JP4534453B2 - 投射型画像表示装置 - Google Patents
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Description
そこで、映像信号による変調の容易さ、色再現性の良さ、明るさの確保等を目的として、光源に赤、緑、青の各色のレーザ光を用いた投射型画像表示装置が提案されている。
これは、レーザ光の高い可干渉性により、レーザスペックル現象が生じるためである(例えば非特許文献1参照)。例えばスクリーン等の粗い表面等にレーザ光が照射されたときに、粒子状・斑点状の緩衝パターンが発生する。
これにより、スペックルノイズを目立たなくさせることが可能である。
これにより、光変調素子が1次元で済むため、スクリーンに同じ画像を表示するために必要となる光変調素子の画素配列数を、大幅に低減することができる。
また、光走査手段と投射レンズとの間に配置されたディフューザと、ディフューザを光軸方向に略垂直でありかつ1次元像の方向に略平行な方向に駆動する駆動手段とを備え、画像表示の際には、駆動手段によりディフューザが、光軸方向に略垂直であり、かつ1次元像の方向に略平行な方向に駆動されて、ディフューザを通過する光に時間的な位相変調が与えられることにより、ディフューザが2次元中間像の位置に配置されており、1次元像の方向に略平行な方向に駆動されるため、光走査手段により走査して2次元中間像を形成している場合でも、時間的に異なるスペックルパターンを発生させて、目の平均効果によりスペックルノイズを目立たなくすることが可能になる。
従って、高い解像度を有し、かつ良好な画質で画像表示を行うことができる投射型画像表示装置を実現することができる。
これにより、例えば3Hz〜30Hz等の比較的低速で、かつ例えば200μm以下と少ない移動量で、ディフューザを駆動することにより、最適なスペックル低減効果が得られる。そして、さらに高速に回転させることにより、さらにスペックルを低減することができる。
この投射型画像表示装置100は、1次元型光変調素子1と、オフナーリレー2と、ガルバノミラー3と、像面湾曲補正光学系4と、ディフューザ5と、投射レンズ6とを有して構成されている。
1次元型光変調素子1は、紙面に垂直な方向に多数の画素が並んで形成されている。
このGLV素子等を用いた場合には、素子自身が発光しないので、図示しない光源と光源からの光を素子に投射する光学系とが必要になる。このとき、光源としては、コヒーレントな光源を用いることが望ましい。
そして、基板8のうち、可動格子9及び固定格子10が配置される方の面8aとは反対側の面には電極層8bが形成されている。
よって、面8aに平行な破線で示すI方向からの入射光波面Wiについては、そのまま正反射光、即ち0次光としてR方向に反射される。
即ち、図3において誇張して示すように、格子の深さ(可動格子9と固定格子10との高さの差)が、光波長λの4分の1(λ/4)になるように可動格子9と電極層8bとの間に電位差を与えて、可動格子9を基板上の面8aに近づけると、反射回折作用が起きる。
そして、I方向からの入射光波面Wiは、「D+1」方向や、「D−1」方向に向かう±1次回折光の波面Wd+,Wd−(図3では、Wiを示す破線よりも間隔の狭い破線で示す。)となって出射される。
正鏡2Aは、1次元型光変調素子1側に凹面が向いた凹面鏡であり、1次元型光変調素子1からの光について、1回目と3回目の反射を担当している。
副鏡2Bは、正鏡2A側に凹面が向いた凹面鏡であり、2回目の反射を担当している。
1次元型光変調素子1からオフナーリレー2に入射した光は、まず正鏡2Aで反射されてから副鏡2Bに到達し、ここで2回目の反射を受けて再び正鏡2Aへと向かう。そして、正鏡2Aで3回目の反射を受けた光がガルバノミラー3へと向かうことになる。
そして、1次元型光変調素子1の配列方向(Y軸方向)に対して垂直なXZ面(図1の紙面)において、図示しない駆動手段(アクチュエータ等)により、図中矢印で示すように平板状のミラーを回動させることにより、走査を行うことができる。
このとき、ガルバノミラー3の走査角に応じた画像信号に基づいて、1次元型光変調素子1で光変調を行うことにより、1次元像から、この1次元像を含む面に直交する方向に走査して形成される2次元像が得られる。この2次元像はガルバノミラー3の回転軸を中心とした円筒面上(図1では円弧上になる)に形成される。
そこで、ガルバノミラー3により形成される2次元像の位置に、像面湾曲補正光学系4を設置している。この像面湾曲補正光学系4を通過させることにより、平面状の2次元中間像を形成することができる。
この像面湾曲補正光学系4としては、例えば円筒レンズを用いて構成することができる。
このディフューザ5は、2次元中間像のサイズに対応した平面形状を有しており、例えば図示されている上下方向(X方向)が長手方向である長方形状とされる。
ディフューザ5は、図示しない駆動装置に接続されており、この駆動装置により上述のようにY方向に振動させることができる。
例えば後述するようにディスク状のディフューザを光軸に垂直に配置して、これを回転させることにより、光路内ではディフューザがY方向に運動するようにした構成も可能である。
即ち、ディフューザ5の表面に凹凸を有し、またこの凹凸が所定の間隔で繰り返すパターンとなっている。
このようなディフューザ5は、透明材例えばガラス基板を用いて、フォトリソグラフィ等の手法により、繰り返しの凹凸パターンを形成することにより製造することができる。
まず、凹凸パターンの一単位を図4に示す。
図4に示すように、一辺が3μmの正方形を8×8個しきつめて、一辺24μmの正方形から成る凹凸パターンの一単位、即ち「セル」12を構成している。これは、GLV素子の画素サイズ(一辺25μmの正方形)とほぼ同等のサイズに設定されている。
なお、図4A中、白い正方形と黒い正方形は、それぞれ凹凸パターンの凹部或いは凸部のいずれか一方に対応している。
例えばガラス基板に対して、例えば深さ約0.5μmでエッチングを行うことにより、凹部と凸部とを形成することができる。
そして、図5に示すように、一辺196μmの正方形のユニット13を、2次元中間像のサイズ全面にしきつめて、ディフューザ5の凹凸パターンが形成される。各ユニット13には、同一の凹凸パターンが形成されており、各ユニット13がディフューザ5の凹凸パターンの繰り返しの単位となっている。
図5では、2次元中間像のサイズが、縦(Y方向)が35mm、横(X方向)が74.0mm+(−0.1〜+0.0mm)と設定されている。なお、縦横の精度が異なっているのは、縦は1次元光変調素子1のサイズに対応して設定されるのに対して、横はガルバノミラー3の光走査によって設定されるからである。
スクリーンに投影された投影像のスペックルノイズパターンは、光の位相によって変化する。
従って、ディフューザ5を駆動する(動かす)ことにより、時々刻々異なる位相変調を与えれば、スクリーン上のスペックルパターンは変化するため、人間の目の平均効果によりノイズが低減されることになる。
図6は、図4及び図5に示した形態のディフューザ5を用いて、ディフューザ5の駆動による移動量とスペックルノイズとの関係について、測定を行った結果を示している。図6中横軸はディフューザの移動量[μm]を示しており、縦軸は、ディフューザの移動量が0であるときのスペックルノイズの画像と比較しての、スペックルノイズの相関度を数値化したものを示している。そして、全く同じノイズパターンであれば、相関度は100%となり、全く無相関の画像であれば、相関度は0%となる。なお、この相関度ρは以下の式(1)により求められる。
また、図4及び図5に示した形態のディフューザ5は、196μm毎に同じパターンが出現するので、図6では196μm及び392μmにおいて、即ち196μmの移動の度に、相関性の高いスペックルノイズが出現している。
さらに、投射型画像表示装置1の横解像度(走査方向)をHDTV規格の1920ピクセルとすると、1ラインあたりの描画時間は 1/fscan/(1920ピクセル)=1/60/1920=8.7μ秒となる。言い換えると、ディフューザ5の一辺24μmのセル12が、持続時間8.7μ秒の閃光で1秒間に60回照明されることになる。
(1) 8.7μ秒の照明期間の間に、相関性の低いスペックルパターンを複数枚発生できるように、ディフューザ5を高速移動させる。
図6に示したように、ディフューザ5を10μm移動させることによってもある程度のスペックル低減が確保できる。
また、196μmの移動によって、最大の効果が得られる。移動量が196μmを超えると、相関度が高いパターンを2回以上含むので、効果が低下する。
よって、望ましいディフューザ5の移動の線速度は、10〜196μm/8.7μ秒=1.1〜22.8(m/s)と計算される。
(2)より低速のディフューザ移動によっても、ある程度のスペックル低減効果は得られる。1フレームを描画する毎(1/60=16.7m秒)に、ディフューザ5が異なるスペックルパターンを発生させればよい。1フレーム描画の度に、24μm正方のセル12の1個分だけディフューザ5を移動させるとすると、線速度は1.44mm/sとなる。
(2)の低速移動は、ボイスコイルモータやピエゾ素子等のアクチュエータによるリニア振動によって、比較的容易に実現できる。例えば振幅196μm(Peak to Peak値)、周波数10Hzでディフューザ5を振動させれば、線速度は6mm/sとなる。ディフューザ5の振動速度(周波数)は、3〜30Hzの範囲から選定される。
一方、(1)の高速移動は、(2)の低速移動によるフレームレートスペックル低減に対して付加的な効果をもたらす。リニア振動では、所望の効果を得るための高速移動を実現することが困難である。そこで、ディスク状のディフューザを用意し、これを光軸方向(Z方向)に垂直な面内で回転運動させる必要がある。例えば、ディフューザ面(光路が通過する部分であり凹凸パターンが形成された面)の回転半径を20mm、線速度を5m/sとすると、回転数は2400rpmとなる。
ディフューザ5によって散乱された光を効率よく、投射レンズ6に取り込むには、ディフューザ5による散乱角が、図7に示す投射レンズ6の取り込み角αよりも小さい必要がある。
この投射レンズ6の取り込み角αは、投射レンズのFナンバーによって規定される。例えば、Fナンバーが2.4の投射レンズ6の場合、取り込み角αは全角で24度となる。
実際には、ディフューザに入射する光が既に広がり角(約12度)を有しているので、散乱光の角度広がりは√(12)2+(12)2=17度と計算される。
この角度は投射レンズの取り込み角α(=24度)よりも小さな値なので、効率よく、散乱光を集光できる。
一方、ディフューザ5の格子サイズが3μmより大きい場合は、散乱角が小さくなるので、レンズの集光効率は改善する。ただし、格子のサイズがあまり大きいと、GLV素子の画素サイズ(25μm)と比較して無視できない大きさとなるので、スクリーン上画面へのディフューザ5のパターンの映り込みが問題となる。
また、ディフューザ5の凹凸パターンは、スクリーン上に投影された画像に、ディフューザ5のパターンが映り込まないほどの大きさに設定することが望ましい。
このように、ディフューザ5の凹凸パターン、特にその繰返し周期(ピッチ)等のサイズを設定することにより、効率よく投射レンズ6で光を取り込めると同時に、表示部のスクリーン上へのディフューザ5のパターンの映り込みを抑制することができる。
これにより、1次元型光変調素子1を用いて、素子の画素数を大幅に低減することができ、高解像度化に対応できると共に、スペックルノイズを低減して、良好な画像を得ることが可能になる。
これにより、光源からの光を効率よく画像表示に使用することができ、例えば画像表示に必要な電力量を低減することも可能になる。
本発明では、複数の発光部又は光変調部により1次元表示素子を構成し、この1次元表示素子からの光を走査する構成とする。
従って、1次元表示素子としては、上述の1次元型光変調素子1のように、複数の光変調部をライン状に配列した1次元光変調素子の他に、複数の発光部をライン状に配列した1次元発光表示素子を用いることが可能である。
前述したように、ガルバノミラー3などの光走査手段により走査して、2次元画像を得る場合、像面が円弧状となるため、投射レンズによるスクリーンへの投影には適さない。
ただし、この場合には、図8に概略図を示すように、2次元像のうち、光軸付近の中央部では光の光線方向L0が光軸と平行であるのに対して、光軸から遠い周辺部では、光の光線方向L1,L2が光軸に対して平行ではなく、光軸から離れる方向になっている。そのため、投射後の像の周辺部では、光量が低下してしまうことがある。
具体的には、図9に概略図を示すように、像面湾曲補正光学系4とディフューザ5との間に、テレセントリック補正を行う補正光学系21を設ける。この補正光学系21は、例えばリニアフレネルレンズなどの光線方向変更手段によって実現することができる。なお、図示しないその他の部分は、図1に示した投射型画像表示装置100と同様の構成とすることができる。
これにより、周辺部においても、光の光線方向L1,L2を光軸に対して平行にすることができる。
このようなディフューザ22は、ディフューザ22の周辺部において、適当なピッチのブレーズ(鋸波)型の段差形状を、光走査方向に垂直であり1次元像に平行である方向(図1のY方向に相当)にのみ形成することにより、構成することができる。
これにより、周辺部の光についても、光線方向が光軸に平行になるように、補正を行うことができる。
なお、図示しないその他の部分は、図1に示した投射型画像表示装置100と同様の構成とすることができる。
レーザ光を用いた投射型画像表示装置に対して、人が不意に、光路内から投射レンズを覗き込んだ場合、レーザビームを直接観察することとなり、強力なレーザ光による目の損傷を発生させる可能性がある。
この危険性を測る手段として、網膜上に結像されるレーザスポットの大きさが挙げられる。即ち、スポットが小さいほど、網膜上の光密度が高くなり、局所的な目の損傷を発生させる可能性が高くなる。この危険性を低減するには、網膜上のスポットサイズをなるべく大きく、かつ一様な強度分布にすることが望ましい。
この投射レンズの瞳位置における光の強度分布は、ディフューザによって散乱された光の散乱角度分布と一対一で対応する。
この結果、網膜損傷の危険性を低減することができる。
Claims (4)
- 複数の発光部又は光変調部を一方向に配列した1次元表示素子と、
前記1次元表示素子からの1次元像を結像するリレー光学系と、
前記リレー光学系で結像された1次元像を、前記1次元表示素子における発光部又は光変調部の配列方向と直交する面内において走査して2次元中間像を形成する光走査手段と、
前記2次元中間像を表示部へ拡大投射する投射レンズと、
前記1次元表示素子の画素サイズとほぼ同等のサイズに設定され、表面に正方形の凹部及び正方形の凸部から成る凹凸パターンが形成されたセルを使用して、前記セルをしきつめてユニットを構成して、同一の凹凸パターンが形成された前記ユニットを繰り返し前記2次元中間像のサイズ全面にしきつめて成り、前記光走査手段と前記投射レンズとの間に配置されたディフューザと、
前記ディフューザを、光軸方向に略垂直であり、かつ前記1次元像の方向に略平行な方向に駆動する駆動手段とを備え、
画像表示の際には、前記駆動手段により、前記ディフューザが、光軸方向に略垂直であり、かつ前記1次元像の方向に略平行な方向に駆動されて、前記ディフューザを通過する光に時間的な位相変調が与えられる
投射型画像表示装置。 - 前記ディフューザは、前記正方形の凹部及び正方形の凸部の一辺が3μmであり、前記セルが一辺24μmの正方形であり、前記ユニットが前記セルを64個しきつめて構成された一辺196μmの正方形である、請求項1に記載の投射型画像表示装置。
- 前記ディフューザを駆動する速度が、前記光走査手段により画像が1フレーム形成される毎に異なる位相を画像に与えるように設定されている請求項1または請求項2に記載の投射型画像表示装置。
- 前記ディフューザを駆動する速度が、前記光走査手段により1ライン分の画像が形成される時間内に異なる位相を画像に与えるように設定されている請求項1または請求項2に記載の投射型画像表示装置。
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