JP4539588B2 - Ltga単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、ランガテイトは、同様の構造や特性を有するランガサイト(La3Ga5SiO14)と比較して圧電定数の温度変化が小さく、温度による電荷発生量のバラツキを抑制することができることから、特に高温での圧電計測用途として注目されている。
ところで、このランガテイト単結晶は高温における絶縁抵抗の低下が懸念されていたが、近年ランガテイトのガリウム(Ga)の一部をアルミニウム(Al)に置換したLTGA(La3Ta0.5Ga5.5−xAlxO14)は、高温での絶縁抵抗に改善効果が認められることから注目されている(例えば、非特許文献1参照)。また、この種の単結晶は、一般にチョクラルスキー法を用いて育成されているが、低コスト化を目的として垂直ブリッジマン法による育成が検討されている。
鎌田、外3名、「La3Ga5-xAlxSiO14、La3Ta0.5Ga5.5-xAlxO14、La3Nb0.5Ga5.5-xAlxO14単結晶の作製」、第63回応用物理学会予稿集、2002年9月、25p−YK−2
ここで、育成の初期段階における異相の発生は、融液の状態でLTGAの一部が相分離しているためと考えられる。すなわち、融液中ではランタンやタンタルを主成分とする化合物が融液を構成する要素の中で重いので、これら化合物が坩堝の底に沈む傾向がある。これにより、LTGA単結晶の育成初期つまり坩堝の下部ではランタンやタンタルが過剰な組成となることから、ランタンやタンタルを主成分とした異相が発生すると考えられる。
一方、坩堝の上部に位置する融液では対流や拡散が生じやすく、また、ランタンやタンタルの含有量が高くなっていることから、ランタンやタンタルが坩堝の下部に位置する融液に向けてゆっくりと供給される。したがって、融液の下部において融液の組成がLTGAの化学量論比の近傍となるので、均一で組成ムラのないLTGA単結晶を得ることができる。
以上より、育成工程後に冷却した際、異相との熱膨張係数差に起因するクラックが発生することなく、育成したLTGA単結晶部分の全量を取得することができる。
この発明では、ランタン及びタンタルの含有量の異なる複数の原料塊を、種結晶から最も離間した位置に配置される原料塊が種結晶と接する位置に配置される他の原料塊と比較してランタン及びタンタルの含有量が高くなるように積層することで、種結晶と接する側から離間する側に向けて増大する原料を形成する。これにより、原料を一つの塊として内部でランタン及びタンタルの含有量に分布を形成することと比較して、容易に一端側から他端側に向けてランタン及びタンタルの含有量がそれぞれ増大する原料を形成することができる。
この発明では、それぞれ異なる組成を有する複数の原料塊を、ランタン及びタンタルの含有量が種結晶から順に段階的に高くなるように積み重ねることで、容易にランタン及びタンタルの含有量が積み重ね方向に沿ってそれぞれ増大する原料を形成できる。
この発明では、単結晶を育成する際に坩堝を回転させることで、各組成からなる融液を拡散させることができる。これにより、より均一で組成ムラのないLTGA単結晶を製造することができる。
本実施形態によるLTGA単結晶の製造方法は、図1に示すようなブリッジマン法を用いた製造装置1を用いて製造される。
この製造装置1は、図1及び図2に示すように、垂直方向に温度勾配を形成することができる垂直ブリッジマン炉(以下、炉と省略する)2と坩堝3とを有しており、この坩堝3内にLTGA種結晶(種結晶)5及びLTGA原料(原料)6を充填する。そして、この製造装置1は、LTGA原料6を加熱して融液7にした後、融液7を図1及び図2に示す矢印A方向である下方から上方に向けて漸次固化させてLTGA単結晶8(La3Ta0.5Ga4.9Al0.6O14)を育成する。
軸部材13は、製造装置1が有する駆動機構(図示略)によって、坩堝受12を上下動させると共に、坩堝3の垂直方向である軸回りで回転させるように構成されている。
LTGA原料6は、例えば直径が約50mm、高さが80mmの円柱状を有しており、複数(本実施形態では4)の第1から第4原料ペレット(原料塊)20A〜20Dをこの順でLTGA種結晶5上に積層して構成されている。
この第1から第4原料ペレット20A〜20Dは、例えば、直径が約50mm、厚さが20mmであって、酸化ランタン(La2O3)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)及びアルミナ(Al2O3)の混合粉末をプレス成形し、仮焼してペレット状としたものである。ここで、第1原料ペレット20Aは、LTGA種結晶5の上端を基準としたときにLTGA原料6のうち0〜20mmの育成初期部に位置している。また、第2から第4原料ペレット20B〜20Dは、LTGA原料6のうち20〜40mmの第1育成中期部、40〜60mmの第2育成中期部、60〜80mmの育成終了部にそれぞれ位置している。
また、第1から第4原料ペレット20A〜20Dは、この順でランタン及びタンタルの含有量が増大するように形成されている。すなわち、第1から第4原料ペレット20A〜20Dは、以下の表1に示すように、坩堝3内に充填した際にLTGA種結晶5から離間するにしたがって酸化ランタン及び酸化タンタルの分量を増大させることによって、ランタン及びタンタルの含有量が増大するように構成されている。これにより、LTGA原料6は、LTGA種結晶5と接触する側から離間する側に向けて、段階的にランタン及びタンタルの含有量が増大することになる。なお、原料ペレット20A〜20D全体、すなわちLTGA原料6全体としては、LTGAの化学量論比(La3Ta0.5Ga4.9Al0.6O14)近傍の組成となるように形成されている。
最初に、LTGA種結晶5及び第1から第4原料ペレット20A〜20Dを坩堝3内に充填する充填工程を行う。これは、図2に示すように、LTGA種結晶5(例えば、厚さ30mm)を坩堝3の下部に充填すると共に、LTGA種結晶5上に複数の異なる組成を有する第1から第4原料ペレット20A〜20Dをこの順で積層する。そして、第1から第4原料ペレット20A〜20Dの充填後、坩堝3の上部にゴミなどの混入を防止するために蓋15を被せる。
また、ヒータ10による加熱と同時に、軸部材13と共に坩堝3を例えば10〜20rpmの速度で回転させると共に、熱電対14によって坩堝3の側壁位置3aの温度をモニタしながら坩堝3の高さを調節する。これにより、LTGA種結晶5とLTGA原料6との界面の温度が、例えば1496℃〜1516℃付近の温度安定状態となる位置に坩堝3を位置させる。このように坩堝3を回転させることで、各組成からなる第1から第4原料ペレット20A〜20Dの融液7をほどよく拡散させることができる。そして、この位置で坩堝3を数時間保持する。
所定時間LTGA単結晶8を育成した後、1〜3℃/hの冷却速度で炉2の温度を下げ、坩堝3を剥がしてLTGA単結晶8のインゴットを得る。
また、第1から第4原料ペレット20A〜20Dを積層することによりLTGA原料6においてランタン及びタンタルの含有量をそれぞれ段階的に増大させているので、LTGA原料6を一つの原料ペレットで形成して内部でランタン及びタンタルの含有量をそれぞれ増大させる場合と比較して、容易にLTGA種結晶5と接する側から離間する側に向けてランタン及びタンタルの含有量がそれぞれ増大するLTGA原料6を形成することができる。
また、育成工程において坩堝3を回転させているので、融液7を良好に拡散させることができ、より均一で組成ムラのないLTGA単結晶8を製造することができる。
例えば、上記実施形態ではLa3Ta0.5Ga5.5−xAlxO14のxを0.6としたLa3Ta0.5Ga4.9Al0.6O14単結晶としているが、xの値は0.6に限られない。
また、4つの原料ペレットを積層することによって原料を形成しているが、原料ペレットの積層数は3以下であっても、5以上であってもよい。また、ランタン及びタンタルの含有量をLTGA種結晶と接する側から離間する側に向けて増大するように形成された1つの原料ペレットによってLTGA原料を構成してもよい。
また、各原料ペレットにおける酸化ランタン、酸化タンタル、酸化ガリウム及びアルミナの混合比は、LTGA種結晶と接する原料ペレットから最も離間した位置に配置された原料ペレットに向けて酸化ランタン及び酸化タンタルの混合比が増大するように形成され、育成工程の初期段階において異相の発生が抑制されれば、他の混合比としてもよい。
また、坩堝を回転させてLTGA単結晶を製造したが、坩堝を回転させずに製造してもよい。
3 坩堝
5 LTGA種結晶(種結晶)
6 LTGA原料(原料)
7 融液
8 LTGA単結晶(単結晶)
20A 第1原料ペレット(原料塊)
20B 第2原料ペレット(原料塊)
20C 第3原料ペレット(原料塊)
20D 第4原料ペレット(原料塊)
Claims (4)
- 坩堝の内部に種結晶を充填すると共に、該種結晶上に原料を積み重ねて充填する充填工程と、
前記坩堝の垂直方向に温度勾配を有する炉の内部に前記坩堝を配置し、前記原料を融解して融液を形成する融解工程と、
前記融液を下方から上方に向けて漸次固化させて単結晶を育成する育成工程とを備え、 前記原料は、前記種結晶から最も離間した部分のランタン及びタンタルの含有量が、前記種結晶と接する部分と比較してそれぞれ高く、前記種結晶と接触する側から離間する側に向けて増大していることを特徴とするブリッジマン法を用いたLTGA単結晶の製造方法。 - 前記原料が、複数の原料塊を積み重ねて形成されており、
該複数の原料塊のうち、前記種結晶から最も離間した位置に配置された一の原料塊の前記ランタン及びタンタルの含有量が、前記種結晶と接して配置された他の原料塊と比較してそれぞれ高く、前記種結晶と接触する側から離間する側に向けて増大していることを特徴とする請求項1に記載のLTGA単結晶の製造方法。 - 前記複数の原料塊がそれぞれ異なる組成を有しており、
前記原料は、前記ランタン及びタンタルの含有量が、段階的に変化することを特徴とする請求項2に記載のLTGA単結晶の製造方法。 - 前記育成工程で、前記坩堝を前記垂直方向の軸回りで回転させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のLTGA単結晶の製造方法。
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