JP4533726B2 - エバポレータおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンに使用されるエバポレータに関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、この明細書および特許請求の範囲において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向、図4の右側)を前、これと反対側を後といい、図2の上下、左右を上下、左右というものとする。
従来、カーエアコン用エバポレータとして、1対の皿状プレートを対向させて周縁部どうしをろう付してなる複数の偏平中空体が並列状に配置されてなり、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部と間隔をおいて配置された冷媒ターン部と、冷媒入口ヘッダ部と冷媒ターン部とを連通させる複数の冷媒往き側冷媒流通部と、冷媒出口ヘッダ部と冷媒ターン部を連通させる複数の冷媒戻り側冷媒流通部とを備えており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒往き側冷媒流通部を通って冷媒ターン部に至り、ここで流れ方向を変えて冷媒戻り側冷媒流通部を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっている積層型エバポレータであって、冷媒入口に通じる短筒状冷媒流入部および冷媒出口に通じる短筒状冷媒流出部を有するパイプジョイントプレートが、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部に跨って接合され、冷媒流入部に、冷媒入口管の端部が差し込まれて接合され、冷媒流出部に、冷媒入口管よりも大径の冷媒出口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されているものが知られている(特許文献1参照)。
通常、この種のエバポレータの冷媒入口管の直径は冷媒出口管の直径よりも小さいため、特許文献1記載のエバポレータにおいては、冷媒流入部を冷媒入口管の端部を縮径することなく差し込めるような寸法に形成し、一方、冷媒流出部を冷媒流入部とほぼ同じ寸法として冷媒出口管の端部に形成された縮径部を冷媒流出部に差し込んでいる。
ところで、近年、エバポレータのさらなる小型軽量化および高性能化が要求されるようになってきた。そして、このような要求を満たすエバポレータとして、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを備えており、冷媒循環経路が、複数の中間ヘッダ部と複数の熱交換管により構成され、互いに対向して配置された冷媒入口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、互いに対向して配置された冷媒出口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、および互いに対向して配置された中間ヘッダ部どうしの間に、それぞれ間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が少なくとも1列配置され、これらの熱交換管群を構成する熱交換管の両端部が互いに対向するヘッダ部に接続されており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒循環経路を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっているエバポレータが提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2記載のエバポレータにおいても、冷媒入口ヘッダ部に冷媒入口管を、冷媒出口ヘッダ部に冷媒出口管をそれぞれ接続する必要があり、そのためこのエバポレータにおいては、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有する冷媒入出ブロックが、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部に跨ってろう付されている。しかしながら、冷媒入出ブロックの熱容量が比較的大きくなってろう付性が低下するので、製造作業が面倒になる。
そこで、特許文献2記載のエバポレータの冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部に跨って、特許文献1記載のパイプジョイントプレートがろう付され、パイプジョイントプレートの冷媒流入部に冷媒入口管の端部が差し込まれて接合され、同冷媒流出部に冷媒入口管よりも大径の冷媒出口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されることが容易に考えられる。しかしながら、この場合、エバポレータの前後方向の寸法が小さくなることから、パイプジョイントプレートの前後方向の長さも短く、たとえば50mm以下にする必要がある。パイプジョイントプレートの前後方向の長さを短く、たとえば50mm以下にすると、パイプジョイントプレートに形成された冷媒流入部および冷媒流出部の外径が同径であることから、次のような問題が生じる。すなわち、通常、パイプジョイントプレートの冷媒流入部および冷媒流出部と、冷媒入口管および冷媒出口管とは、冷媒流入部および冷媒流出部の周囲に配置された高周波加熱コイルを用いて高周波ろう付されているが、パイプジョイントプレートの前後方向の寸法が規制された場合に、冷媒流入部および冷媒流出部の外径をほぼ同径とするには、冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が小さくなり、高周波加熱コイルを配置することが困難になって、ろう付作業の自動化を図ることができなくなり、製造が面倒である。また、冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が小さくなるので、パイプジョイントプレートにおける冷媒流入部と冷媒流出部との間の部分と冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部とのろう付面積が小さくなり、この部分でろう付不良が発生するおそれがある。この部分でろう付不良が発生すると、冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが短絡し、その結果冷媒入口管から流入してきた冷媒が、熱交換管を通過することなく冷媒出口管に入り、冷媒が全く冷却に寄与することなく、冷却性能が著しく低下するおそれがある。
特開2001−241881号公報 特開2003−214794号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、比較的簡単に製造することができるとともに、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部間での短絡を防止しうるエバポレータおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを備えており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒循環経路を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっているエバポレータであって、
冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の一端がそれぞれキャップにより閉鎖され、冷媒入口ヘッダ部のキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部のキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材が、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合されているエバポレータ。
2)冷媒循環経路が、複数の中間ヘッダ部と複数の熱交換管により構成され、互いに対向して配置された冷媒入口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、互いに対向して配置された冷媒出口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、および互いに対向して配置された中間ヘッダ部どうしの間に、それぞれ左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が少なくとも1列配置され、これらの熱交換管群を構成する熱交換管の両端部が互いに対向するヘッダ部に接続されている上記1)記載のエバポレータ。
3)パイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部がそれぞれ短筒状であり、冷媒流入部に、冷媒入口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合され、冷媒流出部に、冷媒出口管の端部が差し込まれて接合されている上記1)または2)記載のエバポレータ。
4)冷媒流入部の外径が冷媒流出部の外径よりも小さくなっている上記3)記載のエバポレータ。
5)冷媒流出部に、冷媒出口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されている上記3)または4)記載のエバポレータ。
6)パイプジョイント部材の冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が6〜9mmである上記3)〜5)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
7)冷媒入口管の縮径部の内径が3〜8.5mmである上記3)〜6)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
8)パイプジョイント部材の前後方向の長さが50mm以下である上記3)〜7)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
9)キャップおよびパイプジョイント部材のうちのいずれか一方に、同他方側に突出した位置決め用凸部が形成されるとともに、同他方に位置決め用凸部が嵌る位置決め用凹所が形成されている上記1)〜8)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
10)両キャップが一体化されている上記1)〜9)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
11)冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが、両ヘッダ部の冷媒循環経路側の部分を形成する第1部材と、両ヘッダ部の残りの部分を形成するとともに第1部材にろう付された第2部材とからなり、これにより両ヘッダ部が一体化され、両キャップに、それぞれ第1部材および第2部材に係合する係合爪が形成されている上記1)〜10)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
12)左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が前後方向に並んで複数列配置されることにより構成された熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒入口ヘッダ部と、熱交換管の一端側において冷媒入口ヘッダ部と前後方向に並んで配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒出口ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒入口ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された冷媒流入ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒出口ヘッダ部に接続されている熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒流出ヘッダ部とを備え、冷媒流入ヘッダ部と冷媒流出ヘッダ部とが連通させられて冷媒ターン部が形成され、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の一端がそれぞれキャップにより閉鎖され、冷媒入口ヘッダ部のキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部のキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材が、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合されているエバポレータ。
13)パイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部がそれぞれ短筒状であり、冷媒流入部に、冷媒入口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合され、冷媒流出部に、冷媒出口管の端部が差し込まれて接合されている上記12)記載のエバポレータ。
14)冷媒流入部の外径が冷媒流出部の外径よりも小さくなっている上記13)記載のエバポレータ。
15)冷媒流出部に、冷媒出口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されている上記13)または14)記載のエバポレータ。
16)パイプジョイント部材の冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が6〜9mmである上記13)〜15)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
17)冷媒入口管の縮径部の内径が3〜8.5mmである上記13)〜16)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
18)パイプジョイント部材の前後方向の長さが50mm以下である上記13)〜17)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
19)キャップおよびパイプジョイント部材のうちのいずれか一方に、同他方側に突出した位置決め用凸部が形成されるとともに、同他方に位置決め用凸部が嵌る位置決め用凹所が形成されている上記12)〜18)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
20)パイプジョイント部材に、キャップ側に突出した位置決め用凸部が形成されるとともに、キャップに位置決め用凸部が嵌る位置決め用凹所が形成され、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の他端がそれぞれめくらキャップにより閉鎖され、めくらキャップは、キャップに形成されている位置決め用凹所を有していない上記12)〜18)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
21)冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが、熱交換管が接続された第1部材と、第1部材における熱交換管とは反対側の部分にろう付された第2部材とからなり、これにより両ヘッダ部が一体化され、両キャップおよび両めくらキャップに、それぞれ第1部材および第2部材に係合する係合爪が形成されている上記20)記載のエバポレータ。
22)冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが、1つの冷媒入出用タンク内を仕切手段によって前後に区画することにより設けられている上記21)記載のエバポレータ。
23)冷媒出口ヘッダ部内が区画手段により高さ方向に2つの空間に区画されるとともに、第1の空間に臨むように熱交換管が接続され、区画手段に冷媒通過穴が形成され、冷媒出口ヘッダ部の第2の空間が冷媒出口に通じている上記22)記載のエバポレータ。
24)仕切手段および区画手段が第2部材に一体に形成されている上記23)記載のエバポレータ。
25)両キャップおよび両めくらキャップがそれぞれ一体化されており、両キャップおよび両めくらキャップに、それぞれ冷媒入口ヘッダ内に嵌る第1突出部と、冷媒出口ヘッダ部の第1空間内に嵌る第2突出部と、冷媒出口ヘッダ部の第2空間内に嵌る第3突出部とが形成され、両キャップの第1突出部に冷媒入口が形成され、両キャップの第3突出部に冷媒出口が形成されている上記23)または24)記載のエバポレータ。
26)上記3)記載のエバポレータを製造する方法であって、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを形成するとともに、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口を有するキャップを、冷媒出口ヘッダ部の一端に冷媒出口を有するキャップをそれぞれ接合し、さらに冷媒入口に通じる短筒状冷媒流入部および冷媒出口に通じる短筒状冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材を、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合した後、パイプジョイント部材の冷媒流入部に冷媒入口管の端部に形成された縮径部を差し込むとともに、冷媒流出部に冷媒出口管の端部を差し込み、2つの環状部が一体となっためがね状の高周波加熱コイルにおける一方の環状部をパイプジョイント部材の冷媒流入部の周囲に、同じく他方の環状部を冷媒流出部の周囲に配置し、この高周波加熱コイルを用いてパイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部と、冷媒入口管および冷媒出口管とを同時にろう付することを特徴とするエバポレータの製造方法。
27)上記13)記載のエバポレータを製造する方法であって、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が前後方向に並んで複数列配置されることにより構成された熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒入口ヘッダ部と、熱交換管の一端側において冷媒入口ヘッダ部と前後方向に並んで配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒出口ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒入口ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された冷媒流入ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒出口ヘッダ部に接続されている熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒流出ヘッダ部とを各部材を一括してろう付することにより形成し、このろう付と同時に、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口を有するキャップを、冷媒出口ヘッダ部の一端に冷媒出口を有するキャップをそれぞれろう付するとともに、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の他端にめくらキャップをろう付し、さらに冷媒入口に通じる短筒状冷媒流入部および冷媒出口に通じる短筒状冷媒流出部を有するパイプジョイント部材を冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨ってろう付した後、パイプジョイント部材の冷媒流入部に冷媒入口管の端部に形成された縮径部を差し込むとともに、冷媒流出部に冷媒出口管の端部を差し込み、2つの環状部が一体となっためがね状の高周波加熱コイルにおける一方の環状部をパイプジョイント部材の冷媒流入部の周囲に、同じく他方の環状部を冷媒流出部の周囲に配置し、この高周波加熱コイルを用いてパイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部と、冷媒入口管および冷媒出口管とを同時にろう付することを特徴とするエバポレータの製造方法。
28)圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを備えており、エバポレータが、上記1)〜26)のうちのいずれかに記載のエバポレータからなる冷凍サイクル。
29)上記28)記載の冷凍サイクルが、エアコンとして搭載されている車両。
上記1)、2)および12)のエバポレータによれば、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の一端がそれぞれキャップにより閉鎖され、冷媒入口ヘッダ部のキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部のキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材が、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合されているので、パイプジョイント部材の熱容量が比較的小さくなり、パイプジョイント部材をたとえばろう付により冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部に接合する場合、ろう付性が向上し、エバポレータ全体の製造作業が簡単になる。
上記3)および13)のエバポレータによれば、パイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部がそれぞれ短筒状であり、冷媒流入部に、冷媒入口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されているので、冷媒流入部の外径を小さくすることができ、その結果冷媒流入部と冷媒流出部との間隔を比較的大きくすることができる。すなわち、エバポレータにおいて、通常、小径である冷媒入口管の端部をさらに縮径し、この縮径部を冷媒流入部に差し込むのであるから、冷媒流入部の外径をかなり小さくすることができ、その結果冷媒流入部と冷媒流出部との間隔を比較的大きくすることができる。したがって、パイプジョイント部材の前後方向の寸法が規制された場合であっても、冷媒流入部および冷媒流出部の周囲に高周波加熱コイルを簡単に配置することができ、ろう付作業の自動化を図ることが可能になって、エバポレータ全体の製造作業も簡単になる。また、冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が比較的大きくなるので、パイプジョイント部材における冷媒流入部と冷媒流出部との間の部分と冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部との接合面積が大きくなり、接合不良の発生を防止することが可能となって、冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部との短絡が防止される。その結果、冷媒入口管から冷媒入口ヘッダ部内に流入してきた冷媒が、冷媒循環経路内(上記1)および2)の場合)または熱交換管内(上記12)の場合)を通過することなく冷媒出口ヘッダから冷媒出口管に流出することが防止され、エバポレータの冷却性能の低下が防止される。さらに、冷媒入口管の端部に縮径部が形成されているので、冷媒入口管から冷媒入口ヘッダ部内に流入する際の冷媒の流速が高速になって冷媒入口ヘッダ部の他端部まで行き渡る。そして、上記1)および2)のエバポレータの場合にあっては、冷媒がすべての冷媒循環経路に均一に分流されるので、すべての冷媒循環経路の冷媒流通量が均一化され、エバポレータの冷却性能が向上する。冷媒の流速が遅いと、冷媒入口に近い位置にある冷媒循環経路内に流入する冷媒の量が、冷媒入口から遠い位置にある冷媒循環経路内に流入する冷媒の量よりも多くなり、すべての冷媒循環経路の冷媒流通量が不均一となって、エバポレータの冷却性能が低下する。これは、冷媒の流量が少ない場合に顕著である。上記12)のエバポレータにあっては、冷媒が冷媒入口ヘッダ部に接続されたすべての熱交換管に均一に分流されるので、すべての熱交換管の冷媒流通量が均一化され、エバポレータの冷却性能が向上する。冷媒の流速が遅いと、冷媒入口に近い位置にある熱交換管内に流入する冷媒の量が、冷媒入口から遠い位置にある熱交換管内に流入する冷媒の量よりも多くなり、すべての熱交換管の冷媒流通量が不均一となって、エバポレータの冷却性能が低下する。これは、冷媒の流量が少ない場合に顕著である。
上記4)および14)のエバポレータによれば、パイプジョイント部材の冷媒流入部と冷媒流出部との間隔を一層大きくすることができる。
上記5)および15)のエバポレータによれば、冷媒流出部の外径を小さくすることができ、パイプジョイント部材の冷媒流入部と冷媒流出部との間隔をより一層大きくすることができる。
上記6)および16)のエバポレータによれば、冷媒流入部および冷媒流出部の周囲に高周波加熱コイルを、一層簡単に配置することができる。
上記7)および17)のエバポレータによれば、冷媒入口管から冷媒入口ヘッダ部内に流入する際の冷媒の流速を、冷媒が確実に冷媒入口ヘッダ部に行き渡るような速さにすることができる。
上記8)および18)のエバポレータのように、パイプジョイントプレートの前後方向の長さが50mm以下である場合に、特に、冷媒流入部と冷媒流出部との間隔を大きくしにくいが、この場合であっても上記3)〜7)および13)〜17)のように構成されていると、上記間隔を比較的大きくすることができる。
上記9)および19)のエバポレータによれば、エバポレータを製造するにあたり、キャップとパイプジョイント部材との位置決めを正確に行うことができる。
上記10)のエバポレータによれば、キャップの取り扱いが容易になる。
上記11)のエバポレータによれば、エバポレータを製造するにあたって各部品を仮組みする際に、キャップの係合爪を利用して第1部材と第2部材とを仮止めすることができ、作業性が向上する。
上記20)のエバポレータによれば、エバポレータを製造するにあたり、キャップとパイプジョイント部材との位置決めを正確に行うことができる。さらに、エバポレータを製造するにあたって各部品を仮組みする際に、めくらキャップを冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のパイプジョイント部材を接合する側に配置することが防止される。すなわち、めくらキャップをパイプジョイント部材を接合する側に配置すると、パイプジョイント部材の位置決め用凸部がめくらキャップに当たって所定位置に組み合わせることができない。したがって、めくらキャップを冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のパイプジョイント部材を接合する側に配置することが防止される。
上記21)のエバポレータによれば、エバポレータを製造するにあたって各部品を仮組みする際に、キャップおよびめくらキャップの係合爪を利用して第1部材と第2部材とを仮止めすることができ、作業性が向上する。
上記22)のエバポレータによれば、エバポレータ全体の部品点数を少なくすることができる。
上記23)のエバポレータによれば、区画手段の働きにより、冷媒入口ヘッダ部に接続されたすべての熱交換管の冷媒流通量が一層均一化されるとともに、冷媒出口ヘッダ部に接続されたすべての熱交換管の冷媒流通量が均一化され、エバポレータの冷却性能が一層向上する。
上記24)のエバポレータによれば、冷媒入出用タンクの仕切手段および区画手段が第2部材に一体に形成されているので、冷媒入出用タンク内に仕切手段および区画手段を設ける作業が簡単になる。
上記26)および27)のエバポレータの製造方法によれば、パイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部に、冷媒入口管および冷媒出口管を同時にろう付することができるので、上記3)および13)のエバポレータを比較的簡単に製造することができる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1および図2はこの発明によるカーエアコン用エバポレータを示し、図3〜図10は要部の構成を示し、図11および図12はパイプジョイント部材への冷媒入口管および冷媒出口管の接合方法を示す。また、図13はエバポレータにおける冷媒の流れ方を示す。
図1および図2において、フロン系冷媒を使用するカーエアコンに用いられるエバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製冷媒入出用タンク(2)およびアルミニウム製冷媒ターン用タンク(3)と、両タンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
冷媒入出用タンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)と後側(通風方向上流側)に位置する冷媒出口ヘッダ部(6)とを備えている。両ヘッダ部(5)(6)は一体化されており、後述する仕切手段を介して前後に並んで配置されている。冷媒入出用タンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)にアルミニウム製冷媒入口管(7)が接続され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)にアルミニウム製冷媒出口管(8)が接続されている。冷媒ターン用タンク(3)は、前側に位置する冷媒流入ヘッダ部(9)と後側に位置する冷媒流出ヘッダ部(11)とを備えている。両ヘッダ部(9)(11)は一体化されており、後述する仕切手段を介して前後に並んで配置されている。
熱交換コア部(4)は、左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管(12)からなる熱交換管群(13)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置されることにより構成されている。各熱交換管群(13)の隣接する熱交換管(12)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(13)の左右両端の熱交換管(12)の外側にはそれぞれコルゲートフィン(14)が配置されて熱交換管(12)にろう付されている。左右両端のコルゲートフィン(14)の外側にはそれぞれアルミニウム製サイドプレート(15)が配置されてコルゲートフィン(14)にろう付されている。そして、前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒流入ヘッダ部(9)に接続され、往き側冷媒流通部となっている。後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および冷媒流出ヘッダ部(11)に接続され、戻り側冷媒流通部となっている。
図3〜図6に示すように、冷媒入出用タンク(2)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ熱交換管(12)が接続されたプレート状の第1部材(16)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(16)の上側を覆う第2部材(17)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ両部材(16)(17)の右端に接合されて右端開口を閉鎖するアルミニウム製右側閉鎖部材(19)と、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)に跨るように、右側閉鎖部材(19)の外面にろう付された前後方向に長いアルミニウム製のプレート状パイプジョイント部材(21)と、両部材(16)(17)の左端に接合されて左端開口を閉鎖するアルミニウム製左側閉鎖部材(18)とよりなる。
第1部材(16)は、その前後両側部分に、それぞれ中央部が下方に突出した曲率の小さい横断面円弧状の湾曲部(22)を有している。各湾曲部(22)に、前後方向に長い複数の管挿通穴(23)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。前後両湾曲部(22)の管挿通穴(23)は、それぞれ左右方向に関して同一位置にある。前側湾曲部(22)の前縁および後側湾曲部(22)の後縁に、それぞれ立ち上がり壁(22a)が全長にわたって一体に形成されている。また、第1部材(16)の両湾曲部(22)間の平坦部(24)に、複数の貫通穴(25)が左右方向に間隔をおいて形成されている。
第2部材(17)は下方に開口した横断面略m字状であり、左右方向に伸びる前後両壁(26)と、前後両壁(26)間の中央部に設けられかつ左右方向に伸びるとともに冷媒入出用タンク(2)内を前後2つの空間に仕切る前述した仕切手段としての垂直状仕切壁(27)と、前後両壁(26)および仕切壁(27)の上端どうしをそれぞれ一体に連結する上方に突出した2つの略円弧状連結壁(28)とを備えている。第2部材(17)の前後両壁(26)の下端部と仕切壁(27)の下端部とは、冷媒出口ヘッダ部(6)内を上下に区画する区画手段としての分流用抵抗板(29)により全長にわたって一体に連結されている。分流用抵抗板(29)の後側部分における左右両端部を除いた部分には、左右方向に長い複数の冷媒通過穴(31A)(31B)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されている。仕切壁(27)の下端は前後両壁(26)の下端よりも下方に突出しており、その下縁に、下方に突出しかつ第1部材(16)の貫通穴(25)に嵌め入れられる複数の突起(27a)が左右方向に間隔をおいて一体に形成されている。突起(27a)は、仕切壁(27)の所定部分を切除することにより形成されている。
図7に示すように、右側閉鎖部材(19)は、冷媒入口ヘッダ部(5)の右端開口を閉鎖する前キャップ(19a)と冷媒出口ヘッダ部(6)の右端開口を閉鎖する後キャップ(19b)とが一体化されたものであり、閉鎖部材(19)の前側、すなわち前キャップ(19a)の左側面には、冷媒入口ヘッダ部(5)内に嵌め入れられる左方突出部(37)が一体に形成され、同じく後側、すなわち後キャップ(19b)の左側面には、冷媒出口ヘッダ部(6)の分流用抵抗板(29)よりも上側の部分内に嵌め入れられる上側左方突出部(38)と分流用抵抗板(29)よりも下側の部分内に嵌め入れられる下側左方突出部(39)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。右側閉鎖部材(19)の前側の左方突出部(37)の底壁に冷媒入口(43)が形成され、同じく後側の上側左方突出部(38)の底壁に冷媒出口(44)が形成されている。また、右側閉鎖部材(19)の前後両側縁と上縁との間の円弧状部に、それぞれ左方に突出しかつ第2部材(16)の連結壁(28)に係合する係合爪(41)が一体に形成されている。また、右側閉鎖部材(19)の下縁の前側部分および後側部分に、それぞれ左方に突出しかつ第1部材(16)の湾曲部(22)に係合する係合爪(42)が一体に形成されている。さらに、右側閉鎖部材(19)の下縁における係合爪(42)よりも前後方向外側部分に、後述するパイプジョイント部材(21)の位置決め用凸部(50)が嵌る位置決め用凹所(40)が形成されている。
図7に示すように、パイプジョイント部材(21)には、右側閉鎖部材(19)の冷媒入口(43)に通じる短円筒状冷媒流入口(45)(冷媒流入部)と、同じく冷媒出口(44)に通じる短円筒状冷媒流出口(46)(冷媒流出部)とが一体に形成されている。冷媒流入口(45)の外径は冷媒流出口(46)の外径よりも小さくなっている。パイプジョイント部材(21)の前後方向の長さは50mm以下であることが好ましく、冷媒流入口(45)と冷媒流出口(46)との間隔(S)は6〜9mmであることが好ましい。また、パイプジョイント部材(21)の下縁には、左方に突出しかつ右側閉鎖部材(19)の位置決め用凹所(40)内に嵌る位置決め用凸部(50)が一体に形成されている。
パイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)に、冷媒入口管(7)の一端部に形成された縮径部(7a)が差し込まれてろう付され、同じく冷媒流出口(46)に、冷媒出口管(8)の一端部に形成された縮径部(8a)が差し込まれてろう付されている(図6参照)。冷媒入口管(7)の縮径部(7a)の内径は3〜8.5mmであることが好ましい。図示は省略したが、冷媒入口管(7)および冷媒出口管(8)の他端部には、両管(7)(8)に跨るように膨張弁取付部材が接合されている。
図8に示すように、左側閉鎖部材(18)は右側閉鎖部材(19)と左右対称形であり、冷媒入口ヘッダ部(5)の左端開口を閉鎖する前めくらキャップ(18a)と冷媒出口ヘッダ部(6)の左端開口を閉鎖する後めくらキャップ(18b)とが一体化されたものであり、冷媒入口ヘッダ部(5)内に嵌め入れられる右方突出部(32)、冷媒出口ヘッダ部(6)の分流用抵抗板(29)よりも上側の部分内に嵌め入れられる上側右方突出部(33)、分流用抵抗板(29)よりも下側の部分内に嵌め入れられる下側右方突出部(34)、右方に突出しかつ第2部材(16)の連結壁(28)に係合する係合爪(35)、および右方に突出しかつ第1部材(16)の湾曲部(22)に係合する係合爪(36)が一体に形成されている。左側閉鎖部材(18)の前側の右方突出部(32)には冷媒入口は形成されておらず、同じく後側の上側右方突出部(33)の底壁には冷媒出口は形成されていない。また、左側閉鎖部材(18)の下縁には位置決め用凹所は形成されていない。
冷媒入出用タンク(2)の第1および第2部材(16)(17)と、両閉鎖部材(18)(19)と、パイプジョイント部材(21)とは次のようにしてろう付されている。すなわち、第1および第2部材(16)(17)は、第2部材(17)の突起(27a)が第1部材(16)の貫通穴(25)に挿通されてかしめられることにより、第1部材(16)の前後の立ち上がり壁(22a)の上端部と第2部材(17)の前後両壁(26)の下端部とが係合した状態で、第1部材(16)のろう材層を利用して相互にろう付されている。両閉鎖部材(18)(19)は、前キャップ(18a)(19a)の突出部(32)(37)が両部材(16)(17)における仕切壁(27)よりも前側の空間内に、後キャップ(18b)(19b)の上突出部(33)(38)が両部材(16)(17)における仕切壁(27)よりも後側でかつ分流用抵抗板(29)よりも上側の空間内に、および後キャップ(18b)(19b)の下突出部(34)(39)が仕切壁(17)よりも後側でかつ分流用抵抗板(29)よりも下側の空間内にそれぞれ嵌め入れられ、上側の係合爪(35)(41)が第2部材(17)の連結壁(28)に係合させられ、下側の係合爪(36)(42)が第1部材(16)の湾曲部(22)に係合させられた状態で、両閉鎖部材(18)(19)のろう材層を利用して第1および第2部材(16)(17)にろう付されている。パイプジョイント部材(21)は、位置決め用凸部(50)が右側閉鎖部材(19)の位置決め用凹所(40)内に嵌められた状態で、右側閉鎖部材(19)のろう材層を利用して右側閉鎖部材(19)にろう付されている。こうして、冷媒入出用タンク(2)が形成されており、第2部材(17)の仕切壁(27)よりも前側が冷媒入口ヘッダ部(5)、同じく仕切壁(27)よりも後側が冷媒出口ヘッダ部(6)となっている。また、冷媒出口ヘッダ部(6)は分流用抵抗板(29)により上下両空間(6a)(6b)に区画されており、これらの空間(6a)(6b)は冷媒通過穴(31A)(31B)により連通させられている。右側閉鎖部材(19)の冷媒出口(44)は冷媒出口ヘッダ部(6)の上部空間(6a)内に通じている。さらに、パイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)が冷媒入口(43)に、冷媒流出口(46)が冷媒出口(44
)にそれぞれ連通させられている。
図4および図9に示すように、冷媒ターン用タンク(3)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ熱交換管(12)が接続されたプレート状の第1部材(48)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(48)の下側を覆う第2部材(49)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ左右両端開口を閉鎖するアルミニウム製閉鎖部材(51)とよりなる。
冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)は、前後方向の中央部が最高位部(52)となるとともに、最高位部(52)から前後両側に向かって徐々に低くなるように全体に横断面円弧状に形成されている。冷媒ターン用タンク(3)の前後両側部分に、頂面(3a)における最高位部(52)の前後両側から前後両側面(3b)まで伸びる溝(53)が、左右方向に間隔をおいて複数形成されている。
第1部材(48)は、前後方向の中央部が上方に突出した横断面円弧状であり、その前後両側縁に垂下壁(48a)が全長にわたって一体に形成されている。そして、第1部材(48)の上面が冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)となり、垂下壁(48a)の外面が冷媒ターン用タンク(3)の前後両側面(3b)となっている。第1部材(48)の前後両側において、前後方向中央の最高位部(52)から垂下壁(48a)の下端にかけて溝(53)が形成されている。第1部材(48)の最高位部(52)を除いた前後両側部分における隣接する溝(53)どうしの間に、それぞれ前後方向に長い管挿通穴(54)が形成されている。前後の管挿通穴(54)は左右方向に関して同一位置にある。第1部材(48)の最高位部(52)に、複数の貫通穴(55)が左右方向に間隔をおいて形成されている。第1部材(48)は、アルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことによって、垂下壁(48a)、溝(53)、管挿通穴(54)および貫通穴(55)を同時に形成することによりつくられる。
第2部材(49)は上方に開口した横断面略w字状であり、前後方向外側に向かって上方に湾曲した左右方向に伸びる前後両壁(56)と、前後両壁(56)間の中央部に設けられかつ左右方向に伸びるとともに冷媒ターン用タンク(3)内を前後2つの空間に仕切る前述した仕切手段としての垂直状仕切壁(57)と、前後両壁(56)および仕切壁(57)の下端どうしをそれぞれ一体に連結する2つの連結壁(58)とを備えている。仕切壁(57)の上端は前後両壁(56)の上端よりも上方に突出しており、その上縁に、上方に突出しかつ第1部材(48)の貫通穴(55)に嵌め入れられる複数の突起(57a)が左右方向に間隔をおいて一体に形成されている。また、仕切壁(57)における隣り合う突起(57a)間には、それぞれその上縁から冷媒通過用切り欠き(57b)が形成されている。突起(57a)および切り欠き(57b)は、仕切壁(57)の所定部分を切除することにより形成されている。
第2部材(49)は、前後両壁(56)、仕切壁(57)および連結壁(58)を一体に押出成形した後、仕切壁(57)を切除して突起(57a)および切り欠き(57b)を形成することにより製造される。
図10に示すように、各閉鎖部材(51)は冷媒流入ヘッダ部(9)の開口を閉鎖する前キャップ(51a)と冷媒流出ヘッダ部(11)の開口を閉鎖する後キャップ(51b)とが一体化されたものであり、閉鎖部材(51)の前側、すなわち前キャップ(51a)の左右方向内面には、冷媒流入ヘッダ部(9)内に嵌め入れられる左右方向内方への突出部(59)が一体に形成され、同じく後側、すなわち後キャップ(51b)の左右方向内面には、冷媒流出ヘッダ部(11)内に嵌め入れられる左右方向内方への突出部(61)が一体に形成されている。また、各閉鎖部材(51)の前後両側縁と下縁との間の円弧状部に、それぞれ左右方向内方に突出しかつ第2部材(49)の前後両壁(56)に係合する係合爪(62)が一体に形成され、同じく上縁に、それぞれ左右方向内方に突出しかつ第1部材(48)に係合する複数の係合爪(63)が前後方向に間隔をおいて一体に形成されている。
冷媒ターン用タンク(3)の第1および第2部材(48)(49)と、両閉鎖部材(51)とは次のようにしてろう付されている。第1および第2部材(48)(49)が、第2部材(49)の突起(57a)が貫通穴(55)に挿通されてかしめられることにより、第1部材(48)の前後の垂下壁(48a)の下端部と、第2部材(49)の前後両壁(56)の上端部とが係合した状態で、第1部材(48)のろう材層を利用して相互にろう付されている。両閉鎖部材(51)は、前側の突出部(59)が両部材(48)(49)における仕切壁(57)よりも前側の空間内に、後側の突出部(61)が両部材(48)(49)における仕切壁(57)よりも後側の空間内にそれぞれ嵌め入れられ、上側の係合爪(63)が第1部材(48)に係合させられ、下側の係合爪(62)が第2部材(49)の前後両壁(56)に係合させられた状態で、各閉鎖部材(51)のろう材層を利用して第1および第2部材(48)(49)にろう付されている。こうして、冷媒ターン用タンク(3)が形成されており、第2部材(49)の仕切壁(57)よりも前側が冷媒流入ヘッダ部(9)、同じく仕切壁(57)よりも後側が冷媒流出ヘッダ部(11)となっている。第2部材(49)の仕切壁(57)の切り欠き(57b)の上端開口は第1部材(48)によって閉じられ、これにより冷媒通過穴(64)が形成されている。
前後の熱交換管群(13)を構成する熱交換管(12)はアルミニウム押出形材からなり、前後方向に幅広の偏平状で、その内部に長さ方向に伸びる複数の冷媒通路(12a)が並列状に形成されている。熱交換管(12)の上端部は冷媒入出用タンク(2)の第1部材(16)の管挿通穴(23)に挿通された状態で、第1部材(16)のろう材層を利用して第1部材(16)にろう付され、同じく下端部は冷媒ターン用タンク(3)の第1部材(48)の管挿通穴(54)に挿通された状態で、第1部材(48)のろう材層を利用して第1部材(48)にろう付されている。
ここで、熱交換管(12)の左右方向の厚みである管高さは0.75〜1.5mm、前後方向の幅である管幅は12〜18mm、周壁の肉厚は0.175〜0.275mm、冷媒通路どうしを仕切る仕切壁の厚さは0.175〜0.275mm、仕切壁のピッチは0.5〜3.0mm、前後両端壁の外面の曲率半径は0.35〜0.75mmであることが好ましい。
なお、熱交換管(12)としては、アルミニウム押出形材製のものに代えて、アルミニウム製電縫管の内部にインナーフィンを挿入することにより複数の冷媒通路を形成したものを用いてもよい。また、片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートのろう材層側に圧延加工を施すことにより形成され、かつ連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部と、各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁より隆起状に一体成形された側壁形成部と、平坦壁形成部の幅方向に所定間隔をおいて両平坦壁形成部よりそれぞれ隆起状に一体成形された複数の仕切壁形成部とを備えた板を、連結部においてヘアピン状に曲げて側壁形成部どうしを突き合わせて相互にろう付し、仕切壁形成部により仕切壁を形成したものを用いてもよい。
コルゲートフィン(14)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを用いて波状に形成されたものであり、その波頭部と波底部を連結する連結部に、前後方向に並列状に複数のルーバが形成されている。コルゲートフィン(14)は前後両熱交換管群(13)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の前側縁と後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。ここで、コルゲートフィン(14)のフィン高さである波頭部と波底部との直線距離は7.0mm〜10.0mm、同じくフィンピッチである連結部のピッチは1.3〜1.8mmであることが好ましい。なお、1つのコルゲートフィンが前後両熱交換管群(13)に共有される代わりに、両熱交換管群(13)の隣り合う熱交換管(12)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
エバポレータ(1)は、冷媒入口管(7)および冷媒出口管(8)を除く各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。
冷媒入口管(7)および冷媒出口管(8)は、次のようにしてパイプジョイント部材(21)にろう付される。まず、冷媒入口管(7)の縮径部(7a)および冷媒出口管(8)の縮径部(8a)を、パイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)および冷媒流出口(46)にそれぞれ嵌め入れる。ついで、図11および図12に示すように、高周波加熱コイル(65)を冷媒流入口(45)および冷媒流出口(46)の周囲に配置する。高周波加熱コイル(65)は、2つの環状部(65a)(65b)が一体となっためがね状であり、2つの環状部(65a)(65b)の上半部を形成する下方に開口した2つの半円部が一体となった上半体(66)と、2つの環状部(65a)(65b)の下半部を形成する上方に開口した2つの半円部が一体となった下半体(67)とよりなる。そして、上半体(66)および下半体(67)のうちいずれか一方、たとえば下半体(67)を、2つの半円部内に冷媒流入口(45)および冷媒流出口(46)が位置するように配置した後、上半体(66)を下半体(67)に合わせるように配置する。その後、高周波加熱コイル(65)を用いてパイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)および冷媒流出口(46)と冷媒入口管(7)および冷媒出口管(8)とを同時にろう付する。このろう付は、置きろうを用いて行ってもよいし、パイプジョイント部材(21)を、片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから、ろう材層が冷媒流入口(45)および冷媒流出口(46)の内周面に位置するように形成しておき、このろう材層を用いて行ってもよい。このろう付の際に、パイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)と冷媒流出口(46)との間隔が6〜9mmとなっていると、高周波加熱コイル(65)の冷媒流入口(45)および冷媒流出口(46)の周囲への配置を自動化することが可能になる。
エバポレータ(1)は、圧縮機およびコンデンサとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
上述したエバポレータ(1)において、図13に示すように、圧縮機、凝縮器および膨張弁を通過した気液混相の2層冷媒が、冷媒入口管(7)からパイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)および右側閉鎖部材(19)の冷媒入口(43)を通って冷媒入口ヘッダ部(5)内に入り、分流して前側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入する。このとき、冷媒入口管(7)の縮径部(7a)の内径が3〜8.5mmになっていると、冷媒は冷媒入口ヘッダ部(5)の左端部まで至り、前側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)内へ均一に流入する。
すべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入した冷媒は、冷媒通路(12a)内を下方に流れて冷媒ターン用タンク(3)の冷媒流入ヘッダ部(9)内に入る。冷媒流入ヘッダ部(9)内に入った冷媒は、仕切壁(57)の冷媒通過穴(64)を通って冷媒流出ヘッダ部(11)内に入る。
冷媒流出ヘッダ部(11)内に入った冷媒は、分流して後側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入し、流れ方向を変えて冷媒通路(12a)内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)の下空間(6b)内に入る。ここで、分流用抵抗板(29)によって冷媒の流れに抵抗が付与されるので、冷媒流出ヘッダ部(11)から後側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)への分流が均一化されるとともに、冷媒入口ヘッダ部(5)から前側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)への分流も一層均一化される。その結果、両熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)の冷媒流通量が均一化される。
ついで、冷媒は分流用抵抗板(29)の冷媒通過穴(31A)(31B)を通って冷媒出口ヘッダ部(6)の上部空間(6a)内に入り、右側閉鎖部材(19)の冷媒出口(44)およびパイプジョイント部材(21)の冷媒流出口(46)を通り、冷媒出口管(8)に流出する。そして、冷媒が前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の冷媒通路(12a)、および後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の冷媒通路(12a)を流れる間に、通風間隙を図1に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換をし、気相となって流出する。
このとき、コルゲートフィン(14)の表面に凝縮水が発生し、この凝縮水が冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)に流下する。冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)に流下した凝縮水は、キャピラリ効果により溝(53)内に入り、溝(53)内を流れて前後方向外側の端部から冷媒ターン用タンク(3)の下方へ落下する。こうして、冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)とコルゲートフィン(14)の下端との間に多くの凝縮水が溜まることに起因する凝縮水の氷結が防止され、その結果エバポレータ(1)の性能低下が防止される。
上記実施形態においては、両タンク(2)(3)の冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒流入ヘッダ部(9)との間、および冷媒出口ヘッダ部(6)と冷媒流出ヘッダ部(11)との間にそれぞれ1つの熱交換管群(13)が設けられているが、これに限るものではなく、両タンク(2)(3)の冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒流入ヘッダ部(9)との間、および冷媒出口ヘッダ部(6)と冷媒流出ヘッダ部(11)との間にそれぞれ1または2以上の熱交換管群(13)が設けられていてもよい。また、冷媒入出用タンクが下、冷媒ターン用タンクが上となって用いられることもある。
図14はこの発明の第2の実施形態を示す。なお、図14において、図1〜図13に示すものと同一物および同一部分には同一符号を付す。
図14において、エバポレータ(70)は、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部(71)および冷媒出口ヘッダ部(72)と、冷媒入口ヘッダ部(71)の上方に間隔をおいて設けられた第1の中間ヘッダ部(73)と、第1中間ヘッダ部(73)の左側に設けられた第2の中間ヘッダ部(74)と、第2中間ヘッダ部(74)の下方に間隔をおいて冷媒入口ヘッダ部(71)の左側に設けられた第3の中間ヘッダ部(75)と、第3中間ヘッダ部(75)の後側に並んで冷媒出口ヘッダ部(72)の左側に設けられた第4の中間ヘッダ部(76)と、第4中間ヘッダ部(76)の上方に間隔をおきかつ第2中間ヘッダ部(74)の後側に並んで設けられた第5の中間ヘッダ部(77)と、冷媒出口ヘッダ部(72)の上方に間隔をおいて第5中間ヘッダ部(77)の右側に設けられた第6の中間ヘッダ部(78)とを備えている。
冷媒入口ヘッダ部(71)、冷媒出口ヘッダ部(72)、第3中間ヘッダ部(75)および第4中間ヘッダ部(76)は、1つのタンク(79)を前後左右の4つの部分に区画することにより形成されている。タンク(79)は、第1の実施形態の冷媒ターン用タンク(3)と同様な構成であり、第1部材(48)と第2部材(49)とよりなる。タンク(79)の冷媒ターン用タンク(3)との相違点は、タンク(79)内の仕切壁(57)により前後に仕切られた空間が、その左右方向の中央部においてそれぞれアルミニウム製の仕切板(81)により左右に区画されており、これにより4つのヘッダ部(71)(72)(75)(76)が設けられている点、仕切板(81)よりも右側の部分においては、仕切壁(57)に切り欠き(57b)は形成されておらず、冷媒入口ヘッダ部(71)と冷媒出口ヘッダ部(72)とは通じていない点、右端開口を閉鎖する閉鎖部材(51)の前側突出部(59)の底壁に冷媒入口(82)が、同じく後側突出部(61)に冷媒出口(83)が形成され、図示は省略したが、右側の閉鎖部材(51)の外面に、冷媒入口(82)に通じる冷媒流入口(45)および冷媒出口(46)に通じる冷媒流出口(46)を有するパイプジョイント部材(21)がろう付されている点にある。
第1中間ヘッダ部(73)、第2中間ヘッダ部(74)、第5中間ヘッダ部(77)および第6中間ヘッダ部(78)は、1つのタンク(84)を前後2つの部分(84A)(84B)に区画し、前区画(84A)の右側を第1中間ヘッダ部(73)、同じく左側を第2中間ヘッダ部(74)とし、後区画(84B)の右側を第6中間ヘッダ部(78)、同じく左側を第5中間ヘッダ部(77)とすることにより形成されている。タンク(84)は、第1の実施形態の冷媒入出用タンク(2)と同様な構成であり、第1部材(16)と第2部材(17)とよりなる。タンク(84)の冷媒入出用タンク(2)との相違点は、分流用抵抗板(29)が設けられていない点、右端開口を閉鎖する閉鎖部材(19)に冷媒入口(43)および冷媒出口(44)が形成されていない点、ならびに閉鎖部材(19)にパイプジョイント部材(21)がろう付されていない点にある。
冷媒入口ヘッダ部(71)、冷媒出口ヘッダ部(72)、第3中間ヘッダ部(75)および第4中間ヘッダ部(76)と、第1中間ヘッダ部(73)、第2中間ヘッダ部(74)、第5中間ヘッダ部(77)および第6中間ヘッダ部(78)との間に熱交換コア部(4)が設けられ、前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の下端部が、冷媒入口ヘッダ部(71)および第3中間ヘッダ部(75)に接続され、同じく上端部が、第1中間ヘッダ部(73)および第2中間ヘッダ部(74)にろう付されている。また、後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の下端部が、冷媒出口ヘッダ部(72)および第4中間ヘッダ部(76)に接続され、同じく上端部が第6中間ヘッダ部(78)および第5中間ヘッダ部(77)に接続されている。
このエバポレータ(70)において、図14に示すように、圧縮機、凝縮器および膨張弁を通過した気液混相の2層冷媒が、冷媒入口管(7)からパイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)および右側閉鎖部材(51)の冷媒入口を通って冷媒入口ヘッダ部(71)内に入り、分流して前側熱交換管群(13)における冷媒入口ヘッダ部(71)に接続されているすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入し、冷媒通路(12a)内を上方に流れて第1中間ヘッダ部(73)に入り、左方に流れて第2中間ヘッダ部(74)内に入る。第2中間ヘッダ部(74)内に流入した冷媒は、分流して前側熱交換管群(13)における第2中間ヘッダ部(74)に接続されているすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入し、冷媒通路(12a)内を下方に流れて第3中間ヘッダ部(75)に流入し、仕切壁(57)の冷媒通過穴(64)を通って第4中間ヘッダ部(76)内に入る。第4中間ヘッダ部(76)内に入った冷媒は、分流して後側熱交換管群(13)における第4中間ヘッダ部(76)に接続されているすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入し、冷媒通路(12a)内を上方に流れて第5中間ヘッダ部(77)内に入り、右方に流れて第6中間ヘッダ部(78)内に流入する。第6中間ヘッダ部(78)内に流入した冷媒は、分流して後側熱交換管群(13)における第6中間ヘッダ部(78)に接続されたすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入し、冷媒通路(12a)内を下方に流れて冷媒出口ヘッダ部(72)内に入る。ついで、冷媒は、右側閉鎖部材(51)の冷媒出口およびパイプジョイント部材(21)の冷媒流出口(46)を通り、冷媒出口管(8)に流出する。
上記第2の実施形態においては、両タンク(79)(84)の冷媒入口ヘッダ部(71)および第3中間ヘッダ部(75)と第1中間ヘッダ部(73)および第2中間ヘッダ部(74)との間、ならびに冷媒出口ヘッダ部(72)および第4中間ヘッダ部(76)と第6中間ヘッダ部(78)および第5中間ヘッダ部(77)との間に、それぞれ1つの熱交換管群(13)が設けられているが、これに限るものではなく、両タンク(79)(84)の冷媒入口ヘッダ部(71)および第3中間ヘッダ部(75)と第1中間ヘッダ部(73)および第2中間ヘッダ部(74)との間、ならびに冷媒出口ヘッダ部(72)および第4中間ヘッダ部(76)と第6中間ヘッダ部(78)および第5中間ヘッダ部(77)との間に、それぞれ1または2以上の熱交換管群(13)が設けられていてもよい。タンク(79)が上、タンク(84)が上となって用いられることもある。
なお、この発明によるエバポレータは、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを備えており、冷媒循環経路が、複数の中間ヘッダ部と複数の熱交換管により構成され、互いに対向して配置された冷媒入口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、互いに対向して配置された冷媒出口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、および互いに対向して配置された中間ヘッダ部どうしの間に、それぞれ間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が少なくとも1列配置され、これらの熱交換管群を構成する熱交換管の両端部が互いに対向するヘッダ部に接続されており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒循環経路を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっているタイプのエバポレータにも適用可能である。
また、この発明によるエバポレータは、1対の皿状プレートを対向させて周縁部どうしをろう付してなる複数の偏平中空体が並列状に配置されてなり、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部と間隔をおいて配置された冷媒ターン部と、冷媒入口ヘッダ部と冷媒ターン部とを連通させる複数の冷媒往き側冷媒流通部と、冷媒出口ヘッダ部と冷媒ターン部を連通させる複数の冷媒戻り側冷媒流通部とを備えており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒往き側冷媒流通部を通って冷媒ターン部に至り、ここで流れ方向を変えて冷媒戻り側冷媒流通部を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっている形式の所謂積層型エバポレータにも適用可能である。
この発明によるエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。 図1に示すエバポレータを後方から見た一部省略垂直断面図である。 図1に示すエバポレータの冷媒入出用タンクの部分の分解斜視図である。 一部を省略した図2のA−A線拡大断面図である。 一部を省略した図2のB−B線拡大断面図である。 図2のC−C線断面図である。 図1に示すエバポレータの冷媒入出用タンクの右側のキャップおよびパイプジョイント部材を示す斜視図である。 図1に示すエバポレータの冷媒入出用タンクの左側のキャップを示す斜視図である。 図1に示すエバポレータの冷媒ターン用タンクの部分の分解斜視図である。 図1に示すエバポレータの冷媒ターン用タンクの左右のキャップを示す斜視図である。 パイプジョイント部材に冷媒入口管および冷媒出口管をろう付する方法を示す図である。 図11のD−D線断面図である。 図1に示すエバポレータにおける冷媒の流れ方を示す図である。 この発明によるエバポレータの第2の実施形態を示す図13相当の図である。
符号の説明
(1):エバポレータ
(2):冷媒入出用タンク
(3):冷媒ターン用タンク
(4):熱交換コア部
(5):冷媒入口ヘッダ部
(6):冷媒出口ヘッダ部
(6a)(6b):空間
(7):冷媒入口管
(7a):縮径部
(8):冷媒出口管
(8a):縮径部
(9):冷媒流入ヘッダ部
(11):冷媒流出ヘッダ部
(12):熱交換管(冷媒流通部)
(13):熱交換管群
(16):第1部材
(17):第2部材
(18):左側閉鎖部材
(18a)(18b):めくらキャップ
(19):右側閉鎖部材
(19a)(19b):キャップ
(21):パイプジョイント部材
(29):分流用抵抗板
(32):右方突出部(第1突出部)
(33):上側右方突出部(第3突出部)
(34):下側右方突出部(第2突出部)
(35)(36):係合爪
(37):左方突出部(第1突出部)
(38):上側左方突出部(第3突出部)
(39):下側左方突出部(第2突出部)
(40):位置決め用凹所
(41)(42):係合爪
(43):冷媒入口
(44):冷媒出口
(45):冷媒流入口(冷媒流入部)
(46):冷媒流出口(冷媒流出部)
(50):位置決め用凸部
(65):高周波加熱コイル
(65a)(65b):環状部
(70):エバポレータ
(71):冷媒入口ヘッダ部
(72):冷媒出口ヘッダ部
(73)(74)(75)(76)(77)(78):中間ヘッダ部
(82):冷媒入口
(83):冷媒出口

Claims (29)

  1. 前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを備えており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒循環経路を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっているエバポレータであって、
    冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の一端がそれぞれキャップにより閉鎖され、冷媒入口ヘッダ部のキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部のキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材が、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合されているエバポレータ。
  2. 冷媒循環経路が、複数の中間ヘッダ部と複数の熱交換管により構成され、互いに対向して配置された冷媒入口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、互いに対向して配置された冷媒出口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、および互いに対向して配置された中間ヘッダ部どうしの間に、それぞれ左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が少なくとも1列配置され、これらの熱交換管群を構成する熱交換管の両端部が互いに対向するヘッダ部に接続されている請求項1記載のエバポレータ。
  3. パイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部がそれぞれ短筒状であり、冷媒流入部に、冷媒入口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合され、冷媒流出部に、冷媒出口管の端部が差し込まれて接合されている請求項1または2記載のエバポレータ。
  4. 冷媒流入部の外径が冷媒流出部の外径よりも小さくなっている請求項3記載のエバポレータ。
  5. 冷媒流出部に、冷媒出口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されている請求項3または4記載のエバポレータ。
  6. パイプジョイント部材の冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が6〜9mmである請求項3〜5のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  7. 冷媒入口管の縮径部の内径が3〜8.5mmである請求項3〜6のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  8. パイプジョイント部材の前後方向の長さが50mm以下である請求項3〜7のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  9. キャップおよびパイプジョイント部材のうちのいずれか一方に、同他方側に突出した位置決め用凸部が形成されるとともに、同他方に位置決め用凸部が嵌る位置決め用凹所が形成されている請求項1〜8のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  10. 両キャップが一体化されている請求項1〜9のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  11. 冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが、両ヘッダ部の冷媒循環経路側の部分を形成する第1部材と、両ヘッダ部の残りの部分を形成するとともに第1部材にろう付された第2部材とからなり、これにより両ヘッダ部が一体化され、両キャップに、それぞれ第1部材および第2部材に係合する係合爪が形成されている請求項1〜10のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  12. 左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が前後方向に並んで複数列配置されることにより構成された熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒入口ヘッダ部と、熱交換管の一端側において冷媒入口ヘッダ部と前後方向に並んで配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒出口ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒入口ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された冷媒流入ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒出口ヘッダ部に接続されている熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒流出ヘッダ部とを備え、冷媒流入ヘッダ部と冷媒流出ヘッダ部とが連通させられて冷媒ターン部が形成され、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の一端がそれぞれキャップにより閉鎖され、冷媒入口ヘッダ部のキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部のキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材が、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合されているエバポレータ。
  13. パイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部がそれぞれ短筒状であり、冷媒流入部に、冷媒入口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合され、冷媒流出部に、冷媒出口管の端部が差し込まれて接合されている請求項12記載のエバポレータ。
  14. 冷媒流入部の外径が冷媒流出部の外径よりも小さくなっている請求項13記載のエバポレータ。
  15. 冷媒流出部に、冷媒出口管の端部に形成された縮径部が差し込まれて接合されている請求項13または14記載のエバポレータ。
  16. パイプジョイント部材の冷媒流入部と冷媒流出部との間隔が6〜9mmである請求項13〜15のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  17. 冷媒入口管の縮径部の内径が3〜8.5mmである請求項13〜16のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  18. パイプジョイント部材の前後方向の長さが50mm以下である請求項13〜17のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  19. キャップおよびパイプジョイント部材のうちのいずれか一方に、同他方側に突出した位置決め用凸部が形成されるとともに、同他方に位置決め用凸部が嵌る位置決め用凹所が形成されている請求項12〜18のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  20. パイプジョイント部材に、キャップ側に突出した位置決め用凸部が形成されるとともに、キャップに位置決め用凸部が嵌る位置決め用凹所が形成され、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の他端がそれぞれめくらキャップにより閉鎖され、めくらキャップは、キャップに形成されている位置決め用凹所を有していない請求項12〜18のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  21. 冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが、熱交換管が接続された第1部材と、第1部材における熱交換管とは反対側の部分にろう付された第2部材とからなり、これにより両ヘッダ部が一体化され、両キャップおよび両めくらキャップに、それぞれ第1部材および第2部材に係合する係合爪が形成されている請求項20記載のエバポレータ。
  22. 冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部とが、1つの冷媒入出用タンク内を仕切手段によって前後に区画することにより設けられている請求項21記載のエバポレータ。
  23. 冷媒出口ヘッダ部内が区画手段により高さ方向に2つの空間に区画されるとともに、第1の空間に臨むように熱交換管が接続され、区画手段に冷媒通過穴が形成され、冷媒出口ヘッダ部の第2の空間が冷媒出口に通じている請求項22記載のエバポレータ。
  24. 仕切手段および区画手段が第2部材に一体に形成されている請求項23記載のエバポレータ。
  25. 両キャップおよび両めくらキャップがそれぞれ一体化されており、両キャップおよび両めくらキャップに、それぞれ冷媒入口ヘッダ内に嵌る第1突出部と、冷媒出口ヘッダ部の第1空間内に嵌る第2突出部と、冷媒出口ヘッダ部の第2空間内に嵌る第3突出部とが形成され、両キャップの第1突出部に冷媒入口が形成され、両キャップの第3突出部に冷媒出口が形成されている請求項23または24記載のエバポレータ。
  26. 請求項3記載のエバポレータを製造する方法であって、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを形成するとともに、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口を有するキャップを、冷媒出口ヘッダ部の一端に冷媒出口を有するキャップをそれぞれ接合し、さらに冷媒入口に通じる短筒状冷媒流入部および冷媒出口に通じる短筒状冷媒流出部を有するプレート状パイプジョイント部材を、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨って接合した後、パイプジョイント部材の冷媒流入部に冷媒入口管の端部に形成された縮径部を差し込むとともに、冷媒流出部に冷媒出口管の端部を差し込み、2つの環状部が一体となっためがね状の高周波加熱コイルにおける一方の環状部をパイプジョイント部材の冷媒流入部の周囲に、同じく他方の環状部を冷媒流出部の周囲に配置し、この高周波加熱コイルを用いてパイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部と、冷媒入口管および冷媒出口管とを同時にろう付することを特徴とするエバポレータの製造方法。
  27. 請求項13記載のエバポレータを製造する方法であって、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が前後方向に並んで複数列配置されることにより構成された熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒入口ヘッダ部と、熱交換管の一端側において冷媒入口ヘッダ部と前後方向に並んで配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒出口ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒入口ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された冷媒流入ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ冷媒出口ヘッダ部に接続されている熱交換管群の熱交換管が接続された冷媒流出ヘッダ部とを各部材を一括してろう付することにより形成し、このろう付と同時に、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口を有するキャップを、冷媒出口ヘッダ部の一端に冷媒出口を有するキャップをそれぞれろう付するとともに、冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の他端にめくらキャップをろう付し、さらに冷媒入口に通じる短筒状冷媒流入部および冷媒出口に通じる短筒状冷媒流出部を有するパイプジョイント部材を冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部のキャップに跨ってろう付した後、パイプジョイント部材の冷媒流入部に冷媒入口管の端部に形成された縮径部を差し込むとともに、冷媒流出部に冷媒出口管の端部を差し込み、2つの環状部が一体となっためがね状の高周波加熱コイルにおける一方の環状部をパイプジョイント部材の冷媒流入部の周囲に、同じく他方の環状部を冷媒流出部の周囲に配置し、この高周波加熱コイルを用いてパイプジョイント部材の冷媒流入部および冷媒流出部と、冷媒入口管および冷媒出口管とを同時にろう付することを特徴とするエバポレータの製造方法。
  28. 圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを備えており、エバポレータが、請求項1〜26のうちのいずれかに記載のエバポレータからなる冷凍サイクル。
  29. 請求項28記載の冷凍サイクルが、エアコンとして搭載されている車両。
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