本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、多段構造の基板収納カセットに対して基板を確実に搬出及び搬入することができる基板搬出搬入補助装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の基板搬出搬入補助装置は、基板を所定間隔で多段状に積層して収納するとともに、前記基板が搬出搬入される開口を有するカセットの基板収納領域に対して、進出及び後退可能に設けられたレバーと、前記レバーを前記基板の配列方向に沿って移動可能に支持する昇降機構と、を備え、前記カセットに対して前記基板を載せるためのハンドを有するロボットを用いて前記基板を搬入し又は搬出する場合に、前記基板収納領域に進出した前記レバーによって前記基板を支承または下降させて、前記カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を確保することを特徴とする。
本発明によれば、昇降機構によって支持されたレバーによって前記カセット内での前記ハンドの進出及び後退のための空間を確保又は拡大するので、基板収納カセットにおける多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの収納枚数を増すことができる。さらに、そのような基板収納カセットに対して、ロボットを用いて基板を確実に搬出・搬入することができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記レバーは、前記昇降機構の駆動によって、前記カセットに対する搬入又は搬出の対象となる対象基板と、前記対象基板の一段上に収納された基板と、前記対象基板の一段下に収納された基板と、から選択される少なくとも1枚の基板を支承または下降させることが好ましい。
本発明によれば、基板のサイズやカセットの基板収納ピッチと、ハンドのサイズに応じて、対象基板又はその一段上に収納された基板又はその一段下に収納された基板のうちの少なくとも1枚の基板を支承又は下降させることにより、ハンドの進出及び後退のために必要な空間を確保又は拡大する。また、支承又は降下させる基板は、基板のサイズやカセットの基板収納ピッチと、ハンドのサイズに応じて、適宜選択することができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記レバーが前記基板に当接して、前記基板を支承又は下降させることが好ましい。
本発明によれば、レバーが基板に当接して、これを支承又は下降させるので、従来のカセットを用いて、これに新たな部品の追加することを必要とせず、簡単な構成によりロボットのハンドを進出及び後退させるための空間を拡大することができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記カセットが、その奥側から前記開口側に延びて前記基板が載置される長尺支持部を有する場合において、前記レバーが前記長尺支持部に当接して、前記長尺支持部を支承または下降させることが好ましい。
本発明によれば、奥側から開口側に延びて基板が載置される長尺支持部を有するバックサポート型のカセットにおいて、バックサポートを支承または下降させるので、基板にキズをつけることなく確実にハンドを進出及び後退させるための空間を確保することができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記昇降機構は、前記カセットに載置された前記基板とほぼ平行なビームを有し、前記レバーは、前記ビームから前記カセットの前記基板の積層方向に突出して設立された垂直支承部と、その先端にから前記積層方向と略平行な方向に延出して設けられた爪部とよりなることが好ましい。
本発明によれば、昇降機構のビームよってレバーを確実に支持することができるとともに、レバーを垂直支承部と爪部で構成したので、基板の搬出搬入の際に、ロボットのハンドがビームに緩衝することを回避して、爪部によって基板を確実に支承又は下降させることができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記ビームに複数の前記レバーを配設したことが好ましい。
本発明によれば、ビームに複数のレバーを配設したので、複数のレバーが複数箇所で略均等に基板に作用してハンドの進出及び後退のための空間を拡大するので、基板に過度の応力をかけることがなく、これを破損せず確実に基板の搬出搬入ができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記垂直支承部は前記ビームに回転可能に設立され、その回転駆動により前記爪部が前記基板収納領域に繰り出されることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記爪部は前記垂直支承部の先端から前記基板収納領域に向けて延出するように設けられるとともに、前記垂直支承部又は前記爪部が前記基板収納領域に対して直線往復駆動されて、前記爪部が前記基板収納領域に繰り出されることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記爪部は垂直支承部の先端に前記ビームと平行な軸回りに回転可能に軸支されるとともに、前記爪部が回転駆動されて前記基板収納領域に繰り出されることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記爪部の先端には、ローラーが設けられていることが好ましい。このようにすれば、基板にキズをつけることなく確実に基板の搬入搬出のための支承及び下降をすることができる。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記ビームは、前記基板の積層方向に沿って複数段設けられていることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置では、前記複数のビームは、それぞれ独立に昇降駆動されることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記ロボットの前記カセットに対する基板の搬入及び搬出に対応して、前記昇降機構の昇降及び前記レバーの前記基板収納領域への進出及び後退を制御する制御手段を備えることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記カセットの前記開口に臨むように門型に設立されていることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記カセットの前記開口を囲む枠体に取り付けられていることが好ましい。
本発明の基板搬出搬入補助装置は、前記カセットが載置されるカセット台に取り付けられていることが好ましい。
さらに、本発明の基板搬出搬入補助装置を用いるならば、次のような基板搬出搬入方法及び基板搬出搬入システムを実現することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、奥側から手前側に延びる長尺支持部を所定間隔で多段状に配列し、各段毎の長尺支持部の上に基板を載置して多段収納するカセットに対して、前記基板を載せるためのハンドを有するロボットを用いて基板を搬入し及び基板を搬出する基板搬出搬入方法であって、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部を支承して、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を拡大する支承工程Aを含み、前記カセットからの対象基板の搬出工程及び前記カセットへの対象基板の搬入工程が、当該支承工程Aと共に行われることを特徴とする。
この発明によれば、長尺支持部を支承する支承工程Aにより、カセットでのロボットの進出又は後退のための空間を拡大することができるので、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、多段構造の各段間のピッチが小さい場合においても、対象基板又はこれを載置したハンドが対象基板の上下に収納された基板や上下の基板を載置する支持部(短尺支持部及び長尺支持部など)と緩衝してこれら基板を損傷したりすることなく、これら基板を確実に搬出搬入することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、対象基板の搬出工程が、前記端部を支承した長尺支持部に載置された対象基板の下方にハンドが位置するように、前記ハンドを前記カセットの手前側から奥側に進出させる工程と、前記ハンドを上方に移動して前記長尺支持部よりも上方に対象基板を持ち上げる工程と、対象基板を載せたハンドを奥側から手前側に後退させて対象基板を前記カセット外に取り出す工程とを含むことを特徴とする。
この発明によれば、拡大された空間内から、対象基板を上下に載置された基板や支持部(短尺支持部及び長尺支持部など)に接触させることなく確実に搬出することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記対象基板の搬出工程時の支承工程Aにおいて、前記端部の支承が、対象基板をカセット外に取り出す工程後、又は、対象基板を持ち上げる工程後で対象基板をカセット外に取り出す工程前、に解除されることを特徴とする。
この発明によれば、基板の搬出工程時の支承工程Aの解除を上記2種類のタイミングで行うことができる。これらのうち、前者は支承工程Aのタイミングをシンプルにすることができ、後者はハンドによる基板の搬出時の空間をより拡大させることができるという利点がある。
本発明の基板搬出搬入方法は、対象基板の搬入工程が、長尺支持部よりも上に対象基板が位置するように、対象基板が載ったハンドを前記カセットの手前側から奥側に進出させる工程と、前記ハンドを下方に移動して前記長尺支持部上に対象基板を載置する工程と、対象基板の下方にハンドが位置した状態で前記ハンドを奥側から手前側に後退させる工程とを含むことを特徴とする。
この発明によれば、拡大された空間内に、対象基板を上下に載置された基板や基板を支持する支持部(短尺支持部及び長尺支持部など)に接触させることなく確実に搬入することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記対象基板の搬入工程時の支承工程Aにおいて、前記端部の支承が、ハンドをカセットの手前側から奥側に進出させる工程前、又は、ハンドをカセットの手前側から奥側に進出させる工程後でハンドを奥側から手前側に後退させる工程前、に開始することを特徴とする
この発明によれば、基板の搬入工程時の支承工程Aの開始を上記2種類のタイミングで行うことができる。これらのうち、前者は支承工程Aのタイミングをシンプルにすることができ、後者はハンドによる基板の搬入時の空間をより拡大させることができる。また、ハンドの後退のための空間を十分に広いものとすることができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記搬出工程及び搬入工程において、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部よりも、一段上の長尺支持部を支承する支承工程Bをさらに含み、前記カセットからの対象基板の搬出工程又は前記カセットへの対象基板の搬入工程が、当該支承工程Bと共に行われることを特徴とする。
この発明によれば、一段上の長尺支持部を支承する支承工程Bをさらに含むので、ハンドによる基板の搬出時及び搬入時において、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部と、そのすぐ上の長尺支持部との空間をより拡大させることができる。その結果、対象基板の搬出時においては、基板を載せたハンドをカセット内から後退させるときの空間が広くなり、対象基板の搬入時においては、基板を載せたハンドをカセット内に進出させるときの空間が広くなり、それらの動作をより一層確実に行うことができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記搬出工程及び搬入工程において、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部よりも、一段下の長尺支持部を押し下げる下降工程をさらに含み、前記カセットからの対象基板の搬出工程又は前記カセットへの対象基板の搬入工程が、前記下降工程と共に行われることを特徴とする。
この発明によれば、一段下の長尺支持部を押し下げる下降工程をさらに含むので、ハンドによる基板の搬出時及び搬入時において、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部と、そのすぐ下の長尺支持部との空間をより拡大させることができる。その結果、対象基板の搬出時においては、基板を載せていない空のハンドをカセット内に進出させるときの空間が広くなり、対象基板の搬入時においては、基板を載せていない空のハンドをカセット内から後退させるときの空間が広くなり、それらの動作をより一層確実に行うことができる。
また、本発明の基板搬出搬入方法は、奥側から手前側に延びる長尺支持部を所定間隔で多段状に配列し、各段毎の長尺支持部の上に基板を載置して多段収納するカセットに対して、前記基板を載せるためのハンドを有するロボットを用いて基板を搬入し及び基板を搬出する基板搬出搬入方法であって、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部を支承して、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を拡大する支承工程Aと、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部よりも、一段上の長尺支持部を支承して、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を拡大する支承工程Bと、対象基板を載置する長尺支持部又は対象基板が載置された長尺支持部よりも、一段下の長尺支持部を押し下げて、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を拡大する下降工程と、から選ばれる少なくとも1つの工程を含み、前記カセットからの対象基板の搬出工程又は前記カセットへの対象基板の搬入工程が、当該支承工程A、当該支承工程B及び当該下降工程から選ばれる少なくとも1つの工程と共に行われることを特徴とする。
この発明によれば、搬出工程及び搬入工程が、支承工程A、支承工程B及び下降工程から選ばれる少なくとも1つの工程と共に行われるので、カセットでのロボットの進出又は後退のための空間を拡大することができる。その結果、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、多段構造の各段間のピッチが小さい場合においても、対象基板又はこれを載置したハンドが対象基板の上下に収納された基板や上下の基板を載置する支持部(短尺支持部及び長尺支持部など)と緩衝してこれら基板を損傷したりすることなく、これら基板を確実に搬出搬入することができる。
本発明の基板搬出搬入システムは、奥側から手前側に延びる長尺支持部を所定間隔で多段状に配列し、各段毎の長尺支持部の上に基板を載置して多段収納するカセットと、前記基板を載せるためのハンドを有し、前記基板をカセットに搬入し又は前記基板をカセットから搬出するロボットと、前記長尺支持部を支承又は下降させる端部位置調整機構と、を備えた基板搬出搬入システムであって、前記端部位置調整機構が、前記ハンドを前記カセットの手前側から奥側に進出させるための空間又は前記ハンドを前記カセットの奥側から手前側に後退させるための空間を拡大するために、対象基板を載置する長尺支持部、当該長尺支持部よりも一段上の長尺支持部、及び、当該長尺支持部よりも一段下の長尺支持部から選ばれる少なくとも1つの長尺支持部を支承又は下降させることを特徴とする。
この発明によれば、カセットとロボットと端部位置調整機構とによって、ハンドをカセットの手前側から奥側に進出させるための空間又はハンドをカセットの奥側から手前側に後退させるための空間を拡大することができるので、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、多段構造の各段間のピッチが小さい場合においても、対象基板又はこれを載置したハンドが対象基板の上下に収納された基板や上下の基板を載置する支持部(短尺支持部及び長尺支持部など)と緩衝してこれら基板を損傷したりすることなく、これら基板を確実に搬出搬入することができる。また、本発明は、従来のバックサポート型カセットの基本構造に端部位置調整機構を加えることによって達成でき、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、従来の他の基板搬出搬入方法のような複雑な機構も必要ではないので、低コストで実現することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、支持部を所定間隔で多段状に配列し各段毎の支持部の上に基板を載置して多段収納するとともに前記基板の搬出及び搬入が可能な開口を有するカセットに対して、前記基板を載せるためのハンドを有するロボットを用いて、基板を搬出する搬出又は搬入する基板搬出搬入方法であって、搬出される対象基板又は搬入された対象基板を支承して、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を確保する支承工程Aを含み、前記対象基板の搬出工程又は搬入工程のいずれかが前記支承工程Aと共に行なわれることを特徴とする基板搬出搬入方法である。
この発明によれば、基板を支承する支承工程Aにより、カセットでのロボットの進出又は後退のための空間を確保することができるので、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、多段構造の各段間のピッチが小さい場合においても、対象基板又はこれを載置したハンドが対象基板の上下に収納された基板や上下の基板を載置する支持部と緩衝してこれら基板を損傷したりすることなく、これら基板を確実に搬出搬入することができる。また、本発明は、従来のカセットの基本構造であっても支承工程Aを加えることによって、特殊なアームや機構を有するロボットや複雑な機構を必要とせず、低コストで確実な基板の搬入及び搬出を実現することができる。
本発明の基板搬出搬入方法では、前記搬出工程は、前記対象基板の下方に前記ハンドが位置するように、前記ハンドを前記カセットの前記開口側から奥側に進出させる工程と、前記ハンドを上方に移動して前記支持部よりも上方に前記対象基板を持ち上げる工程と、前記対象基板を載せたハンドを前記奥側から前記開口側に後退させて前記対象基板を前記カセット外に取り出す工程と、を含み、前記支承工程Aが前記ハンドを前記カセットの前記開口側から前記奥側に進出させる工程よりも前に開始されることが好ましい。
本発明によれば、支承工程Aがハンドをカセットの開口側から奥側に進出させる工程よりも前に開始されるので、ハンドの進出の際にその上側に位置することとなる対象基板が支承工程Aで支承されており、その対象基板と一段下の基板との間にハンドの進入が可能な空間を十分に確保することができる。
本発明の基板搬出搬入方法では、前記搬入工程は、前記支持部よりも上に前記対象基板が位置するように、前記対象基板が載ったハンドを前記カセットの前記開口側から奥側に進出させる工程と、前記ハンドを下方に移動して前記支持部上に前記対象基板を載置する工程と、前記対象基板の下方にハンドが位置した状態で前記ハンドを前記奥側から前記開口側に後退させる工程とを含み、前記支承工程Aが前記ハンドを前記奥側から前記開口側に後退させる工程よりも前に開始されることが好ましい。
本発明によれば、支承工程Aがハンドを前記奥側から前記開口側に後退させる工程よりも前に開始されるので、対象基板を支持部に載置した後のハンド後退の際にその上側に位置することとなる対象基板が支承工程Aで支承されており、その対象基板と一段下の基板との間にハンドの進入が可能な空間を十分に確保することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記搬出工程で搬出される前記対象基板が載置されている前記支持部又は前記搬入工程で搬入される前記対象基板が載置される前記支持部のいずれかの前記支持部よりも一段上の支持部に載置された基板を支承する支承工程Bをさらに含み、前記対象基板の搬出工程又は前記対象基板の搬入工程が、当該支承工程Bと共に行われることが好ましい。
本発明によれば、基板搬出の際には、支承工程Bにより対象基板よりも一段上の基板が支承されるので、対象基板と一段上の基板との間に対象基板を持ち上げたハンドが後退するために十分な空間を確保できる。一方、基板搬入の際には、支承工程Bにより搬入される対象基板が載置される予定の支持部よりも一段上の支持部に載置された基板が支承されるので、対象基板を載せたハンドと支承された一段上の基板との間にハンドが後退するために十分な空間を確保できる。従って、基板の搬入及び搬出の動作をより一層確実に行うことができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記搬出工程で搬出される前記対象基板が載置されている前記支持部又は前記搬入工程で搬入される前記対象基板が載置される前記支持部のいずれかの前記支持部よりも一段下の支持部に載置された基板を押し下げる下降工程をさらに含み、前記対象基板の搬出工程又は前記対象基板の搬入工程が、前記下降工程と共に行われることが好ましい。
本発明によれば、基板搬出の際には、下降工程により対象基板よりも一段下の基板が押し下げられるので、対象基板と一段下の基板との間にハンドが進出するために十分な空間を確保できる。一方、基板搬入の際には、下降工程により搬入後の支持部に載置された対象基板よりも一段下の基板が押し下げられるので、対象基板と一段下の基板との間にハンドが後退するために十分な空間を確保できる。従って、基板の搬入及び搬出の動作をより一層確実に行うことができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記支承工程A、前記支承工程B及び前記下降工程は、前記カセットの奥側から前記開口側に延びる長尺支持部を支承または下降させることにより実行されることが好ましい。
本発明によれば、支承工程A、支承工程B及び下降工程が、直接基板を支承したり押し下げたりして行うのではなく、長尺支持部を介して支承又は下降させるので、基板に直接の応力が掛かることがなく、また、基板を全体的に平均的に支承又は降下させることができ支承工程A、支承工程B及び下降工程の精度があがる。従って、基板の搬入及び搬出の動作をより一層確実に行うことができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、支持部を所定間隔で多段状に配列し、各段毎の支持部の上に基板を載置して多段収納するとともに前記基板の搬出及び搬入が可能な開口を有するカセットに対して、前記基板を載せるためのハンドを有するロボットを用いて基板を搬入し又は基板を搬出する基板搬出搬入方法であって、搬出される対象基板又は搬入された対象基板を支承して、カセット内での前記ハンドの進出及び後退のための空間を確保する支承工程Aと、搬出される前記対象基板又は搬入された前記対象基板が載置される前記支持部よりも一段上の支持部に載置された基板を支承する支承工程Bと、搬出される前記対象基板又は搬入された前記対象基板が載置される前記支持部よりも一段下の支持部に載置された基板を押し下げる下降工程と、から選ばれる少なくとも1つの工程を含み、前記カセットからの対象基板の搬出工程又は前記カセットへの対象基板の搬入工程が、当該支承工程A、当該支承工程B及び当該下降工程から選ばれる少なくとも1つの工程と共に行われることを特徴とする。
この発明によれば、搬出工程及び搬入工程が、支承工程A、支承工程B及び下降工程から選ばれる少なくとも1つの工程と共に行われるので、カセットでのロボットの進出又は後退のための空間を拡大することができる。その結果、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、多段構造の各段間のピッチが小さい場合においても、対象基板又はこれを載置したハンドが対象基板の上下に収納された基板や上下の基板を載置する支持部と緩衝してこれら基板を損傷したりすることなく、これら基板を確実に搬出搬入することができる。また、本発明は、従来のカセットの基本構造に、支承工程A、支承工程B及び下降工程から選ばれる少なくとも1つの工程を加えることによって達成でき、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、複雑な機構も必要ではないので、低コストで確実な基板の搬入搬出を実現することができる。
本発明の基板搬出搬入方法は、前記支承工程A、前記支承工程B及び前記下降工程は、前記カセットの奥側から前記開口側に延びる長尺支持部を支承または下降させることにより実行されることが好ましい。
本発明によれば、支承工程A、支承工程B及び下降工程が、直接基板を支承したり押し下げたりして行うのではなく、長尺支持部を介して支承又は下降させるので、基板に直接の応力が掛かることがなく、また、基板を全体的に平均的に支承又は降下させることができ支承工程A、支承工程B及び下降工程の精度があがる。従って、基板の搬入及び搬出の動作をより一層確実に行うことができる。
本発明の基板搬出搬入システムは、支持部を所定間隔で多段状に配列し、各段毎の支持部の上に基板を載置して多段収納するとともに、前記基板の搬出及び搬入が可能な開口を有するカセットと、前記基板を載せるためのハンドを有し、前記カセットに対して前記基板を搬入し又は搬出するロボットと、前記ロボットの基板搬出又は搬入動作の際に、前記カセットの前記開口側から奥側との間で前記ハンドが進出又は後退するための空間を確保する基板搬出搬入補助装置と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、カセットとロボットと基板搬出搬入補助装置とによって、ハンドをカセットの手前側から開口側に進出させるための空間又はハンドをカセットの奥側から開口側に後退させるための空間を確保することができるので、多段構造カセットの各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、多段構造の各段間のピッチが小さい場合においても、対象基板又はこれを載置したハンドが対象基板の上下に収納された基板や上下の基板を載置する支持部と緩衝してこれら基板を損傷したりすることなく、これら基板を確実に搬出搬入することができる。
また、本発明の基板搬出搬入システムでは、基板搬出搬入補助装置は、前記基板の搬出に際して搬出される対象基板、又は前記基板の搬入に際して搬入される対象基板のいずれかの対象基板を支承して、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を確保することが好ましい。
この発明によれば、従来のカセットの基本構造に対して、対象基板を支承する基板搬出搬入補助装置を加えることによって、カセット内でのロボットの進出又は後退のための空間を確保することができる。また、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、従来の他の基板搬出搬入方法のような複雑な機構も必要ではないので、低コストで多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができる。
また、本発明の基板搬出搬入システムでは、基板搬出搬入補助装置は、基板の搬出に際して搬出される対象基板が載置されている支持部、又は前記基板の搬入に際して搬入される対象基板が載置される支持部のいずれかの支持部よりも一段上又は一段下の支持部に収容される基板を支承又は下降させて、カセット内での前記ハンドの進出又は後退のための空間を確保することが好ましい。
この発明によれば、対象基板が載置される支持部より一段上又は一段下の基板を支承又は下降させるので、ハンドによる基板の搬出時及び搬入時において、対象基板とその上下に隣接する基板との空間をより拡大させることができる。その結果、対象基板の搬出時においては、基板を載せたハンドをカセット内から後退させるときの空間が広くなり、対象基板の搬入時においては、基板を載せたハンドをカセット内に進出させるときの空間が広くなり、基板搬出搬入の動作をより一層確実に行うことができる。
さらに、本発明の基板搬出搬入システムは、基板搬出搬入補助装置及びロボットを連動制御する制御装置を備えることが好ましい。
この発明によれば、基板搬出搬入補助装置及びロボットを連動制御する制御装置を備えるので、プログラムに従って所定の対象基板位置にアクセスするロボットのために、基板搬出搬入補助装置によって所定の対象基板を支承してハンドが進出及び後退するための空間を正確に確保することができる。
本発明の基板搬出搬入システムは、基板搬出搬入補助装置が、カセットの開口部の近傍に設けられていることを特徴とする。このとき、基板搬出搬入補助装置が、少なくとも1つの基板を支承又は下降させるための、1軸又は2軸以上のスライド機構を有することが好ましい。
本発明の基板搬出搬入システムは、基板搬出搬入補助装置が、ロボットに設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、基板搬出搬入補助装置をロボットに設けられた他のハンドに設けることにより、カセット毎に基板搬出搬入補助装置を設ける必要がなく、コスト的な効果を高めることができる。
なお、本願において、「支承」とは、長尺支持部を下側から支えることであるが、長尺支持部の撓みをキャンセルするようにある程度持ち上げることも含む意味で用いている。このような支承によれば、カセットに収納された上下に隣り合う基板と基板との間の空間を拡大し、又は、基板の撓みをキャンセルして隣り合う基板と基板との間の所定の空間を確保することができる。さらに、本願における「支承」及び「下降」には、必要な幅の空間を確保するために、基板の撓みを所望の方向に操作又は補正するという意味である。
本発明の基板搬出搬入補助装置によれば、昇降機構によって支持されたレバーによって前記カセット内での前記ハンドの進出及び後退のための空間を確保又は拡大するので、基板収納カセットにおける多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの収納枚数を増すことができる。さらに、そのような基板収納カセットに対して、ロボットを用いて基板を確実に搬出・搬入することができる。
本発明の基板搬出搬入方法によれば、カセットでのロボットの進出と後退に係る空間を拡大することができるので、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、その場合においても基板を確実に搬出搬入することができる。また、本発明は、従来のバックサポート型カセットの基本構造に支承工程を加えることによって達成でき、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、従来の他の基板搬出搬入方法のような複雑な機構も必要ではないので、低コストで実現することができる。
本発明の基板搬出搬入システムによれば、カセットとロボットと端部位置調整機構とによって、ハンドをカセットの手前側から奥側に進出させるための空間又はハンドをカセットの奥側から手前側に後退させるための空間を拡大することができるので、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、その場合においても基板を確実に搬出搬入することができる。また、本発明は、従来のバックサポート型カセットの基本構造に端部位置調整機構を加えることによって達成でき、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、従来の他の基板搬出搬入方法のような複雑な機構も必要ではないので、低コストで実現することができる。
以下、本発明の基板搬出搬入方法及び基板搬出搬入システムについて、図面に基づいて実施の形態を説明する。なお、以下においては図面を例示して説明するが、本発明の技術的範囲はその記載及び図示例に限定されるものではない。
(基板搬出搬入システムの概要)
図1は、本発明の基板搬出搬入方法及び基板搬出搬入システムの装置構成の一例を示す斜視図である。本発明の基板搬出搬入方法及び基板搬出搬入システムは、図1に示すように、基板1を多段収納するカセット11と、基板1をカセット11に搬入し又は基板1をカセット11から搬出するロボット21と、カセット11が有する長尺支持部を支承又は下降させる基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31とを基本構成としたものである。そして、端部位置調整機構31にはその作動を制御するコントローラ70が接続される一方、ロボット21にはロボットコントローラ71が接続されている。さらに、これらを連動制御するために、シーケンサー72がコントローラ70に接続されている。
なお、図1中、矢印Xは、ロボット21のハンド22が進出・後退(以下、進出及び/又は後退をこのように記載する。)する方向を示し、矢印Yは、ロボット21がカセット11の積層方向に移動する方向を示している。また、図1の例では、端部位置調整機構31は、両サイドの支柱40,40間に上下に昇降するビーム34が少なくとも1本設けられた門型構造を呈しており、カセット11の前面側(ロボット側)に配置され、カセット台2に取り付けられている。カセット11は、例えば自動搬送車によって、カセット台2上に移載することができる。なお、本実施の形態では、端部位置調整機構31は、カセット11の基板1を搬出及び搬入する開口の側(手前側)から長尺支持部の端部を支承又は下降させるものである。
この端部位置調整機構31では、門型構造の支柱40,40とビーム34とが主に昇降機構300を構成する。また、昇降機構300のビーム34には、長尺支持部の手前側の端部に当接可能なようにカセット11の基板収納領域に進出・後退可能な支承部材が設けられている。そして、昇降機構300は、支承部材を基板の積層方向に沿って移動可能に支持しており、昇降機構300の移動により支承部材に当接した長尺支持部の端部を支承又は下降させ、カセット11内におけるロボット21のハンド22が進出・後退する空間を確保する。さらに、ビーム34は、1本でもよいが2本又は3本設けられることが好ましく、その場合はロボット21のハンド22が進出・後退する空間をより良好に確保することができる。
本実施の形態において、端部位置調整機構31は、ロボット21による基板の搬出搬入を補助する基板搬出搬入補助装置として機能するものである。また、このような基板搬出搬入補助装置は、カセット11の基板収納領域に進出・後退可能な支承部材が設けられているので、長尺支持部の端部を支承又は下降させる構成に限らず、基板1を直接に支承又は下降させる構成とすることもできる。要は、基板1の搬出搬入を確実に補助するために、多段状に配列(積層)されて収納された基板の積層ピッチを拡大したり、基板の撓みを調整したりして、ロボット21のハンド22が進出・後退する空間を確保するように基板1に作用するものであればよい。
さらに、基板1に直接作用してこれを支承又は下降させる構成の基板搬出搬入補助装置は、長尺支持部を有するバックサポート型カセットに限らず、特許文献3のカセット及び基板処理加工装置等においても収納又は載置された基板に撓みが発生する場合に適用できる。なお、基板の積層ピッチを拡大したり、基板の撓みを調整したりするにあたっては、撓みが最も大きくなる位置で支持部や基板を支承又は下降させることが好ましい。特に、本実施の形態では長尺支持部の手前(開口)側の端部又は基板の開口側を支承又は下降させている。
次に、本発明の基板搬出搬入システムを構成する各装置について説明する。
(基板収納カセット)
先ず、本発明の基板搬出搬入システムに用いる基板収納カセット(以下、カセットという)の一例について説明する。図2〜図4は、本発明の基板搬出搬入システムを構成するカセットの一例を示す概略図である。より詳しくは、図2は基板を載せる任意の段の構造を示す概略平面図であり、図3は基板が多段収納された形態を示す概略側面図であり、図4は基板が多段収納された形態を示す概略正面図である。
カセット11は、上下の枠体17,18と、手前側の枠体19と、左右の枠体12と、奥側の枠体13とで構成されており、手前側の枠体19は、基板1を載せる4本のハンドフォーク23を有するハンド22を装着したロボット21がカセット11内に進出・後退できるように、枠組みされていない開口部19aを有している。
基板1を載せる任意の段の構造は、図2中に破線で表した基板1を短尺支持部14と長尺支持部15とよりなる支持部で支持して収納するようになっている。短尺支持部14は、ロボット21からみてカセット11の左右両側から内方に向かって延びるように、左右の枠体12に奥側から手前側の方向に所定のピッチで複数設けられている。短尺支持部14の長さは特に限定されないが、少なくとも基板1を安定に支持できると共に両サイドのハンドフォーク23に接触しない長さで設けられていることが好ましい。各短尺支持部14の間の所定のピッチも特に限定されず、少なくとも基板1を安定に支持できるピッチで設けられていることが好ましい。短尺支持部14としては、例えば軽量で高強度のアルミニウム合金製又は炭素素材(グラファイトシャフト等)等の棒が好ましく用いられ、その先端には、基板1に接触傷が付かないようにゴム等の弾性材料が設けられていることが好ましい。
長尺支持部15は、ロボット21からみてカセット11の奥側から手前側の開口部19aに向かって延びるように、奥側の枠体13に基板1の左右幅方向に所定のピッチで複数設けられている。長尺支持部15の長さは、後述する端部位置調整機構31がこれを支持できる位置まで延びていることが好ましく、通常は、手前側の枠体19に重なる位置まで延びているように設けることが好ましい。奥側の枠体13に複数設けられる長尺支持部15の基板1の左右幅方向におけるピッチは特に限定されないが、図2中に破線で示すハンドフォーク23と平面視的に交互になるように所定のピッチで設けられていることが好ましい。長尺支持部15としては、例えば軽量で高強度のアルミニウム合金製又は炭素素材(グラファイトシャフト等)等の棒が好ましく用いられ、少なくとも基板1と接触する側には、基板1に接触傷が付かないようにゴム等の弾性材料が設けられていることが好ましい。この長尺支持部15は、端部位置調整機構31で支持される端部16を有するが、この端部16は、図2に示すように一回り小さい径からなる部材であってもよいし、同じ径のままであってもよい。さらに、基板1を直接に支承又は下降させる構成の基板搬出搬入装置を用いる場合には、端部16は省略することができ、長尺支持部15の長さはカセット11の開口部に達するほど長く製作する必要はない。この場合、長尺支持部15のコストを比較的低く抑えることができる。
カセット11は、図3及び図4に示すように、基板1を載せる短尺支持部14と長尺支持部15とで構成される段が多段状に所定のピッチで積層された構造をなすものである。基板1を載置する各段の積層方向のピッチは特に限定されるものではなく、ハンド22のフォーク23の進出・後退が許容される間隔に設定されればよい。なお、本実施の形態では、各段(基板積層)のピッチは、後述する端部位置調整機構31を適用することにより、大型化する基板1に対して相対的に狭いピッチとすることができる。従って、カセット11は、各段のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数が増すように設計して、基板の生産増への対応が容易にできるものとすることができる。
(基板搬出搬入補助装置)
次に、本実施の形態における基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31の概要を図2から図4を参照して説明する。なお、図3においては、基板1の表示を省略している。端部位置調整機構31は、支承部材30と昇降機構300とより主に構成され、ハンドフォーク23を有するハンド22が出入りするカセット11の手前側の枠体19の開口部19a近傍に設けられている。
昇降機構300は、両サイドの支柱40,40とその間を橋渡す形態で設けられたビーム34より主になり、支柱40,40内には、例えば、基板1の積層方向に延びるリニアガイド及びスライダーを有する装置をタイミプーリーとタイミングベルトを用いた駆動系で動作する装置が設けられている。
支承部材30は、昇降機構300の駆動によって、長尺支持部15の端部16を支承又は下降させるために、ビーム34の長尺支持部15の端部16に対応する部分に設けられ、カセット11の基板収納領域に進出・後退可能とされている。そして、支承部材30は、カセット11の基板収納領域に進出した場合には長尺支持部15に当接して、これを支承又は下降させることができるようになっている。この支承部材30は、各段毎の長尺支持部15の端部16と同じ位置に設けられているように設計され、各段毎の長尺支持部15の全てを支承又は下降させることができるように、各段毎の長尺支持部15と同じ数だけ設けられている。支承部材30の形状や長さは特に限定されないが、図3に示すように、数cm程度の長さで形成されていることが好ましい。なお、ビーム34には、さらに、マッピングセンサー41が設けられており、カセット11に収納された基板1の位置を検出可能となっている。
このような端部位置調整機構31は、所定の段を構成する長尺支持部15の端部16の位置又はその段に収納される基板1の端部の位置を調整して、ハンドフォーク23を有するハンド22をカセット11の手前側から奥側に進出させるための空間及び/又は奥側から手前側に後退させるための空間を拡大するように動作する。たとえば、図3及び図4に示すように、昇降手段300のビーム34及び支承部材30が、最上段から2段目の基板1aを載置する長尺支持部15aを支承すると、その1段下の基板1cは撓んだ状態で長尺支持部15cの上に載置されているので、ハンドフォーク23の進出・後退が確実にできるよう基板1aと基板1cとの間の空間が十分に拡大されることになる。なお、本実施の形態の端部位置調整機構31では、図示しない別のビーム及び支承部材が、最上段の基板1bの長尺支持部15bを支承しており、基板1aと基板1bとの間の空間も十分に確保されている。
ここで、基板1cを載置する長尺支持部15c以下の段にも基板1(図3では図示省略)が載置収納されて、撓んだ状態となっている。すなわち、収納された基板1及びこれを載置する長尺支持部15は、カセット11の奥側から手前側にかけて下側に傾斜するように撓んでおり、さらに、左右の短尺支持部14から基板の中央に向けて撓みが大きくなっている(図4参照)。このようなカセット11の各段間の空間は、ハンドフォーク23の進出・後退するのに十分なものではないが、端部位置調整機構31の昇降手段300のビーム34及び支承部材30による支承によって、ハンドフォーク23の進出・後退可能な空間が確保されるようになっている。
このような端部位置調整機構31は、図1に示すようにカセット台2から設立して設けてもよいし、カセット11の手前側の枠体19に設けてもよい。こうした端部位置調整機構31は、図2〜図4に示すようにカセット11の開口部近傍に設けられることにより、少なくとも1つの端部16(16a,16b,16c)を支承又は下降させるために、1軸又は2軸以上の昇降機構300を有している。カセット11の開口部近傍に設けられた端部位置調整機構31は、2軸以上の複数のスライド機構を併用することができる点で好ましい。
(基板搬送ロボット)
次に、本発明の基板搬出搬入システムに使用される基板搬送ロボットについて説明する。本発明に使用されるロボットは、本発明の基板搬出搬入方法を実現できるハンドを有するものであれば特に限定されず、各種の形態のロボットを使用することができる。
図5は、本発明に使用されるロボットの駆動形態を示す模式図である。ロボット21は、1つのハンドを有するものであってもよいが、図5に示すように2つのハンド22a,22bを有するものが好ましく用いられる。図5において、ロボット21は、4本のハンドフォーク23aが取り付けられたハンド支持部24aを2つのアーム25a,26aで駆動する第1ハンド22aと、同じく4本のハンドフォーク23bが取り付けられたハンド支持部24bを2つのアーム25b,26bで駆動する第2ハンド22bとを有している(以下、ハンドフォークを有するハンドのことを、特にことわらない限り、単に「ハンド」という。)。従来の基板搬出搬入システムと同様、本発明の基板搬出搬入システムにおいても、2つのハンド22a,22bを有するロボット21が好ましく用いられる。2つのハンド22a,22bを有するロボット21は、それぞれのハンド22a,22bが独立に動作するので、搬出搬入を効率的に行うことができる。なお、図5中、符号27は基台を示している。
図6及び図7は、本発明に使用される端部位置調整機構を備えるロボットの具体的な一例を示す右側面図(図6(A))、正面図(図6(B))及び平面図(図7)である。なお、図5の基板搬送ロボットと同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。このロボット21は、2つのハンド22a,22bを有し、さらに、端部位置調整機構31を備えている。2つのハンド22a,22bは、昇降シャフト29に取り付けられて基台27に装着されている。基台27は、アンカーボルト等で固定フレーム28又は固定レールに固定されている。一方、端部位置調整機構31は、ハンドフォークの先端付近に配置されており、その端部位置調整機構31を伸縮可能にするスライド部材35aを備えている。また、端部位置調整機構31は、長尺支持部15の端部16を支承又は下降させるための昇降部材35を備えている。そして、昇降部材35の先端には、支承部材30が配設されたビーム34が設けられている。本発明においては、端部位置調整機構31を伸縮及び昇降可能にする機構(昇降部材35)を備えるので、長尺支持部15の端部16を支承又は下降することができ、ハンド22a,22bが基板を搬出搬入する際に、その搬出搬入を確実に行うことができる。なお、ハンドフォークは、例えばカーボン繊維と樹脂の複合材料等で構成することができ、高い剛性と軽量化を図ることができるが、特に限定されるものではなく、金属などであってもよい。
本発明において、図6及び図7に示すような端部位置調整機構31を備えるロボット21を使用する場合には、図1〜図4に示すような端部位置調整機構31をカセット11近傍に設ける必要はない。
(基板搬出搬入方法)
次に、上記基板搬出搬入システムを利用した本発明の基板搬出搬入方法について説明する。図8は、本発明の基板搬出搬入方法を説明するための概略平面図である。この図は、基板が収納される一つの段の構成を示す平面図(A)と、その左側面図(基板搬出搬入方向から見た図)であり、カセット11の奥側の枠体13から延びる3本の長尺支持部15が、端部位置調整機構31が備える3つの支承部材30で支承又は下降される態様を示したものである。なお、ロボット21のハンド22のハンドフォーク23は、各長尺支持部15を等間隔で挟むように4本設けられている。以下に示す各形態においては、端部位置調整機構が設けられている部位は特に特定せず、カセットの開口部近傍に設けられていても、ロボットに設けられていてもよい。なお、長尺支持部15と短尺支持14上に載置される基板は図示を省略している。
図9〜図14は、本発明の基板搬出搬入方法の各例を示す概念的な説明図である。なお、上述した基板1がカセット11に載置された際の撓みについては、図示を省略している。本発明の基板搬出搬入方法は、上述したカセット11に対して、基板を搬入し及び搬出するためのロボット21を用いた方法であり、その特徴は、対象基板1aを載置する長尺支持部15aの手前側の端部16a又は対象基板1が載置された長尺支持部15aの手前側の端部16aを支承して、カセット内でのハンド22の進出又は後退のための空間を拡大する支承工程Aを含み、対象基板の搬出工程及び搬入工程が、支承工程Aと共に行われることにある。こうした特徴を有する基板搬出搬入方法の第1形態〜第6形態を順に説明する。
図9は、第1形態に係る基板搬出搬入方法の説明図である。なお、図中矢印Hは、基板搬出時におけるハンド22の移動方向を示す(以下、図10〜図14において同じ)。搬出工程は、対象基板1aが載置された長尺支持部15aの端部16aを支承する支承工程Aと、長尺支持部15aに載置された対象基板1aの下方にハンド22が位置するように、ハンド22をカセットの手前側から奥側に進出させる工程(S1)と、ハンド22を上方に移動して(S2)長尺支持部15aよりも上方に対象基板1aを持ち上げる工程(S3)と、対象基板1aを載せたハンド22を奥側から手前側に後退させて(S4)対象基板1aをカセット外に取り出す工程(S5)とを含み、これらの工程がこの順で行われる。この搬出工程においては、支承工程Aにより、カセット内に空(カラ)のハンド22が進出する空間を拡大することができるので、ハンド22が上下の段に載置された基板1b,1cや支持部(短尺支持部14及び長尺支持部15b,15c)に接触するのをなくすことができる。その結果、搬出工程を確実に行うことができる。
この搬出工程時での支承工程Aは、支承部材30が長尺支持部15aの端部16aをその位置で保持、又は若干押し上げるように保持する工程であり、図9の第1形態において、搬出工程時での支承工程Aの開始はハンド22が手前側から奥側に進出させる工程(S1)の前であり、搬出工程時での支承工程Aの解除は対象基板1aをカセット外に取り出した(S5)後である。
搬入工程は、上述の搬出工程とは逆の手順により実行され、矢印Hとは反対の方向にハンド22が駆動される。先ず、対象基板1aを載置する長尺支持部15aの端部16aを支承する支承工程Aと、長尺支持部15aよりも上に対象基板1aが位置するように、対象基板1aが載ったハンド22をカセットの手前側から奥側に進出させる工程(S5及びS4)と、ハンド22を下方に移動して長尺支持部15a上に対象基板1aを載置する工程(S3)と、対象基板1aの下方にハンド22が位置した状態(S2)でハンド22を奥側から手前側に後退させる工程(S1)とを含み、これらの工程がこの順で行われる。この搬入工程においては、支承工程Aにより、対象基板1aを載置する長尺支持部15aが撓まないので、その長尺支持部15a上に対象基板1aを確実に載置することができる。また、カセット内の長尺支持部15a及び短尺支持部14上に対象基板1aを載せた後の空のハンド22が後退する空間を拡大すること、又はその空間が狭まることを防止することができるので、ハンド22が上下の長尺支持部15b,15cに接触するのをなくすことができる。その結果、搬入工程を確実に行うことができる。
上記搬出工程時と同様、搬入工程時での支承工程Aは、支承部材30が長尺支持部15aの端部16aをその位置で保持、又は若干押し上げるように保持する工程であり、図9の第1形態において、搬入工程時での支承工程Aの開始は対象基板1aを載せたハンド22が手前側から奥側に進出させる工程(S4)前であり、搬入工程時での支承工程Aの解除は空のハンド22をカセット外に取り出した(S1)後である。
図10は、第2形態に係る基板搬出搬入方法の説明図である。この第2形態に係る方法の搬出工程は、支承工程Aが解除されるタイミングが上記第1形態に係る方法の搬出工程と若干異なる点を除いて、第1形態の係る方法と同じであるので、重複する部分についてはその記載を省略する。すなわち、第2形態に係る方法の搬出工程は、対象基板1aが載置された長尺支持部15aの端部16aを支承する支承工程Aと、長尺支持部15aに載置された対象基板1aの下方にハンド22が位置するように、ハンド22をカセットの手前側から奥側に進出させる工程(S1)と、ハンド22を上方に移動して(S2)長尺支持部15aよりも上方に対象基板1aを持ち上げる工程(S3及びS4)と、この持ち上げる工程と同時に又は持ち上げる工程後に支承工程Aを解除する工程と、対象基板1aを載せたハンド22を奥側から手前側に後退させて対象基板1aをカセット外に取り出す工程(S5)とを含み、これらの工程がこの順で行われる。この搬出工程においては、支承工程Aが解除されると長尺支持部15aの先端側が下方に撓むので、対象基板1aを載せたハンド22の後退を確実に行うことができる。
搬入工程においても支承工程Aが開始されるタイミングが上記第1形態に係る方法の搬入工程と若干異なる点を除いて、第1形態の係る方法と同じであるので、重複する部分についてはその記載を省略する。したがって、第2形態に係る方法の搬入工程は、対象基板1aが載ったハンド22をカセットの手前側から奥側に進出させる工程(S5及びS4)と、対象基板1aを載置する長尺支持部15aの端部16aを支承する支承工程Aと、この支承工程Aと同時に又は支承工程A後に、ハンド22を下方に移動して長尺支持部15a上に対象基板1aを載置する工程(S3)と、対象基板1aの下方にハンド22が位置した状態(S2)でハンド22を奥側から手前側に後退させる工程(S1)とを含み、これらの工程がこの順で行われる。この搬入工程においては、対象基板1aが載ったハンド22の進出が、上述した第1形態に係る基板搬出搬入方法の場合よりも、より確実に行うことができる。
図11は、第3形態に係る基板搬出搬入方法の説明図である。この第3形態に係る方法は、上記第1形態及び第2形態に係る方法の搬出工程及び搬入工程において、対象基板1aを載置する長尺支持部15a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15aよりも一段上の長尺支持部15bの手前側の端部16bを支承する支承工程Bをさらに含む方法であり、カセットからの対象基板1aの搬出工程及びカセットへの対象基板1aの搬入工程が、その支承工程Bと共に行われることに特徴がある。
この第3形態に係る方法は、上記支承工程Bの開始と解除が支承工程Aと同時に行われることに特徴があり、その他の点では上記第1形態及び第2形態に係る方法と同じである。この第3形態に係る方法によれば、一段上の長尺支持部15bの手前側の端部16bを支承する支承工程Bをさらに含むので、ハンド22による基板の搬出時及び搬入時において、対象基板を載置する長尺支持部15a又は対象基板が載置された長尺支持部15と、そのすぐ上の長尺支持部15bとの空間をより拡大させることができる。その結果、対象基板1aの搬出時においては、基板を載せたハンド22をカセット内から後退させるときの空間が広くなり、対象基板1aの搬入時においては、基板を載せたハンド22をカセット内に進出させるときの空間が広くなり、それらの動作をより一層確実に行うことができる。なお、図11において、フロー(1)は第1形態と同じタイミングによる。(2)は第2形態と同じタイミングによる。
図12は、第4形態に係る基板搬出搬入方法の説明図である。この第4形態に係る方法は、図11に示した第3形態に係る方法の搬出工程及び搬入工程において、対象基板1aを載置する長尺支持部15a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15aよりも一段下の長尺支持部15cの手前側の端部16cを押し下げる下降工程をさらに含む方法であり、カセットからの対象基板1aの搬出工程及びカセットへの対象基板1aの搬入工程が、その下降工程と共に行われることに特徴がある。
この第4形態に係る方法は、上記下降工程の開始と解除が支承工程A及び支承工程Bと同時に行われることに特徴があり、その他の点では上記第3形態に係る方法と同じである。この第4形態に係る方法によれば、一段下の長尺支持部15cの手前側の端部16cを押し下げる下降工程をさらに含むので、ハンド22による基板の搬出時及び搬入時において、対象基板1aを載置する長尺支持部15a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15と、そのすぐ下の長尺支持部15cとの空間をより拡大させることができる。その結果、対象基板1aの搬出時においては、基板を載せたハンド22をカセット内から後退させるときの空間が広くなり、対象基板1aの搬入時においては、基板を載せたハンド22をカセット内に進出させるときの空間が広くなり、それらの動作をより一層確実に行うことができる。
図13は、第5形態に係る基板搬出搬入方法の説明図である。この第5形態に係る方法は、図12に示した第4形態に係る方法の搬出工程及び搬入工程において、対象基板1aを載置する長尺支持部15a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15aの支承工程Aの開始及び解除のタイミングを上記第2形態に係る方法と同じにした方法である。
すなわち、第5形態に係る方法の搬出工程は、対象基板1aが載置された長尺支持部15aの端部16aを支承する支承工程Aと、この支承工程Aと同時にその長尺支持部15aより一段上の長尺支持部15bの端部16bを支承する支承工程Bと、この支承工程A,Bと同時にその長尺支持部15aより一段下の長尺支持部15cの端部16cを押し下げる下降工程と、長尺支持部15aに載置された対象基板1aの下方にハンド22が位置するように、ハンド22をカセットの手前側から奥側に進出させる工程(S1〜S2)と、ハンド22を上方に移動して長尺支持部15aよりも上方に対象基板1aを持ち上げる工程(S3及びS4)と、この持ち上げる工程と同時に又は持ち上げる工程後に支承工程Aを解除する工程と、対象基板1aを載せたハンド22を奥側から手前側に後退させて対象基板1aをカセット外に取り出す工程(S5)とを含み、これらの工程がこの順で行われる。そして、最後に支承工程Bと加工工程が解除される。
また、第5形態に係る方法の搬入工程は、対象基板1aが載置される長尺支持部15aより一段上の長尺支持部15bの端部16bを支承する支承工程Bと、この支承工程Bと同時にその長尺支持部15aより一段下の長尺支持部15cの端部16cを押し下げる下降工程と、対象基板1aが載ったハンド22を対象基板1aが載置される長尺支持部15aの上方の位置に手前側から奥側に進出させる工程(S5及びS4)と、対象基板1aを載置する長尺支持部15aの端部16aを支承する支承工程Aと、この支承工程Aと同時に又は支承工程A後に、ハンド22を下方に移動して長尺支持部15a上に対象基板1aを載置する工程(S3)と、対象基板1の下方にハンド22が位置した状態(S2)でハンド22を奥側から手前側に後退させる工程(S1)とを含み、これらの工程がこの順で行われる。そして、最後に、支承工程A,Bと加工工程が解除される。
この第5形態に係る方法は、基板の搬出工程及び搬入工程のいずれの場合においても、ハンド22の進出時及び後退時の空間を最も広くすることができるので、それらの動作をより一層確実に行うことができる。
図14は、第6形態に係る基板搬出搬入方法の説明図である。この第6形態に係る方法は、上述した第1〜第5形態に係る方法とは異なり、対象基板1aを載置する長尺支持部15aの端部16a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15aよりも一段上の長尺支持部15bの端部16bを支承する支承工程Bと、対象基板1aを載置する長尺支持部15a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15aよりも、一段下の長尺支持部15cの端部16cを押し下げる下降工程とを含み、長尺支持部15aの端部16aを支承又は下降させないことに特徴がある。この第6形態においては、支承工程Bと下降工程の両方ではなく、いずれか一方を実施する工程としてもよい。
この第6形態に係る発明は、上述した第1〜第5形態の方法のように対象基板1aを載置する長尺支持部15a又は対象基板1aが載置された長尺支持部15aを支承するのではなく、その長尺支持部15aの一段上の長尺支持部15bを支承すると共に一段下の長尺支持部15cを下降させる。こうした支承工程B及び/又は下降工程により、長尺支持部15aと、そのすぐ上の長尺支持部15bとの空間及びそのすぐ下の長尺支持部15cとの空間をより拡大させることができる。その結果、対象基板1aの搬出時と搬入時において、ハンド22の進出又は後退のための空間を広くすることができるので、それらの動作を確実に行うことができる。なお、第5形態においては、支承工程Bと下降工程は、S1の前に実行し、S4又はS5の後に解除することが望ましい。
以上説明したように、本発明の基板搬出搬入方法によれば、各段毎のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数が増すように設計されたカセットを用いた場合であっても、基板の搬出及び搬入を確実に行うことができる。
こうした本発明は、従来のバックサポート型カセットの基本構造に端部位置調整機構を加えることによって達成できるので、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、従来の他の基板搬出搬入方法のような複雑な機構も必要ではないので、低コストで実現することができる。
(端部位置調整機構)
次に、基板搬出搬入補助装置の一例として、長尺支持部の手前側の端部を支承又は下降させる端部位置調整機構について詳述する。上述したように、端部位置調整機構31は、ハンド22をカセット11の手前側から奥側に進出させるための空間及びハンド22をカセット11の奥側から手前側に後退させるための空間を拡大するための装置であり、上記第1形態〜第6形態の係る方法で説明したように、対象基板1aを載置する長尺支持部15aの端部16a、その長尺支持部15aよりも一段上の長尺支持部15bの端部16b、及び、その長尺支持部15aよりも一段下の長尺支持部15cの端部16cから選ばれる少なくとも1つの端部を支承又は下降させる装置である。
こうした端部位置調整機構31は、図1のカセット台2上に設けられた形態のように、カセット11の手前側の開口部の近傍に設けられていてもよいし、図6及び図7に示した形態のように、ロボットに設けられていてもよい。端部位置調整機構をカセット11の開口部19aの近傍に設ける場合には、1軸はもちろん、2軸以上の複数の昇降機構を設けることができる点で好ましい。また、端部位置調整機構をロボットに設ける場合には、端部位置調整機構をロボットの他のハンドの先端に設けることにより、カセットやカセット毎に端部位置調整機構を設ける必要がなく、コスト的な効果を高めることができる。
図15は、カセットの開口部近傍に装着された端部位置調整機構31の一例を示す正面図であり、図16〜図18は、端部位置調整機構に各要素の拡大図である。図16は図15におけるA部の拡大図、図17は図16における側面図。図18は図15におけるB部の拡大図であり、図18(a)は、その平面図、図18(b)は正面図、図18(c)は側面図である。なお、これら図15〜図18は、透視図であり内部構造を示している。
端部位置調整機構31は、カセットの手前側の枠体19に取り付けられるものであり、その基板を搬出搬入する開口部19aの近傍に装着されてロボットの動作と連動して長尺支持部15の端部16を支承又は下降させるように動作する。なお、端部位置調整機構31は、カセット11の枠体19と対向するようにカセット台2上に設立されていてもよい(図1を参照)。さらに、長尺支持部15の端部16に代えて、開口部19aの側から基板を支承又は下降させる端部位置調整機構としても機能させることができるものである。なお、符号41は、マッピングセンサーであり、基板位置を検出するためのものである。
端部位置調整機構31は、カセットの手前側の枠体19に取り付けられた左右の支柱40,40と、それらの間に差し渡されて基板の積層方向に沿って移動可能であるとともに支承部材としてのレバー30を複数有するビーム34とにより門型構造に形成されている。なお、本実施の形態において、ビーム34は、レバー30を基板の積層方向に沿って移動可能に支持する昇降機構300の一部をなすものであり、下側ビーム34aと上側ビーム34bとが連結部材34cによって上下方向に一定の距離をもって一体に連結されて構成されている。また、支柱40及びビーム34は、中空形状に形成されて、その内部に後述するスライド機構400やレバー30の駆動機構を内蔵している。このような機構を内蔵する構成によって、端部位置調整機構31の駆動による発塵を抑制することができるので、液晶表示パネルやプラズマディスプレイパネル(PDP)の製造工程で要求される清浄雰囲気を汚染することがない。
左右の支柱40,40には、ビーム34を昇降させるスライド機構400として、ガイドレール35と、そのガイドレール35上をスライドする3つのキャリッジ48で構成されたスライダー49とからなる左右一対の直動案内装置(リニアモーションガイドという。)が設けられている。さらに、支柱40,40の一端には、昇降駆動源42からの駆動力が伝達されるプーリー47aが設けられ、他端には従動プーリー47bが回転自在に軸支されている。そして、プーリー47aと従動プーリー47bとの間には、スライダー49に両端が連結されることにより無端ベルト状に形成されたタイミングベルト36が装着されている。従って、スライダー49は、駆動源によるプーリー47aの回転駆動に対応して、基板積層方向である上下方向に移動可能となっている。そして、スライダー49は、ビーム34を支持して昇降するようになっている。なお、図15中の最上部に点線で示すビーム34は、最上部に上昇したビーム34を示す。
また、左右の支柱40,40内は、ある程度の空間を有するので、一方側の支柱40の空間には移動可能なケーブルベア50が挿入されている。なお、ベアケーブル50は、後述するレバー30を駆動するエアー供給チューブやマッピングセンサー41の信号線等のビーム34を制御するための各種ケーブル等を結束収納するものであり、その一端がスライダー49に接続され、他端がガイドレール35と対向する支柱40の内壁に固定されている。ベアケーブル50は、スライダー49の昇降移動に対応して支柱40内を移動し、その昇降移動を阻害しないように設けられている。
次に、図16を参照して、スライド機構400の昇降駆動源42について説明する。本実施の形態の昇降駆動源42は、サーボモーター42である。このサーボモーター42の駆動回転は、カップリング43とベアリング(サポートユニット)44を介して減速機45に伝えられるようになっている。サーボモーター42からの回転駆動力は、減速機45に連結されたシャフト46を介して、左右の支柱40,40のプーリー47aに伝達される。そして、プーリー47aの回転に対応して、スライダー49が昇降駆動される。また、図15中、右側の支柱40のプーリー47aは、シャフト46の一端に直接連結されて回転駆動するように設けられている。一方、図15中、左側の支柱40のプーリー47aは、シャフト46の他端に連結されたベアリング(サポートユニット)51とジョイント52とカップリング53とドライブシャフト54とを介して、回転駆動するようになっている。なお、減速機45ベアリング(サポートユニット)51とジョイント52とカップリング53とドライブシャフト54等は、支柱40及びビーム34と同様に中空形状に形成されたフレーム55に収容されていることが、防塵の点で望ましい。
本実施の形態では、昇降駆動源42は、支柱40の外部に設けられているが、支柱40内の空間に設けるようにしてもよい。また、左右の支柱40内のスライド機構400をそれぞれ独立の昇降駆動源によって駆動してもよく、リニアモータにより直接駆動する構成とすることもできる。このように昇降駆動源は、サーボモーターに限定されず、DCモータやリニアモータ等を用いる等種々の変形が可能である。同様に、昇降駆動機構も本実施の形態に限定されるものではない。
図17は、端部位置調整機構31の側面の拡大図である。端部位置調整機構31は、取付治具81によって、例えばカセットの手前側の枠体19に固定されている。なお、端部位置調整機構31の固定方法や固定箇所は特に限定されるものではなく、カセット台2の側面に取り付ける構成としてもよい。
次に、ビーム34は、図16に拡大して示すように、下側ビーム34aと上側ビーム34bとが連結部材34cによって上下方向に一定の距離をもって一体に連結されている。下側ビーム34aと上側ビーム34bには、それぞれ上下に対向するように支承部材30としてのレバー30が所定の間隔で同数設けられている(図15参照)。なお、レバー30は、端部位置調整機構31が作動して長尺支持部15又は基板を支承又は下降させる際に、これらに当接して支承又は下降状態を支持する部材である。
このビーム34の両端は、ベアリングホルダー82を介して左右のスライダー49に連結されている。このようにしてビーム34は、スライダー49の昇降によって、基板積層方向に移動可能となっている。なお、左右のベアリングホルダー82は、左右のスライダー49の昇降移動量に誤差が生じた場合に、その誤差を補正してビーム34とスライダー49との間発生する応力を吸収し、左右のスライダー49の駆動、すなわちビーム34の昇降作動をスムースにするためのものである。
また、ビーム34には、マッピングセンサー41が取り付けられている。このマッピングセンサー41は、カセットの基板収納部に向けてレーザー光を射出し、カセットに収納されている基板からの反射光を受光して、基板の収納位置を検出するものである。マッピングセンサー41からの検出信号を演算することにより、端部位置調整機構31及びこれに連動するロボット21の作動を制御することができる。
次に、支承部材としてのレバー30及びその駆動機構について、図16及び図18を参照して説明する。なお、図18(a)(b)(c)は、カセット11に対して繰り出されていない状態のレバー30(支承部材)を示している。また、レバー30は下側ビーム34aと上側ビーム34bにそれぞれ設けられているがその構成及び駆動は同一であるので、以下ビーム34のレバー30により説明する。
レバー30は、爪部32と垂直支承部としての爪延出部67aとよりなる。なお、爪延出部67aは爪シャフト67の一部をなし、爪部32は爪シャフト67の先端側から基板と略平行な方向に延出する。爪シャフト67は、基板積層方向と平行な姿勢でビーム34を貫通してベアリング69,69に回動可能に軸支されている。従って、爪部32は、爪シャフト67の回動によって、カセットの長尺支持部15又はカセットに収納された対象基板に当接可能な位置(カセット11の基板収納領域)に対して進出・後退が可能とされている。なお、爪部32の先端には、ローラー33が装着され、支承又は下降させる対象基板1に接触する際の滑りを向上させて傷の発生を防いでいる。すなわち、爪部32は、ビーム34の昇降作動に応じて、長尺支持部15又は対象基板に対してその上側と下側の両方から当接可能となっている。
また、爪延出部67aは、垂直支承部として、レバー30が長尺支持部15又は対象基板を支承又は下降している場合に、ビーム34と爪部32とを十分に離間させて、進出後退するハンド22がビーム34と緩衝しない状態での基板の支承又は下降を可能としている。従って、爪延出部67aの長さは、下側ビーム34aと上側ビーム34bとの間隔、カセット11の基板1の積層ピッチ、及び端部位置調整機構31が調整対象とする基板の選択によって、ハンド22の進出・後退を許容するスペースを確保するように決定される。ここで、ハンド位置の選択とは、搬出搬入の対象とする対象基板を支承するか、対象基板よりも一段上の基板を支承するか、若しくは、対象基板よりも一段下の基板を下降させるか、又はこれら支承及び下降の組合せを選択することをいう。なお、下側ビーム34aと上側ビーム34bは、その間にロボットハンド22の通過を許容する間隔で且つ、各ビームに配置されたレバー30が隣接する段の基板を支承又は下降できるように設けられている。
次に、爪シャフト67のベアリング69,69に軸支される部分の中間には、リンク部材66が爪シャフト67と一体回転するように固定されている。リンク部材66の爪シャフト67に固定される側とは反対の端部には、ロッド63のロッドエンド65,65が可動に連結されている。ロッド63は、エアシリンダ61によって支柱40に近づき又は離れる方向に往復運動可能とされている。そして、ロッド63の往復運動によってロッドエンド65,65が図18中の矢印Wの方向に往復移動し、これに押されてリンク部材66が図18中の矢印Rの方向に90°往復回動する。これによって、爪シャフト67も回動して、その先端に設けられたレバー30は、90°旋回して、カセットの長尺支持部15又はカセットに収納された対象基板1に当接可能な位置に対して進出・後退するように構成されている。なお、ロッド63は、エアシリンダ61側に配置される場合は一端側がジョイント62によってエアシリンダ61と連結されて他端側がロッドエンド65としてリンク部材66に連結されており、各レバー30間に配置される場合はロッドエンド65を両端に有して両端側がリンク部材66に連結されている。
本実施の形態においては、レバー30の駆動源は、エアシリンダ61としているが、これに限らずソレノイドやリニアモータ等を用いることもできる。また、駆動伝達手段としては、リンク部材66とロッド63による他、駆動源に応じてラックアンドピニオンやカム機構を用いることもできる。レバー30の駆動源及び駆動機構は、本実施の形態に限定されるものではない。
このように構成された端部位置調整機構31は次のように作動する。例えば、スライド機構400により対象基板1の近傍の所定位置にまでビーム34を昇降させた後、エアシリンダ61を駆動させてレバー30を旋回しさせる。すなわち、基板収納領域に繰り出す。その後、スライド機構400を微動させてレバー30を長尺支持部15又は対象基板1に当接させて、さらにスライド機構を駆動し、所望の空間が確保されるように対象基板1を支承又は下降させる。このような作動を繰り返すことにより、本発明の基板搬出搬入方法の形態を実施することができる。
(システムの制御)
次に、本発明の基板搬出搬入方法を実行する基板搬出搬入システムの制御について説明する。基板搬出搬入システムは、基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31とロボット21とを連動駆動させるもので、その制御装置としてコントローラ70とロボットコントローラ71とシーケンサー72とが接続されている(図1参照)。図19は、本発明の基板搬出搬入システムの制御装置を示すブロック図である。
端部位置調整機構31のコントローラ70は、CPU(中央処理装置)701と、ROM702と、RAM703と、EEPROM704と通信部705と外部入出力I/F706と、駆動制御部110とがバスによって接続されている。
CPU701は、コントローラ70の制御中枢を司るものであって、端部位置調整機構31に対する制御を行うための演算処理を行う。
ROM702は、端部位置調整機構31の作動プロログラムを格納しているプログラム記憶部として機能する。また、RAM703及びEEPROM704は、CPU701と互いにインターフェースとている。RAM703は、変数の書き込み及び読み出しがランダムに行なわれる。EEPROM704は、電気的に何度でも記憶の消去・書き込みが可能であって、外部から電力を供給しなくても記憶を保持することができる。例えば、マッピングセンー41による基板位置の検出データはEEPROM704に記憶される。
通信部705は、複数のI/F(インターフェース)を有し、ロボットコントローラ71及びシーケンサー72等がそれぞれ接続され、端部位置調整機構31(基板搬出搬入システム)の制御のための各種データやプログラムの入出力がなされる。また、外部入出力I/F706は、端部位置調整機構31に設けられたマッピングセンサー41などが接続される。
駆動制御部707は、CPU701による演算処理を経て作成された制御指令を受けて、昇降機構300及びレバー30の駆動源(駆動軸)の駆動を制御する。この駆動制御部707は、端部位置調整機構31の駆動軸数に応じて、各駆動軸に対応する同数の駆動制御器を備える。
ロボットコントローラ71は、端部位置調整機構31のコントローラ70と略同様の構成である。すなわち、演算処理を行うCPU、作動プログラムを格納するROMと、ワーキングエリアとしてのRAMやEEPROM、通信部、外部入出力I/F、各駆動軸の駆動を制御する駆動制御部等を備え、ロボット21の駆動軸を制御するものである。
シーケンサー72はCPUを搭載し、端部位置調整機構31のコントローラ70及びロボットコントローラ71が接続されて、部位置調整機構31とロボット21との駆動が所定のタイミングでなされるように制御するものである。なお、コントローラ70、ロボットコントローラ71及びシーケンサー72の接続は並列接続であり、どのような順番で接続してもよい。また、必要により、シーケンサー72から一つのコントローラ(コントローラ70又はロボットコントローラ71)に接続し、さらにそこから複数の別のコントローラに接続することもできる。すなわち、複数の端部位置調整機構31と複数のロボット21とを一のシーケンサー72に接続して、複雑な基板搬出搬入システムを構成することもできる。また、シーケンサー72は、通常のパーソナルコンピュータで代替することもできる。
次に、このように制御装置が構成された基板搬出搬入システムの作動について説明する。
その作動は次の順で行なわれる。なお、ここでは、基板を直接に支承する動作を行う基板搬出搬入システムとして説明するが、基板下降動作により基板搬出搬入のための空間を拡大する場合であても、又は基板支承と下降の両動作による場合であっても、さらに、長尺支持部を支承又は下降させる場合であっても、同様の作動によることができる。
(1)シーケンサー72は、端部位置調整機構31のコントローラ70に対して、基板1の有無を調べるマッピング指令を出す。
(2)コントローラ70は、ROM702からマッピング作動実行プログラムを呼び出し、このプログラムに基づき駆動制御部707から端部位置調整機構31に対してマッピング動作実行命令を出す。このような命令によって、端部位置調整機構31は、例えば、昇降機構300を基板1の積層方向にカセット11の最下段の位置から最上段の位置まで駆動させて、マッピングセンサー41による走査を実行して、カセット11における基板1の載置箇所(各段における基板1の収納の有無)を検出する。
(3)コントローラ70は、マッピングセンサー41からの基板1の有無検出の信号を外部入出力I/F706を経由して受信する。そして、CPU701での演算処理によって、カセット11における基板1の収納数や収納段の位置に関する基板収納情報を得る。この基板収納情報は必要により、EEPROM704に記憶される。
(4)コントローラ70は、シーケンサー72に対して、マッピング作動完了の報告とともに基板収納情報を通知する。
(5)シーケンサー72は、コントローラ70に対して、基板収納情報に基づき基板の搬出又は搬入の対象となる所定の収納段へのアクセス指令を出す。
(6)コントローラ70は、ROM702から基板支承動作の実行プログラムを呼び出し、このプログラムと基板収納情報に基づき駆動制御部707から端部位置調整機構31に対して基板支承動作の実行命令を出す。そして、上述したように昇降機構300及びレバー30が駆動されて、基板1の支承が実行され、支承状態となる。
(7)コントローラ70は、例えば端部位置調整機構31からの停止信号によって、基板支承状態となった端部位置調整機構31の端部調整動作終了情報を得る。
(8)コントローラ70は、端部調整動作終了情報を受けて、ロボットコントローラ71に対して、端部調整動作終了情報を通知する。これと同時に又は事前にロボットコントローラ71には、ロボット21が対象基板1を搬出搬入する所定の収納段に関する位置情報を含む基板収納情報が通知される。
(9)ロボットコントローラ71は、端部調整動作終了情報を受けて、ロボット21に対して所定の収納段に対する対象基板1の搬入又は搬出の動作を指示する実行命令を出す。なお、この命令は、ロボットコントローラ71のプログラム記憶部に予め格納されている動作プログラムに基づくものである。
(10)ロボット21が所定の搬入又は搬出する動作を完了すると、ロボットコントローラ71にその動作完了情報が通知される。
(11)ロボットコントローラ71は、コントローラ70に対して、ロボット21の動作完了情報を通知する。さらにその動作完了情報は、コントローラ70の通信部705を介してシーケンサー72へ通知されて、所定の収納段に対する対象基板1の搬出搬入動作は完了する。
(12)ロボット21の動作完了情報を受けたコントローラ70は、上述の(11)と同時に又は直後又は直前に、端部位置調整機構31に対して基板支承動作を解除する動作を実行する命令を出し、基板1の支承が解除される。なお、この解除動作は、(6)同様にROM702から呼び出された実行プログラムに基づき実行される。
(13)最後に、引き続き基板搬出搬入を行う必要がある場合は、ロボットの動作完了情報を受けたシーケンサー72は、次の動作対象となる次の収納段に対する別の基板1の搬出又は搬入のために、コントローラ70に対して、次の収納段へのアクセス指令を出す。そして、予定の基板搬出搬入が完了するまで、上述の(6)以降の作動が繰り返し実行される。
このように本発明の基板搬出搬入システムは、端部位置調整機構31のコントローラ70とロボット21のロボットコントローラ71とシーケンサー72とよりなる制御装置によって制御されているので、基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31とロボット21とが連動駆動される。すなわち、本発明の基板搬出搬入システムでは、端部位置調整機構31がロボット21の駆動に先立って対象基板1が搬出搬入される所定の収納段にアクセスして基板を支承又下降させる。一方、ロボット21は、制御装置からの命令と情報に基づきカセット11の所定の収納段に対する対象基板1の搬入及び搬出を実行する。このとき、所定の収納段の位置情報がロボット21に認識されているとともに、端部位置調整機構31によって所定の収納段に対するロボット21のハンド22の進出・後退が可能な空間が拡大又は確保されているので、確実に基板の搬出及び搬入を行うことができる。
また、ロボット21の作動において、対象基板1が搬入される所定の収納段又は搬出対象基板1の位置を走査して検知する必要がないので、ロボット21は所定の収納段に対して、高速で、正確に基板1を搬出搬入することができる。
さらに、マッピングセンサー41による基板位置走査及び基板の支承又は下降の実行・解除動作並びにその実行・解除のためのビーム34の昇降動作など端部位置調整機構31が動作する間に、ロボット21はカセット11に対して搬出搬入する対象基板1を処理する別の装置にアクセスし又は別のカセット11に対する対象基板1の搬出搬入を行うことができる。従って、本発明の基板搬出搬入システムでは、搬送タクトを工程の待ち時間として無駄にすることなく、基板の製造工程の効率を高めることができる。
(変形例)
次に、第3〜第6形態のように、2つ以上の長尺支持部15の端部16をそれぞれ独立して支承又は下降させる場合には、2つ又は3つのビームを独立に駆動させることが必要である。その変形例を次に説明する。
例えば、ビームの連結部材34cを基板積層方向である上下に伸縮駆動可能とし、その上下の端部に下側ビーム34a及び上側ビーム34bを支持する構成とすることができる。この場合、スライド機構400と伸縮駆動する連結部材34cとを順次又は独立に駆動することにより、それぞれ所望の長尺支持部又は基板を支承又は下降させることができる。また、下側ビーム34aの下側にさらに別のビームを固定又は上下移動可能に設けてもよい。また、連結部34cの伸縮駆動に代えて、連結部34cに昇降スライド機構を設けてもよい。いずれの場合も、各ビームの駆動に応じて、それぞれに配設されたレバー30が駆動されることが好ましい。
さらに別の例としては、スライド機構400を複数設けそれぞれにビーム34を連結して、複数のビーム34を昇降させることもできる。この場合、複数のスライド機構とエアシリンダー61によるレバー30の旋回動作をそれぞれ独立に行うことが好ましい。
次に、レバー30の変形例を図20から図22に示す。図20は、レバー301をカセット11に収納された基板の開口部19a側の端部又はその収納領域に対して、直角に直線的に繰り出す変形例の平面図である。図20において、(a)はレバー30が繰り出された進出状態を示す平面図、(b)は基板収納領域から後退した状態を示す平面図、(c)は正面図である。この変形例では、ビーム34にレバーの数に対応する複数のソレノイドやエアシリンダー等のリニア駆動装置(図示しない)が内蔵されており、これらによってレバー301が図中矢印L1の方向に直線往復駆動される。このレバー301は、垂直支承部(爪延出部)がリニア駆動装置に直接設立されており、ビーム34に設けたガイド切り欠き部34dから基板積層方向に延出している(図20(c)参照)。その他の構成は、上述の実施の形態と同様であり、同じ構成には同一の符号を付してその説明は省略する。この変形例によれば、レバー301が基板に対して、直線的に進出・後退作動をするので、基板を直接に支承又は下降させる場合でも、基板を傷つけることは殆どない。
次に、図21に、上述の変形例と同様に、レバー302をカセット11に収納された基板の開口部19a側の端部又はその収納領域に対して、直角に直線的に繰り出す別の変形例示す。この変形例では、ビーム34に代えて、駆動機構を内蔵しないバー340を用いている。バー340には、所定間隔でレバー302が固定されている。バー340は、図中の矢印L2の方向に往復駆動可能な水平スライダー83によって左右の両端を支持されている。水平スライダー83は、例えば、支柱40内のスライダー49に連結されたシリンダ装置等により支柱40に対して、基板搬出搬入方向に沿って離接駆動されるとともに、スライド機構400により、基板搬送方向に昇降可能に支持されている。従って、レバー30は、水平スライダー83によって、カセット11に収納された基板1及びその収納領域に対して進出・後退が可能となっている。なお、レバー302の形状は、上述の実施の形態と同様であるので説明は省略する。この変形例によれば、ビームとしてのバー340に駆動機構を備えないので、基板の近傍での塵埃発生を最小に抑制することができる。また、簡単な構成で高精度且つ安価なビームを提供することができる。
図22にさらに別の変形例を示す。図22において、(a)は本変形例のビームの正面図、(b)は要部を拡大した側面図、(c)は要部の拡大正面図である。この変形例のレバー303は、爪部320と垂直支承部670により構成されている。垂直支承部670は、カセット11の基板積層方向と平行な方向にビーム34に垂直に設立されている。垂直支承部670の先端部には軸321を介して、爪部320が回動可能に軸支されている。また、軸321にはビーム34に内蔵された駆動伝達機構(図示しない)からベルト322により回動のための駆動力が伝達されるようになっている。爪部320はベルト322からの駆動力を受けて、図中矢印R2の方向に回動し、基板1の収納領域への進出・後退が可能となる。このよに、本変形例のレバー303は、基板1の収容領域に進出・後退する爪部320とこれを設けたビーム34の昇降作動によって、基板又は長尺支持部の支承又は下降が可能となっている。
次に、上述の実施の形態においては、基板収納カセット11としておもに、奥側から開口部又はその近傍にまで延出して基板を保持する長尺支持部15を有するものであったが、本発明はそれ以外の基板収納カセットに対しても良好に適用することができる。その基板収納カセットについて説明する。なお、以下の説明において、上述の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図23は、本発明における基板搬出搬入装置を適用するカセットの別の例を示す平面図である。ここで、カセット110は、基板1を収納する各段に基板を載置する長尺支持部150を有する。この長尺支持部150は、カセット110の開口部19aにまでは延出せず、基板搬出搬入方向の1/5程度までの長さであり、奥側の枠体13から延出している。このようなカセット110においても、開口部19aの側に基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31を設けることができる。この場合、レバー30は基板1の開口19a寄りの部分を支承又は下降させるものとなる。なお、図23においては、レバー30が基板収納領域に進出した状態を示している。
図24は、本発明における基板搬出搬入装置を適用するカセットのさらに別の例を示す平面図である。カセット111は、基板1を収納する各段に基板を載置する長尺支持部を有さず、奥側の枠体13に基板1を支持する突起151が設けられている。そして、この突起151と短尺支持部14とにより、基板1を載置して収納する段が構成されている。このカセットは、比較的小型の基板を収納するものであり、液晶表示パネルやプラズマディスプレイパネル(PDP)等の後半の製造工程で、大型基板が分割切断され加工がある程度進んだ工程で多用される。このようなカセット111においても、開口部19aの側に基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31を設けることができる。この場合、レバー30は基板1の開口19a寄りの部分を支承又は下降させるものとなる。なお、図24においては、レバー30が基板収納領域に進出した状態を示している。
以上説明したように、本発明の基板搬出搬入方法及び基板搬出搬入システムによれば、カセット11とロボット21と基板搬出搬入補助装置としての端部位置調整機構31とによって、ハンド22をカセット11の手前側から奥側に進出させるための空間又はハンド22をカセット11の奥側から手前側に後退させるための空間を拡大することができるので、多段構造の各段間のピッチを小さくして単位空間体積当たりの基板の収納枚数を増すことができると共に、その場合においても基板を確実に搬出搬入することができる。また、本発明は、従来のバックサポート型カセットの基本構造に端部位置調整機構を加えることによって達成でき、特殊なアームや機構を有するロボットを必要とせず、また、従来の他の基板搬出搬入方法のような複雑な機構も必要ではないので、低コストで実現することができる。