JP2007101169A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造の際に、比較的簡単にキャップの脱落を阻止しうる熱交換器を提供する。
【解決手段】 エバポレータは、冷媒入口ヘッダ部5と、冷媒出口ヘッダ部6とを備えている。各ヘッダ部5,6を、両端が開口したヘッダ部本体10,20と、ヘッダ部本体10,20の両端開口を閉鎖するキャップ18a,18b,19a,19bとにより形成する。冷媒入口ヘッダ部5のヘッダ部本体10と冷媒出口ヘッダ部6のヘッダ部本体20とを一体化する。キャップ18a,18b,19a,19bをヘッダ部本体10,20の両端開口内に嵌め入れる。キャップ18a,18b,19a,19bの周縁部に形成した突起41,42を、ヘッダ部本体10,20の周壁に形成した嵌合穴32,33内に嵌め入れ、この状態でキャップ18a,18b,19a,19bをヘッダ部本体10,20に接合する。
【選択図】 図3
【解決手段】 エバポレータは、冷媒入口ヘッダ部5と、冷媒出口ヘッダ部6とを備えている。各ヘッダ部5,6を、両端が開口したヘッダ部本体10,20と、ヘッダ部本体10,20の両端開口を閉鎖するキャップ18a,18b,19a,19bとにより形成する。冷媒入口ヘッダ部5のヘッダ部本体10と冷媒出口ヘッダ部6のヘッダ部本体20とを一体化する。キャップ18a,18b,19a,19bをヘッダ部本体10,20の両端開口内に嵌め入れる。キャップ18a,18b,19a,19bの周縁部に形成した突起41,42を、ヘッダ部本体10,20の周壁に形成した嵌合穴32,33内に嵌め入れ、この状態でキャップ18a,18b,19a,19bをヘッダ部本体10,20に接合する。
【選択図】 図3
Description
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータとして好適に使用される熱交換器に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、図2の左右を左右というものとする。
従来、カーエアコン用エバポレータとして、1対の皿状プレートを対向させて周縁部どうしをろう付してなる複数の偏平中空体が並列状に配置され、隣接する偏平中空体間にコルゲートフィンが配置されて偏平中空体にろう付された、所謂積層型エバポレータが広く使用されていた。
ところで、近年、エバポレータのさらなる小型軽量化および高性能化が要求されるようになってきた。そして、このような要求を満たすエバポレータに用いられる熱交換器として、本出願人は、先に、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなり、かつ通風方向に並んで配置された複数列の熱交換管群、および隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管に接合されたフィンを有する熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された第1ヘッダ部と、熱交換管の一端側において第1ヘッダ部の通風方向上流側に配置され、かつ残りの熱交換管群の熱交換管が接続された第2ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ第1ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された第3ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ第2ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された第4ヘッダ部とを備えており、各ヘッダ部が、両端が開口した中空状のヘッダ部本体と、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとよりなり、第1ヘッダ部のヘッダ部本体と第2ヘッダ部のヘッダ部本体、および第3ヘッダ部のヘッダ部本体と第4ヘッダ部のヘッダ部本体とがそれぞれ一体化され、第1ヘッダ部および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖する2つのキャップ、ならびに第1ヘッダ部および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の他端開口を閉鎖する2つのキャップが、それぞれ一体化されて閉鎖部材となされるとともに、第3ヘッダ部および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖する2つのキャップ、ならびに第3ヘッダ部および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の他端開口を閉鎖する2つのキャップがそれぞれ一体化されて閉鎖部材となされた熱交換器を提案した(特許文献1参照)。
特許文献1記載の熱交換器は、各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。すなわち、熱交換管、コルゲートフィンおよびすべてのヘッダ部本体を組み合わせて配置した後、一体化された2つのキャップからなる閉鎖部材を、第1および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の両端部、ならびに第3および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の両端部に嵌め被せて各構成部材を仮止めし、熱交換管とコルゲートフィン、熱交換管とヘッダ部本体、およびヘッダ部本体とキャップとを同時にろう付することにより製造される。
しかしながら、特許文献1記載の熱交換器においては、その製造の際に、閉鎖部材、すなわちキャップがヘッダ部本体から脱落しないように仮止めする作業が面倒になることがある。
特開2005−164226号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、製造の際に、比較的簡単にキャップの脱落を阻止しうる熱交換器を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)互いに間隔をおいて配置された2つのヘッダ部と、両ヘッダ部間に、ヘッダ部の長さ方向に間隔をおいて配置されかつ両端部が両ヘッダ部に接続された複数の熱交換管とを備えており、各ヘッダ部が、両端が開口した中空状のヘッダ部本体と、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとよりなる熱交換器であって、
キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されている熱交換器。
キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されている熱交換器。
2)ヘッダ部本体が、ヘッダ部本体の熱交換管側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材に接合された第2部材とよりなり、第1および第2部材に、それぞれキャップの突起を嵌め入れる嵌合穴が形成されている上記1)記載の熱交換器。
3)左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなり、かつ通風方向に並んで配置された複数列の熱交換管群、および隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管に接合されたフィンを有する熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された第1ヘッダ部と、熱交換管の一端側において第1ヘッダ部の通風方向上流側に配置され、かつ残りの熱交換管群の熱交換管が接続された第2ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ第1ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された第3ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ第2ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された第4ヘッダ部とを備えており、各ヘッダ部が、両端が開口した中空状のヘッダ部本体と、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとよりなり、第1ヘッダ部のヘッダ部本体と第2ヘッダ部のヘッダ部本体、および第3ヘッダ部のヘッダ部本体と第4ヘッダ部のヘッダ部本体とが、それぞれ一体化されている熱交換器であって、
キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されている熱交換器。
キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されている熱交換器。
4)第1ヘッダ部のヘッダ部本体と第2ヘッダ部のヘッダ部本体とが、それぞれ両ヘッダ部本体の熱交換管側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、両ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材に接合された第2部材とよりなり、第1および第2部材に、それぞれキャップの突起を嵌め入れる嵌合穴が形成されている上記3)記載の熱交換器。
5)第1ヘッダ部および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖する2つのキャップ、ならびに第1ヘッダ部および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の他端開口を閉鎖する2つのキャップが、それぞれ一体化されている上記4)記載の熱交換器。
6)第3ヘッダ部のヘッダ部本体と第4ヘッダ部のヘッダ部本体とが、それぞれ両ヘッダ部本体の熱交換管側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、両ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材に接合された第2部材とよりなり、第1および第2部材に、それぞれキャップの突起を嵌め入れる嵌合穴が形成されている上記3)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
7)第3ヘッダ部および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖する2つのキャップ、ならびに第3ヘッダ部および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の他端開口を閉鎖する2つのキャップが、それぞれ一体化されている上記6)記載の熱交換器。
8)第1ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖するキャップに冷媒入口が形成され、第2ヘッダ部のヘッダ部本体における冷媒入口と同一端の開口を閉鎖するキャップに冷媒出口が形成され、第3ヘッダ部と第4ヘッダ部とが連通させられている上記3)〜7)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
9)圧縮機、冷媒冷却器およびエバポレータを備えており、エバポレータが、上記1)〜8)のうちのいずれかに記載の熱交換器からなる冷凍サイクル。
10)上記9)記載の冷凍サイクルが、エアコンとして搭載されている車両。
上記1)の熱交換器によれば、キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されているので、熱交換器の製造の際には、キャップの突起をヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れておくという比較的簡単な作業で、キャップのヘッダ部本体からの脱落を確実に阻止することができる。また、キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられているので、キャップの外周縁部のヘッダ部本体から外側への突出を防止することができる。
上記2)の熱交換器によれば、ヘッダ部本体を構成する第1および第2部材を組み合わせる際に、キャップの突起を嵌合穴に嵌め入れることができるので、その作業が比較的簡単になる。
上記3)の熱交換器によれば、キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されているので、熱交換器の製造の際には、キャップの突起をヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れておくという比較的簡単な作業で、キャップのヘッダ部本体からの脱落を確実に阻止することができる。また、キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられているので、キャップの外周縁部のヘッダ部本体から外側への突出を防止することができる。また、キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられているので、キャップの外周縁部のヘッダ部本体から外側への突出を防止することができる。
上記4)の熱交換器によれば、第1および第2ヘッダ部のヘッダ部本体を構成する第1および第2部材を組み合わせる際に、キャップの突起を嵌合穴に嵌め入れることができるので、その作業が比較的簡単になる。
上記5)の熱交換器によれば、部品点数が少なくなる。また、熱交換器の製造の際に、第1および第2ヘッダ部のヘッダ部本体を構成する第1および第2部材と、両ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとを組み合わせる作業が比較的簡単になる。
上記6)の熱交換器によれば、第3および第4ヘッダ部のヘッダ部本体を構成する第1および第2部材を組み合わせる際に、キャップの突起を嵌合穴に嵌め入れることができるので、その作業が比較的簡単になる。
上記7)の熱交換器によれば、部品点数が少なくなる。また、熱交換器の製造の際に、第3および第4ヘッダ部のヘッダ部本体を構成する第1および第2部材と、両ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとを組み合わせる作業が比較的簡単になる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、以下の説明において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向、図4の右側)を前、これと反対側を後といい、図1の上下を上下というものとする。
実施形態1
この実施形態は図1〜図10に示すものである。
この実施形態は図1〜図10に示すものである。
図1および図2はこの発明を適用したカーエアコン用エバポレータの全体構成を示し、図3〜図9は要部の構成を示し、図10はエバポレータにおける冷媒の流れ方を示す。
図1および図2において、フロン系冷媒を使用するカーエアコンに用いられるエバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製冷媒入出用タンク(2)およびアルミニウム製冷媒ターン用タンク(3)と、両タンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
冷媒入出用タンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)(第1ヘッダ部)と後側(通風方向上流側)に位置する冷媒出口ヘッダ部(6)(第2ヘッダ部)とを備えており、両ヘッダ部(5)(6)は、後述する連結手段を介して一体化されている。冷媒入出用タンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)にアルミニウム製冷媒入口管(7)が接続され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)にアルミニウム製冷媒出口管(8)が接続されている。冷媒ターン用タンク(3)は、前側に位置する冷媒流入ヘッダ部(9)(第3ヘッダ部)と後側に位置する冷媒流出ヘッダ部(11)(第4ヘッダ部)とを備えており、両ヘッダ部(9)(11)は、後述する連結手段を介して一体化されている。
熱交換コア部(4)は、左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管(12)からなる熱交換管群(13)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置されることにより構成されている。各熱交換管群(13)の隣接する熱交換管(12)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(13)の左右両端の熱交換管(12)の外側にはそれぞれコルゲートフィン(14)が配置されて熱交換管(12)にろう付されている。左右両端のコルゲートフィン(14)の外側にはそれぞれアルミニウム製サイドプレート(15)が配置されてコルゲートフィン(14)にろう付されている。そして、前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒流入ヘッダ部(9)に接続され、後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および冷媒流出ヘッダ部(11)に接続されている。
図3〜図7に示すように、冷媒入出用タンク(2)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ熱交換管(12)が接続されたプレート状の第1部材(16)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(16)の上側を覆う第2部材(17)とを備えている。
第1部材(16)は、その前後両側部分に、それぞれ中央部が下方に突出した曲率の小さい横断面円弧状の湾曲部(22)を有している。各湾曲部(22)の左右両端部には、後述するキャップ(18a)(18b)(19a)(19b)の突起(41)(42)が嵌る方形の嵌合穴(32)が形成されている。また、各湾曲部(22)に、前後方向に長い複数の管挿通穴(23)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。前後両湾曲部(22)の管挿通穴(23)は、それぞれ左右方向に関して同一位置にある。前側湾曲部(22)の前縁および後側湾曲部(22)の後縁に、それぞれ立ち上がり壁(22a)が全長にわたって一体に形成されている。第1部材(16)の両湾曲部(22)間に、冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒出口ヘッダ部(6)とを連結する手段を構成する平坦部(24)が形成され、平坦部(24)に、複数の貫通穴(25)が左右方向に間隔をおいて形成されている。
第2部材(17)は下方に開口した横断面略m字状であり、左右方向に伸びる前後両壁(26)と、前後両壁(26)間の中央部に設けられかつ左右方向に伸びるとともに、冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒出口ヘッダ部(6)とを連結する手段を構成する垂直状中間壁(27)と、前後両壁(26)および中間壁(27)の上端どうしをそれぞれ一体に連結する上方に突出した2つの略円弧状連結壁(28)とを備えている。前後両壁(26)の下端部には、第1部材(16)の前後両湾曲部(22)の立ち上がり壁(22a)と係合する係合部(26a)が形成されている。中間壁(27)の下端は前後両壁(26)の下端よりも下方に突出しており、その下縁に、下方に突出しかつ第1部材(16)の貫通穴(25)に嵌め入れられる複数の突起(27a)が左右方向に間隔をおいて一体に形成されている。突起(27a)は、中間壁(27)の所定部分を切除することにより形成されている。第2部材(17)の後壁(26)の係合部(26a)と中間壁(27)の下端部とは、冷媒出口ヘッダ部(6)内を上下2つの空間(6a)(6b)に区画する区画手段としての分流用抵抗板(29)により全長にわたって一体に連結されている。分流用抵抗板(29)の後側部分における左右両端部を除いた部分には、左右方向に長い複数の冷媒通過穴(31A)(31B)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されている。また、各連結壁(28)の頂部の左右両端部には、後述するキャップ(18a)(18b)(19a)(19b)の突起(41)(42)が嵌る方形の嵌合穴(33)が形成されている。
そして、第1部材(16)の前側湾曲部(22)および平坦部(24)と、第2部材(17)の前壁(26)、中間壁(27)および前側連結壁(28)とにより、冷媒入口ヘッダ部(5)の左右両端が開口した中空状ヘッダ部本体(10)が形成され、第1部材(16)の後側湾曲部(22)および平坦部(24)と、第2部材(17)の後壁(26)、中間壁(27)および後側連結壁(28)とにより、冷媒出口ヘッダ部(6)の左右両端が開口した中空状ヘッダ部本体(20)が形成されており、両ヘッダ部本体(10)(20)は平坦部(24)および中間壁(27)により構成される連結手段により一体化されている。
図7に示すように、ヘッダ部本体(10)を形成する第2部材(17)の前壁(26)の係合部(26a)の左右両端部は、後述する閉鎖部材(18)(19)の前キャップ(18a)(19a)をヘッダ部本体(10)の左右両端開口内に嵌め入れることができるように、前キャップ(18a)(19a)の肉厚と等しい長さ分だけ切除されている。切除部を(34)で示す。同じくヘッダ部本体(20)を形成する第2部材(17)の後壁(26)の係合部(26a)および分流用抵抗板(29)の左右両端部は、それぞれ後述する閉鎖部材(18)(19)の後キャップ(18b)(19b)をヘッダ部本体(20)の左右両端開口内に嵌め入れることができるように、後キャップ(18b)(19b)の肉厚と等しい長さ分だけ切除されている。切除部を(35)で示す。さらに、中間壁(27)の左右両端部は、後述する閉鎖部材(18)(19)の連結部(18c)(19c)を嵌め入れることができるように、連結部(18c)(19c)の肉厚と等しい長さ分だけ切除されている。切除部を(36)で示す。
両ヘッダ部本体(10)(20)の左端開口は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるプレート状左側閉鎖部材(18)により閉鎖され、両ヘッダ部本体(10)(20)の右端開口は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるプレート状右側閉鎖部材(19)により閉鎖されている。また、右側閉鎖部材(19)の外面に前後方向に長いアルミニウム製のプレート状パイプジョイント部材(21)がろう付されている。
左側閉鎖部材(18)は、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(10)の左端開口内に嵌め入れられて同開口を閉鎖する前キャップ(18a)と、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(20)の左端開口内に嵌め入れられて同開口を閉鎖する後キャップ(18b)とが、連結部(18c)を介して一体化されたものである。連結部(18c)は、第2部材(17)の中間壁(27)の左端部に形成された切除部(36)内に嵌っている。両キャップ(18a)(18b)および連結部(18c)の肉厚は等しくなっている。前後両キャップ(18a)(18b)には、それぞれヘッダ部本体(10)(20)の周壁、すなわち第1および第2部材(16)(17)の右端部に形成された嵌合穴(32)(33)に嵌る突起(41)が形成されている。
右側閉鎖部材(19)は左側閉鎖部材(18)と同一の外形を有しており、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(10)の右端開口内に嵌め入れられて同開口を閉鎖する前キャップ(19a)と、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(20)の右端開口内に嵌め入れられて同開口を閉鎖する後キャップ(19b)とが、連結部(19c)を介して一体化されたものである。連結部(19c)は、第2部材(17)の中間壁(27)の右端部に形成された切除部(36)内に嵌っている。両キャップ(19a)(19b)および連結部(19c)の肉厚は等しくなっている。前キャップ(19a)に、冷媒入口ヘッダ部(5)内を外部に通じさせる冷媒入口(37)が形成され、後キャップ(19b)に、冷媒出口ヘッダ部(6)の上部空間(6a)内を外部に通じさせる冷媒出口(38)が形成されている。前後両キャップ(19a)(19b)には、ヘッダ部本体(10)(20)の周壁、すなわち第1および第2部材(16)(17)の右端部に形成された嵌合穴(32)(33)に嵌る突起(42)が形成されている。
パイプジョイント部材(21)には、右側閉鎖部材(19)の前キャップ(19a)の冷媒入口(37)に通じる短円筒状冷媒流入口(45)と、同じく後キャップ(19b)の冷媒出口(38)に通じる短円筒状冷媒流出口(46)とが一体に形成されている。パイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)に、冷媒入口管(7)の一端部に形成された縮径部(7a)が差し込まれてろう付され、同じく冷媒流出口(46)に、冷媒出口管(8)の一端部に形成された縮径部(8a)が差し込まれてろう付されている。パイプジョイント部材(21)における冷媒流入口(45)と冷媒流出口(46)との間の部分には、上下方向に伸びるスリット(47)が形成されており、パイプジョイント部材(21)におけるスリット(47)の上方部分および下方部分には、それぞれスリット(47)に連なるように貫通穴(48)(49)が形成されている。また、パイプジョイント部材(21)における上下の貫通穴(48)(49)よりも上方部分および下方部分は、それぞれ左方に突出するように屈曲されて屈曲部(51)が形成されている。上下両屈曲部(51)は、それぞれ冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒出口ヘッダ部(6)との間の部分、すなわち両部材(16)(17)の前後方向の中央部に係合している。
冷媒入出用タンク(2)の第1および第2部材(16)(17)と、両閉鎖部材(18)(19)と、パイプジョイント部材(21)とは次のようにしてろう付されている。すなわち、第1および第2部材(16)(17)は、第2部材(17)の突起(27a)が第1部材(16)の貫通穴(25)に挿通されてかしめられることにより、第1部材(16)の前後の立ち上がり壁(22a)の上端部と第2部材(17)の前後両壁(26)下端の係合部(26a)とが係合した状態で、第1部材(16)のろう材層を利用して相互にろう付されている。両閉鎖部材(18)(19)は、前キャップ(18a)(19a)がヘッダ部本体(10)の左右両端開口内に、後キャップ(18b)(19b)がヘッダ部本体(20)の左右両端開口内に、連結部(18c)(19c)が中間壁(27)の切除部(36)内にそれぞれ嵌め入れられるとともに、各キャップ(18a)(18b)(19a)(19b)の突起(41)(42)が嵌合穴(32)(33)内に嵌め入れられた状態で、両閉鎖部材(18)(19)のろう材層を利用して第1および第2部材(16)(17)にろう付されている。パイプジョイント部材(21)は、上側屈曲部(51)が第2部材(17)の前後方向の中央部に係合させられ、下側屈曲部(51)が第1部材(16)の前後方向の中央部に係合させられた状態で、右側閉鎖部材(19)のろう材層を利用して右側閉鎖部材(19)にろう付されている。
こうして、冷媒入出用タンク(2)が形成され、第1部材(16)の平坦部(24)および第2部材(17)の中間壁(27)よりも前側が冷媒入口ヘッダ部(5)、同じく後側が冷媒出口ヘッダ部(6)となっており、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)が一体化されている。また、冷媒出口ヘッダ部(6)は分流用抵抗板(29)により上下両空間(6a)(6b)に区画されており、これらの空間(6a)(6b)は冷媒通過穴(31A)(31B)により連通させられている。
図4、図5、図8および図9に示すように、冷媒ターン用タンク(3)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ熱交換管(12)が接続されたプレート状の第1部材(70)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(70)の下側を覆う第2部材(71)とを備えている。
冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)は、前後方向の中央部が最高位部(73)となるとともに、最高位部(73)から前後両側に向かって徐々に低くなるように全体に横断面円弧状に形成されている。冷媒ターン用タンク(3)の前後両側部分に、頂面(3a)における最高位部(73)の前後両側から前後両側面(3b)まで伸びる溝(74)が、左右方向に間隔をおいて複数形成されている。
第1部材(70)は、前後方向の中央部が上方に突出した横断面円弧状であり、その前後両側縁に垂下壁(70a)が全長にわたって一体に形成されている。そして、第1部材(70)の上面が冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)となり、垂下壁(70a)の外面が冷媒ターン用タンク(3)の前後両側面(3b)となっている。第1部材(70)の前後両側において、前後方向中央の最高位部(73)から垂下壁(70a)の下端に至る複数の溝(74)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。第1部材(70)の最高位部(73)を除いた前後両側部分における隣接する溝(74)どうしの間に、それぞれ前後方向に長い管挿通穴(75)が形成されている。前後の管挿通穴(75)は左右方向に関して同一位置にある。第1部材(70)の最高位部(73)に、複数の貫通穴(76)が左右方向に間隔をおいて形成されている。また、最高位部(73)の前後両側において、第1部材(70)の左右両端部には、後述するキャップ(72a)(72b)の突起(63)が嵌る方形の嵌合穴(60)が形成されている。
第2部材(71)は上方に開口した横断面略w字状であり、前後方向外側に向かって上方に湾曲した左右方向に伸びる前後両壁(77)と、前後両壁(77)間の中央部に設けられかつ左右方向に伸びるとともに冷媒流入ヘッダ部(9)と冷媒流出ヘッダ部(11)とを連結する連結手段を構成する垂直状中間壁(78)と、前後両壁(77)および中間壁(78)の下端どうしをそれぞれ一体に連結する2つの連結壁(79)とを備えている。中間壁(78)の上端は前後両壁(77)の上端よりも上方に突出しており、その上縁に、上方に突出しかつ第1部材(70)の貫通穴(76)に嵌め入れられる複数の突起(78a)が左右方向に間隔をおいて一体に形成されている。また、中間壁(78)における隣り合う突起(78a)間には、それぞれその上縁から冷媒通過用切り欠き(78b)が形成されている。突起(78a)および切り欠き(78b)は、中間壁(78)の所定部分を切除することにより形成されている。また、中間壁(78)の左右両端部は、後述する閉鎖部材(72)の連結部(72c)を嵌め入れることができるように、連結部(72c)の肉厚と等しい長さ分だけ切除されている。切除部を(62)で示す。連結壁(79)の左右両端部には、後述するキャップ(72a)(72b)の突起(63)が嵌る方形の嵌合穴(61)が形成されている。
そして、第1部材(70)の前半部と、第2部材(72)の前壁(77)、中間壁(78)および前側連結壁(79)とにより、冷媒流入ヘッダ部(9)の左右両端が開口したヘッダ部本体(55)が形成され、第1部材(70)の後半部と、第2部材(72)の後壁(77)、中間壁(78)および後側連結壁(79)とにより、冷媒流出ヘッダ部(11)の左右両端が開口したヘッダ部本体(56)が形成されており、両ヘッダ部本体(55)(56)は最高位部(73)および中間壁(78)により構成される連結手段により一体化されている。
両ヘッダ部本体(55)(56)の両端開口は、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるプレート状閉鎖部材(72)により閉鎖されている。各閉鎖部材(72)は、冷媒流入ヘッダ部(9)のヘッダ部本体(55)の左右両端開口内に嵌め入れられて同開口を閉鎖する前キャップ(72a)と、冷媒流出ヘッダ部(11)のヘッダ部本体(56)の左右両端開口内に嵌め入れられて同開口を閉鎖する後キャップ(72b)とが、連結部(72c)を介して一体化されたものである。連結部(72c)は、第2部材(71)の中間壁(78)の左右両端部に形成された切除部(62)内に嵌っている。両キャップ(72a)(72b)および連結部(72c)の肉厚は等しくなっている。前後両キャップ(72a)(72b)には、それぞれヘッダ部本体(55)(56)の周壁、すなわち第1および第2部材(70)(71)の右端部に形成された嵌合穴(60)(61)に嵌る突起(63)が形成されている。
冷媒ターン用タンク(3)の第1および第2部材(70)(71)と、両閉鎖部材(72)とは次のようにしてろう付されている。すなわち、第1および第2部材(70)(71)が、第2部材(71)の突起(78a)が貫通穴(76)に挿通されてかしめられることにより、第1部材(70)の前後の垂下壁(70a)の下端部と、第2部材(71)の前後両壁(77)の上端部とが係合した状態で、第1部材(70)のろう材層を利用して相互にろう付されている。両閉鎖部材(72)は、前キャップ(72a)がヘッダ部本体(55)の左右両端開口内に、後キャップ(72b)がヘッダ部本体(56)の左右両端開口内に、連結部(72c)が切除部(62)内にそれぞれ嵌め入れられるとともに、各キャップ(72a)(72b)の突起(63)が嵌合穴(60)(61)内に嵌め入れられた状態で、両閉鎖部材(72)のろう材層を利用して第1および第2部材(70)(71)にろう付されている。第2部材(71)の中間壁(78)の切り欠き(78b)の上端開口は第1部材(70)によって閉じられ、これにより冷媒通過穴(80)が形成されている。
こうして、冷媒ターン用タンク(3)が形成されており、第2部材(71)の中間壁(78)よりも前側が冷媒流入ヘッダ部(9)、同じく中間壁(78)よりも後側が冷媒流出ヘッダ部(11)となっている。冷媒流入ヘッダ部(9)と冷媒流出ヘッダ部(11)とは、冷媒通過穴(80)を介して通じさせられている。
熱交換コア部(4)の前後の熱交換管群(13)を構成する熱交換管(12)はアルミニウム押出形材からなり、前後方向に幅広の偏平状で、その内部に長さ方向に伸びる複数の冷媒通路(12a)が並列状に形成されている(図6参照)。熱交換管(12)の上端部は冷媒入出用タンク(2)の第1部材(16)の管挿通穴(23)に挿通された状態で、第1部材(16)のろう材層を利用して第1部材(16)にろう付され、同じく下端部は冷媒ターン用タンク(3)の第1部材(70)の管挿通穴(75)に挿通された状態で、第1部材(70)のろう材層を利用して第1部材(70)にろう付されている。
ここで、熱交換管(12)の左右方向の厚みである管高さは0.75〜1.5mm、前後方向の幅である管幅は12〜18mm、周壁の肉厚は0.175〜0.275mm、冷媒通路どうしを仕切る仕切壁の厚さは0.175〜0.275mm、仕切壁のピッチは0.5〜3.0mm、前後両端壁の外面の曲率半径は0.35〜0.75mmであることが好ましい。
なお、熱交換管(12)としては、アルミニウム押出形材製のものに代えて、アルミニウム製電縫管の内部にインナーフィンを挿入することにより複数の冷媒通路を形成したものを用いてもよい。また、片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートのろう材層側に圧延加工を施すことにより形成され、かつ連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部と、各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁より隆起状に一体成形された側壁形成部と、平坦壁形成部の幅方向に所定間隔をおいて両平坦壁形成部よりそれぞれ隆起状に一体成形された複数の仕切壁形成部とを備えた板を、連結部においてヘアピン状に曲げて側壁形成部どうしを突き合わせて相互にろう付し、仕切壁形成部により仕切壁を形成したものを用いてもよい。
コルゲートフィン(14)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを用いて波状に形成されたものであり、その波頭部と波底部を連結する連結部に、前後方向に並列状に複数のルーバが形成されている。コルゲートフィン(14)は前後両熱交換管群(13)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の前側縁と後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。ここで、コルゲートフィン(14)のフィン高さは波頭部と波底部との直線距離を意味し、フィン高さ=7.0mm〜10.0mmであることが好ましい。また、コルゲートフィン(14)のフィンピッチは隣り合う波頂部または波底部の上下方向の中央部間の間隔の1/2を意味し、フィンピッチ=1.3〜1.8mmであることが好ましい。なお、1つのコルゲートフィンが前後両熱交換管群(13)に共有される代わりに、両熱交換管群(13)の隣り合う熱交換管(12)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
エバポレータ(1)は、冷媒入口管(7)および冷媒出口管(8)を除く各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。ここで、冷媒入出用タンク(2)の第1および第2部材(16)(17)を組み合わせる際に、両閉鎖部材(18)(19)を両部材(16)(17)間に配置するとともに、前後両キャップ(18a)(18b)(19a)(19b)の突起(41)(42)を嵌合穴(32)(33)内に嵌め入れておく。また、冷媒ターン用タンク(3)の第1および第2部材(70)(71)を組み合わせる際に、両閉鎖部材(72)を両部材(70)(71)間に配置するとともに、前後両キャップ(72a)(72b)の突起(63)を嵌合穴(60)(61)内に嵌め入れておく。そうすると、ろう付の際の閉鎖部材(18)(19)(72)、すなわち前後両キャップ(18a)(18b)(19a)(19b)(72a)(72b)の脱落が防止される。
エバポレータ(1)は、圧縮機、コンデンサ(冷媒冷却器)および膨張弁(減圧器)とともにフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
上述したエバポレータ(1)において、図10に示すように、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁(減圧器)を通過した気液混相の2相冷媒が、冷媒入口管(7)からパイプジョイント部材(21)の冷媒流入口(45)および右側キャップ(19)の冷媒入口(37)を通って冷媒入口ヘッダ部(5)内に入り、分流して前側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入する。
すべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入した冷媒は、冷媒通路(12a)内を下方に流れて冷媒ターン用タンク(3)の冷媒流入ヘッダ部(9)内に入る。冷媒流入ヘッダ部(9)内に入った冷媒は、中間壁(78)の冷媒通過穴(80)を通って冷媒流出ヘッダ部(11)内に入る。
冷媒流出ヘッダ部(11)内に入った冷媒は、分流して後側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)の冷媒通路(12a)内に流入し、流れ方向を変えて冷媒通路(12a)内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)の下空間(6b)内に入る。ここで、分流用抵抗板(29)によって冷媒の流れに抵抗が付与されるので、冷媒流出ヘッダ部(11)から後側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)への分流が均一化されるとともに、冷媒入口ヘッダ部(5)から前側熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)への分流も一層均一化される。その結果、両熱交換管群(13)のすべての熱交換管(12)の冷媒流通量が均一化される。
ついで、冷媒は分流用抵抗板(29)の冷媒通過穴(31A)(31B)を通って冷媒出口ヘッダ部(6)の上部空間(6a)内に入り、右側キャップ(19)の冷媒出口(38)およびパイプジョイント部材(21)の冷媒流出口(46)を通り、冷媒出口管(8)に流出する。そして、冷媒が前側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の冷媒通路(12a)、および後側熱交換管群(13)の熱交換管(12)の冷媒通路(12a)を流れる間に、通風間隙を図1および図10に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換をし、気相となって流出する。
このとき、コルゲートフィン(14)の表面に凝縮水が発生し、この凝縮水が冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)に流下する。冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)に流下した凝縮水は、キャピラリ効果により溝(74)内に入り、溝(74)内を流れて前後方向外側の端部から冷媒ターン用タンク(3)の下方へ落下する。こうして、冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)とコルゲートフィン(14)の下端との間に多くの凝縮水が溜まることに起因する凝縮水の氷結が防止され、その結果エバポレータ(1)の性能低下が防止される。
実施形態2
この実施形態は図11および図12に示すものである。
この実施形態は図11および図12に示すものである。
図11において、冷媒入出用タンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(10)の右端開口、および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(20)の右端開口は、互いに独立したプレート状キャップ(90a)(90b)により閉鎖されている。両キャップ(90a)(90b)は、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ両ヘッダ部本体(10)(20)の右端開口内に嵌め入れられている。前キャップ(90a)に、冷媒入口ヘッダ部(5)内を外部に通じさせる冷媒入口(37)が形成され、後キャップ(90b)に、冷媒出口ヘッダ部(6)の上部空間(6a)内を外部に通じさせる冷媒出口(38)が形成されている。両キャップ(90a)(90b)には、それぞれヘッダ部本体(10)(20)の周壁、すなわち第1および第2部材(16)(17)の右端部に形成された嵌合穴(32)(33)内に嵌る突起(42)が形成されている。すなわち、両キャップ(90a)(90b)は、実施形態1の右側閉鎖部材(19)の連結部(19c)を除いた前キャップ(19a)および後キャップ(19b)と同様な構成となっている。ここで、両キャップ(90a)(90b)間に連結部が存在しないことから、冷媒入出用タンク(2)の第2部材(17)における中間壁(27)の右端部には切除部は形成されていない。
図示は省略したが、冷媒入出用タンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(10)の左端開口、および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(20)の左端開口は、互いに独立したプレート状キャップにより閉鎖されている。両キャップは、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ両ヘッダ部本体の右端開口内に嵌め入れられている。両キャップには、それぞれヘッダ部本体(10)(20)の周壁、すなわち第1および第2部材(16)(17)の左端部に形成された嵌合穴(32)(33)内に嵌る突起が形成されている。すなわち、両キャップは、実施形態1の左側閉鎖部材(18)の連結部(18c)を除いた前キャップ(18a)および後キャップ(18b)と同様な構成となっている。ここで、両キャップ間に連結部が存在しないことから、冷媒入出用タンク(2)の第2部材(17)における中間壁(27)の左端部には切除部は形成されていない。
そして、これらのキャップ(90a)(90b)は、前キャップ(90a)がヘッダ部本体(10)の両端開口内に、後キャップ(90b)がヘッダ部本体(20)の両端開口内にそれぞれ嵌め入れられるとともに、各キャップ(90a)(90b)の突起(42)が嵌合穴(32)(33)内に嵌め入れられた状態で、各キャップ(90a)(90b)のろう材層を利用して第1および第2部材(16)(17)にろう付されている。
図12において、冷媒ターン用タンク(3)の冷媒流入ヘッダ部(9)のヘッダ部本体(55)の右端開口、および冷媒流出ヘッダ部(11)のヘッダ部本体(56)の右端開口は、互いに独立したプレート状キャップ(91a)(91b)により閉鎖されている。両キャップ(91a)(91b)は、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ両ヘッダ部本体(55)(56)の右端開口内に嵌め入れられている。両キャップ(91a)(91b)には、それぞれヘッダ部本体(55)(56)の周壁、すなわち第1および第2部材(70)(71)の右端部に形成された嵌合穴(60)(61)内に嵌る突起(63)が形成されている。すなわち、両キャップ(91a)(91b)は、実施形態1の右側閉鎖部材(72)の連結部(72c)を除いた前キャップ(72a)および後キャップ(72b)と同様な構成となっている。ここで、両キャップ(91a)(91b)間に連結部が存在しないことから、冷媒ターン用タンク(3)の第2部材(71)における中間壁(78)の右端部には切除部は形成されていない。
図示は省略したが、冷媒ターン用タンク(3)の冷媒流入ヘッダ部(9)のヘッダ部本体(55)の左端開口、および冷媒流出ヘッダ部(11)のヘッダ部本体(56)の左端開口も、互いに独立したプレート状キャップ(91a)(91b)により閉鎖されている。両キャップ(91a)(91b)は、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ両ヘッダ部本体(55)(56)の左端開口内に嵌め入れられている。両キャップには、それぞれヘッダ部本体(55)(56)の周壁、すなわち第1および第2部材(70)(71)の左端部に形成された嵌合穴(60)(61)内に嵌る突起(63)が形成されている。すなわち、両キャップ(91a)(91b)は、実施形態1の左側閉鎖部材(72)の連結部(72c)を除いた前キャップ(72a)および後キャップ(72b)と同様な構成となっている。ここで、両キャップ(91a)(91b)間に連結部が存在しないことから、冷媒ターン用タンク(3)の第2部材(71)における中間壁(78)の左端部には切除部は形成されていない。
そして、これらのキャップ(91a)(91b)は、前キャップ(91a)がヘッダ部本体(55)の両端開口内に、後キャップ(91b)がヘッダ部本体(56)の両端開口内にそれぞれ嵌め入れられるとともに、各キャップ(91a)(91b)の突起(63)が嵌合穴(60)(61)内に嵌め入れられた状態で、各キャップ(91a)(91b)のろう材層を利用して第1および第2部材(70)(71)にろう付されている。
その他の構成は、実施形態1のエバポレータ(1)と同じである。
上記2つの実施形態においては、ヘッダ本体(10)(20)(55)(56)の周壁、すなわち第1および第2部材(16)(17)(70)(71)に形成され、かつ突起(41)(42)(63)が嵌る嵌合穴(32)(33)(60)(61)は貫通穴であるが、これに限定されるものではなく有底穴であってもよい。
上記2つの実施形態においては、両タンク(2)(3)の冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒流入ヘッダ部(9)との間、および冷媒出口ヘッダ部(6)と冷媒流出ヘッダ部(11)との間にそれぞれ1つの熱交換管群(13)が設けられているが、これに限るものではなく、両タンク(2)(3)の冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒流入ヘッダ部(9)との間、および冷媒出口ヘッダ部(6)と冷媒流出ヘッダ部(11)との間にそれぞれ1または2以上の熱交換管群(13)が設けられていてもよい。また、冷媒入出用タンクが下、冷媒ターン用タンクが上となって用いられることもある。
上記2つの実施形態においては、この発明による熱交換器が、フロン系冷媒を使用するカーエアコンのエバポレータに適用されているが、これに限定されるものではなく、圧縮機、ガスクーラ(冷媒冷却器)、中間熱交換器、膨張弁(減圧器)およびエバポレータを有しかつCO2冷媒を使用するカーエアコンを備えた車両、たとえば自動車において、カーエアコンのエバポレータとして用いられることがある。
さらに、上記2つの実施形態においては、冷媒ターン用タンク(3)には、隣り合う熱交換管(12)間の部分において排水性向上のための溝(74)が形成されているが、これに限定されるものではなく、各熱交換管(12)と対応する位置に、排水性向上のための溝が形成されていてもよい。この場合、冷媒ターン用タンク(3)の頂面(3a)から前後両側面(3b)にかけて、各管挿通穴(75)の前後方向外端に連なって排水性向上のための溝が形成される。
(1):エバポレータ
(4):熱交換コア部
(5):冷媒入口ヘッダ部(第1ヘッダ部)
(6):冷媒出口ヘッダ部(第2ヘッダ部)
(9):冷媒流入ヘッダ部(第3ヘッダ部)
(10)(20):ヘッダ部本体
(11):冷媒流出ヘッダ部(第4ヘッダ部)
(12):熱交換管
(13):熱交換管群
(14):コルゲートフィン
(16):第1部材
(17):第2部材
(18)(19):閉鎖部材
(18a)(18b)(19a)(19b)(90a)(90b):キャップ
(32)(33):嵌合穴
(37):冷媒入口
(38):冷媒出口
(41)(42):突起
(55)(56):ヘッダ部本体
(60)(61):嵌合穴
(63):突起
(70):第1部材
(71):第2部材
(72):閉鎖部材
(72a)(72b)(91a)(91b):キャップ
(4):熱交換コア部
(5):冷媒入口ヘッダ部(第1ヘッダ部)
(6):冷媒出口ヘッダ部(第2ヘッダ部)
(9):冷媒流入ヘッダ部(第3ヘッダ部)
(10)(20):ヘッダ部本体
(11):冷媒流出ヘッダ部(第4ヘッダ部)
(12):熱交換管
(13):熱交換管群
(14):コルゲートフィン
(16):第1部材
(17):第2部材
(18)(19):閉鎖部材
(18a)(18b)(19a)(19b)(90a)(90b):キャップ
(32)(33):嵌合穴
(37):冷媒入口
(38):冷媒出口
(41)(42):突起
(55)(56):ヘッダ部本体
(60)(61):嵌合穴
(63):突起
(70):第1部材
(71):第2部材
(72):閉鎖部材
(72a)(72b)(91a)(91b):キャップ
Claims (10)
- 互いに間隔をおいて配置された2つのヘッダ部と、両ヘッダ部間に、ヘッダ部の長さ方向に間隔をおいて配置されかつ両端部が両ヘッダ部に接続された複数の熱交換管とを備えており、各ヘッダ部が、両端が開口した中空状のヘッダ部本体と、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとよりなる熱交換器であって、
キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されている熱交換器。 - ヘッダ部本体が、ヘッダ部本体の熱交換管側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材に接合された第2部材とよりなり、第1および第2部材に、それぞれキャップの突起を嵌め入れる嵌合穴が形成されている請求項1記載の熱交換器。
- 左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなり、かつ通風方向に並んで配置された複数列の熱交換管群、および隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管に接合されたフィンを有する熱交換コア部と、熱交換管の一端側に配置され、かつ少なくとも1列の熱交換管群の熱交換管が接続された第1ヘッダ部と、熱交換管の一端側において第1ヘッダ部の通風方向上流側に配置され、かつ残りの熱交換管群の熱交換管が接続された第2ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ第1ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された第3ヘッダ部と、熱交換管の他端側に配置され、かつ第2ヘッダ部に接続されている熱交換管が接続された第4ヘッダ部とを備えており、各ヘッダ部が、両端が開口した中空状のヘッダ部本体と、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップとよりなり、第1ヘッダ部のヘッダ部本体と第2ヘッダ部のヘッダ部本体、および第3ヘッダ部のヘッダ部本体と第4ヘッダ部のヘッダ部本体とが、それぞれ一体化されている熱交換器であって、
キャップがヘッダ部本体の両端開口内に嵌め入れられ、キャップの周縁部に突起が形成されるとともに、ヘッダ部本体の周壁に、キャップの突起が嵌る嵌合穴が形成され、キャップの突起がヘッダ部本体の嵌合穴内に嵌め入れられた状態で、キャップがヘッダ部本体に接合されている熱交換器。 - 第1ヘッダ部のヘッダ部本体と第2ヘッダ部のヘッダ部本体とが、それぞれ両ヘッダ部本体の熱交換管側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、両ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材に接合された第2部材とよりなり、第1および第2部材に、それぞれキャップの突起を嵌め入れる嵌合穴が形成されている請求項3記載の熱交換器。
- 第1ヘッダ部および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖する2つのキャップ、ならびに第1ヘッダ部および第2ヘッダ部のヘッダ部本体の他端開口を閉鎖する2つのキャップが、それぞれ一体化されている請求項4記載の熱交換器。
- 第3ヘッダ部のヘッダ部本体と第4ヘッダ部のヘッダ部本体とが、それぞれ両ヘッダ部本体の熱交換管側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、両ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材に接合された第2部材とよりなり、第1および第2部材に、それぞれキャップの突起を嵌め入れる嵌合穴が形成されている請求項3〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 第3ヘッダ部および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖する2つのキャップ、ならびに第3ヘッダ部および第4ヘッダ部のヘッダ部本体の他端開口を閉鎖する2つのキャップが、それぞれ一体化されている請求項6記載の熱交換器。
- 第1ヘッダ部のヘッダ部本体の一端開口を閉鎖するキャップに冷媒入口が形成され、第2ヘッダ部のヘッダ部本体における冷媒入口と同一端の開口を閉鎖するキャップに冷媒出口が形成され、第3ヘッダ部と第4ヘッダ部とが連通させられている請求項3〜7のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 圧縮機、冷媒冷却器およびエバポレータを備えており、エバポレータが、請求項1〜8のうちのいずれかに記載の熱交換器からなる冷凍サイクル。
- 請求項9記載の冷凍サイクルが、エアコンとして搭載されている車両。
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