JP4538809B2 - 巻取軸及び巻取軸のホルダに用いる係止部材 - Google Patents
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背景技術で説明したように、一般に、巻取装置100のシャフトAの外周には複数個のクランプ機構(紙管ホルダ)10が同軸状に並置されており、これら紙管ホルダ10の外面上には、出没自在なように係止部材40が備えられている(図12参照)。そして、紙管ホルダ10の外面から係止部材40を突出させることで、周囲の紙管Bを保持させている(図11参照)。通常、係止部材40の突出高さは一様に定められている。これに対して、本発明では、同様に巻取装置100のシャフトAの外周に複数個の紙管ホルダ10を同軸状に並置させて、これら紙管ホルダ10の外面上に、出没自在なように係止部材40を備えるが、係止部材40の突出高さをより細かく調整させる。そして、紙管ホルダPOと紙管のピッチP2が異なる結果、紙管ホルダ10上に紙管Bがずれて配置されるような場合であっても(図13参照)、特定の係止部材40の突出高さを調整することで、位置ずれに合わせて、柔軟に巻取操作が行えるようする。本発明に係る係止部材40の突出高さの調整は、様々な紙管ホルダ10に適用することができるが、以下の説明では、紙管ホルダ10は、基本的には、特許文献1に開示されたように構成されるものとする。尚、特許文献1の発明は、本発明と同一出願人によって出願されており、この内容は参照上、本発明に包含される。
例示した紙管ホルダ10は、ホルダ20内にベアリング30と係止部材40を直接当接させるように収容しており、図11に示したように、ベアリング30をスライド移動させると(図11(B)の符合D1a、D1b参照)、係止部材40がベアリング30によって押圧されて、放射方向に突出している(図11(B)の符合D2参照)。この構成は、図2と3に示すように、主にベアリング30の収容状態によって、第一の形態と第二の形態に分けることができる。
即ち、第一の形態では、図2の(A)に示すように、紙管ホルダ10は、係止部材40の両側にベアリング30を夫々回転自在かつ軸方向にスライド自在に設けている。そして、図2の(B)に示すように、これらベアリング30の各々を係止部材40に対して同時に軸方向にスライドさせることにより、係止部材40を傾斜状外周面33、43に沿って係合孔から放射方向に突出させている。尚、図2に示した例では、並置された4つのベアリングの夫々が、係止部材40に向ってスライドしている。
また、第二の形態では、図3の(A)に示すように、紙管ホルダ10は、係止部材40の両側にベアリング30を設けるが、これらベアリング30のうち、一方のベアリング30aを回転自在かつ軸方向不動に固定させており、他方のベアリング30bのみを回転自在かつ軸方向にスライド自在に設けている。そして、この軸方向に移動可能なベアリング30bのみを係止部材40に対して軸方向にスライドさせることにより、係止部材40を傾斜状外周面33、43に沿って係合孔から放射方向に突出させている。尚、図3に示した例では、並置された4つのベアリングのうち、中央の二つのベアリング30bだけが、夫々係止部材40に向って移動している。
即ち、第二の形態(図3参照)では、第一の形態(図2参照)と異なり、二つのベアリングのうちの一方30aを止め輪(スナップリング)39により軸方向の移動を固定させている。好適には、この固定手段は止め輪39であるが、他、シャフトAに固定したリングにビスを係止させて、同様の効果を奏してもよい。このため、第二の形態(図3参照)では、ベアリング30をスライド移動させる手段の数は第一の形態(図2参照)と比較して約半数でよい。また、この構成では、端部の紙管ホルダ10を位置決めする定置リング15が不要になるという効果を奏する。
このように、紙管ホルダ10は主に二つの形態に分けることができるが、本発明では、いずれの形態も利用することができる。
図5には、図1〜3に示したホルダ20の(A)正面図と(B)該正面図のb−b線に沿った断面図が例示されている。図示されるように、ホルダ20は偏平円筒状に形成され、内壁23中央から本体中心に向けて突条部24を突出形成して中空室(空隙部)27(図5の(A)参照)を左右対称の二つのチャンバ(室)27a、27b(図5の(B)参照)に分けている。各々のチャンバ27a、27bには、ベアリング30、30(図1〜3参照)が収納される。さらに、突条部24の側面に停止面25を形成して、軸方向にスライドするベアリング30に対して停止機能を備えている。この際、停止面25を突条部24より若干手前に形成して、スライドするベアリング30が直接突条部24に当接することを防止させてもよい。またホルダ20は外表面21上に少なくとも二個以上の係合孔26を放射方向に適宜間隔を置いて形成して、この係合孔26に係止部材40(図1〜3参照)を放射方向に出没自在に備える。係止部材40は係合孔26から突出することで、隣接する紙管Bの内面を押圧する。図示したホルダ20は、合計4個の係合孔26を約90°の等間隔で設けており、これら係合孔26内に係止部材40を配置できるようにしている。しかしながら、係合孔26の個数は4個に限定されず、少なくとも2個以上であればよい。
図1、11から理解できるように、ベアリング30はホルダ20のチャンバ27の水平内壁部23(図5参照)とスライド自在に密着するように外輪31を定めるとともに、シャフトA(図12参照)に対して周方向に回転自在に密着するように内輪32を定めており、ホルダ20により回転自在に嵌合される。ただし、図2に示した第一の形態に係る一組のベアリング30は、いずれも軸方向にスライド自在に配置されるが、図3に示した第二の形態に係る一組のベアリング30は、一方は軸方向にスライド自在に配置され、他方は軸方向に固定されるという相違がある。この軸方向に固定されるベアリング30aは、好適にはベアリング固定用の止め輪39を備える(図3参照)。これら図では、ベアリング30としてボールベアリングを示しているが、これは、紙管ホルダ10は主に放射方向に力を受けるためである。しかしながら、実施の形態によってはボールベアリング以外の種類のベアリング30を使用することは可能であって、またベアリング30の具体的な種類によって本発明は限定されないことを理解されたい。
ベアリング30は、駆動手段によって押圧されることでスライドする。この駆動手段は任意に構成することができるが、好適には流体圧力(例えば、圧搾空気)により作用する。例えば、図6に示すように、ベアリング30に対して近接配置されるように、駆動手段としてピストン50を設けて、このピストン50に対して、図12に示したようなシャフト内の送気路9a、9b又は9cから流体圧力を伝える。そして、ピストン50を移動させることで、ベアリング30を押圧させて、図2(B)又は図3(B)に示したように、軸方向にスライド移動させる。このピストン50は、シャフトAの軸方向に対して垂直に移動して、主にベアリング30の内輪を押圧させることで、ベアリング30を軸方向にスライドさせている。ただし、送気路9a、9b又は9cの数と構成は、図12に示したものに限定される必要はない。また、ベアリング30を軸方向にスライド移動させるピストン50は、他、様々に構成することができる。例えば、このピストンは、図7に示すように、リング状のピストン60であって、送気路9a、9b又は9cから圧搾空気が供給されると、シャフトAの軸方向に対して平行に移動して、主にベアリング30の内輪及び外輪の双方を押圧させることで、ベアリング30を軸方向にスライドさせてもよい。また、図12から理解できるように、シャフトA内に圧搾空気を供給するため、シャフトAの端部側にロータリージョイント部70を隣接配置して、この外表面上に形成した送気孔19a、19b、19cから、外部から取り込んだ空気を送気路9a、9b、9cにそれぞれ送るようにしてもよい。本発明を実施する上で、ベアリング30をスライドさせる駆動手段50、60の詳細は重要ではないため、さらなる説明は省略するが、具体例として、本発明に包含される特許文献1に記載のように構成することができる。
以上のように、紙管ホルダ10を構成することで、係止部材40の出没操作が行われるが、これらは従来技術において公知である。本発明では、さらに、予め係止部材40の外面(係止面)41に部分的に高低差Sを設けることで、上述のようにベアリング30をスライドさせて、係止部材40を一様に放射方向に突出させても、特定の係止部材40の突出高さを部分的に低くしている。再度図1を参照すると、左右の二つの紙管ホルダ10は、図2又は3に示したように、夫々等しくベアリング30を駆動させている。しかしながら、左右の二つの紙管ホルダ10は、係止部材40の係止面41の高さを相違させているため、一様に係止部材40を突出させても、夫々異なるクランプ作用を提供している。この結果、図1の右側の紙管ホルダ10は、係止部材40によって、従来と同様に紙管Bを保持させるが、図1の左側の紙管ホルダ10は、高低差Sを有する係止面41を備えた係止部材40によって、限られた領域から紙管ホルダBを保持できるようにしている。このため、二つの紙管ホルダ10にまたがって配置された紙管Bに対して、二つの紙管ホルダ10を作用させても、一方の紙管ホルダ10のみから紙管Bを保持することが可能になる。
図8には、特に、図1〜3に示した特徴と図4に示した特徴を組み合わせた形状を有する係止部材40について、(A)上方からの斜視図、(B)下方からの斜視図、(C)平面図及び(D)底面図を夫々示している。また、図8の(A)のm−m線に沿った断面図とn−n線に沿った断面図を夫々、図9の(A)と(B)に示している。これら図から理解できるように、基本的に、係止部材40は、ホルダ20の係合孔26から突出できるように、短棒状に形成されている。好適には、係止部材40は駒形状に形成される。
また、好適には、図8の(A)に示すように、紙管B(図1参照)を直接押圧する係止部材40の係止面41をホルダ20の外表面21(図5参照)に沿って湾曲するように形成する。この際、係止部材40をホルダ20の外表面21に没入させるときに、係止面41がホルダ20の外表面21と整列(図1参照)するように係止面41を形成してもよく、または係止面41が幾分外表面21の内側に没入するように係止面41を形成してもよい。後者では、係止面41を外表面21より突出させず操作上摩擦が少ないという利点がある。さらに、図1〜3を参照して説明したように、係止面41の高さは様々に変えることができる。例えば、図8の(A)の符合Sから理解できるように、切削加工により、係止面41の一部を取り除くことで、係止面41の高さを部分的に低くさせてもよい。
また、好適には、係止面41下方に傾斜状外周面43を形成して、ベアリング30の外輪31の端部33と当接させる。この際、係止面41の下方に略円錐台形状又は略円錐形状の軸部42を形成することで、曲面状の傾斜状外周面43を提供してもよく、または短棒状の軸部42に曲面状または平面状の傾斜状外周面43を適宜形成することで備えてもよい。さらに、図4を参照して説明したように、傾斜状外周面43は任意の範囲内に限り備えられることができる。例えば、図8の(D)の符合Tから理解できるように、切削加工により、軸部42の一部を取り除くことで、傾斜状外周面43の範囲を部分的に調整させてもよい。
これに対して、図10の(B)に示すように、係止部材40の係止面41の左側の高さを低くする(符合S参照)とともに、これと同じ側の、左側の軸部42の傾斜状外周面43の一部を取り除くようにしてもよい(符合T参照)。この場合、係止部材40は、右側の傾斜状外周面からベアリング30と直接当接して、右側からベアリング30を軸方向にスライドさせると、係止部材40は右側の傾斜状外周面43に沿って放射方向に突出する。但し、係止面41の左側の高さを低くしているため、係止部材40は右側から紙管Bを押圧する。一方、係止部材40に対して左側からベアリング30を軸方向にスライドさせると、この側では傾斜状外周面43が取り除かれていることにより、ベアリング30の外輪31と係止部材40が直接当接しないため、ベアリング30のスライドに係らず、係止部材40はホルダ20内に収容されたままになる。
図9と10に示した構成は、夫々左右逆、つまり鏡像関係となるように構成することができる。これは、単にホルダ20内に収容する係止部材40の向きを180°変えることで達成できる。
B 紙管
S 係止面の調整部
T 傾斜状外周面の調整部
10 紙管ホルダ(クランプ機構)
18 弾性部材(ばね)
20 ホルダ
26 係合孔
27a、27b チャンバ(室)
28 溝部
30 ベアリング
33 傾斜状外周面
40 係止部材
41 係止面
42 軸部
43 傾斜状外周面
48 溝部
100 巻取軸
Claims (4)
- 複数個の係止部材を等間隔で突出自在に配置した複数のホルダを軸方向に装着した巻取軸であって、各ホルダを軸支するベアリングにより直接前記係止部材を押圧させて、前記各ホルダの表面に形成された係合孔から前記係止部材を突出させて、係止面により周囲の部材を押圧させるようにし、さらに、
前記係止部材には、突出高さがほぼ一定の前記係止面を有するものと、ほぼ半分の高さを低くして左右の突出高さを変えた前記係止面を有するものとが含まれ、突出高さがほぼ一定の係止面を有する係止部材を係止孔に着脱自在に取り付けたホルダと、ほぼ半分の高さを低くして左右の突出高さを変えた係止面を有する係止部材を係止孔に着脱自在に取り付けたホルダと、を軸方向に並置したことを特徴とする巻取軸。 - 複数個の係止部材を等間隔で突出自在に配置した複数のホルダを軸方向に装着した巻取軸であって、各ホルダを軸支するベアリングにより直接前記係止部材を押圧させて、前記各ホルダの表面に形成された係合孔から前記係止部材を突出させて、係止面により周囲の部材を押圧させるようにし、さらに、
前記係止部材には、前記ベアリングと直接当接する傾斜状外周面を一様に有するものと、前記ベアリングと直接当接する傾斜状外周面の一部を取り除いてベアリングが直接当接しない部分を有するものとが含まれ、前記ベアリングと直接当接する傾斜状外周面を一様に有する係止部材を係合孔に着脱自在に取り付けたホルダと、前記ベアリングと直接当接する傾斜状外周面の一部を取り除いてベアリングが直接当接しない部分を有する係止部材を係合孔に着脱自在に取り付けたホルダと、を軸方向に並置したことを特徴とする巻取軸。 - 巻取軸のホルダに用いられる係止部材であって、前記ホルダを軸支するベアリングにより直接押圧されて、前記ホルダの表面に形成された係合孔から突出して、係止面により周囲の部材を押圧させるようにし、さらに、前記係止部材は、ほぼ半分の高さを低くして左右の突出高さを変えた前記係止面を有することを特徴とする係止部材。
- 巻取軸のホルダに用いられる係止部材であって、ホルダを軸支するベアリングにより直接押圧されて、前記ホルダの表面に形成された係合孔から突出して、係止面により周囲の部材を押圧させるようにし、さらに、前記係止部材は、前記ベアリングと直接当接する傾斜状外周面の一部を取り除いてベアリングが直接当接しない部分を有することを特徴とする係止部材。
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