報 特開平9−227613号公報 特開平6−65443号公報
本発明は、成形加工性に優れ、さらに機械強度に優れたポリエチレン樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、多岐にわたるオレフィンの重合技術分野において、従来見出されていない新しい組み合わせのメタロセン触媒群を用い、特定の条件下で重合を行うことで、種々の分子量、密度、分子量分布、組成分布を有するエチレン系重合体が、高い溶融張力を持ち、また高せん断速度時の応力が低いことを見出した。そしてさらに研究を重ねた結果、該エチレン系重合体が、成形性に極めて優れ、さらに機械強度に優れるフィルムを得られることを見出し、上記の課題を解決するに至った。
すなわち本発明は、以下に示す(ア)〜(カ)の要件を満たすメタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンからなることを特徴とするポリエチレン樹脂フィルムに関するものである。
(ア)190℃で測定したメルトフローレート(以下、MFRと言う。)が0.1〜100g/10分であり、
(イ)密度が870〜950kg/mであり、
(ウ)GPC法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜4.0であり、
(エ)温度上昇溶離分別によって得られる微分溶出曲線のピークが2つ以上存在し、該ピーク温度が15℃以上90℃未満の範囲にあり、
(オ)該微分溶出曲線の最大ピークの高さ(H)とその次に高いピークの高さ(H)との比(H/H)が0.25以上であり、
(カ)該微分溶出曲線の個々のピーク高さ(H)と該ピークの高さの1/2における幅(W)の比(W/H)と該ピーク温度(T)が下記式(1)を満たす。
W/H<1.70−0.016T (1)
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明を構成する直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法は、特に限定するものではないが、少なくとも2種類以上のメタロセン触媒の存在下において、エチレンとα−オレフィンを同一重合器内で共重合する方法が、コストパフォーマンスや本発明のポリエチレン樹脂組成物をインフレーション成形等により成形して得られたフィルムの機械的強度に優れるため好ましい。メタロセン触媒とは、遷移金属化合物、活性化助触媒および有機金属化合物からなるものが用いられる。
2種類以上のメタロセン触媒を用いる場合、各々のメタロセン触媒の共重合パラメーターrの差が0.02以上であると、組成分布に広がりを持たせることが可能となり、フィルムのヒートシール性や機械的強度に優れるポリエチレン樹脂組成物が得られるため好ましく、0.03以上であると更に好ましい。共重合パラメーターrは、下記式(2)により求められる。
r = Cpoly / Crea (2)
式中、Creaは、反応器内のα−オレフィン/エチレンのモノマー比(モル/モル)を、またCpolyは得られる共重合体に含まれるα−オレフィン/エチレンのモノマー比(モル/モル)を示す。また、rはその商(係数)である。また、Cpolyは既知の方法、例えば、13C−NMR測定により求められる。
また、少なくとも一方のメタロセン触媒は、共重合パラメーターrが0.08以上であると、目的の密度の共重合体を製造する際のα−オレフィンの比率を下げることができ、共重合反応に使用されるα−オレフィンの回収工程への負荷の軽減、さらには共重合体中に残留するα−オレフィンを除去する工程の負荷を軽減することができるため好ましく、0.1以上の場合更に好ましい。
また、少なくとも一方のメタロセン触媒は、前記rと同様の条件により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が下記一般式(3)を満足することが好ましく、下記一般式(3)’を満足することが特に好ましい。
MFR < EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3) (3)
MFR < EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 32.5) (3)’
[式中、MFRは荷重2.16kg、温度190℃条件でのメルトフローレート(g/10分)を示し、RxTは重合器の内温もしくは重合器内に温度分布がある場合には観測された温度の平均値(℃)を示し、dは得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の密度(kg/m)を示す。]
さらに、もう一方のメタロセン触媒は、前記rと同様の条件により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が下記一般式(4)を満足することが好ましく、下記一般式(4)’を満足することが特に好ましい。
MFR > EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3) (4)
MFR > EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 32.5) (4)’
[式中、MFRは荷重2.16kg、温度190℃条件でのメルトフローレート(g/10分)を示し、RxTは重合器の内温もしくは重合器内に温度分布がある場合には観測された温度の平均値(℃)を示し、dは得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の密度(kg/m)を示す。]
メタロセン触媒の構成成分の一つである活性化助触媒としては、特に限定はなく、公知のものはすべて使用することができる。具体的には、下記一般式(5)で表されるプロトン酸、
一般式(6)で表されるイオン化イオン性化合物、一般式(7)で表されるルイス酸、一般式(8)で表されるルイス酸性化合物、粘土鉱物、塩化マグネシウム化合物、スルホン酸塩、またはカルボン酸誘導体などを挙げることができる。
[HR][E(Ar)] (5)
[GR ][E(Ar)] (6)
[D][E(Ar)] (7)
E(Ar) (8)
(式中、Hは水素原子であり、Eはホウ素原子またはアルミニウム原子である。Rはエーテル類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、ホスフィン類等のルイス塩基、RはRで例示したルイス塩基または置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基である。Gはリチウム原子、鉄原子または銀原子であり、Dはカルボニウムカチオンまたはトロピリウムカチオンである。Arは互いに同じでも異なっていてもよく、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子,炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基で置換されたアリール基もしくはアラルキル基、または炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基を有するシリル基で置換されたアリール基もしくはアラルキル基であり、好ましくはアリール基、ハロゲン,炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基で置換されたアリール基、または炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基を有するシリル基で置換されたアリール基である。pは0、1または2である。)
さらにメタロセン触媒に用いられる有機金属化合物としては、少なくとも1つの炭化水素基を有する周期表第1、2、13族の金属原子、スズ原子または亜鉛原子を有するものであり、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(9)、(10)または(11)で表される化合物を挙げることができる。
(RAl (9)
(式中、Rは互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、または炭化水素基で置換されたアミノ基もしくはアルコキシ基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
(RMg (10)
(式中、Rは互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、または炭化水素基で置換されたアミノ基もしくはアルコキシ基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
Li (11)
(式中、Rは水素原子または炭化水素基である。)
メタロセン触媒調製の際の遷移金属化合物および活性化助触媒の量比は、活性化助触媒が一般式(5)、(6)、(7)、(8)で表される化合物、スルホン酸塩またはカルボン酸誘導体である場合、遷移金属化合物:活性化助触媒=10:1〜1:1000のモル比が好ましく用いられ、特に好ましくは3:1〜1:100の範囲が用いられる。また、さらに有機金属化合物を用いる際の遷移金属化合物と有機金属化合物の比は特に制限はないが、遷移金属化合物:有機金属化合物の金属原子当たりのモル比は100:1〜1:100000の範囲が好ましく用いられ、さらに好ましくは1:1〜1:10000の範囲が用いられる。有機金属化合物の使用量が10000倍モルを超えると脱灰の工程を考慮する必要がある。また、触媒安定性および触媒毒の除去の観点を考えあわせると、遷移金属化合物:有機金属化合物を1:1〜1:1000のモル比で使用することが特に好ましい。
なお、上記の各成分の比率において、各メタロセン触媒の使用量の比率は特に制限がなく、任意の量で用いることができる。
メタロセン触媒を調製する方法について特に制限はなく、各成分に対して不活性な溶媒またはモノマーを溶媒として用いて混合する方法が挙げられる。また、上述した触媒成分を反応させる順番についても特に制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も特に制限はない。
また、メタロセン触媒を用いる際、オレフィン類を通常の方法で予備重合させてなるメタロセン触媒の存在下に、直鎖状低密度ポリエチレンを製造することもできる。その際、高い触媒活性と粒子の移送を容易とし、安定な製造が実現される。
メタロセン触媒を用いて予備重合を行う方法に関しては、メタロセン触媒とオレフィン類が重合しうる条件であれば特に限定されない。
以下に、上記記載の触媒系を用いて実質的にポリマーが溶融あるいは溶解した状態で、直鎖状低密度ポリエチレンを安定的に生産する方法を示す。
エチレンとα−オレフィンは、共重合体の融点以上の重合温度下、重合圧力40〜400MPaの高圧状態で重合される。
反応温度は共重合体の融点〜300℃が好ましく、共重合体の融点より30℃以上高い温度〜300℃が反応器や後処理工程の制約の点から特に好ましい。反応器部位で温度を変更できる場合は、反応器内で温度変化を持たせる方法が分子量分布の広いポリマーを製造する際に好ましく用いられる。温度変化の度合いは特に制限されないが、30℃以上反応器下部(ポリマー排出側)を高く保つことが生産性を向上させ、分子量分布を広げる際に有利である。
反応圧力は40〜400MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは実用性を考慮すると40〜200MPaの範囲である。
本触媒を反応器に供給する方法に特に制限はないが、1ヶ所より供給されても、複数ヶ所から供給されてもかまわない。好ましくは2ヶ所以上の複数ヶ所から供給することにより、分子量分布等をより容易に制御することができる。
また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により分離回収され、乾燥して得ることができる。
本発明の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に用いられるコモノマーであるα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン等のα−オレフィン類;ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の共役および非共役ジエン類;シクロブテン、シクロペンテン等の環状オレフィン類等が挙げられ、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテンのように2種の成分、あるいはエチレンとプロピレンとスチレン、エチレンと1−ヘキセンとスチレン、エチレンとプロピレンとエチリデンノルボルネンのように3種以上の成分を混合して重合することもできる。
これらα−オレフィンの中でも、共重合体成膜後のフィルムサンプルにおける引張強度、引裂強度、衝撃強度、ヒートシール強度等に優れる炭素数5〜10のものが好ましく、特に好ましくは1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンである。該共重合体は、これらα−オレフィンの少なくとも1種をエチレンと共重合することにより得られ、具体的には、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン三元共重合体等が挙げられる。
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、190℃で測定したMFRが0.1〜100g/10分、好ましくは0.2〜50g/10分、更に好ましくは0.3〜20g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では溶融押出時の押出機の負荷が大きくなり、かつインフレーション成形時にフィルムの表面荒れが発生するため、フィルム外観が悪化する。一方、MFRが100g/10分より大きい場合は、インフレーション成形時のバブル安定性が悪く、均一なフィルムが得られないとともに、得られたフィルムの引張強度が低下する。
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、密度が870〜950kg/m、好ましくは875〜945kg/m、更に好ましくは880〜940kg/mである。密度が870kg/m未満ではインフレーション成形により得られたフィルムの引張強度が低下し、包装袋として使用する際の自立性が悪いものとなる。一方、密度が950kg/mより大きい場合は、得られたフィルムの引裂強度、衝撃強度、ヒートシール強度が低下する。
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、Mw/Mnが2.0〜4.0、好ましくは2.3〜3.8、更に好ましくは2.5〜3.5である。Mw/Mnが2.0未満ではインフレーション成形する際の押出機の負荷が大きく、かつインフレーション成形時にフィルムの表面荒れが発生するため、フィルム外観が悪化する。一方、Mw/Mnが4.0を超える場合は、フィルムの機械的強度が低下するとともに、フィルムのブロッキングの原因となるべたつき成分が増加するので好ましくない。
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、温度上昇溶離分別によって得られる微分溶出曲線のピークが2つ以上、更に好ましくは2つ存在し、該ピーク温度が15℃以上90℃未満の範囲にある。微分溶出曲線のピークが1つの場合は、インフレーション成形により得られたフィルムのヒートシール強度が低下する。また、該溶出ピークが15℃未満に存在する場合は、フィルムのブロッキングの原因となるべたつき成分が増加するので。一方、該溶出ピークが90℃を超える場合は、フィルムの衝撃強度が低下するので好ましくない。
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、上記微分溶出曲線の最大ピークの高さ(H)とその次に高いピークの高さ(H)との比(H/H)が0.25以上である。H/Hが0.25未満ではフィルムを低温または高速でヒートシールする場合にヒートシール強度が低下する恐れがある。
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、該微分溶出曲線の個々のピーク高さ(H)と該ピークの高さの1/2における幅(W)の比(W/H)と該ピーク温度(T)が下記式(1)
W/H<1.70−0.016T (1)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(1)’
W/H<1.65−0.016T (1)’
で示される関係にあり、更に好ましくは下記式(1)”
W/H<1.60−0.016T (1)”
で示される関係にある。(1)式を満たさない場合は、インフレーション成形により得られたフィルムの引張強度が低下するとともに、ブロッキングの原因となるべたつき成分が増加するので好ましくない。
尚、W/Hは、該微分溶出曲線を横軸に溶出温度を100℃当たり65mm、縦軸に微分量(全積分溶出量を100に規格化し、2℃の変化量を微分量とした)10当たり5.4mmのグラフに図示し、次に、この微分溶出曲線のピークの1/2高さの幅(W、単位:mm)とピーク高さ(H、単位:mm)を測定し、W/Hを求めた。
また、隣接するピークどうしに重なりが存在し、ピークの1/2高さの幅が測定できない場合は、ピーク位置から垂線を降ろし、ピークの1/2高さにおける垂線と他のピークとの重なりがない側の幅を測定し、この幅を2倍した値をWとした。(この場合のWの算出方法を図1に示した。)
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、2種類以上のメタロセン触媒を用いて単一反応器により重合することが、得られた樹脂組成物の均一性を高め、インフレーション成形により得られたフィルムの引張強度、引裂強度、衝撃強度を向上させる上で好ましい。個別のメタロセン触媒を用いて異なる反応器で重合した直鎖状低密度ポリエチレンを押出機、ニーダー等を用いて機械的に溶融混合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物は、前記微分溶出曲線が本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレンと同一であったとしても、フィルムの衝撃強度が低いものとなる。
本発明の直鎖状低密度ポリエチレンには、本発明の効果を損なわない程度の範囲内で、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、造核剤、透明化剤、有機過酸化物、可塑剤、難燃剤等の、一般に熱可塑性プラスチックに用いられる添加剤を使用してもよい。
本発明のポリエチレン樹脂フィルムは、前記直鎖状低密度ポリエチレンを空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、Tダイ法などにより成形して得ることができる。
本発明のポリエチレン樹脂フィルムは、加工性、フィルム物性の点から、フィルムの厚みが20〜300μmであることが好ましい。
共押出成形法またはラミネート法により成形されたポリエチレン樹脂フィルムは、このフィルムを少なくとも1層有する積層体として用いることができる。
上記特徴により、本発明の直鎖状低密度ポリエチレンを成形してなるポリエチレン樹脂フィルムは、包装袋、ラップ、プロテクト、シーラントとして使用できる。
本発明のポリエチレン樹脂フィルムは、フィルム製膜時の成形加工性が良好で、かつフィルムに要求される機械強度に優れる。
以下に、実施例および比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。
参考例、実施例、比較例に示した各種物性の測定および評価は下記の方法により行った。
<MFR>
JIS K 6922−1(1997)に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。
<密度>
JIS K 6922−1(1997)に準拠し、密度勾配管により測定した。
微分溶出曲線を計算した。
<分子量分布>
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定した。
[装置]HLC−8121GPC/HT(東ソー株式会社製)
[測定条件]カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT×3本
[溶離液]1,2,4−トリクロルベンゼン、酸化防止剤(BHT0.05%)
[流速]1.0ml/分
[試料濃度]1.0mg/ml
[注入量]0.3ml
[カラム温度]140℃
[検出器]HLC−8121GPC/HT
<微分溶出曲線>
クロス分別測定装置を用いて下記条件で測定した。
[装置]CFC T−101(三菱化学社製)
[溶離液]オルトジクロロベンゼン
[試料濃度]2.5mg/mol
[注入量]0.5ml
[溶出温度]0,5,10,15,20,25,30,35,40,50,55,60,65,70,73,76,79、82,85,88、91,94,97,100,120,1140℃
[測定方法]
サンプルループへ注入された試料を、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、TREFカラムにコーティングさせた。TREFカラムを0℃で更に30分間保持した後、TREFカラムを以下に示す条件において昇温し、上記各溶出温度に5分間保持した後、溶解している成分を1ml/分の流速でTREFカラムからGPCカラム(東ソー(株)製 TSKgel GMHHR−H(20)1本、東ソー(株)製 TSKgel GMHHR−H(S)2本)へ注入した。
該GPCカラムで分子サイズによって分別された溶液について、装置付属の赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度を測定し(波長3.42μ,メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムを得た。さらに、内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理し、微分溶出曲線を計算した。
実施例および比較例に用いたフィルムは下記の方法により成形した。
<フィルムの成形方法>
フィルム成形は、空冷インフレーション成形機(株式会社プラコー製、型式 LL−50B)により行った。押出機のシリンダー温度を180℃に保持して押出した樹脂を180℃に加温したサーキュラーダイ(リップクリアランス1.5mm)に導入し、ブロー比2.0、引取速度25.0m/minで厚さ50μmの空冷インフレーションフィルムを作製した。
実施例および比較例に用いたフィルムの物性測定および評価は下記の方法により行った。
<バブル安定性>
上記、フィルムの成形方法に基づきフィルムを成形する際のバブル安定性の良否を目視で確認した。
バブル安定性の良否の判断基準を以下に示す。
○;バブルの揺れ無し。
×;バブルの揺れ有り。
<フィルム外観>
上記、フィルムの成形方法に基づき得られたフィルムの外観の良否を目視で確認した。
フィルム外観の良否の判断基準を以下に示す。
○;フィルム表面の荒れおよびゲル無し。
×;フィルム表面の荒れ有り。
×;ゲル有り。
<引張破壊応力および引張破壊呼び歪>
前記インフレーションフィルムを用いて、JIS K 6922−2(1997年)に準拠して測定した。フィルムを打抜いて2号形試験片を作製し、島津製作所製引張試験機(DCS−100)を使用して試験片が破壊した場合の応力と呼び歪を測定した。
参考例1
[メタロセン触媒(A)の調製例]
塩酸ジメチルアニリニウム69gを300mLの水に加え、これをモンモリロナイト300gが入った水3Lに加えた。この上澄み液を除去した後、水、エタノールで洗浄した。その後減圧乾燥し、粉砕することで得られた変性モンモリロナイトを活性化助触媒として用い、遷移金属化合物としてジフェニルメチレン(4‐フェニル‐1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用い、有機金属化合物としてトリイソブチルアルミニウムを用いて、遷移金属化合物1μモルZr原子当たり活性化助触媒30mg(30μモル)、有機金属化合物450μモルAl原子を加え、遷移金属化合物の濃度が250μモル/Lとなるように脂肪族飽和炭化水素溶媒で希釈して調製したものをメタロセン触媒(A)として用いた。
メタロセン触媒(A)を単独で用い、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を36.3mol%、反応器の内温(RxT)を204℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合した結果、Crea=0.57、Cpoly=0.062の数値を得た。すなわち、rは0.11であった。また、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体のMFRは7.9g/10分、密度は899kg/mであった。EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3)は41.1となり、式(4)を満たす。
[メタロセン触媒(B)の調製例]
塩酸ジメチルアニリニウム69gを300mLの水に加え、これをモンモリロナイト300gが入った水3Lに加えた。この上澄み液を除去した後、水、エタノールで洗浄した。その後減圧乾燥し、粉砕することで得られた変性モンモリロナイトを活性化助触媒として用い、遷移金属化合物としてジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用い、有機金属化合物としてトリイソブチルアルミニウムを用いて、遷移金属化合物1μモルZr原子当たり活性化助触媒30mg(30μモル)、有機金属化合物450μモルAl原子を加え、遷移金属化合物の濃度が250μモル/Lとなるように脂肪族飽和炭化水素溶媒で希釈して調製したものをメタロセン触媒(B)として用いた。
メタロセン触媒(B)を単独で用い、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を36.3mol%、反応器の内温(RxT)を204℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合した結果、Crea=0.57、Cpoly=0.041の数値を得た。すなわち、rは0.07であった。また、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体のMFRは4.7g/10分、密度は921kg/mであった。EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3)は1.3となり、式(5)を満たす。
[直鎖状低密度ポリエチレンの製造]
10Lの攪拌機付き反応器を用いて、メタロセン触媒(A)およびメタロセン触媒(B)をメタロセン触媒(A)/(B)比=1/1(Zr原子モル比)で連続的に供給し、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を15.7mol%として反応器の内温を185〜260℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合し、直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。尚、メタロセン触媒(A)としてメタロセン触媒(A)の調製例、メタロセン触媒(B)としてメタロセン触媒(B)の調製例で得られたものをそれぞれ用いた。
この直鎖状低密度ポリエチレン(以下、(a−1)という。)を実施例1で用いた。(a−1)の諸性質を表1に示す。
参考例2
[直鎖状低密度ポリエチレン(a)の製造]
10Lの攪拌機付き反応器を用いて、メタロセン触媒(A)およびメタロセン触媒(B)をメタロセン触媒(A)/(B)比=1/1(Zr原子モル比)で連続的に供給し、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を20.5mol%として反応器の内温を180〜270℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合し、直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。尚、メタロセン触媒(A)としてメタロセン触媒(A)の調製例、メタロセン触媒(B)としてメタロセン触媒(B)の調製例で得られたものをそれぞれ用いた。
この直鎖状低密度ポリエチレン(以下、(a−2)という。)を実施例2で用いた。(a−2)の諸性質を表1に示す。
参考例3
[直鎖状低密度ポリエチレン(a)の製造]
10Lの攪拌機付き反応器を用いて、メタロセン触媒(A)およびメタロセン触媒(B)をメタロセン触媒(A)/(B)比=1/1(Zr原子モル比)で連続的に供給し、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を30.5mol%として反応器の内温を172〜234℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合し、直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。尚、メタロセン触媒(A)としてメタロセン触媒(A)の調製例、メタロセン触媒(B)としてメタロセン触媒(B)の調製例で得られたものをそれぞれ用いた。
この直鎖状低密度ポリエチレン(以下、(a−3)という。)を実施例3で用いた。(a−3)の諸性質を表1に示す。
参考例4
[直鎖状低密度ポリエチレン(a)の製造]
10Lの攪拌機付き反応器を用いて、メタロセン触媒(A)およびメタロセン触媒(B)をメタロセン触媒(A)/(B)比=1/1(Zr原子モル比)で連続的に供給し、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を12.2mol%として反応器の内温を185〜270℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合し、直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。尚、メタロセン触媒(A)としてメタロセン触媒(A)の調製例、メタロセン触媒(B)としてメタロセン触媒(B)の調製例で得られたものをそれぞれ用いた。
この直鎖状低密度ポリエチレン(以下、(a−4)という。)を実施例4で用いた。(a−4)の諸性質を表1に示す。
実施例1
参考例1に示した直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)を<フィルムの成形方法>に示した方法により成形し、空冷インフレーションフィルムを作製した。
得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表2に示す。成形加工性およびフィルムの機械物性が良好であった。
実施例2
直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)の代わりに、参考例2で得られた直鎖状低密度ポリエチレン(a−2)とした以外は、実施例1と同様の方法により空冷インフレーションフィルムを作製した。
得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表2に示す。成形加工性およびフィルムの機械物性が良好であった。
実施例3
直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)の代わりに、参考例2で得られた直鎖状低密度ポリエチレン(a−3)とした以外は、実施例1と同様の方法により空冷インフレーションフィルムを作製した。
得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表2に示す。成形加工性およびフィルムの機械物性が良好であった。
実施例4
直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)の代わりに、参考例2で得られた直鎖状低密度ポリエチレン(a−4)とした以外は、実施例1と同様の方法により空冷インフレーションフィルムを作製した。
得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表2に示す。成形加工性およびフィルムの機械物性が良好であった。
比較例1
直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)の代わりにメタロセン触媒により得られた直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名ハーモレックスNC479A;MFR3.5g/10min、密度925kg/m)(以下、(a−5)という。)とした以外は、実施例1と同様の方法により空冷インフレーションフィルムを作製した。
直鎖状低密度ポリエチレン(a−5)の諸性質を表1に示す。また、得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表3に示す。
得られたポリエチレン樹脂フィルムは、インフレーション成形時のバブルの安定性が不良であり、得られたフィルムは表面荒れが発生し、フィルム外観に劣るものであった。
比較例2
直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)の代わりにメタロセン触媒により得られた直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル社製、商品名アフィニティーPL1845;MFR3.5g/10min、密度910kg/m)(以下、(a−6)という。)とした以外は、実施例1と同様の方法により空冷インフレーションフィルムを作製した。
直鎖状低密度ポリエチレン(a−6)の諸性質を表1に示す。また、得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表3に示す。
得られたポリエチレン樹脂フィルムは、インフレーション成形時のバブルの安定性が不良であり、得られたフィルムは表面荒れが発生し、フィルム外観に劣るものであった。
比較例3
直鎖状低密度ポリエチレン(a−1)の代わりにメタロセン触媒により得られた直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル社製、商品名アフィニティーFM1570;MFR1.0g/10min、密度915kg/m)(以下、(a−7)という。)とした以外は、実施例1と同様の方法により空冷インフレーションフィルムを作製した。
直鎖状低密度ポリエチレン(a−7)の諸性質を表1に示す。また、得られた空冷インフレーションフィルムにより、インフレーション成形時のバブル安定性の評価及びフィルム外観、引張破壊応力および引張破壊呼び歪の評価を行った。これらの評価結果を表3に示す。
得られたポリエチレン樹脂フィルムは、インフレーション成形時のバブルの安定性が不良であり、得られたフィルムは表面荒れが発生し、フィルム外観に劣るものであった。
Figure 0004544421
Figure 0004544421
Figure 0004544421
隣接するピークどうしに重なりが存在する場合の直鎖状低密度ポリエチレンの微分溶出曲線図。
符号の説明
b:ピーク1におけるピーク位置での垂線
a:ピーク1の1/2高さにおける垂線と他のピークとの重なりがない側の幅
(ピーク1における1/2高さの幅:W=a×2)
c:ピーク2における1/2高さの幅(W)

Claims (4)

  1. 下記(ア)〜(カ)の要件を満たす、ジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(r=0.11)及びジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(r=0.07)からなる触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンからなることを特徴とするポリエチレン樹脂フィルム。
    (ア)190℃で測定したメルトフローレート(以下、MFRと言う。)が0.1〜100g/10分であり、
    (イ)密度が870〜950kg/mであり、
    (ウ)GPC法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜4.0であり、
    (エ)温度上昇溶離分別によって得られる微分溶出曲線のピークが2つ以上存在し、該ピーク温度が15℃以上90℃未満の範囲にあり、
    (オ)該微分溶出曲線の最大ピークの高さ(H1)とその次に高いピークの高さ(H
    との比(H/H)が0.25以上であり、
    (カ)該微分溶出曲線の個々のピーク高さ(H)と該ピークの高さの1/2における幅(W)の比(W/H)と該ピーク温度(T)が下記式(1)を満たす。
    W/H<1.70−0.016T (1)

    r=Cpoly/Crea (2)
    (式中、Creaは、反応器内のα−オレフィン/エチレンのモノマー比(モル/モル)を、またCpolyは得られる共重合体に含まれるα−オレフィン/エチレンのモノマー比(モル/モル)を示す。)
  2. 直鎖状低密度ポリエチレンが、2種類のメタロセン触媒を用いて単一の反応器において重合することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂フィルム。
  3. フィルムの厚みが20〜300μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂フィルム。
  4. 共押出成形法またはラミネート法により成形された、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン樹脂フィルムからなる層を少なくとも1層有する積層体。
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