図1〜図7は、この発明の実施例を示すものである。
図1〜図3において、2は車両(図示せず)に搭載されたエンジン、4は車両用の空気調和装置(HVAC:Heating Venti1ation and Air−Conditioning)である。この空気調和装置4は、送風、配風等を行って車両の室内の空気を調温あるいは調湿するものであり、調温、調湿、送風を担う調温装置6を備えている。
この調温装置6内には、図1に示す如く、第一ブロアファン(処理側ブロアファン)8・第二ブロアファン(再生側ブロアファン)10と、水分の脱着再生可能な吸湿部材(以下「デシカントロータ」という)12と、熱交換器14と、冷凍サイクル(機械圧縮式ヒートポンプ)16と、ヒータ18のヒータコア20とが設けられているとともに、除湿経路22を備えた除湿手段24と、加湿経路26を備えた加湿手段28とが設けられている。
第一・第二ブロアファン8・10は、電気駆動可能であり、後述するブロアファンアクチュエータ106(図3参照)によって各々独立して駆動され、調温装置6の内部に空気を送り込む機能を有している。
デシカントロータ12は、ゼオライトやシリカゲル等の除湿剤を、繊維バインダーと共に円柱状に加工して形成されたものであり、後述するデシカントロータアクチュエータ108(図3参照)によって一定速度で回転駆動される。つまり、このデシカントロータ12は、ゼオライト、シリカゲル、セビオライト、活性アルミナ、活性炭、塩化リチウム等の除湿能力を有する材料を、単独若しくは組み合わせた除湿剤を有し、この除湿剤を繊維バインダー等と共に円柱状に加工されたものであり、空気中の水分を吸収し、乾燥空気を作る処理側30と、吸収水分を熱風等によって放出する再生側32とが区分された形状に構成されている。このデシカントロータ12を一定速度で回転することにより、処理側30と再生側32とが連続して入れ替わり、除湿と水分放出とを繰り返すことができる。
熱交換器14は、アルミプレート等をフィン状に加工し、後述する二つの空気流を交差させながら熱を交換することができるものであり、この二つの空気流を交差する際には、各空気流を完全に隔離するような形状に構成されている。
冷凍サイクル16は、図1、図2に示す如く、エンジン2の駆動力によって稼働されるものであり、エンジン2にベルト34及びマグネットクラッチ36を介して連結したコンプレッサ38と、コンデンサ40と、レシーバ42と、エキスパンションバルブ44と、エバポレータ46とが備えられた冷媒通路48を有し、コンプレッサ38からの冷媒を、コンデンサ40とレシーバ42とエキスパンションバルブ44とエバポレータ46との順に循環させるものである。この冷凍サイクル16のコンデンサ40とレシーバ42とエキスパンションバルブ44とエバポレータ46とは、この実施例において、調温装置6に内在されている。また、冷凍サイクル16は、マグネットクラッチ36のオン・オフ制御で稼働する。
即ち、この冷凍サイクル16においては、フロン等からなる冷媒が冷媒通路48内でサイクルしており、この冷媒が、コンプレッサ38により圧縮され、コンデンサ40で放熱して液化する。そして、この液化した冷媒は、エキスパンションバルブ44において減圧され、エバポレータ46内で蒸発、気化し、コンプレッサ38に再び戻るサイクルとなっている。エバポレータ46では、蒸発熱を通過する空気から奪うことで、通過空気を冷却し、コンデンサ40では、凝縮熱を通過空気に与えることで、通過空気を加熱することができる。また、レシーバ42は、コンデンサ40の出口において液体の冷媒のみをエキスパンションバルブ44に送る制御を行うものである。このエキスパンションバルブ44は、冷媒の減圧等を行うものである。
そして、コンプレッサ38を駆動するには、図3に示す如く、後述するエアコン制御部78からエンジン制御部114に、コンプレッサ38のオン要求の電気信号を出力することから始まり、エンジン制御部114がマグネットクラッチ36に駆動信号(オン信号)を出力し、このマグネットクラッチ36がコンプレッサ38に接続することにより、エンジン2の駆動力をベルト34及びマグネットクラッチ36を介してコンプレッサ38に伝達し、このコンプレッサ38が駆動する。エンジン制御部114は、マグネットクラッチ36に駆動信号(オン信号)を持続して出力可能なものである。
ヒータ18のヒータコア20は、図2に示す如く、エンジン2の冷却水が導通する冷却水循環通路50の途中に設けられた熱交換器であり、エンジン2の始動後、5分程度で摂氏80〜100度の冷却水が導通され、デシカントロータ12の再生空気を作り出す加熱源、又は、車室内の暖房源として使われるものである。
また、図1に示す如く、空気調和装置4には、配風の役割を担うように、導入側切換手段である導入側四方弁52と、排出側切換手段である排出側四方弁54と、室内吹出口56を構成するようにモード(MODO)ドア58・58とが設けられている。室内吹出口56は、各吹き出しモードとして、デフロスタ(DEF)口部56−1と、換気(VENT)口部56−2と、足元(FOOT)口部56−3とを備えている。このデフロスタ(DEF)口部56−1と換気(VENT)口部56−2と足元(FOOT)口部56−3とは、モード(MODO)ドア58・58によって選択的に開閉される。
導入側四方弁52には、室内の空気を導入する第一導入通路60が連通して設けられるとともに、室外の空気を導入する第二導入通路62が連通して設けられ、また、除湿経路22に連絡する除湿側導入通路64が連通して設けられ、更に、加湿経路26に連絡する加湿側導入通路66が連通して設けられている。
この導入側四方弁52は、第一導入通路60からの車室内の内気と、第二導入通路62からの車外の外気とを、調温装置6に導入する役割を有している。この導入側四方弁52が図1に示す実線の状態では、内気を加湿経路26に導入するとともに、外気を除湿経路22に導入し、且つ、この内気と外気とを混合することなく調温装置6に導入することができる。また、導入側四方弁52を切り換えることにより、図1の実線と破線とを切り換えることができ、調温装置6に導入する空気(内気又は外気)を切り換えることができる。また、この導入側四方弁52は、第一導入通路60と加湿手段28とを連絡し且つ第二導入通路62と除湿手段24とを連絡する第一モードと、第一導入通路60と除湿手段24とを連絡し且つ第二導入通路62と加湿手段28とを連絡する第二モードとを備え、前記第一モードと前記第二モードとのいずれか一方のモードに切り換えられる。
排出側四方弁54には、除湿手段24の除湿経路22と連絡して該除湿手段24により除湿された空気を排出する第一排出通路68が連通して設けられているとともに、加湿手段28の加湿経路26と連絡して該加湿手段28により加湿された空気を排出する第二排出通路70が連通して設けられ、また、室内吹出口56に連絡する室内排出通路72が連通して設けられ、更に、外部に連通する室外排出通路74が連通して設けられている。
この排出側四方弁54は、調温装置6から排出された空気を、車内又は車外に振り分ける役割を有している。この排出側四方弁54が図1に示す実線の状態では、除湿経路22を通ってきた空気を室内排出通路72への調温空気として、一方、加湿経路26を通ってきた空気を室外排出通路74への排気空気として、振り分ける。この排出側四方弁54を切り換えることにより、図1の実線と破線とを切り換えることができ、調温装置6から出てくる空気を切り換えることができる。
導入側四方弁52及び排出側四方弁54は、共に、後述の内外気アクチュエータ104(図3参照)によって各々を独立して駆動される。
除湿手段24は、図1に示す如く、除湿経路22にデシカントロータ12の処理側30と熱交換器14とエバポレータ46とを備え、前記第一導入通路60及び前記第二導入通路62から導入した空気を、第一ブロアファン8の駆動により、デシカントロータ12の処理側30と熱交換器14とエバポレータ46との順に通過させることにより除湿するものである。
加湿手段28は、図1に示す如く、加湿経路26に熱交換器14とコンデンサ40とヒータコア20とデシカントロータ12の再生側32とを備え、前記第一導入通路60及び前記第二導入通路62から導入した空気を、第二ブロアファン10の駆動により、熱交換器14とコンデンサ40とヒータコア20とデシカントロータ12の再生側32との順に通過させることにより加湿するものである。
モードドア58・58は、室内排出通路76からの調温空気を車室吹出口56の各口部(56−1、56−2、56−3)に振り分ける装置であり、後述するモード(MODE)アクチュエータ110(図3参照)によって駆動制御される。このモードドア58・58の駆動制御により、室内排出通路72からの調温空気は、車室内のフロントガラスに吹き付けるデフロスタ口部56−1、乗員の上半身に吹き付ける換気口部56−2、乗員の下半身に吹き付ける足元口部56−3の各モード(MODE)に振り分けられる。図1においては、モードドア58・58が、換気口部56−2を開放しており、室内排出通路72からの調温空気は、換気口部56−2から吹き出すことを意味している。
空気調和装置4は、図3に示す如く、制御手段(ECU)76を備えている。この制御手段76は、エアコン制御部(ECU)78とエアコンパネル80とからなる。エアコン制御部(ECU)78のコントロールユニット82には、少なくとも中央演算装置(CPU)84と、読出専用メモリ(ROM)86と、ランダムアクセスメモリ(RAM)88と、入出カポート(I/O)90等が設けられている。
エアコン制御部78は、外気温度を検出する外気温センサ92と、外気湿度を検出する外湿度センサ94と、室内の内気温度を検出する内気温センサ96と、室内の内気湿度を検出する内湿度センサ98と、日射量を検出する日射センサ100とに連絡し、これら各センサからのセンシング情報を入力する。
また、エアコン制御部78は、HVCAモジュール102において、前記導入側四方弁52と前記排出側四方弁54とを各々独立して駆動するモータ等からなる内外気アクチュエータ104と、前記第一ブロアファン8と前記第二ブロアファン10とを各々独立して駆動するモータ等からなるブロアファンアクチュエータ106と、前記デシカントロータ12を一定速度で回転駆動するモータ等からなるデシカントロータアクチュエータ108と、室内吹出口56の各口部を切り換えるモータ等からなるモード(MODE)アクチュエータ110とに連絡し、これらを駆動制御するとともに、エバポレータ46の温度を検出するエバポレータ温度センサ112が連絡している。
つまり、このエアコン制御部78は、エアコンパネル80からの温度、湿度、風量、モード(MODE)、内外気取込口等の設定情報、各センサ(外気温センサ92、外湿度センサ94、内気温センサ96、内湿度センサ98、日射センサ100、エバポレータ温度センサ112)からのセンシング情報を入力し、所定のプログラムに従って制御信号に変換し、各アクチュエータ(内外気アクチュエータ104、ブロアファンアクチュエータ106、デシカントロータアクチュエータ108、モードアクチュエータ110)を駆動する。
エンジン2は、図3に示す如く、エンジン制御部(EUC)114に連絡し、このエンジン制御部114によって運転制御される。このエンジン制御部114には、車速を検出する車速センサ116と、ヒータコア18に流入するエンジン2の冷却水の液温を測定するための素子としての水温センサ118と、冷媒サイクル6の冷媒の圧力を検出する冷媒圧力センサ120とが連絡している。
また、エンジン制御部114は、エアコン制御部78に連絡している。これにより、エンジン制御部114とエアコン制御部78とは、互いに通信可能である。つまり、エアコン制御部78は、冷凍サイクル16を駆動するために、エンジン制御部114に通信し、コンプレッサ38の駆動要求の電気信号を出力する。また、エアコン制御部78は、冷媒圧力センサ120からの情報を、エンジン制御部114との通信から受け取る。更に、エバポレータ温度センサ112は、エバポレータ46の温度を検出し、この検出した温度の電気信号をエアコン制御部78に出力し、凍結防止に使用させる。
前記制御手段76は、前記第一モードと前記第二モードとのいずれか一方のモードに切り換えるように導入側切換手段である導入側四方弁52を切り換え作動し、また、この導入側四方弁52により第一モードを選択した時には、第一排出通路68と室内排出通路72とを連絡し且つ第二排出通路70と室外排出通路74とを連絡し、導入側四方弁52により第二モードを選択した時には、第一排出通路68と室外排出通路74とを連絡し且つ第二排出通路70と室内排出通路72とを連絡するように排出側切換手段である排出側四方弁54を切り換え作動する。
つまり、制御手段76は、第一導入通路60と加湿経路26とを連絡し且つ第二導入通路62と除湿経路22とを連絡する第一モード(図1の除湿冷房運転)と、第一導入通路60と除湿経路22とを連絡し且つ第二導入通路62と加湿経路26とを連絡する第二モード(図5の加湿暖房運転)とに、前記導入側四方弁52及び前記排出側四方弁54を作動制御するものである。具体的には、導入側四方弁52により第一モードを選択すると、図1に示す如く、空気調和装置4を除湿冷房運転とし、一方、導入側四方弁52により第二モードを選択すると、図5に示す如く、空気調和装置4を加湿暖房運転とし、また、導入側四方弁52により第一モードを選択した後に、図7に示す如く、空気調和装置4を曇り運転とする。
なお、空気調和装置4は、図示しないが、12Vの鉛バッテリ等の電源を用いて駆動される。
次に、この実施例の作用を説明する。
空気調和装置4の運転においては、導入側四方弁52や排出側四方弁54の切り替えにより、除湿冷房運転や加湿暖房運転等を実現することができる。基本的な運転は、第二導入通路62からの外気を車内に取り込む外気導入で行う。これは、車室内に二酸化炭素が溜まり、乗員に不快感を与えないためである。
空気調和装置4の除湿冷房運転においては、図1の空気調和装置4の状態、及び、図4の空気温度と絶対湿度の状態線図で運転される。この除湿冷房運転は、乗員からの温度設定要求が現在の内気温センサ96の値より低く、また、湿度設定要求が現在の内湿度センサ98の値より低い時に使われる。
この除湿冷房運転時には、導入側四方弁52と排出側四方弁54とを、図1の実線で示すように切り替えて行う。この状態において、除湿経路22には、第二導入通路62からの外気(図4の点A)が取り込まれるとともに、加湿経路26には、第一導入通路60からの内気(図4の点E)が取り込まれる。
また、冷凍サイクル16を稼動すると、図4に示す如く、先ず、点Aの第二導入通路62からの外気が、第一ブロアファン8によって調温装置6内に送られ、デシカントロータ12の処理側30を通過する。この外気は、この処理側30を通過する際に、デシカントロータ12の内部の除湿剤と接触し、除湿される。このとき、点Aの空気は、等エンタルピ過程で状態変化を起こし、温度上昇、絶対湿度低下を起こして、点Bの状態となる。この点Bの空気は、熱交換器14へと導入され、加湿経路26に送られる点Eの空気と熱交換を行う。この点Eの空気は、第一導入通路60からの内気が、第二ブロアファン10によって調温装置6内に導入されたものである。点Bの空気は、点Eの空気に対して放熱を行い、温度が低下して、点Cの状態となる。
逆に、点Eの空気は、吸熱して点Fの状態となる。点Cの空気は、エバポレータ46を通過し、熱が吸収され、点Dの状態となり、調温装置6から排出側四方弁54に向かって放出される。この排出側四方弁54は、図1の実線で示す、除湿経路22を通ってきた空気を調温空気として車内に吹出す経路として、車室排気通路72を選択し、これにより、点Dの空気は、モードドア58・58に遮られていない換気口部56−2より車内に吹き出される。この点Dの空気は、第一導入通路60からの内気の空気であった点Eの空気に比べ、低温且つ低湿の空気となり、車内を除湿冷房することができる。
一方、加湿経路26の点Fの空気は、コンデンサ40を通過し、加熱され点Gの状態となり、さらに、ヒータコア20に導入され、エンジン2の冷却水により、さらに加熱された点Hの状態となる。この点Hの空気は、デシカントロータ12の再生側32を通過し、処理側30で吸収された水分を奪い取る。つまり、点Hの空気は、再生側32を通過することで、等エンタルピ過程で状態変化を起こし、温度低下、絶対湿度上昇を起こして、点Iの状態となり、調温装置6から排出側四方弁54に向かって放出される。
デシカントロータ12の再生側32は、高温空気が通過したことで、再び水分吸収能力を回復し、回転移動して、処理側30へと回り、除湿経路22に入ってきた空気を除湿できる。また、加湿経路26を通ってきた点Iの空気は、排出側四方弁54では、図1の実線で示すように、室外排出通路74に排出空気として振り分けられ、最終的に、車外へ排出される。
そして、車内には、点Dの空気が入り、乗員、車室内を冷房した後、第一導入通路60からの内気として、加湿経路26へ回されることになる。このときの空気を、点D’とすると、この点D’の空気は、熱交換器14にて、点Bの空気と熱交換することになるが、最初に熱交換したE点の空気に比べ、D’点の空気が低温であることから、熱交換効率が上昇し、点Bの空気は、多量に放熱できることとなり、最終的には、点Dの空気よりもさらに低温の空気を車内に導入することが可能となる。
但し、過度な冷房を行ってしまうと、春季や秋季等では、乗員に冷温による不快感を与える可能性もある。この場合、冷凍サイクル16の稼働率を変化させることで、エバポレータ46の温度調節を行い、不快感を解消する。具体的には、点Cの空気をエバポレータ46により冷却し、点Dの空気とするが、冷凍サイクル16を稼動しなければ、点Cの空気を、そのまま調温空気して車内に導入することも可能である。つまり、冷凍サイクル16の稼働率により、点Cから点Dの間の空気を、選択的に換気口部56−2から導入することができ、温度調節を行うことが可能となる。冷凍サイクル16の稼働率は、マグネットクラッチ36のオン時間で制御することができる。
以上の方法では、車内には、常に第二導入通路62からの外気から取り込んだ新鮮な空気を導入できる。但し、第二導入通路62からの外気が新鮮でない場合は、この限りではない。つまり、第二導入通路62からの外気が悪臭等の問題により、内気循環で冷房を行いたいと、エアコンパネル80を通して、乗員が要求してくる場合もある。この場合には、導入側四方弁52を操作し、第一導入通路60からの内気を除湿経路22に導入するように、内外気アクチュエータ104を操作すればよい。これにより、第一導入通路60からの内気は、除湿経路22内の、デシカントロータ12の処理側30、エバポレータ46等を通ることが可能となり、除湿冷房される。この除湿冷房された空気は、排出側四方弁54を操作し、室内排出通路72を連通し、調温空気として車内に吹き出す経路を選択することで、内気循環経路を達成することができる。
空気調和装置4の加湿暖房運転においては、図5の空気調和装置4の状態、及び、図6の空気温度と絶対湿度の状態線図で運転される。この加湿暖房運転は、乗員からの温度設定要求が現在の内気温センサ96の値より高く、また、湿度設定要求が現在の内湿度センサ98の値より高い時に使われる。
この加湿暖房時には、冷凍サイクル16が駆動していない。この加湿暖房運転時には、導入側四方弁52と排出側四方弁54とを、図5の実線で示すように切り替えて行う。この状態において、除湿経路22には、第一導入通路60からの内気(図6の点J)が取り込まれるとともに、加湿経路26には、第二導入通路62からの外気(図6の点M)が取り込まれる。
この加湿暖房時には、図6に示す如く、先ず、点Jの第一導入通路60からの内気が、第一ブロアファン8によって調温装置6内に送られ、デシカントロータ12の処理側30を通過し、そして、この処理側30を通過する際に、内部の除湿剤と接触し、除湿される。このとき、点Jの空気は、等エンタルピ過程で状態変化を起こし、温度上昇、絶対湿度低下を起こして、点Kの状態となる。この点Kの空気は、熱交換器14へと導入され、加湿経路26に送られる点Mの空気と熱交換を行う。この点Mの空気は、第二導入通路62からの外気が第二ブロアファン10によって調温装置6内に導入されたものである。この点Kの空気は、点Mの空気に対して放熱を行い、温度が低下して点Lの状態となる。
逆に、この点Mの空気は、吸熱され、点Nの状態となる。点Lの空気は、エバポレータ46を通るが、冷凍サイクル16が、この加湿暖房時においては、駆動しないため、温度変化なく調温装置6から排出側四方弁54に向かって放出される。排出側四方弁54は、図5の実線で示す如く、除湿経路22を通ってきた空気を排出空気として車外へ放出する経路として、車外排出通路74を選択し、これにより、この点Lの空気は、車外へ放出される。
一方、加湿経路26の点Nの空気は、コンデンサ40を通るが、冷凍サイクル16が、加湿暖房時においては、駆動していないため、温度変化なくヒータコア20へ導入され、このヒータコア20では、エンジン2の冷却水により加熱され、点Oの状態になる。この点Oの空気は、デシカントロータ12の再生側32を通過し、処理側30で吸収された水分を奪い取る。つまり、点Oの空気は、再生側32を通過することで、等エンタルピ過程で状態変化を起こし、温度低下、絶対湿度上昇を起こして、点Pの状態となり、調温装置6から排出側四方弁54に向かって放出される。
デシカントロータ12の再生側32は、高温空気が通過したことで、再び水分吸収能力を回復し、回転移動して処理側30への回り、除湿経路22に入ってきた空気を除湿できる。加湿経路26から吹き出された点Pの空気は、排出側四方弁54の実線で示す経路を通り、調温空気として車内に吹き出される。点Pの空気は、図5におけるモードドア58・58に遮られていない足元口部56−3より車内に吹き出される。この点Pの空気は、第一導入通路60からの内気の空気であった点Mの空気に比べ、高温且つ高湿の空気となり、車室内を加湿暖房することができる。
そして、車内には、点Pの空気が入り、乗員、車室内を暖房した後に、第一導入通路60からの内気として、除湿経路22へ回されることになる。このときの空気を点P’とすると、この点P’の空気は、デシカントロータ12の処理側30へと入り、除湿剤によって除湿され点Qの空気となる。この点Qの空気は、熱交換器9にて、点Mの空気と熱交換することになる。最初に熱交換した点Kの空気に比べ、点Qの空気は、高温であることから熱交換効率が上昇し、点Mの空気は、多量に吸熱できることとなり、最終的には、点Pの空気よりもさらに高温の空気を、車内に導入することが可能となる。
この方法では、車内には、常に第二導入通路62から外気を取り込んだ新鮮な空気として導入できる。但し、第二導入通路62からの外気が新鮮でない場合は、この限りではない。つまり、第二導入通路62からの外気が悪臭等の問題により、内気循環で暖房を行いたいとエアコンパネル80を通して、乗員が要求してくる場合もある。この場合には、導入側四方弁52を操作し、第一導入通路60からの内気を加湿経路26に導入するように、内外気アクチュエータ104を操作すればよい。これにより、第一導入通路60からの内気は、加湿経路26内の、ヒータコア20、デシカントロータ12の再生側32等を通ることが可能となり、加湿暖房される。この加湿暖房された空気は、排出側四方弁54を操作し、調温空気として車内に吹出す経路を選択することで、内気循環経路を達成することができる。
空気調和装置4の曇り防止運転においては、図7の空気調和装置4の状態、及び、図4の空気温度と絶対湿度の状態線図で運転される。この曇り防止運転は、乗員からのエアコンパネル80におけるデフロスタ要求により使われる。
この曇り防止運転時には、導入側四方弁52と排出側四方弁54とを、図7の実線で示すように、切り替えて行う。この状態において、除湿経路22には、第二導入通路62からの外気(図4の点A)が取り込まれるとともに、加湿経路26には、第一導入通路60からの内気(図4の点E)が取り込まれる。
また、冷凍サイクル16は、状況によって稼働率を変える制御を行う。この曇り防止運転は、上記の除湿冷房運転と運転が同じであり、調温空気の吹出口としてデフロスタ口部56−1を選択するように運転すれば良い。但し、冷房まで行ってしまうと、春季や秋季等では、乗員に冷温による不快感を与える可能性もある。この場合には、冷凍サイクル16の稼働率を変化させることで、エバポレータ46の温度調節を行い、不快感を解消する。具体的には、点Cの空気を、エバポレータ46により冷却し、点Dの空気とするが、冷凍サイクル16を稼動しなければ、点Cの空気を、そのまま調温空気として車内に導入することも可能である。つまり、冷凍サイクル16の稼働率により、点Cから点Dの間の空気を、選択的にデフロスタ口部56−1から導入でき、温度調節を行うことが可能となる。冷凍サイクル16の稼働率は、マグネットクラッチ36のオン時間で制御することができる。
従って、この実施例における空気調和装置4においては、コンプレッサ38、コンデンサ40、レシーバ42、エキスパンションバルブ44、エバポレータ46の順に冷媒が循環する冷凍サイクル16を設け、室内の空気を導入する第一導入通路60を設け、室外の空気を導入する第二導入通路62を設け、第一導入通路60及び第二導入通路62から導入された空気を、水分の脱着再生可能な吸湿部材であるデシカントロータ12の処理側30、熱交換器14、エバポレータ46の順に通過させることにより除湿する除湿手段24を設け、第一導入通路60及び第二導入通路62から導入された空気を、熱交換器14、コンデンサ40、ヒータコア20、デシカントロータ12の再生側32の順に通過させることにより加湿する加湿手段28を設け、除湿手段24と連絡して該除湿手段24により除湿された空気を排出する第一排出通路68を設け、加湿手段28と連絡して該加湿手段28により加湿された空気を排出する第二排出通路70を設け、第一導入通路60と加湿手段28とを連絡し且つ第二導入通路62と除湿手段24とを連絡する第一モードと、第一導入通路60と除湿手段24とを連絡し且つ第二導入通路62と加湿手段26とを連絡する第二モードとを備え、前記第一モードと前記第二モードとのいずれか一方のモードに切り換えられる導入側切換手段である導入側四方弁52を設け、この導入側四方弁52により前記第一モードを選択した時には、第一排出通路68と室内排出通路72とを連絡し且つ第二排出通路70と室外排出通路74とを連絡するとともに、導入側四方弁52により前記第二モードを選択した時には、第一排出通路68と室外排出通路74とを連絡し且つ第二排出通路70と室内排出通路72とを連絡するように切り換えられる排出側切換手段である排出側四方弁54を設けた。
これにより、エバポレータ46、コンデンサ40、水分の脱着再生可能な吸湿部材であるデシカントロータ12、熱交換器14、ヒータコア20等の加熱源等を適正に配置したので、少ないエネルギで、室内を設定された温度及び湿度に調節することができ、また、除湿冷房、加湿暖房、曇り防止運転の3つの運転モードを備えているので、どの季節においても使用者の要求に応えることが可能となる。つまり、除湿、冷却、加熱、熱交換、除湿剤の再生等を、より効率的に行え、且つ、車両用に適した空調調和装置4を提供することができる。具体的には、熱交換器14、デシカントロータ12の除湿剤等の配置により、効果的に熱交換や除湿を行えるようにした。また、除湿剤の再生のための空気加熱に、排熱であるエンジン2の冷却水を用い、省エネルギ性を高めることができる。
また、空気調和装置4は、導入側四方弁52により前記第一モードを選択した時には、除湿冷房運転することから、常に、室外(外気)から取り込んだ新鮮な空気により、除湿冷房運転することができる。
更に、空気調和装置4は、導入側四方弁52により前記第二モードを選択した時には、加湿暖房運転することから、常に、室外(外気)から取り込んだ新鮮な空気により、加湿暖房運転することができるとともに、車両用においては、従来行えなかった上記の3つの運転モードを実現することができる。
更にまた、空気調和装置4は、車両に搭載されていることから、低エネルギで装置を稼動することができ、エンジン2ヘの負荷を低減することが可能となり、これにより、エンジン2の燃料消費量を低減することが可能となる。
具体的には、この実施例の空気調和装置4によれば、デシカントロータ12は、ゼオライト、シリカゲル、セビオライト、活性アルミナ、活性炭、塩化リチウム等の除湿能力を有する材料を、単独若しくは組み合わせた除湿剤を有し、また、デシカントロータ12は、乾燥空気を作る処理側30と吸収水分を熱風等により放出する再生側32とに区分された形状であることから、湿度調整が可能となり、乗員の快適性を向上することができる。
また、デシカントロータ12は、ゼオライト、シリカゲル、セビオライト、活性アルミナ、活性炭、塩化リチウム等の除湿能力を有する材料を、単独若しくは組み合わせた除湿剤を有し、また、調温装置6によって調温された空気を車内に導入する際に、各吹き出しモードに分離できるモードドア58・58を設けたことから、湿度調整による窓ガラスの曇り防止が可能となり、視認性を向上することができる。
更に、ゼオライト、シリカゲル、セビオライト、活性アルミナ、活性炭、塩化リチウム等の除湿能力を有する材料を単独若しくは組み合わせて構成した除湿剤を、繊維バインダ等と共に円柱状に加工したデシカントロータ12を設け、また、このデシカントロータ12は、モータ等のアクチュエータにより一定速度で回転可能であることから、除湿加湿能力を継続的に続けることができ、快適性を向上することができる。
更にまた、デシカントロータ12は、乾燥空気を作る処理側30と吸収水分を熱風等により放出する再生側32とに区分された形状であり、また、車両用のエンジン2の冷却水が流通し、空気の加熱源として利用できるヒータコア20を設けたことから、冷暖房に排熱を利用することができ、省エネルギを図ることができる
また、アルミプレート等をフィン状に加工し、二つの空気流を隔離しながら交差させ、互いの熱を交換できる熱交換器14を設けたことから、除湿による熱の上昇を取り除くことができ、冷房効果を高くし、省エネルギを図ることができる
更に、コンプレッサ38、コンデンサ40、エバポレータ46等からなる冷凍サイクル16を設け、この冷凍サイクル16の駆動を電気制御し、また、現在の温度や湿度情報、エンジン2の冷却水の温度等の情報をセンシングし、エアコン制御部78にそれらの情報を電気信号で知らせることができる各種センサを設けたことから、冷房側の温度調節が可能となり、快適性を向上することができる。
更にまた、第一、第二ブロアファン8、10によって送風された調温装置6内の二つの空気流のうち、一つの空気量は、デシカントロータ12の処理側30、熱交換器14、エバポレータ46を通る除湿経路22に供給され、もう一つの空気量は、熱交換器14、コンデンサ40、ヒータコア20、デシカントロータ12の再生側32を通る加湿経路26に供給されることから、冷暖房、除加湿の最適化が可能となり、省エネルギを図ることができる。
また、車内からの内気と車外からの外気とを各々独立して調温装置6に送り込める電機駆動可能な第一、第二ブロアファン8、10を設け、また、車内からの内気と車外からの外気とを分離して調温装置6に振り分けられる導入側四方弁52を設けるとともに、調温装置6から排出された空気を車内か車外かに振り分けられる排出側四方弁54を設け、更に、導入側四方弁52と排出側四方弁54とは、モータ等の内外気アクチュエータ104により、各々独立で電気駆動可能であることから、外気導入での運転が可能となり、快適性を向上することができる。
更に、車内からの内気と車外からの外気とを各々独立して調温装置6に送り込める電気駆動可能な第一、第二ブロアファン8、10を設け、また、車内からの内気と車外からの外気とを分離して調温装置6に振り分けられる導入側四方弁52を設けるとともに、調温装置6から排出された空気を車内か車外かに振り分けられる排出側四方弁54を設け、更に、導入側四方弁52と排出側四方弁54とは、モータ等の内外気アクチュエータ104により、各々独立で電気駆動可能であり、また、調温装置6によって調温された空気を車内に導入する際に、各吹き出しモードに分離できるモードドア58・58を設けたことから、内気循環での運転も可能となり、不快感を防止することができる。
更にまた、調温装置6によって調温された空気を車内に導入する際に、各吹き出しモードに分離できるモードドア58・58を設け、また、このモードドア58・58は、モータ等のモードアクチュエータ110により電気制御可能であり、更に、各吹き出しモードは、車室内のフロントガラスに吹き付けるデフロスタ口部56−1、乗員の上半身に吹き付ける換気口部56−2、乗員の下半身に吹き付ける足元口部56−3の三種類を有することから、乗員にとって最適な吹出口を選択することができ、快適性を向上することができる。
また、上記の各アクチュエータ類、駆動回路等を一意的に制御できるエアコン制御部78を設け、また、このエアコン制御部78は、乗員からの設定情報を受け取ることができるようなエアコンパネル80を有し、更に、現在の温度や湿度情報、エンジン2の冷却水の温度等の情報をセンシングし、エアコン制御部78にそれら情報を電気信号で知らせることができる各種センサを設けたことから、電子制御による最適制御が行え、省エネルギを図ることができる。
なお、この発明は、上述の実施例に限定されず、以下の各変形例等で示すように、種々応用改変が可能であることは、勿論である。
第1の変形例として、上記の曇り防止運転に関し、冬季等では、除湿を行いながら暖房を行うことも要求される。この場合、図8に示す如く、空気調和装置4において、コンプレッサ38とコンデンサ40とを連結する通常サイクルモードM1と、コンプレッサ38とエバポレータ46とを連結するホットガスサイクルモードM2とを切り換えるモード切換手段である切換弁202を、コンプレッサ38とコンデンサ40とを連結する通路204に設け、冷凍サイクル16を切換弁202によって制御し、エバポレータ46を通る空気を加熱できるようにしても良い。
具体的には、切換弁202を新たに設け、この切換弁202をモータ等のアクチュエータによって駆動できるようにし、冷凍サイクル16を二通りの経路になるようにする。つまり、切換弁202が、図8の破線で示す状態では、冷凍サイクル16が通常サイクルモードM1であり、通常の機能となる。しかし、切換弁202が、図8の実線で示す状態になると、ホットガスサイクルM2となり、コンデンサ40、レシーバ42、エキスパンションバルブ44を通らない経路にすることができる。
つまり、コンプレッサ38によって圧縮された冷媒は、直接、エバポレータ46に入るようになり、このエバポレータ46で熱を放出し、コンプレッサ38に再び戻るようになる。このホットガスサイクルドM2により、エバポレータ46を通る空気は、加熱される。この状態を、図9の空気温度と絶対湿度の状態線図で示す。この曇り防止運転では、図9に示す如く、点Cになった空気は、冷凍サイクル16が通常サイクルモードM1であれば、点Dに冷却されるが、冷凍サイクル16がホットガスサイクルドM2を用いることで、点Rまで加熱することができる。これにより、除湿暖房運転が可能となる。
従って、この第1変形例においては、ホットガスサイクルモードM2を選択することにより、除湿暖房運転が可能であり、また、冷凍サイクル16の一部をバイパスするだけで、冬季においても車室内を冷やすことなく、曇り防止運転を実現することが可能となる。
また、第2の変形例として、図10に示す如く、コンデンサ40を、調温装置6の外部でラジエータ206の前側に配置した。また、レシーバ42及びエキスパンションバルブ44も、コンデンサ40と同様に、調温装置6の外部に配置した。コンデンサ40は、冷媒の放熱、液化を行う機器であり、エバポレータ46の吸熱効率にかかわるものである。
従って、この第2の変形例において、コンデンサ40をラジエータ206の前側に配置することで、車速風を利用して、効果的にコンデンサ40の放熱を行え、エバポレータ46における吸熱効率を上げることができる。一方、車速風が得られない停車時等では、ラジエータファン208を回すことで、コンデンサ40の放熱を行うようにすれば良い。
第3の変形例として、コンプレッサ38の駆動源としては、駆動に十分な電力が得られるならば、図11に示す如く、別途に電動コンプレッサ210を用いることも可能である。具体的な電力供給源には、ハイブリッド車両に用いているハイブリッドバッテリ、電気自動章のバッテリ、燃料電池自動章の燃料電池等が挙げられる。これらの供給源から電力を供給できるシステムを作り、電動コンプレッサ210を用いる。
この第3の変形例において、電動コンプレッサ210は、電力により冷媒圧縮能力を決めることができるので、エバポレータ46におけるより細かい温度制御を行えるようになる。また、レイアウトもエンジン2と直結しなくてもよくなり、エンジンルームの外側に配置することも可能となる。同様に、エンジン2と直結していないため、アイドリングストップも可能となる車両用の空気調和装置を用いることも可能となる。
また、第4の変形例として、加湿暖房時には、加湿量によっては車室内の窓ガラスが曇ってしまうおそれがある。こういった場合は、図12のような構成にして、除湿経路22を通ってきた空気の一部を、デフロスタ口部56−1から吹き出すようにすれば良い。つまり、加湿暖房運転中は、図6の点Pの空気が、足元口部56−3から吹き出ているが、湿度の低い点Lの空気の一部を、デフロスタ口部56−1から吹き出すことにより、窓ガラスの曇りを防止できるとするものである。
具体的には、除湿経路22の出口にデフロスタ口部56−1に連ながる分岐通路としてのバイパスライン212を設け、このバイパスライン212をバイパスラインドア214によって風量を制御すれば良い。バイパスライン212を使用しないときには、バイパスラインドア214を破線の位置までスライドして動かすことで、バイパスライン212に風を流し込まず、通常の加湿暖房運転が可能である。この制御に入るには、内湿度センサ98から得られる車内の湿度(湿気)が、外気温センサ92から得られる外気温によって結露するかどうかによって判断する。また、乗員にデフロスタ口部56−1と足元口部56−3とから同時に風を吹き込ませるデフロスタ(DEF)・足元(FOOT)モードを選択させるようにしても良い。また、バイパスライン212は、通常用いているモードドア58・58の一部として加工しても良い。
この第4の変形例においては、車室内を加湿暖房時において、フロント、及びサイドウィンドウのみ曇りを防止することができるので、運転に支障なく加湿暖房をすることが可能である。
また、上記の実施例では、車両用に限定した空気調和装置であったが、この空気調和装置を、一般の住宅用、オフィスや工場などの空調に用いても良い。この場合、ヒータコアに代わる熱源としては、電気ヒータ等を用いれば良い。また、エンジン、マイクロガスタービン、燃料電池等の排熱を得られる機器の排熱を導入できる形をとっても良い。冷凍サイクル16は、電動コンプレッサを使用したシステムにすれば、駆動源は容易に得ることができる。
第一、第二ブロアファン8、10は二つにする必要はなく、ブロアファンをーつで除湿経路22、加湿経路26の二つの経路に独立して送風できる形状にしても良い。
温度センサと湿度センサを統一して、温湿度センサモジュールとして配置しても良い。
悪臭やタバコの煙等の汚染空気を清浄化するために、内気、外気の取り込み口近傍に、空気清浄用フィルタを設けても良い。また、デシカントロータ12に空気清浄機能を持たせて、フィルタの代わりをさせるようにしても良い。
エアコンパネル80にオートモードを設定できるボタン等を追加しても良い。この場合、各センサの読み込み値から、自動でアクチュエータを駆動できるマップ等をエアコン制御部78内に記憶させ、除湿冷房運転、加湿暖房運転、曇り防止運転の各運転モードを、自動で運転できるようにしても良い。
ヒータコア20に流すエンジン2の冷却水の流量を制御して、加湿暖房時の温度制御をより細かく制御できるものにしても良い。具体的には、ヒータコア20とエンジン2の間の配管に、電気制御できる制御弁を取り付け、エアコン制御部78等により、制御弁の開放度合いを制御し、エンジン2の冷却水の流量を制御すれば良い。
日射センサ100からの情報により、冷房を強くする制御を加えても良い。具体的には、日射が車内に侵入すると、乗員の上半身に直射する状態になり、腕や顔が熱くなり、不快感を与える。これを防ぐために、日射センサ100により日射強度を測定し、エバポレータ46の能力を制御することで、腕や顔の熱を取り除き、快適性を向上させることができる。
水温センサ118からの情報により、車内に吹き込む風景を制御しても良い。除湿冷房時には、エンジン2の冷却水の液温度が低い場合、デシカントロータ12の再生側32に吹き込む風の温度が低くなり、十分な除湿剤の再生が望めなくなる。この場合には、風量を弱くして、液温が上がるにつれて風量を強くして行き、除湿剤の再生温度を上げる制御を行う。また、加湿暖房時においては、エンジン2の冷却水の液温度が低いと、車内に冷風が吹き出るようになり、不快感を与える。この場合も、風量を弱くして、液温が上がるにつれて風量を強くして行き、不快感を与えない制御を加える。また、加湿暖房時には、駆動しない冷凍サイクル16を一時的に駆動し、コンデンサ40による加熱を利用して、車内に吹き込む風の温度を上げても良い。
室内への調温空気に調温空気温度センサや調温空気湿度センサ等を付けて、エアコン制御部78に電気信号として伝達する手段を持たせても良い。この場合、車内に吹き出す空気の温度、湿度がわかり、設定温度、設定湿度になるまでのタイムラグも計算できるようになり、調温装置6の制御がより細かく設定できるようになる。
エアコン制御部78は、車速センサ116、水温センサ118、冷媒圧力センサ120からの情報を、エンジン制御部114との通信で受けているが、何らかの形で受けられれば良い。つまり、直接、センサ信号を受けるようにしても良いし、別の制御部からの通信で受けるようにしても良い。