JP4536602B2 - ギャップ検出装置 - Google Patents
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Description
そこで、加工中にプラズマが発生する際に生じる基準範囲値以上の静電容量の変化を検出すると、ノズルとワーク間のギャップの誤検出に伴って、ノズルが被加工物に衝突してしまう事態の発生を防止するため、ノズルとワーク間のギャップを一定時間維持するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
なお、特許文献2に開示されているギャップ検出装置では、1つの信号発生器を搭載して、1つの周波数信号を発生し、ノズルに繋がっているケーブルに当該周波数信号を供給するようにしている。この周波数信号の周波数は、プラズマが純粋なオーム抵抗として作用するように選択されている。
図1はこの発明の実施の形態1によるギャップ検出装置を示す構成図であり、図において、ギャップ検出装置1の信号発生部2は計測に必要な信号を生成する処理部であり、信号発生部2は信号発生器2aと信号発生器2bと加算器2cから構成されている。
信号発生部2の信号発生器2aは周波数が共振周波数近傍の信号を発生し(ここでは、説明の便宜上、共振周波数の信号を発生するものとする)、信号発生部2の信号発生器2bは周波数が共振周波数近傍より低い信号を発生する(ここでは、説明の便宜上、共振周波数より低い信号を発生するものとする)。
信号発生部2の加算器2cは信号発生器2aにより発生された周波数f1の信号と信号発生器2bにより発生された周波数f2の信号とを合成し、その合成信号を出力する。
なお、信号発生部2は信号発生手段を構成している。
中心電極ケーブル4はレーザ加工機用のノズル5の先端に繋がっており、信号発生部2から出力された合成信号をレーザ加工機用のノズル5に導いている。
レーザ加工機における加工ヘッド先端のノズル5はセンサ電極として機能し、また、被加工物であるワーク6(ワーク6は回路のGNDと繋がっている)と一緒にコンデンサのような働きをしてギャップ容量Cを生じる。ギャップ容量Cはノズル5とワーク6間の距離に応じて変化する。
なお、被加工物の加工中に、出力不足などが原因で、ノズル5とワーク6間にプラズマが発生すると、そのプラズマがギャップ容量Cと並列に結合されたプラズマインピーダンスとしてシステムに影響を及ぼすことになる。プラズマインピーダンスのうち、容量的な成分はギャップ容量Cと区別できないので、この実施の形態1では、プラズマインピーダンスが主にオーム抵抗として作用する周波数を選択している。プラズマの影響はプラズマ抵抗Rとなり、この影響を排除することを考える。
検波部8はOPアンプ7の出力信号から周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波し、周波数f1の成分である検波信号K1と、周波数f2の成分である検波信号K2とを出力する。なお、検波部8は検波手段を構成している。
検出信号生成部9は検波部8から出力された検波信号K1と検波信号K2からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成する処理を実施する。なお、検出信号生成部9は検出信号生成手段を構成している。
信号発生部2の信号発生器2aは、ギャップ容量Cの変化に対してシステムゲインが感度よく変化する周波数f1の信号、即ち、周波数が共振周波数の信号を発生する。
信号発生部2の信号発生器2bは、ノズル5とワーク6間で発生するプラズマによるプラズマ抵抗Rの変化に対してシステムゲインが感度よく変化する周波数f2の信号、即ち、周波数が共振周波数より低い信号を発生する。
信号発生部2の加算器2cは、信号発生器2aから周波数f1の信号を受け、信号発生器2bから周波数f2の信号を受けると、その周波数f1の信号と周波数f2の信号を合成し、その合成信号Vinを出力する。
なお、中心電極ケーブル4を通る合成信号Vinは測定信号として分岐され、その測定信号がOPアンプ7に入力されている。
なお、OPアンプ7の出力信号Voutは、検波部8の手前で分岐され、基板特性Z2を介して、ガード電極ケーブル10に導かれている。
その理由は、OPアンプ7の出力信号Voutが、ギャップ容量C以外の浮遊容量の影響をなるべく受けないようにするためである。
検出信号生成部9は、検波部8から検波信号K1と検波信号K2を受けると、詳細は後述するが、その検波信号K1と検波信号K2からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成する。
実用的なケーブルの太さを考えた場合、中心電極ケーブル4とガード電極ケーブル10は、どうしてもケーブル間容量Z1が存在してしまう。
しかし、中心電極ケーブル4とガード電極ケーブル10を同電位にすれば、浮遊容量の影響をなくすことができる。
したがって、OPアンプ7は、使用する周波数帯域で位相がずれないものを選定することが重要である。
信号発生部2より出力された合成信号VinからOPアンプ7の出力信号Voutまでの伝達関数H(S)は、以下の式で表される。
また、図4はギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rを格子状に変化させたときの周波数f1=1[MHz]におけるシステムゲインと周波数f2=20[kHz]におけるシステムゲインの関係を示す2周波数解析グラフ図であり、図4には等C曲線と等R曲線がプロットされている。
以下、図2から図4を参照して、ギャップの検出原理を説明する。
図2の例では、共振周波数が約1[MHz]であるが、共振周波数は、主に参照抵抗3を設計することで変えることが可能である。
図1の例では、ギャップ容量Cを検出する信号の周波数を1[MHz]に設計して、参照抵抗3をRref=22[kΩ]に設計している。この場合、信号発生部2の信号発生器2aは、周波数f1=1[MHz]の信号を発生する。
したがって、プラズマ抵抗Rの大きさを求めるには、共振点よりも低い周波数f2を用いるのがよい。
即ち、レーザ加工機用のノズル5とワーク6間のギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rをそれぞれ精度よく求めるには、それぞれの変化によってシステムゲインが変わる別々の周波数f1,f2を用いるのがよい。
図1の例では、プラズマ抵抗Rを検出する信号の周波数を20[kHz]に設計している。即ち、信号発生部2の信号発生器2bは周波数f2=20[kHz]の信号を発生するようにしている。
また、どの周波数においても、システムゲインがギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rの両方の影響を受けるので、2つを完全に分離することができない。
そこで、2つの周波数f1,f2におけるシステムゲインからギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rを検出することを考える。
この周波数f1の成分の大きさと周波数f2の成分の大きさは、信号発生部2から出力される合成信号Vinの大きさを“1”にしたときの周波数f1及び周波数f2におけるシステムゲインに相当している。
具体的には、プラズマが発生していない状態(図4の例では、周波数f2におけるゲインが“1.0”)では、ギャップに対応する検出信号として、周波数f1の成分である検波信号K1(図4の例では、ゲインが約0.42〜1.0の範囲の信号A)をそのまま出力すればよい。しかし、プラズマが発生している状態(図4の例では、周波数f2におけるゲインが“1.0”未満)では、以下のように、検波信号K1の信号を補正し、その補正信号をギャップに対応する検出信号として出力する。
例えば、周波数f2におけるゲインが“0.4”で、周波数f1におけるゲインが“0.4”である場合、ギャップ容量Cが7pFの等C曲線上に存在するので、プラズマが発生していない状態、即ち、周波数f2におけるゲインが“1.0”のところまで、7pFの等C曲線上を移動し、7pFの等C曲線と信号Aの交点に位置する値(図4の例では、約0.52の値)をギャップに対応する検出信号として出力する。
図5はこの発明の実施の形態2によるギャップ検出装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
信号発生部2の信号発生器2dは中心電極ケーブル4の断線時に有意差が生じる周波数f3の信号を発生する。
信号発生部2の加算器2eは信号発生器2bにより発生された周波数f2の信号と信号発生器2dにより発生された周波数f3の信号とを合成し、その合成信号を出力する。
信号発生部2の加算器2fは信号発生器2aにより発生された周波数f1の信号と加算器2eの出力信号とを合成し、その合成信号を出力する。
検波部12はOPアンプ7の出力信号から周波数f1の成分と周波数f2の成分と周波数f3の成分を検波し、周波数f1の成分である検波信号K1と、周波数f2の成分である検波信号K2と、周波数f3の成分である検波信号K3とを出力する。なお、検波部12は検波手段を構成している。
断線検知部13は検波部12により検波された周波数f3の成分である検波信号K3から中心電極ケーブル4の断線の有無を判定する処理を実施する。
なお、断線検知用抵抗11及び断線検知部13から断線検知手段が構成されている。
図6は中心電極ケーブル4が断線していない通常時と中心電極ケーブル4が断線しているケーブル断線時におけるシステムのボード線図である。
以下、図6を参照して、断線検知の原理について説明する。
図5の例では、ガード電極ケーブル10とグランド間に断線検知用抵抗11を挿入しているが、断線検知用抵抗11を挿入すると、低い周波数領域において、通常時と断線時においてシステムゲインに差が生じる。
図5の例では、断線検知用抵抗11の抵抗値R3を1[kΩ]に設計している。図6のボード線図から明らかなように、1[kHz]以下の周波数領域では、通常時のシステムゲインが約0.8であるの対して、ケーブル断線時のシステムゲインが約1である。
検波部12は、図1の検波部8と同様に、OPアンプ7の出力信号Voutから周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波するとともに、周波数f3の成分を検波し、周波数f3の成分である検波信号K3を断線検知部13に出力する。
なお、信号発生部2から出力される合成信号Vinの大きさが“1”である場合、検波部12により検知される周波数f3の成分の大きさは、周波数f3におけるシステムゲインに相当する。
一方、その検波信号K3が閾値より大きい場合、中心電極ケーブル4が断線していると判断して、中心電極ケーブル4が断線している旨を示す断線検知信号(例えば、Hレベルの信号)を出力する。
図7はこの発明の実施の形態3によるギャップ検出装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
ギャップ検出部14は検出信号生成部9により生成された検出信号を線形補正して、ノズルとワーク間のギャップを検出する処理を実施する。なお、ギャップ検出部14はギャップ検出手段を構成している。
図8は検出信号生成部9により生成された検出信号と測定対象であるギャップとの対応関係を示す説明図である。
図8に示すように、検出信号生成部9により生成された検出信号とギャップの関係が分かっていれば、その検出信号からギャップを求めることができる。
検出信号生成部9により生成された検出信号がx、測定対象のギャップがyであれば、その検出信号xとギャップyの関係は、以下に示すような指数近似式がよく当てはまる。
y=k1exp(k2x) (3)
ただし、k1,k2は所定の定数である。
検出信号生成部9により生成された検出信号とギャップの関係をデータとして記憶、あるいは、検出信号生成部9により生成された検出信号を式(3)の近似式に代入してギャップyを求めるギャップ検出部14を設けることにより、加工機側において、ギャップyを求めるための補正計算を簡略したり、省略したりすることができる効果を奏する。
Claims (4)
- 相互に周波数が異なる複数の信号を発生して、その複数の信号を合成し、その合成信号をレーザ加工機用のノズルの先端に繋がっているケーブルに供給する信号発生手段と、上記ケーブルを通る合成信号における複数の周波数成分を検波する検波手段と、上記検波手段により検波された複数の周波数成分から上記ノズルとワーク間のギャップに対応する検出信号を生成する検出信号生成手段とを備えたレーザ加工機用ギャップ検出装置であり、
上記検出信号生成手段は、
レーザ加工中に発生するプラズマが、上記ノズルと加工対象との間のギャップによる静電容量に並列結合されたインピーダンスとして働くとした電気回路モデルに基づいて、上記信号発生手段から出力された上記合成信号から上記検波手段へと導かれた上記ケーブルを通る合成信号までの伝達関数を有し、上記伝達関数を用いて、加工中に発生するプラズマの影響を排除するよう上記検出信号を生成することを特徴とするギャップ検出装置。 - 信号発生手段は、周波数が共振周波数の信号と、周波数が共振周波数より低い信号とを発生することを特徴とする請求項1記載のギャップ検出装置。
- ケーブルを被覆しているガード電極ケーブルとグランド間に断線検知用抵抗を挿入し、検波手段により検波された所定の周波数成分から上記ケーブルの断線の有無を判定する断線検知手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のギャップ検出装置。
- 検出信号生成手段により生成された検出信号を線形補正して、ノズルとワーク間のギャップを検出するギャップ検出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のギャップ検出装置。
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