JP4531868B2 - 1を超える非リボソームrnaをコードしているドメインの染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む、特にクルイベロミセスによる酵母細胞 - Google Patents

1を超える非リボソームrnaをコードしているドメインの染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む、特にクルイベロミセスによる酵母細胞 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、組換えDNA技術を用いる酵母の遺伝子修飾の分野に属する。本発明は、更に詳細には、ゲノムに所望遺伝子の多コピーを組込んでいる酵母細胞の生産、及びそのようにして得られた酵母細胞に関する。本発明は、更に、そのようにして得られた酵母細胞を前記所望遺伝子の発現を援助する条件下で増殖させ、よってタンパク質、ペプチド又は代謝産物の生産が得られるタンパク質、ペプチド及び代謝産物の生産に関する。
背景技術
所望遺伝子の多コピーを保有する酵母菌株を得る既知の方法は、多コピーのプラスミドを使用している。しかしながら、プラスミドは次の欠点がある:(i)所望遺伝子のコピー数に対して生産された所望タンパク質の比率によって発現する発現レベルは所望遺伝子の組込みコピーよりプラスミドの方が一般に低い; 従って、プラスミドは組込みコピーより細胞に大きな代謝負荷を加え、バイオマス蓄積の点で不利益を生じる;(ii)プラスミドは構造不安定性の傾向があり、プラスミド由来所望遺伝子のロスをまねき、部分的タンパク質産物も生じる;(iii)プラスミドは分離不安定性を生じ、プラスミドロスをまねく。後者は、細胞に強力な代謝負荷を加える高レベル発現が所望される場合には特に起こる。
プラスミドに関連がある分裂不安定性を克服するために、所望遺伝子の多コピーの組込みが酵母において成功した。所望遺伝子の多コピーは、ゲノムの1つの組込み部位に、たいていは酵母ゲノムのリボソームDNAに組込まれた。1つの遺伝子座における多コピー組込みは、酵母ゲノム内に縦列の多コピーの組込みによってほとんどいつも達成される。これは、所望遺伝子を含む構築物に隣接している縦列反復の存在の結果として構築物のコピーの組換えにより不安定性をまねき易い。縦列に見られるコピーが多いほど単コピーの組換えによる切除をまねき易く、よってタンパク質生産レベルを予想できないほどの低レベルまで低下させる。
不安定性を克服するために、欠損した選択マーカーを用いることにより、例えば、弱いプロモーターが選択マーカーの前にクローン化されているリボソームDNAに高コピー数の組込みを得る系が講じられた(欧州特許第0 481 008号)。第1の欠点は生産株の選択マーカーを必要とすることである。優性抗生物質耐性マーカーは調節の観点から望ましくなく、一方、栄養素要求性マーカーは突然変異受容ホスト株を必要とすることからほとんど有効でない。更に、選択マーカーの存在は発酵が更に複雑になり望ましくない。第2には、リボソームRNAをコードしているDNA遺伝子座は核小体と呼ばれる核オルガネラに見られるが、これはタンパク質をコードしている遺伝子がRNAポリメラーゼII転写遺伝子であるのでタンパク質をコードしている遺伝子の最適発現を得る理想的な場所ではない。
本発明の目的は、従来技術において既知の酵母細胞で直面した問題の少し又は全部を含まずにゲノムに組込まれた所望遺伝子の多コピーを有する酵母細胞を提供することである。
発明の要約
本発明は、初めて分離したクローンとしての、染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む酵母細胞であって、前記染色体ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つが少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を取込んでいる、前記酵母細胞を提供する。
本発明によれば、1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つが2コピー以上の前記所望遺伝子を取込んでいる酵母細胞が好ましく、1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した各実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが同じコピー数の前記所望遺伝子を取込んでいる酵母細胞が更に好ましい。1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインは相互に実質的に重複しており、好ましくは相互に対立遺伝子型である。本発明の好ましい酵母細胞は、クルイベロミセス(Kluyveromyces)酵母細胞、例えば、K.ラクチス(lactis)又はK.フラギリス(fragilis)である。
本発明によれば、所望遺伝子の少なくとも一部が最新の遺伝子工学技術を用いて操作したことを意味する組換え遺伝子である所望遺伝子が好ましい。実施態様によれば、所望遺伝子は酵母遺伝子である。他の実施態様によれば、所望遺伝子は非酵母遺伝子である。いずれにしても“遺伝子”は、選ばれた酵母ホスト内に存在する場合に発現することが可能な遺伝子を意味する。本発明は、β-ガラクトシダーゼをコードする酵母遺伝子(LAC4, K.ラクチス由来)及びキモシンをコードする非酵母遺伝子によって例示される。LAC4遺伝子は細胞内遺伝子であり、キモシン遺伝子は実際はプロキモシンとして分泌するプレプロタンパク質をコードし、自触的に活性化されて成熟タンパク質産物キモシンを形成する。キモシンをコードする遺伝子は、本明細書においてはキモシン活性を有するタンパク質へ処理又は成熟させられるポリペプチドをコードしているDNA配列の全てを包含するので特にプレプロキモシンやプロキモシンをコードしているcDNAを包含することが理解される。所望遺伝子は、前記酵母細胞内で機能する、転写プロモーター領域、及び任意の転写終結領域を含む組換え遺伝子であり、前記領域の少なくとも一方又は双方がタンパク質又はペプチドをコードするオープンリーディングフレームに結合されていないことは勿論のことである。選ばれた酵母細胞内で既に機能している種類による調節領域を有する所望遺伝子が未変性状態で酵母細胞内で発現されることは明らかである。
好適実施態様によれば、1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの数は2であり、ドメインあたりの前記所望遺伝子のコピー数は3、好ましくは少なくとも3、更に好ましくは少なくとも4、更に好ましくは少なくとも5である。
実施態様によれば、本発明の酵母細胞はマーカー遺伝子を含まない酵母細胞である。
他の実施態様によれば、前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインがLAC4対立遺伝子である酵母細胞が提供される。
本発明は、更に、タンパク質又はペプチドの生産方法であって、前記タンパク質又はペプチドの生産を援助する条件下で後記請求の範囲のいずれか1項の酵母細胞を増殖させる工程を含む、前記方法を提供する。任意により、前記方法は、更に、細胞及び/又は培養液からタンパク質、ペプチド又は代謝産物を回収する工程を含む。
他の実施態様によれば、所望タンパク質又はペプチドを生産することが可能な酵母細胞を得る方法であって、(a)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであるゲノムを有する酵母細胞を、前記タンパク質又はペプチド、又はその前駆体をコードする所望遺伝子、及び前記ドメインと相同性を有する領域を含むDNA分子で形質転換する行程;(b)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した前記リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも1つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選択又は選別する工程; 及び(c)(b)で得られた細胞を増殖させ、前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選別又は選択する工程を含む、前記方法が提供される。
本発明によれば、工程(a)、(b)及び(c)のほかに、(d)(c)で得られた細胞を増殖させ、前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選別又は選択する工程を含む方法が好ましい。
本発明によれば、工程(a)、(b)、(c)及び(d)のほかに、(e)各コピーの前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得るまで工程(d)を反復する工程を含む方法が好ましい。
本発明によれば、更に、二方向選択マーカーが工程(a)の酵母細胞の形質転換に用いられ、該選択マーカーの除去が工程(c)の前に行なわれる方法が好ましい。該二方向選択マーカーは、好ましくは優性マーカー、更に好ましくはアセトアミダーゼ遺伝子である。本発明の他の好ましい方法においては、工程(a)は該二方向選択マーカーの除去に続いて少なくとも1回反復される。
本発明の他の好適実施態様においては、所望タンパク質又はペプチドを生産することが可能な酵母細胞を得る方法であって、(a)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであるゲノムを有する酵母細胞を、前記タンパク質又はペプチド、又はその前駆体をコードする所望遺伝子、及び前記ドメインと相同性を有する領域を含むDNA分子で形質転換する工程;(b)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した前記リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも1つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選択又は選別する工程; 及び(c)(b)で得られた細胞を形質転換し、第2DNA分子が選択マーカー遺伝子、及び前記ドメインと相同性を有する領域を含む工程;(d)1コピー以上の該所望遺伝子を含まずに前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの1つに組込まれた少なくとも1コピーの前記選択マーカーを得た細胞を選別又は選択する工程;(e)(d)で得られた細胞を増殖させ、該選択マーカーを喪失しかつ前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選別又は選択する工程を含む、前記方法が提供される。該選択マーカー遺伝子は、好ましくは2方向マーカー遺伝子、更に好ましくは優性2方向マーカー遺伝子、更に好ましくはアセトアミダーゼ遺伝子である。
他の実施態様によれば、所望タンパク質又はペプチドを生産することが可能な酵母細胞を得る方法であって、(a)染色体の1つに組込まれた少なくとも1コピーの所望遺伝子で形質転換した酵母細胞を得、該所望遺伝子が直列反復により隣接している工程;(b)(a)で得られた細胞の子孫から単コロニーを分離する工程;(c)該所望遺伝子の更に縦列に組込まれた少なくとも1コピーを得た細胞の子孫から単コロニー分離物を選別する工程; 及び任意により(d)(c)で得られた細胞について該所望遺伝子の縦列に反復した所望コピー数が得られるまで工程(a)〜(c)を反復する工程を含む、前記方法が提供される。本発明によれば、該形質転換酵母細胞が1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含むゲノムを有する酵母細胞であり、そのドメインがかなりの相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、該所望遺伝子が少なくとも1コピーの前記DNAドメインに組込まれ、更に、(e)(c)又は(d)で得た細胞を増殖させ、前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つに組込まれた前記所望遺伝子のコピーを得た細胞を選別又は選択する工程、及び任意により(f)(e)で得られた細胞について所望数の前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが組込まれたコピーの前記所望遺伝子を得るまで(e)の増殖及び選別又は選択を反復する工程を含む方法が好ましい。
本発明は、更に、リボソームRNAをコードしているDNA遺伝子座以外の少なくとも1つのドメインの非一倍体であるクルイベロミセス属の酵母細胞、好ましくはクルイベロミセス・ラクチス細胞を提供する。他の実施態様によれば、酵母細胞はLAC4遺伝子座の非一倍体である。該酵母細胞は、前記非一倍体遺伝子座の各対立遺伝子に1コピー以上の所望遺伝子を取込んでいることが好ましい。該酵母細胞は、各対立遺伝子に同じコピー数の前記所望遺伝子を取込んでいることが更に好ましい。
本発明は、更に、酵母細胞内でタンパク質、ペプチド又は代謝産物を生産する方法であって、少なくとも1つの非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの非1倍体であるクルイベロミセス属の酵母細胞、好ましくはクルイベロミセス・ラクチス細胞を前記タンパク質、ペプチド又は代謝産物の生産を生じる条件下で増殖させる、前記方法を提供する。
本発明は、また、非1倍体酵母細胞の推定遺伝子変換体を選択する2方向マーカー遺伝子の使用を提供する。
本発明は、また、染色体ゲノムに取込まれた、即ち、染色体組込み部位に無関係に、少なくとも3コピーのラクターゼ、又はその誘導体をコードしている遺伝子を有するクルイベロミセス酵母細胞を提供する。同様に、本発明は、染色体の組込み部位に無関係に染色体ゲノムに取込まれた、少なくとも3コピーのキモシン、その前駆体又は誘導体をコードしている遺伝子を有するクルイベロミセス酵母細胞をはじめて提供する。
本発明は、更に、染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む酵母細胞を得る方法であって、前記ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、各前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが同じコピー数の前記所望遺伝子を取込んでおり、
(1)そのゲノムに組込まれた少なくとも1コピーの所望遺伝子を含む酵母細胞を選択し、前記ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているドメインであり、前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも1つが前記所望遺伝子のコピーを取込んでおり、前記ドメインの少なくとも1つが前記細胞内の少なくとも1つの他のドメインより少ないコピーを取込んでいる工程;
(2)前記細胞を増殖させて子孫細胞を得る工程; 及び
(3)前記子孫細胞中、そのゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む細胞を同定し、前記ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、各前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが同じコピー数の前記所望遺伝子を取込んでいる工程
を含む、前記方法を提供する。
本発明は、更に、ゲノムに組込まれた高コピー数の所望遺伝子を含む酵母細胞を得る方法であって、前記ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、
(1)その染色体ゲノムに組込まれた少なくとも1コピーの所望遺伝子を含む酵母細胞を選択し、前記染色体ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも1つが前記所望遺伝子のコピーを取込んでおり、前記ドメインの少なくとも1つが前記細胞内の少なくとも1つの他のドメインより少ないコピーを取込んでいる工程;
(2)前記細胞を増殖させて子孫細胞を得る工程; 及び
(3)前記子孫細胞中、その染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む細胞を同定し、前記ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインである工程
を含む、前記方法を提供する。
本発明は、更に、染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む酵母細胞を得る方法であって、前記染色体ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、前記実質的に相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つが少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を取込んでおり、
(1)酵母細胞を(a)所望遺伝子、(b)該ゲノム内の前記ドメインの1つと相同性を有する領域、及び(c)形質転換細胞を選択する二方向選択マーカーを含むDNA分子で形質転換する工程;
(2)該マーカーの存在に基づいて形質転換細胞を選択する工程;
(3)該二方向マーカーの喪失を援助する逆選択圧下で前記ドメインに組込まれた該DNA分子を有する形質転換細胞を増殖させる工程;
(4)1コピー以上の該所望遺伝子をなお取込んでいる工程(3)で増殖した細胞のマーカー子孫細胞を(a)二方向マーカー及び(b)前記ドメインと相同性を有する領域を含むDNA分子で形質転換する工程;
(5)前記ドメインに組込まれた前記二方向マーカーを得た細胞を一方のドメインが少なくとも二方向マーカーを有しかつもう一方のドメインが1コピー以上の該所望遺伝子を有するような方法で選択する工程;
(6)該二方向マーカーの喪失を援助する逆選択圧下で二方向マーカー+細胞を増殖させる工程;
(7)工程(6)で得られた該二方向マーカー子孫細胞中、各々が1コピー以上の該所望遺伝子を取込んでいる少なくとも2つのドメインを有する子孫細胞を同定する工程
を含む、前記方法を提供する。好適実施態様によれば、得られた細胞は各々の前記ドメイン内に同じコピー数の該所望遺伝子を有する。
図面の説明
図1: pGBG418LACの構築経路(M = メチル化E. コリ(coli)JM109中)
図2: pGBLACAmdの構築経路(Xbal M = メチル化E. コリJM109中)
図3: LacTプローブとハイブリッド形成した後のCBS 685.97のKpn1消化ゲノムDNAとCBS 685.97の18 pGBLACAmdS-1形質転換細胞のX線暴露フィルムの結果; LacTプローブについては図4参照。レーン0は対照レーンである。レーン1-10とレーン13〜21は独立した形質転換細胞である。
図4: CBS 685.97株(4a); pGBLACAmdS-1で形質転換したCBS 685.97であるLCT 101株(4b); 及びLacT1とLacT2を用いた異種DNAの組換え後のLCT101であるLCT105株(4c)のLAC4遺伝子座の染色体構造の概略図。
記号: LacP: LAC4プロモーター; LAC4: ラクターゼコード配列; lacT1、lacT2、lacT: LAC4ターミネーター配列; プローブ: LAC4プロモータープローブ; LacTp: LAC4ターミネータープローブ。図面の上の番号は、DNA遺伝子座の構造を求めるために用いた適切な制限断片の長さを示す。適切な制限部位のみ示されている。
図5: LacPプローブとハイブリッド形成した後のCBS 685.97のMluI消化ゲノムDNAとCBS 685.97の14pGBLACAmdS形質転換細胞の結果; LacPプローブについては図4参照。レーン0は対照レーンである。レーン1-9及びレーン10-21は独立した形質転換細胞である。レーン9とレーン10の間の番号は、キロ塩基対でのマーカー断片のサイズを示す。
図6: pGBamdS 61の構築経路。
図7: GBA-CHY22、GBA-CHY33、GBA-CHY34、GBA-CHY53及びGBA-CHY54のコピー数分析の結果。染色体DNAをMluIで消化し、LacPプローブとハイブリッド形成した。1、2、3、4及び5コピーのキモシン発現カセットの予想断片が示されている。
図8: 2つの縦列に組込まれたキモシン発現カセットpKS105(GBA-CHY22株)を含むLAC4遺伝子座の染色体構造の概略図。記号: pLAC4: LAC4プロモーター; LAC4ラクターゼコード配列; te: LAC4ターミネーター配列; プローブ: LAC4プロモータープローブ。適切な制限部位と予想した断片の長さのみ示されている。
図9: GBA-CHY22、GBA-CHY33、GBA-CHY43、GBA-CHY53及びGBA-CHY54株の染色体分析の結果。染色体DNAをHindIIIで消化し、指定したプローブとハイブリッド形成した。3以上のキモシンコピーpKS105がラクターゼ遺伝子座に縦列に組込まれる場合、3.6kbのハイブリッド形成断片の強さは大きい。
発明の詳細な説明
本発明の酵母細胞は、染色体ゲノムに組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含み、前記染色体ゲノムが1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが実質的な配列相同性を共有しかつ非リボソームDNAドメインであり、前記実質的に相同な非リボソームDNAドメインの少なくとも2つが前記所望遺伝子のコピーを取込んでいる。染色体ゲノムは細胞内の染色体の全体性を意味すると共に人工酵母染色体(YAC)を包含する。
各ドメインは、好ましくは2コピーを超える所望遺伝子、更に好ましくは3コピーを超える所望遺伝子、更に好ましくは3〜6コピーの所望遺伝子を含む。他の好適実施態様によれば、各ドメインは同じコピー数の所望遺伝子を含む。
本発明は、本発明の酵母細胞を得る方法をはじめて提供する。本発明は、一例として次の説明を用いることにより最良に理解される。
DNA、例えば、ある遺伝子座が二倍体である菌株の組込みに適した少なくとも2つの実質的に相同なドメインを保有する酵母細胞を、(a)所望遺伝子、(b)ゲノム内に前記ドメインと相同性を有する領域、(c)任意の形質転換細胞を検出する選択マーカーを含む入ってくるDNA分子で形質転換する。選択マーカーが用いられる場合には、amdSのような二方向マーカーが形質転換後に逆選択によってゲノムから欠失(又は不活性化)させることから好ましいが必要ではない。代替的には、マーカーの喪失が選別され(例えば、レプリカ平板法によって)、その場合には逆選択は行なわれず、遺伝子は酵母細胞内のマーカーとしての使用に適した遺伝子である。(amdSの場合には選択物質としてフルオロアセトアミドを用いることにより逆選択が行なわれる。amdS遺伝子及びその使用についての詳細はGist-Brocades N.V.の名義で1991年1月25日公開の欧州特許出願第0 635 574号に示されている。その明細書の適切な部分の記載は本願明細書に含まれるものとする。)
好ましくは、(二方向)マーカー遺伝子は直列反復により隣接し、後の段階でゲノムからの組換えを可能にする。本明細書の実施例においては、直列反復はLAC4ターミネーター領域の一部を含む断片として示されている。形質転換細胞は、まずマーカーの存在に基づいて、及び増幅、サザンブロット又はTAFE(下記)のような通常の分析法を用いた所望遺伝子の存在と正しい染色体の場所に基づいて選択(又は選別)される。そのようにして選択した細胞を、好ましくは逆選択圧下で増殖させ、二方向マーカーの欠失について選別又は選択する。次に、マーカーが負の細胞を(二方向)マーカー及びゲノムへの組換え組込みに十分なドメインと相同性を有する領域を含むDNA分子で形質転換する。形質転換細胞について(二方向)マーカーの存在が選択又は選別され、マーカー+細胞中で非占有又は低占有ドメインに組込まれた(二方向)マーカーをもつクローンが選択される。非占有及び低占有は、各々所望遺伝子のコピーを全くもたない、又は他の相同ドメインよりコピーが少ないドメインを意味する。このクローンは、(二方向)マーカーの欠失を可能にするために、好ましくは逆選択圧下で増殖される。(二方向)マーカーを喪失した子孫細胞(頻度は1:100〜1:5000)についてゲノム構造を分析する。マーカーのうち約1〜20%の細胞はマーカーの喪失の代わりに所望遺伝子が組込まれた1又は複数のコピーを含む最初のドメインの仮想的コピーをもつことがわかる。上記のように選択されるこの方法は、以後“遺伝子変換”と呼ぶ。遺伝子変換は、占有したドメインに取込まれる所望遺伝子の数に無関係に起こることがわかる。従って、ゲノムに組込まれた2コピーの所望遺伝子を含む細胞が遺伝子変換により4コピー所望遺伝子細胞子孫、3コピー〜6コピー細胞子孫等を生じる。遺伝子変換頻度は通常は極めて低い。キモシン遺伝子により約1:15000の頻度が観測されたが、所望遺伝子の種類により変動する。
タンパク質又は代謝産物生産性を求めることによる高コピー数に対する選別は生産性への各追加コピーの生産性の貢献が横ばいになる点を超えた実験規模ではもはや実行可能ではないので、染色体ゲノムに組込まれた高コピー数の所望遺伝子を選別する能力は重要である。ある点を超えてコピー数を増やす際にラボスケールで求めた生産性が横ばいになるけれども工業規模での発酵にはなお主要な利点が見られることは理解されなければならない。
本発明は、代表的な酵母としてクルイベロミセス・ラクチスで例示される。本発明がクルイベロミセス属の他の酵母種、例えば、クルイベロミセス・フラギリス、及び酵母界の他の属に属する酵母、例えば、サッカロミセス(Sacchromyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、シワンニオミセス(Schwanniomyces)、ヤーロウィア(Yarrowia)、ピキア(Pichia)、ハンゼヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、ファフィア(Phaffia)等と行うのに同様に十分適していることは明らかである。原則として、配列相同性を、場合によっては、例えば、遺伝子重複又は遺伝子多倍増(遺伝子増幅とも言われる)により共有し、所望遺伝子のような所望遺伝子の組込みに適している2つ以上のドメインを有する酵母種が、1を超えるドメインのゲノムに組込まれた1を超えるコピーを有する菌株を得るために用いられる。実施態様によれば、所望遺伝子を組込むのに適したドメインの二倍体又は倍数体である酵母菌株が用いられる。菌株はあるドメインが二倍体又は倍数体、他のドメインが一倍体、又はx倍体である。かかる菌株は一般に異数体と言われる。言いやすいためにこれらは以後集団的に“非一倍体”と呼ぶ。非一倍体サッカロミセス種の形質転換を記載している欧州特許出願の一例は欧州特許第0 163 491号である。その実施例においては、HO遺伝子座がサッカロミセス・カルルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)のlacZ遺伝子の組込みに用いられている。理論上は、1を超えるドメインに組込まれた1コピー以上の所望遺伝子を有する酵母細胞は、本発明を用いて欧州特許第0 163 491号の実施例に開示された一次形質転換細胞より直接選ばれる。1を超えるドメインにおいて少なくとも1コピーを有する細胞を同定するために、一次形質転換細胞を増殖させること、マーカーを除去すること、2方向マーカーで再形質転換すること、非占有ドメインにおいてマーカーを有する形質転換細胞を選択すること、マーカーを失った細胞を逆選択すること、及びマーカー細胞中、ゲノムを分析することにより遺伝子変換体であるものを選択することが好ましい。好ましい出発菌株は、かかる菌株から得られる遺伝子変換体が二倍の所望遺伝子コピーを有することから第1ドメインに(縦列に)組込まれた1を超えるコピーを既に有するものである。
本明細書の実施例においては、LAC4遺伝子座及び他のいくつかの遺伝子座が二倍体であるK.ラクチスCBS 685.97が利用される。しかしながら、K.ラクチスCBS 685.97は接合型を有するので真の二倍体細胞ではない。
本発明は、決してK.ラクチス染色体ゲノムのある遺伝子座に限定されず、更に言えば他の酵母種の他の遺伝子座にも限定されないことは明らかである。本発明は、その表現の厳密な意味において遺伝子座に限定されない。古典的には、“遺伝子座”という表現は染色体上の“遺伝子”の物理的な場所を意味する。1コピー以上の所望遺伝子の組込みが必ずしも遺伝子内又は近傍で起こるとは限らないことは明らかである。組込みは、反復DNAのような遺伝子ではなくてリボソームDNA反復以外の他のゲノム染色体DNAに同様に十分起こるものである。そのようなわけで本発明のためには遺伝子座よりむしろ“ドメイン”という表現の使用が用いられる。本発明のドメインが組込みに適していなければならないことは明らかである。これは、組込みが前記ドメインの所望の機能を負に妨害してはならないことを意味する。例えば、ドメインが活性遺伝子(実際には遺伝子座)である場合には、組込みは、常在性遺伝子の発現を、その遺伝子の発現が負に影響されないならば妨害してはならない。常在性遺伝子の機能化が重要でなく所望さえされない場合には、組込みが遺伝子内のドメインにもあり、よって遺伝子機能化が損なわれる。染色体ゲノムは、ある酵母ホスト内にその酵母ホストがもつことができる人工染色体を含む染色体の全体性を含むものであることは強調される。従って、非リボソームRNAをコードしているドメインは、同じ染色体(増幅した)及び/又は異なる染色体及び/又は酵母の人工染色体(YAC)上にある。
この状態は好ましくないが、組込まれた遺伝子を保有していない他のコピーが無傷で残存しているならば所望遺伝子の機能化に影響するとしてもドメインは組込みに適切である。
実施態様によれば、組込みに適切なドメインは望ましくない内在プロテアーゼ活性をコードする遺伝子である。かかる遺伝子の発現を欠失又は減弱させることにより一例として述べるようにタンパク質回収が高くなる。かかるドメインの例は、酵母アスパルチルプロテアーゼ(Yap3)欧州特許第0 749 478号(1995年9月8日に国際出願第95/23857号として公開)である。
他の実施態様によれば、1コピー以上の所望遺伝子の組換えに適したドメインの多重性が形質転換により染色体ゲノムに取込まれている酵母細胞が得られる。例えば、2コピー以上のDNA配列をランダム方式で又は他の重要でない方式でゲノムに組込み、続いて1コピー以上の所望遺伝子の組込みの標的となる“プラットホーム”をつくることにより酵母細胞が得られる。そのプラットホームは、本発明の“組込みに適したドメイン”と考えられる。
組込みに適したドメインは、非リボソームDNA遺伝子座である。リボソームDNA遺伝子座についてはリボソームRNAをコードしているDNA遺伝子座、即ち、リボソームDNA反復を含むゲノム内の領域を意味する。従って、リボソームタンパク質をコードする遺伝子座は、後者がRNAポリメラーゼII転写遺伝子座であることは明らかであるので組込みに除外されない。
“組込みに適切な”という表現は、かなりの頻度で組換えが起こるようなドメインの長さであることを意味する。2つの(部分的)相同配列の組換え頻度が組換えるDNA分子の相同性の長さと程度と共に増加することは一般的には既知である。相同の最低限度又は相同伸長物の長さを厳密に示すことは難しいが、伸長物の長さが100bpを超える、好ましくは300bpを超える場合には当業者は本発明を実施することができる。2000bp以上の相同を有する伸長物は、相同的組換えにより組込み頻度が更に高められる。相同の長さの厳密な上限はない。通常は、酵母細胞ゲノム内のドメイン間の相同領域は数千塩基対から数十万の塩基対までの程度であり、これは重要ではない。形質転換DNAの相同領域は、ドメインの一部だけが相同的組換えに必要であるのでゲノム内のドメインの長さよりかなり短くてもよいことは明らかである。
同じであるドメイン、又は同じでない場合にはできるだけ相同なドメインを用いることにより最良の結果が得られる。本発明が同じであることを前提としない対立遺伝子変異体と使用するという事実は、ドメインの同一性は要求されないことを意味する。
理論によって制限されることは望まないが、組込みに適したドメインの同一性、又は相同性は下記の2つの理由のために好ましいと考えられる。
(1)同じか又は非常に似ている伸長物の相同性に基づいて1を超えるドメインでの入ってくるDNA分子(所望遺伝子を含む)の組換え、及び組込みを促進するため; これらの事象は独立している;
(2)以後“遺伝子変換”と呼ぶ方法によって2つの相同ドメインの“同等化”を得るため。このいわゆる遺伝子変換が起こる方法はまだ解明されていないが、そのメカニズムの知識は本発明を実施するのに重要なことではないので関係がない。
遺伝子変換の方法が本発明の一部をなすその使用は、相同ドメインと同じか又は似ている構造を得たドメインの存在により細胞の全集団の小亜集団において明らかである。従って、本実施例に示されるように、1コピーの所望遺伝子を保有する1つのドメインと2コピーの所望遺伝子を保有する1つの(相同な)ドメインを有する細胞の集団は、双方のドメイン内に一方のコピーを有する細胞、及び双方のドメイン内に2コピーの所望遺伝子を有する細胞を(子孫細胞中で)計数する。コピー数が各相同ドメインにおいて等しいと、その状態は本発明のドメイン間でコピーが不均一に分布される場合より安定である。しかしながら、それにもかかわらずコピー数は減少する傾向があるが、ラクトースの場合には、タンパク質、ペプチド又は代謝産物の生産性は少なくとも50世代の工業発酵条件下で安定である。15ドメインまで保有する細胞による同様の実験により、15ドメインの各々において同じコピー数(1以上)を有する細胞がもたらされた。あるコピー数まではコピー数と、生産されたタンパク質産物の量を求めることにより測定した遺伝子発現との強い相関があると考えられる。相関要因は遺伝子から遺伝子までを左右し、増加しているコピー数で横ばいになると考えられる。当業者に明らかである利点は、各過剰コピーが所望遺伝子の高い発現レベルに顕著に寄与することであり、結果としてホスト細胞に対する代謝エネルギーの消耗が最少である。
更に、選択圧の存在しないときの細胞集団のコピー数の驚くべき高い安定性は、本発明の細胞が工業発酵法で用いられる場合に重要な利点であることを明らかにする。これらの利点は工業規模によるフェドバッチにおいて既に有意であり、連続法においてもこれらの利点は高いと思われる。
従って、本発明の細胞は、タンパク質、ペプチド及び代謝産物のような大量の有効化合物を生産するために有利に用いられる。更に、又は代わりに、該細胞は所望遺伝子の高コピー数の結果として、及び高発現レベルの結果として蓄積する、又は大量に蓄積する代謝産物をつくるために有利に用いられる。
本発明のための遺伝子という言葉の意味は、広い意味で用いられるべきである。ゲノムDNA、及びコピーDNA(cDNA)、又は全部又は一部合成DNAを意味する。本発明の遺伝子は、選ばれた酵母において作用可能な発現調節配列と共に、あらゆるサイズのタンパク質、即ち、構造タンパク質又は酵素をコードするDNA配列を意味する。ペプチドホルモンのようなペプチド(小さなタンパク質)も包含される。遺伝子はモノシストロン又はポリシストロンメッセンジャーRNA(mRNA)、即ち、同じでも異なってもよい2以上のポリペプチド鎖をコードするmRNA、又は融合タンパク質をコードするmRNAをコードするものである。タンパク質又はペプチドは、所望の成熟タンパク質を得るポリペプチド鎖の処理が更に必要であるプロタンパク質として生産される。タンパク質又はペプチドは、プレプロタンパク質又はプレプロペプチドとして生産される(多くの真核タンパク質と同様に)。プレパートは、通常は、酵母細胞の分泌経路を通過中に成熟タンパク質又はペプチドから切断されるリーダーペプチドを意味する。
遺伝子は、調節要素、即ち、異なるプロモーター、ターミネーター、及び/又は遺伝子の発現をモジュレートするのに作用する他の調節要素で修飾される。更に、又は代わりに、修飾は、コードタンパク質、又はその前駆体のアミノ酸配列を切断する修飾、例えば、不変の修飾、及びアミノ酸配列を変える修飾を含む遺伝子のコード配列を必要とする。
これらの変化は全て当業者によって通常行なわれ、本発明の要旨から逸脱しない。
本明細書に用いられる所望遺伝子は、コードすることができるタンパク質又はペプチドの種類に限定されない。所望遺伝子は、酵母由来又は“非酵母”遺伝子である。酵母遺伝子の例は、カロテノイド生合成、キサントフィル合成、エルゴステロール合成、ヌクレオチド合成等の酵母自体の代謝経路に関与する酵素をコードする遺伝子である。酵母の代謝経路遺伝子の過剰発現は、前記経路においてある代謝産物中間体又は最終産物を過剰生産するために働くものである。本発明の他の所望酵母遺伝子は、インベルターゼ、グルコース、オキシダーゼ、ラクターゼ、マロエタノリック酵素等の酵素をコードする遺伝子である。また、既存の代謝経路に一致する酵素、又は酵母細胞の代謝レパートリーを高めるといった代謝経路を拡張する酵素をコードする遺伝子が本発明の所望遺伝子として考えられる。代謝経路工学の例は多数である。
本発明の所望の非酵母遺伝子は、動物、植物、細菌及び真菌、又はウイルス由来のものであり、構造タンパク質、ホルモンペプチドのようなペプチド、又は酵素をコードするものである。コードタンパク質又はペプチド又は酵素は、工業又は医薬適用があるものである。工業酵素の例としては、リパーゼ(例えば、清浄剤工業に用いられる)、プロテアーゼ(特に清浄剤工業、醸造等に用いられる)、細胞壁分解酵素(例えば、セルラーゼ、ペクチナーゼ、β-1,3/4-及びβ-1,6-グルカナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、マンナン分解酵素、キシラナーゼ、プルラナーゼ、ガラクタナーゼ、エステラーゼ等(果実加工ワイン製造等又は食品に用いられる)、フィチン分解酵素、ホスホリパーゼ、グリコシダーゼ(例えば、アミラーゼ、β-グルコシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ラムノシダーゼ、アピオシダーゼ等)、乳酵素(例えば、キモシン)である。治療用、化粧用又は診断用におけるタンパク質、ポリペプチド及び/又は酵素としては、インスリン、ヒト血清アルブミン(HSA)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、エリトロポエチン(EPO)、腫瘍壊死因子(TNF)、成長因子(G-CSF、GM-CSF、M-CSF、PDGF、EGF等)、ペプチドホルモン(例えば、カルシトシン、ソマトメジン、成長ホルモン、濾胞刺激ホルモン(FSH)、インターロイキン(IL-X)、インターフェロン(IFN-γ)、細菌抗原及びウイルス抗原、ワクチン、レセプター等が挙げられるがこれらに限定されない。また、前記タンパク質の変異体又はアナログをコードする遺伝子も包含される。
本発明は、所望遺伝子が選ばれた酵母細胞内の生化学経路に関与する酵素をコードする遺伝子のクラスターである場合に特に有利である。所望遺伝子のクラスターは、本発明の個々の所望遺伝子に記載されたように正確に酵母染色体ゲノムに組込まれる。その場合、酵母細胞が形質転換されるDNA分子は(a)多くの酵素をコードする所望遺伝子のクラスター、(b)前記ドメインと相同性を有する領域及び(c)前記酵母細胞内で機能するマーカー遺伝子であり、その際に細胞は非リボソーム染色体RNAをコードしているDNAに組込まれた遺伝子のクラスターを得るために選択又は選別される。代替的には、遺伝子のクラスターをつくる所望遺伝子は一度に1つか又は2つ組込まれる。これは、各ラウンドの形質転換後に欠失させる二方向マーカー遺伝子を用いて行なわれることが有利である。実験によれば、細胞を再形質転換する際に非占有ドメインより高い頻度で既に占有されたドメインにおいて入ってくるDNA分子の組込みが起こる。従って、最後には一方のドメインが組込まれた遺伝子クラスター内の全ての遺伝子を有するが、もう一方のドメインはなにもないか又は不完全なセットがある状態が選択又は選別される。続いて、もう一方の方のドメインに組込まれた完全なクラスターを有する菌株の低占有ドメインはマーカーを備え、一つ一つの所望遺伝子に記載されたように正確に遺伝子変換について選択又は選別が行なわれ、全クラスターが2倍(又はドメインの倍数が2より大きい場合には多倍数)になる。これらの方法により、全遺伝子クラスターの多コピーを有する酵母菌株は安定に維持及び発現される場合に染色体ゲノムに有利に組込まれる。遺伝子クラスターの一例として、酵母のファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma)におけるカロテノイド生合成に関与するものが述べられる。そのクラスターは、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(crtE)、フィトエンシンターゼ活性(crtB)、フィトエンデサチュラーゼ活性(crtI)及びリコペンシクラーゼ活性(crtY)を有する酵素をコードする遺伝子を含む。これらの遺伝子のクローニングはPCT/EP96/05887に記載されており、その明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。その出願はまだ公開されていないので本文のコピーが添付書類として本願と共に提出される。
上記遺伝子は単に具体的な説明のために言及され、決して本発明を限定するものではない。
本発明の遺伝子は、調節要素がホスト細胞内で機能する限りそれ自体の調節要素の制御下にあるものである。好ましくは、調節領域は具体的な酵母種で使用するのに最適化される。実施態様によれば、所望遺伝子は、転写プロモーター領域、及び前記酵母細胞内で機能する任意の転写終結領域を含む組換え遺伝子である。非酵母遺伝子及び酵母遺伝子の発現に適切な転写プロモーターは解糖プロモーター、例えば、ホスホフルクトキナーゼ(PPK)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ピルビン酸キナーゼ(PK)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターである。かかるプロモーターについての詳細は(国際出願第93/03159号)に見られる。他の有効なプロモーターは、リボソームタンパク質をコードしている遺伝子プロモーター、ラクターゼ遺伝子プロモーター(LAC4)、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(ADH1、ADH4等)、エノラーゼ(ENO)、酸ホスファターゼプロモーター(PHO5)である。また、ハイブリッドプロモーターも考えられる。プロモーターの選択は重要ではなく、所望遺伝子、目的及び当業者の好みに左右される。ターミネーターの選択は重要ではなく、酵母遺伝子由来でもよいが非酵母、真核遺伝子由来である場合もターミネーターは作用する。
所望の遺伝子を組み込むために好適なドメインの数に関し、本発明は2つのドメイン(LAC4座位の2つの対立遺伝子)によって例証されているが、それぞれ1以上の所望の遺伝子を組み込む15の本質的に相同的なドメインを有する細胞が、遺伝子変換によって得られた。ドメイン内に安定して残存する所望の遺伝子のコピー数は、その所望の遺伝子のアイデンティティに依存する。ラクターゼ遺伝子については、2つのドメインのおのおのがラクターゼ遺伝子の3つのコピー、総計6コピーを組み込む状態は、非常に安定した状態と思われ、50世代以上の間、2コピー菌株CBS 685.97よりも相対的にほぼ2倍半高い発現を示す;LCT124とCBS 685.97との比較。いずれの所定ドメイン中のコピー数も、組込みがタンデム型配列で起こりやすいとういう事実によって制限されると思われる;LAC4遺伝子以外の所望の遺伝子については、ドメイン毎のコピー数はもっと多いか或いは少ないかもしれない。どんなドメイン毎のコピー数も、各ドメインが同数のコピーを含む状態が、1つのドメインが少ないコピーを含む状態よりもずっと安定であると思われる;(3+3)の状態が(2+4)の状態より有利である;後者はおそらく遺伝子変換によって(2+2)の状態にフォールバックする傾向にある。
好適な実施態様によれば、酵母菌細胞は標識遺伝子フリーである。この状態は、アスペルギルス-ニデュランス由来のアセトアミダーゼ遺伝子(amdS)のような双方向性の優性選択標識の対抗選択によって得られる。この標識を用いて、対抗選択(以下、この用語は標識遺伝子不在の選択を示す)が為されうるが、選択により唯一の炭素及び/又は窒素源としてアセトアミド、例えばフルオロアセトアミドを含む遺伝子を有する形質転換体を選択することができる。酵母菌内で働く他の双方向性の優性選択標識は、類似の様式で使用できる。双方向性標識遺伝子のアウト−組換えは、入りプラスミド上に直接繰り返し隣接する遺伝子を挿入することで促進される。
欧州特許出願0 635 574に開示されているように、双方向性標識は両方向に優性である。すなわち、いずれの遺伝的素性の形質転換細胞も標識の存在を選択できる(唯一の炭素及び/又は窒素源としてアセトアミドを用いて)。他の双方向性標識として、URA3、LYS2等があるが、後者は「ダブルドミナント」ではないので不利である。説明すると、形質転換細胞内におけるこのタイプの標識の存在の選択は、栄養要求性遺伝子素性を必要とする;すなわち、これらの標識は一方向には劣性である。原則として、このことは、一般的に工業規模での発酵に使用される媒体は、URA3及びLYS2タイプの栄養要求株に許容的だから問題でない(Alaniら、1987、Genetics 116、541-545)。対抗選択は、酵母菌細胞に毒性である生成物の非毒性前駆体に存する選択的物質を用いて起こる;URA3の場合、前駆体は、例えば、5-フルオロ-オロト酸である。標識が存在し、酵母菌内で発現すると、無害な前駆体は毒性の生成物に変換し、それによって形質転換細胞での標識損失が効率的に選択される。
標識フリーの細胞の使用は、制御オーソリティーによって容易に受け入れられ、同時に工業規模の条件下での酵母菌のエネルギーバランスへの負担を減らす。
本質的に相同性のドメイン毎のコピー数が等しい細胞は、どんな形の選択性でも、少なくとも50世代の間タンパク質の生産性が安定している。
一実施態様に従い、タンパク質又はペプチドを生産する方法であって、前記タンパク質又はペプチドの生産を導く条件下で本発明の酵母菌細胞を増殖させる段階を含む方法が提供される。このような条件は、100m3、さらに好ましくは150m3のような大規模な醗酵層で工業的な流加条件で、糖蜜又はcorn steep liquorのような安価な培地を使用することが好ましい。また、後者はプロセスの最適化、除草性又は殺虫性の残留物の制御に関してかなり有利なので、化学的に限定された培地を工業的規模の発酵で使用できる。この場合のように、タンパク質は細胞内或いは細胞外で生産され、細胞又は培地から回収される。回収方法は、本技術分野で周知の沈殿及び/又は遠心分離、カラムクロマトグラフィー等を含む。生成物がタンパク質又はペプチドというよりは代謝生成物の場合、同様の配慮があてはまる。代替的に、酵母菌細胞はプロセス(例えば、醸成、ベーキング、ワイン製造、アルコール製造、廃棄処理等)で、又は餌もしくは食品の添加物として、任意に、粉砕後(例えばボールミルを用いて細胞を切開する)等のように使用できる。本発明においては、回収方法は制限されない。
本発明の酵母菌は、ベーキング、醸造、ワイン製造用に酵母菌自体増殖され、販売され、細胞壁及び/又はマンノプロテイン、又は酵母抽出液を製造できる。ここで、本発明の酵母菌は、そのタンパク質又は代謝物に起因した価値を付加でき、ユーザーの要望に従った成分を望ましく増加させ、或いは変化させることができる。
その菌株の利点を要約すると以下のようになる(非限定的):
1. 安定的な組込み;
2. 発現と遺伝子コピーとの強い相関性;
3. 組み込まれたコピー毎の高いタンパク質生産性(細胞の経済性);
4. 多面性:いかなる菌株にも使用できる;
5. 繰り返しの組込による副作用に言及する必要なく、所望の遺伝子の全種類に対して組込プラットフォームを創製できる;
6. ゲノムの高発現ドメインに組込プラットフォームを創製できる;
7. 有効なドメインは、再利用して産生菌株の調節性の許容を促進することができる。
以下の特許出願は、一般的レベルの先行技術を示すために供し、単に本発明の応用分野を例示するために供する。
EP 0 068 740(5-01-1983)「ベクターをクローニングする組換えDNA及びその真核性及び原核性形質転換体」、ハイグロマイシン-B、G418-抵抗性等のような酵母菌の選択性標識の使用について例証;
EP 0 077 689(27-04-1983)「宿主として真核性細胞を使用する遺伝子操作の方法」、酵母菌類及び真菌類のような高真核性細胞内でのDNA発現用に3’-リーダーの使用について例証;
EP 0 088 632(14-09-1983)「酵母菌による非相同性タンパク質の発現、プロセシング及び分泌」、サッカロミセス種の分泌に対しての相同性シグナルペプチドの使用について例証;
EP 0 096 910(28-12-1983)「プレプロタウマチン又はその種々の対立形質の及び修飾された形態又はその成熟形態の発現のために修飾されたクルイベロミセス属の酵母菌」、酵母菌クルイベロミセス内での異質遺伝子のクローニング及び発現について例証;
EP 0 123 811(12-06-1991)「ガル1酵母菌プロモーターの使用」;
EP 0 127 304(5-12-1984)「酵母菌内の非相同性タンパク質の製造方法、そのための発現媒体、及びそれにより形質転換された酵母菌」、転化酵素シグナルペプチドを使用したサッカロミセスにおける分泌について例証;
EP 0 123 544(31-10-1984)「酵母菌内の非相同性タンパク質の発現方法、そのための発現媒体及び酵母菌生物体」、サッカロミセス セレビジエ内のアルファ−因子リーダー/シグナルペプチドの使用について例証;
EP 0 139 383(2-05-1985)「シゾサッカロミセス(Shizosaccharomyces)Pombe内の異質遺伝子の発現方法及びその生成物の治療的製剤における使用、そのような方法及びその調整に有用なシゾサッカロミセス(Shizosaccharomyces)PombeのDNA構築及び形質転換菌株」;
US 4,745,062「酵母菌内にB-グロコシダーゼの発現用プロモーターを少なくとも1個包含してなる、微生物内でタンパク質をクローニング及び発現するプラスミドベクター;これらのプラスミドを含む微生物;発酵方法及び得られる酵素」、サッカロミセス・セレビジエ内のβ-D-グルコシダーゼ醗酵について例証;
EP 0 164 556(18-12-1985)「ハイブリッドプロモーター領域構成物を採用する増強された酵母菌転写」、酵母菌の遺伝子発現におけるハイブリッドプロモーターの使用について例証;
EP 0 707 068(17-04-1996)「酵母菌ベクター」、酵母菌選択標識、Tn903のG418抵抗性標識について例証;
EP 0 163 491(4-12-1985)、「酵母菌ベクター」、酵母菌サッカロミセス セレビジエ及びカルルスベルゲンシスの非単相性工業的菌株の形質転換について例証;
EP 0 183 070(9-10-1991)、「ピキア属の酵母菌の形質転換」、ヒスチジン栄養要求性変異体を用いた酵母菌ピキアにおける遺伝子のクローニング及び発現について例証;
EP 0 213 593(10-04-1991)、「抑制酵母菌プロモーター」、非相同性タンパク質の生成におけるハイブリッド酸フォスファターゼ(PH05):GAPDHプロモーターのようないくつかの抑制酵母菌プロモーターの使用について例証;
EP 0 301 669(1-02-1989)「非相同性誘導体の分泌を方向付けるためのクルイベロミセス アルファ-因子リーダー配列を含むDNA構成物」及びEP 0 301 670(1-02-1989)、「宿主菌株としてのクルイベロミセス」、クルイベロミセス由来のアルファ-因子リーダーのような種々のリーダー及びシグナルペプチドを用いたクルイベロミセスにおける異質タンパク質の分泌について例証;
WO 90 05787(31-05-1990)「位置特異性挿入ベクター及びその使用方法」、サッカロミセス セレビジエのTy3に基づく酵母菌組込みベクターについて例証;
EP 394 538(31-10-1990)、「シワンニオミセス属の酵母菌細胞」、酵母菌サッカロミセスにおける異質遺伝子のクローニング及び発現について例証;
WO 90/14423(29-11-1990)「微生物の形質転換」、直線化ベクターの末端に相同性の領域を有する直鎖ベクターによる組込みを使用した酵母菌の形質転換について例証;
NL 9001159(16-12-1991)「Methode orn de effidientie van de secretie vaneiwitten door gistcellen te vargroten」、浸透性細胞壁によって分泌が改良されたクルイベロミセス及びサッカロミセス変異体について例証;
EP 0 531 187(10-03-1993)、「Promoteur de Levure et son Utilisation」、クルイベロミセス ラクチスのような酵母菌における異質遺伝子発現のための酵母菌ADH4(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーターについて開示;
WO 94 01570(20-01-1994)「K. ラクチスrp28リボソームタンパク質遺伝子プロモーター及びその使用」、WO 94 01569(20-01-1994)「K. ラクチス ピルビン酸カルボキシラーゼプロモーター遺伝子及びその使用」、WO 94 03618(17-02-1994)「K. ラクチストランスアルドラーゼ遺伝子プロモーター及びその使用」及びWO 94 13821(23-06-1994)「タンパク質製造用クルイベロミセスMarxianusイヌリナーゼ遺伝子プロモーター」、酵母菌クルイベロミセス ラクチスにおける異質遺伝子発現用の他のプロモーターの使用について例証;
ES 2 059 280(1-11-1994)「T. Longibrashiatumエンドグルカナーゼ用のワイン酵母菌CECT組換え体」、作用プロモーターの制御下のサッカロミセス セレビジエにけるTrichoderma Longibrashiatum由来のエンドグルカナーゼのクローニング及び発現によるワイン酵母菌株の改良について例証;
EP 0 751 997(28-09-1995)、「アルコール製造酵母菌での使用における解糖経路の酵素をコードするDNA」、エントナー-ドゥドロフ経路についての遺伝子工学による酵母菌株の改良について例証;
EP 0 748 872(18-12-1996)、「発現し細胞外に酵素アスペルギルス オリザエのA-(1-4)-アミラーゼを運ぶことのできるベーカリー酵母の菌株:製造方法及び応用」、アスペルギルス オリザエ由来のアルファ-アミラーゼのクローニング及び発現のような、recDNA技法を用いたベーカリー用のサッカロミセス セレビジエの改良について例証;
EP 0 096 430(19-05-1983)、「クルイベロミセス種のクローニング系」、クルイベロミセス属の形質転換について例証;
EP 0 301 670(28-07-1988)、「宿主菌株としてのクルイベロミセス」、タンパク質の分泌におけるクルイベロミセス属の使用について例証している。
以下に実施例を示し、さらに本発明を例証する。
実施例
実験
Figure 0004531868
ラクターゼアッセイ
β-ガラクトシダーゼ(ラクターゼ)活性は、基質としてZバッファー及びo-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドを用いて、Miller(分子遺伝学の実験−Cold Spring Harbor Laboratory Press(1972)pp 352-355)に従って測定した。細胞は、遠心分離し、Zバッファー中で再縣濁させて収集した。それらを3×1分間ガラスビーズで中間冷却にてボルテックスして分裂させた。5分間、13 000×gで遠心分離してガラスビーズ及び細胞デブリを除去し、15分、13 000×gで再遠心分離して得た上清をアッセイに使用した。
キモシンアッセイ
培養液に1M H2SO4を加えて酸性化してpH2とし、室温で2時間インキュベートした。2Mトリス塩基を添加してpH6まで中和した。50μl体積の適切な希釈剤を10mM CaCl2中12%の無脂肪ドライミルクの縣濁液200μlに添加し、37℃で凝塊するまでインキュベートした。キモシン活性の単位は、これら条件下で10分間で塊が生成されるのに必要な活性キモシンの量として定義した。
アセトアミド最少培地における選択
1. amdS+菌株は、YEPD(10g/l酵母菌抽出液;20g/lバクトペプトン;2%グルコース)中、48時間、30℃、300rpmで増殖させた。
2. 細胞培地を0.9% NaClに希釈した。50-100の細胞をYEPOアガープレート上に塗布した。
3. プレートを2日間インキュベートした(必要に応じ30℃で3日)、そしてアセトアミドアガープレートにレプリカ培養した(下記))。
5. プレートを48時間30℃でインキュベートした。
6. amdS-コロニーがYEPDアガープレート上に再−ストリークされた。
横断交互磁界電気泳動(TAFE)
K. ラクチスのアガロースプラグをSchwartz及びCantor(細胞37、(1984)p. 67 et. seq.)の記載のように調製した。TAFEは、システム操作使用説明書に従い、Beckman Geneline IIによって行った。条件:1% アガロース、1×TAFE-バッファー、22時間、250V、スイッチA 4秒、スイッチB 4秒。
PCR手順
標準のPCR手順は、1分94℃;1分55℃及び1.5分72℃の25サイクルを含む。
K. ラクチスについてのPCR
− Gilson P20自動ピペットで、酵母菌コロニーの部分を30μl H2O中で再縣濁した
− 蒸発を防ぐために鉱油を一滴て加えた
− 細胞縣濁液を98℃で15分間インキュベートした
− 温度を72℃に下げた
− 以下に示す反応混合物20μlを加えた:
dNTP混合物: PCR反応における最終濃度:各ヌクレオチドdATP、dCTP、dGTP、dTTPの200μm
dVB : PCR反応における最終濃度:
1mMトリス-HCl pH8.0
1mM NaCl
0.1mM EDTA
スーパーTAQ
反応バッファー : PCR反応における最終濃度:
10mMトリス-HCl pH9.0
1.5mM MgCl2
50mM KCl
0.01%(W/V)ゼラチン
スーパーTAQ DNAポリメラーゼ 反応毎に0.2単位
− PCRは以下のプログラムを使用して開始した。
94℃で45”
55℃で45”
72℃で2’
1段階に続いて25サイクル:72℃で7’
菌株及び培地
− E.coli菌株GM 48(dam-):ATCC 39099
− 培地
ラクターゼ及びキモシンの測定用に、CBS 685.97を10g/l酵母菌抽出液;20g/lバクトペプトン及び2%ガラクトースを含む培地で増殖させた。
− YCBアセトアミドプレートは、1.2%オキソイドアガー、1×YCB(Difeo由来の酵母菌炭素ベース)、30mM K-PO4バッファー、pH6.8、5mMアセトアミド(シグマ)を含んだ。
Sambrookらの分子クローニング:実験室マニュアル、第2版(1989:Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従い、標準の分子生物学的処理を行った。
実施例I:pGB LACamdS-の創製
a. プラスミドpUCla56
染色体性DNAをK. ラクチス菌株CBS 685.97から常法によって分離した(Struhlら、Poc. Natl. Acad. Sci. USA 76(1979)1035-1039)。DNAをXbaIで切断し、XbaI及び処理ホスファターゼで切断されたプラスミドpUC18内でクローニングした。Dickson及びMarkinによる記載(細胞15(1978、123-130)に従い、クローンを含むラクターゼ遺伝子をピックアップした。その結果、クローンはタンデムにpUC18の2つのコピーを含んでいた(図1)。
b. プラスミドpGB G418 LAC
プラスミドpUCla56をXbaIで切断し、LAC4遺伝子を含む断片をプラスミドpUCG481-1の特異なXbaI部位でクローニングして(Van den Bergら、EP 0301 670)プラスミドpGB G418 LACを得た(図1)。
c. pGBLAmdSの創製
pGBLACAmdSは、pGBG418LACのSpeI/SalI Plac4/-LAC4/Tlac4断片をpGBamdS-3ベクター(Seltenら、EP 0 635 574)のXbaI/XhoI部位にクローニングして創製した。この創製によって、amdS標識及びE.coli配列は、LAC4転写終結区リピートの間にクローン化された。pGBamdS-3がXbaIによって消化される前に、ベクターはE.coli GM48に形質転換され、XbaI部位のメチル化が除かれた。pGBG418 LACのSpeI/SalI Plac4/-LAC4/Tlac4断片の簡単な分離のため、このベクターは、pGBG418を2カ所で消化したSacIによっても消化された。16のE.coli JM109コロニーが得られた。プラスミドDNAを分離し、制限解析によって調べ、すべてのクローンが正しい構造であった。これらのクローンの1つは、pGBLACAmdSと呼ばれる(図2)。
実施例II:3コピーラクターゼ菌株LCT 105の創製
a. pGBLACAmdSのCBS 685.97への形質転換
Itoらの方法(J. Bact 153(1983)163-168)により、pGBLACAmdSをSacIIで消化し、CBS 685.97に形質転換した。ベクターは、まだE.coli配列を含み、それは酵母菌ゲノムに組み込まれるが、後でamdS標識と共に除去することができる(Seltenら(上記引用))。形質転換体はYCB/アセトアミドプレート上で選択された。3日後、30℃で多くの形質転換体が見られた。
b. pGBLACAmdS形質転換体についてのゲノム解析
サザン解析を18のpGBLACAmdS形質転換体及びCBS 685.97について行った(図3及び図4参照)。15の形質転換体が所期のpGBLACAmdSの正しい組込みを示し、3の形質転換体が所期の断片に加えて正しい組込みを示した。他の断片は、pGBLACAmdSの創製は(も)他のところでゲノムに組み込まれていることを意味している(形質転換体AmdS-8、-9及び-20の場合は、16%のランダムな組込み)。また、同じ評価を形質転換体のpGBLACAmdSのコピー数について行った(表I)。驚くべきことに、菌株CBS 685.97は、2個の内在性のLAC4遺伝子を含むことがわかった。従って、LAC4遺伝子コピーの総数は、pGBKLACAmdSのコピー数とこれら2つの内在性LAC4遺伝子を加えることによって容易にわかる(表I)。特定のLAC4のコピー数を有する形質転換体の数は、試験された形質転換体の総数(18)のパーセンテイジとして計算され、また表1に示されている。
Figure 0004531868
TAFEにより、14のpGBLACAmdS形質転換体のLAC4のコピー数をさらに正確に測定した(図5)。pGBLACAmdSのコピー数及び形質転換体に存在するLAC4遺伝子の総数を表2に示した。また、形質転換体AmdS-1、-5、-6、-7、-9、-17、-18、-19及び-21は、2つの内在性LAC4座位の1つにある多くの組込みpGBLACAmdSのコピーを表す23kbの多くの他の断片の一断片を示した。しかし、これらのコピーは図5のハイブリダイゼーションパターンに示されるように、安定でない。
Figure 0004531868
形質転換体2及び13は、それぞれLCT 101及びLCT 102としてストアされた。
c. 3コピー標識−フリー菌株の分離
3つのラクターゼ遺伝子コピーを有する非相同性−DNA−フリー菌株は、LAC4転写終結区リピートにおける内在的アウト−組換えにより得ることができる。LAC4転写終結区リピートにおける正しい内在的アウト−組換え(図4)の結果、すべての非相同性DNA配列が欠失する(pTZ19R及びKlef/amdS)。
この結果、1の余分のラクターゼ遺伝子コピーを有する非相同性のDNA−フリー菌株になる。アセトアミド遺伝子の欠失を使用して非相同性のDNAフリー菌株を選択した。
− AmdS-誘導体をアセトアミドプレート上でネガティブ選択により分離した。総細胞数のほぼ1%がアセトアミダーゼ遺伝子を失った。
− 3個のラクターゼ遺伝子コピーを保持したアウト−組換え体を選択するために、AmdS-誘導体をPCRにより、オリゴLACT1及びオリゴLACP1でスクリーニングした;これらのオリゴの位置を図4cに示した。LAC4座位の1にタンデムに組み込まれた少なくとも1個の余分なラクターゼ遺伝子コピーを有するAmdS-のみが、ほぼ600bpのPCR断片を生じ得る。
ほぼ100の誘導体をPCRによりスクリーニングし、25の誘導体がAmdS-だった。これら25のAmdS-誘導体から1のみが600bpのPCR断片を与えた。この菌株からシェイクフラスコ内ラクターゼ生産を測定した。ラクターゼ生産をLCT10の生産と比較した。その新しい菌株をLCT105と命名した。
LCT105をサザン-ブロット法でさらに解析した。染色体性DNAをKpnIで消化し、LAC4プロモータープローブにハイブリダイズした:所期のハイブリダイゼーションパターンが見いだされた。図4b及び4cは、LCT101とLCT105の染色体構造、LAC4プロモータープローブ及びハイブリダイズ断片の長さの概略図を示す。
これらの結果から、新しい菌株は非相同的DNAがないと考えられる。それは、2のLAC4座位の1に、1個の余分なラクターゼ遺伝子コピーを含んでいる。
実施例III:4コピーラクターゼ菌株LCT 108及びLCT 109の単離
a. 方法
4コピー標識フリーラクターゼ生産菌株を単離するため、LCT105をpGBLACAmdSで形質転換した。異なる染色体構造を有する2の形質転換体を単離した:t
菌株LCT106内で、唯一の内在性LAC4遺伝子を含むLAC4座位にpGBLACAmdSを組み込んだ。従って、この菌株は、各LAC座位に2個のラクターゼ遺伝子コピーを有している。
LCT107は、すでに2個のラクターゼ遺伝子コピーを含むLAC4座位にタンデムに組み込まれたpGBLACAmdSのコピーを有している。
LCT108は、LCT106からの4コピーAmdS-誘導体で、LCT109は、LCT107からの4コピーAmdS-誘導体である。
b. LCT105の形質転換
− Itoらの方法(上記引用)を用いて、LCT105をpGBLACAmdSで形質転換した。形質転換体をアセトアミドプレート上、次いでYEPDアガープレート上にプレートアウトした。
− 40の形質転換体からシェイクフラスコ内ラクターゼ生産を測定した。15〜20%の形質転換体は、4コピー菌株に予想されるようなラクターゼ生産量を有していた。残りの形質転換体は、ラクターゼ生産が少なかった。
LCT105と同様かそれ以上のラクターゼ生産をする形質転換体をサザン-ブロット法で解析した。
染色体性DNAをKpnIで消化した;ハイブリダイゼーションを図4cの物理的地図に示されるLAC4プロモータープローブで行った。
すべての形質転換体は、予想通りのハイブリダイゼーションパターンを示した。7.5kbバンドの強度が、組み込まれたpGBLACamdSコピーの数についての基準である。
正確なコピー数及び染色体構造を決定するために、TAFEにより15の形質転換体をさらに解析した。
染色体性DNAを、pGBLACamdSを割り込んでいないMluIで消化した。そのハイブリダイズ断片の長さが、コピー数の基準である。
2個の形質転換体をストアーした;
LCT106は、各LAC4座位に2のラクターゼ遺伝子コピーを有している。
LCT107は、1のLAC4座位に3コピー、他のLAC4座位に1コピー有している。
c. 2個の標識−フリー4コピー菌株の単離
− 4コピー菌株LCT106及びLCT107の両方を、上述のようなアセトアミド最少プレート上のAmdS-誘導体についてスクリーニングした。
菌株LCT106から、10000のコロニーがスクリーニングされた。ほぼ150のAmdS-コロニーが見いだされた。
菌株LCT107から、ほぼ15000のコロニーがスクリーニングされた。ほぼ300のAmdS-コロニーを単離した。
4コピー標識フリー菌株を単離するため、すべてのAmdS-単離体をそのラクターゼ生産について試験した。宿主菌株に匹敵するラクターゼ生産をする単離体、LCT106から15個及びLCT107から2個をさらに解析した。これらの菌株から、もう一度シェイクフラスコ内ラクターゼ生産を測定した。ほとんどの単離体は、LCT106又はLCT107に匹敵するラクターゼ生産をした。
染色体性DNAをKpnIで解析した;すべての単離体は予想通りのハイブリダイゼーションパターンを示した。標準(KpnI消化)及びTAFE(MluI消化)ゲルのサザン-ブロットの結果から、すべてのAmdS-単離体は、非相同的DNAフリーであり、それらは正しい染色体構造を有していると考えられる。
菌株LCT106由来の誘導体、単離体123をLCT108と命名し、菌株LCT107由来の誘導体、単離体549をLCT109とを命名した。
実施例IV:6ラクターゼコピー菌株LCT 124及びLCT 126の単離
a. 方法
6コピー標識フリー菌株を単離するため、LCT109をpGBLACAmdSで形質転換した。1つのLAC4遺伝子コピーのみを有するLAC4座位にタンデムに組み込まれたpGBLAC/AmdS発現ベクターを有する1個の1コピー形質転換体を選択した。このような染色体構造を有する形質転換体は、1の選択で6コピー標識フリー菌株の周囲に4コピー菌株から遺伝子変換により単離され得るという利点を有する。
b. LCT109の形質転換
− Itoの方法(上記引用)に従い、菌株LCT109をpGBLACamdSで形質転換した。46の形質転換体を、まずアセトアミド最少プレート上で、次いでYEPDプレート上で再ストリークした。
− 1のpGBLACamdSのコピーのみを有する形質転換体を選択するため、これらの形質転換体のラクターゼ生産をシェイクフラスコ内で測定した。46すべての形質転換体は、宿主菌株LCT109のラクターゼ生産と同じかそれ以上のラクターゼ生産をした。適切な染色体構造、すなわち1のLAC4遺伝子コピーのみを有するLAC4座位でタンデムに組み込まれたpGBLACamdSのコピーを有する菌株を選択するため、染色体性DNAをMluIで解析した。この酵素はラクターゼ発現カセットを割り込んでいない。従って、そのハイブリダイズ断片の長さが、タンデムに組み込まれているコピー数の基準である。消化されたDNAをTAFEで分離し、サザン-ブロットし、最後にLAC4プロモータープローブでハイブリダイズした。正しい染色体構造を有する2個の形質転換体を、LCT111a及びLCT111bとしてストアーした。
c. 遺伝子変換による6−コピー標識−フリー菌株の単離
− 菌株LCT111a由来のほぼ20000のコロニーをアセトアミドのプラス及びマイナスプレート上で選択してAmdS-誘導体についてスクリーニングした。
− ほぼ200のAmdS-誘導体をLCT111a菌株から単離した。
− 少なくとも5のラクターゼコピーを有する標識−フリー菌株を単離するため、シェイクフラスコ内でAmdS-単離体のラクターゼ生産を測定した。
− LCT111a由来の10の単離体は、LCT111aに匹敵するかそれ以上のラクターゼ生産をした。さらに、それらをサザン-ブロット法及びTAFE(MluI消化)で解析し、そのコピー数及び染色体構造を決定した。
7つの菌株の正確なコピー数をTAFEで決定した。7つの菌株のうち6つの菌株(LCT120〜125)は、各座位にタンデムに組み込まれた3個のコピーを有する6個のラクターゼ遺伝子コピーを有していた。菌株LCT126も6個のコピーを有していたが、1のLAC4に2コピー、その他の1にタンデムに組み込まれた4コピーを有していた。結果:異なる菌株のコピー数及びラクターゼ生産を表2にまとめた。5コピー標識フリー菌株は単離できなかった;単離体では、正しいアウト−組換えは起こらなかった。菌株LCT120からLCT126は、遺伝子変換から生じた。LCT125(1の座位に2コピー、その他の座位に4コピーがタンデムに組み込まれている)の染色体構造は、遺伝子変換によって説明できない。
実施例V:シェイクフラスコ内ラクターゼ生産レベルの測定
種々の菌株のラクターゼ生産レベルを細胞を遠心分離後測定した。これらの測定結果を表3に示す。LAC4遺伝子のコピー数と5コピーまでのラクターゼ発現レベルとの間には相関関係があることは明かである。それ以上のコピー数では、LAC4遺伝子発現レベルは減少する。
Figure 0004531868
実施例VI 3,4及び6コピー菌株LCT105、LCT108、LCT109、LCT121及びLCT124の染色体構造の確認
菌株LCT105、LCT108、LCT109、LCT121及びLCT124及びLCT125は、異質のDNAがないことを確認するため、異なったプローブでハイブリダイゼーションを行った。すべてのプローブ、Klefプロモーター、完全なamdS cDNA及びpTZ19Rは、所期のパターンを示した。
実施例VII:プラスミドpGBAmdS 61
プラスミドpGBamdS 6(Seltenら、上記引用)をSalI及びSpeIで切断し、その9kb断片をQiagenゲル抽出キットで分離した。Das及びHollenbergの方法(1982、Current Genet.5、123-128)で分離された菌株CBS 685.97由来の染色体性DNA上で、オリゴ4596及び4597のPCRを開始した。その結果得られた2kb断片をQiagenゲル抽出キットで分離した。SalI及びSpeIで消化後、その断片を上述の9kb断片に連結させてプラスミドpGBamdS 61を得た(図6)。
実施例VIII:菌株CBS 685.97における遺伝子交換
プラスミドpGBAmdS 61をHindIIIで切断し、フェノールで抽出し、形質転換の前にエタノール沈殿した。DNAを溶解して、Itoら(上記引用)の方法でCBS 685.97に形質転換した。形質転換体をオリゴ4719及び4720を有する無処理のK. ラクチス細胞上でPCRにより解析した。これらのオリゴについて、LAC4遺伝子の1個を除去する遺伝子交換と、周回後のプラスミドの組込みを導く事象とを識別できる。後者の事象は、700bpの増幅された断片を与える。このような断片を生じない菌株はYCBアセトアミドアガープレート上で増殖した。染色体性DNAを形質転換体から分離し、BamHIで消化し、EcoRIからXbaIのLAC4転写終結区断片にハイブリダイズした(Breunigら、Nucleic Acids Res 12(1984)2327-2341)。得られた菌株をK.ラクチスGBA5と命名した。
実施例IX:K.ラクチスGBA-CHY01、GBA-CHY02及びGBA-CHY3の分離
K.ラクチス菌株GBA5を、Sst2で切断されたプラスミドpKS105(Van den Bergら、EP 0301670)で形質転換した(Itoら、上記引用)。形質転換体を、G418及びamdS選択可能標識の存在について選択した。天然のラクターゼ座位に1,2又は3コピーが組み込まれた菌株は、1,2又は3コピーを有するMluIで切断後TAFEによって同定した。1,2又は3コピーを、それぞれGBA-CHY01、02及び03と命名した。
実施例X:K.ラクチスGBA-CHY11、GBA-CHY22及びGBA-CHY33の分離
菌株GBA-CHY01、02及び03で開始して、実施例IV cに記載されたようようなamdSマイナス表現型を選択した。各場合において、約5のamdS-ネガティブコロニーを、標準YEPD及びYEPDアセトアミドプレート上にプレートアウトされた20,000コロニーから分離した(方法参照)。この結果、CHY 01、02及び03それぞれについて1のコロニーが得られ、遺伝子交換により、キモシンコピーの数が倍増した。これらのコロニーを、それぞれGBA-CHY11、22及び33と命名した。
実施例XI:K.ラクチスGBA-CHY43、GBA-CHY53及びGBA-CHY54の分離
GBA-CHY33菌株のキモシン発現カセットpKS105の6組込コピー(2のラクターゼ座位に等しく分けられている)は全く安定でない(図7参照)。より安定な6コピー菌株を分離するために、GBA-CHY33の単コロニーを単離し、YEPDプレート上でストリークした(1精製ラウンド)。各精製ラウンドの10の単コロニーを横断交互磁界電気泳動(TAFE)の助けにより、コピー数について解析した。染色体性DNAを含むアガロースプラグを制限酵素MluIで消化し、TAFEでサイズ−分画した。この酵素はキモシン発現カセットを割り込んでいない。従って、そのハイブリダイズ断片の長さは、タンデムに組み込まれているコピー数の基準となる。ニトロセルロースへの伝達後、常法に従い、ハイブリダイゼーションを行った。プローブとして、その物理的地図を図4cに示すLAC4プロモーター断片を使用した。ハイブリダイゼーション後、我々は、3キモシンコピーの長さを有する唯一の断片を予期した(図7参照)。不安定な場合(キモシンコピーの欠失)、より短い断片が検出され、ラクターゼ座位内の1又は0のキモシンコピーを有する座位を示している。4回の精製後、より安定な6コピー菌株が見いだされた。この6コピー菌株は、再び分離して50 SClをTAFEでコピー数について解析した。この単コロニーの中で1の7コピー菌株を見いだし、2のラクターゼ座位にわたってpKS105の4と3コピーのように分割されている。この菌株をGBA-CHY43と命名した。おそらく、キモシンコピーの1つが増幅された。
同様に、9コピー菌株を、GBA-CHY43菌株の10の単コロニー単離体中に見いだし、GBA-CHY54と命名した。GBA-CHY54菌株の9キモシンコピーは、2のラクターゼ座位にわたってpKS105の5と4コピーに分割された(図7参照)。GBA-CHY54菌株の9単コロニー単離体の中で8コピー菌株が見い出され、GBA-CHY53と命名した。GBA-CHY53菌株の8キモシンコピーは2のラクターゼ座位にわたって5と3に分割された。
サザン解析を行って、GBA-CHY22、GBA-CHY33、GBA-CHY43、GBA-CHY53及びGBA-CHY54菌株のキモシン発現カセット内で欠失が起こっているかどうかを検証した。染色体性DNAを含むアガロースプラグをHindIII次いで0.7%アガロースゲル上で電気泳動で消化した。プローブとして、その物理的地図を図4cに示すLAC4プロモーター断片を使用した。図8は、GBA-CHY22のハイブリダイゼーションパターンの概略図を示す。3つの他の菌株が同一のハイブリダイゼーションパターンを示し、3.6kbハイブリダイズ断片は、発現カセットpKS105のタンデムなリピートの特徴である。すべての菌株において、所期のハイブリダイズパターンが見いだされた(図9参照)。キモシン発現カセットpKS105の3又はそれ以上のコピーが、LAC4座位にタンデムに組み込まれている場合、3.6kbハイブリダイズ断片の強度はより高い。
実施例XII:シェイクフラスコ内キモシン生産レベルの測定
K.ラクチス細胞を遠心分離後、上述の材料及び方法と同様に、キモシン生産レベルを測定した。相対的な生産レベルを表4に示す。
Figure 0004531868
かっこ内は、TAFEによって測定した2のラクターゼ(LAC4)座位にわたるコピー数の分布である。種々のキモシン菌株のシェイクフラスコ内のキモシン生産レベルは、GBACHY11菌株の%としてで示してある。
その結果から、プラスミドpKS105のコピー数とキモシン生産レベルの間には、4コピーまでは相関関係があることが明かである。
寄託菌株
所望の遺伝子(2つのLAC4座位)の組込みに好適な2つのドメインを有するクルイベロミセス ラクチスの一試料を、1997年4月11日、番号CBS 685.97にて、Centraal Bureau voor Schimmelcultures, Oosterstraat 1, Baan, The Netherlandsに寄託した。
配列表
(2)配列番号1に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:AB5677
(xi)配列:配列番号1
Figure 0004531868
(2)配列番号2に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:AB5678
(xi)配列:配列番号2
Figure 0004531868
(2)配列番号3に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:LACP1
(xi)配列:配列番号3
Figure 0004531868
(2)配列番号4に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:LACT1
(xi)配列:配列番号4
Figure 0004531868
(2)配列番号5に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:40塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:4596
(xi)配列:配列番号5
Figure 0004531868
(2)配列番号6に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:23塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:4597
(xi)配列:配列番号6
Figure 0004531868
(2)配列番号7に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:23塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:4719
(xi)配列:配列番号7
Figure 0004531868
(2)配列番号8に関する情報
(i)配列の記載の特徴:
(A)配列の長さ:23塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(iii)ハイポセティカル配列:NO
(vi)起源:
(C)個体・単離クローン名:4720
(xi)配列:配列番号8
Figure 0004531868

Claims (38)

  1. 酵母細胞の染色体中に組込まれた少なくとも2コピーの所望遺伝子を含む当該酵母細胞であって、当該染色体が、1コピー以上の当該所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを有し、当該ドメインが、配列相同性を共有し、かつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであり、及び前記相同性の非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つが、少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を組込むことを特徴とする、当該酵母細胞。
  2. 1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した前記相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つが、少なくとも2コピー以上の前記所望遺伝子を組込む、請求項1に記載の酵母細胞。
  3. 1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した前記相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインのそれぞれが、同じコピー数の前記所望遺伝子を組込む、請求項1又は2に記載の酵母細胞。
  4. 1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した前記相同な非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが、相互に重複している、請求項1に記載の酵母細胞。
  5. 前記相同性の非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが、相互に対立形質である、請求項4に記載の酵母細胞。
  6. 前記酵母細胞が、クルイベロミセス酵母細胞である、請求項1乃至5のいずれかに記載の酵母細胞。
  7. 所望遺伝子が酵母遺伝子である、請求項1乃至6のいずれかに記載の酵母細胞。
  8. 所望遺伝子が非酵母遺伝子である、請求項1乃至7のいずれかに記載の酵母細胞。
  9. 所望遺伝子が、転写プロモーター領域を有し、前記酵母細胞内で機能的な組換え遺伝子である、請求項1乃至8のいずれかに記載の酵母細胞。
  10. 前記所望遺伝子が、ラクターゼ、キモシン、ホスホリパーゼ、インシュリン、HSA、tPA、G−CSF、インターロイキン、インターフェロン、ペプチドホルモン、植物細胞壁分解酵素をコードするものからなる群から選ばれる、請求項1に記載の酵母細胞。
  11. 1コピー以上の前記所望遺伝子の組込みに適した非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの数が2であり、ドメインあたりのコピーの数が、少なくとも3である、請求項1乃至10のいずれかに記載の酵母細胞。
  12. 細胞が、マーカー遺伝子フリー酵母細胞である、請求項1乃至11のいずれかに記載の酵母細胞。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の酵母細胞の培養物。
  14. 酵母細胞培養が、そのタンパク質、ペプチド又は代謝産物の生産性において、少なくとも50世代の間、選択圧なしで安定である、請求項13に記載の酵母細胞培養物。
  15. DNAドメインをコード化する前記非リボソームRNAがLAC4対立遺伝子である、請求項6に記載の酵母細胞。
  16. 請求項1乃至12及び15のいずれかに記載の酵母細胞をタンパク質又はペプチドの生産を援助する条件下で増殖させる工程を含むか、あるいは請求項13又は14に記載の酵母細胞の培養物をタンパク質又はペプチドの生産を援助する条件下で得る工程を含む、タンパク質又はペプチドの生成方法。
  17. タンパク質を細胞及び/又は培養液から回収する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 以下の工程を含む、所望のタンパク質又はペプチドを生産可能な酵母細胞を得る方法。
    (a)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであるゲノムを有する酵母細胞を、前記タンパク質又はペプチド、又はその前駆体をコードしている所望遺伝子、及び前記ドメインと相同性を有する領域を含むDNA分子で形質転換する工程;
    (b)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した前記リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも1つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選択又は選別する工程;及び
    (c)(b)で得られた細胞を増殖させ、前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選別又は選択する工程。
  19. (a)、(b)及び(c)工程に加えて、さらに以下の工程を含む、請求項18に記載の方法。
    (d)(c)で得られた細胞を増殖させ、更なるコピーの前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選別又は選択する工程。
  20. (a)、(b)、(c)及び(d)工程に加えて、さらに以下の工程を含む、請求項18に記載の方法。
    (e)各コピーの前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインが組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得るまで工程(d)を反復する工程。
  21. amdS、URA3及びLYS2から選択される二方向選択マーカーが、工程(a)中で酵母細胞の形質転換に使用され、当該選択マーカーの除去が、工程(c)の前に行われる請求項18乃至20のいずれかに記載の方法。
  22. 当該二方向選択マーカーが、amdSである、請求項21に記載の方法。
  23. 二方向選択マーカーの除去の後に、工程(a)が少なくとも1回反復される、請求項21又は22に記載の方法。
  24. 以下の工程を含む、所望のタンパク質又はペプチドを生産可能な酵母細胞を得る方法。
    (a)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、そのドメインが配列相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであるゲノムを有する酵母細胞を、前記タンパク質又はペプチド、又はその前駆体をコードする所望遺伝子、及び前記ドメインと相同性を有する領域を含むDNA分子で形質転換する工程;
    (b)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した前記リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも1つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選択又は選別する工程;
    (c)(b)で得られた細胞を、選択マーカー遺伝子、及び前記ドメインと相同性を存する領域を含む第2DNA分子で形質転換する工程;
    (d)1コピー以上の該所望遺伝子を含まずに前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの1つに組込まれた少なくとも1コピーの前記選択マーカーを得た細胞を選別又は選択する工程;
    (e)(d)で得られた細胞を増殖させ、該選択マーカーを喪失しかつ前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つに組込まれた少なくとも1コピーの前記所望遺伝子を得た細胞を選別又は選択する工程。
  25. 選択マーカー遺伝子が、amdS、URA3及びLYS2から選択される二方向マーカー遺伝子である、請求項24に記載の方法。
  26. 選択マーカー遺伝子が、amdSである、請求項24に記載の方法。
  27. 以下の工程を含む、所望のタンパク質又はペプチドを生産可能な酵母細胞を得る方法。
    (a)1コピー以上の所望遺伝子の組込みに適した少なくとも2つのDNAドメインを含み、ドメインが相同性を共有しかつ非リボソームRNAをコードしているDNAドメインであるゲノムを有する酵母細胞を、所望遺伝子で形質転換し、
    形質転換した酵母細胞から、少なくとも1コピーの前記所望遺伝子が、染色体の1つに組込まれ、直列反復により隣接しており、少なくとも1コピーの前記DNAドメインに組込まれている細胞を選別又は選択する工程;
    (b)(a)で得られた細胞の子孫から単コロニーを分離する工程;及び
    (c)該所望遺伝子の更に縦列に組込まれた少なくとも1コピーを得た細胞の子孫から単コロニー分離物を選別する工程。
  28. らに以下の工程を含む、請求項27に記載の方法。
    )(c)で得た細胞を増殖させ、前記非リボソームRNAをコードしているDNAドメインの少なくとも2つに組込まれた前記所望遺伝子のコピーを得た細胞を選別又は選択する工程。
  29. 前記酵母細胞が、クルイベロミセス細胞である、請求項18乃至28のいずれかに記載の方法。
  30. クルイベロミセス属である、請求項1に記載の酵母細胞であって、少なくとも1遺伝子座に対して非一倍体であり、当該非一倍体遺伝子座の各対立遺伝子に1コピー以上の所望遺伝子を取込んでいる、クルイベロミセス細胞。
  31. 同じコピー数の前記所望遺伝子を各対立遺伝子中に組込む、請求項30に記載のクルイベロミセス細胞。
  32. 所望遺伝子が、非酵母遺伝子である、請求項31に記載のクルイベロミセス細胞。
  33. 酵母細胞が、マーカー遺伝子フリー酵母細胞である、請求項30乃至32のいずれかに記載の酵母細胞。
  34. 酵母細胞を前記タンパク質、ペプチド又は代謝産物の生産を生じる条件下で増殖させることによって、該酵母細胞内でタンパク質、ペプチド又は代謝産物を生産する方法であって、当該酵母細胞が、請求項30乃至33のいずれかに記載の酵母細胞であることを特徴とする方法。
  35. 染色体ゲノムに組込まれた少なくとも3コピーのラクターゼ、又はその誘導体をコードしている遺伝子を有する、請求項30に記載のクルイベロミセス細胞。
  36. 染色体ゲノムに組込まれた少なくとも3コピーのキモシン、その前駆体又は誘導体をコードしている遺伝子を有する、請求項30に記載のクルイベロミセス細胞。
  37. 請求項35に記載の細胞をラクターゼ又はその誘導体の生成を援助する条件下で増殖することを特徴とする、ラクターゼの製造方法。
  38. 請求項36に記載の細胞をキモシン、又はその前駆体又はその誘導体の生成を導く条件下で増殖することを特徴とする、キモシンの製造方法。
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