JP2002265442A - マレイミド誘導体及びそれを用いた光配向膜の製造方法 - Google Patents
マレイミド誘導体及びそれを用いた光配向膜の製造方法Info
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Abstract
有し、かつ良好な配向安定性と光や熱に対する十分な耐
久性を有する光配向膜を提供すること。 【構成】光二量化反応又は光異性化反応により光配向性
を示す構造単位をグラフトした2官能マレイミド誘導
体、それを含有する光配向材料、及びそれを用いて、ラ
ビングを行うことなく液晶分子を配向させることのでき
る光配向膜の製造方法。
Description
関し、特に光を照射することで、ラビングを行うことな
く液晶分子を配向させることのできる光配向膜に関す
る。本発明の光配向膜は、液晶表示素子用等の液晶配向
膜として好適に用いられる。
列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴
う光学的特性の変化を表示に利用している。多くの場
合、液晶は二枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられる
が、ここで液晶分子を特定の方向に配列させるために、
基板の内側に配向処理が行われる。
イミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩
擦する、ラビングという方法が用いられる。これによ
り、基板に接する液晶分子はその長軸(ダイレクタ)が
ラビングの方向に平行になるように配列する。例えば、
ツイストネマチック(TN)セルでは二枚の直交した偏
光板の間に、内側に配向膜が塗布された二枚の基板を対
向させ、そのラビング方向が互いに直交するように配置
し、光透過率の変化による表示を可能にしている。
単であるという利点を有するものの、製造工程において
静電気や埃が発生するため、配向処理後に洗浄工程が必
要となるとともに、特に近年多く用いられているTFT
方式の液晶セルでは静電気によりあらかじめ基板に設け
られたTFT素子が破壊され、これが製造における歩留
まりを下げる原因にもなっている。一方、液晶表示素子
においては構成されている液晶分子の傾きに方向性があ
るため、表示素子を見る方向によって表示色やコントラ
ストが変化する等といった視野角依存性が問題となって
いる。
素を分割して、領域ごとに液晶分子のプレチルト角(特
開昭62−159119号公報)や配向方向(特開昭6
3−106624号公報)を変える配向分割法が考案さ
れている。このような、分割領域ごとの配向は、従来の
ラビング法ではプロセスが煩雑で実用には適さない。
グを行わない液晶配向制御技術が注目されている。この
ようなラビングレスの配向技術としては、斜方蒸着法、
LB(ラングミュアー−ブロジェット)膜法、フォトリ
ソグラフィ法、光配向法等が検討されてきた。とりわ
け、偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射し
て、液晶配向性を生じさせる光配向法は簡便であり、配
向処理後に洗浄工程が不必要であり、さらにフォトマス
ク等を用いることにより上記の配向分割を容易に行うこ
とができるため、盛んに研究が行われている。この光配
向機構としては、例えばアゾベンゼン基等の光異性化に
よるもの、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基、
ベンゾフェノン基等の光二量化反応によるもの、ポリイ
ミド樹脂等の光分解によるもの等が報告されている。
を利用した光配向材料は、ガラス等の基板に塗布した際
に均一な膜が得られるように、ポリマーなどの高分子化
合物が用いられることが多く、アゾベンゼン基、シンナ
モイル基等の光配向性を示す構成単位がこの高分子化合
物の側鎖や主鎖に導入される場合が多い。また、光配向
性を有する分子をゲスト分子とし、高分子化合物からな
るホスト化合物に分散させて用いる場合もある。
照射による分子の可逆的な異性化反応を利用しているこ
とが多いため、光配向処理後の光安定性に問題がある。
また、光分解型の場合、光配向処理を行った際に生じる
分解生成物により液晶が汚染されるおそれがあるため、
処理後に基板を洗浄する必要があり、光配向膜の洗浄不
要といった特長が失われる。また、高分子化合物を用い
た光配向材料の多くは溶剤に対する溶解性が低く、基板
に塗布する際に使用できる溶媒の種類が限られるといっ
た問題がある。
光異性化可能であって二色性を示す構成単位及び反応性
官能基を有する樹脂を使用した液晶配向膜が開示されて
いるが、この材料は高分子化合物であり、基板に塗布す
る際に使用できる溶媒の種類が限られ、一般にN,N−
ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドンの
ような高沸点の極性溶媒が使用される。この場合、塗布
後に溶媒を揮発させるために長時間を要し、生産性を低
下させる。さらに、従来の光配向膜材料の多くは熱的安
定性に関しても不十分であるという問題もある。
配向能が長期間安定に得られるようにする方法の例とし
ては、偏光照射によって配向性を示す構成単位付加した
重合性モノマーを熱もしくは光重合させ、かつ偏光照射
によって光配向させる方法がある。しかし多くの場合、
モノマーを熱もしくは光重合させるには重合開始剤の添
加が必要となる。この重合開始剤は低分子化合物である
ため、光配向膜の硬化後であっても、長期間が経過する
と、セル内の液晶層に重合開始剤が拡散し、液晶表示素
子としての特性、例えば電圧保持率を劣化させるおそれ
がある。
マレイミド基がある。このマレイミド基を有する化合物
を用いた光配向膜は特開2000−53766号公報や
特許2962473号公報に開示されている。これらは
ポリマレイミドに光配向性基を側鎖として付加した高分
子化合物であり、やはり前記したような溶剤に対する溶
解性の問題がある他、耐熱性や液晶配向能の長期安定性
についても未だ不十分である可能性がある。
する課題は、溶剤溶解性が高く生産性に優れ、かつ良好
な電圧保持率等の液晶表示素子特性を有し、良好な配向
安定性と光や熱に対する十分な耐久性を有する光配向材
料を提供することにある。
を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のマレイミド
誘導体を用いることにより、上記課題を解決できること
を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は上記課題を解決するために、
合、アルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレ
ン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素
基、もしくは、これらの炭化水素基の複数個が単結合、
エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタ
ン結合からなる群より選ばれる結合基で連結している有
機基を表す。R4は3価の炭化水素基を表す。R5は光配
向性を示す構成単位を表し、R6、R7、R8及びR9は各
々、水素原子、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、
フェニル基またはハロゲン原子を表す。)で表されるマ
レイミド誘導体を提供する。
有する光配向材料、及び、それを用いた光配向膜の製造
方法を提供する。
位を含む特定の2官能マレイミド誘導体を含有する光配
向材料、及びそれを用いた光配向膜に関するものであ
る。
ることで二量化、異性化等の配向性が得られるような光
反応を生じる構成単位を有するマレイミド誘導体であ
り、具体的には一般式(1)、
合、アルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレ
ン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素
基、もしくは、これらの炭化水素基の複数個が単結合、
エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタ
ン結合からなる群より選ばれる結合基で連結している有
機基を表す。R4は3価の炭化水素基を表す。R5は光配
向性を示す構成単位を表し、R6、R7、R8及びR9は各
々、水素原子、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、
フェニル基またはハロゲン原子を表す。)で表される。
各々、単結合、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、
シクロアルキレン基、及びアリーレン基からなる群より
選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を表す。これらの
炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチレン
基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、
ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン
基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン
基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖
状アルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレ
ン基の如きシクロアルキレン基;フェニレン基の如きア
リーレン基が挙げられる。
げた炭化水素基の複数個が単結合、エステル結合、エー
テル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群よ
り選ばれる結合基で連結していてもよい。中でも、エス
テル結合、エーテル結合が好ましい。このような連結さ
れた有機基としては、具体的には、例えば、少なくとも
2つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された(ポ
リ)エーテルから構成される基、少なくとの2つの炭化
水素基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルか
ら構成される基、少なくとも2つの炭化水素基が、アミ
ド結合で結合された(ポリ)アミドから構成される基、
少なくとも2つの炭化水素基がウレタン結合で結合され
た、(ポリ)ウレタンから構成される基や、少なくとも
2つの炭化水素基が、エーテル結合された(ポリ)エー
テル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル
化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル
(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げら
れる。
素基を表す。価すなわち遊離原子価は炭化水素基のどの
部位に存在しても良く、3つの価のうち2つに、上記R
1、R2で表される有機基を介してマレイミド基が、1つ
に、R3で表される有機基を介しR5で表される光配向性
を示す構成単位が結合する。これらの炭化水素基は、直
鎖状でも分岐状でも構わない。具体的には、例えばメチ
リジン基、エチリジン基、プロパニリジン基、ブタニリ
ジン基、1−エタニル−2−イリデン基、1,2,3−
プロパントリイル基、1−プロパニル−3−イリデン
基、1,2,4−ブタントリイル基、1−ブタニル−4
−イリデン基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,
3,5−ペンタントリイル基、1−ペンタニル−5−イ
リデン基、1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,
6−ヘキサントリイル基、1−ヘキサニル−6−イリデ
ン基、2−プロパニル−1−イリデン基、2−メチレン
−1,3−プロパンジイル基、1−プロパニル−3−イ
リデン基、3−ブタニル−1−イリデン基、1,2,3
−ブタントリイル基、1−ブタニル−2−イリデン基、
2−メチル−1−プロパニル−3−イリデン基、2−メ
チル−1,2,3−プロパントリイル基、
ル基、2−ブタニル−1−イリデン基、2−ブタニル−
3−イリデン基、2−ブタニル−4−イリデン基、の如
き3価の非環式炭化水素よりなる基;1,2,3−シク
ロペンタントリイル基、1,2,5−シクロペンタント
リイル基、1−シクロペンチル−2−イリデン基、1−
シクロペンチル−3−イリデン基、1,2,3−シクロ
ヘキサントリイル基、1,2,4−シクロヘキサントリ
イル基、1,3,5−シクロヘキサントリイル基、1−
シクロヘキシル−2−イリデン基、1−シクロヘキシル
−3−イリデン基、1−シクロヘキシル−4−イリデン
基、シクロヘキシルメチリジン基、4−シクロへキシレ
ンメチレン基、1−シクロヘキシル−2−エタニル−1
−イリデンの如き環式脂肪族炭化水素を含む3価の炭化
水素よりなる基;1,3,5−ベンゼントリイル基、ベ
ンジリジン基、2−フェニル−1,2,3−プロパント
リイル基の如き芳香族炭化水素を含む3価の炭化水素よ
りなる基等が挙げられる。
照射することで二量化反応又は異性化反応のような、配
向性を示す光反応を生じる構成単位(以下、光配向性を
示す構成単位と略す)を表す。光配向性を示す構成単位
としては特に限定されないが、中でも、C=C、C=
N、N=N、及びC=Oからなる群より選ばれる少なく
とも一つの二重結合(但し、芳香環を形成する二重結合
を除く)を有する構成単位が特に好ましく用いられる。
は、以下のものが挙げられる。例えば、C=C結合を有
する構成単位としては、ポリエン、スチルベン、スチル
バゾール、スチルバゾリウム、シンナメート、ヘミチオ
インジゴ、カルコン等の骨格が挙げられる。C=N結合
を有する構成単位としては、芳香族シッフ塩基、芳香族
ヒドラゾン等の骨格が挙げられる。N=N結合を有する
構成単位としては、アゾベンゼン、アゾナフタレン、芳
香族複素環アゾ、ビスアゾ、ホルマザン等のアゾ骨格
や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられ
る。C=O結合を有する構成単位としては、ベンゾフェ
ノン、クマリン、アントラキノン等の骨格が挙げられ
る。
れる。勿論、これらの構造にアルキル基、アルコキシ
基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロ
ゲン化アルキル基等の1つ以上の残基が結合していても
差し支えない。
ンナメート、クマリン、カルコン、又はベンゾフェノン
の骨格、あるいは、光異性化反応により光配向性を示す
アゾベンゼン又はアントラキノンの骨格を有する光配向
性基を有するマレイミド誘導体は、光配向に必要な偏光
の照射量が少なく、かつ得られた光配向膜の熱安定性、
経時安定性が優れているため、特に好ましく、シンナメ
ート、クマリン、カルコン、又はベンゾフェノンの骨格
を有するマレイミド誘導体が最も好ましい。
はエステル結合、エーテル結合、アミド結合、又はウレ
タン結合等の結合基を介してR1と結合している。
メチル基、エチル基等の1〜8個の炭素原子を含むアル
キル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。
を示す構成単位の導入密度を調整し、液晶の配向状態を
向上させる目的、あるいは一般式(1)で表される光配
向性を示す構成単位を含むマレイミド誘導体の結晶性を
下げ、基板に対する塗布性、成膜性を改善する目的等で
下記一般式(2)で示されるような光配向性を示す構成
単位を含まないマレイミド化合物を適宜混合したものを
塗布し、一般式(1)で表される光配向性を示す構成単
位を含むマレイミド誘導体と共重合させても良い。この
光配向性を示す構成単位を含まないマレイミド誘導体の
混合割合は全体に対し0〜80重量%の範囲内であるこ
とが好ましく、特に好ましくは0〜50重量%の範囲で
ある。
アルキレン鎖、シクロアルキレン基、及びアリール基か
らなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基、も
しくは、これらの炭化水素基の複数個が単結合、エステ
ル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合
からなる群より選ばれる結合基で連結している有機基を
表す。R11、R12、R13及びR14は各々、水素原子、1
〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基または
ハロゲン原子を表す。)
立して、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン鎖、シクロ
アルキレン基、及びアリール基からなる群より選ばれる
少なくとも1つの炭化水素基を表す。
は、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン
基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチ
レン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメ
チレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデ
カメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエ
チレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−
トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−
メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレ
ン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチルペン
タメチレン基、ネオペンチル基の如き分岐アルキル基を
有するアルキレン基;
の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジ
フェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン
基、1−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖または
側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シク
ロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン
基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖
あるいは側鎖にシクロアルキル基を有するシクロアルキ
ル−アルキレン基等が挙げられる。
素基の複数個が、単結合、エステル結合、エーテル結
合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ば
れる結合基で連結しても良い。
には、例えば、少なくとも2つの炭化水素基が、エーテ
ル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される
基、少なくとの1つの炭化水素基がエステル結合で結合
された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも
2つの炭化水素基が、エーテル結合された(ポリ)エー
テル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル
化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル
(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げら
れる。
子、メチル基、エチル基等の1〜8個の炭素原子を含む
アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。
成単位(以下、光配向性を示す構成単位を光配向性基と
略す。)を有する一般式(1)のマレイミド誘導体を含
有することを特徴とする。次に、本発明の光配向材料を
用いて、光配向膜とこれを具備した液晶表示素子を製造
する方法の例を述べる。
して用いる。この際、溶媒は特に限定されないが、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ブチルセロ
ソルブ、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロ
フラン等が一般的に用いられる。中でもN−メチルピロ
リドン、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、は塗
布性が良好で、均一な膜が得られることから、特に好ま
しい。
スピンコーティング法、印刷法等の方法によって塗布
し、乾燥後、マレイミド基の重合および光配向性基の配
向操作を行う。マレイミド基の重合は光照射もしくは加
熱によって行われる。光による重合操作は、既に配向し
た光配向性基に影響を与える恐れがあるため、光配向性
基の配向に先立って行うことが好ましいが、アゾベンゼ
ンのような可逆的な光異性化による光配向の状態を固定
化する目的で、光配向を行った後にマレイミド基の重合
操作を行う場合もある。
性基の配向が生ずる光の波長とが異なる場合、光による
重合操作は、光配向の生じない、マレイミド基が重合す
る光の波長にできるだけ近い波長の光を用いることが好
ましい。一方、マレイミド基が重合する光の波長と光配
向性基の配向が生ずる光の波長とが近い場合には、マレ
イミド基の重合と光配向性基の光配向操作を一回の光照
射で同時に行うことが可能である。このようなマレイミ
ド基の光重合に用いる照射光は特に限定されないが、紫
外線が好ましく用いられる。照射方法についても特に限
定されず、無偏光あるいは直線偏光、楕円偏光などの偏
光が用いられる。
って行う場合は、その工程は光配向性基の配向操作の前
後いずれでも良い。また、マレイミド基を完全に重合さ
せるために、最初に光照射又は加熱で重合を行い、次に
光配向操作を行った後、再び光照射又は加熱を行っても
良い。
光の光を照射することによって行われる。照射光の波長
は光配向性基が効率よく光反応する波長が選ばれ、可視
光線、紫外線等が挙げられるが、特に紫外線が好まし
い。照射方法は特に限定されないが、例えば、偏光を照
射して光配向操作を行う場合は、直線偏光や楕円偏光が
多く用いられる。このとき、液晶分子のプレチルトを得
るために、偏光を基板に対して斜め方向から照射する方
法や、偏光照射後に斜め方向から無偏光の光を照射する
方法を用いても良い。また、無偏光のみを照射して光配
向を行う場合は、基板に対して斜め方向から照射する方
法が好ましい。
前記配向膜が形成された2枚の基板を配向膜に照射した
偏光の方向が所定の角度となるようにした上で、所定の
大きさのスペーサーを介して対向させることによって構
成される。この液晶セルに液晶を充填する際には、液晶
が等方相となる温度にまで加熱した後、毛細管法、真空
注入法によって充填することが好ましい。
香酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキ
サンカルボン酸4’−置換フェニルエステル、4−置換
シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)
安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換
シクロヘキシル)安息香酸4’−置換フェニルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置
換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェ
ニル、4−置換フェニル−4’−置換シクロヘキサン、
4−置換4”―置換ターフェニル、4−置換ビフェニル
4’―置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)
−5−置換ピリミジン等を挙げることができる。
レイミド誘導体を含有する光配向材料を基板に塗布した
後、マレイミド基を重合させ、さらに光配向性基を配向
することによって光配向膜を得る。塗布する材料がモノ
マーであるため、溶剤溶解性が高く、塗布が容易である
という特徴を有する。また、両末端にマレイミド基を有
していることから、重合後は架橋構造となるため、光や
熱に対する安定性が高い光配向膜が得られる。また、光
配向性基がマレイミド基を有する主鎖に対して側鎖とな
るように結合しているため、マレイミド基が重合した後
も、光配向性基の自由度が高く、光の照射により高感度
でかつ大きなプレチルト角を有する配向膜が得られる。
を必要としないため、液晶セル作製後に、液晶中に重合
開始剤が溶出することがなく、電圧保持率の低下等、液
晶表示素子の性能劣化の原因を取り除くことができる。
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの
実施例の範囲に限定されるものではない。
及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの4つ口フ
ラスコに、トルエン140g、p−トルエンスルホン酸
一水和物5.2g及びトリエチルアミン2.8gを順次
仕込み、撹拌しながら無水マレイン酸30gを加えた
後、30℃まで昇温させながら溶解させた。さらにグリ
シン23gを加えた後、撹拌しながら70℃で3時間反
応させた。トルエン50g、トリエチルアミン60gを
加え、溶媒を加熱還流させて生成する水を除去しながら
1時間反応させた。反応混合物から溶媒を留去して得ら
れた残留物に、4mol/dm3塩酸を加えてpH2に
調整した後、加熱−再結晶して、マレイミド酢酸の淡黄
色固体7.3gを得た。
ル−5−(ブロモメチル)−1,3−ジオキサン(化合
物A)の合成 撹拌機、温度計及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却
管を備えた容量500ミリリットル4つ口フラスコに、
トリメチロールプロパン67.1g、2,2−ジメトキ
シプロパン57.3g、トルエン100g及びp−トル
エンスルホン酸一水和物2.9gを入れ、60℃で3時
間撹拌した。冷却後、炭酸カリウム 2.5gを加え、
一晩室温で撹拌した。フラスコ内の固体を濾過で除き、
減圧下、溶媒を留去して中間体A80.6g(液体)を
得た。
シウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量500ミリリ
ットル4つ口フラスコに中間体A43.8g、四臭化炭
素116.6g及びN,N−ジメチルホルムアミド30
0mlを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら氷塩浴で充
分に冷却させ、トリフェニルフォスフィン91.9gを
少しずつ、液温が0℃を越えないように加えた。トリフ
ェニルフォスフィン添加終了後、30分氷塩浴中で撹拌
し、その後、氷浴中で1時間、室温で2時間撹拌した
後、溶媒を50℃で減圧下、留去した。濃縮された混合
物をアセトン−ヘキサン混合溶媒(1/3)200gで
3回抽出し、得られた抽出液をシリカゲルを用いたカラ
ムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物A 47
gを得た。(収率 79%)
シウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量100ミリリ
ットルの3つ口フラスコに化合物A11.9g、7−ヒ
ドロキシクマリン8.3g、N−メチルピロリドン40
gを加えて撹拌した。均一な溶液になったところで、炭
酸カリウム7.1gを加え、150℃で2時間反応させ
た。冷却後、減圧下、溶媒を留去し、濃縮された混合物
を4リットルの酢酸エチルに溶解した。この溶液を50
0gの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に
溶媒を減圧下、留去した。得られた13.5gの固体を
テトラヒドロフラン100gに溶かし、6%塩酸 30
gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去
し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥した。
及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フ
ラスコに、上で得られた固体9.4g、マレイミド酢酸
12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8
g、ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリッ
トルを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を
還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させ
た。反応終了後、反応液にトルエン 200ミリリット
ルを加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このト
ルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を
留去して得られた固体をシリカゲルを用いたカラムクロ
マトグラフィーで精製することにより式(3)
及び冷却管を備えた容量300ミリリットル4つ口フラ
スコに、2−ブロモエタノール6.3gをいれ、氷浴に
よる冷却下、撹拌しながらN−メチルピロリドン10g
を加えた。これにp−トルエンスルホン酸一水和物2m
gを加え、ジヒドロピラン4.2gを約10分かけて滴
下した。氷冷下で2時間撹拌し、さらに室温で2時間撹
拌した後、7−ヒドロキシクマリン8.5gおよび炭酸
カリウム6.9gを加え、120℃で3時間反応した。
冷却後、100mlの水に反応混合物を加え、100m
lのトルエンで2回抽出し、得られたトルエン層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去し
た。得られた残渣にメタノール45g、水7g、濃塩酸
0.5gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去後、
トルエン250gを加えて溶液とし、50gの水で2回
洗浄した。
00ミリリットル3つ口フラスコに、上で得られたトル
エン溶液を入れ、参考例2で合成した化合物A10.5
g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.9g及び4
0パーセント水酸化ナトリウム水溶液80gを加え、撹
拌しながら5時間還流した。冷却後、この混合物を分液
ロートに移して、水層を分離、除去し、20gの水で3
回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧下で溶媒を留
去し、残渣をテトラヒドロフラン100gに溶かし、6
%塩酸30gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、
溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥し
た。
及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フ
ラスコに、上で得られた固体10.8g、マレイミド酢
酸12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8
g、ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリッ
トルを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を
還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させ
た。反応終了後、反応液にトルエン200ミリリットル
を加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトル
エン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留
去して得られた固体をシリカゲルを用いたカラムクロマ
トグラフィーで精製することにより式(4)、
シウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量100ミリリ
ットルの3つ口フラスコに参考例1で得られた化合物A
11.9g、4−ヒドロキシカルコン11.5g、N−
メチルピロリドン40gを加えて撹拌した。均一な溶液
になったところで、炭酸カリウム7.1gを加え、15
0℃で2時間反応させた。冷却後、減圧下、溶媒を留去
し、濃縮された混合物4リットルの酢酸エチルに溶解し
た。この溶液を500gの水で3回洗浄し、硫酸ナトリ
ウムで乾燥した後に溶媒を減圧下、留去した。得られた
15.0gの固体をテトラヒドロフラン100gに溶か
し、6%塩酸30gを加え、室温で4時間撹拌した。減
圧下、溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾
燥した。
及び冷却管を備えた500ミリリットルの3つ口フラス
コに、上で得られた固体10.4g、マレイミド酢酸1
2.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、
ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリットル
を順次仕込み、減圧下90℃に加熱して、溶媒を乾留さ
せて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反
応終了後、反応液にトルエン200ミリリットルを加え
て希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトルエン溶
液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して得
られた固体をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフ
ィーで精製することにより、式(5)
ターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリット
ルの3つ口フラスコに、参考例1のaで得たマレイミド
酢酸8.8g、数平均分子量400のポリプロピレング
リコール5.0g、p−トルエンスルホン酸一水和物
0.4g、ヒドロキノン20mg及びトルエン150m
lを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還
流させて生成する水を除去しながら15時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を希水酸化ナトリウム溶液
で2回、次いで純水で3回洗浄し、トルエンを留去して式
(5)、
導体の合成において、マレイミド酢酸の代りにアクリル
酸を用いて式(7)
れたマレイミド誘導体及び光配向材料を用いて、光配向
膜を作製し、物性評価を行った。光配向膜の作成方法及
び物性評価方法は下記の方法に従って行った。
リドン/ブチルセロソルブ=1/1の混合溶媒に溶かし
て、固形分濃度5%溶液とし、これを0.1μmのフィ
ルターで濾過し、光配向材料溶液とした。
ーターにてITO電極付ガラス基板上に均一に塗布し、
190℃、1時間で乾燥及び硬化を行った。次に、得ら
れた塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で10
J/cm2の365nm付近の直線偏光した紫外光を照
射し、光配向膜を作製した。
ターにてITO電極付ガラス基板上に塗布し、100
℃、15分乾燥した後、塗膜表面に超高圧水銀ランプよ
り、積算光量で10J/cm2の波長313nm付近の
直線偏光した紫外光を照射し、光配向膜を作製した。
径8μmのスチレンビーズを含んだエポキシ系接着剤を
液晶注入口を残して塗布し、配向面が相対するように、
かつ偏光光の方向が直交する無機に重ね合わせて圧着
し、接着剤を150℃、90分かけて硬化させた。次い
で、液晶注入口よりネマチック液晶(5CB)をアイソ
トロピック相の状態で真空注入し、充填した後、エポキ
シ系接着剤で液晶注入口を封止した。
する2枚の偏光板の間に挟み、電極間5Vの電圧を印加
してON/OFFすることで、明暗をスイッチングさせ
ることにより、液晶の配向性を評価した。
を64マイクロ秒間印加し、続いて16.6ミリ秒間開
放した後の初期印加電圧に対する電圧の保持率を測定し
た。
向性を目視評価した。
ド誘導体(3)を用いて、上記光配向材料溶液の調整方
法に従って光配向材料溶液を調整し、次にb−1.の光
配向膜の熱硬化作製方法に従って光配向膜を作製した。
得られた光配向膜を用いて液晶セルを作製し、上記評価
方法に従って物性評価を行った。この結果、電圧保持率
は99%、また液晶配向性、耐久性共に良好であった。
ド誘導体(3)を用いて、上記光配向材料溶液の調整方
法に従い、光配向材料溶液を調整し、次にb−2.の光
配向膜作製方法に従って光配向膜を作製した。次に、基
板面の法線と入射方向を含む面が、b−2.の偏光方向
と平行で、かつ基板面と入射方向とがなす角が45°と
なる方向より波長313nm、積算光量10J/cm2
の無偏光の平行光を照射した。得られた光配向膜を用い
て液晶セルを作製し、上記評価方法に従い、物性評価を
行った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向
性、耐久性ともに良好であった。また、上記により作製
した液晶素子を回転結晶法により測定した結果、プレチ
ルト角は3°であった。
ド誘導体(3)を、合成例1で得られたマレイミド誘導
体(3)及び合成例4で得られたマレイミド誘導体
(6)の重量比1/1の混合物とした他は、実施例1と
同様にして評価を行った。この結果、電圧保持列は99
%、また液晶配向性、耐久性ともに良好であった。
ド誘導体(3)を、合成例2で得られたマレイミド誘導
体(4)に代えた他は、実施例1と同様にして評価を行
った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向
性、耐久性共に良好であった。
ド誘導体(3)を、合成例3で得られたマレイミド誘導
体(5)に代えた他は、実施例1と同様にして評価を行
った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向
性、耐久性ともに良好であった。
ド誘導体(3)を、比較合成例で合成したアクリル酸誘
導体(7)、及び開始剤として、これに対して0.1%
の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを加えたもの
に代えた他は、実施例2と同様にして評価を行った。こ
の結果、液晶配向性、耐久性は良好であったが、電圧保
持率は89%と低かった。
ド誘導体(3)を、合成例4で得られたマレイミド誘導
体(6)に代えた他は、実施例1と同様にして評価を行
った。この結果、液晶配向性は認められなかった。
配向材料を用いることにより、良好な液晶表示素子特
性、例えば電圧保持率を有し、かつ良好な配向安定性と
光や熱に対する十分な耐久性を有する光配向膜を得るこ
とができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は各々、単結合、アルキレン
基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基からなる群
より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基、もしくは、
これらの炭化水素基の複数個が単結合、エステル結合、
エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる
群より選ばれる結合基で連結している有機基を表す。R
4は3価の炭化水素基を表す。R5は光配向性を示す構成
単位を表し、R6、R7、R8及びR9は各々、水素原子、
1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基また
はハロゲン原子を表す。)で表されるマレイミド誘導
体。 - 【請求項2】 一般式(1)中のR5が、光二量化反応
又は光異性化反応により光配向性を示す構成単位である
請求項1に記載のマレイミド誘導体。 - 【請求項3】 光二量化反応により光配向性を示す構成
単位が、シンナメート、クマリン、カルコン、及びベン
ゾフェノンからなる群より選ばれる骨格である請求項2
に記載のマレイミド誘導体。 - 【請求項4】 光異性化反応により光配向性を示す構成
単位が、アゾベンゼン骨格又はアントラキノン骨格であ
る請求項2に記載のマレイミド誘導体。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1つに記載のマレ
イミド誘導体を含有する光配向材料。 - 【請求項6】 請求項5に記載の光配向材料を基板上に
塗布し、光照射によりマレイミド基の重合を行い、同時
に、光配向性を示す構成単位の光反応を行う光配向膜の
製造方法。 - 【請求項7】 請求項5に記載の光配向材料を基板上に
塗布し、光照射によりマレイミド基の重合を行い、次い
で、光配向性を示す構成単位の光反応を行う光配向膜の
製造方法。 - 【請求項8】 請求項5に記載の光配向材料を基板上に
塗布し、加熱によりマレイミド基の重合を行い、次い
で、光照射により光配向性を示す構成単位の光反応を行
う光配向膜の製造方法。
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