JP4534107B2 - 光配向材料及びこれを用いた光配向膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光配向材料に関するものであり、さらに詳しくは光を照射することでラビング処理を行うことなく液晶分子を配向させることのできる光配向材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場などの作用によって変化させ、これに伴う光学的特性の変化により表示素子などに利用している。多くの場合、液晶は2枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられるが、ここで液晶分子を特定の方向に配向させるために、基板の内部に配向処理が行われる。通常配向処理は、ガラスなどの基板にポリイミドなどの高分子膜を設け、これを布などで一方向に摩擦するラビング法が用いられる。これにより、基板に接する液晶分子はその長軸(ダイレクタ)がラビングの方向に平行になるように配列する。たとえば、ツイストネマチック(TN)セルでは2枚の直交した偏光板の間に、内側に弊硬膜が塗布された2枚の基板を対向させ、そのラビング方向が互いに直交するように配置し、光透過率の変化による表示を可能にしている。
【0003】
ラビング法は製造装置が簡単であるという利点を有するが、製造工程において静電気や埃が発生するため、配向処理後に洗浄工程が必要となるとともに、特に近年多く用いられているTFT(薄層トランジスタ)方式の液晶セルでは静電気によりあらかじめ基板に設けられたTFT素子が破壊され、これが製造における歩留まりを下げる原因になっている。
【0004】
一方、液晶表示素子においては、構成されている液晶分子の傾きに方向性があるため、表示素子を見る方向によって表示色やコントラストが変化するなどといった視野角依存性が問題となっている。
これを改善する方法の一つとして、1画素を分割して、領域ごとに液晶分子のプレチルト角(特開昭62−159119号公報)や配向方向(特開昭63−1006624号公報)を変える配向分割法が考案されている。このような分割領域ごとの配向は、従来のラビング法ではプロセスが煩雑で、実用には適さない。
【0005】
かかる問題を解決するために、近年ラビング法を行わない液晶配向制御技術が注目されている。このようなラビングレスの配向技術として、斜方蒸着法、LB(ラングミュアー−ブロジェット)膜法、フォトリソグラフィ法、光配向膜法などが検討されている。とりわけ偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射して、液晶配向性を生じさせる光配向法は簡便であり、盛んに研究が行われている。
この光配向のメカニズムとしては、有機分子中のアゾ基などによる光異性化、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基などによる光二量化、ベンゾフェノン基による光架橋、ポリイミドなどによる光分解、芳香族ポリエステルや芳香族ポリアミドなどによる分子内転移などが報告されている。
【0006】
光異性化、光二量化や光架橋を利用した光配向材料としては、ガラスなどの基板に塗布した際に均一な膜が得られるように、高分子材料が用いられることが多く、アゾ基、シンナモイル基等の感光性基は、この高分子材料の側鎖や主鎖に導入される場合が多い。また光配向性を有する分子をゲスト分子とし、高分子化合物からなるホスト化合物に分散させて用いる場合もある。
しかし、このような従来技術では、たとえば光異性化型の場合、偏光紫外線の照射による分子のcis−trans異性化を利用しているため、配向処理後、光が照射されると再び異性化を起こしてしまい、配向状態の安定性に問題がある。また、光分解型の場合、配向処理を行った際に生じる分解生成物により液晶が汚染されるおそれがあるため、処理後に基板を洗浄する必要があり、光配向膜の洗浄不要といった特長が失われる。
【0007】
光架橋型の場合では、ベンゾフェノン基によるものが知られている(特開平9−80440号公報)。この技術では、光架橋反応の進行に水素原子ドナーが必要となる。光配向材料中の化合物自体が水素原子ドナーとなる場合、化合物が分解して光分解型と同様に液晶を汚染させる原因となるし、均一に光架橋反応が起こるとは言い難い。光配向材料中の化合物の分解を防ぎ架橋反応の均一性を向上させるために、水素原子ドナー物質を故意に含有させても、同様に液晶汚染の原因となる。
【0008】
一方、分子内転移を利用した光配向材料としては、特開平9−230354号公報や長瀬らにより(The Proceedings of 6TH IDW '99,21,1999)、芳香族ポリエステルや芳香族ポリアミドなどが報告されている。ここでは特定の芳香族ポリアミドを使用した場合、液晶分子を高い傾斜配向角に配向させる材料が記載されている。しかしながら、記載されている芳香族ポリアミドを製造する場合は、毒性の高い芳香族アミンを原料とする必要がある。一方、ビスフェノールAを用いた芳香族ポリエステルの場合では、液晶の配向性が弱いと記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明が解決しようとする課題は、液晶汚染性がなく優れた表示性能、耐熱性を有した光配向材料、それを用いた光配向膜、及びそれを用いた液晶表示素子を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、(A)ビフェノール化合物と、芳香族ジカルボン酸化合物とからなる芳香族エステル化合物を含有する光配向材料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、(B)上記Aの光配向材料を用いた光配向膜、その製造方法、及びそれを用いた液晶表示素子を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、光分子内転移構造を有する芳香族エステル化合物を含有する光配向材料、それを用いた光配向膜、その製造方法、及びその光配向膜を用いた液晶表示素子に関するものである。
本発明の光分子内転移構造を有する芳香族エステル化合物は、芳香族ジカルボン酸化合物とビフェノール化合物とを重縮合反応することで得ることが出来る。
【0013】
芳香族ジカルボン酸化合物としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’− ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸の如き二官能芳香族カルボン酸などを挙げることができる。中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸が好ましい。
また、芳香族ジカルボン酸化合物の芳香環がアルキル基、ハロゲン基、アルキルエーテル基、シリル基、シラノール基などで置換されていても良い。
【0014】
これらの芳香族ジカルボン酸化合物は、単独または2種以上を併用してもよく、特にテレフタル酸とイソフタル酸の併用が好ましい。イソフタル酸、又はイソフタル酸とテレフタル酸との併用であるものは、100℃以下の低沸点の溶媒に対しても溶解性が高く、中でもイソフタル酸:テレフタル酸のモル比が60:40から100:0が溶解性が特に高く好ましく、70:30から90:10がより好ましい。
【0015】
これらの芳香族ジカルボン酸化合物は、このままの形で反応を行う他、ジカルボン酸化合物のエステル化物や酸クロライド物としても用いることもできる。例えば、界面重合法や、溶液重合法では、ジカルボン酸化合物の酸クロライド物を用い、溶融重合法では、ジカルボン酸化合物やそのカルボン酸エステルを用いる。
【0016】
ビフェノール化合物としては、例えば、4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ビフェノールなどを挙げることができる。中でも溶媒に対する溶解性や耐熱性の面から3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールを使用することが好ましい。また、これらのビフェノール化合物は、単独または2種以上を併用してもよい。
【0017】
芳香族エステル化合物の末端は、フェノール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−オクチルフェノールなどの1価のヒドロキシ化合物、または、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、安息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert―ブチル安息香酸などの1価のカルボン酸化合物などにより封止してもよい。
【0018】
本発明の芳香族エステル化合物のガラス転移点(以下、Tgと略す)は60℃以上であれば特に限定されないが、180℃以上であることが好ましい。これより低い温度では耐熱性が不十分であり、液晶セル作成に必要な加熱工程、例えば配向膜基板同士の接着に熱硬化樹脂を使用した場合、液晶セルの加熱工程があり、これにより配向膜が可塑化してし、配向性能が失われてしまう場合がある。これらの加熱工程はおおよそ170℃前後で行われることが多いため、このような処理に耐えられる配向膜材料としてはTgが180℃以上のものが好ましい。
【0019】
本発明のエステル化合物として、具体的には、一般式(1)
【化2】
【0020】
(式中、Rは各々独立して水素原子又は1〜8個の炭素原子を含むアルキル基を示す。)で表されるものを用いることが好ましく、中でもRが全てメチル基のものが、光配向性能やTgのバランスが良いのでより好ましい。
【0021】
本発明の光分子内転移構造を有する芳香族エステル化合物は、一般的に用いられるエステル重縮合反応で製造することができる。例えば、ジカルボン酸化合物のエステル化物とジヒドロキシ化合物を反応させるエステル交換重縮合法、ジカルボン酸化合物のアセテート化物とジヒドロキシ化合物を反応させる脱酢酸重縮合法、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物を反応させる直接重縮合法、溶媒中でピリジンなどの塩基成分の存在下、ジカルボン酸クロライドとジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させる溶液縮合法、有機溶媒中のジカルボン酸クロライドとアルカリ水中のジヒドロキシ化合物も反応させる界面重縮合法などが挙げられる。
【0022】
これらの方法のうち、一般式(1)で示される芳香族エステル化合物を製造する場合は、芳香族ジカルボン酸化合物として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、又はこれらを併用したものを用い、ビフェノール化合物として、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールを用いて、脱酢酸重縮合法または界面重縮合法により製造することができる。
【0023】
こうして得られた芳香族エステル化合物の重量平均分子量は、600〜1,000,000が好ましく、物性や取り扱い上のバランスから、10,000〜500,000がより好ましく、100,000〜200,000が最も好ましい。
【0024】
本発明の芳香族エステル化合物は、原料の一部に脂肪族ジカルボン酸化合物や脂肪族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールAの如き芳香族ビスフェノールを併用してもなんら差し支えない。また、本発明の芳香族エステル化合物は通常単独で用いられるが、ポリビニルアルコールやポリイミド等の高分子材料と混合して用いても差し支えない。
【0025】
本発明の光配向材料は、適切な溶媒に溶解して光配向溶液とし、光配向膜を作成する。溶媒としては、公知慣用の物が使用できるが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、アニソール、クレゾール、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム等が一般的に用いられる。中でも一般式(1)で示される繰り返し構造を有する芳香族エステル化合物は低沸点溶媒に対しても良好な溶解性を示すため、これらを溶媒とすることが特に好ましい。特にテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムなどの低沸点溶媒を使用すると、製膜の工程、例えばガラス等の基板上にスピンコーティング法、印刷法等の方法によって塗布し、基板上に配向膜を形成させるのに、特に加熱をしなくともすばやく溶媒の除去ができ、高速製膜が可能となって、生産性を上げることができるため好ましい。
【0026】
製膜後は、光配向操作を行う。この光配向操作は、偏光を照射することによって行われる。偏光の波長は分子内転移が効率よく光反応する波長が選ばれ、可視光線、紫外線等が挙げられるが、中でも紫外線が好ましい。また、偏光は、直線偏光や楕円偏光が多く用いられる。特にキセノンランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の紫外光源からの光を偏光フィルタやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムを通して得られる直線偏光が好ましい。このとき、液晶分子のプレチルトを得るために、偏光を基板に対して斜め方向から照射する方法や、偏光照射後に斜め方向から無偏光の光を照射する方法を用いても良い。
【0027】
本発明の光配向膜を用いた液晶表示素子の作製方法の一例を以下に述べる。ITO等の透明電極を設けた二枚のガラス基板の電極を設けた面に本発明の光配向材料溶液を塗布し、乾燥後、光配向操作を行い。光配向膜基板を得る。
これらの光配向膜基板の周囲に例えばスペーサーとしてのスチレンビーズを含んだエポキシ系接着剤を液晶注入口を残して塗布し、配向面が相対するように、かつ偏光光の方向が直交する向きに重ねあわせて圧着し、接着剤を加熱硬化させる 接着させた光配向膜基板の間隙に液晶を注入し、このようにして作製した液晶セルの外側にそれぞれの基板における光配向膜の配向方向と透過する偏光方向とが一致するように偏光板を貼り付けることで液晶表示素子が得られる。
【0028】
本発明においては、光分子内転移構造を有する芳香族エステル化合物を含有する光配向材料を基板上に塗布した後乾燥し、次いで偏光を照射して、熱に対する安定性の高い光配向膜を得る。また、今発明の芳香族エステル化合物は溶媒溶解性が高く、低い沸点の溶媒にも溶けるため、塗布後の乾燥に加熱する必要がなく、また短時間で乾燥するので高い生産性を得られるという特長を有する。
【0029】
【実施例】
以下、合成例、比較合成例、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの範囲に限定されるものではない。
【0030】
[合成例1]
撹拌翼、留出装置を備えた反応器に3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール 24.23g(0.10モル)、無水酢酸22.46g(0.22モル)、テレフタル酸3.32g(0.02モル)、イソフタル酸13.29g(0.08モル)を仕込み、撹拌しながら140℃で7時間の還流操作を行った。その後1時間をかけて内温を250℃まで昇温しながら、26Paまで反応器内を減圧した。そのまま250℃に6時間保持し、さらに1時間かけて280℃まで温度を上げた。その間、留出する酢酸は留出器を通して系外に抜き出した。280℃を2時間保持した後、一旦反応器から生成物を取り出した。得られた生成物を粉末にした後、これをナス型フラスコに仕込んで、フラスコを回転しながら13Paの減圧下で280℃に3時間保持して、芳香族エステル化合物の粉末を得た。
【0031】
得られた芳香族エステル化合物の粉末をジクロロメタンに一旦溶かした後、アセトン中に注ぎ沈殿を得た。得られた沈殿をさらにアセトンで洗浄し、真空乾燥器にて80℃、100Paで2時間乾燥して35gの芳香族エステル化合物を得た。この芳香族エステル化合物の重量平均分子量をGPCで測定したところ120,000であった。これをジクロロメタンに溶解し10%溶液とし、ガラス板上に塗布し、乾燥して厚さ80μmのフィルムを得た。このフィルムのTgをセイコー電子工業株式会社製の粘弾性スペクトロメータ(EXSTAR6000DMS)を用いてサンプル幅5mm、昇温速度1℃/分、周波数1Hzの条件で測定したところ、tanδピーク温度から見たガラス転移点は283℃であった。
【0032】
[合成例2]
撹拌翼、窒素導入口を備えた反応器に脱酸素水500mlを仕込み、窒素を導入しながら水酸化ナトリウム8.8g(0.22モル)を溶解させた。この溶液に3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール 24.23g(0.10モル)を溶解し水溶液を得た。別に、テレフタル酸クロライド4.06g(0.02モル)、イソフタル酸クロライド16.24g(0.08モル)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド0.68gをジクロロメタン450mlに溶解し、有機溶液を得た。水溶液を窒素気流下で撹拌しながら、有機溶液を加え、25℃で30分間撹拌を続けた。次いで水溶液相を取り除いた後、生成物を含む有機溶液相をイオン交換水で洗浄した。
【0033】
この有機溶液をアセトン中に注ぎ沈殿を得た。得られた沈殿をさらにアセトンで洗浄し、真空乾燥器にて80℃、100Paで2時間乾燥して32gの芳香族エステル化合物を得た。この芳香族エステル化合物の重量平均分子量をGPCで測定したところ220,000であった。これをジクロロメタンに溶解し10%溶液とし、ガラス板上に塗布し、乾燥して厚さ80μmのフィルムを得た。このフィルムのTgを粘弾性スペクトロメータを用いてサンプル幅5mm、昇温速度1℃/分、周波数1Hzの条件で測定したところ、tanδピーク温度から見たガラス転移点は286℃であった。
【0034】
[比較合成例1]
合成例1の3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール 24.23g(0.10モル)を4,4’−イソプロピリデン−ジフェノール22.83g(0.10モル)に代えた以外は同様の操作を行い、32gの芳香族エステル化合物を得た。この芳香族エステル化合物の重量平均分子量は120,000、ガラス転移点は162℃であった。
【0035】
[比較合成例2]
合成例2の3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール 24.23g(0.10モル)4,4’−イソプロピリデン−ジフェノール22.83g(0.10モル)に代えた以外は同様の操作を行い、30gの芳香族エステル化合物を得た。この芳香族エステル化合物の重量平均分子量は240,000、ガラス転移点は167℃であった。
【0036】
以上の合成例及び比較合成例により得られた光配向材料を用いて、光配向膜を作成し、物性評価を行った。光配向膜の作成方法及び物性評価方法は、下記の方法に従い行った。
【0037】
[光配向膜の作成方法]
a.光配向材料溶液の調製
上記合成例で得られた芳香族エステル化合物を、ジクロロメタンに溶かして、固形分濃度2%溶液とし、これを0.1μmのフィルターでろ過し、光配向材料溶液とした。
【0038】
b.光配向膜作成
上記a.の方法で得られた光配向材料溶液を、スピンコーターにてITO電極付ガラス基板上に均一に塗布し、室温で30分間、乾燥を行った。次に、得られた塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で30J/cm2の365nm付近の直線偏光した紫外光を照射し、光配向膜を作成した。
【0039】
c.液晶セルの作成
上記b.で得られた光配向膜基板の周囲に直径8μmのスチレンビーズを含んだエポキシ系接着剤を液晶注入口を残して塗布し、配向面が相対するように、かつ偏光の方向が直交する向きに重ねあわせて圧着し、接着剤を150℃、90分かけて硬化させた。次いで、液晶注入口よりネマチック液晶(5CB)をアイソトロピック相で真空注入し充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。
【0040】
[光配向膜の評価方法]
a.液晶配向性評価
上記c.の方法で得られた液晶セルを、偏光方向が直交する2枚の偏光板の間に挟み、電極間に5Vの電圧を印加してON/OFFし、明暗をスイッチングさせることにより、液晶の配向性を評価した。
【0041】
b.電圧保持率の測定
上記c.の方法で得られた液晶セルに、5Vの直流電圧を64マイクロ秒間印加し、つづいて16.6ミリ秒間開放した後の初期印加電圧に対する電圧の保持率を測定した。
【0042】
[実施例1]
合成例1で得られた芳香族エステル化合物を用いて、上記光配向膜の作成方法に従い、光配向膜を作成した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作成し、上記評価方法に従い物性評価を行った。
この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向性は良好であった。
【0043】
[実施例2]
合成例2で得られた芳香族エステル化合物を用いて、実施例1と同様の方法で光配向膜を作成した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作成し、上記評価方法に従い物性評価を行った。
この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向性は良好であった。
【0044】
[比較例1]
比較合成例1で得られた芳香族エステル化合物を用いて、実施例1と同様の方法で光配向膜を作成した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作成し、上記評価方法に従い物性評価を行った。
この結果、電圧保持率は63%、また液晶配向性は見られなかった。
【0045】
[比較例1]
比較合成例2で得られた芳香族エステル化合物を用いて、実施例1と同様の方法で光配向膜を作成した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作成し、上記評価方法に従い物性評価を行った。
この結果、電圧保持率は75%、また液晶配向性は見られなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の芳香族エステル化合物を含有する光配向材料は、溶媒溶解性が高く、低沸点の溶媒にも溶けるため、塗布後の乾燥に加熱する必要がなく、短時間で乾燥するので生産性に優れる。また得られた光配向膜は、液晶汚染性がなく、Tgが高い為、熱に対する安定性が高く、これを用いた液晶表示素子は、高い電圧保持率と、良好な配向安定性とを有する。
Claims (10)
- ビフェノール化合物と、芳香族ジカルボン酸化合物とからなる芳香族エステル化合物を含有する光を照射することで分子を配向させる機能が発現する光液晶配向材料。
- 配向させる分子が液晶分子である請求項1記載の光液晶配向材料。
- 芳香族ジカルボン酸化合物がイソフタル酸及び/又はテレフタル酸であり、イソフタル酸:テレフタル酸のモル比が60:40から100:0であることを特長とする請求項1又は2に記載の光液晶配向材料。
- 一般式(1)のRが、全てメチル基であることを特長とする請求項4に記載の光液晶配向材料。
- 芳香族エステル化合物の重量平均分子量が、600〜1,000,000である請求項1〜5のいずれか1つに記載の光液晶配向材料。
- 請求項1〜6のいずれか1つに記載の光液晶配向材料を用いた光液晶配向膜。
- 請求項7に記載の光液晶配向膜を用いた液晶表示素子。
- 請求項1〜6のいずれか1つに記載の光液晶配向材料を基板上に塗布した後乾燥し、次いで偏光を照射する光液晶配向膜の製造方法。
- 照射する偏光が紫外線である請求項9に記載の光液晶配向膜の製造方法。
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