JP4538572B2 - キャパシタ及びその製造方法 - Google Patents

キャパシタ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4538572B2
JP4538572B2 JP2005512464A JP2005512464A JP4538572B2 JP 4538572 B2 JP4538572 B2 JP 4538572B2 JP 2005512464 A JP2005512464 A JP 2005512464A JP 2005512464 A JP2005512464 A JP 2005512464A JP 4538572 B2 JP4538572 B2 JP 4538572B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
capacitor
polymer electrolyte
metal
shape
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005512464A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2005013299A1 (ja
Inventor
和夫 大西
信吾 瀬和
稔 杉山
健治 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eamex Corp
Original Assignee
Eamex Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eamex Corp filed Critical Eamex Corp
Publication of JPWO2005013299A1 publication Critical patent/JPWO2005013299A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4538572B2 publication Critical patent/JP4538572B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/0029Processes of manufacture
    • H01G9/0036Formation of the solid electrolyte layer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G11/00Hybrid capacitors, i.e. capacitors having different positive and negative electrodes; Electric double-layer [EDL] capacitors; Processes for the manufacture thereof or of parts thereof
    • H01G11/22Electrodes
    • H01G11/30Electrodes characterised by their material
    • H01G11/48Conductive polymers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G11/00Hybrid capacitors, i.e. capacitors having different positive and negative electrodes; Electric double-layer [EDL] capacitors; Processes for the manufacture thereof or of parts thereof
    • H01G11/54Electrolytes
    • H01G11/56Solid electrolytes, e.g. gels; Additives therein
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/04Electrodes or formation of dielectric layers thereon
    • H01G9/048Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by their structure
    • H01G9/055Etched foil electrodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/15Solid electrolytic capacitors

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)

Description

キャパシタは、コンデンサまたは蓄電器と呼ばれ、電極間に電荷を貯える装置あるいは回路素子である。キャパシタは、近年、パソコンや携帯端末等のメモリのバックアップ用電源としての用途を初め、瞬時の停電対応用電源、または太陽電池と組合わせたソーラー発電エネルギー貯蔵システム等の用途に用いることができるために注目されている。
キャパシタ(コンデンサ)に用いられる電極には、主に、金属電極と炭素電極がある。炭素電極は、活性炭等の炭素材料を用いた電極であり、比表面積が大きいので大容量化に適している。しかし、粉末化した炭素材料を混練するために、粉体を取り扱う必要があるので、取り扱いが難しく、作業性に欠ける。また、電極が炭素材料からなる場合には、電極として金属の網目状体や金属板等の集電体が必要となる。また、集電体を用いないキャパシタとするためには、ボタン型とするなど形状が限定されてしまい、キャパシタ形状の設計の自由度が減り、各種用途により所望の形状とすることができない。さらに、炭素材料からなる電極ごとに集電体を用いた場合には、集電体の厚さの分だけキャパシタが厚くなり、薄型化することができない。キャパシタの電極は、集電体の必要のない金属電極であることが好ましい。
金属電極を用いたキャパシタには、高分子層上に電極を形成したキャパシタである薄膜の高分子フィルムコンデンサがある(例えば、特許文献1参照)。前記高分子フィルムコンデンサは、面積1cmにおいて、厚さ0.35〜0.41μmの静電容量が0.015〜0.02μFで、厚さ0.8〜1.8μmの静電容量が25〜40μFであり、静電容量が十分ではなく、更なる静電容量の向上が必要である。
特開平11−8153号公報
本発明の目的は、電極が金属電極であり、電解質層と電極層との界面の静電容量が大きく、高容量のキャパシタとその製造方法を提供することにある。
本発明らは、鋭意検討の結果、対向する金属電極間に、少なくとも高分子電解質を有するキャパシタであって、前記金属電極は、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有することを特徴とするキャパシタによれば、金属電極と高分子電解質層との界面の2電極のサイクリックボルタムメトリー法による静電容量が、3mF/cm以上のキャパシタ、若しくは定電流放電法による静電容量が2F/cm以上であるキャパシタとすることができることも見出した。
更に本発明者らは、前記金属電極が、前記高分子電解質の表面上に接して存在する多孔質金属膜部と前記多孔質金属膜部分の成分からなり、前記高分子電解質内部の境界領域に存在する前記突出し部とからなり、かつ前記多孔質金属膜部分と前記突出し部とが繋がって一体となっているものとすることで、キャパシタの集電板を不要とし、またキャパシタ静電容量が増大することを見出した。
また本発明者らは、無電解メッキ方法により高分子電解質上に金属電極を形成するキャパシタの製造方法であって、前記無電解メッキ方法が、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程を行った後に、金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程を行うことを特徴とする方法であるキャパシタの製造方法により、前記キャパシタが効率よく製造できることを得られることを見出した。
更に本発明者らは、対向する金属電極間に、イオン性物質と極性液体と高分子電解質とを少なくとも有するキャパシタであって、前記金属電極は、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を前記高分子電解質との境界領域に有し、前記高分子電解質は、空間部を有していることを特徴とするキャパシタとすることで、静電容量の更なる向上が図れることを見出した。また、このキャパシタの高分子電解質に存在する空間部は、複数存在し、その形状は略円形状または略半円形状のものが多いことやその直径の最短値が10nm以上のものであることを見出した。なかでも、前記高分子電解質が腸イオン交換樹脂であり、前記極性液体がプロピレンカーボネイトであり、前記イオン性物質がLi(CFSONである場合に静電容量とキャパシタ構造保持に優れることを見出した。これらのキャパシタを定電流放電法測定したところ、静電容量が40F/cm以上であることも見出した。
更に本発明者らは、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を浸透させて高分子電解質を膨潤させる第一の工程と、無電解メッキ方法により当該膨潤させた高分子電解質上に金属電極を形成する第二の工程と、当該形成された金属電極間に存在する液体を電気分解することにより、気泡を発生させ、当該気泡の圧力により上記高分子電解質に孔状の空間を設ける第三の工程と、前記金属電極間の前記液体を除去して、イオン性物質と極性液体を充填させる第四の工程を経ることで、上記キャパシタを効率よく製造できることも見出した。
更に本発明者らは、前記第一の工程について、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さが前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上である膨潤工程、第二の工程について、前記無電解メッキ方法が、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程を行った後に、金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程を複数回行う工程、前記第三の工程ついて、電気分解される前記液体が、水若しくは水とアルコール類の混合液であることが当該製造方法で得られるキャパシタの静電容量を更に向上させることなどを見出し、本発明に至った。
本発明のキャパシタの製造方法は、従来の金属電極を備えたキャパシタに比べて静電容量が大きなキャパシタを得ることができる。さらに、本発明のキャパシタの製造方法において、無電解メッキ方法の前処理工程として、膨潤工程を行うことにより、更に大きな静電容量を示すキャパシタを得ることができる。
本発明のキャパシタは、静電容量が大きいので、例えば瞬時の停電の際におけるバックアップ用電源などとして広く用いることができる。しかも、金属電極層を備えているので、集電板を用いる必要がないので、部品数が少なく、薄型化及び小型軽量化が容易である。
[図1]本発明第一様態のキャパシタにおける 該キャパシタの厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影された電子顕微鏡写真(SEM写真)の図。
[図2]本発明第二様態キャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図3]本発明第二様態のキャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図4]本発明第二様態のキャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図5]本発明第二様態のキャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図6]本発明第二様態のキャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図7]本発明にいう空間部が存在しないキャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図8]本発明第二様態のキャパシタにおけるキャパシタ厚み方向の形態を模式的に示した図。
[図9]本発明第二様態キャパシタにおけるキャパシタ厚み方向のSEM写真。
[図10]図1の走査電子顕微鏡写真の図におけるキャパシタについて線図として表した図。
[図11](a)本発明のキャパシタの別の態様における厚さ方向の断面についてのSEM写真。 (b)図3(a)と同一のキャパシタについて、厚さ方向の断面についての走査電子顕微鏡写真の図。
[図12]本発明のキャパシタの別の態様における該キャパシタの厚さ方向の断面のSEM写真。
[図13]本発明のキャパシタの別の態様における該キャパシタの厚さ方向の断面のSEM写真。
[図14]本発明のキャパシタの別の態様における該キャパシタの厚さ方向の断面のSEM写真。
[図15]本発明のキャパシタの別の態様における該キャパシタの厚さ方向の断面のSEM写真。
[図16]本発明のキャパシタの別の態様における該キャパシタの厚さ方向の断面のSEM写真。
[図17]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、平面画像にB方向の上側からやや角度をつけて見た斜視図。
[図18]図17において説明用引き出し線を付した斜視図。
[図19]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図17においてA方向の上側からやや角度をつけて見た斜視図。
[図20]図19において、説明のために引き出し線が付されてなる斜視図。
[図21]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図19においてB−Dを軸にして回転させて、A方向から拡大して見たキャパシタの厚み方向の断面を含む斜視図。
[図22]図5において、説明のために引き出し線が付されてなる斜視図。
[図23]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図21におけるA方向からみたキャパシタの拡大された断面とその奥行き方向の立体画像。
[図24]図23において、説明のために引き出し線が付されてなる図。
[図25]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図23において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像。
[図26]図25において、説明のために引き出し線が付されてなる図。
[図27]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図25において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像。
[図28]図11において、説明のために引き出し線が付されてなる図。
[図29]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図27において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像。
[図30]図29において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図。
[図31]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図29において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像。
[図32]図31において、説明のために引き出し線が付されてなる図。
[図33]本発明のキャパシタのX線による3次元画像であって、図18において、C方向の斜め方向からみた断面及びその奥行き方向の立体画像。
[図34]図33において、説明のために引き出し線が付されてなる図。
[図35]本発明のキャパシタ厚さ垂直方向のX線による断面画像。
[図36]図35において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図。
[図37]本発明のキャパシタ厚さ垂直方向のX線による断面画像であって、図35から9μm離れた位置の断面図。
[図38]図37において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図。
[図39]本発明のキャパシタ厚さ垂直方向のX線による断面画像であって、図37から9μm離れた位置の断面図。
[図40]図39において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図。
[図41]本発明第三様態のキャパシタにおける多孔質金属電極の倍率80倍の表面写真。
[図42]光沢を有する金属電極の倍率80倍の表面写真。
[図43]本発明第三様態のキャパシタにおける多孔質金属電極の倍率500倍の表面写真。
[図44]光沢を有する金属電極の倍率500倍の表面写真。
[図45]本発明第三様態のキャパシタにおける多孔質金属電極の3000倍の表面写真。
[図46]光沢を有する金属電極の3000倍の表面写真。
符号の説明
201 金属電極
211 突出し部
202 高分子電解質
221 空間部
301 キャパシタ
302、302’ 分極性電極
303 高分子電解質
304、304’ 突出し部
305 キャパシタ表面
306、307 湾状嵌入部
308、308’ 孔
309、309’ 峡湾部
310 島部
321 キャパシタ
322 高分子電解質
323、323’ 分極性電極
331 キャパシタ
332 高分子電解質
333、333’ 分極性電極
341 キャパシタ
342 高分子電解質
343、343’ 分極性電極
344 キャパシタの表面
351 キャパシタ
352 高分子電解質
353、353’ 分極性電極
354 キャパシタの表面
361 キャパシタ
362 高分子電解質
363、363’ 分極性電極
364 キャパシタの表面
371 キャパシタ
372 高分子電解質
373、373’ 分極性電極
374 キャパシタの表面
401 キャパシタ
402 突出し部
403 多孔質金属膜部
500 本実施形態のキャパシタ
511 一方の金属電極
511a 電極成分
511b,c,d,f,h,k,l、m 一方の金属電極の成分で構成された突出し部の例
512 他方の金属電極
512e,I,j,n 他方の金属電極の成分で構成された突出し部の例
521 一方の金属成分と高分子電解質とが混在する境界領域
522 他方の金属成分と高分子電解質とが混在する境界領域
523 高分子電解質領域
A1、A2 境界領域
F1、F3 分極性電極領域
F2 高分子電解質領域
R1、R4 電極成分がリッチな電極領域
R2、R3 高分子電解質成分がリッチな電極領域
(キャパシタの製造方法)
本発明のキャパシタの製造方法に関し、本発明第一〜第三の様態のキャパシタを効率よく得られる製造方法について、以下それぞれ説明する。
[第一の様態]
本発明の第一の様態のキャパシタを効率的に製造する方法は、無電解メッキ方法により高分子電解質上に金属電極を形成するキャパシタの製造方法であって、前記無電解メッキ方法が、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程を行った後に、金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程を行うことを特徴とするキャパシタの製造方法である。本発明の製造方法を用いることにより、前記吸着工程と前記還元工程とが繰り返して行われる過程において、前記還元工程において生成した金属が高分子電解質表面に析出し、さらに高分子電解質の内部方向に向けて金属が析出して成長して、金属電極が形成される。前記金属電極は、金属の析出による成長して得られたために、蒸着等に代表される従来の金属電極形成方法により得られた金属電極に比べて、金属電極層と高分子電解質層との界面における金属電極の比表面積が広く、金属電極層と高分子電解質層との界面における静電容量が大きい。そのために、本発明の製造方法により得られたキャパシタは、従来の金属電極を備えたキャパシタに比べて、大きなキャパシタ容量を得ることができる。
(無電解メッキ方法)
本発明のキャパシタの製造方法における、金属電極を形成するための無電解メッキ方法の工程では、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程が行われ、次いで金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程が行われる。前記吸着工程が行われた後に前記還元工程が行われることにより、金属錯体が還元されて金属として高分子電解質上に析出し、金属層が形成されキャパシタを得ることができる。高分子電解質に対して前記膨潤工程後に無電解メッキ方法を行うことにより、本発明のキャパシタの製造方法、即ち、高分子電解質への無電解メッキのための前処理の工程として、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を高分子電解質に浸透させて、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上に膨潤させる膨潤工程を行った後に、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程、及び金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程を行うことにより金属層を形成することを特徴とする金属層と高分子電解質層とを備えたキャパシタの製造方法となる。
(吸着工程)
本発明のキャパシタの製造方法における吸着工程は、前記高分子電解質が所定の形状を有し、高分子電解質に金属錯体を吸着させる工程であれば特に限定されるものではない。前記吸着工程は、金属錯体溶液を高分子電解質に塗布してもよいが、高分子電解質を金属錯体溶液に浸漬させることにより行えば、作業が容易であるために好ましい。
前記吸着工程は、高分子電解質に金属錯体を吸着させる工程であれば、温度及び浸漬時間等の条件が特に限定されるものではないが、温度20℃以上であることが効率よく膨潤するために好ましい。また、前記吸着工程は、金属錯体が高分子電解質中へ容易に吸着させるために、金属錯体溶液中に高分子電解質の良溶媒を含んでいても良い。ここで、前記吸着工程の金属錯体溶液は、還元されることにより形成される金属層が電極として機能することができる金属の錯体を含むものであれば、特に限定されるものではない。また前記金属錯体は、導電性を確保できる金属であって、無電解メッキとして用いることができる金属錯体であれば、特に限定されるものではない。
(還元工程)
本発明の還元工程は、前記吸着工程により高分子電解質中に吸着された金属錯体を還元し、金属を析出させる工程である。本発明において用いられる還元剤溶液は、還元剤が溶解されているものであれば、高分子電解質の形状にかかわらず、特に限定されるものではない。前記還元剤としては、高分子電解質に吸着される金属錯体溶液に使用される金属錯体の種類に応じて、種類を適宜選択して使用することができ、例えば亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等を用いることができる。なお、金属錯体を還元する際に、必要に応じて、酸またはアルカリを添加してもよい。前記還元剤溶液の濃度は、金属錯体の還元により析出させる金属量を得ることができるのに十分な量の還元剤を含んでいればよく、特に限定されるものではないが、通常の無電解メッキにより電極を形成する場合に用いられる金属錯体溶液と同等の濃度を用いることも可能である。また、還元剤溶液中には、高分子電解質の良溶媒を含むことができる。
また、本発明のキャパシタの製造方法においては、吸着工程と還元工程とが繰り返し行われることにより、金属電極と高分子電解質層との界面の静電容量を、従来の値よりも大きくすることができる。本発明において、前記吸着工程と前記還元工程とを交互に繰り返して行う場合には、前記吸着工程の後に前記還元工程を行うことを組として、この組を好ましくは2回以上、更に好ましくは4回以上行うことで、更に大きな静電容量を有するキャパシタを容易に得ることができる。
前記吸着工程と前記還元工程とを繰り返して行う場合において、還元剤を高分子電解質より除去して吸着工程における金属錯体の吸着を容易に行うために、還元工程の後に洗浄工程を行い、前記洗浄工程の後に吸着工程を行うことが好ましい。前記洗浄工程としては、特に限定されるものではなく、水洗して還元剤も除去してもよい。
(前処理膨潤工程)
本発明のキャパシタの製造方法において、無電解メッキ方法の事前に行われる前処理工程として、前記高分子電解質を膨潤させる膨潤工程を行っても良い。前記膨潤工程は、膨潤溶媒として水による膨潤を行うことにより膨潤をさせても良いが、前記高分子電解質に良溶媒を浸透させること、または良溶媒を含む混合溶媒を浸透させることにより、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上にする膨潤をすることが好ましい。前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上とする膨潤により、高分子電解質を形成する樹脂成分において、官能基を有する側鎖についてのセグメント運動の自由度が増大する。この自由度の増大により、無電解メッキ方法の吸着工程において、金属錯体が前記高分子電解質の表面より内部へ吸着しやすくなり、また、還元工程においても還元剤溶液中の還元剤が高分子電解質の表面より内部へ吸着しやすくなり、高分子電解質内部において金属錯体及び還元剤のブラウン運動が容易となったと考えられる。
また、前記膨潤工程が行われた無電解メッキ方法により得られた高分子電解質層上に金属層が形成されたキャパシタは、金属層を電極層として用いた従来のキャパシタに比べて電極層の静電容量が大きい。前記無電解メッキ方法により得られたキャパシタの金属層では、高分子電解質層と金属層との界面において、金属層の断面が従来のフラクタル状の構造よりも凹凸の大きな構造を形成し、キャパシタを得た後であって高分子電解質が収縮した際においても膨潤時に形成されたフラクタル状構造がその形状をとどめているものと考えられる。
前記膨潤工程を経て還元工程行った場合、上述のように金属錯体が高分子電解質内部に入り込み、これが還元工程により粒子状金属となり、これら粒子状金属がお互い繋がることにより、金属電極が電解質上に形成されるものである。本発明のキャパシタは、このようにして高分子電解質上に金属電極が形成されるのであるから、金属電極と電解質層の界面は必ずしも明確なものではなく、高分子電解質外側付近に金属成分がリッチな領域があり、電解質中心に向かうにつれ、徐々に電解質成分がリッチになる構造をとりうる。すなわち本発明のキャパシタにおける金属電極とは、電解質上に明確な金属電極が層として存在している必要はなく、少なくとも電解質外側近辺に存在する金属が互いに繋がることにより、電極として使用可能な通電性の良い部分が形成されていることで足りるものである。従って本発明のキャパシタでは、金属電極層と電解質層とが目視による明確な界面を持たない構造であって、電解質層としての抵抗値を有する電解質部分が、金属を主成分として含み電極として使用可能な通電性の良い部分で両側から挟まれた構造をとることもできる。
前記良溶媒は、架橋した高分子を良く膨潤させることができる溶媒であり、高分子電解質を構成する高分子の種類により異なる。従って、前記良溶媒は、無電解メッキ方法により最終的に得られるキャパシタの用途等に応じて採用される高分子電解質の組成に応じて、適した溶媒種を用いることができる。前記良溶媒は、複数種類の良溶媒を混合して用いても良い。前記良溶媒としては、例えば、メタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、テトラプロピルハイドロオキサイド等を用いることができる。前記高分子電解質が、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合には、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ジエチレングリコール、グリセリンを用いることができる。特に、前記膨潤工程において、前記高分子電解質がパーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合に、メタノールまたはメタノールを含む溶媒を浸透させて、膨前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上に膨潤することが好ましい。これは、メタノールは、膨潤がしやすく取り扱いが容易であるので、作業性が良好であるからである。
前記膨潤工程は、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上とすることができれば、良溶媒のみを用いて高分子電解質を膨潤させても良く、良溶媒を含む混合溶媒を用いても良い。高分子電解質を膨潤させることにより、高分子電解質の結晶化度が低下し、特に官能基を有する側鎖の絡み合いが緩和され、側鎖についてのセグメント運動の自由度が増大する。このため、前記膨潤工程を前処理工程とする無電解メッキ方法により得られた金属層と高分子電解質層とを備えたキャパシタは、より効率的にイオンの移動が生じ大きな変位を得ることができたと考えられる。
前記高分子電解質の良溶媒を含む混合溶媒としては、良溶媒が任意の割合で他の溶媒に混合された混合溶媒であって、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上とすることができれば良溶媒と他の溶媒との混合比が特に限定されるものではない。前記他の溶媒は、用いられる高分子電解質の良溶媒と異なる溶媒であり、良溶媒と安定な混合状態を維持できる溶媒であれば水でも有機溶媒でもよいが、前記膨潤工程に次いで行われる吸着工程が金属錯体水溶液中で行われる場合には、金属錯体の析出などの金属錯体の吸着の阻害がないことから、水を用いることが好ましい。なお、前記高分子電解質がパーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合に、前記高分子電解質を膨潤させるための膨潤用溶媒である良溶媒若しくは前記良溶媒を含む混合溶媒がメタノールと水との混合溶媒である場合には、より大きな静電容量を得るために、メタノールが膨潤用溶媒中に5〜100重量%含まれることが好ましく、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂のイオン交換容量が1.8meq/gである場合には、メタノールが膨潤用溶媒中に5〜40重量%含まれることが大きな膨潤を容易に得ることができるのでさらに好ましく、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂のイオン交換容量が1.4meq/gである場合には、メタノールが膨潤用溶媒中に100重量%含まれることがさらに好ましい。
前記前処理工程において、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上に膨潤させることができれば、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を高分子電解質に浸透させる手段が特に限定されるものではなく、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒に高分子電解質を浸漬させる方法を用いてもよく、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を高分子電解質の表面に塗布する方法を用いても良いが、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒に高分子電解質を浸漬させる方法を用いることが、作業性が容易であるために好ましい。
[第二の様態]
本発明の第二の様態のキャパシタは、以下の製造工程によれば、効率的に得ることができる。すなわち、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を浸透させて高分子電解質を膨潤させる第一の工程と、無電解メッキ方法により当該膨潤させた高分子電解質上に金属電極を形成する第二の工程と、当該形成された金属電極間に存在する液体を電気分解することにより、気泡を発生させ、当該気泡の圧力により上記高分子電解質に孔状の空間を設ける第三の工程と前記金属電極間の前記液体を除去して、イオン性物質と極性液体を充填させる第四の工程を経て得ることができる。ここで、第一、第二の工程は、内側に向かって突出し部を有する金属電極の形状を高分子電解質上に形成することにより、高分子電解質または液体電解質との接触面積を増大させるための工程である。一方、第三、第四の工程は、高分子電解質内に空間部を設けて、その中にイオン性物質と極性溶媒を充填させて、電気二重層の形成に寄与するイオン成分を増大させるための工程である。従って、第一及び第二の工程のみまたは、第三及び第四の工程のみでもキャパシタ容量の増大に寄与しうる工程であるが、第一〜第四の全ての工程を経て得られたキャパシタでは、その容量特性が相乗的に改善されたものになる。以下各工程についてそれぞれ説明する。
(第一工程)
本発明のキャパシタの製造方法における第一の工程は、無電解メッキ方法の事前に行われる前処理工程として、前記高分子電解質を膨潤させる膨潤工程である。当該膨潤工程は、膨潤溶媒として水による膨潤を行うことにより膨潤をさせても良いが、前記高分子電解質に良溶媒を浸透させること、または良溶媒を含む混合溶媒を浸透させることにより、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上にする膨潤をすることが好ましい。前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上とする膨潤により、高分子電解質を形成する樹脂成分において、官能基を有する側鎖についてのセグメント運動の自由度が増大する。この自由度の増大により、無電解メッキ方法の吸着工程において、金属錯体が前記高分子電解質の表面より内部へ吸着しやすくなり、また、還元工程においても還元剤溶液中の還元剤が高分子電解質の表面より内部へ吸着しやすくなり、高分子電解質内部において金属錯体及び還元剤のブラウン運動が容易となったと考えられる。
第一の工程に用いる良溶媒とは、架橋した高分子を良く膨潤させることができる溶媒であり、高分子電解質を構成する高分子の種類により異なる。従って、前記良溶媒は、無電解メッキ方法により最終的に得られるキャパシタの用途等に応じて採用される高分子電解質の組成に応じて、適した溶媒種を用いることができる。前記良溶媒は、複数種類の良溶媒を混合して用いても良い。前記良溶媒としては、例えば、メタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、テトラプロピルハイドロオキサイド等を用いることができる。前記高分子電解質が、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合には、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ジエチレングリコール、グリセリンを用いることができる。特に、前記膨潤工程において、前記高分子電解質がパーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合に、メタノールまたはメタノールを含む溶媒を浸透させて、膨前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上に膨潤することが好ましい。これは、メタノールが膨潤がしやすく取り扱いも容易であるため、作業性に優れるからである。
前記膨潤工程は、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上とすることができれば、良溶媒のみを用いて高分子電解質を膨潤させても良く、良溶媒を含む混合溶媒を用いても良い。高分子電解質を膨潤させることにより、高分子電解質の結晶化度が低下し、特に官能基を有する側鎖の絡み合いが緩和され、側鎖についてのセグメント運動の自由度が増大する。このため、前記膨潤工程を前処理工程とする無電解メッキ方法により得られた対向する金属電極間に電解質を有するキャパシタは、より効率的にイオンの移動が生じるので、大きな変位を得ることができたと考えられる。
前記高分子電解質の良溶媒を含む混合溶媒としては、良溶媒が任意の割合で他の溶媒に混合された混合溶媒であって、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上とすることができれば良溶媒と他の溶媒との混合比が特に限定されるものではない。前記他の溶媒は、用いられる高分子電解質の良溶媒と異なる溶媒であり、良溶媒と安定な混合状態を維持できる溶媒であれば水でも有機溶媒でもよいが、前記膨潤工程に次いで行われる吸着工程が金属錯体水溶液中で行われる場合には、金属錯体の析出などの金属錯体の吸着の阻害がないことから、水を用いることが好ましい。なお、前記高分子電解質がパーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合に、前記高分子電解質を膨潤させるための膨潤用溶媒である良溶媒若しくは前記良溶媒を含む混合溶媒がメタノールと水との混合溶媒である場合には、より大きな静電容量を得るために、メタノールが膨潤用溶媒中に5〜100重量%含まれることが好ましく、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂のイオン交換容量が1.8meq/gである場合には、メタノールが膨潤用溶媒中に5〜40重量%含まれることが大きな膨潤を容易に得ることができるのでさらに好ましく、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂のイオン交換容量が1.4meq/gである場合には、メタノールが膨潤用溶媒中に100重量%含まれることがさらに好ましい。
前記膨潤工程において、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上に膨潤させることができれば、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を高分子電解質に浸透させる手段が特に限定されるものではなく、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒に高分子電解質を浸漬させる方法を用いてもよく、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を高分子電解質の表面に塗布する方法を用いても良いが、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒に高分子電解質を浸漬させる方法を用いることが、作業性が容易であるために好ましい。
(第二工程)
本発明のキャパシタの製造方法における第二の工程は、無電解メッキ方法により当該膨潤させた高分子電解質上に金属電極を形成する工程である。この無電解メッキ方法では、まず高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程が行われ、次いで金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程が行われる。前記吸着工程が行われた後に前記還元工程が行われることにより、金属錯体が還元されて金属として高分子電解質上に析出し、金属電極が形成されキャパシタを得ることができる。高分子電解質に対して前記膨潤工程後に無電解メッキ方法を行うことにより、本発明のキャパシタの製造方法、即ち、高分子電解質への無電解メッキのための前処理の工程として、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を高分子電解質に浸透させて、膨潤した前記高分子電解質が所定の形状を有し、前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さを前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上に膨潤させる膨潤工程を行った後に、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程、及び金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程を行うことにより、高分子電解質上に上述のような突出し部を有する金属電極を効率的に形成させるものである。
(吸着工程)
第二工程における吸着工程は、前記高分子電解質が所定の形状を有し、高分子電解質に金属錯体を吸着させる工程であれば特に限定されるものではない。前記吸着工程は、金属錯体溶液を高分子電解質に塗布してもよいが、高分子電解質を金属錯体溶液に浸漬させることにより行えば、作業が容易であるために好ましい。
前記吸着工程の金属錯体溶液は、還元されることにより形成される金属が、金属電極として機能することができる金属の錯体を含むものであれば、特に限定されるものではない。また前記金属錯体は、導電性を確保できる金属であって、無電解メッキとして用いることができる金属錯体であれば、特に限定されるものではない。
前記吸着工程は、高分子電解質に金属錯体を吸着させる工程であれば、温度及び浸漬時間等の条件が特に限定されるものではないが、温度20℃以上であることが効率よく膨潤するために好ましい。また、前記吸着工程は、金属錯体が高分子電解質中へ容易に吸着させるために、金属錯体溶液中に高分子電解質の良溶媒を含んでいても良い。
(還元工程)
本発明の還元工程は、前記吸着工程により高分子電解質中に吸着された金属錯体を還元し、金属を析出させる工程である。本発明において用いられる還元剤溶液は、還元剤が溶解されているものであれば、高分子電解質の形状にかかわらず、特に限定されるものではない。前記還元剤としては、高分子電解質に吸着される金属錯体溶液に使用される金属錯体の種類に応じて、種類を適宜選択して使用することができ、例えば亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等を用いることができる。なお、金属錯体を還元する際に、必要に応じて、酸またはアルカリを添加してもよい。前記還元剤溶液の濃度は、金属錯体の還元により析出させる金属量を得ることができるのに十分な量の還元剤を含んでいればよく、特に限定されるものではないが、通常の無電解メッキにより電極を形成する場合に用いられる金属錯体溶液と同等の濃度を用いることも可能である。また、還元剤溶液中には、高分子電解質の良溶媒を含むこともできる。
また第二の工程である吸着工程と還元工程とが繰り返し行われることにより、金属電極と高分子電解質との界面の静電容量を、従来の値よりも大きくすることができる。本発明において、前記吸着工程と前記還元工程とを交互に繰り返して行う場合には、前記吸着工程の後に前記還元工程を行うことを組として、この組を好ましくは2回以上、更に好ましくは4回以上行うことで、更に大きな静電容量を有するキャパシタを容易に得ることができる。
前記吸着工程と前記還元工程とを繰り返して行う場合において、還元剤を高分子電解質より除去して吸着工程における金属錯体の吸着を容易に行うために、還元工程の後に洗浄工程を行い、前記洗浄工程の後に吸着工程を行うことが好ましい。前記洗浄工程としては、特に限定されるものではないが、単に水洗により還元剤を除去することが簡便である。
第一の工程である膨潤工程が行われた後に、第二の工程である無電解メッキ工程を経て得られる高分子電解質上に金属電極が形成されたキャパシタは、金属電極を電極層として形成した従来のキャパシタに比べて電極層の静電容量が大きい。前記無電解メッキ方法により得られたキャパシタの金属電極では、高分子電解質と金属電極との界面において、金属電極の断面が従来のフラクタル状の構造よりも凹凸の大きな構造を形成し、キャパシタを得た後であって高分子電解質が収縮した際においても膨潤時に形成されたフラクタル状構造がその形状をとどめているものと考えられる。
第一の工程に続いて第二の工程を行った場合、上述のように金属錯体が高分子電解質内部に入り込み、これが還元工程により粒子状金属となり、これら粒子状金属がお互い繋がることにより、金属電極が電解質上に形成されるものである。本発明のキャパシタは、このようにして高分子電解質上に金属電極が形成されるのであるから、金属電極と電解質層の界面は必ずしも明確なものではなく、高分子電解質外側付近に金属成分がリッチな領域があり、電解質中心に向かうにつれ、徐々に電解質成分がリッチになる構造をとりうる。すなわち本発明のキャパシタにおける金属電極とは、電解質上に明確な金属電極が層として存在している必要はなく、少なくとも電解質外側近辺に存在する金属が互いに繋がることにより、電極として使用可能な通電性の良い部分が形成されていることで足りるものである。従って本発明のキャパシタでは、金属電極と電解質とが目視による明確な界面を持たない構造であって、電解質としての抵抗値を有する電解質部分が、金属を主成分として含み、電極として使用可能な通電性の良い部分で両側から挟まれた構造をとることもできる。
従って、本発明のキャパシタ製造方法によれば、かかる第一、第二の工程を経ることにより、キャパシタは、そのキャパシタにおける該キャパシタ厚さ方向の断面を観察した場合、金属電極が突出し部を有する形状となり、その突出し部が湾状嵌入部を有しており、また、突出し部の形状が、例えば上述のようなフラクタル形状または半島状等であることが観察されるものである。
(第三工程)
第三の工程では、対向する金属電極間に高分子電解質を少なくとも有しているキャパシタ、好ましくは第一、第二の工程を経て、キャパシタ厚さ方向の断面において、両金属電極が、内側の高分子電解質に向かって突出し部を有しているキャパシタを、液体中で電気分解して、キャパシタ内部に気泡を発生させることにより、高分子電解質を変形させ、高分子電解質に空間部を設ける工程である。
電気分解に用いる液体は、水または水とアルコール類の混合物であることが好ましい。アルコール類とは、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールをいう。低級アルコールを用いることが経済的であるが、高級アルコールを用いることもできる。電気分解の電圧は3〜12Vであることが好ましい。電圧が低すぎると液体が電気分解されない。一方電圧が高すぎるとキャパシタに悪影響を与えるおそれがあるからである。
当該液体が電気分解されることにより、キャパシタ内に気体が発生する。この発生した気体が周囲に存在する高分子電解質に圧力を与え、高分子電解質を変形せしめる。この際、金属電極もこの発生した気体により、外側への圧力を受けるため、キャパシタ全体としての厚みも増すことになる。このような機構により高分子電解質に空間部を設けるため、空間部形状は不定形であるが、なかでも略円形状や略半円形状となる場合が多い。しかし、電圧を大きくする等により、発生する気体量を多くした場合には、空間部が大きくなるので、あたかも高分子電解質がキャパシタ内で柱上に存在しているかのような形状で観察される場合もありうる。
(イオン種交換工程)
第二の工程、または第三の工程の後、高分子電解質にイオン交換樹脂を用いた際などに、イオン種を交換する工程を設けることもできる。第二工程を経て得られた高分子電解質に含まれるイオン種は、還元工程にて用いた還元剤溶液に由来するイオン種が付着している。例えば還元溶液として、亜硫酸ナトリウムを用いた場合のイオン種はナトリウムイオンが付着している。従って付着しているイオン種をキャパシタにしたときに所望するイオン種へ交換する工程を設けることもできる。所望のイオン種に交換するには、当該所望のイオン種を含む水溶液中に12時間含浸以上させることで、完全にイオン交換させることができる。
なお、上記イオン種交換工程を経ない場合でも、後述の第四の工程に先立って、極性液体中に所望のイオン種を含有させた溶液中に、第三の工程を経た金属電極を有する高分子電解質を所定時間含浸させることで、所望のイオン種に交換することもできる。
(乾燥工程)
上記工程を経た金属電極を有する高分子電解質は水分を含んでいるので、キャパシタの溶媒として、非水極性溶媒を用いる場合には、下記第四の工程で極性液体を充填するに先立って、キャパシタを充分に乾燥させて、水分を除去する必要がある。当該乾燥工程は、真空乾燥により行うことが効率的である。
(第四工程)
第四の工程は、第三の工程を経て得られた金属電極を有する高分子電解質にイオン性物質を含む極性液体(液体電解質)を充填し、本発明のキャパシタとする工程である。本工程で用いられるイオン性電解質及び極性液体の具体例は、上述の通りである。かかる液体電解質中に第三の工程を経て得られた金属電極が形成された高分子電解質を浸漬させて高分子電解質の空間部内に当該液体電解質を充填させることができる。
[第三の様態]
本発明の更なる応用である第三の様態のキャパシタを効率的に製造する方法を以下に示す。本発明の第三の様態のキャパシタは、基材に多孔質電極を接合したものを2枚作製し、当該多孔質電極にて電解質を挟み込むことによって製造することもできる。しかしながら、当該製造方法では、多孔質電極を作製した後に当該多孔質電極と基材をバインダー等で接合する接合工程が必要となり、コスト高の要因なる。また上述のように、キャパシタとしては、基材と多孔質電極間の一体性に劣るものとなる。このため、以下に示す第一の工程と第二の工程を少なくとも有する製造方法により、本発明のキャパシタを製造することが好ましい。
(第一の工程)
第一の工程は、電解メッキ方法または無電解メッキ方法で基材の表面に多孔質金属の電極を積層させて電極積層基材を得る工程である。この第一の工程によれば、前記接合工程を省略することができるので、本発明のキャパシタを効率的に製造することができる。また第一の工程で得られる電極積層基材は、基材と多孔質電極間に強い一体性を有するものである。従って、前記電極基材を用いて得られるキャパシタも、基材と電極間は強い一体性を有するので好ましい。なかでも第一の工程において、無電解メッキ法を用いれば、導電性のない物質でも基材とすることができるので、基材としての選択できる幅を広くすることができる。なお無電解メッキを行って表面に導電性を付与した後に、更に電解メッキを行っても良い。
電解メッキや無電解メッキ法で、光沢のある金属のメッキではなく、光沢のない多孔質の金属が形成されるようにメッキするには、メッキ条件を調整することにより行うことができる。具体的には、電解メッキの場合には、メッキされる基材表面を粗面とし、メッキ条件を通常の光沢のあるメッキ条件より電圧を高くし、メッキ速度を早くすることにより多孔質の金属が形成されやすくなる。一方、無電解メッキ方法によれば、より容易に多孔質の金属を形成させることができる。無電解メッキは、通常、基材表面に吸着している金属錯体を還元剤により還元し、金属を基材表面に析出することにより行われる。このとき基材表面に多孔質金属を形成させるには、前記基材表面を粗面とし、また還元材料を通常の条件よりも多く、例えば2倍以上の量を使用することにより、多孔質の金属が形成されやすくなる。
(第二の工程)
上記第一の工程にて、前記電極積層基材を2枚作製した上で、前記電極積層基材の多孔質金属が積層している電極積層面を内側にし、両基板の間に所望の電解質を挟みこむという第二の工程により、本発明の第三の様態のキャパシタを製造することができる。
〔キャパシタ構造〕
[第一の様態]
前記キャパシタの製造方法により効率的に得ることができる本発明第一の様態のキャパシタは、高分子電解質層と金属層である金属電極との界面において金属電極の断面が凹凸の大きなフラクタル状構造が形成され、得られた高分子電解質層上に形成された金属層を電極層として用いた場合には大きな静電容量を得ることができる。即ち、得られたキャパシタは、本発明のキャパシタであって、2つの電極層により挟まれた高分子電解質層を含むキャパシタであって、前記電極層と高分子電解質層との界面の静電容量がサイクリックボルタムメトリー法で3mF/cm以上であるキャパシタである。また定電流放電法で2F/cm以上であるキャパシタでもある。なお、本発明のキャパシタは、キャパシタとしての厚さが特に限定されるものではない。また、本発明のキャパシタは、リーク電流が小さく、温度特性及び耐久性が従来のキャパシタよりも優れている。
(金属電極)
本発明のキャパシタで用いることのできる金属電極の材料には特に制限がないが、高分子電解質の溶媒として水を用いる場合には、金属電極には、金、白金、パラジウム等の貴金属の金属を用いることが好ましい。一方、キャパシタの溶媒として高沸点の非水極性液体を用いる場合では、上記以外の金属材料も好適に用いることができる。例えば、無電解析出が可能であるコバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、白金、金、鉛、ビスマスといった金属や、単体では無電解析出が困難であるが、他の金属との共存により析出可能であるホウ素、窒素、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、レニウム、チタン等の金属も好適に用いることができる。中でもインジウム、鉛、亜鉛、スズ、カドミウム、ビスマス、アンチモン、銅、銀、鉄、ニッケル、チタンが好ましい。特に好ましい金属は、スズ、銅、鉄、ニッケルである。またこれらの金属を合金として使用することも可能である。なお、キャパシタの溶媒に水を用いて、かつ上記貴金属以外の鉄、銅、銀、アルミニウム等錆び易い金属を電極とする方法として、酸化皮膜を設ける等の公知の防錆処理を施すことにより、金属電極として使用することもできる。
(金属電極の形状)
本発明のキャパシタはこのような金属電極を有するので、本発明のキャパシタについて該キャパシタの厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した場合、略平行に存在し、対向して存在する両金属電極が、フラクタル形状、湾曲形状、半島形状、ツララ形状、樹木形状、針葉樹形状、茸形状、ポリープ形状、珊瑚形状等の形状で、電解質外側から電解質中心部に向かう突出し部が存在している様子が観察できる。図1 は本発明のキャパシタの一様態として、該キャパシタの厚さ方向の断面を観察したSEM写真である。白く見える部分が金属成分であり、金属成分に挟まれ、暗く見える部分が高分子電解質である。金属電極の両端間の距離は約160μmである。図1 のキャパシタでは、金属電極層の金属成分が、高分子電解質に向かってツララ形状若しくは針葉樹形状といえるような形状で突出し部が存在していることがわかる。なお、本発明のキャパシタに用いられる高分子電解質層中には、図1 からも分かるように、キャパシタ製造中により生じる外側の金属電極と繋がっておらず、金属電極を形成しない粒子状の金属部が存在していても良い。
(多孔質金属膜部)
本発明のキャパシタに用いる金属電極は、前記金属電極が、高分子電解質の境界領域に前記の突出し部を有するとともに、高分子電解質の表面上に接して存在する多孔質金属膜部を有するものであって、前記多孔質金属膜部と前記突出し部とが繋がって両者が一体となり、金属電極を形成しているものであってもよい。
この様態における金属電極の多孔質金属膜部は、高分子電解の表面上に接して形成させることで、突出し部とともにキャパシタの金属電極の一部として用いるものであるから、製造段階で当該高分子電解質を基材として多孔質金属膜部を形成させることが好ましい。
図16は、本発明のキャパシタにおける前記様態の厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡写真の図である。図16は、厚さ160μmである本発明のキャパシタについて、倍率500倍で撮影した走査電子顕微鏡写真の図である。キャパシタ401の金属電極は、高分子電解質表面には多孔質金属膜部403が形成され、かつ高分子電解質内部に侵入して突出し部402が形成されている。
この様態の金属電極を有するキャパシタとするには、高分子電解質表面上にまず核となる複数の金属粒子を析出させ、次に当該金属粒子を成長させて金属粒子同士間で金属結合することにより、高分子電解質の境界領域に突出し部を形成すると同時に、高分子電解の表面上に多孔質金属膜部を形成する。このような多孔質金属膜部を有するキャパシタは、界面における金属電極と高分子電解質とが強く結合するので、当該界面における電子移動をスムーズに行うことができ、キャパシタとして好ましい特性を発揮させることができる。
また、かかる製造方法で製作されたキャパシタは、バインダー等で金属電極と高分子電解質(或いはセパレータ)を接合させたキャパシタや、多くの捲回型や積層型のキャパシタのように、セパレータと接合させていないキャパシタと異なり、高分子電解質と多孔質金属膜部の界面での結合は強固なものとなる。すなわち、キャパシタとしての一体性が向上することにより、機械的強度が向上する。高分子電解質と多孔質金属膜部間の結合は強固なものか否かは、電極と高分子電解質の引っ張り強度を測定すること等により判断することができる。
(高分子電解質)
前記高分子電解質としては、主として高分子により形成された電解質であれば特に限定されるものではないが、金属錯体を十分に吸着させるためにイオン交換樹脂が好ましい。また、前記高分子電解質の樹脂成分としてイオン交換樹脂を含むことは、前記高分子電解質が膨潤状態においても、多量の溶媒分子を含まずに、キャパシタとして機能し、しかも従来よりも大きな静電容量を得ることができるので、好ましい。前記イオン交換樹脂は、特に限定されるものではなく、公知の樹脂を用いることができ、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。前記イオン交換樹脂の具体例としては、パーフルオロカルボン酸樹脂、パーフルオロスルホン酸樹脂を用いることができ、例えばNafion樹脂(パーフルオロスルホン酸樹脂、DuPont社製)、フレミオン(パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂、旭硝子社製)を用いることができる。前記イオン交換樹脂は、電解質塩のイオン種を選択する自由度が大きく、用途や特性に応じた組み合わせの幅を広げることができることから、陽イオン交換樹脂であることが好ましい。なお、前記高分子電解質は、無電解メッキ方法により得られるキャパシタとして形状に適した形状の高分子電解質成形品を用いることができ、膜状、板状、筒状、柱状や管状等の所望の形状を用いることができる。
(電解溶液)
本発明のキャパシタは、イオンを含む溶液により高分子電解質層が膨潤した状態にあるものである。電解液は、有機電解液であっても良いし水系電解液であってもよい。また前記高分子電解質中に電解液の溶媒分子を若干含んだ状態であっても良い。
本発明のキャパシタが、イオンを含む溶液により高分子電解質層が膨潤した状態である場合には、前記イオンは、特に限定されるものではない。前記高分子電解質の樹脂成分が、陽イオン交換樹脂である場合には、前記のイオンを含む溶媒中に含まれる陽イオンとして、(C、(C(CH)N、(CHなどの炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、(Cなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、H,Li、Na、K、Rb、Cs、Frなどの嵩が小さい一価イオン、更にCu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Al2+、Al3+、Zn2+、Pb2+、Sn2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Crなどの二価、三価のイオンを使用することができる。中でも安定な溶液を容易に得ることができ、なかでもイオンの大きさが小さい(C、(C(CH)N、(C、Liイオンを好適に使用できる。前記イオンの大きさができるだけ小さいことにより、本発明のキャパシタは静電容量を大きくすることができる。一方、本発明のキャパシタの高分子電解質を膨潤する溶液が、陰イオンを含む溶液である場合には、陰イオンとしてBF 、PF 、ClO 、Ts、SO 2−、NO 、Cl、Br、I、CFSO 、CSO 、(CFSO、BCH(C 、B(C 、B(C 、AsF、SbF 等を用いることができる。なかでもClO 、(CFSOが好ましく、特に好ましくは、(CFSOである。また、イオンを含む溶液として、イオン性液体(常温溶融塩)を用いることもできる。中でもアミジン系電解質のイミダゾリウム塩が好ましく、特に好ましくは、Li(CFSON、H(CFSON、ホウフッ化水素酸アミジン塩である。
本発明のキャパシタ素子の高分子電解質を膨潤する溶液に用いる溶媒としては、水を用いることができる。しかし、水を溶媒にした場合には、キャパシタの充電・放電過程での金属のイオン化を防止するために、上述のように電極には貴金属を用いることが好ましい。一方、溶媒として、非水の極性液体を用いることもできる。高い誘電率、分解電圧を有する非水の極性液体を溶媒とした場合には、電位窓が広がり、電気分解が起こりにくくなり、電気化学的に安定になるため、耐電圧が高くなり、エネルギー密度が大きくなる。また、非水の極性液体を溶媒にすれば、水を溶媒とした場合にはキャパシタの電極として使用が難しかった貴金属以外の金属を電極とすることができ、コスト面においても有利である。具体的には、プロピレンカーボネイト、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、N−メチルアセトアミド、スルホランエチレンカーボネイト、グルタロニトリル、アジポニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、ピリジン、好ましくは、プロピレンカーボネイト、n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、更に好ましくはプロピレンカーボネイト、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキソランなどの非水の極性液体を挙げることができ、特に好ましい極性液体として、プロピレンカーボネイトを挙げることができる。
(静電容量)
本発明のキャパシタは、静電容量がサイクリックボルタムメトリー法で3mF/cm以上、或いは定電流放電法による静電容量が2F/cm以上であれば、前記静電容量の上限が限定されるものではない。キャパシタの金属電極層の静電容量の値は、大きければ大きいほどキャパシタ容量が大きくなるので実用的用途に好適である。前記静電容量は、より多くの実用的用途に用いることができるので、サイクリックボルタムメトリー法で5mF/cm以上であることが好ましく10mF/cm以上であることがさらに好ましい。これを定電流放電法でいえば、静電容量が10F/cm以上であること好ましく、20F/cm以上であることがさらに好ましい。本発明のキャパシタを用いることにより、キャパシタが乾燥した膜厚を換算して160μmとした場合であっても、静電容量がサイクリックボルタムメトリー法で3mF/cm以上の大きな容量のキャパシタを得ることができる。また、本発明のキャパシタは、低印加電圧でも従来の静電容量を得ることができるのでエネルギー効率も良い。キャパシタの乾燥膜厚を160μmに換算した静電容量の値を得る場合には、実際に測定で得られた電気二重層の値に、測定に用いたキャパシタの厚さ(d)〔μm〕で160μmを除した値(160/d)を乗ずることにより得ることができる。
本願のキャパシタの静電容量は、下記の2電極のサイクリックボルタムメトリー法及び定電流放電法により測定された静電容量である。
2電極のサイクリックボルタムメトリー法の場合、キャパシタの静電容量は、電圧が−0.5V〜+0.5Vの範囲であり、走査電圧速度が10mV/secである測定条件において、3サイクル目の値として得ることができる。一方、定電流放電法の場合、キャパシタの静電容量は、社団法人日本電子機械工業会発行の日本電子工業会規格、規格番号EIAJ RC−2377(2000年4月制定、電気二重層コンデンサの試験方法、3.3.1定電流放電法)に準拠して測定した値である。
[第二の様態]
前記キャパシタの製造方法により効率的に得ることができる本発明第二の様態のキャパシタは、対向する金属電極間に、イオン性物質と極性液体と高分子電解質とを少なくとも有するキャパシタであって、前記金属電極は、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を前記高分子電解質との境界領域に有し、前記高分子電解質は、空間部を有していることを特徴とするキャパシタである。このような特徴を有するキャパシタは、金属電極が突出し部を有することで、金属電極とイオン性物質を含む極性液体または高分子電解質の界面における接触表面積が増大し、濃度の高いイオン性物質を含む極性液体からなる液体電解質を、特に空間部に充填されることで、電気二重層を形成するイオンが増大する。このことによりキャパシタとしての電気容量が大幅に改善される。また高分子電解質は、電気二重層形成にも寄与しつつ、液体電解質のみではキャパシタ構造保持が不安定であるところ、当該高分子電解質が定形性を有しているので、当該キャパシタ構造の維持が可能となる。
(金属電極)
本発明のキャパシタに用いる電極は、良好な導電性を持つものであれば、制限無く使用できる。例えば、金属の他、炭素、導電性高分子、炭素粉末や金属粉末を分散して含有する導電性高分子等でもよい。ただし後述の本発明のキャパシタの製造方法によれば、本電極は、金属電極として作製される。本発明のキャパシタは、水以外の極性液体をキャパシタの溶媒として用いる場合には、金属の種類に関係なく用いることができる。例えば、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、白金、金、鉛、ビスマス、ホウ素、窒素、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、レニウム、チタン等の金属も好適に用いることができる。中でもインジウム、鉛、亜鉛、スズ、カドミウム、ビスマス、アンチモン、銅、銀、鉄、ニッケル、チタンが好ましい。特に好ましい金属は、スズ、銅、鉄、ニッケルである。またこれらの金属を合金として使用することも可能である。一方、前記極性液体として水を用いる場合には、化学的安定性の観点から、金属電極に用いる金属には、金、白金、パラジウム等の貴金属の金属、なかでも金電極とすることが好ましい。
本発明の金属電極は、前記キャパシタにおける該キャパシタ厚さ方向の断面を観察した場合に、内側に向かって突出し部を有しているものである。かかる突出し部を有する金属電極であれば、高分子電解質または液体電解質との接触面積が大きくなるのでキャパシタ容量が向上する。この突出し部は様々な様態を取ることができる。例えばその突出し部が湾状嵌入部を有することで接触面積を増大させることもできる。また前記突出し部は、様々な形状をとることで接触面積を壮大させることもできる。以下、かかる効果をもたらす前記金属電極の突出し部形状の例を示す。
前記高分子電解質との境界領域に有する前記突出し部の形状は、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記高分子電解が侵入した峡湾状部とすることができる。すなわち、高分子電解質が金属電極に侵入しているように形成されているように見える形状である。この峡湾部は直線状に形成されても良いが、湾曲状や折れ曲がり状で形成されていることが好ましい。特に、上記キャパシタは、上記峡湾状部に挟まれた部分が、前記キャパシタの表面付近から内部方向への突き出し形状を有することが好ましい。前記峡湾状部に挟まれた部分が突き出した形状を有することにより、高分子電解質と分極性電極との界面がより広くなり、前記キャパシタの静電容量を向上することができる。また前記峡湾状部に挟まれた部分は、輪郭線が略周期曲線状または不定形となる場合があり、また高分子電解質と分極性電極との界面がより広くなるために、湾曲状や折れ曲がり状となる場合もある。なお、突き出した形状を有する上記峡湾状部に挟まれた部分を、前記突出し部として認識した場合には、本発明のキャパシタが、高分子電解質と分極性電極を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解質と接し且つ当該分極性電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有することを特徴とするキャパシタと認識することもできる場合がある。また突出し部の形状は、フラクタル状の形状をとる場合がある。フラクタル状の形状としては、例えばコッホ曲線状、樹木曲線、葉脈曲線状、シダ状、またはギャスケット状の形状を代表的に例示することができる。また前記突出し部の形状は、半島状の形状をとる場合がある。半島状の形状は、分極性電極を構成する成分が高分子電解質に突出して、該成分が一定の広がりがある形状であればよく、三日月形であっても、釣鐘形であってもよい。また前記突出し部の形状は、島状部に首状の狭さく部を備えた形状をとる場合がある。半島状の形状における島状部に首状の狭さく部を備えた形状は、一定の広さを有する部分である島状部に、島状部の幅よりも狭くなった狭さく部を備えた形状であればよい。また島状部は、一定の広さ有する部分であれば特に限定されるものではなく、略円形、略楕円形、または三角形及び四角形を含む多角形であってもよい。また前記突出し部の形状は、樹木形状をとる場合がある。樹木形状は、広葉樹の様な広がりを有する形状であっても、針葉樹のような先端が鋭角な凸部を突出し部の側部に有していてもよい。また前記突出し部の形状は、茸形状をとる場合がある。茸形状は、開いた傘状の形状であってもよく、傘が閉じた蕾状の形状であってもよい。また突出し部の形状は、ツララ形状をとる場合がある。ツララ形状は、前期突出し部の先端部分が鋭角に形成されていれば特に限定されるものではなく、全体としての形状が直線状であっても良く、歪みを有する形状であっても良く、湾曲状であっても良い。また突出し部の形状は、ポリープ形状をとる場合がある。ポリープ形状は、隆起した形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、イボ状の形状であっても良く、茎を有する形状であっても良く、イボ状に隆起した頂部付近に陥凹を備えた形状であっても良い。また、前記突出し部は、珊瑚状の形状をとる場合がある。珊瑚状の形状は、特に限定されるものではなく、チューブ状若しくは触手状の電極成分が固まり状を形成している形状であっても良い。
前記突出し部は、厚さ方向の断面において前記突出し部を上記高分子電解質との境界領域に有するものであれば良く、該キャパシタにおける厚さ方向の断面の位置が特に限定されるものではない。従って、本発明のキャパシタは、厚さ方向の断面において上記突出し部を有するものであれば、同一のキャパシタにおいて一の断面における突出し部の形状と、他の断面における突出し部の形状とが一致する必要はない。また前記突出し部は、前記境界領域内にそれぞれ多数確認され、その形状は多様である。また、前記断面は、キャパシタの厚さ方向のいかなる位置においても前記突出し部を有することが好ましい。ただし、高分子電解中に含まれる溶媒の流路を形成するなどの故意若しくは偶発的に、直線状に厚さ方向の断面において上記突出し部を有しない部分が形成されても良い。
本発明のキャパシタの突出し部は、同一のキャパシタについて各断面におけるその形状が細部まで一致する必要がない。すなわち前記突出し部は立体的なものであり、断面による観察では、その一部の断面がそれぞれ観察されているものである。前記立体的な突出し部は、厚さ方向の断面において前期の突出し部を形成することができれば、形状が特に限定されるものはない。前記立体的な突出し部の形状は、例えば、切歯状形状、犬歯状形状、小臼歯状形状、大臼歯状形状、ボトル状形状、樹木状形状、茸形状、ツララ形状、珊瑚状形状、または頭状部分に首状の狭さく部を備えた形状等をとる場合がある。
(多孔質金属膜部)
本発明第二様態のキャパシタに用いる金属電極は、本発明第一の様態のキャパシタと同様、前記金属電極が、高分子電解質の境界領域に前記の突出し部を有するとともに、高分子電解質の表面上に接して存在する多孔質金属膜部を有するものであって、前記多孔質金属膜部と前記突出し部とが繋がって両者が一体となり、金属電極を形成しているものであってもよい。
(高分子電解質)
前記高分子電解質としては、主として高分子により形成された電解質であって、キャパシタの定形性を維持するための一定の形態維持性があれば、特に限定されるものではない。ただし、後述の本発明の製造方法にて本発明のキャパシタを製造する場合には、金属電極を形成する際の金属錯体を十分に吸着させるという観点から、イオン交換樹脂とすることが好ましい。前記イオン交換樹脂は、特に限定されるものではなく、公知の樹脂を用いることができ、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。前記イオン交換樹脂の具体例としては、パーフルオロカルボン酸樹脂、パーフルオロスルホン酸樹脂を用いることができ、例えばNafion樹脂(パーフルオロスルホン酸樹脂、DuPont社製)、フレミオン(パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂、旭硝子社製)を用いることができる。前記イオン交換樹脂は、電解質塩のイオン種を選択する自由度が大きく、用途や特性に応じた組み合わせの幅を広げることができることから、陽イオン交換樹脂であることが好ましい。なお、前記高分子電解質は、切断可能な高分子電解質成形品を用いることができるので、膜状、板状、筒状、柱状や管状等、所望の形状の電解質とすることができる。
(空間部)
本発明のキャパシタおいては、イオン性物質を含む極性液体を含み、これが液体電解質となって、高分子電解質同様、キャパシタ内において電気二重層の形成を行う。従って、本発明における高分子電解質はこの液体電解質を保持する必要がある。このため、本発明のキャパシタにおける高分子電解質は、前記液体電解質の保持を容易にすべく、空間部を有しているものであることが好ましい。このことから本発明にいう空間部とは、一定量の前記液体電解質を充填することができる高分子電解質の部位をいう。
そして当該高分子電解質の空間部の形状は、かかる液体電解質の移動を容易して静電容量を向上させるために、該キャパシタ厚さ方向の断面において略円形状または略半円形状であることが望ましい。更にこの前高分子電解質が有している前記略円状または略半円形状の空間部の少なくともひとつについて、当該略円または略半円の直径の最短値が10nm以上が好ましい。更に好ましくは1μm以上である。当該半径が短すぎると、液体電解質の移動による静電容量増加が期待できないからである。一方、当該直径を大きくすれば、空間部の容積が増大し、前記液体電解質の流動性が大きくなるので好ましいが、キャパシタの定形性の維持が困難になる。またキャパシタ自体の大きさから生じる制限も受け、最大でも、当該略円または略半円の直径の最短値は、金属電極間の厚み以下となる。更に高分子電解質には、このような略円形状または略半円形状の空間部が複数存在していることが好ましい。高分子電解質にかかる空間部が複数存在することで、高分子電解質のキャパシタ定形性の効果が維持されたまま、液体電解質量を多く充填させることができるからである。
本発明第二様態のキャパシタにおける具体的な内部の形状について、図2 〜図8を用いて説明する。図2 〜図7は走査電子顕微鏡(SEM)による第二様態の本発明のキャパシタ断面の写真(拡大率300倍)である。また、図8 は、前記SEM写真において、本発明のキャパシタ各部がどの部分に相当するのかを説明するため、図2 〜図7のSEM写真を模式的に示したものである。ただし、図8 は前記のSEM写真におけるキャパシタ各部の位置につき理解容易にするため、各部形状の細部は簡略化して図示している。従って図8 をもって本発明のキャパシタの各部形状を制限するものではない。図2 〜図6は高分子電解質に空間部を有する第二様態のキャパシタの例であり、図7 は、比較のための、高分子電解質に空間部のないキャパシタの例である。図8 で模式的に示した該キャパシタ厚さ方向の断面において、キャパシタの両外側には分極電極201が存在する。この分極電極201は、キャパシタ内側に向かう突出し部211を有する。分極電極に挟まれたキャパシタ内部には、イオン性物質と極性液体による液体電解質(定形性を持たないため図示せず)と高分子電解質202が含まれている。当該高分子電解質202は、空間部221を有している。当該空間部には前記液体電解質が保持されている。当該空間部221は、キャパシタ内に複数存在する場合が多く、その形状は不定形であるが、そのなかでも空間部221の形状が略円形状または略半円形状であることが多い。
(イオン性物質)
本発明のキャパシタにおけるイオン性物質は、極性液体を溶媒とする液体電解質として作用する。このイオン性物質を含む液体電解質によれば、イオン性物質の濃度を調整することにより、電気二重層に寄与できる成分を容易に調整することができ、またかかる液体電解質は、キャパシタ内における電解質の流動性に富んでおり、応答速度の速いキャパシタとすることができる。
本発明のイオン性物質としては、極性溶媒中でイオン化する物質であれば足りる。このようなイオン性物質の具体例を以下に示す。ただし、本発明のイオン性物質は、下記具体例に限定されるものではない。前記イオン物質を構成する陽イオンの例としては、(C、(C(CH)N、(CHなどの炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、(Cなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、H,Li、Na、K、Rb、Cs、Frなどの嵩が小さい一価イオン、更にCu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Al2+、Al3+、Zn2+、Pb2+、Sn2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Crなどの二価、三価のイオンを挙げる事ができる。なかでも安定な溶液を容易に得ることができ、イオンの大きさが小さい(C、(C(CH)N、(C、Liイオンであることが好ましい。前記イオンの大きさをできるだけ小さくすることにより、キャパシタの静電容量を大きくすることができる。一方、イオン物質を構成する陰イオンの例としては、BF 、PF 、ClO 、Ts、SO 2−、NO 、Cl、Br、I、CFSO 、CSO 、(CFSO、BCH(C 、B(C 、B(C 、AsF、SbF 等を用いることができる。なかでもClO 、(CFSOが好ましく、特に好ましくは、(CFSOである。従って、好ましいイオン性物質としては、Li(CFSON、H(CFSON、ホウフッ化水素酸アミジン塩を挙げることができる。
(極性液体)
本発明のキャパシタの溶媒として用いる極性液体には、水を用いることができる。その他の溶媒として、非水の極性液体を用いることもできる。非水極性液体は、高い誘電率、分解電圧を有するので、非水の極性液体を溶媒とした場合には、水を溶媒にした場合に比べ、電位窓が広がり、電気分解が起こりにくくなり、電気化学的に安定になるため、耐電圧が高くなり、エネルギー密度が大きくなるので好ましい。具体的には、プロピレンカーボネイト、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、N−メチルアセトアミド、スルホランエチレンカーボネイト、グルタロニトリル、アジポニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、ピリジン、好ましくは、プロピレンカーボネイト、n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、更に好ましくはプロピレンカーボネイト、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキソランなどの非水極性液体を挙げることができ、特に好ましい極性液体として、プロピレンカーボネイトを挙げることができる。かかる水または非水極性液体を前記イオン性物質の溶媒とすることで、電解質としての可動性が高まる。一方、電解質の可動性に劣るゲル状物質は、好ましくない。
(静電容量)
本発明のキャパシタは、上記構造を有するので、その結果、静電容量定電流放電法による静電容量が40F/cm以上という特徴を有する。さらに製造条件を整えることで、50F/cm以上のキャパシタとすることもできる。この場合、当該静電容量の上限が限定されるものではない。また、本発明のキャパシタは、低印加電圧でも従来の静電容量を得ることができるのでエネルギー効率も良い。なお、本発明にいうキャパシタの静電容量とは、社団法人日本電子機械工業会発行の日本電子工業会規格、規格番号EIAJ
RC−2377(2000年4月制定、電気二重層コンデンサの試験方法、3.3.1定電流放電法)に準拠して測定した値のことをいう。
〔突出し部形状の詳細〕
(形状の観察方法)
本発明のキャパシタにおける該キャパシタ厚さ方向の断面におけるキャパシタ各部の各形状は、走査電子顕微鏡(SEM)によって好適に観察できる。従って、前記金属電極の突き出し形状や、高分子電解質の空間部形状等はSEM写真によって特定することが好ましい。本発明のキャパシタにおける詳しい形状特定方法は以下の通りである。まず、形状の観察するキャパシタを該キャパシタ厚さ方向に垂直に切断し、キャパシタ厚さ方向の断面を切り出す。SEM写真において、キャパシタ断面における各部の各形状を明確に判断するために、切り出した断面に金を真空蒸着することもできる。かかる処理を行ったキャパシタ断面をSEM観察台に設置し、当該断面の100〜1500倍の拡大率であるSEM写真により、当該断面におけるキャパシタ各部の各形状を観察することができる。キャパシタ厚さが160μm程度の場合、各部の形状を観察するためのSEM写真の拡大率は、300倍程度が好ましい。
(二次元的観察による形状)
更に本発明は、対向する金属電極間に少なくとも高分子電解質を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有することを特徴とするキャパシタでもある。以下、突出し部について、本発明のキャパシタの複数の様態における電子顕微鏡による断面観察図を用いて更に説明する。
図9 は、本発明のキャパシタの厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡写真の図である。図10は、図9 の走査電子顕微鏡写真の図におけるキャパシタについて線図として表した図である。
図9 は、本発明のキャパシタの断面について、斜め上方向から走査電子顕微鏡を用いて撮影された写真の図である。図10が図9 を線図として表していることから、説明の都合上、図10を用いて本発明のキャパシタを説明する。図10において、キャパシタ301は、金属電極302,302’と高分子電解質303とを有している。キャパシタ301は、高分子電解質303を挟んで1対の金属電極302、302’が形成されている。図9 及び図10に示したキャパシタにおいて、前記金属電極は、それぞれ表面を備えており、キャパシタ表面305は金属電極302の表面である。金属電極302と金属電極302’とは、それぞれ高分子電解質303との界面を有している。金属電極302には突出し部304を有し、該突出し部を複数備えている。金属電極302と同様に、金属電極302’も突出し部を備えている。
本発明のキャパシタは、前記金属電極と前記高分子電解質との界面が前記キャパシタの幅方向にも形成されている。このため、キャパシタ301には、金属電極302と高分子電解質303との間に境界領域A1を有し、金属電極302’と高分子電解質303との間にも境界領域A2を有している。なお、前記境界領城とは、キャパシタの厚さ方向の断面において、前記界面の最もキャパシタの厚さ方向における中央に近い位置と前記界面の最も表面に近い位置との間の範囲であり、金属電極と高分子電解質との界面が含まれる範囲である。
図10において、点線L1とL2とで区切られた境界領域A1、並びに点線L3とL4とで区切られた境界領域A2には、金属電極302、302’それぞれが、多数の突出し部304,304’を有している。突出し部304,304’は、キャパシタ301の表面付近からキャパシタ301の厚さ方向の中央に向かってそれぞれ伸び、高分子電解質303と接している。また、突出し部304,304’は、金属電極302,302’の一部としてそれぞれ機能し、金属電極302,302’の電極成分を構成する。前記金属電極が、前記高分子電解質と接し、しかも当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、該金属電極と前記高分子電解質との境界領域に有することから、本発明のキャパシタは、金属電極と高分子電解質層との界面が略平滑である従来のキャパシタに比べて、該界面の表面積が大きい。
図10において、キャパシタ301の突出し部304は、微少な凹凸を備え、前記の微少な凹凸が湾状嵌入部を形成している。また、突出し部304は、湾状嵌入部306と隣接して湾状嵌入部307を備え、更に複数の湾状嵌入部を備えている。本発明のキャパシタは、前記突出し部に湾状嵌入部を備えることにより、該突出し部の輪郭が直線若しくは曲線またはこれらの組み合わせにより形成されている場合に比べて、高分子電解質と金属電極との界面が大きく、静電容量が大きい。
また、突出し部304においては、該突出し部の輪郭線が先端部分に置いては略周期曲線状をしている。前記略周期曲線状の形状は、周期的な曲線であれば特に限定されるものではないが、例えば前記輪郭が正弦曲線状の形状であってもよい。また、前記周期曲線状の輪郭線は、前記突出し部の一部分であってもよく、また、前記突出し部の全体であってもよい。前記突出し部の輪郭線が略周期曲線状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面がより大きくなって、静電容量が増加する。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、フラクタル状の形状を有することが好ましい。
厚さ方向の断面において前記突出し部がフラクタル状の形状を有することにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記フラクタル形状は、特に限定されるものではなく、公知のフラクタル状の形状であればよい。前記フラクタル状の形状としては、例えばコッホ曲線状、樹木曲線、葉脈曲線状、シダ状、またはギャスケット状の形状を代表的に例示することができる。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、半島状の形状をしていることが好ましい。厚さ方向の断面において前記突出し部が半島状の形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面がより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記の半島状の形状は、金属電極を構成する成分が高分子電解質に突出して、該成分が一定の広がりがある形状であればよく、三日月形であっても、釣鐘形であってもよい。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、島状部に首状の狭さく部を備えた形状であることが好ましい。厚さ方向の断面において前記突出し部が島状部に首状の狭さく部を備えた形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記の半島状の形状における島状部に首状の狭さく部を備えた形状は、一定の広さを有する部分である島状部に、島状部の幅よりも狭くなった狭さく部を備えた形状であればよい。前記島状部は、一定の広さ有する部分であれば特に限定されるものではなく、略円形、略楕円形、または三角形及び四角形を含む多角形であってもよい。これらの形状であっても、狭さく部を有することのより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、樹木形状であることが好ましい。厚さ方向の断面において前記突出し部が樹木形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記樹木形状は、特に限定されるものではなく、広葉樹の様な広がりを有する形状であっても、針葉樹のような先端が鋭角な凸部を突出し部の側部に有していてもよい。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、茸形状であることが好ましい。厚さ方向の断面において前記突出し部が樹木形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記茸形状は、特に限定されるものではなく、開いた傘状の形状であってもよく、傘が閉じた蕾状の形状であってもよい。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、ツララ形状であることが好ましい。厚さ方向の断面において前記突出し部が樹木形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記ツララ形状は、前記突出し部の先端部分が鋭角に形成されていれば特に限定されるものではなく、全体としての形状が直線状であっても良く、歪みを有する形状であっても良く、湾曲状であっても良い。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、ポリープ形状であることが好ましい。厚さ方向の断面において前記突出し部がポリープ形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記ポリープ形状は、隆起した形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、イボ状の形状であっても良く、茎を有する形状であっても良く、イボ状に隆起した頂部付近に陥凹を備えた形状であっても良い。
本発明のキャパシタにおける突出し部は、珊瑚状の形状であっても良い。厚さ方向の断面において前記突出し部が珊瑚状の形状をしていることにより、金属電極と高分子電解質との界面はより大きくなり、該キャパシタの静電容量がさらに向上する。前記珊瑚状の形状は、特に限定されるものではなく、チューブ状若しくは触手状の電極成分が固まり状を形成している形状であっても良い。
本発明のキャパシタは、前記の突出し部を有し、前記金属電極の内部に高分子電解質成分を含んでいることが好ましい。図10において金属電極302,302’中に高分子電解質成分を含む孔308,308’を含み、電極成分中に高分子電解質成分を含んでいる。前記金属電極の内部に高分子電解質成分を含むことにより、前記突出し部の周における金属電極と高分子電解質との界面に加えて、該高分子電解質成分とその周囲の金属電極と界面を有しているので、該キャパシタの静電容量は更に向上することができる。
図10においては、電子顕微鏡写真により視認できる程度の孔を備えているが、本発明のキャパシタは、サブミクロン以下の微細な孔を有していても良い。たとえば、前記高分子電解質として用いることができるイオン交換樹脂は、1nm程度の微細な孔を有している場合が多く、このような1nm程度の微細な孔を金属電極が備えていることにより、金属電極と高分子電解質との界面は、より広くなり、前記キャパシタの静電容量は、更に向上することができる。なお、本発明のキャパシタにおける突出し部は、突き出した形状として認識できる突出し部であれば、サブミクロン以下の微細な孔を有しても良く、分子レベルのスケールでは高分子電解質のマトリックス樹脂と金属電極に含まれる金属等の導電性成分とが混合した状態であっても良い。
図10において、本発明のキャパシタは、厚さ方向の断面において金属電極が含まれる領域である金属電極領域F1、F3と、厚さ方向の断面において金属電極が含まれず高分子電解質が含まれる領域である高分子電解質領域F2とに分類することができる。前記突出し部は、金属電極の電極成分を構成することから金属電極であり、金属電極領域に区分けされる。つまり、金属電極領域は、前記キャパシタの表面から前記界面の最もキャパシタの厚さ方向における中央に近い位置までの範囲である。前記金属電極領域は、図10においては、線分L5と線分L2とで区切られた領域F1、並びに線分L6と線分L3とで区切られた領域F3に該当する。また、高分子電解質領域は、金属電極領域から孤立して生じた塊状若しくは粒子状の金属部を含んでいても良く、図10においては線分L2と線分L3とで区切られた範囲に該当する。
本発明のキャパシタにおいて、厚さ方向の断面における高分子電解質領域と1対の金属電極領域との厚みの比が、金属電極領域対高分子電解質領域対金属電極領域が3対4対3〜1対8対1であることが、より大きな静電容量が得られるので、好ましい。図10においては、前記の金属電極領域対高分子電解質領域対金属電極領域が、ほぼ3対4対3であるが、本発明のキャパシタにおいて、前記の各領域の厚みの比である金属電極領域対高分子電解質領域対金属電極領域が3対4対3〜1対8対1であることにより、十分な電気二重層を形成することができると考えられる。
また、本発明のキャパシタは、前記金属電極領域と前記高分子電解質領域とは、前記高分子電解質側、即ち厚さ方向の中央側に高分子電解質成分がリッチな電極領域R2、R3を有し、前記高分子電解質の反対側に電極成分がリッチな電極領域R1、R4を有していることが好ましい。前記キャパシタが前記高分子電解質側に高分子電解質成分が多く含まれる電極領域を有し、前記高分子電解質の反対側に電極成分がリッチな電極領域を有していることにより、本発明のキャパシタは、金属電極と高分子電解質との界面がより広く存在することとなるので、キャパシタとしての静電容量も向上することができる。
また、本発明は、高分子電解質と金属電極を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解が侵入した峡湾状部を高分子電解質との境界領域に有することを特徴とするキャパシタでもある。図10において、金属電極領域F1においては、高分子電解質と金属電極との界面が峡湾状に形成された峡湾部309,309’を有する。前記峡湾部は、図10に示されているように、高分子電解質が金属電極に侵入しているように形成されている。前記峡湾部は直線状に形成されても良いが、高分子電解質と金属電極との界面がより広くなるために、湾曲状や折れ曲がり状であることが好ましい。特に、前記キャパシタは、前記峡湾状部に挟まれた部分が、前記キャパシタの表面付近から内部方向への突出し形状を有することが好ましい。前記峡湾状部に挟まれた部分が突き出した形状を有することにより、高分子電解質と金属電極との界面がより広くなり、前記キャパシタの静電容量を向上することができる。また、前記の峡湾状部に挟まれた部分は、輪郭線が略周期曲線状または不定形であることが高分子電解質と金属電極との界面がより広くなるために、湾曲状や折れ曲がり状であることが好ましい。なお、突き出した形状を有する前記峡湾状部に挟まれた部分は、前記の突出し部として認識した場合には、本発明は、高分子電解質と金属電極を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有することを特徴とするキャパシタと認識することもできる場合がある。
本発明のキャパシタは、高分子電解質と金属電極を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有するキャパシタについて、上述のように、厚さ方向の断面において前記突出し部を前記高分子電解質との境界領域に有するものであれば良く、該キャパシタにおける厚さ方向の断面の位置が特に限定されるものではない。従って、本発明のキャパシタは、厚さ方向の断面において前記突出し部を有するものであれば、同一のキャパシタにおいて一の断面における突出し部の形状と、他の断面における突出し部の形状とが一致する必要はない。
図11(a)及び図11(b)は、本発明のキャパシタの厚さ方向の断面についての走査電子顕微鏡写真の図である。図11(a)及び図11(b)は、より詳しくは、長さ20mm、幅2mm、厚さ160μmのキャパシタについて、長さ方向について数mmの間隔を開けて、該キャパシタの金属電極表面における切断線が幅方向に平行となるように切断して、厚さ方向に形成した断面についての幅方向の中央付近における倍率300倍の走査電子顕微鏡写真の図である。
図11(a)において、キャパシタ321は、高分子電解質3322と金属電極323,323’と有している。金属電極323,323’は、キャパシタの厚さ方向の中央方向に延びる突出し部を有している。図11(a)において、前記突出し部は、金属電極323,323’にそれぞれ多数確認され、その形状は多様である。金属電極323,323’においては、フラクタル状若しくは樹木形状の突出し部が2以上あることが図11(a)より視認される。
また、図11(b)においても、キャパシタ331は、高分子電解質322と金属電極333,333’とを有している。金属電極333,333’は、キャパシタの厚さ方向の中央方向に延びる突出し部を有している。図11(a)において、前記突出し部は、金属電極333,333’にそれぞれ多数確認され、その形状は多様である。金属電極333,333’においては、フラクタル状若しくは樹木形状の突出し部が2以上あることが図11(a)より視認される。
図11(a)と図11(b)とは、両方共に、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を有する。しかし、図11(a)と図11(b)は、突出し部の大きさが完全に一致するものではない。つまり、該金属電極が前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を有していれば、本発明のキャパシタは、高分子電解質と金属電極とがより広い界面を備えることとなり、該高分子電解質と該金属電極との界面における静電容量が大きくなる。
本発明のキャパシタは、いかなる位置においても厚さ方向の断面において前記突出し部を有することが好ましい。また、本発明のキャパシタは、前記金属電極と前記高分子電解質との界面の定電流充放電法による静電容量が2F/cm以上となる程度に、高分子電解中に含まれる溶媒の流路を形成するなどの故意若しくは偶発的に、直線状に厚さ方向の断面において前記突出し部を有しない部分が形成されても良い。
本発明のキャパシタは、前記のように、同一のキャパシタについて各断面における前記突出し部の形状が細部まで一致する必要がない。換言すれば、本発明のキャパシタは、金属電極が、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する立体突出し部を有するキャパシタであっても良い。前記の立体突出し部は、特に限定されるものではないが、厚さ方向の断面において前記の突出し部を形成することができれば、形状が特に限定されるものはない。前記立体突出し部の形状は、例えば、切歯状形状、犬歯状形状、小臼歯状形状、大臼歯状形状、ボトル状形状、樹木状形状、茸形状形状、ツララ形状、珊瑚状形状、または頭状部分に首状の狭さく部を備えた形状であって且つ立体である形状であることが前記高分子電解質と前記金属電極との界面が広く、しかも一定の幅を備えているために通電が切れることが少ないので、好ましい。なお、図10においても、島部310が観察されるが、キャパシタ301の他の断面図においては、金属電極302’と接続している場合も、本発明のキャパシタの実施態様例に含まれる。
本発明のキャパシタである、高分子電解質と金属電極を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有するキャパシタにおいて、前記突出し部の形状は、該キャパシタの厚さ方向の断面についての走査電子顕微鏡写真を用いて観察されることにより、視認される形状であることが、前記高分子電解質と前記金属電極との界面が広くなるので好ましい。また、高分子電解質と金属電極を有するキャパシタであって、該キャパシタの厚さ方向の断面において、前記金属電極が、前記高分子電解が侵入した峡湾状部を高分子電解質との境界領域に有するキャパシタにおいても、前記峡湾状部は該キャパシタの厚さ方向の断面についての走査電子顕微鏡写真を用いて観察されることにより、視認される形状であることが、前記高分子電解質と前記金属電極との界面が広くなるので好ましい。前記走査電子顕微鏡写真は、公知の撮影方法により得られた写真を用いることができる。
前記走査電子顕微鏡写真の撮影方法としては、例えば、厚さ方向の断面を有するキャパシタを資料として、公知のスパッタリング方法により金を該資料に付着させ、高真空下において撮影する公知の撮影方法を用いることができる。
前記走査電子顕微鏡写真の倍率は、特に限定されるものではなく、例えば150〜1500倍を用いることができるが、前記キャパシタの幅がフレーム内に収まる倍率であることが前記突出し部若しくは峡湾状部の形状や、高分子電解質領域と1対の金属電極領域の各領域の厚みを認識しやすいので好ましい。キャパシタ厚さが160μm程度の場合、各部の形状を観察するためのSEM写真の拡大率は、300〜500倍が好ましい。
図12〜図15は、本発明のキャパシタにおける厚さ方向の断面についての走査電子顕微鏡写真である。
図12は、本発明のキャパシタにおけるひとつの様態の厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡写真の図である。図12は、厚さ160μmである本発明のキャパシタについて、倍率500倍で撮影した走査電子顕微鏡写真の図である。キャパシタ341は、1対の金属電極343,343’と高分子電解質342を備え、金属電極には多数の突出し部を有し、該突出し部は、該高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成している。図12において、前記突出し部は、種々の形状を有し、湾状嵌入部を複数有する突出し部、輪郭線が略周期曲線状である突出し部、輪郭線が不定形である突出し部、フラクタル状である突出し部、形状が半島状である突出し部、島状部に首状の狭さく部を備えた形状である突出し部、及び樹木形状である突出し部を視認することができる。
図13は、本発明のキャパシタにおける別の様態の厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡写真の図である。図12は、厚さ160μmである本発明のキャパシタについて、倍率500倍で撮影した走査電子顕微鏡写真の図である。キャパシタ351は、1対の金属電極353,353’と高分子電解質352を備え、金属電極には多数の突出し部を有し、該突出し部は、該高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成している。図13において、前記突出し部は、種々の形状を有し、湾状嵌入部を複数有する突出し部、輪郭線が略周期曲線状である突出し部、輪郭線が不定形である突出し部、フラクタル状である突出し部、形状が半島状である突出し部、ツララ形状である突出し部、ポリープ形状である突出し部、珊瑚状である突出し部及び樹木形状である突出し部を視認することができる。
図14は、本発明のキャパシタにおける別の様態の厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡写真の図である。図14は、厚さ160μmである本発明のキャパシタについて、倍率500倍で撮影した走査電子顕微鏡写真の図である。キャパシタ361は、1対の金属電極363,363’と高分子電解質362を備え、金属電極には多数の突出し部を有し、該突出し部は、該高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成している。図14において、前記突出し部は、種々の形状を有し、湾状嵌入部を複数有する突出し部、輪郭線が略周期曲線状である突出し部、輪郭線が不定形である突出し部、フラクタル状である突出し部、形状が半島状である突出し部、島状部に首状の狭さく部を備えた形状である突出し部、及び樹木形状である突出し部を視認することができる。
図15は、本発明のキャパシタにおける別の様態の厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡写真の図である。図15は、厚さ160μmである本発明のキャパシタについて、倍率500倍で撮影した走査電子顕微鏡写真の図である。キャパシタ371は、1対の金属電極373,373’と高分子電解質372を備え、金属電極には多数の突出し部を有し、該突出し部は、該高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成している。図15において、前記突出し部は、種々の形状を有し、湾状嵌入部を複数有する突出し部、輪郭線が略周期曲線状である突出し部、輪郭線が不定形である突出し部、フラクタル状である突出し部、形状が半島状である突出し部、島状部に首状の狭さく部を備えた形状である突出し部、及び樹木形状である突出し部を視認することができる。
(三次元的観察による形状)
以上、本発明のキャパシタについて、厚さ方向の断面を観察することにより、金属電極や高分子電解質の形状や境界領域について示したが、かかる形状が三次元的(立体的)にいかなる形状、構造で存在しているのかを以下で説明する。
図17〜図34は、本発明のキャパシタにおける一実施形態の外観及び内部を、X線マイクロCTスキャナシステム(装置名:SKYSCAN社製「マイクロCTスキャナ 1072型」)を用いて撮影した3次元画像の各静止画像を印字した図を示している。
各静止画像の図は、同一のキャパシタについて、コンピューターソフトウェアにおけるビットマップイメージの静止画像を表示することにより、当該キャパシタの3次元構造の概要を示すものである。
図17は平面画像にB方向の上側からやや角度をつけて見た斜視図であり、B方向においてキャパシタの厚み方向の断面とその奥行き方向の立体画像が示されている。図18は図17において説明用引き出し線を付した斜視図である。
図19は、図17においてA方向の上側からやや角度をつけて見た斜視図であり、A方向においてキャパシタの厚み方向の断面とその奥行き方向の立体画像が示されている。図20は、図19において、説明のために引き出し線が付されてなる斜視図である。
図21は、図19においてB−Dを軸にして回転させて、A方向から拡大して見たキャパシタの厚み方向の断面を含む斜視図であり、図22は図21において、説明のために引き出し線が付されてなる斜視図である。
図23は、図21におけるA方向からみたキャパシタの拡大された断面とその奥行き方向の立体画像が示されている。図24は図23において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図25は、図23において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像が示されている。図26は図25において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図27は、図25において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像が示されている。図28は図27において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図29は、図27において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像が示されている。図30は図29において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図31は、図29において更に内部に侵入した状態での、キャパシタ内部の厚み方向の断面(断層)及びその奥行き方向の立体画像が示されている。図32は図31において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図33は、図18において、C方向の斜め方向からみた断面及びその奥行き方向の立体画像であり、図34は図33において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
一方、図35〜図40は、本発明のキャパシタにおける一実施形態を同じくX線マイクロCTスキャナシステムで観察した、キャパシタ厚み方向対する垂直断面図である。金属電極間の高分子電解質はX線に感知されないので、本来金属電極間に挟まれた高分子電解質の部分は黒く現れている。しかし、図35〜図40の画像では、説明容易のため、当該高分子電解質部分の黒く現れる部分を省略している。
図35は、本発明のキャパシタ厚さ垂直方向のX線による断面画像であり、図36は、図35において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図37は、図35から9μm離れた位置の断面図であり、図38は、図37において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
図39は、図37から更に9μm離れた位置、すなわち、図35からは18μm離れた位置の断面図であり、図40は、図39において、説明のために引き出し線が付されてなる断面図である。
500は本実施形態のキャパシタである。511、512は金属電極であり、511aは金属電極のエレメントとして構成される電極成分である。金属電極は、高分子電解質(図示せず。)を挟んで両極を構成しており、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部511b、511c、511d、512e、511f、511h、512i、512j、511kを、前記高分子電解質との境界領域521、522に有している。なお、523は絶縁領域を構成する高分子電解質領域である。
すなわち、図に示すように、前記金属電極511、512が、キャパシタ内部に突出して、キャパシタ内部の前記高分子電解質に接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部511b、511c、511d、512e、511f、511h、512i、512j、511k、511l、511m、512nを有している。符号で特定された突出し部は例示による特定である。
なお、白く写っている突出し部511b等や、電極成分511aは、最も表面側の画像であることを示しており、例えば突出し部511fのようにやや影状の映像は、断面よりさらに奥行き方向に存在する突出し部を示している。
前記の断面の奥行き方向に立体画像は、いずれも遠近感を出す透視図によって立体画像を特定しており、奥行き方向に行くにしたがって金属電極511、512間にある前記突出し部が近づくような画像図として特定されている。
一方、高分子電解質は、本X線による画像図においては写らないが、突出し部(例えば511b、511c、511d、512e、511f、511h、512i、512j、511kなど)を含む金属電極511、512の構造によって区画された高分子電解質の貯留エリアにおいて、絶縁領域を構成する高分子電解質領域523から連続して、前記高分子電解質との境界領域521、522にわたって充填される部位を有している。また、前記金属電極が当該金属電極の表面からキャパシタ内部の高分子電解質に連通し、当該高分子電解質を含む貫通孔を有している。
このことは、X線による断面図画像に表れた511l、511m、512nで特定される突出し部の形状や大きさが、図35、図37、図39の順に連続的に変遷している点にも現れている。
[キャパシタ機構の可能性]
上述のように本キャパシタは、第一及び第二の様態のキャパシタともに、通常のキャパシタに比べ、静電容量が非常に大きいものである。この理由として、選択した電極、イオン種、溶媒等の条件によっては、電気二重層キャパシタとしての電荷移動による蓄電機構に加え、同時に酸化還元反応または電池反応よる蓄電機構が発生しているために、かかる大きな静電容量を示している可能性もある。例えば金属電極して金電極、極性溶媒としてプロピオンカーボネイト、含まれるイオン種としてLiという構成のキャパシタでは、電極界面で、金(Au)とリチウム(Li)の合金化が生じている可能性がある。このため、本発明のキャパシタでは、本来の電気二重層容量キャパシタとしての原理のほか、レドックスキャパシタまたは電池の原理が補助的に加わったハイブリッドキャパシタになっている可能性があるので、これが本発明のキャパシタの静電容量向上の一要因となっている可能性も考えられる。
[第三の様態]
本発明のキャパシタは、第一の様態及び第二の様態のキャパシタの更なる応用として、金属電極に突出し部を設けることなく、高い静電容量をことができるキャパシタとすることもできる。このキャパシタを第三の様態のキャパシタとして以下説明する。
(第三の様態のキャパシタの基本構造)
本発明のキャパシタの基本構造は、対向して存在する2枚の基材と、前記両基材の内側に設けられた分極電極と、前記両分極電極の間に設けられた電解質とを少なくとも有するキャパシタである。なお、本発明のキャパシタには前記構成要素以外の有用な要素、部材等を設けてもよい。例えば、2つの分極電極の間に、前記電解質の他に両電極の接触を防止するセパレータを設けることもできる。
(電解質)
本発明における電解質には、液体、固体、ゲル状の各電解質を用いることができる。以下に電解質の具体例を挙げるが、下記具体例に制限されるものではない。電解質が固体又はゲル状である高分子電解質の場合の例としてイオン交換樹脂を挙げることができる。用いる樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入した樹脂を挙げることができる。更に詳細には、パーフルオロカルボン酸樹脂、パーフルオロスルホン酸樹脂を用いることができ、例えばNafion樹脂(パーフルオロスルホン酸樹脂、DuPont社製)、フレミオン(パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂、旭硝子社製)を挙げることができる。
液体の電解質としては、溶媒として用いる液体に固体電解質を溶解させてイオン化させた電解質や、溶融状態で導電性を有する液体電解質等を挙げることができる。具体的には溶媒液体中でイオン化するイオン性物質を構成する陽イオンの例として、(C、(C(CH)N、(CHなどの炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、(Cなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、H,Li、Na、K、Rb、Cs、Frなどの嵩が小さい一価イオン、更にCu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Al2+、Al3+、Zn2+、Pb2+、Sn2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Crなどの二価、三価のイオンを挙げる事ができる。一方、イオン物質を構成する陰イオンの例としては、BF 、PF 、ClO 、Ts、SO 2−、NO 、Cl、Br、I、CFSO 、CSO 、(CFSO、BCH(C 、B(C 、B(C 、AsF、SbF 等を挙げることができる。
またこれらを溶解する溶媒液体の例としては、水の他、プロピレンカーボネイト、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキソランなどの非水の極性溶媒を挙げることができる。
(基材)
本発明における基材はキャパシタの形態安定性を確保するものであり、また分極電極を保持する役割も有する。基材に用いられる材料としては、一定の形態性を有する固体の材料であれば、制限なく用いることができる。もっとも用途に応じて必要とされる特性の違いから、下記のような材料を適宜選択することが好ましい。まず本発明では基材を合成樹脂とすることができる。この場合、基板は可撓性に富み、キャパシタの形態性を維持しつつ、曲げることもできるものとすることができる。また経済的でもある。次に基材を金属物質とすることもできる。この場合、当該基材が集電板的な役割を果たすことができる。また、本発明では基板と多孔質の金属電極はキャパシタが接触しているので、キャパシタの電気的接続部位として前記基板を用いることができる。またその形状は、用途に応じて膜状、板状のように厚さを適宜調整することができる。更に基材をセラミックスとすることもできる。セラミックスとは無機物質を原料として熱処理によって得られる製品をいい、主要なセラミックスとして金属酸化物、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物などを挙げることができる。セラミックスは、硬度が大きく、絶縁性のものが多いので、特に強度が必要とされる部位や、他の部位との絶縁性を確保したい部位のキャパシタとして用いる場合に好適である。
(分極電極)
本発明のキャパシタは、分極電極が多孔質金属からなるものである。本発明にいう多孔質金属とは、当該表面のみならずその内部も本質的に金属のみで構成されているものをいう。すなわち本発明にいう多孔質金属には、多孔質物質の表面に金属をコーティングしたものや、バインダーを用いて、金属粉を多孔質状態に形成したものは含まれない。このため、本発明にいう多孔質金属電極中には、不純物として含まれる場合を除いて、被メッキ物質やバインダーの成分となることの多い元素としての炭素が含まれることがない。分極電極中に元素としての炭素が含まれているか否かは、キャパシタから分極電極を切り離して、当該分極電極を蛍光X線分析測定等公知の分析方法で測定することにより判断できる。またバインダー成分が含まれているか否かは、当該分極電極を粉体化した上で、赤外線分析測定等により測定することによっても判断が可能である。
また、本発明の分極電極は、多孔質金属であるので、その比表面積は大きい。比表面積は、金属表面に吸着する気体や液体の量を調べることによって測定することができる。また多孔質金属の表面は、金属光沢を有していない。すなわち、通常の金属板と異なり、金属多孔質電極表面に入射した光は乱反射される。このため、通常の金属板の場合に比べ、表面反射率は低い。このような金属表面の例として、図41〜図46に金属電極の走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影された電子顕微鏡写真(SEM写真)を示した。図41,603,605が本発明のキャパシタに用いる多孔質金属を用いた分極電極の表面であり、一方、図42,604,606にはその比較として光沢を有する通常の金属の分極電極の表面を示した。なお、観察に用いた分極電極の形状はいずれも管状である。写真の倍率は、図41,602は倍率80倍、図43,604は倍率500倍、図45,606は倍率3000倍である。写真倍率は各写真右下に示された点の間隔によっても知ることができる。図41,602は点間隔が500μm、図43,604は点間隔が100μm、図45,606は点間隔が100μmである。これらSEM写真から分かるように、本発明にいう多孔質金属とは、図41,603,605のように粒子形状の金属が集合して存在しているような状態にあるものをいう。すなわち、金属である分極電極が多孔質であるか否を判断するには、表面反射率や、SEM等による拡大観察等の手段を用いることができる。
本発明の分極電極に用いることのできる金属成分は、常温で液体である水銀や、導電性が炭素より小さい金属以外であれば、制限無く用いることができる。具体的には、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、白金、金、鉛、ビスマス、ホウ素、窒素、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、レニウム、チタン等の金属を例として挙げることができる。中でも特に液体電解質若しくはゲル状電解質を用いた場合に、当該電解質に対して化学的に不活性である金属が好ましい。具体的には、金等の貴金属類、インジウム、鉛、亜鉛、スズ、カドミウム、ビスマス、アンチモン、銅、銀、鉄、チタン、ニッケルが好ましい。特に好ましい金属は、用いる電解質によって異なるが、水を溶媒として電解質を溶解させたものである場合には、貴金属類が特に好ましい。一方電解質をプロピレンカーボネイト等水以外の極性溶媒に溶解させた場合等はスズ、銅、鉄、ニッケルが特に好ましい。またこれらの金属を合金とし、前記溶媒に対して化学的に不活性な合金などを使用することも可能である。
本発明において、基材の内側に設ける分極電極は、基材表面上に多孔質金属をメッキさせてなるものであることが好ましい。分極電極が基材表面にメッキされてなるものであることにより、基材と分極電極の一体性が増すので、キャパシタとしての形態安定性が更に向上するからである。また、バインダー等余分な成分を使用しないため、キャパシタの電気的な特性の向上に資するからである。
〔キャパシタ素子の構造〕
本発明のキャパシタは、固体電解質層と該固体電極層を挟んで形成された2つの固体電極層からなるキャパシタ素子を積層、折畳、又は捲回させて、更にコイン型やラミネート型に形成し、これをキャパシタ缶又はラミネートパック等のキャパシタ容器に収容し、キャパシタ缶であれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールする方法により、キャパシタ部品として組み立てることができる。また、前記方法において、キャパシタ容器を封缶若しくはヒートシールする前に、容器を特定の電解質溶液で充填して、キャパシタ部品を得ることもできる。本発明のキャパシタを有底筒状の外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部を弾性部材からなる封口体で封口することで、チップ部品であるキャパシタ部品を得ることができる。本発明のキャパシタを収納したケースには、線膨張率の小さい絶縁物質を充填しても良い。
本発明のキャパシタは、ガスケットを介して金属蓋によって密封したコイン型、正極と負極との間にセパレータを介して巻回してなる素子を電解液とともに金属ケース中に収容して封口した巻回型、正極となる電極及び負極となる電極との間にセパレータを介して積層してなる素子の積層体が組み込まれた積層型等いずれの型でも使用できる。積層型が採用される場合においては、キャパシタを陽極同士および陰極同士が重なるように積層しても良い。
本発明のキャパシタは、大型平板の積層型固体電解コンデンサとすることができる。また、本発明のキャパシタは、金属電極をU型または管状とすることもできる。管状の金属電極は、円形管、三角形管、方形管、長方形管、多角形管とすることができる。本発明のキャパシタは、キャパシタ自体の形状も任意であり、該形状に角部を有する場合においては、熱的ストレス、機械的ストレス、並びに樹脂外装体との熱膨脹差に起因する歪みによる損傷若しくは漏れ電流不良を防止するために、該角部に所定曲率の曲面を形成することができる。
また、本発明のキャパシタは、電極積層型や断面楕円状捲回型のキャパシタ部品とすることができる。キャパシタ素子を巻回する場合においては、ビニロン繊維を主体とするビニロン不織布をセパレータとして、セパレータを介して巻回されたキャパシタ素子を用いて巻回型のキャパシタ部品とすることもできる。前記の巻回型のキャパシタ部品においては、捲回されたキャパシタ素子の外周面に絶縁保護層を設けても良い。捲回した構成のキャパシタにおいては、前記キャパシタの捲回長さ方向に線状体が蛇行状態で連続して介在されていることにより、該線状体をリードとして用いることもできる。なお、本発明のキャパシタを巻回したキャパシタとして用いる場合においては、キャパシタを巻き止めるためのテープの長さを、コンデンサ素子の外周の長さよりも短くしても良い。
本発明のキャパシタは、複数個を一つの部品として並べて一体的にパッケージして、アレイ型に構成しても良い。また、前記キャパシタにおいて単一のシート状固体電解質にマス目状パターンの電極を形成してマス目毎にキャパシタを得て、各陰極層の表面と陰極リードフレームとをワイヤーボンダーを用いて金属ワイヤーに接合するか、または、各陰極層の表面の少なくとも一部に金属箔片を接合した後、該金属箔片の表面と陰極リードフレームとを、ワイヤーボンダーを用いて金属ワイヤーで接合しても良い。
ボタン型のキャパシタ部品において、金属容器の下底部と上蓋部を絶縁性のリングパッキンにより密閉されるように接合されて、該金属容器内に前記キャパシタ素子を入れることができる。
また、前記キャパシタ素子の表面を樹脂で被覆した後、有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口して、エージングを行い、キャパシタ部品を形成しても良い。なお、封口部材の物性の改善による封止力の向上を適宜行うことができる。また、封口部材については、キャパシタ側に配された水素ガスを透過しない又は透過しにくい材料からなる一層目と電解コンデンサの外面側に配された弾性を有し前記一層目よりも水素ガスを透過しやすい材料からなる二層目との二層構造からなる封口部材を形成しても良い。キャパシタをケースに収納する際において、該封口部材の一層目をその上下から挟むようにケース外周面に押圧溝を形成して、開口部を封口しても良い。また、キャパシタを第1のケースが第2のケースに収納し、第2のケースの開口部をゴム等の弾性部材で封口し、前記キャパシタのリード端子が前記弾性封口部材を貫通して外部に引き出される様に構成しても良い。
本発明のキャパシタにおいて、固体電解質と該固体電解質を挟んで形成された2つの金属電極とからなるキャパシタ素子を少なくとも2以上積層し、前記キャパシタ素子の陽極となる電極層に接続された陽極端子と陰極となる電極層に導電性接着剤を介して接続された陰極端子の一部が外表面に露呈するように前記キャパシタ素子の積層体を絶縁性の外装樹脂で被覆した構成としても良い。前記外装樹脂は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を熱硬化することで、外装ケースとして用いることができる。積層型キャパシタ部品においては、リードフレームを面取り、つまり稜角の部分を少し平らに削ったり、丸味をつけたりして稜角部付近の素子の応力集中を緩和出来るように加工を施しておくことが好ましい。また、外装樹脂の外側のリードフレームを外装樹脂に沿って折曲げて外部リードとして積層型キャパシタ部品としても良い。また、外装樹脂については陽極導出線側の陽極導出面と対向する面とを研削するようにしたものとしてもよい。
また前記キャパシタに外装を形成する場合には、樹脂を充填し、陰極導出部に角錐または円錐形状の外装樹脂部を金型にて形成し、該外装樹脂部を破断、除去して、前記キャパシタの電極を露出させた構成を用いても良い。
外装樹脂の形成方法としては、一般に、エポキシ系の熱硬化性樹脂を使用して、ディップ成型(リード線タイプ)またはモールド成型(チップタイプ)により形成することができる。
また、前記キャパシタは、側面を樹脂により被覆しても良く、電極よりも固体電解質層が突き出している場合には、その突出し部分を熱可塑性樹脂により埋めてもよい。また、角部分や綾線部分等の耐電圧が向上することから、本発明のキャパシタの固体電解質層に肉厚が薄い部分の表面に絶縁性樹脂層を設けることもできる。
前記キャパシタ部品の構成において、金属電極に上に電極端子を接続することができる。前記電極端子を前記金属電極に接続する方法としてはカーボンペースト及び/又は銀ペーストを含む導電性接着剤を用いて、通電可能なように接続する方法を代表的に挙げることができる。また、前記電極端子を接続する際に、カーボンペースト、銀ペースト、若しくは金属部材を介在させて、前記金属層と前記電極端子とを接続しても良い。また、前記キャパシタ部品は、前記金属電極の表面に被覆層を設けること、前記電極端子(電極タブ部)に電気化学的な酸化皮膜層を設けること、または所定のセラミックス若しくは絶縁性の樹脂層(エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンやポリプロピレン等)をアルミニウム等の金属製の電極端子の表面に設けることにより、端子/電極の電位差コントロールや電位差電流を原因とする電気化学反応をコントロールすることができる。また、前記電極端子を、ポリピロールやスチレンスルホン酸などの特定の有機化合物と溶媒との混合物で処理することにより、漏れ電流を低下させることもできる。また、電極端子を設ける替わりに、銅などの金属箔を貼付けて集電部を形成し、該集電部にリードを接続しても良い。なお、前記電極端子は、繰り返し曲げ強度を備えることが好ましい。前記電極端子は、ワイヤー状であっても平型であっても良い。なお、前記酸化被膜層は、漏れ電流を防止するために、酸化皮膜中の不純物(皮膜の欠陥)を低減することが好ましい。また、デバイスの実装時に耐えることができる端子強度等の機械的強度が要求される用途についてはニッケル系金属(42アロイ等)が使用されている。前記電極端子は、陽極端子について、V字状の溝を有する略Vブロック形状として、前記陽極棒に対してその軸線と直交する方向から係合可能なように形成しても良い。
前記キャパシタ素子を取り付けるための平坦部と、その平坦部に続く丸棒部と、その丸棒部に溶接部を介して固定される引出し線とからなるキャパシタ用タブ端子を用いることもできる。
前記キャパシタ部品において、金属電極上に更に金属箔を設置して、引出電極部を設けても良い。前記引出電極部を束ねて重層部を作り、該重層部とリード部とを接続してもよい。また、エッチング処理により表面を粗面化した金属箔の表面を、金属表面に被着させることもできる。
また、前記金属電極の一端に電極リードピンを形成しても良い。前記金属電極の植立端は、屋根形に盛り上げられた曲面又は連接面からなるように形成することができる。前記電極リードピン植立端は、角錐状、円錐状、ドーム状、蒲鉾状、切妻状、寄棟状から選ばれる屋根形に盛り上げられ、該屋根形の頂部又は稜部に、前記電極リードピンが植立されることができる。植設される電極リードピン若しくは電極リード線に固定電解質の這い上がり防止板を設ける場合には、這い上がり防止板の突設部がキャパシタ素子面に当接するように、前記這い上がり防止板を電極リードピン若しくは電極リード線に挿通しても良い。
陽極端子のL字形脚部の一端を該L字形の外側へ向けて更に折り曲げて陽極リードピンに溶接し、陽極端子のL字形脚部の内側面を外装樹脂層に密着させることもできる。
前記キャパシタ部品において、チップ型とする場合には、前記電極端子または前記重層部に接続されたリードに外部陽極端子を溶接し、エポキシ樹脂を用いたトランスファーモールド工法で外装を施した後、陽、陰両外部端子の外装樹脂から出た部分を外装樹脂に沿って折り曲げ、整形して、チップ型キャパシタ部品を形成することができる。また、陰極の電極端子の一部が外部に表出した外装樹脂層における陰極導出面は、表面導電体層が形成され、次いで高温中での電圧印加処理(エージング処理)と高温雰囲気中での熱処理のいずれか一方もしくは両方が施され、その後、前記表面導電体層が除去されても良い。
本発明のキャパシタにおいては、キャパシタを被覆する外装樹脂の表面上に直接形成した金属層よりなる外部電極であって、且つこの外部電極と前記キャパシタの陽極電極および陰極電極を電気的に接続した外部電極を形成しても良い。なお、前記外部電極は、前記外装樹脂における陽極導出線及び/または陰極導出層の表出部を含む外部電極形成部に、無電解メッキ金属層を含むベース金属層を設けて形成しても良い。なお、外部電極若しくは電極端子と導出線との接続のために、接続部に無電解めっきを施しても良い。
前記外部陽端子は、陽極に植立された陽極リードに外部陽極リードフレームを溶接した後、この溶接点を含む陽極リード導出面をモールドして、絶縁部材を形成し、次に、絶縁部材より導出した外部陰極リードフレームを切断し、絶縁部材に沿って折り曲げて外部陽極端子を形成しても良い。
また、コ字型の断面を有する陰極端子板を陰極引出し層の底面および側面に嵌合させ、陰極端子板を除いたキャパシタ素子の周面に樹脂外装体を形成し、なおかつ、陽極端子板を陽極リードの引出し側において陰極端子板と対向するようにして上記樹脂外装体上に被せて、陰極端子及び陽極端子を設けても良い。
本発明のキャパシタを用いたキャパシタ部品については、陽極リードに離型材を塗布し、同陰極端子板の露出面に離型剤を塗布した後、キャパシタ素子を樹脂液中に浸漬し、引き上げてその樹脂液を乾燥させてキャパシタの側面および段部を含む上面側にかけて樹脂外装体を形成し、次に対向する側縁に一対のフランジを有する陽極端子板をそのフランジを段部に係合させるようにしてキャパシタ素子の上面側に装着した後、同陽極端子板を陽極リードに接続し、陰極端子板および陽極リードに塗布されている離型材を除去することにより、通電性を確保した状態で樹脂外装を形成しても良い。前記フランジは断面コ字状であっても良い。
前記チップ型キャパシタ部品についは、キャパシタ部品の底面の所定深さの陽極側段部および陰極側段部をそれぞれ陽極側と陰極側とに形成し、L字状に形成された陰極端子板をキャパシタ素子の陰極側側面から陰極側段部にかけて取り付けた後、陰極端子板に離型材を塗布して、該キャパシタ素子を樹脂液中に浸漬し、引き上げてその樹脂液を乾燥させて該キャパシタの陽極側段部を含めた周面に樹脂外装体を形成し、次にL字状に折り曲げられた陽極端子板を陽極側側面から陽極側段部にかけて取り付け、同陽極端子板を設けることにより該キャパシタ部品を得ても良い。また、前記陽極外部電極層側の前記陽極体の断面近傍に、陽極に絶縁樹脂を含浸せしめた絶縁樹脂含浸部を形成し、前記絶縁樹脂含浸部の形成領域で、前記陽極と前記陽極外部電極層とが電気的に接続するように、チップ状キャパシタ部品を構成しても良い。
本発明のキャパシタを用いたキャパシタ部品は、キャパシタにおける電極の一体に陽極引き出し部を設け、かつこの陽極引き出し部としてマスキング用のレジスト膜を施した部分の延長部分に曲げ部と接続部を設け、さらに陰極導電体層および陽極引き出し部の設けられた接続部に別個のコム端子を接続しても良い。また、本発明のキャパシタを用いたキャパシタ素子に用いられる陽極用リード線は、引き出し面側の綾線部分の一部をR状にした陽極リード線としても良い。
本発明のキャパシタにおいて樹脂により外装が形成される場合には、外装樹脂の表面に防湿性のコーティング材を塗布してもよい。また、本発明のキャパシタ部品を構成する各部分においては、固体電解質及び電極の湿潤を阻害しない程度に、撥水樹脂などの撥液性の樹脂を塗布しても良い。リードにおいては、リード付け根部分に絶縁物質等からなる保護層を形成して、短絡現象若しくは腐食を防止しても良い。
また、複数枚のキャパシタ素子を積層してなるキャパシタ素子積層体を用いる場合において、外装部材の一方の側面に陰極層を、他方の側面に陽極層を備えてなるように構成することもできる。
また、前記キャパシタ素子においては、金属電極のコーナー部を導電性高分子層で十分に被覆してショートを防ぐこともできる。
また、前記キャパシタ素子の金属電極上に、更にカーボン層を形成し、該カーボン層上に銀ペーストを塗布して複層化された電極層を形成しても良い。
前記キャパシタ部品においては、さらに集電板を設けても良い。前記集電板は、白金、導電性ブチルゴム等の導電性ゴムなどで形成してもよく、またアルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよく、上記電極層の片面に金属メッシュを付設したものとしてもよい。
前記キャパシタ部品においては、積層型のキャパシタ部品の組立を行う際には、必要な耐電圧分のセルをパッキン若しくはテフロン(登録商標)のスペーサと交互に積み重ねて、最後にエンドプレートで挟んで締め付けることにより密閉構造を形成することができる。また、この際において、エンドプレートをそれぞれ締め付け板と集電板に分離し、柔軟性シートを締め付け板と集電板との間に挟み、上下の締め付け板をボルトで締め付け、柔軟性シートを介して集電板とキャパシタ素子とを上下から押さえつけ密閉することもできる。
本発明のキャパシタは、液への浸漬を容易とするために、電極の各面のうち少なくとも一つの面に、少なくとも一つの凹所を、当該凹所が少なくとも他の電極に達しないように設けても良い。
また、キャパシタ部品を巻回型とする場合には、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにキャパシタ素子を収納し、密閉した構造を有している。例えば、キャパシタ素子をアルミニウム等からなる有底筒状の外装ケースに収納し、外装ケースとキャパシタ素子との間に、硬化時に吸湿性を有する樹脂を充填して、キャパシタ素子の少なくとも外周面に樹脂層を形成することもできる。なを、前記キャパシタ素子が非水系有機溶媒を電解質に用いている場合には、前記密閉構造においては、残留空気量を5%未満とすることが好ましい。また、前記キャパシタ部品においては、硬質部材と弾性部材を組み合わせてなる封口体を用いることにより、リード線に加わる機械的ストレスが内部に伝達することを防ぎ、内部への水分の侵入を防ぐことができる。
薄肉部に開口部が生じて電解液が滲み出した場合に絶縁スリーブが滲み出し電解液中のイオンを捕捉するように、金属ケースの要部に薄肉部を設け、キャパシタを収納し電解液を充填し、絶縁スリーブにより該金属ケースを覆って被着してもよい。
また、前記キャパシタ部品において、リードにも酸化皮膜を形成することができる。リードの接合部分に撥水性樹脂等を形成し、リードに固体電解質が付着するのを防止することもできる。接合されたリードの根元部にエポキシ樹脂等を形成し、ストレスを受けないようにリード根元部を補強し、酸化皮膜の欠陥発生を抑制して、より漏れ電流不良を低減することもできる。
前記キャパシタ部品は、公知の構造とすることができ、適宜、絶縁性ガスケットを設けても良く、さらに封口後に所定の温度下において所定の電圧を印加することによる、公知のエージングを行うことができる。
前記キャパシタ部品については、くし状に形成したアルミニウムリードフレームの先端部分を折曲げた複数のプラス端子群を備えていても良い。
本発明のキャパシタは、固体電解質にマス目状に電極を形成して得たキャパシタシートを、マス目ごとに切断してキャパシタを得て、キャパシタ素子を形成するために、得られたキャパシタの電極を電極リード端子に接合させても良い。
本発明のキャパシタは、湿潤性や含浸性を向上するために、固体電解質中に含まれる溶液中に界面活性剤を含んでも良い。
本発明のキャパシタが絶縁容器内部に収納される場合において、キャパシタに伝わる機械的振動、衝撃を大幅に減衰するために、キャパシタ間、若しくはキャパシタと絶縁容器間のすき間に、ゲル状絶縁物及び弾性体に代表されるクッション材を満たしても良い。
(キャパシタ素子のサイズ)
本発明のキャパシタは、公知のサイズとすることができ、例えば、7.3mm×4.3mm×2.0mmとすることができる。例えば、前記キャパシタは、縦寸法を通常10mm以上、好ましくは20mm以上であり、25〜50mmとすることができ、同様に、横寸法を、通常10mm以上、好ましくは20mm以上であり、25〜50mmとすることができる。また、本発明のキャパシタは、例えば、ケースサイズ10mmφ×16mmL、φ8×5L、4φ×7L、5φ×2.8L、または5φ×3L等の円筒形のキャパシタ部品とすることもできる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。サイクリックボルタムメトリー法(表1〜4中の測定法A)の静電容量の実測値は、商品名「Potentio Galvanostat Model263A」(Princeton Applied Research社製)を用いた。電圧が−0.5V〜+0.5Vの範囲であり、走査電圧速度が10mV/secである測定条件において、3サイクル目の測定値である。なお、この方法で静電容量を測定する場合には、測定対象物である高分子電解質を切断して1mm×20mmの大きさのキャパシタとした。一方、定電流放電法(表1〜4中の測定法B)の静電容量の実測値は、商品名「HJ−201B」(北斗電工社製)を用いて、上記規格番号EIAJ RC−2377に準拠して測定した値である。なお、この方法で静電容量を測定する場合には、測定対象物である高分子電解質を切断して、膨潤状態で10mm×10mmの大きさのキャパシタとした。
[実施例1〜25]
実施例1〜25は、本発明第一様態のキャパシタに関する実施例である。実施例1〜13では、キャパシタ素子の溶媒として水を用いた。また、実施例14〜25では、キャパシタ素子の溶媒として非水の極性液体を用いた。
[実施例1〜3]
(金属電極形成工程)
乾燥時の膜厚が160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量:表1に記載)について、それぞれ下記(1)〜(3)の工程を6サイクル繰り返して実施し、金属層が形成された高分子電解質を得た。(1)吸着工程:ジクロロフェナントロリン金塩化物水溶液に12時間浸漬し、成形品内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させ、(2)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元して、膜状高分子電解質表面に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度を60〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントロリン金錯体の還元を行った。次いで、(3)洗浄工程:表面に金電極が形成した膜状高分子電解質を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。この場合、高分子電解質に含まれるイオン種は亜硫酸ナトリウム由来のナトリウムイオンとなる。
(キャパシタ素子作成工程)
こうして出来た金属層(金属電極)が形成された高分子電解質を各測定に必要な所定の大きさに切断した。その後、所定量のナトリウムイオンを含む水を、キャパシタ素子の溶液とし、この中に上記高分子電解質を含浸させ、実施例1〜3のキャパシタをそれぞれ得た。なお、実施例1〜3の膨潤度測定は吸着工程前に行った。
[実施例4]
(前処理工程)
乾燥時の膜厚160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量1.4meq/g)を膨潤溶媒であるメタノール中に20℃で30分以上浸漬した。膨潤した前記膜状高分子電解質の膜厚を測定して、乾燥膜厚に対して膨潤後の膜厚の増加した割合〔膨潤度(%)〕を算出し、膨潤度が表1に記載の値(50%)となるように前記膜状高分子電解質を膨潤溶媒に浸漬した。
(金属電極形成工程)
膜状高分子電解質を膨潤溶媒で膨潤させた後に、下記(1)〜(3)の工程を6サイクル繰り返して実施し、金属層が形成された高分子電解質(キャパシタ)を得た。(1)吸着工程:ジクロロフェナントロリン金塩化物水溶液に12時間浸漬し、成形品内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させ、(2)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元して、高分子電解質表面に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度を60〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントロリン金錯体の還元を行った。次いで、(3)洗浄工程:表面に金電極が形成した高分子電解質を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。この場合、高分子電解質に含まれるイオン種は亜硫酸ナトリウム由来のナトリウムイオンとなる。
(キャパシタ素子作製工程)
こうして得られた金属層(金属電極)が形成された高分子電解質を各測定に必要な所定の大きさに切断した。その後、所定量のナトリウムイオンを含む水を、キャパシタ素子の溶液とし、この中に上記高分子電解質を含浸させ、実施例4のキャパシタを得た。
[実施例5]
浸漬時間を、膨潤度が40%となるように短くしたこと以外は、実施例4と同様の方法により実施例5のキャパシタを得た。
[実施例6]
膜状高分子電解質をメタノール中に浸漬する時間を30分から1時間に変えて、前記(1)〜(3)の工程を6サイクルから8サイクル繰り返して実施したこと以外は実施例4と同様の方法により、実施例6のキャパシタを得た。
[実施例7]
膜状高分子電解質をメタノール中に浸漬する時間を30分から1時間に変えて、前記(1)〜(3)の工程を6サイクルから10サイクル繰り返して実施したこと以外は実施例4と同様の方法により、実施例4と同様の方法により実施例7のキャパシタを得た。
[実施例8]
膜状高分子電解質として、膜厚160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量1.8meq/g)を用い、膨潤溶媒としてメタノール−水混合溶媒(メタノール:水=3:7)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により実施例8のキャパシタを得た。
[実施例9]
膜状高分子電解質として、膜厚160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量1.8meq/g)を用い、膨潤溶媒としてメタノール−水混合溶媒(メタノール:水=4:6)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により実施例9のキャパシタを得た。
[実施例10及び11]
膨潤溶媒としてメタノールに替えて、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはN−メチルピロリドン(NMP)を用いたこと以外は実施例4と同様の方法により、実施例10のキャパシタまたは実施例11のキャパシタをそれぞれ得た。
[実施例12]
実施例4の(1)〜(3)の工程を4サイクル行ったこと以外は実施例4と同様の方法により実施例12のキャパシタを得た。
[実施例13]
イオン交換容量1.4meq/gの膜状高分子電解質に替えて、イオン交換容量1.1meq/gの膜状高分子電解質(パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により実施例13のキャパシタを得た。
Figure 0004538572
Figure 0004538572
Figure 0004538572
[実施例14〜25]
(前処理工程)
乾燥時の膜厚160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量1.4meq/g)を膨潤溶媒であるメタノール中に20℃で30分以上浸漬した。膨潤した前記膜状高分子電解質の膜厚を測定して、乾燥膜厚に対して膨潤後の膜厚の増加した割合〔膨潤度(%)〕を算出し、膨潤度が表3,4に記載の値(50%)となるように前記膜状高分子電解質を膨潤溶媒に浸漬した。
(金属電極形成工程)
乾燥時の膜厚が160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量:表3、4に記載)について、それぞれ下記(1)〜(3)の工程を所定回数(4〜10回)のサイクルで繰り返して実施し、金属層が形成された高分子電解質を得た。(1)吸着工程:電極として所望の金属種(表3、4に記載)を陽イオン種とするジクロロフェナントロリン金属塩化物水溶液に12時間浸漬し、成形品内にジクロロフェナントロリン金属錯体を吸着させ、(2)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液中で、吸着したジクロロフェナントロリン金属錯体を還元して、膜状高分子電解質表面に所望の金属種の電極を形成させた。このとき、水溶液の温度を60〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントロリン金錯体の還元を行った。次いで、(3)洗浄工程:表面に金電極が形成した膜状高分子電解質を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。
(イオン交換工程)
上記工程を経て得られた高分子電解質に含まれるイオン種は、亜硫酸ナトリウム由来のナトリウムイオンであるから、これを所望のイオン種へ交換する工程を行った。所望のイオン種(表3、4に記載)を含む水溶液中に12時間含浸させてイオン交換を行った。次いで、上記所望のイオン種に交換した高分子電解質を30分間真空乾燥し、高分子電解質に含まれていた水分を完全に取り除いた。なお、表3の素子構成物−溶媒の欄において、PCはプロピレンカーボネイト、DMSOはジメチルスルホキシド、NMPはN−メチルピロリドンの略である。
(キャパシタ素子作製工程)
こうして出来た金属層(金属電極)が形成された高分子電解質を所定の大きさに切断した。その後、所望のイオン種を所定量含む所望の非水の極性液体(表3、4に記載)を、キャパシタ素子の溶液とし、この中に上記高分子電解質を含浸させ、実施例14〜25のキャパシタをそれぞれ得た。
Figure 0004538572
Figure 0004538572
Figure 0004538572
〔評価〕
(静電容量)
2電極のサイクリックボルタムメトリー法(測定法A)および定電流放電法(測定法B)。を用いて測定した実測値を表1及び表2に示す。なお、得られた実施例1〜25のキャパシタの乾燥した状態における膜厚は、160μmであった。
(結果)
本発明の無電解メッキ方法により得られた実施例1のキャパシタは、従来技術で示した従来のキャパシタの静電容量の値に比べて、サイクリックボルタムメトリー法で1.5mF/cm、定電流放電法では2.0F/cmという大きな静電容量を示した。また、実施例2及び3のキャパシタについても、それぞれ、サイクリックボルタムメトリー法で3.4mF/cm、1.0mF/cm、定電流放電法ではそれぞれ3.0F/cm、2.0F/cmいう大きな静電容量を示した。
実施例4〜13のキャパシタは、膨潤工程において、膨潤度が40〜60%、つまり用いた高分子電解質の膨潤した状態での厚さ(膨潤した膜状高分子電解質の膜厚)が前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さ(乾燥膜厚)に対して140%〜160%の厚さであった場合であり、実施例1〜3のキャパシタに比べて、大きな静電容量を示した。
実施例4及び5のキャパシタは、メタノールを膨潤溶媒に用いた場合であり、サイクリックボルタムメトリー法で8mF/cm以上、定電流放電法では5.0F/cm以上の優れた静電容量を示した。また、実施例6及び実施例7においては、吸着工程の後に還元工程を行うサイクルを8回以上行っている無電解メッキを行ったので、サイクリックボルタムメトリー法で静電容量20mF/cm以上、定電流放電法では10.0F/cm以上である優れたキャパシタが得られた。
実施例14〜25のキャパシタは、キャパシタの溶媒に非水の極性液体を用いたものであるが、これらの溶媒を用いた場合でも、サイクリックボルタムメトリー法で4mF/cm以上、定電流放電法では2.0F/cm以上の優れた静電容量を示した。なかでも、実施例19及び実施例20のように、高分子電解質にイオン交換容量1.8meq/gのものを用いて、無電解メッキ工程サイクルを8〜10回にして得られたキャパシタの静電容量は、サイクリックボルタムメトリー法で静電容量25mF/cm以上、定電流放電法では18F/cm以上であり、特に優れたものであった。更に前処理工程の溶媒、電解質、電極金属等が適正な組み合わせであれば、実施例22のように大きな静電容量を持つキャパシタが得られる可能性があることも分かった。
[実施例26]
実施例26は、本発明のキャパシタの金属電極が、多孔質金属膜部と突出し部から構成されたキャパシタに関する実施例である。
乾燥時の膜厚160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量1.4meq/g)を下記(1)〜(3)の工程を10サイクル繰り返して実施し、多孔質金属電極が表面に形成された高分子電解質を得た。(1)吸着工程:ジクロロフェナントロリン金塩化物水溶液に12時間浸漬し、成形品内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させ、(2)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元して、高分子電解質表面に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度を40〜50℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントロリン金錯体の還元を行った。(3)洗浄工程:次いで高分子電解質の表面上に多孔質金電極が形成された積層体を取り出し、70℃の水で1時間洗浄して、実施例26のキャパシタを得た。
〔評価〕
(SEM写真)
実施例26で得られたキャパシタをキャパシタ厚さ方向に対し垂直方向に切断して、断面を切り出した。切り出された断面にSEM観察のための所定の処理を施した後、当該断面をキャパシタの走査電子顕微鏡(SEM)写真(倍率400倍)で観察した。実施例26のキャパシタ断面SEM写真を図16に示す。
(静電容量)
実施例26について、それぞれ静電容量を測定した。結果を表5に示す。なお、本願での静電容量は、2電極のサイクリックボルタムメトリー法により測定された値である。サイクリックボルタムメトリー法の静電容量の実測には、商品名「Potentio Galvanostat Model263A」(Princeton Applied Research社製)を用いた。測定条件としては、電圧を−0.5V〜+0.5Vの範囲とし、走査電圧速度を10mV/secとしたときの、3サイクル目の値を測定した。
Figure 0004538572
(結果)
図16のSEM写真より、実施例26の金属電極は、高分子電解質表面には多孔質金属膜部分が形成され、かつ高分子電解質内部に侵入して突出し部が形成されていることがわかる。
表5より、実施例26のキャパシタが、10000μF/cmという大きな静電容量を示したことがわかる。
[実施例27〜31]
実施例27〜31は、本発明第一様態のキャパシタに関する実施例である。キャパシタ性能評価における詳細は、実施例1〜25の場合と同様である。ただし実施例27〜31においては、定電流放電法による静電容量のみ測定している。
[実施例27〜29]
(第一の工程)
乾燥時の膜厚160μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量1.4meq/g)を膨潤溶媒であるメタノール中に20℃で30分以上浸漬した。膨潤した前記膜状高分子電解質の膜厚を測定して、乾燥膜厚に対して膨潤後の膜厚の増加した割合〔膨潤度(%)〕を算出し、膨潤度が50%となるように前記膜状高分子電解質を膨潤溶媒に浸漬した。
(第二の工程)
膜状高分子電解質を膨潤溶媒で膨潤させた後に、下記(1)〜(3)の工程を10サイクル繰り返して実施し、金属電極が形成された高分子電解質を得た。(1)吸着工程:ジクロロフェナントロリン金塩化物水溶液に12時間浸漬し、成形品内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させ、(2)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元して、高分子電解質表面に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度を60〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントロリン金錯体の還元を行った。次いで、(3)洗浄工程:表面に金電極が形成した高分子電解質を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。
(第三の工程)
上記高分子電解質に金電極を形成したものを電気分解用の溶媒である水中に浸し、当該金電極に表1に示す条件(電圧、通電時間)にて電気分解を行った。
(第四の工程)
上記工程を経て得られた金属電極が形成された高分子電解質を80℃で30分間真空乾燥し、高分子電解質に含まれていた水分を完全に取り除いた。乾燥した金属電極が形成された高分子電解質をLi(CFSON(イオン性物質)のプロピレンカーボネイト(極性液体)の1mol/L溶液中に浸漬させ、イオン交換を行うともに、当該液体電解質を高分子電解質の空間部に充填させ、実施例27〜29のキャパシタを得た。
[実施例30]
第三の工程において電気分解用の溶媒を水とメタノールの1対1混合溶液に変更した以外は実施例27〜29と同様の工程にて、実施例30のキャパシタを得た。
[実施例31]
第三の工程において電気分解用の溶媒を水とメタノールの9対1混合溶液に変更した以外は実施例27〜29と同様の工程にて、実施例31のキャパシタを得た。
〔評価〕
(SEM写真)
得られたキャパシタをキャパシタ厚さ方向に対し垂直方向に切断して、断面を切り出した。切り出された断面に、走査型電子顕微鏡(SEM)観察のための所定の処理を施した後、当該断面をキャパシタのSEM写真で観察した。得られた実施例27〜31のキャパシタ断面SEM写真を図2 〜図7に示す。また、各実施例とSEM写真の対応を表6に示す。
(静電容量)
各実施例の静電容量は、実施例1〜25と同様の方法で行った。なお、静電容量の測定電圧は2.0〜3.0Vで行った。得られた実測値を表6に示す。また、一部実施例については、測定電圧3.8〜4.3Vにおける静電容量も測定した。
Figure 0004538572
Figure 0004538572
(結果)
SEM写真より、実施例27〜31のキャパシタでは、高分子電解質に複数の空間部を有していることがわかる。また空間部の形状は略円形状または略半円形上のものが多い。また、実施例27〜31のキャパシタでは、いずれも定電流放電法で30F/cm以上、実施例28以外では40F/cm以上、更に実施例31においては65F/cmという大きな静電容量を示した。
なお、測定電圧3.8〜4.3Vにおける静電容量は、実施例27で30F/cm、実施施例29で30F/cm、実施例31で20F/cmであった。
[実施例32〜34]
実施例32〜34は、本発明第三様態のキャパシタに関する実施例である。
[実施例32,33:電解メッキ方法]
金メッキ液「ニッシンゴールト24F」(日進化成(株)製)250ml中に白金コートチタン電極を陽極とし、メッキ基材であるアルミニウム板40×20mmを陰極として設置し、メッキ液温60℃でメッキを行った。電源には、ポテンショスタット/ガルバノスタット「HA−151」(北斗電工(株)製)を使用した。電圧、電流、メッキ時間は、それぞれ1.28V、14mA、10分間(実施例32)、1.46V
17mA 15分間(実施例33)とした。いずれの場合もアルミニウム板表面に、光沢のない多孔質の金が析出した。
[実施例34:無電解メッキ方法]
脱脂処理したABS樹脂板(50×40mm)を、液温60℃のパラジウム塩水溶液に6分間浸漬し、キャタライジングを行った。更に液温25℃の7%硫酸水溶液に5分間浸漬し、パラジウム塩を還元した。前記処理を行ったABS樹脂を金メッキ液「OPCムデンゴールド25−1」(奥野製薬工業(株)製)3.4mL、還元剤「OPCムデンゴールド25−2」(奥野製薬工業(株)製)5mL、シアン含有アルカリ液「OPCムデンゴールド25−M」(奥野製薬工業(株)製)10mL蒸留水50mLの混合溶液(液温70℃)中で、1時間メッキを行った。上記工程により、ABS樹脂板表面に光沢のない多孔質の金が析出した。
(結果)
実施例32〜34で得られた金電極のキャパシタと比較するため、アルミニウム板(比較例1)と当該アルミニウム板を酸処理にてエッチング粗化処理を行ったアルミニウム板(比較例2)とについて、それぞれ電気二重層容量を測定した。結果を表7に示す。
Figure 0004538572
表7より、電解メッキ法または無電解メッキ法で作製した多孔質金属電極は、大きな電気二重層容量を示した。特に無電解メッキ方法で作製した多孔質金属電極が大きな電気二重層容量を示した。一般に電気二重層容量の大きな電極は、キャパシタの電極として用いた場合、キャパシタの静電容量向上に資するので、当該メッキ方法で作製した多孔質電極は、キャパシタの電極として好適であるといえる。
本発明のキャパシタは、公知の電気二重層キャパシタの用途に特に好適に用いることができ、蓄電用のデバイスとして様々な用途での利用可能性がある。特に本発明のキャパシタは、小型且つ軽量であることから、公知のキャパシタの用途に用いることができ、携帯用機械機器の電源用及び大容量の据え置き型電源用のキャパシタとして好適に用いることができる。特に、次世代低公害車の駆動電源、並びに自動車電装品の電源は、自然エネルギー発電の貯蔵用及び/または補助用電源は、植え込み可能な医療装置用の電源、携帯用電子機器のメモリバックアップ用電源、携帯可能な時計用電源、急速充電用蓄電器、デジタルカメラ用電源、電動玩具並びに持ち運び可能な家庭用電気製品用電源に好適に用いることができる。以下更に詳細な具体的用途を挙げる。
本発明のキャパシタは、小型で軽量である特性により、携帯用機械機器の電源として好適であり、また大容量の電源が必要である場合においても占有空間を狭くすることができるので、大容量の据え置き型電源としても好適である。特に、本発明のキャパシタを用いたHEV、電気自動車、ハイブリッド自動車を含む次世代低公害車の自動車若しくは自動二輪車に用いる電源あるいは補助電源、電気自動車等の大電力型のパワーモジュール用電源、携帯可能な電話器に代表される情報通信機器の電力源、身分証明書用カード等のペーパー電池、太陽電池と併用したソーラー発電エネルギー貯蔵システム、並びに電池と組み合せたロードレベリング電源に好適に用いることができるものである。特に、燃料電池とキャパシタと電流出力型スイッチングレギュレータとを備えた電気自動車用のキャパシタとして好適に用いることができる。更に本発明のキャパシタを用いたカーオーディオ等の自動車電装品の電源は、本発明のキャパシタが軽量であることから車両の燃費の向上をすることができる。また、本発明のキャパシタを用いた太陽光発電システム、風力発電システム、風力・太陽光、ハイブリッド発電システム、波力発電システムに代表される自然エネルギー発電の貯蔵用及び/または補助用電源は、省スペースであり且つ大容量の電源として好適に用いることができる。本発明のキャパシタを用いた植え込み可能な医療装置は、キャパシタが軽量であることから、人体に対する重量による負担が少ないので、好適に用いることができる。本発明のキャパシタを用いたモバイルパソコン及び携帯電話、タイマー及び電源用時計機能に代表される携帯用電子機器の電源及びメモリバックアップ用の電源、ビデオカメラの電源或いは補助電源、携帯端末、パソコン、特にノート型パソコン等の電源及び瞬時停電対策用電源、本発明のキャパシタを用いた携帯可能な時計用の電源や寿命、温度特性及び高周波特性に優れたパソコンの電源回路、本発明のキャパシタを用いた急速充電用蓄電器、本発明のキャパシタを用いたデジタルカメラ用電源、本発明のキャパシタを用いた電動玩具並びに本発明のキャパシタを用いた電気シェーバ及び電気ポットに代表される持ち運び可能な家庭用電気製品用電源も、キャパシタが軽量であることから携帯性に優れている。
本発明のキャパシタは、小型であって大容量であることから、公知の電気二重層キャパシタの用途以外の用途にも用いることができる。具体的には本発明のキャパシタは、小型であって大容量であることから、無停電電源装置、家庭用蓄電システム等屋外設置機器、バッテリとDC−DCコンバータとの間に並列につないだ自動車用電装機器の電源回路、スイッチングレギュレータ、モータ制御レギュレータ、コンピュータエレクトロニクス、テレビジョン受像機等に用いる陰極線管に使用されるフライバックトランス、オーディオ増幅器、サージプロテクタ、抵抗スポット溶接器のような電気装置、コージェネレーション設備、自家用発電装置、X線撮像パネル、高圧進相用コンデンサ(電力設備に用いるコンデンサ油浸紙フィルムコンデンサ)、岩盤などの被破壊物を破壊するための破壊装置、車両水没時の脱出装置、X線像(潜像)を画像信号として得るようにしたX線撮像装置、電池レス腕時計、表示パネルを用いた表示装置、液晶表示装置、特にプロジェクタ等に使用されるマトリクスの液晶表示装置陰極線管を用いた画像表示器、使い捨てカメラ、盗難防止を目的として商品等に貼着されて使用される共鳴ラベル、フラッシュ若しくはストロボ装置、並びに発光表示体についての電源若しくは補助電源として好適に用いることができる。
特に、本発明のキャパシタは、大容量であることから、家電製品、工具若しくは電気自動車に組込(ビルトイン)の大パワーの動力源、受変電設備若しくは配電設備の蓄積デバイス、並びにエネルギー変換・貯蔵システムの補助貯電ユニットとして好適に用いることができる。本発明のキャパシタは、積層することにより、高電圧用途として用いることも可能である。
本発明のキャパシタは、小型かつ大容量であるので用いられる装置の小型化が可能であることから、電気車駆動装置やインバータ装置に用いる制御モジュール、特に小型で冷却効率のよい水冷式制御モジュールに好適に用いることができる。またかかる性質から、加速度センサユニット、排気ガスや可燃ガスを測定するガスセンサ及びガス濃度制御器にも好適に用いることができる。更に本発明のキャパシタは、三端子の電気化学的デバイスとしての形態で、発熱抵抗式空気流量測定装置としても好適に用いることができる。
本発明のキャパシタは、小型、大容量、かつ低等価直列抵抗であることから、半導体パッケージの最上層にチップ部品としてキャパシタ部品を搭載した半導体パッケージ、並びに基板にキャパシタ素子が組み込まれたプリント回路基板に好適に用いることができる。基板に前記キャパシタが組み込まれたプリント回路基板において、前記キャパシタを面実装または埋込実装したプリント配線基板は、該プリント配線基板が用いられる電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に好適である。従って、前記キャパシタは、小型、大容量、低等価直列抵抗であるために、メモリ装置、特にDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)やMMIC(モノリシック・マイクロ波集積回路)、並びに不揮発性強誘電体メモリ素子に好適に用いることができる。また、前記キャパシタは、小型、大容量、低等価直列抵抗であるために、LCR内蔵回路基板やノイズフィルタ等のフィルタ回路、強誘電体メモリ、ペロブスカイト型強誘電体、IC(Integrated
Circuit)カード等の薄型の半導体装置、強誘電体を用いたFeRAM、有機EL素子の発光素子アレイ、ICカードなどのICチップ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置、並びに電力変換を行うスイッチング素子に好適に用いることができる。
本発明のキャパシタは、電気電子機器の電源平滑用、ノイズ除去用および高周波でのESR値が要求される分野に適用が可能である。また、前記キャパシタは、コンバータやインバータが発生するノイズ成分である高周波の抑制作用を有するので、ノイズフィルタとしても好適である。従って、前記キャパシタが、小型化が容易で、大容量であり、低等価直列抵抗であることから、用いられる装置の小型化が可能であって、ノイズフィルタに用いることもできるので、プラズマ電位測定装置として好適に用いることができ、LC直列共振回路と共に備えることで触覚センサとして好適に用いることができる。さらに、かかる性質から、電気光学効果(ポッケルス効果)を利用して電圧を測定する光電圧センサ、光変換形計器用変圧器、高周波無線機器、衛星放送受信機器および無線LAN等の、取扱う信号の周波数が、概ね、400MHz〜20GHz(UHF〜SHF帯)の高周波機器におけるインピーダンス整合アンテナおよび指向性アンテナ等に関連して好適に実施されるインピーダンス整合器、携帯電話等の移動体通信機器に用いられるフィルタ部品、並びにテレビジョン信号受信用チューナにも好適に用いることができる。
また、本発明のキャパシタは、家電製品、デバイス、設備、計測器または電気自動車を含む自動車若しくは自動二輪車における筐体、箱体、車台、シャーシ、車体、仕切り、支柱、カバー若しくはケースと、折り曲げ可能な金属板を電極層と接合して該金属板を接続することや銀ペーストを用いて直接接合することなどにより、実質的に一体化することが可能である。本発明のキャパシタと実質的に一体化した筐体、箱体、シャーシ、仕切り、カバー及びケーシングは、前記キャパシタが小型で、大容量で、しかも省スペース化に優れているので、電気自動車、電動自転車、電動車椅子、電動歩行器、電動スクータ、電動ランニングマシン、電動ゴルフカーの車台、シャーシ若しくは車体、ノート型パソコン、パーム型パソコン、携帯電話若しくは電動工具のパッケージングケース、または、太陽エネルギーを利用して発電する街灯の支柱とすることができる。
また、本発明のキャパシタは、電力源としての用途以外にも、発電所などのボイラの給水、半導体製造工程、燃料電池発電等に用いられる純水の製造や、冷却塔用水の製造・循環使用、各種排水の回収に用いられる脱塩装置に用いることができる。前記キャパシタを用いて、原水中の各種イオンを除去するとともに、シリカをも除去して脱塩水や純水を得ることができ、さらには原水の起源や性状が変わった場合にもその前処理を変えることなくなくこれに対応して安定した水質の脱塩水や純水を製造し、またこれによって二次純水(超純水)の安定的な製造を可能とする脱塩装置とすることができる。
本発明のキャパシタは、ディスプレイへの適用を可能な電気化学的素子に用いることができる。より具体的には、基板と前記基板上に設けられた一対の櫛形電極と前記櫛形電極に接して設けられ発光性物質および電解質を含む発光層とを具備する発光素子、電流制御用トランジスタ、および前記キャパシタからなる単位画素をマトリックス状に配列したアクティブマトリックス型の発光素子アレイを形成して、本発明のキャパシタをディスプレイに適用することにより適用することができる。

Claims (31)

  1. 対向する金属電極間に、少なくとも高分子電解質を有するキャパシタであって、
    前記金属電極は、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を、前記高分子電解質との境界領域に有し、
    前記突出し部が、粒子状金属が繋がったものであり、
    前記キャパシタの厚さ方向に対して、高分子電解質領域と1対の金属電極領域との領域に分類した場合において、前記金属電極領域が、前記高分子電解質領域側に、高分子電解質成分がリッチな領域を有し、前記高分子電解質領域側と反対側に、金属電極成分がリッチな領域を有し、
    前記高分子電解質が、少なくともイオンを含む電解液を含有し、
    前記イオン中の陽イオンが、炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオン、H 、Li 、Na 、K 、Rb 、Cs 、Fr 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Co 2+ 、Fe 2+ 、Fe 3+ 、Al 2+ 、Al 3+ 、Zn 2+ 、Pb 2+ 、Sn 2+ 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ 、Crからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするキャパシタ。
  2. 前記イオン中の陰イオンが、BF 、PF 、ClO 、Ts 、SO 2− 、NO 、Cl 、Br 、I 、CF SO 、C SO 、(CF SO 、BCH (C 、B(C 、B(C 、AsF 、SbF からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲1記載のキャパシタ。
  3. 前記高分子電解質の樹脂成分としてイオン交換樹脂を含む請求の範囲1記載のキャパシタ。
  4. 前記イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である請求の範囲記載のキャパシタ。
  5. 前記高分子電解質層に含まれる電解液が、非水の極性液体である請求の範囲1記載のキャパシタ。
  6. 前記突出し部が湾状嵌入部を複数有する請求の範囲1記載のキャパシタ。
  7. 前記突出し部の輪郭線が、略周期曲線状または不定形の少なくともいずれかの形状である請求の範囲1記載のキャパシタ。
  8. 前記突出し部は、フラクタル状、半島状、島状部、ツララ形状、ポリープ形状、珊瑚状に首状の狭さく部を備えた形状、樹木形状或いは茸形状の少なくともいずれかの形状を有するものである請求の範囲1記載のキャパシタ。
  9. 前記金属電極が、内部に前記高分子電解質成分を含んだ孔を有する請求の範囲1記載のキャパシタ。
  10. 前記キャパシタを厚さ方向において高分子電解質領域と1対の金属電極領域との領域に分類した場合において、厚さ方向の断面における各領域の厚みの比が、金属電極領域対高分子電解質領域対金属電極領域が3対4対3〜1対8対1の範囲内にある請求の範囲1記載のキャパシタ。
  11. 対向する金属電極間に、少なくとも高分子電解質を有するキャパシタであって、
    前記金属電極は、前記高分子電解が侵入した峡湾状部を高分子電解質との境界領域に有し、
    前記峡湾状部に挟まれた部分が、前記キャパシタの表面付近から内部方向への突出し形状を有し、
    前記突出し形状が、粒子状金属が繋がったものであり、
    前記キャパシタの厚さ方向に対して、高分子電解質領域と1対の金属電極領域との領域に分類した場合において、前記金属電極領域が、前記高分子電解質領域側に、高分子電解質成分がリッチな領域を有し、前記高分子電解質領域側と反対側に、金属電極成分がリッチな領域を有し、
    前記高分子電解質が、少なくともイオンを含む電解液を含有し、
    前記イオン中の陽イオンが、炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオン、H 、Li 、Na 、K 、Rb 、Cs 、Fr 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Co 2+ 、Fe 2+ 、Fe 3+ 、Al 2+ 、Al 3+ 、Zn 2+ 、Pb 2+ 、Sn 2+ 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ 、Crからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするキャパシタ。
  12. 前記峡湾状部に挟まれた部分の輪郭線が、略周期曲線状または不定形である請求の範囲11に記載のキャパシタ。
  13. 前記金属電極が、当該金属電極の表面からキャパシタ内部の高分子電解質に連通し、当該高分子電解質を含む貫通孔を有する請求の範囲1記載のキャパシタ。
  14. 前記金属電極が、
    前記高分子電解質の表面上に接して存在する多孔質金属膜部と、
    前記多孔質金属膜部分の成分からなり、前記高分子電解質内部の境界領域に存在する前記突出し部とからなり、
    かつ前記多孔質金属膜部分と前記突出し部とが繋がって一体となっているものである請求の範囲1に記載のキャパシタ。
  15. 対向する金属電極間に、イオン性物質と極性液体と高分子電解質とを少なくとも有するキャパシタであって、
    前記金属電極は、前記高分子電解質と接し且つ当該金属電極の電極成分を構成する突出し部を前記高分子電解質との境界領域に有し、前記高分子電解質は、空間部を有し
    前記突出し部が、粒子状金属が繋がったものであり、
    前記キャパシタの厚さ方向に対して、高分子電解質領域と1対の金属電極領域との領域に分類した場合において、前記金属電極領域が、前記高分子電解質領域側に、高分子電解質成分がリッチな領域を有し、前記高分子電解質領域側と反対側に、金属電極成分がリッチな領域を有し、
    前記イオン性物質中の陽イオンが、炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオン、H 、Li 、Na 、K 、Rb 、Cs 、Fr 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Co 2+ 、Fe 2+ 、Fe 3+ 、Al 2+ 、Al 3+ 、Zn 2+ 、Pb 2+ 、Sn 2+ 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ 、Crからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするキャパシタ。
  16. 前記高分子電解質の空間部の形状が略円形状または略半円形状のものを含むこと特徴とする請求の範囲15記載のキャパシタ。
  17. 前記キャパシタにおける該キャパシタ厚さ方向の断面において、前記高分子電解質の略円形状または略半円形状の空間部が複数存在することを特徴とする請求の範囲16記載のキャパシタ。
  18. 前記キャパシタにおける該キャパシタ厚さ方向の断面において、前記高分子電解質が有している前記略円状または略半円形状の空間部の少なくともひとつについて、当該略円または略半円の直径の最短値が10nm以上であることを特徴とする請求の範囲17記載のキャパシタ。
  19. 前記高分子電解質が陽イオン交換樹脂であり、陽イオン交換樹脂に含まれる電解液がプロピレンカーボネイトであり、前記イオン性物質がLi(CFSONである請求の範囲15に記載されたキャパシタ。
  20. 前記キャパシタにおけるキャパシタ各部の各形状について、当該各形状が、それぞれ走査電子顕微鏡写真を用いて該キャパシタの厚さ方向の断面を走査したときに観察される形状である請求の範囲1記載のキャパシタ。
  21. 前記キャパシタにおけるキャパシタ各部の各形状について、当該各形状が、X線を用いて該キャパシタの厚さ方向に進みながら、その断面を含んで走査したときに観察される形状である請求の範囲1記載のキャパシタ。
  22. 前記金属電極と前記高分子電解質層との界面の2電極のサイクリックボルタムメトリー法による静電容量が3mF/cm以上である請求の範囲1記載のキャパシタ。
  23. 前記キャパシタの乾燥膜厚を160μmに換算したときの2電極のサイクリックボルタムメトリー法による静電容量が、3mF/cm以上である請求の範囲1に記載のキャパシタ。
  24. 前記金属電極と前記高分子電解質層との界面の定電流放電法による静電容量が2F/cm以上である請求の範囲1記載のキャパシタ。
  25. 前記金属電極と前記高分子電解質層との界面の定電流放電法による静電容量が40F/cm以上である請求の範囲15記載されたキャパシタ。
  26. 無電解メッキ方法により高分子電解質上に金属電極を形成するキャパシタの製造方法であって、
    前記無電解メッキ方法の前処理工程が、良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を浸透させて高分子電解質を膨潤させる膨潤工程であり、
    前記無電解メッキ方法が、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程を行った後に、金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程と、を含み、
    前記膨潤した前記高分子電解質が、所定の形状を有し、
    前記高分子電解質の膨潤した状態での厚さが、前記高分子電解質の乾燥した状態での厚さに対して120%以上であり、
    前記良溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、テトラプロピルハイドロオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記高分子電解質が、少なくともイオンを含む電解液を含有し、
    前記イオン中の陽イオンが、炭素数が1〜4の範囲内であるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオン、H 、Li 、Na 、K 、Rb 、Cs 、Fr 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Co 2+ 、Fe 2+ 、Fe 3+ 、Al 2+ 、Al 3+ 、Zn 2+ 、Pb 2+ 、Sn 2+ 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ 、Crからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするキャパシタの製造方法。
  27. 前記無電解メッキ方法が、吸着工程の後に還元工程を行うことを2回以上繰り返して行うことを特徴とする請求の範囲26に記載のキャパシタの製造方法。
  28. 良溶媒または良溶媒を含む混合溶媒を浸透させて高分子電解質を膨潤させる第一の工程と、無電解メッキ方法により当該膨潤させた高分子電解質上に金属電極を形成する第二の工程と、当該形成された金属電極間に存在する液体を電気分解することにより、気泡を発生させ、当該気泡の圧力により上記高分子電解質に孔状の空間を設ける第三の工程と、前記金属電極間の前記液体を除去して、イオン性物質を含む極性液体を充填させる第四の工程を少なくとも有しているキャパシタの製造方法。
  29. 前記第二の工程における前記無電解メッキ方法が、高分子電解質に金属錯体を吸着させる吸着工程を行った後に、金属錯体が吸着した高分子電解質に還元剤溶液を接触させる還元工程を行うものであることを特徴とする請求の範囲28記載のキャパシタの製造方法。
  30. 前記第三の工程において電気分解される前記液体が、水若しくは水とアルコール類の混合液であることを特徴とする請求の範囲29記載のキャパシタの製造方法。
  31. 対向する金属電極間に高分子電解質を少なくとも有しているキャパシタについて、前記金属電極間に、水若しくは水とアルコール類の混合液を充填して電気分解することにより、気泡を発生させ、当該気泡の圧力により前記高分子電解質に孔状の空間を設ける工程と、その後、水を除去して前記金属電極間にイオン性物質を含む極性液体を充填させる工程とを少なくとも有しているキャパシタの製造方法。
JP2005512464A 2003-07-07 2004-07-07 キャパシタ及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4538572B2 (ja)

Applications Claiming Priority (21)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003193229 2003-07-07
JP2003193229 2003-07-07
JP2003195412 2003-07-10
JP2003195412 2003-07-10
JP2003352909 2003-10-10
JP2003352909 2003-10-10
JP2003376261 2003-11-05
JP2003376261 2003-11-05
JP2003377008 2003-11-06
JP2003377008 2003-11-06
JP2003380211 2003-11-10
JP2003380211 2003-11-10
JP2003403652 2003-12-02
JP2003403652 2003-12-02
JP2003409511 2003-12-08
JP2003409511 2003-12-08
JP2004062508 2004-03-05
JP2004062508 2004-03-05
JP2004117234 2004-04-12
JP2004117234 2004-04-12
PCT/JP2004/009627 WO2005013299A1 (ja) 2003-07-07 2004-07-07 キャパシタ及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2005013299A1 JPWO2005013299A1 (ja) 2006-09-28
JP4538572B2 true JP4538572B2 (ja) 2010-09-08

Family

ID=34120222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005512464A Expired - Fee Related JP4538572B2 (ja) 2003-07-07 2004-07-07 キャパシタ及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP1696446A4 (ja)
JP (1) JP4538572B2 (ja)
WO (1) WO2005013299A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005008406B4 (de) * 2004-09-30 2013-10-02 IoLiTec Ionic Liquids Technologies GmbH Leitfähige Flüssigkeiten für Neigungs- und Beschleunigungssensoren
JP2007103464A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Okayama Univ 電解液
JP4995609B2 (ja) 2007-03-22 2012-08-08 イーメックス株式会社 蓄電素子
JP2011082313A (ja) * 2009-10-06 2011-04-21 Shin Etsu Polymer Co Ltd 固体電解キャパシタ及びその製造方法
JP5504472B2 (ja) * 2009-11-20 2014-05-28 イーメックス株式会社 キャパシタ及びその製造方法
JP5921097B2 (ja) * 2010-06-30 2016-05-24 株式会社半導体エネルギー研究所 電気二重層キャパシタの作製方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5979517A (ja) * 1982-10-26 1984-05-08 ドワイト・ア−ル・クレイグ 電気エネルギ−貯蔵装置
JPS60161611A (ja) * 1984-02-01 1985-08-23 エルナ−株式会社 電気二重層キヤパシタ
JPS60167412A (ja) * 1984-02-10 1985-08-30 松下電器産業株式会社 電気二重層キヤパシタの製造方法
JPS61203618A (ja) * 1985-03-07 1986-09-09 松下電器産業株式会社 電気二重層コンデンサ
JP3099339B2 (ja) * 1990-03-28 2000-10-16 いすゞ自動車株式会社 電気二重層コンデンサ
JP2716334B2 (ja) * 1993-01-05 1998-02-18 日本電気株式会社 電気二重層コンデンサ
US5429895A (en) * 1994-10-13 1995-07-04 Motorola, Inc. Nickel alloy electrodes for electrochemical devices
JPH10334948A (ja) * 1997-05-30 1998-12-18 Tdk Corp 電極、この電極を用いたリチウム2次電池および電気2重層キャパシタ
JP3282658B2 (ja) 1997-06-25 2002-05-20 株式会社ケンウッド 移動体電話機のモード切替え方法
US6195251B1 (en) * 1997-10-29 2001-02-27 Asahi Glass Company Ltd. Electrode assembly and electric double layer capacitor having the electrode assembly
US6493210B2 (en) * 1998-01-23 2002-12-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Electrode metal material, capacitor and battery formed of the material and method of producing the material and the capacitor and battery
JPH11251194A (ja) * 1998-02-27 1999-09-17 Meidensha Corp 薄型ゲル電解質の作製方法及び電気二重層キャパシタ
JP2001325991A (ja) * 2000-05-15 2001-11-22 Nisshinbo Ind Inc 電気部品及びその製造方法
US6426864B1 (en) * 2000-06-29 2002-07-30 Cardiac Pacemakers, Inc. High energy capacitors for implantable defibrillators
JP3726649B2 (ja) * 2000-07-21 2005-12-14 Jsr株式会社 重合体組成物および複合膜

Also Published As

Publication number Publication date
EP1696446A4 (en) 2009-07-22
EP1696446A1 (en) 2006-08-30
JPWO2005013299A1 (ja) 2006-09-28
WO2005013299A1 (ja) 2005-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4436121B2 (ja) 蓄電素子および蓄電素子の製造方法
CN107026019B (zh) 固体电解电容器
CN100466124C (zh) 固体电解电容器及其制造方法
KR101413774B1 (ko) 도포 전극 및 유기 전해질 캐패시터
US7410725B2 (en) Electrochemical energy storage device having improved enclosure arrangement
JP4995609B2 (ja) 蓄電素子
US20020089807A1 (en) Polymer electrochemical capacitors
EP1791143A1 (en) Separator sheet and method for manufacturing electric double layer capacitor using the Separator Sheet
WO2014032404A1 (zh) 电极材料、其制备方法及基于其的超级电容器
JP4538572B2 (ja) キャパシタ及びその製造方法
JP2000150319A (ja) 電気二重層キャパシタの製造方法及び使用方法
JP3245009B2 (ja) 二次電池及び該二次電池の製造方法
JP5504473B2 (ja) キャパシタ、キャパシタの製造方法、及び、キャパシタの使用方法
JPH1154387A (ja) チップ型電気二重層キャパシタ
CN103985567A (zh) 一种超级电容器电池
JP5504472B2 (ja) キャパシタ及びその製造方法
JP4891378B2 (ja) 蓄電素子
JP2004127839A (ja) 電気化学デバイス
JP2010267984A (ja) 電気化学セル及びその製造方法
CN104900415B (zh) 一种电池电容器
KR101108811B1 (ko) 리튬 이온 캐패시터의 제조 방법 및 이로부터 제조된 리튬 이온 캐패시터
JP2007189127A (ja) 電気二重層キャパシタ
JP2008010784A (ja) 電気化学素子
JP2006108140A (ja) 電気化学素子
KR20170051825A (ko) 표면 실장형 슈퍼 커패시터 및 그의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20060227

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060228

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070629

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090914

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090914

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091029

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091201

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20091225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091225

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091225

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A073

Effective date: 20100413

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100421

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100421

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees