JP4538530B1 - 薬剤プレススルーパック包装体と該包装体からの薬剤取出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤プレススルーパック包装体において、服用者が破封せずに包装体ごと飲み込むという誤飲を確実に防止でき、破封容易で薬剤の散逸を生じにくく、包装体を納めるホルダーのような付属部品を必要とせず、製品コストを低減できる手段を提供する。
【解決手段】基材シート1の複数のポケット部2に固形薬剤Mが一個ずつ収容され、ポケット部2が基材シート1の背面側に貼着した蓋フィルム3によって封止されているが、全体を筒状に曲成し、基材シート両側縁部1a,1bを係止突片51とスリット孔52とで係着することにより、誤飲不能で且つ薬剤取り出しが容易な筒状形態のプレススルーパック包装体として服用者に手渡す。
【選択図】図1

Description

本発明は、シートのポケット部に固形薬剤を一個ずつ収容した薬剤プレススルーパック包装体と、該包装体からの薬剤取出方法に関する。
一般に、薬剤のプレススルーパック包装体(以下、PTP包装体と略称する)は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる基材シートに設けた多数のポケット部に、錠剤、タブレット剤、カプセル剤等の固形薬剤を一個ずつ収容すると共に、該基材シートの背面側にアルミ箔等からなる蓋フィルムを貼着して封止したものであり、表面側に膨出したポケット部を指先で押し潰すことにより、該ポケット部内の固形薬剤が蓋フィルムを突き破って放出されるようになっている。
このような薬剤PTP包装体は、以前には基材シートに設けた縦横の分割線で手折りして1ポケット単位(薬剤1粒単位)に分離できるものであったが、分離したPTP包装体を破封せずに丸ごと服用してしまい、基材シートの角で食道等の消化管を傷つけて出血したり、その傷から重篤な合併症を引き起こしたりする事故が多発していた。このため、近年の薬剤PTP包装体は、サイズ的に誤飲しにくいように、横の分割線のみで2又は3ポケット単位にしか分離できない形になっている。ところが、このように薬剤PTPの分離単位が大きくなっても、特に高齢者の場合にPTP包装体ごと服用することがあり、また1回分ずつの飲み薬に仕分けるために分離したPTP包装体を鋏等で1ポケット単位に切り離し、それを迂闊に飲み込んでしまう事例も少なくない。
一方、通常の薬剤PTP包装体では、ポケット部を指先で押し潰して薬剤を取り出す際、蓋フィルムを突き破って飛び出した薬剤が散逸し、床等に落下して汚れて無駄になったり、行方不明になって探すのに時間と労力を費やしたりすることも多く、取扱性の面で不便であった。
そこで、従来より、薬剤PTP包装体における誤飲防止や取扱性向上を図る手段が種々提案されている。例えば、特許文献1では、PTP包装体の切り離し線にて区割される複数ポケット単位毎に、蓋フィルムにポケット部との対面部分を通過する引き裂き用の糸状体又は帯状体を設け、この糸状体又は帯状体を引っ張ることで蓋フィルムを破断してポケット部を開封できるようにしたものが提案されている。また、特許文献2,3では、切り離し線のないPTP包装体をブランク板紙からなるケース内に保持し、該ケースの上蓋又は底蓋を開いた状態でPTP包装体のポケット部を指で押圧することにより、ケース側に設けた抜脱部又は孔から薬剤を取り出すようにしたものが提案されている。
特開2000−25855号公報 特開2003−237836公報 特開2003−321075公報
しかしながら、前記の引き裂き用の糸状体又は帯状体を設けた薬剤PTP包装体では、その糸状体や帯状体を引っ張るという破封方法を服用者(患者)が認識する必要があるが、2又は3ポケット単位の分離状態でもPTP包装体ごと飲み込む心配があるような服用者に対して該破封方法を周知徹底させることは困難である上、PTP包装体そのものが切り離し線によって2ポケット単位程度に分割できるため、確実な誤飲防止を果たせないという問題がある。また、PTP包装体を前記ブランク板紙からなるケースの如きホルダーに納める構成では、誤飲防止は確実に行えるが、そのホルダーの付属によってPTP包装体製品としての材料コストが著しく増大することに加え、PTP包装体を収めた該ホルダーを組み立てるのに非常に手間がかかるという難点があり、更に破封手順を服用者に認知させることが容易でないし、破封時の薬剤の散逸防止には有効ではない。
本発明は、上述の事情に鑑みて、薬剤PTP包装体において、服用者がPTP包装体ごと飲み込むという誤飲を確実に防止できると共に、破封容易で薬剤の散逸を生じにくく、またPTP包装体を納めるホルダーのような余分な付属部品を必要とせず、製品コストを低減できる手段を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係る薬剤PTP包装体は、基材シート1の表面側へ膨出する複数のポケット部2に固形薬剤Mが一個ずつ収容され、これらポケット部2が該基材シート1の背面側に貼着した蓋フィルム3であって、ポケット部2を外側から押し潰すことにより破封可能な蓋フィルム3によって封止されてなる平坦形態Fであって、基材シート両側縁部1a,1bの止着手段(係止突片51、スリット孔52、折り返し部53a,53b、粘着層6、ホッチキス針7、ラッピング・タイ8の延出端部8a,8b)を備え、前記平坦形態から全体を曲成して前記止着手段で基材シート両側縁部1a,1bを止着することにより、ポケット部2が外側へ膨出した筒状形態として保持できるように構成されてなる。
請求項2の発明は、前記請求項1の薬剤PTP包装体において、基材シート1に平行な複数本の折り目4が形成され、平坦形態Fから該折り目4で折り曲げて前記止着手段で基材シート両側縁部を止着することにより、3〜6角の角筒状形態で保持できるように構成されてなる。
請求項3の発明は、前記請求項1の薬剤PTP包装体において、平坦形態Fから全体を湾曲させて前記止着手段で基材シート両側縁部1a,1bを止着することにより、円筒状形態で保持できるように構成されてなる。
請求項4の発明に係る薬剤PTP包装体からの薬剤取出方法は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の平坦形態Fの薬剤PTP包装体P1〜P7から外側にポケット部2が膨出した筒状形態T0,T3,T4に曲成し、この筒状形態で接合した基材シート両側縁部1a,1bを前記止着手段で止着したのち、所要の前記ポケット部2を外側から押し潰すことにより、蓋フィルム3を突き破って該ポケット部2内の固形薬剤Mを筒状形態T0,T3,T4の内側へ放出させることを特徴としている。
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係る薬剤PTP包装体P1〜P7では、それを1ポケット単位や2,3ポケット単位に分離できない上、薬剤服用時には該PTP包装体P1〜P7の全体が筒状形態T0,T3,T4になっているため、薬剤Mを取り出すには各ポケット部2を指で押し潰して破封するしかなく、服用者が破封せずに包装体ごと飲み込む可能性は皆無である。しかして、服用者が各ポケット部2を指で押し潰して破封した際、蓋フィルム3を突き破った薬剤Mは、角筒形態T0,T3,T4の内側に放出され、不用意に飛び出して周辺に散逸することがないから、例えば広口の浅い容器R等に受けることで、床等に落下して汚れたり行方不明になったりするのを抑止できる。また、薬剤PTP包装体P1〜P7はそれ自体で筒状形態T0,T3,T4に曲成でき、該PTP包装体を納めるホルダーのような余分な付属部品が不要であるから、該付属部品によるコスト上昇を回避できる。
請求項2の発明によれば、基材シート1の折り目4によって平坦形態Fから折り曲げ、基材シート両側縁部1a,1bを止着することにより、容易に3〜6角の角筒状形態T3,T4に組立形成できる。
請求項3の発明によれば、平坦形態Fから全体を湾曲させて基材シート両側縁部1a,1bを止着することにより、容易に円筒状形態T0に組立形成できる。
請求項4の発明に係る薬剤PTP包装体からの薬剤取出方法では、薬局において、薬剤PTP包装体P1〜P7を平坦形態Fから筒状形態T0,T3,T4に曲成し、接合した基材シート両側縁部1a,1bを止着し、服用者(患者)に手渡すようにすればよい。これにより、服用者は、受け取った筒状形態T0,T3,T4の薬剤PTP包装体P1〜P7より、その所要のポケット部2を外側から指で押し潰すだけで簡単に固形薬剤Mを取り出せるから、操作的に極めて簡易であり、破封せずに飲み込む懸念がなく、各別な破封方法を覚える必要もない。
本発明の第一実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は角筒形態の横断面図である。 同第二実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は角筒形態の横断面図である。 同第三実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は四角筒状形態の横断面図である。 同第四実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は四角筒状形態の横断面図である。 同第五実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は三角筒状形態の横断面図である。 同第六実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は三角筒状形態の斜視図である。 同第七実施形態に係る薬剤PTP包装体を示し、(a)は平坦形態の斜視図、(b)は円筒状筒形態の横断面図である。 本発明の薬剤PTP包装体からの薬剤取出操作を例示する斜視図である。 本発明に係る薬剤PTP包装体製品を納めた包装箱を開放状態で示し、(a)は四角筒状形態のPTP包装体を納めた状態の要部斜視図、(b)は三角筒状形態のPTP包装体を納めた状態の要部斜視図である。
図1で示す第一実施形態の薬剤PTP包装体P1は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる矩形の透明な基材シート1に、その表面側へ円形に膨出した多数(図では16)の多数のポケット部2が縦横に配列して形成され、各ポケット部2に丸い糖衣錠タイプの固形薬剤Mを一個ずつ収容した状態で、該基材シート1の背面側にアルミ箔等からなる蓋フィルム3を貼着することにより、各ポケット部2が密封されている。しかして、各ポケット部2内の薬剤Mは、該ポケット部2を膨出した表面側から指先で押し潰すことにより、蓋フィルム3を突き破って放出されるようになっている。
この薬剤PTP包装体P1の基材シート1には、図1(a)における左下−右上方向を縦方向として、ポケット部2群を1縦列毎に区切る3本の折り目4が平行に等間隔で形成されると共に、一方の側縁部1aには側方へ突出する3個の略矢印形の係止突片51が等間隔で設けられ、他方の側縁部1bには各係止突片51に対向して縦方向に沿う3つスリット孔52が穿設されている。なお、折り目4は、折り曲げ容易であっても断裂しにくいように、線状の薄肉部によって構成されている。また、係止突片51及びスリット孔52は基材シート1を原板シートから打ち抜く際に同時に形成されている。
この薬剤PTP包装体P1は、製薬メーカー等の製造者から医療機関の調剤部や薬局等に対し、図1(a)で示す嵩張らない平坦形態Fとして納入されるが、処方箋に則って患者に手渡される際には予め図1(b)で示す四角筒状形態T4に転換されている。すなわち、平坦形態Fから各折り目4で表面側凸に90°折り曲げることにより、全体が各側面sの外側にポケット部2を膨出する四角筒状に曲成すると共に、基材シート1の側縁部1aの各係止突片51を側縁部1bのスリット孔52に挿嵌することにより、四角筒状形態T4に組み立てて患者に提供する。
この四角筒状形態T4とした薬剤PTP包装体P1では、元来より基材シート1に切り離し線がないので1,2ポケットの小さい単位に手で分離することはできないが、その立体構造からして鋏等で小さい単位に切り離すことも想定できない。従って、患者が薬剤Maを取り出して服用するには、ポケット部2を指で押し潰して破封するしかなく、破封せずに包装体ごと飲み込む可能性は皆無である。そして、患者がポケット部2を指で押し潰して破封すると、図1(b)で示すように蓋フィルム3を突き破った薬剤Mが四角筒状形態T4の内側に放出されるから、該薬剤Mが不用意に飛び出して周辺に散逸することはない。従って、薬剤Mが床等に落下して汚れて無駄になったり、行方不明になって探すのに時間と労力を費やしたりするのを回避できる。
次に、図2で示す第二実施形態の薬剤PTP包装体P2では、前記第一実施形態と同様に、3本の折り目4を有する基材シート1の各ポケット部2に固形薬剤Mを一個ずつ収容した状態で、該基材シート1の背面側に蓋フィルム3を貼着して各ポケット部2を密封しているが、その基材シート1の一方の側縁部1aには折り目41を介して下側への折り返し部53aが形成されると共に、他方の側縁部1bには上側への折り返し部53bが形成されている。そして、この薬剤PTP包装体P2は、前記第一実施形態と同様に、図2(a)で示す納入時の平坦形態Fから四角筒状に曲成し、折り目41を内向きに折り曲げた状態で基材シート1の両側縁部1a,1bの折り返し部53a,53b同士を相互に係着することにより、図2(b)で示す四角筒状形態T4として患者に手渡される。
また、図3で示す第三実施形態の薬剤PTP包装体P3では、やはり3本の折り目4を有する基材シート1の各ポケット部2に固形薬剤Mを一個ずつ収容した状態で、その背面側に蓋フィルム3を貼着しているが、その基材シート1の一方の側縁部1aには全長にわたって折り目42によって分画された帯状の接着片11が延設され、該接着片11の表面に剥離紙61付きの粘着層6が形成されている。そして、この薬剤PTP包装体P3は、図3(a)で示す納入時の平坦形態Fから前記同様に各折り目4での折り曲げで四角筒状に曲成すると共に、図3(b)で示すように、側縁部1aの接着片11を折り目42で内向きに折り曲げ、剥離紙61を引き剥がして露呈させた粘着層6を側縁部1bの背面側に被着させることにより、四角筒状形態T4として患者に手渡される。
更に、図4で示す第四実施形態の薬剤PTP包装体P4では、同様に3本の折り目4を有する基材シート1の各ポケット部2に固形薬剤Mを一個ずつ収容した状態で、その背面側に蓋フィルム3を貼着しているが、その基材シート1の両側縁部1a,1bには全長にわたって各々折り目43によって分画された帯状の止着片12a,12bが延設されている。そして、この薬剤PTP包装体P4は、図4(a)で示す納入時の平坦形態Fから前記同様に各折り目4での折り曲げで四角筒状に曲成すると共に、図4(b)で示すように、互いに外側へくの字状に折り曲げて接合させた両止着片12a,12bをホッチキスの針7で止着することにより、四角筒状形態T4として患者に手渡される。なお、このホッチキスの針7で止着する代わりに、基材シート1の両側縁部1a,1bの帯状の止着片12a,12bを裏面側に蓋フィルム3がない状態とし、接合させた両止着片12a,12bを熱溶着して止着一体化することも可能である。
これら第二〜第四実施形態の薬剤PTP包装体P2〜P4においても、第一実施形態の薬剤PTP包装体P1と同様に、患者が破封せずに包装体ごと飲み込む可能性は皆無であると共に、破封した際に薬剤Mが四角筒状形態T4の内側に放出されるので、床等に落下して汚れて無駄になったり、行方不明になって探すのに時間と労力を費やしたりするのを回避できる。また、第一実施形態を含めて、これら薬剤PTP包装体P1〜P4では、それ自体で四角筒状形態T4に曲成でき、該PTP包装体を納めるホルダーのような余分な付属部品が不要であるから、該付属部品によるコスト上昇が避けられる。
上記第一〜第四実施形態の薬剤PTP包装体P1〜P4は四角筒状形態T4として患者に手渡すものであるが、本発明の薬剤PTP包装体は後述する第五及び第六実施形態のような三角筒状形態、あるいは五角筒状形態や6角筒状形態、更には第七実施形態のような円筒状形態となる構成も包含する。ただし、七角を越える多角筒状形態では、嵩張り過ぎる上に筒形が崩れ易くなるため、却って取扱性が悪くなる。
図5で示す第五実施形態の薬剤PTP包装体P5は、基材シート2の折り目4を3縦列のポケット部2に対応して2本にした以外は、前記第一実施形態の薬剤PTP包装体P1と同様構成になっている。この薬剤PTP包装体P5では、図5(a)の平坦形態Fから各折り目4で表面側凸に60°折り曲げることにより、全体が各側面sの外側にポケット部2を膨出する三角筒状に曲成すると共に、基材シート1の側縁部1aの各係止突片51を側縁部1bのスリット孔52に挿嵌することにより、図5(b)で示す三角筒状形態T3として患者に提供する。
図6で示す第六実施形態の薬剤PTP包装体P6は、三縦列のポケット部2及び2本の折り目4を有する基材シート1の背面側に、ラッピング・タイ8が横方向に沿って融着され、その上に蓋フィルム3が貼着されており、その基材シート1の両側縁部1a,1bの各中央位置から該ラッピング・タイ8の両端部8a,8bが外側へ延び出している。この薬剤PTP包装体P6では、前記第五実施形態と同様に図6(a)の平坦形態Fから各折り目4で表面側凸に60°折り曲げて三角筒状に曲成した上で、図6(b)の如くラッピング・タイ8の両端部8a,8bを合わせて捩ることにより、三角筒状形態T3として患者に提供する。
図7で示す第七実施形態の薬剤PTP包装体P7は、基材シート1の各ポケット部2に固形薬剤Mを一個ずつ収容した状態で、該基材シート1の背面側に蓋フィルム3を貼着して各ポケット部2を密封している。しかして、該基材シート1は、折り目を設けていないが、一方の側縁部1aに下側への折り返し部53aが形成されると共に、他方の側縁部1bには上側への折り返し部53bが形成されており、図7(a)で示す納入時の平坦形態Fから全体を湾曲させて円筒状に曲成し、両側縁部1a,1bの折り返し部53a,53b同士を相互に係着することにより、図7(b)で示す円筒状形態T0として患者に手渡される。
これら第五及び第六実施形態の如く三角筒状形態T3とした薬剤PTP包装体P5,P6、ならびに第七実施形態の如く円筒状形態T0とした薬剤PTP包装体P7でも、患者が破封せずに包装体ごと飲み込む可能性は皆無であると共に、所要のポケット部2を指で押し潰して破封すると、蓋フィルム3を突き破った薬剤Mが筒状形態T3,T0の内側に放出されることになる。従って、これら薬剤PTP包装体P5〜P7でも、確実な誤飲防止を果たせると共に、破封時の薬剤Mの散逸を防止できる。
なお、本発明の薬剤PTP包装体では筒状形態で破封して薬剤Mを取り出すことから、該筒状形態の一端側開口部を下向きにして破封し、落下する薬剤Mを空いた掌で受け取ることも容易であるが、例えば図10に示すように広口の浅い容器Rで受けるようにすれば、該薬剤Mの散逸をより確実に防止できると共に、PTP包装体に収容した複数種の薬剤を同時に服用する場合に順次同様にして同じ容器Rに受け取り、これら薬剤を一括して服用できるので便利である。
一方、例えば風邪薬、解熱鎮痛剤、トローチ等として市販される薬剤PTP包装体製品の場合、服用者自らが平坦形態から筒形形態に組み立てて用いることは、手間がかかる上に組立手順を間違う可能性もあり、また服用者が平坦形態Fにおいて鋏等で1ポケット単位のように小さく切り離し、迂闊に破封せずに誤飲する懸念もある。このため、上記市販用の薬剤PTP包装体製品については、既述のように製造者側で予め平坦形態から筒状形態に組み立て、例えば図11(a)(b)で例示するように、四角筒状形態T4や三角筒形態T3、更には図示を省略しているが円筒状形態とした薬剤PTP包装体Pの複数本を包装箱Bに装填して製品化することが推奨される。この場合、三角筒形態T3については、矩形空間に複数本を納め易いように、正三角形よりも図示の如く直角二等辺三角形の筒形とするのがよい。
また、特に予め筒状形態とする薬剤PTP包装体については、基材シート1のポケット部2を千鳥状配置にすれば、包装箱Bへの装填時に相互のポケット部2による膨出部分がずれて噛み合うことで空間効率を高めることができる。更に、本発明の薬剤PTP包装体では、基材シート1の一端側に筒状形態の開口部に対応する形状の蓋板部を一体形成しておき、筒状形態にした際の一方側の開口部に該蓋板部を折り付けて嵌合させることにより、該筒状形態での保形強度を高め、もってポケット部2の押圧による破封を容易にし、反対側の開口部から薬剤Mを取り出すようにしてもよい。
上記の各実施形態では基材シート1のポケット部2が丸い糖衣錠タイプの固形薬剤Mに対応した丸い形になっているが、該ポケット部の形は収容する薬剤形状に応じて種々設定でき,例えば細長いカプセル剤には細長いポケット部を採用すればよい。また、実施形態では角筒状形態の各側面sに一縦列のポケット部2が配置する構成を例示したが、薬剤Mが小さい場合等で各側面sに二縦列以上のポケット部2が配置する構成でもよい。更に、基材シート1の折り目4についても、例示した線状の薄肉部によって形成する以外に、ごく浅い切り込み、間隔の大きい大きいミシン目、形状記憶技術による癖付け等、折り曲げ容易で断裂しにくくできる種々の形成手段を採用できる。その他、本発明においては、平坦形態における基材シート1の縦横寸法、各縦列のポケット部2の数と配置間隔、角状形態で接合する基材シート両側縁部1a,1bの止着手段としての係着部の構造等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
1 基材シート
1a,1b 側縁部
2 ポケット部
3 蓋フィルム
4 折り目
51 係止突片(係着部)
52 スリット孔(係着部)
53a,53b 折り返し部(係着部)
6 粘着層
7 ホッチキス針(止着手段)
8 ラッピング・タイ(係着部)
M 固形薬剤
P,P1〜P7 薬剤PTP包装体
T0 円筒状形態
T3 三角筒形態
T4 四角筒状形態
s 側面

Claims (4)

  1. 基材シートの表面側へ膨出する複数のポケット部に固形薬剤が一個ずつ収容され、これらポケット部が該基材シートの背面側に貼着した蓋フィルムであって、ポケット部を外側から押し潰すことにより破封可能な蓋フィルムによって封止されてなる平坦形態であって、基材シート両側縁部の止着手段を備え、
    前記平坦形態から全体を曲成して前記止着手段で基材シート両側縁部を止着することにより、前記ポケット部が外側へ膨出した筒状形態として保持できるように構成されてなる薬剤プレススルーパック包装体。
  2. 前記基材シートに平行な複数本の折り目が形成され、前記平坦形態から該折り目で折り曲げて前記止着手段で基材シート両側縁部を止着することにより、3〜6角の角筒状形態で保持できるように構成されてなる請求項1に記載の薬剤プレススルーパック包装体。
  3. 前記平坦形態から全体を湾曲させて前記止着手段で基材シート両側縁部を止着することにより、円筒状形態で保持できるように構成されてなる請求項1に記載の薬剤プレススルーパック包装体。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかに記載の平坦形態の薬剤プレススルーパック包装体から外側に前記ポケット部が膨出した筒状形態に曲成し、この筒状形態で接合した基材シート両側縁部を前記止着手段で止着したのち、所要の前記ポケット部を外側から押し潰すことにより、蓋フィルムを突き破って該ポケット部内の固形薬剤を筒状形態の内側へ放出させることを特徴とする薬剤プレススルーパック包装体からの薬剤取出方法。
JP2009170428A 2009-07-21 2009-07-21 薬剤プレススルーパック包装体と該包装体からの薬剤取出方法 Active JP4538530B1 (ja)

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