この発明は、2枚以上の反射型平面グレーティング(以下、これを平面グレーティングという)に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすようアライメントするセグメントグレーティングアライメント装置に関するものである。
高強度のレーザ光を利用する分野では、レーザ光の伝播時における光学系の損傷を防ぐために、単位断面積あたりで伝搬させるレーザ光の強度を制限する必要がある。このため、ビーム径の大きなレーザ光が用いられる。レーザ光の伝播時に平面グレーティングを使用する場合には面積の大きな平面グレーティングを使用する必要がある。
面積の大きな平面グレーティングを達成する装置の先行例として、1枚の大きな平面グレーティングを作成する方法が用いられている。例えば、2枚のレプリカを使用して1枚の大きな平面グレーティングを作成する装置がある(例えば、非特許文献1参照)。
クリストファ・パルマ(Christopher Palmer)著、「ディフラクション・グレーティング・ハンドブック第5版(Diffraction Grating Handbook fifth edition)」、スペクトラ・フィジクス・リチャードソン・グレーティング・ラボラトリ(Spectra Physics Richardson Grating Laboratory)刊行、2002年2月、第151頁−第153頁
従来の面積の大きな平面グレーティングは上述したように構成されているが、2枚以上のレプリカを使用して1枚の大きな平面グレーティングを作成する方法では、使用するレプリカの枚数が増えるにつれて、個々のレプリカの相対的な角度と相対的な位置を合わせるための技術的な難易度が増していくという課題があった。更に、このようにしてできあがった1枚の大きな平面グレーティングについても、熱の影響で平面グレーティングが変形することで、平面グレーティングの表面精度が落ちるという課題があった。
これらの課題を解決するため、面積の小さな平面グレーティングを2枚以上並べて面積の大きな平面グレーティングと同等の性能を出す方法が有効であると考えられる。ただし、この方法では、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすようアライメントするセグメントグレーティングアライメント装置が必要であるという課題があった。
図28は、2枚の平面グレーティングにおける、平面グレーティングの回折面内にあって平面グレーティングの持つ溝の方向に垂直な軸(以下、これをX軸という)のまわりの回転に対応する角度(以下、これを角度Aという)の相対的な角度ずれを示す図である。図29は、2枚の平面グレーティングにおける、平面グレーティングの回折面内にあって平面グレーティングの持つ溝の方向に平行な軸(以下、これをY軸という)のまわりの回転に対応する角度(以下、これを角度Bという)の相対的な角度ずれを示す図である。図30は、2枚の平面グレーティングにおける、平面グレーティングの回折面に垂直な軸(以下、これをZ軸という)のまわりの回転に対応する角度(以下、これを角度Cという)の相対的な角度ずれを示す図である。2枚の平面グレーティングにおける角度A、角度B、角度Cの相対的な角度ずれは、入射光が2枚の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光に相対的な角度ずれが生じる要因となる。
図31は、2枚の平面グレーティングにおける、Z軸方向の座標(以下、これを座標Zという)の相対的な座標ずれを示す図である。図32は、2枚の平面グレーティングにおける、X軸方向の座標(以下、これを座標Xという)の座標差を示す図である。2枚の平面グレーティングにおける座標Zの相対的な座標ずれと座標Xの座標差は、入射光が2枚の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光に相対的な位相ずれが生じる要因となる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、2枚以上の平面グレーティングにおける角度A、角度B、角度Cの相対的な角度ずれに起因する、入射光が各々の平面グレーティングによって生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを無くすよう調整することができるセグメントグレーティングアライメント装置を得るものである。
また、この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第2の目的は、2枚以上の平面グレーティングにおける座標Zの相対的な座標ずれと座標Xの座標差に起因する、入射光が各々の平面グレーティングによって生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすよう調整することができるセグメントグレーティングアライメント装置を得るものである。
この発明に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、入射光が2枚の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすようアライメントするグレーティングアライメント装置を備え、前記グレーティングアライメント装置は、入射光が2枚の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを検出する位相ずれ検出手段と、前記位相ずれ検出手段によって検出した位相ずれを無くすよう調整する位相ずれ調整手段とを有するものである。
この発明に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、2枚以上の平面グレーティングにおける角度A、角度B、角度Cの相対的な角度ずれに起因する、入射光が各々の平面グレーティングによって生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを無くすよう調整することができるという効果を奏する。また、2枚以上の平面グレーティングにおける座標Zの相対的な座標ずれと座標Xの座標差に起因する、入射光が各々の平面グレーティングによって生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすよう調整することができるという効果を奏する。
この発明の実施例1に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例2に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例3に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例4に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例5に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例6に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
平面グレーティングに入射する入射光の進行方向と、入射光が平面グレーティングによって回折されて生じる回折光の進行方向との関係を示す図である。
2枚の平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cがすべて一致している場合を基準として、片方の平面グレーティングの角度AをdA[μrad]だけ変化させたときに、1次回折光の相対的な角度ずれdD[μrad]、XZ面内の成分dDin[μrad]、XZ面外の成分dDout[μrad]をプロットした結果を示す。
2枚の平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cがすべて一致している場合を基準として、片方の平面グレーティングの角度BをdB[μrad]だけ変化させたときに、1次回折光の相対的な角度ずれdD[μrad]、XZ面内の成分dDin[μrad]、XZ面外の成分dDout[μrad]をプロットした結果を示す。
2枚の平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cがすべて一致している場合を基準として、片方の平面グレーティングの角度CをdC[μrad]だけ変化させたときに、1次回折光の相対的な角度ずれdD[μrad]、XZ面内の成分dDin[μrad]、XZ面外の成分dDout[μrad]をプロットした結果を示す。
2枚の平面グレーティングの角度CがdC[μrad]だけ異なっているときに、角度Aと角度Bを調整して、各々の1次回折光の相対的な角度ずれを無くせるdA[μrad]とdB[μrad]の値をプロットした結果を示す。
入射光の1053[nm]の波長成分で各々の1次回折光の相対的な角度ずれを無くした場合に、入射光の1050[nm]と1056[nm]の波長成分に対して、各々の1次回折光の相対的な角度ずれdD[μrad]、XZ面内の成分dDin[μrad]、XZ面外の成分dDout[μrad]をプロットした結果を示す。
この発明の実施例7に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例8に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例9に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
2つの平面グレーティングの座標Xの座標差dXを0として、座標Zの座標ずれdZ[μm]に対して、1次回折光の相対的な位相ずれdP[rad]をプロットした結果を示す。
2つの平面グレーティングの座標Zの座標ずれdZを0として、座標Xの座標差dX[μm]を平面グレーティングの溝間隔D[μm]で規格化した値dX/Dに対して、1次回折光の相対的な位相ずれdP[rad]をプロットした結果を示す。
1053[nm]の波長成分に対して座標差dXによる位相ずれを無くすことができる座標ずれdZをプロットした結果と、そのように座標差dXと座標ずれdZとを選んだ場合に、入射光の1050[nm]と1056[nm]の波長成分に対しての各々の1次回折光の相対的な位相ずれdPをプロットした結果を示す。
この発明の実施例10に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例11に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例12に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例13に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例14に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例15に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例16に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
この発明の実施例17に係るセグメントグレーティングアライメントシステムの構成を示す図である。
この発明の実施例18に係るパルス圧縮装置の構成を示す図である。
X軸のまわりの回転に対応する角度Aの相対的な角度ずれを示す図である。
Y軸のまわりの回転に対応する角度Bの相対的な角度ずれを示す図である。
Z軸のまわりの回転に対応する角度Cの相対的な角度ずれを示す図である。
Z軸方向の座標Zの相対的な座標ずれを示す図である。
X軸方向の座標Xの座標差を示す図である。
以下、実施例1〜実施例18を説明する。
この発明の実施例1に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図1を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施例1に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
この実施例1では、セグメントグレーティングアライメント装置を用いて5枚の反射型平面グレーティングをアライメントする場合を説明する。
図1において、この実施例1に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、平面グレーティング1〜5をアライメントの対象とするグレーティングアライメント装置10と、移動ステージ11とが設けられている。
この実施例1では、移動ステージ11を用いて、グレーティングアライメント装置10を移動させて、1枚ずつ順にアライメントを行う。なお、移動ステージ11に限らず、グレーティングアライメント装置10を移動させる手段であれば、何を用いても良い。また、グレーティングアライメント装置10を複数台用いても良い。
つぎに、この実施例1に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
グレーティングアライメント装置10は、平面グレーティング2の角度A、角度B、角度C、座標Z、座標Xを適切に調整し、入射光が平面グレーティング1と平面グレーティング2とによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれのうち少なくとも1つを無くすようアライメントする(1)。
移動ステージ11では、グレーティングアライメント装置10を用いて平面グレーティング1を基準とした平面グレーティング2のアライメントを終えた後、平面グレーティング2を基準とした平面グレーティング3のアライメントを行える位置までグレーティングアライメント装置10を移動させる(2)。
続いて、グレーティングアライメント装置10で、平面グレーティング3の角度A、角度B、角度C、座標Z、座標Xを適切に調整し、入射光が平面グレーティング2と平面グレーティング3とによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれのうち少なくとも1つを無くすようアライメントする(3)。以下同様にして、平面グレーティング4、平面グレーティング5の順にアライメントを行う。
この実施例1は、以上に述べたように構成されているので、2枚以上の平面グレーティングに対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれのうち少なくとも1つを無くすよう調整できる効果を持つ。また、この実施例1は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例2に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図2を参照しながら説明する。図2は、この発明の実施例2に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図2において、この実施例2に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、平面グレーティング1〜2の角度ずれを検出する角度ずれ検出手段20と、平面グレーティング1〜2の角度ずれを調整する角度ずれ調整手段21とが設けられている。
つぎに、この実施例2に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
角度ずれ検出手段20は、入射光が平面グレーティング1と平面グレーティング2とによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを検出する(1)。また、角度ずれ検出手段20は、検出した角度ずれの情報を角度ずれ調整手段21へ伝達する(2)。角度ずれ調整手段21は、角度ずれ検出手段20によって検出された各々の回折光の角度ずれの情報をもとに、平面グレーティング2の角度A、角度B、角度Cを適切に調整し(3)、各々の回折光の相対的な角度ずれを無くすようアライメントする。
この実施例2は、以上に述べたように構成されているので、2枚の平面グレーティング1、2に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、この実施例2は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例3に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図3を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施例3に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図3において、この実施例3に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、平面グレーティング1〜2の位相ずれを検出する位相ずれ検出手段30と、平面グレーティング1〜2の位相ずれを調整する位相ずれ調整手段31とが設けられている。
つぎに、この実施例3に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
位相ずれ検出手段30は、入射光が平面グレーティング1と平面グレーティング2とによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを検出する(1)。また、位相ずれ検出手段30は、検出した位相ずれの情報を位相ずれ調整手段31へ伝達する(2)。位相ずれ調整手段31は、位相ずれ検出手段30によって検出された各々の回折光の位相ずれの情報をもとに、平面グレーティング2の座標Z、座標Xを適切に調整し(3)、各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすようアライメントする。
この実施例3は、以上に述べたように構成されているので、2枚の平面グレーティング1、2に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、この実施例3は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例4に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施例4に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図4において、この実施例4に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45とが設けられている。なお、凸レンズ44とCCDカメラ45によって、遠視野像結像位置測定手段が構成される。
光照射手段40によって、平面グレーティング1と平面グレーティング2とに入射光41が照射される。平面グレーティング1によって、入射光41が回折されて回折光42が生じる。また、平面グレーティング2によって、入射光41が回折されて回折光43が生じる。遠視野像結像位置測定手段は、凸レンズ44とCCDカメラ45の組み合わせに限られるものではなく、遠視野像の結像位置を測定する機能を持つものであれば何を用いても良い。
つぎに、この実施例4に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40は、平面グレーティング1と平面グレーティング2に入射光41を照射する。凸レンズ44は、入射光41が平面グレーティング1によって回折されて生じる回折光42と、入射光41が平面グレーティング2によって回折されて生じる回折光43を集光する。そして、CCDカメラ45は、集光された回折光42の遠視野像の結像位置と、集光された回折光43の遠視野像の結像位置を測定する。回折光42と回折光43に相対的な角度ずれがある場合には、各々の回折光の遠視野像の結像位置が異なるため、各々の回折光の遠視野像の結像位置から回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを検出することができる。
この実施例4は、以上に述べたように構成されているので、比較的容易に、2枚の平面グレーティング1、2に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを検出できる効果を持つ。また、この実施例4は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例5に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図5を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施例5に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図5において、この実施例5に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズアレー50と、回折光の遠視野像のパターンを測定するCCDカメラ51とが設けられている。なお、凸レンズアレー50とCCDカメラ51によって、波面測定手段が構成される。この波面測定手段は、凸レンズアレー50とCCDカメラ51の組み合わせに限られるものではなく、波面を測定する機能を持つものであれば何を用いても良い。
つぎに、この実施例5に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40の動作は、上記実施例4の場合と同様である。凸レンズアレー50は、回折光42と回折光43を2次元に配列された凸レンズによって集光する。CCDカメラ51では、集光された回折光42と回折光43の遠視野像のパターンを測定し、回折光断面における波面の2次元分布を得る。この回折光断面における波面の2次元分布から、信号処理によって角度ずれ成分のみを分離抽出することができ、上記実施例4における遠視野像の結像位置よりも回折光の進行方向について精密な情報が得られる。したがって、回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを上記実施例4よりも精密に検出できる。
この実施例5は、以上に述べたように構成されているので、上記実施例4よりも精密に、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを検出できる効果を持つ。また、この実施例5は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例6に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図6から図12までを参照しながら説明する。図6は、この発明の実施例6に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図6において、この実施例6に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45と、3軸角度駆動手段60とが設けられている。
ここで、平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cと、平面グレーティングによって回折されて生じる回折光の進行方向との関係について説明する。図7は、平面グレーティングに入射する入射光の進行方向と、入射光が平面グレーティングによって回折されて生じる回折光の進行方向との関係を示す図である。以下、Z軸とX軸とがなす面をXZ面という。図7において、角度PはZ軸と入射光とがなす角、角度RはXZ面と入射光とがなす角、角度QはZ軸と回折光とがなす角である。このとき、XZ面と回折光とがなす角も角度Rとなる。入射光の波長がLであり、平面グレーティングの溝間隔がDである場合、入射光の進行方向と回折光の進行方向の関係は次の式(1)で表される。この式(1)において、nは整数であり回折光の次数を表す。
n・L=D・cosR・(sinP+sinQ) 式(1)
回折光の次数nが0である回折光(以下、これを0次回折光という)の場合、式(1)から、入射光のすべての波長Lに対してと、すべての角度Rに対して、角度QがQ=−Pとなり、0次回折光の進行方向は平面グレーティングを鏡と見なした場合における反射光の進行方向と同じである。一方、回折光の次数nが0でない回折光(以下、これをn次回折光という)の場合、式(1)から、n次回折光の角度Qが、入射光の波長L、角度P、角度Rのすべてに依存する。したがって、入射光をある一定の方向から入射させて平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cを変化させた場合、0次回折光の進行方向は角度Cには依存せず角度Aと角度Bのみに依存し、n次回折光の進行方向は角度A、角度B、角度Cのすべてに依存する。
次に、図6のように、入射光41が2枚の平面グレーティング1、2によって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれについて考える。回折光が0次回折光の場合は、入射光のすべての波長Lに対して、2枚の平面グレーティング1、2の角度Aと角度Bが一致するときのみ、各々の0次回折光の相対的な角度ずれが無くなる。
一方、回折光がn次回折光の場合には、2枚の平面グレーティング1、2の角度A、角度B、角度Cがすべて一致するときは、すべての波長Lに対して、各々のn次回折光の相対的な角度ずれが無くなる。ここで、2枚の平面グレーティング1、2の角度A、角度B、角度Cがすべて一致して各々のn次回折光に相対的な角度ずれが無い場合を基準として、片方の平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cを変化させたときの、各々のn次回折光の相対的な角度ずれについて考える。例として、2枚の平面グレーティング1、2の角度A、角度B、角度Cがすべて一致している場合に、平面グレーティングの溝間隔Dが574.7[nm]であり、入射光の波長Lが1053[nm]であり、入射光の角度Pが1.264[rad]であり、入射光の角度Rが0[rad]であるときの回折光の次数nが1である回折光(以下、これを1次回折光という)について考える。
図8は、2枚の平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cがすべて一致している場合を基準として、片方の平面グレーティングの角度AをdA[μrad]だけ変化させたときに、1次回折光の相対的な角度ずれdD[μrad]と、dDのうちXZ面内の成分dDin[μrad]と、dDのうちXZ面外の成分dDout[μrad]をプロットした結果を示す。図9は、片方の平面グレーティングの角度BをdB[μrad]だけ変化させたときの図8と同様の結果を示す。図10は、片方の平面グレーティングの角度CをdC[μrad]だけ変化させたときの図8と同様の結果を示す。図8〜図10から、dAとdCはdDoutの方向に1次回折光の相対的な角度ずれを生じさせ、dBはdDinの方向に1次回折光の相対的な角度ずれを生じさせることがわかる。
図11は、2枚の平面グレーティングの角度CがdC[μrad]だけ異なっているときに、角度Aと角度Bを調整して、各々の1次回折光の相対的な角度ずれを無くせるdA[μrad]とdB[μrad]の値をプロットした結果を示す。すなわち、ある波長Lに対しては、2枚の平面グレーティングの角度Cが異なっているときでも、角度Aと角度Bを適切に調整すれば2枚の平面グレーティングによって回折されて生じた各々のn次回折光の相対的な角度ずれを無くすことができる。これと同様に、ある波長Lに対しては、2枚の平面グレーティングの角度Aが異なっているときでも、角度Bと角度Cを適切に調整すれば2枚の平面グレーティングによって回折されて生じた各々のn次回折光の相対的な角度ずれを無くすことができる。
次に、前述した場合と同様に、平面グレーティングの溝間隔Dが574.7[nm]であり、入射光の角度Pが1.264[rad]であり、入射光の角度Rが0[rad]である場合に、入射光が1050[nm]、1053[nm]、1056[nm]の3つの波長成分を持つときの1次回折光について考える。ここでは、2枚の平面グレーティングの角度Cが異なっているときに、角度Aと角度Bを適切に調整して、入射光の1053[nm]の波長成分に対して各々の1次回折光の相対的な角度ずれを無くした場合を考える。図12は、入射光の1053[nm]の波長成分で各々の1次回折光の相対的な角度ずれを無くした場合に、入射光の1050[nm]と1056[nm]の波長成分に対して、各々の1次回折光の相対的な角度ずれdD[μrad]と、dDのうちXZ面内の成分dDin[μrad]と、dDのうちXZ面外の成分dDout[μrad]をプロットした結果を示す。図12から、2枚の平面グレーティングの角度Cが異なっている場合に、角度Aと角度Bを適切に調整して、ある波長Lに対して各々のn次回折光の相対的な角度ずれを無くしたときでも、その他の波長に対しては各々のn次回折光に相対的な角度ずれが残ることがわかる。以上から、回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、2枚の平面グレーティングによって回折されて生じた各々のn次回折光の相対的な角度ずれを完全に無くすには、平面グレーティング2の角度A、角度B、角度Cをすべて調整して、2枚の平面グレーティングの角度A、角度B、角度Cを一致させる必要があることがわかる。
つぎに、この実施例6に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40、凸レンズ44、CCDカメラ45の動作は、上記実施例4の場合と同様である。回折光42と回折光43との相対的な角度ずれの検出手段には、上記の実施例4、5等の手段を用いる。3軸角度駆動手段60は、平面グレーティング2の角度A、角度B、角度Cを駆動させる。回折光が0次回折光の場合は、0次回折光の進行方向は平面グレーティング2の角度Cには依存しないため、平面グレーティング2の角度Aと角度Bを平面グレーティング1の角度Aと角度Bに一致するよう調整して、回折光42と回折光43の遠視野像の結像位置を一致させると、すべての波長に対して回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができる。
一方、回折光がn次回折光の場合で入射光が単色光のときは、平面グレーティング2の角度Cを調整せず固定して、平面グレーティング2の角度Aと角度Bを適切に調整して、回折光42と回折光43の遠視野像の結像位置を一致させると、その波長に対して回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができる。また、平面グレーティング2の角度Aを調整せず固定して、平面グレーティング2の角度Bと角度Cを適切に調整しても、その波長に対して回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができる。回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、平面グレーティング2の角度A、角度B、角度Cを平面グレーティング1の角度A、角度B、角度Cに一致するよう調整して、回折光42と回折光43の遠視野像の結像位置を一致させると、すべての波長に対して回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができる。
この実施例6は、以上に述べたように構成されているので、比較的容易に、2枚の平面グレーティング1、2に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、この実施例6は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例7に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図13を参照しながら説明する。図13は、この発明の実施例7に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図13において、この実施例7に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45と、2軸角度駆動手段70とが設けられている。
つぎに、この実施例7に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40、凸レンズ44、CCDカメラ45の動作は、上記実施例4の場合と同様である。回折光42と回折光43との相対的な角度ずれの検出手段には、上記の実施例4、5等の手段を用いる。2軸角度駆動手段70は、平面グレーティング2の角度Aと角度B、または角度Bと角度Cを駆動させる。ただし、回折光が0次回折光の場合は、0次回折光の進行方向は角度Cには依存しないため、駆動させる軸を角度Aと角度Bの2軸にする必要がある。回折光が0次回折光の場合は、平面グレーティング2の角度Aと角度Bを平面グレーティング1の角度Aと角度Bに一致するよう調整して、回折光42と回折光43の遠視野像の結像位置を一致させると、すべての波長に対して回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができる。
一方、回折光がn次回折光の場合で入射光が単色光のときは、平面グレーティング2の角度Aと角度B、または、角度Bと角度Cを適切に調整して、回折光42と回折光43の遠視野像の結像位置を一致させると、その波長に対して回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができる。回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、平面グレーティング2の角度Aと角度B、または、角度Bと角度Cを適切に調整して、その中の1つの波長に対しては回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無くすことができるが、その他の波長に対しては各々のn次回折光に相対的な角度ずれが残る。角度Cの調整を行わない場合、平面グレーティング1と平面グレーティング2の角度Cの相対的な角度ずれが十分に小さければ、角度Aと角度Bを適切に調整して、回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無視できる程度まで小さくすることができる。また、角度Aの調整を行わない場合、平面グレーティング1と平面グレーティング2の角度Aの相対的な角度ずれが十分に小さければ、角度Bと角度Cを適切に調整して、回折光42と回折光43の相対的な角度ずれを無視できる程度まで小さくすることができる。この実施例7による2軸角度駆動手段70は、上記の実施例6による3軸角度駆動手段60に比べると、角度ずれの調整性能は若干劣るが、駆動させる軸が少ないゆえに安価で軽量な装置であるという利点を持つ。
この実施例7は、以上に述べたように構成されているので、上記の実施例6よりも安価で軽量な装置にして、2枚の平面グレーティングに対して、以下の効果を持つ。回折光が0次回折光の場合と、回折光がn次回折光の場合で入射光が単色光のときは、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、2枚の平面グレーティングの調整を行わない角度についての相対的な角度ずれが十分に小さければ、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれを無視できる程度まで小さくするよう調整できる効果を持つ。この実施例7は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例8に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図14を参照しながら説明する。図14は、この発明の実施例8に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図14において、この実施例8に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ80と、回折光の遠視野像の干渉光の強度を測定するCCDカメラ81とが設けられている。なお、凸レンズ80とCCDカメラ81は、遠視野像強度測定手段を構成している。この遠視野像強度測定手段は、凸レンズ80とCCDカメラ81の組み合わせに限られるものではなく、遠視野像の干渉光の強度を測定する機能を持つものであれば何を用いても良い。
つぎに、この実施例8に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40の動作は、上記実施例4の場合と同様である。ここでは、上記の実施例4、5等の手段を用いて、回折光42と回折光43との相対的な角度ずれを無くすよう既に調整してある場合を考える。このとき、回折光42の遠視野像の結像位置と回折光43の遠視野像の結像位置が一致し、回折光42と回折光43は遠視野像の結像位置で互いに干渉する。
凸レンズ80は、回折光42と回折光43とを集光する。CCDカメラ81は、集光された回折光42の遠視野像と、集光された回折光43の遠視野像の干渉光の強度を測定する。このとき、回折光42と回折光43に相対的な位相ずれがある場合は、干渉光の強度が最大とならない。回折光42と回折光43に相対的な位相ずれが無い場合には、干渉光の強度が最大となる。この性質を用いて、干渉光の強度から回折光42と回折光43との相対的な位相ずれを検出できる。
この実施例8は、以上に述べたように構成されているので、比較的容易に、2枚の平面グレーティング1、2に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを検出できる効果を持つ。また、この実施例8は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例9に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図15から図18までを参照しながら説明する。図15は、この発明の実施例9に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図15において、この実施例9に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ80と、回折光の遠視野像の干渉光の強度を測定するCCDカメラ81と、2軸位相駆動手段90とが設けられている。
ここで、平面グレーティングの座標Z、座標Xと、平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれとの関係について説明する。上記の実施例6の場合と同様、波長Lの光が溝間隔Dの平面グレーティングに入射する場合を考える。入射光としては、正弦波等の2πの周期を持つ波を考える。Z軸と入射光がなす角を角度Pとし、Z軸と回折光がなす角を角度Qとし、入射光とXZ平面がなす角を角度Rとし、角度Rを0[rad]とする。平面グレーティング1と平面グレーティング2の座標Zの座標ずれをdZ、平面グレーティング1と平面グレーティング2の座標Xの座標差をdXとすると、回折光の相対的な位相ずれdPは次の式(2)で表される。
dP=2π・mod{dZ・(cosP+cosQ)/L
−dX・(sinP+sinQ)/L} 式(2)
ここで、Rを実数とすると、mod{R}は、Rを1で割ったときの剰余を表す関数である。R>0の場合には、Rを1で割った剰余をmod{R}とし、R<0の場合には、(−R)を1で割った剰余に負の符号を付け足したものをmod{R}とする。さて、式(1)を用いると、式(2)は次の式(3)のように変形される。式(3)において、nは回折光の次数である。
dP=2π・mod{dZ・(cosP+cosQ)/L
−dX・n/D} 式(3)
式(3)において、相対的な位相ずれdPが0になるとき、2枚の平面グレーティング1、2によって回折されて生じる各々の回折光の位相ずれが無くなる。回折光が0次回折光の場合、式(3)において右辺の第2項の寄与が0となり、2枚の平面グレーティングの座標Xの座標差dXの値にかかわらず、2枚の平面グレーティングの座標Zの座標ずれがdZ=s・L/(2・cosP)(sは整数)であるときに、各々の回折光の位相ずれが無くなる。回折光がn次回折光の場合、例えば、dX=t・D/n(tは整数)であるときには、式(3)において右辺の第2項の寄与が0となり、dZ=s・L/(cosP+cosQ)(sは整数)であるときに各々の回折光の位相ずれが無くなる。
例として、平面グレーティング1と平面グレーティング2の角度A、角度B、角度Cがすべて一致している場合に、平面グレーティングの溝間隔Dが574.7[nm]であり、入射光の角度Pが1.264[rad]であり、入射光の角度Rが0[rad]であるときに、入射光が1050[nm]、1053[nm]、1056[nm]の3つの波長成分を持つ場合の1次回折光について考える。図16は、平面グレーティング1と平面グレーティング2の座標Xの座標差dXを0として、座標Zの座標ずれdZ[μm]に対して、1次回折光の相対的な位相ずれdP[rad]をプロットした結果を示す。図16から、座標ずれdZに対する位相ずれdPの大きさが、波長Lによって異なることがわかる。
図17は、平面グレーティング1と平面グレーティング2の座標Zの座標ずれdZを0として、座標Xの座標差dX[μm]を平面グレーティングの溝間隔D[μm]で規格化した値dX/Dに対して、1次回折光の相対的な位相ずれdP[rad]をプロットした結果を示す。図17から、座標差dXに対する位相ずれdPの大きさは、すべての波長Lで同じになることがわかる。また、図17から、座標差dXに対する位相ずれdPの周期は、すべての波長Lに対して、溝間隔Dであることがわかる。以上から、ある波長Lに対しては、2枚の平面グレーティングの座標Xの座標差dXによる位相ずれがある場合でも、座標Zの座標ずれdZを適切に調整すれば2枚の平面グレーティングによって回折されて生じた各々のn次回折光の相対的な位相ずれを無くすことができる。これと同様に、ある波長Lに対しては、2枚の平面グレーティングの座標Zの座標ずれdZによる位相ずれがある場合でも、座標Xの座標差dXを適切に調整すれば2枚の平面グレーティングによって回折されて生じた各々のn次回折光の相対的な位相ずれを無くすことができる。
次に、2枚の平面グレーティングの座標Xの座標差dXによる位相ずれがある場合に、座標Zの座標ずれdZを適切に調整して、入射光の1053[nm]の波長成分に対して各々の1次回折光の相対的な位相ずれを無くした場合を考える。図18は、1053[nm]の波長成分に対して座標差dXによる位相ずれを無くすことができる座標ずれdZをプロットした結果と、そのように座標差dXと座標ずれdZとを選んだ場合に、入射光の1050[nm]と1056[nm]の波長成分に対しての各々の1次回折光の相対的な位相ずれdPをプロットした結果を示す。図18でも、座標Xの座標差として、座標Xの座標差dX[μm]を平面グレーティングの溝間隔D[μm]で規格化した値dX/Dを用いている。また、座標Xの座標差dXによる位相ずれの周期が平面グレーティングの溝間隔Dであることから、図18では、dXとして0からDまで、すなわち、dX/Dとして0から1までをプロットしてある。図18から、2枚の平面グレーティングの座標Xの座標差dXによる位相ずれがある場合に、座標Zの座標ずれdZを適切に調整して、ある波長Lに対して各々のn次回折光の相対的な位相ずれを無くした場合でも、その他の波長に対しては各々のn次回折光に相対的な位相ずれが残ることがわかる。以上から、回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、2枚の平面グレーティングによって回折されて生じた各々のn次回折光の相対的な位相ずれを完全に無くすには、平面グレーティング2の座標Zと座標Xを両方とも調整して、dXをdX=t・D/n(tは整数)、dZをdZ=0にする必要があることがわかる。
つぎに、この実施例9に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40、凸レンズ80、CCDカメラ81の動作は、上記実施例8の場合と同様である。回折光42と回折光43との相対的な位相ずれの検出手段には、上記実施例8等の手段を用いる。2軸位相駆動手段90は、平面グレーティング2の座標Z、座標Xを駆動させる。回折光が0次回折光の場合で入射光41が単色光のときは、0次回折光の相対的な位相ずれは平面グレーティング2の座標Xには依存しないため、平面グレーティング2の座標Zを調整して、dZがdZ=s・L/(2・cosP)(sは整数)の関係を満たすと、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。回折光が0次回折光の場合で入射光41が複数の波長成分を持つときは、0次回折光の相対的な位相ずれは平面グレーティング2の座標Xには依存しないため、平面グレーティング2の座標Zを調整して、dZをdZ=0にした場合のみ、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。
一方、回折光がn次回折光の場合で入射光41が単色光のときは、平面グレーティング2の座標Xと座標Zとのどちらか一方を調整せず固定して、平面グレーティング2の座標Xと座標Zとのうちもう一方を適切に調整して、式(3)でdP=0となるdXとdZの関係を満たすと、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、その波長に対して回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。回折光がn次回折光の場合で入射光41が複数の波長成分を持つときは、平面グレーティング2の座標Zと座標Xを適切に調整して、dXをdX=t・D/n(tは整数)、dZをdZ=0にした場合のみ、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。
この実施例9は、以上に述べたように構成されているので、比較的容易に、2枚の平面グレーティング1、2に対して、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、この実施例9は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例10に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図19を参照しながら説明する。図19は、この発明の実施例10に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図19において、この実施例10に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ80と、回折光の遠視野像の干渉光の強度を測定するCCDカメラ81と、1軸位相駆動手段100とが設けられている。
つぎに、この実施例10に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40、凸レンズ80、CCDカメラ81の動作は、上記実施例8の場合と同様である。回折光42と回折光43との相対的な位相ずれの検出手段には、上記実施例8等の手段を用いる。1軸位相駆動手段100は、平面グレーティング2の座標Z、または座標Xを駆動させる。ただし、回折光が0次回折光の場合は、0次回折光の相対的な位相ずれは座標Xには依存しないため、駆動させる軸を座標Zにする必要がある。回折光が0次回折光の場合で入射光が単色光のときは、平面グレーティング2の座標Zを調整して、dZがdZ=s・L/(2・cosP)(sは整数)の関係を満たすと、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。回折光が0次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、平面グレーティング2の座標Zを調整して、dZをdZ=0にした場合のみ、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。
一方、回折光がn次回折光の場合で入射光が単色光のときは、平面グレーティング2の座標Zまたは座標Xのうちどちらか一方を適切に調整して、式(3)でdP=0となるdXとdZの関係を満たすと、回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度が最大となり、その波長に対して回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができる。一方、回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、平面グレーティング2の座標Zまたは座標Xのうちどちらか一方を適切に調整して、その中の1つの波長に対しては回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無くすことができるが、その他の波長に対しては各々のn次回折光に相対的な位相ずれが残る。座標Zの調整を行わない場合、平面グレーティング1と平面グレーティング2との角度Zの相対的な座標ずれが十分に小さければ、座標Xを適切に調整して、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無視できる程度まで小さくすることができる。また、座標Xの調整を行わない場合、平面グレーティング1と平面グレーティング2との座標Xの相対的な座標差による位相ずれは波長依存性を持たないので、座標Zを適切に調整して、回折光42と回折光43の相対的な位相ずれを無視できる程度まで小さくすることができる。この実施例10による1軸位相駆動手段100は、上記実施例9による2軸位相駆動手段90に比べると、位相ずれの調整性能は若干劣るが、駆動させる軸が少ないゆえに安価で軽量な装置であるという利点を持つ。
この実施例10は、以上に述べたように構成されているので、上記実施例9よりも安価で軽量な装置にして、2枚の平面グレーティング1、2に対して、以下の効果を持つ。回折光が0次回折光の場合と、回折光がn次回折光の場合で入射光が単色光のときは、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、回折光がn次回折光の場合で入射光が複数の波長成分を持つときは、2枚の平面グレーティングの調整を行わない座標についての相対的な座標ずれが十分に小さければ、入射光が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを無視できる程度まで小さくするよう調整できる効果を持つ。また、この実施例10は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例11に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図20を参照しながら説明する。図20は、この発明の実施例11に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図20において、この実施例11に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に、複数の波長成分を持ち、時間的にコヒーレントな略平行光111を照射する光源110と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45と、3軸角度駆動手段60とが設けられている。
つぎに、この実施例11に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光源110は、平面グレーティング1と平面グレーティング2に時間的にコヒーレントな略平行光111を照射する。凸レンズ44、CCDカメラ45、3軸角度駆動手段60の動作は、上記実施例4、6の場合と同様である。時間的にコヒーレントな略平行光111は複数の波長成分を持つため、複数の波長成分に対して、回折光42と回折光43の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすよう調整できる。
この実施例11は、以上に述べたように構成されているので、比較的容易に、複数の波長成分に対して、入射光が各々の平面グレーティング1、2によって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれとを無くすよう調整できる効果を持つ。また、この実施例11は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例12に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図21を参照しながら説明する。図21は、この発明の実施例12に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図21において、この実施例12に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する波長可変光源120と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45と、3軸角度駆動手段60とが設けられている。なお、複数の波長成分を持ち、時間的にコヒーレントな、略平行光を照射する光源としては、波長可変光源120でなく、発振波長の異なる複数のレーザ光源を用いても良い。
つぎに、この実施例12に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
波長可変光源120は、平面グレーティング1と平面グレーティング2に時間的にコヒーレントな略平行光111を照射する。凸レンズ44、CCDカメラ45、3軸角度駆動手段60の動作は、上記実施例4、6の場合と同様である。この実施例12の動作は、上記実施例11の動作に準じる。
この実施例12は、以上に述べたように構成されているので、小型で安価な装置にして、比較的容易に、上記実施例11に記載の効果を実現できる効果を持つ。また、この実施例12は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例13に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図22を参照しながら説明する。図22は、この発明の実施例13に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図22において、この実施例13に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に、複数の波長成分を持ち、時間的に低コヒーレントな略平行光131を照射する光源130と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45と、3軸角度駆動手段60とが設けられている。
つぎに、この実施例13に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光源130は、平面グレーティング1と平面グレーティング2に時間的に低コヒーレントな略平行光131を照射する。凸レンズ44、CCDカメラ45、3軸角度駆動手段60の動作は、上記実施例4、6の場合と同様である。時間的に低コヒーレントな略平行光131は複数の波長成分を持つため、複数の波長成分に対して、回折光42と回折光43の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすよう調整できる。また、時間的に低コヒーレントな略平行光131は、時間的なコヒーレント長が短いため、平面グレーティング1と平面グレーティング2とによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを低コヒーレントな略平行光131のコヒーレンス長の範囲内に収まるように調整できる。
この実施例13は、以上に述べたように構成されているので、比較的容易に、複数の波長成分に対して、入射光が各々の平面グレーティング1、2によって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすよう調整できる効果を持つ。また、各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な位相ずれを低コヒーレントな略平行光131のコヒーレンス長の範囲内に収まるように調整できる効果を持つ。さらに、この実施例13は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例14に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図23を参照しながら説明する。図23は、この発明の実施例14に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図23において、この実施例14に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する超短パルス光源140と、回折光を集光する凸レンズ44と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ45と、3軸角度駆動手段60とが設けられている。なお、複数の波長成分を持ち、時間的に低コヒーレントな、略平行光131を照射する光源としては、超短パルス光源140でなく、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)を用いても良い。
つぎに、この実施例14に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
超短パルス光源140は、平面グレーティング1と平面グレーティング2に時間的に低コヒーレントな略平行光131を照射する。凸レンズ44、CCDカメラ45、3軸角度駆動手段60の動作は、上記実施例4、6の場合と同様である。この実施例14の動作は、上記実施例13の動作に準じる。
この実施例14は、以上に述べたように構成されているので、小型で安価な装置にして、比較的容易に、上記実施例13に記載の効果を実現できる効果を持つ。また、この実施例14は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例15に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図24を参照しながら説明する。図24は、この発明の実施例15に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図24において、この実施例15に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ150と、回折光の遠視野像の結像位置を測定するCCDカメラ151とが設けられている。
つぎに、この実施例15に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40の動作は、上記実施例4の場合と同様である。凸レンズ150は、回折光42と回折光43を集光する。また、CCDカメラ151は、集光された回折光42と回折光43の遠視野像の結像位置を測定する。
この実施例15は、以上に述べたように構成されているので、小型で安価な装置にして、比較的容易に、上記実施例4に記載の効果を実現できる効果を持つ。また、この実施例15は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例16に係るセグメントグレーティングアライメント装置について図25を参照しながら説明する。図25は、この発明の実施例16に係るセグメントグレーティングアライメント装置の構成を示す図である。
図25において、この実施例16に係るセグメントグレーティングアライメント装置は、アライメントの対象とする平面グレーティング1〜2に光を照射する光照射手段40と、回折光を集光する凸レンズ160と、回折光の遠視野像の干渉光の強度を測定するCCDカメラ161とが設けられている。
つぎに、この実施例16に係るセグメントグレーティングアライメント装置の動作について図面を参照しながら説明する。
光照射手段40の動作は、上記実施例4の場合と同様である。凸レンズ160は、回折光42と回折光43を集光する。また、CCDカメラ161は、集光された回折光42と回折光43の遠視野像の干渉光の強度を測定する。
この実施例16は、以上に述べたように構成されているので、小型で安価な装置にして、比較的容易に、上記実施例8に記載の効果を実現できる効果を持つ。また、この実施例16は、反射型平面グレーティングに限らず、透過型平面グレーティングに対しても同様の効果を持つ。
この発明の実施例17に係るセグメントグレーティングアライメントシステムについて図26を参照しながら説明する。図26は、この発明の実施例17に係るセグメントグレーティングアライメントシステムの構成を示す図である。
図26において、この実施例17に係るセグメントグレーティングアライメントシステムは、複数の平面グレーティングから構成されるセグメントグレーティング171をアライメントする、実施例1〜16に記載のセグメントグレーティングアライメント装置170が設けられている。
つぎに、この実施例17に係るセグメントグレーティングアライメントシステムの動作について図面を参照しながら説明する。
セグメントグレーティングアライメント装置170は、セグメントグレーティング171に対して、入射光172が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光173の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすようアライメントする。この結果、この実施例17では、入射光172に対して生じる回折光173が、面積の大きな平面グレーティングによって回折される場合と同等になる。
この実施例17は、以上に述べたように構成されているので、面積の小さな平面グレーティングを2枚以上並べて面積の大きな平面グレーティングと同等の性能を持たせる効果を持つ。
この発明の実施例18に係るパルス圧縮装置について図27を参照しながら説明する。図27は、この発明の実施例18に係るパルス圧縮装置の構成を示す図である。
図27において、この実施例18に係るパルス圧縮装置は、複数の平面グレーティングから構成されるセグメントグレーティング180〜183をアライメントする、実施例1〜16に記載のセグメントグレーティングアライメント装置170が設けられている。
つぎに、この実施例18に係るパルス圧縮装置の動作について図面を参照しながら説明する。
セグメントグレーティングアライメント装置170は、セグメントグレーティング180〜183に対して、入射光184が各々の平面グレーティングによって回折されて生じる各々の回折光の相対的な角度ずれと位相ずれを無くすようアライメントする。この結果、セグメントグレーティング180〜183は、入射光184に対して生じる回折光が、面積の大きな平面グレーティングによって回折される場合と同等になる。したがって、この実施例18では、入射光184に対して生じる出射光185が、面積の大きな平面グレーティングで構成されたパルス圧縮装置を用いる場合と同等になる。
この実施例18は、以上に述べたように構成されているので、面積の小さな平面グレーティングを2枚以上並べて構成されたパルス圧縮装置で、面積の大きな平面グレーティングで構成されたパルス圧縮装置と同等の性能を持たせる効果を持つ。