JP4531482B2 - βアミロイド誘導Mib遺伝子 - Google Patents

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Description

本発明は、アルツハイマー病の原因の1つと考えられるβアミロイド蛋白質により、発現が誘導される新規遺伝子Mib(a membrane protein induced by beta−amyloid)に関する。本発明は、Mibの塩基配列を含むポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドがコードするポリペプチド、該ポリヌクレオチドを含む組換えベクター、該組換えベクターで形質転換された形質転換体、該形質転換体を用いたポリペプチドの製造方法、該ポリペプチドに対する抗体、これらを用いたMibの発現を阻害および/または抑制する化合物の同定方法、該同定方法により得られた化合物、上記のポリヌクレオチド等を用いることを特徴とするアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)等の診断方法、Mibの発現を検出する工程を含むアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)等の診断用キット、ならびに上記のポリヌクレオチド等を含む医薬組成物等に関する。
βアミロイドは、アルツハイマー病患者の脳で観察される老人斑の構成因子であり、アルツハイマー病の初期発症段階で重要な因子と考えられている。βアミロイドは、βアミロイド前駆体からある種のプロテアーゼでプロセシングされ、不溶性のβシート構造の凝集体を形成する。βアミロイドは神経細胞に直接的または間接的に作用し、アルツハイマー病の進行を促すと考えられている。βアミロイドの間接的作用の1つとして、アストログリア細胞の活性化が知られている。アストログリア細胞は、βアミロイドで活性化されると、その突起を老人斑に伸長させたり、炎症性因子を含むいくつかの機能因子を生産したりすることが知られている(例えば、非特許文献1〜3を参照のこと)。老人斑により損傷を受けた神経細胞の修復およびβアミロイドの排除という役割を果たすと考えられていたこのアストログリア細胞の活性化は、実際には、このアストログリア細胞が炎症性因子を分泌してしまうので神経細胞の損傷を悪化させてしまうことが知られている。また、βアミロイドの非存在下では神経突起の伸長を促進するアストログリア細胞は、βアミロイドの存在下ではβアミロイドによる神経細胞の破壊を助長することが報告されている(例えば、非特許文献4を参照のこと)。
本発明者はβアミロイドにより発現が誘導される遺伝子としてプロスタグランジンE2合成酵素(特許文献1を参照のこと)、アグリカナーゼ−1(ADAMTS−4:a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs−4)(特許文献2を参照のこと)、およびLib(特許文献3を参照のこと)をすでに見出している。しかしながら、βアミロイドがアストグリア細胞の活性化を介してアルツハイマー病を増悪化する機構およびβアミロイドによりアストログリア細胞において遺伝子および/または蛋白質の発現が誘導あるいは抑制される因子についての解析は未だ十分でない。
特開2001−258575号公報 特開2001−352991号公報 特開2003−164290号公報 Mark,R.E.et al.,Human Pathol.26,pp816−823(1995) McGeer,P.L. et al.,Brain Res.Rev.21,pp195−218(1995) Eddleston,M.et al.,Neuroscience 54,pp15−36(1993) M.R.Domenici,et al.,Journal of Physiology−Paris 96,pp313−316(2002)
本発明が解決しようとする課題は、アストログリア細胞においてβアミロイドにより発現が誘導される遺伝子を見出し、見出された遺伝子をアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)等の診断および/または治療に用いることである。他の本発明の課題は、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)等の診断および/または治療に用いることができる、該遺伝子の塩基配列を含むポリヌクレオチドがコードするポリペプチドおよび該ポリペプチドに対する抗体を提供することである。また、他の本発明の課題は、該ポリヌクレオチドおよび/または該ポリペプチドの発現を阻害および/または抑制する化合物の同定方法、ならびに該同定方法で同定される化合物を提供することである。さらに、他の本発明の課題は、これらを使用したアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)等の診断用キット、診断方法、医薬組成物、および治療方法を提供することである。
課題解決のため、本発明者は、βアミロイド処理および未処理のラット胎仔由来アストログリア細胞の発現遺伝子を用いてcDNAサブトラクション処理を実施した。βアミロイド処理で発現が誘導される遺伝子を同定し、その遺伝子の塩基配列がコードするアミノ酸配列を有する蛋白質を決定することにより、本発明を完成した。さらに、ヒトにおける該遺伝子のオーソログを見出し、配列を決定した。
さらに、本発明の遺伝子は、アルツハイマー病に罹患していないヒトの脳では神経細胞に発現し、アルツハイマー病に罹患しているヒトの脳では神経細胞で発現が低下し、アストログリア細胞で発現が亢進していた。このことは、本発明の遺伝子がアストログリア細胞と関連する疾患(例えばアルツハイマー病)に関連する遺伝子であることを示唆するものである。
すなわち、本発明は、以下:
[1]下記のいずれかのポリヌクレオチドまたはその相補鎖:
(1)配列表の配列番号1または3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;または
(2)配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
[2]下記の群より選ばれるポリヌクレオチドまたはその相補鎖:
(1)[1]の(1)または(2)に記載のポリヌクレオチドと少なくとも70%の塩基配列上の相同性を有し、かつアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(2)[1]の(1)または(2)に記載のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションし、かつアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
(3)[1]の(1)または(2)に記載のポリヌクレオチドの塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが欠失、置換、または付加され、かつアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
[3]配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
[4]下記のいずれかのポリペプチド:
(1)[3]に記載のポリペプチドと少なくとも70%のアミノ酸配列上の相同性を有し、かつアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリペプチド;または
(2)[3]に記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、または付加され、かつアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリペプチド;
[5][1]または[2]に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター;
[6]プラスミド pBS SK(−)−rMib(FERM BP−08654号);
[7][5]に記載の組換えベクターまたは[6]に記載のプラスミドを用いて形質転換させた形質転換体;
[8][7]に記載の形質転換体を培養する工程を含む、ポリペプチドの製造方法;
[9][3]または[4]に記載のポリペプチドを免疫学的に認識する抗体;
[10]以下の工程を含有する、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生を阻害する化合物および/または抑制する化合物の同定方法:
(1)細胞にβアミロイドおよび候補化合物を添加する工程;および
(2)該細胞においてMibの発現が阻害および/または抑制された場合に、該候補化合物をアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生を阻害する化合物および/または抑制する化合物として同定する工程;
[11][1]もしくは[2]に記載のポリヌクレオチド、[3]もしくは[4]に記載のポリペプチド、[5]に記載の組換えベクター、[6]に記載のプラスミド、[7]に記載の形質転換体、または[9]に記載の抗体のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする、[10]に記載の方法;
[12][10]または[11]に記載の同定方法により同定された化合物;
[13]脳組織由来の被検組織が、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患に罹患した患者由来の組織であるか否かを判定する方法であって、該被検組織における[1]または[2]に記載のポリヌクレオチドの発現量を測定することを特徴とする、判定方法;
[14]脳組織由来の被検組織が、アルツハイマー病患者由来の組織であるか否かを判定する方法であって、該被検組織における[1]または[2]に記載のポリヌクレオチドの発現量を測定することを特徴とする、判定方法;
[15][1]もしくは[2]に記載のポリヌクレオチド、[3]もしくは[4]に記載のポリペプチド、[5]に記載の組換えベクター、[6]に記載のプラスミド、[7]に記載の形質転換体、[9]に記載の抗体、または[12]に記載の化合物のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患の診断用キット;
[16][1]もしくは[2]に記載のポリヌクレオチド、[3]もしくは[4]に記載のポリペプチド、[5]に記載の組換えベクター、[6]に記載のプラスミド、[7]に記載の形質転換体、[9]に記載の抗体、または[12]に記載の化合物のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする、アルツハイマー病の診断用キット;
[17][1]もしくは[2]に記載のポリヌクレオチド、[3]もしくは[4]に記載のポリペプチド、[5]に記載の組換えベクター、[6]に記載のプラスミド、[7]に記載の形質転換体、[9]に記載の抗体、または[12]に記載の化合物のうち少なくとも1つを含む、医薬組成物;
[18][1]もしくは[2]に記載のポリヌクレオチド、[3]もしくは[4]に記載のポリペプチド、[5]に記載の組換えベクター、[6]に記載のプラスミド、[7]に記載の形質転換体、[9]に記載の抗体、または[12]に記載の化合物のうち少なくとも1つを含む、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患の改善および/または治療剤;
[19][1]もしくは[2]に記載のポリヌクレオチド、[3]もしくは[4]に記載のポリペプチド、[5]に記載の組換えベクター、[6]に記載のプラスミド、[7]に記載の形質転換体、[9]に記載の抗体、または[12]に記載の化合物のうち少なくとも1つを含む、アルツハイマー病の改善および/または治療剤;
に関する。
本発明はβアミロイド処理により発現が誘導される遺伝子を提供するものである。本発明の遺伝子の発現および/または機能を利用した医薬組成物および/または診断手段等の提供は、アルツハイマー病等のβアミロイドに関連した疾患の臨床および基礎の医療分野で利用できる。
(アストログリア細胞のβアミロイド処理)
アストログリア細胞は各種動物の脳から調製できる。用いる動物としては、例えば、脳組織を採取し易いラット、マウス、モルモット、ウサギ等のげっ歯類が挙げられ、好ましくは、ラットが挙げられる。用いる脳組織としては、好ましくは、胎仔由来の脳が用いられる。胎仔由来の脳からのアストログリア細胞の調製は自体公知の方法が用いられる。その方法は実験医学別冊神経生化学マニュアル(伊藤仁一ら 羊土社(1989))などに開示されている。
アストログリア細胞に作用させるβアミロイドは市販されており、Anaspec社などから入手できる。また、βアミロイドは、遺伝子工学的手法により作成することもできる。処理させる前にβアミロイドは遠心処理等により凝集させてもよい。βアミロイドの添加濃度および処理時間は生理活性を示す範囲で適宜選択される。濃度としては25〜50μM、処理時間としては10〜20時間が好ましい。また、培養容器にアストログリア細胞を播種し、βアミロイドの希釈に用いた緩衝液を等量添加することによりβアミロイド未処理アストログリア細胞を調製できる。
(発現遺伝子の調製)
βアミロイド処理および未処理のアストログリア細胞の発現遺伝子は通常用いられるRNA抽出法により採取できる。発現遺伝子は、mRNAのままで用いてもcDNA化して用いてもよい。mRNAからcDNAへの変換は逆転写酵素等を用いた方法が適用できる。全RNAを得るには、例えば、AGPC法(酸性グアニジニウム−フェノール−クロロホルム法;Chomczynski et al.,Anal.Biochem.162,pp156−159(1986))が適用でき、全RNAからのmRNAの抽出にはオリゴdTカラム等を用いたpoly A(+)RNAの精製法によればよい。RNAサンプルは複数回の実験で得たものを混合して用いることもできる。各ロットの品質を解析するためには、アストログリア細胞での発現が知られているいくつかの遺伝子の発現をモニターするとよい。例えば、神経成長因子(NGF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、p75などをモニター遺伝子として選び、これらの発現が同等であるサンプルを使用するとよい。
(サブトラクション処理)
βアミロイド処理により発現が誘導される遺伝子を獲得する方法としては、例えば、サブトラクション処理またはディファレンシャルディスプレイ法が挙げられる。サブトラクション処理では差し引かれる側の遺伝子群(テスター)と差し引く側の遺伝子群(ドライバー)の二組の遺伝子群を用いる。例えば、βアミロイドにより発現が誘導される遺伝子を獲得するためには、テスターとしてβアミロイド処理細胞から得られた遺伝子(βアミロイド処理遺伝子)、ドライバーとして未処理細胞から得られた遺伝子(未処理遺伝子)を用いたサブトラクションを行うとよい。サブトラクション処理の方法としては、既知の各種手段を利用可能である(特開平3−117488号)。好ましくはcDNAサブトラクション法が挙げられ、cDNAサブトラクション法としては、RDA法(Representational Difference Analysis)、PCR−選択(PCR−select)cDNA法などが特に好ましい。
サブトラクション処理では、サブトラクションの陽性対照として、テスター側に適当なDNAフラグメントを加え、その濃縮を確認することにより、サブトラクション処理の効率を確認できる。また、βアミロイド処理により発現が誘導されることが知られている遺伝子をプローブとして、サブトラクション前およびサブトラクション後のPCR産物についてサザンブロット・ハイブリダイゼーションを行うと、同様にサブトラクション処理の成否を確認することができる。βアミロイド処理により発現が誘導されることが知られている遺伝子としては、NGF、iNOS(inducible Nitric Oxide Synthase)、RANTES(Regulated on Activation Normal T−cell Expressed and Secreted)等が挙げられる。
サブトラクション処理後のPCR産物を適当なベクターへ挿入し、プラスミドライブラリーなどを作成する。ベクター挿入部分をPCRにより増幅し、それらの遺伝子をメンブレンにドットブロットしたものを2セット作製する。このドットブロットしたメンブレンに対して、テスターとしてβアミロイド処理遺伝子、ドライバーとして未処理遺伝子を用いたサブトラクション処理後のPCR産物〔以下、サブトラクション処理を(テスター)−(ドライバー)の式で表す。〕と(未処理遺伝子)−(βアミロイド処理遺伝子)のサブトラクション後のPCR産物プローブでそれぞれハイブリダイゼーションを実施する。(未処理遺伝子)−(βアミロイド処理遺伝子)のサブトラクション後のPCR産物と比較して、(βアミロイド処理遺伝子)−(未処理遺伝子)のサブトラクション後のPCR産物において特異的に濃縮が認められるクローンを、βアミロイド処理によって発現が誘導される遺伝子とすればよい。ベクター挿入部分はDNAシークエンス法によりその配列を決定することができる。
(ラット遺伝子の取得)
本発明において提供される遺伝子は、ラット胎仔由来アストログリア細胞を用いたcDNAサブトラクション処理により、新規な蛋白質をコードする遺伝子としてそのcDNAの一部が取得されたものである。βアミロイド添加により発現誘導される遺伝子としてラット胎仔のアストログリア細胞よりcDNAサブトラクション法を用いてクローニングしたこのcDNAフラグメントは、データベース上のいかなる遺伝子とも相同性を示さず、新規遺伝子であることを確認した。作製したβアミロイド処理ラット胎仔アストログリア細胞由来cDNAライブラリーを用いて、該cDNAフラグメントをプローブとしてスクリーニングしたところ約7キロ塩基対(bp)のcDNAを得た。蛍光色素(Cy5;ファルマシア社製)標識M13ユニバーサルプライマー、リバースプライマー、および内部配列プライマーを用いてシークエンス反応を行い、ALF Express蛍光シークエンサー(ファルマシア社製)を用いてcDNAの配列を決定した。この配列解析により、本ラット遺伝子は、塩基配列(配列番号1)が6,996bpであり、アミノ酸配列(配列番号2)が2,106アミノ酸の蛋白質をコードすることを明らかにした。また、本ラット遺伝子のORF領域(ヌクレオチド371〜ヌクレオチド6681)を、DDBJにアクセッションナンバーAB161229で登録(未公開)した。
予測プログラムPSORTにて本ラット蛋白質を解析すると、シグナル配列(アミノ酸1〜27)に続き、23回の膜貫通領域(アミノ酸33〜49、アミノ酸82〜98、アミノ酸143〜159、アミノ酸165〜181、アミノ酸196〜212、アミノ酸248〜264、アミノ酸361〜377、アミノ酸387〜403、アミノ酸409〜425、アミノ酸486〜502、アミノ酸548〜564、アミノ酸568〜584、アミノ酸599〜615、アミノ酸717〜733、アミノ酸739〜755、アミノ酸769〜785、アミノ酸1247〜1263、アミノ酸1264〜1280、アミノ酸1538〜1554、アミノ酸1576〜1592、アミノ酸1610〜1626、アミノ酸1753〜1769、アミノ酸2020〜2036)を有していた。膜貫通領域を多数有していることから、a membrane protein induced by beta−amyloid(Mib)と名付け、本ラット遺伝子をラットMib(以下、rMibとも称する)とした。本発明のラットMibの組織分布を調べると、肺と腎臓で約9kbpの転写産物の発現を認めた。
本明細書において、「Mib」とは、a membrane protein induced by beta−amyloidであり、特に記載がない限り、Mib遺伝子またはMib蛋白質またはそれら両方を指す場合に使用する。
(ヒトオーソログの取得)
ラットMibのヒトオーソログ(以下、ヒトMibまたはhMibとも称する)を見出すため、NCBIヒトゲノムデータベースを検索した。ヒトの対応配列の一部がNCBIゲノムデータベース上に見つかった。この対応配列の一部からプライマー等を設計し、RT−PCR法によりヒト小腸由来ポリA(+)RNA(CLONTECH社製)からクローニングした。蛍光色素(Bigdye;ABI社製)標識ターミネーター、ならびに、M13ユニバーサルプライマー、リバースプライマー、および内部配列プライマーを用いてシークエンス反応を行い、蛍光キャピラリーシークエンサーABI PRISM 3100(ABI社製)を用いて配列を決定した。このヒト遺伝子は、塩基配列(配列番号3)が6,795bpであり、アミノ酸配列(配列番号4)が2090アミノ酸の蛋白質をコードした。このヒトMib遺伝子のORF領域(ヌクレオチド265〜ヌクレオチド6534)を、DDBJにアクセッションナンバーAB161230で登録(未公開)した。予測プログラムPSORTにて本ヒト蛋白質を解析すると、シグナル配列(アミノ酸1〜27)に続き、24回の膜貫通領域(アミノ酸33〜49、アミノ酸83〜99、アミノ酸148〜164、アミノ酸166〜182、アミノ酸197〜213、アミノ酸249〜265、アミノ酸378〜394、アミノ酸399〜415、アミノ酸421〜437、アミノ酸498〜514、アミノ酸560〜576、アミノ酸580〜596、アミノ酸611〜627、アミノ酸729〜745、アミノ酸751〜767、アミノ酸781〜797、アミノ酸1258〜1274、アミノ酸1275〜1291、アミノ酸1300〜1316、アミノ酸1532〜1548、アミノ酸1569〜1585、アミノ酸1604〜1620、アミノ酸1747〜1763、アミノ酸2004〜2020)を有していた。ヒトMibはラットMibとアミノ酸レベルで83%、ヌクレオチドレベルで69%の相同性を示した(図2〜4)。ヒトMibの組織分布を調べたところ、心臓、胎盤、肺、肝臓、腎臓、膵臓で約11.6kbpおよび約9.0kbpの転写産物の強い発現を認めた。
本発明者は、Mib遺伝子を、cDNAサブトラクション法によりβアミロイド処理で発現が誘導される遺伝子として同定した。βアミロイドはアルツハイマー病の進行を促すと考えられている因子である。Mib遺伝子は、βアミロイド刺激のない状態では、ラット脳でほとんど発現せず、ヒト脳においても他の臓器より発現が低かった。本発明者は、これらの発現動態からMib遺伝子はβアミロイド刺激によって脳内で発現し、それによってその機能を発揮すると考えている。
Mib遺伝子の発現および/または機能を抑制することによるアルツハイマー病の抑制効果が期待される。例えば、脳内にβアミロイドの沈着が存在する状態であってもMib遺伝子の発現を抑制することによって、Mib遺伝子の発現を抑制することによってアルツハイマー病の抑制、遅延、改善、および/または治療が可能になると考えている。
(Mibの機能)
一般に、細胞は、成体の定常状態の脳内では移動しないが、脳疾患などにより神経細胞が損傷を受けると、この損傷を修復および/または保護するためにグリア細胞が損傷部位へ移動することが知られている。アルツハイマー病のβアミロイドが凝集した老人斑周辺では、神経原繊維変化を伴う神経細胞の損傷と神経細胞の脱落が知られている。このときアストログリア細胞は、生体内で異物となった不溶性蛋白質凝集体(すなわち、老人斑)の影響をそれ以上に広げないために、老人斑を取り囲むように損傷部位に移動し、プラークのコアへ向け突起を伸長させることが知られている。アストログリア細胞の病変損傷部位への集積および突起の伸長は、本来、老人斑により損傷を受けた神経細胞の修復と異物の排除を目的とした生体防御機構であるはずだが、実際には、このアストログリア細胞が炎症性因子を分泌し、脆弱化している神経細胞の損傷をさらに悪化させることが知られている。また、βアミロイドの非存在下では神経突起の伸長を促進するアストログリア細胞は、βアミロイドの存在下ではβアミロイドによる神経細胞の損傷を助長することも知られている。
一方、本発明者は、ラットにおいてβアミロイド処理によって脳内で発現が誘導されるラットMib遺伝子を見出した。この遺伝子は、その構造から細胞膜に局在することが推定された。また、ヒトMib遺伝子はアルツハイマー病に罹患していないヒトの脳では神経細胞に発現するが、アルツハイマー病に罹患しているヒトの脳の老人斑周辺では神経細胞で発現が低下し、アストログリア細胞で発現が亢進するということを見出した。
上記のようなβアミロイドが凝集したときのアストログリア細胞の特性と、Mibの発現がβアミロイドにより誘導されること、Mibの発現がアルツハイマー病患者の老人斑に隣接するアストログリア細胞に特異的な発現を示すこと、Mibは細胞膜に局在することが推定されていることから判断すると、Mibはβアミロイド刺激によってアストログリア細胞の細胞膜に発現し、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連することが推測され、結果としてアルツハイマー病の進行に関わると本発明者は考えている。その場合、Mibは、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と直接関連するか、または細胞膜に発現したMibにリガンド等が結合し、その下流にシグナルを伝達してアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞からの炎症性因子の生産および/または分泌と関連すると考えている。
アストログリア細胞の移動を測定する方法としては、例えば、再構成した細胞外マトリクス(ECM)を塗布した孔のあるメンブレンを用いた方法が挙げられる。具体的には、本発明のMib遺伝子を発現させたアストログリア細胞等またはsiRNA法によってMib遺伝子の発現量を低下させたアストログリア細胞等を調製し、該細胞を該メンブレン上に播種する。静置した後、移動せずに上部チャンバー表面に残った細胞を綿棒で除去し、チャンバー裏部へ移動した細胞を固定する。この細胞を染色し、顕微鏡等で計数することによってアストログリア細胞の移動を測定することができる。本実験には、Mib遺伝子を発現させていないアストログリア細胞等またはsiRNA法に供していないアストログリア細胞等をコントロール細胞として用いることができる。再構成したECMを塗布した孔のあるメンブレンとしては、例えば、BioCoat matrigel 24 wellチャンバー(BDファルコン社製)が挙げられる。
アストログリア細胞の突起の伸長を測定する方法としては、例えば、遺伝子導入によって本発明のMib遺伝子を発現させたアストログリア細胞等またはsiRNA法によってMib遺伝子の発現量を低下させたアストログリア細胞等の突起伸長を誘発させ、突起の長さまたは突起の数を顕微鏡で直接測定する方法が挙げられる。本実験には、Mib遺伝子を発現させていないアストログリア細胞等またはsiRNA法に供していないアストログリア細胞等をコントロール細胞として用いることができる。
アストログリア細胞の炎症性因子の生産および/または分泌を測定する方法としては、例えば、本発明のMib遺伝子を発現させたアストログリア細胞等において、ノーザンブロットまたはRT−PCRによって炎症性因子をコードするmRNAの発現量を測定する方法、またはELISAによって炎症性因子の蛋白質量を測定する方法が挙げられる。あるいは、siRNA法によってMib遺伝子の発現量を低下させたアストログリア細胞等を作製し、該細胞における炎症性因子の発現量または蛋白質量をノーザンブロット、RT−PCR、またはELISAを用いて測定する方法が挙げられる。これらの方法には、Mib遺伝子を発現させていないアストログリア細胞等またはsiRNA法に供してないアストログリア細胞等をコントロール細胞として用いることができる。本発明のMib遺伝子とその生成量および/または分泌量が関連すると考えている炎症性因子としては、例えば、神経成長因子(NGF)、inducible Nitric Oxide Synthase(iNOS)、Regulated on Activation Normal T−cell Expressed and Secreted(RANTES)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、S100β等が挙げられる。
(ポリヌクレオチドおよびその相補鎖)
本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖としては、配列表の配列番号1または3に記載の塩基配列またはその部分塩基配列からなるポリヌクレオチドまたはその相補鎖、配列表の配列番号1または3に記載の塩基配列またはその部分塩基配列を含むポリヌクレオチドまたはその相補鎖、配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列またはその部分アミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖、あるいは配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列またはその部分アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドとしては、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリヌクレオチドが好ましい。また、本発明のポリヌクレオチドとしては、翻訳される蛋白質が細胞膜局在性を有するポリヌクレオチドが好ましい。
部分塩基配列としては、Mibの特徴的な構造部分のアミノ酸断片をコードする塩基配列が挙げられる。このような部分塩基配列としては、例えば、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のシグナル配列部分または膜貫通領域、すなわち、アミノ酸1〜27、またはアミノ酸33〜49、アミノ酸82〜98、アミノ酸143〜159、アミノ酸165〜181、アミノ酸196〜212、アミノ酸248〜264、アミノ酸361〜377、アミノ酸387〜403、アミノ酸409〜425、アミノ酸486〜502、アミノ酸548〜564、アミノ酸568〜584、アミノ酸599〜615、アミノ酸717〜733、アミノ酸739〜755、アミノ酸769〜785、アミノ酸1247〜1263、アミノ酸1264〜1280、アミノ酸1538〜1554、アミノ酸1576〜1592、アミノ酸1610〜1626、アミノ酸1753〜1769、もしくはアミノ酸2020〜2036のいずれかのアミノ酸断片をコードする塩基配列が挙げられる。あるいは、このような部分塩基配列としては、例えば、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のシグナル配列または膜貫通領域、すなわち、アミノ酸1〜27、またはアミノ酸33〜49、アミノ酸83〜99、アミノ酸148〜164、アミノ酸166〜182、アミノ酸197〜213、アミノ酸249〜265、アミノ酸378〜394、アミノ酸399〜415、アミノ酸421〜437、アミノ酸498〜514、アミノ酸560〜576、アミノ酸580〜596、アミノ酸611〜627、アミノ酸729〜745、アミノ酸751〜767、アミノ酸781〜797、アミノ酸1258〜1274、アミノ酸1275〜1291、アミノ酸1300〜1316、アミノ酸1532〜1548、アミノ酸1569〜1585、アミノ酸1604〜1620、アミノ酸1747〜1763、アミノ酸2004〜2020のいずれかのアミノ酸断片をコードする塩基配列が挙げられる。
また、本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖としては、上記のポリヌクレオチドと少なくとも約70%の塩基配列上の相同性を有するポリヌクレオチドもしくはその相補鎖であって、かつ全長のMibと実質的に同質の機能を有するものが挙げられる。Mibの機能としては、好ましくは、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドとしては、翻訳される蛋白質が細胞膜局在性を有するポリヌクレオチドが好ましい。その選択されるポリヌクレオチドは、好ましくは約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%以上、より好ましくは約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%以上、さらに好ましくは約90%、約95%、または約99%以上の塩基配列上の相同性を有する。塩基配列の相同性を決定する技術は、自体公知であり、例えば塩基配列を直接決定する方法を使用することができる。
また、本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖としては、上記のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドもしくはその相補鎖であって、かつ全長のMibと実質的に同質の機能を有するものが挙げられる。Mibの機能としては、好ましくは、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドとしては、翻訳される蛋白質が細胞膜局在性を有するポリヌクレオチドが好ましい。「ポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド」は、例えば、Molecular Cloning 第2版(J.Sambrook et al.(1989))に記載の方法によって得ることができる。ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションする」とは、例えば、6×SSC、0.5% SDSおよび50% ホルムアミドの溶液中で42℃にて加温した後、0.1×SSC、0.5% SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件でも判別可能な陽性のハイブリダイゼーションのシグナルが観察されることを表す。
また、本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖としては、上記のポリヌクレオチドの塩基配列において1または数個のヌクレオチドが欠失、置換、または付加されたポリヌクレオチドもしくはその相補鎖であって、かつ全長のMibと実質的に同質の機能を有するものが挙げられる。Mibの機能としては、好ましくは、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドとしては、翻訳される蛋白質が細胞膜局在性を有するポリヌクレオチドが好ましい。ヌクレオチドの欠失、置換、または付加の手段は自体公知であり、エキソヌクレアーゼを用いた欠失変異体の作製法、または部位特異的突然変異誘発法などが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、いずれも本発明のポリペプチドの製造に有用な遺伝子を提供するものである。また、本発明のポリヌクレオチドは、mRNA検出のためのプローブもしくはプライマーとして、あるいは遺伝子発現を調節するアンチセンスオリゴマーとして使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドをアンチセンスとして使用する場合、本発明のポリヌクレオチドの発現が特異的に阻害される。さらに、本発明のポリヌクレオチドは、核酸に関する試薬としても利用できる。本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、一本鎖の場合はセンス鎖であってもアンチセンス鎖であってもよい。本発明のポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよい。
(ポリペプチド)
本発明のポリペプチドとしては、配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列またはその部分アミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。また、本発明のポリペプチドとしては、配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列またはその部分アミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。本発明のポリペプチドとしては、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能を有するポリペプチドが好ましい。また、本発明のポリペプチドとしては、翻訳される蛋白質が細胞膜局在性を有するポリペプチドが好ましい。
部分アミノ酸配列としては、Mibの特徴的な構造部分のアミノ酸断片が挙げられる。このような部分アミノ酸配列としては、例えば、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のシグナル配列部分または膜貫通領域、すなわち、アミノ酸1〜27、またはアミノ酸33〜49、アミノ酸82〜98、アミノ酸143〜159、アミノ酸165〜181、アミノ酸196〜212、アミノ酸248〜264、アミノ酸361〜377、アミノ酸387〜403、アミノ酸409〜425、アミノ酸486〜502、アミノ酸548〜564、アミノ酸568〜584、アミノ酸599〜615、アミノ酸717〜733、アミノ酸739〜755、アミノ酸769〜785、アミノ酸1247〜1263、アミノ酸1264〜1280、アミノ酸1538〜1554、アミノ酸1576〜1592、アミノ酸1610〜1626、アミノ酸1753〜1769、もしくはアミノ酸2020〜2036)のいずれかのアミノ酸断片が挙げられる。あるいは、このような部分アミノ酸配列としては、例えば、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のシグナル配列または膜貫通領域、すなわち、アミノ酸1〜27、またはアミノ酸33〜49、アミノ酸83〜99、アミノ酸148〜164、アミノ酸166〜182、アミノ酸197〜213、アミノ酸249〜265、アミノ酸378〜394、アミノ酸399〜415、アミノ酸421〜437、アミノ酸498〜514、アミノ酸560〜576、アミノ酸580〜596、アミノ酸611〜627、アミノ酸729〜745、アミノ酸751〜767、アミノ酸781〜797、アミノ酸1258〜1274、アミノ酸1275〜1291、アミノ酸1300〜1316、アミノ酸1532〜1548、アミノ酸1569〜1585、アミノ酸1604〜1620、アミノ酸1747〜1763、アミノ酸2004〜2020のいずれかのアミノ酸断片が挙げられる。
また、本発明のポリペプチドとしては、上記のポリペプチドと少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有するポリペプチドであって、かつMibと実質的に同質の機能を有するポリペプチドが挙げられる。Mibの機能としては、好ましくは、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能が挙げられる。本発明のポリペプチドとしては、細胞膜局在性を有するポリペプチドが好ましい。その選択されるポリペプチドは、好ましくは約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%以上、より好ましくは約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%以上、さらに好ましくは約90%、約95%、または約99%以上のアミノ酸配列上の相同性を有する。
また、本発明のポリペプチドとしては、上記のポリペプチドのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、または付加されたポリペプチドであって、かつMibと実質的に同質の機能を有するポリペプチドである。Mibの機能としては、好ましくは、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する機能が挙げられる。本発明のポリペプチドとしては、細胞膜局在性を有するポリペプチドが好ましい。
本発明のポリペプチドは、その構成アミノ基もしくはカルボキシル基などを修飾するなど、機能の著しい変更を伴わない程度に改変が可能である。本発明のポリペプチドは、天然のポリペプチド、組換えポリペプチド、または合成ポリペプチドであり、好ましくは組換えポリペプチドである。
本発明のポリペプチドは、それら自体で生体内での機能を調節するための医薬組成物に使用できる。また、本発明のポリペプチドは、それらの機能を調節し得る化合物、例えば、阻害剤、拮抗剤、賦活剤等を得るためのスクリーニングや、それらに対する抗体の取得に用いることができる。さらに、本発明のポリペプチドは、試薬としても使用可能である。
(組換えベクター)
本発明のポリヌクレオチドを適当なベクターへ組み込むことにより、組換えベクターを得ることができる。ベクターとしては、天然に存在するものを抽出したもののほか、増殖に必要な部分以外のポリヌクレオチドの部分が一部欠落しているものでもよい。例えば、Col E1から派生するベクター、ラムダファージから派生するベクターがある。前記ベクターに本発明のポリヌクレオチドを組み込む方法は、自体公知の方法を適用し得る。例えば、適当な制限酵素を選択し、ポリヌクレオチドを特定部位で切断し、次いで同様に処理したベクターと混合し、リガーゼによって再結合する方法が用いられる。後述の実施例中に示すpBS SK(−)−rMib(図5)では、ベクターとしてpBluescript SK(−)(Stratagene社製)を用いたが、むろんこれに限定されない。プラスミド pBS SK(−)−rMibは、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM BP−08654号として平成16年3月5日付けで寄託し、平成16年4月19日付けで生存に関する証明書の通知を受けた。
(形質転換体)
上記のような無細胞蛋白質発現系以外にも、大腸菌、酵母、枯草菌、昆虫細胞、動物細胞等の自体公知の宿主を用いた遺伝子組換え技術によって、本発明のポリペプチドおよびその由来物を提供可能である。
形質転換は、自体公知の手段を応用することができ、例えば、レプリコンとして、プラスミド、染色体、ウイルス等を用いて宿主の形質転換を行う。より好ましい系としては、遺伝子の安定性を考慮するならば、染色体内へのインテグレート法が挙げられるが、簡便には核外遺伝子を用いた自律複製系を利用する。ベクターは、宿主の種類により選択され、発現目的遺伝子配列とその複製および制御に関する情報を担持した遺伝子配列とを構成要素とする。構成要素は宿主が原核細胞か真核細胞かによって選択し、プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、シグナル配列、エンハンサー等を自体公知の方法によって組み合わせて使用する。
(ポリペプチドの製造方法)
形質転換体は、自体公知である各々の宿主の培養条件に最適な条件を選択して培養することにより、本発明のポリペプチドの製造に用いることができる。培養は、発現産生されるポリペプチドの生理活性を指標に行ってもよいが、培地中の形質転換体量を指標にして継代培養またはバッチによって行ってもよい。
本発明のポリペプチドを製造するための形質転換体は、例えば、本発明の遺伝子を組み込んだベクター(例えば、pBS SK(−)−rMib)でコンピテントセル E.coli DH5αを形質転換することによって得ることができる。本発明のポリペプチドは、これらの形質転換体を用いて本発明の遺伝子を組み込んだベクター(例えば、pBS SK(−)−rMib)の増幅を行うことによって得ることができる。培地からのポリペプチドおよびその由来物からなるポリペプチドの精製および/または回収方法としては、分子篩、イオンカラムクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどの組み合わせ、または溶解度差に基づく硫安、アルコールなどの分画が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくは、ポリペプチドの回収方法としては、アミノ酸配列の情報に基づき該アミノ酸配列に対する抗体を作製し、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体によって特異的に吸着回収する方法が挙げられるが、これに限定されない。
(抗体)
抗体は、本発明のポリペプチドおよびその由来物からなるポリペプチドの抗原決定基を選別し、作製する。抗原決定基は、少なくとも5〜15個、好ましくは少なくとも7〜12個、より好ましくは少なくとも8〜10個のアミノ酸で構成される。このアミノ酸配列は、必ずしも配列表の配列番号2もしくは配列番号4のアミノ酸配列または配列番号1もしくは配列番号3の塩基配列がコードするポリペプチドと相同である必要はなく、蛋白質の立体構造上の外部への露出部位であればよい。露出部位が不連続部位であれば、該露出部位について連続的なアミノ酸配列であることも有効である。抗体は、本発明の蛋白質および/またはポリペプチドおよびその由来物からなるポリペプチドを免疫学的に認識する限り特に限定されない。この認識の有無は、公知の抗原抗体結合反応によって決定することができる。
抗体を産生するためには、本発明のポリペプチドおよびその由来物からなるポリペプチドを、アジュバントの存在または非存在下で、単独または担体に結合して、動物に対して体液性応答および/または細胞性応答等の免疫誘導を行う。担体は、それ自体が宿主に対して有害作用を起こさなければ特に限定されず、例えば、セルロース、重合アミノ酸、アルブミン等が例示される。免疫する動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、馬等が好適に用いられるが、これらに限定されない。ポリクローナル抗体は、自体公知の血清からの抗体回収法によって取得する。好ましい手段としては、例えば、免疫アフィニティクロマトグラフィー法が挙げられる。
モノクローナル抗体を生産するためには、上記の免疫手段が施された動物から抗体産生細胞を回収し、自体公知の永久増殖性細胞への形質転換手段を導入することによって行うことができる。
このようなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、本発明の蛋白質および/またはポリペプチドと直接結合し、その機能および/または活性を制御することができる。このようなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、本発明の蛋白質および/またはポリペプチドの機能および/または活性が関与する疾患の診断、予防、抑制、遅延、改善および/または治療などに有用である。
(上記ポリヌクレオチド、ポリペプチド、組換えベクター、形質転換体、抗体の用途)
本発明の特徴のうちの1つは、脳におけるMibの発現を検出することによるアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患、例えば、アルツハイマー病の診断に関する。すなわち、脳サンプル中のMibの発現を検出し、Mibの発現が高い場合に、該サンプルをアルツハイマー病に罹患した被験体由来の脳サンプルと判断することができる。Mibの発現の検出は、Mib遺伝子を検出するものであっても、Mib蛋白質を検出するものであってもよい。Mibの発現の検出には、上記のポリヌクレオチド、ポリペプチド、組換えベクター、形質転換体、抗体を使用することができる。具体的には、Mib遺伝子の発現の検出方法としては、上記のポリヌクレオチドからプローブを設計し、そのプローブを用いたノーザンブロット法またはRT−PCR法などが挙げられる。Mib蛋白質の発現の検出方法としては、上記の抗体を用いたウエスタンブロット法などが挙げられる。
別の本発明の特徴のうちの1つは、βアミロイドによるMibの発現を抑制および/または阻害することによるアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患、例えば、アルツハイマー病の発症および/または進行を抑制、遅延、改善、および/または治療する方法に関する。すなわち、βアミロイドにより、Mibの発現が誘導されることを初めて見出し、それが脳との関係、特にアルツハイマー病の発症および/または進行に関連することを見出した。この新規な知見に基くと、βアミロイドが存在しても、そのMibの発現誘導を抑制および/または阻害しさえすれば、アルツハイマー病の発症および/または進行を抑制、遅延、改善、および/または治療することができると考えられる。
Mibの発現を抑制および/または阻害するには、例えば、Mibをコードする構造遺伝子のmRNA発現を阻害することが挙げられる。このような阻害剤は、例えばβアミロイドを用い、Mibをコードする構造遺伝子のmRNA発現系を用いて候補化合物スクリーニングすることにより獲得できる。このようなスクリーニングにより得られるβアミロイドによるMibのmRNA発現を抑制および/または阻害することのできる化合物は、アルツハイマー病の予防/治療剤として提供することができる。
(化合物の同定)
かくして調製されたポリヌクレオチド、ポリペプチド、組換えベクター、形質転換体および抗体は、単独または複数手段を組み合わせることによって、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生を阻害する化合物および/または抑制する化合物の同定に有効な手段を提供する。
このような同定方法としては、βアミロイドおよび候補化合物を添加した細胞におけるMibの発現変化が比較できる方法であれば特に限定されない。具体的には、例えば、(1)一方の細胞にβアミロイドを添加し、他方の細胞にβアミロイドおよび候補化合物を添加し、(2)βアミロイドを添加した細胞におけるMibの発現と、βアミロイドおよび候補化合物を添加した細胞におけるMibの発現を比較し、(3)βアミロイドを添加した細胞におけるMibの発現と比較して、βアミロイドおよび候補化合物を添加した細胞におけるMibの発現が低下した場合に、該候補化合物をアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生を阻害する化合物および/または抑制する化合物として同定することができる。候補化合物の添加は、βアミロイド添加の前であっても、βアミロイド添加と同時であっても、βアミロイド添加の後であってもよい。比較するMibの発現は、発現量を比較できれば、mRNA発現であっても蛋白質発現であってもよい。Mib mRNA量は、例えば、配列表の配列番号1または3で表される塩基配列の一部を含むポリヌクレオチドをプローブとして用いたノーザンブロット法またはRT−PCR法等によって検出可能である。Mib蛋白質量は、例えば、配列表の配列番号2もしくは4で表されるアミノ酸配列の一部を含むポリペプチドに対する抗体を用いて、ウエスタンブロット法またはELISA法等によって検出可能である。配列表の配列番号1もしくは3で表される塩基配列の一部を含むポリヌクレオチドを組換えベクターに組み込み、この組換えベクターを用いて例えばE.coli細胞を形質転換することによって形質転換体を作製し、この形質転換体を用いてポリペプチドを産生させるか、配列表の配列番号2もしくは4で表されるアミノ酸配列からポリペプチドを合成する。このようなポリペプチドを用いてMib蛋白質に対する抗体を作製する。具体的な抗体の作製方法は、上記に詳述されている。また、βアミロイドを添加した細胞におけるMibの発現と比較して、βアミロイドおよび候補化合物を添加した細胞におけるMibの発現が少なくとも20%低下した場合、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%低下した場合に、該候補化合物をアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生を阻害する化合物および/または抑制する化合物として同定することができる。
また、例えば、ポリペプチドの立体構造に基づくドラッグデザインによる拮抗剤の選別、蛋白質発現系を用いた遺伝子レベルでの発現調節剤の選別、抗体を用いた抗体認識物質の選別等が、自体公知の医薬品スクリーニングシステムにおいて利用可能である。
本同定方法により得られた化合物は後述する医薬組成物、疾患の治療剤として有用である。
(化合物、医薬組成物、診断手段)
上記の同定方法で得られた化合物は、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)を治療するための候補化合物として用いることができる。候補化合物としては、蛋白質、ポリペプチド、抗原性を有さないポリペプチド、低分子化合物が挙げられるがこれらに限定されず、好ましくは低分子化合物である。
かくして選別された候補化合物は、生物学的有用性および毒性等を考慮して選別することによって、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)の治療に用いる医薬組成物として調製可能である。また、本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、本発明のポリペプチド、上記ポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含む組換えベクター、これら組換えベクターを用いて形質転換した形質転換体、および上記ポリペプチドを免疫学的に認識する抗体は、それら自体が、本発明の遺伝子および/または蛋白質の発現に対する阻害、拮抗、賦活等の機能を有し、本発明の遺伝子および/または蛋白質の発現および/または機能が関与する疾患の治療および/または防止に用いる医薬手段として使用できる。
アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患としては、例えば、アルツハイマー病等の神経疾患が挙げられる。本発明のMibは、βアミロイド処理で発現が誘導され、βアミロイド刺激のない状態では発現が低く抑えられている。Mibはβアミロイド刺激によって脳内で発現し、それによってその機能を発揮すると考えられるので、Mibの発現および/または機能の抑制によるアルツハイマー病の抑制効果が期待される。また、高い確率で細胞膜局在が予測されていることから、Mibが疾患メカニズムまたは創薬ターゲットに関連する可能性は高いと考えられる。従って、本発明者は、Mibの発現阻害および/または機能阻害は、疾患、特にアルツハイマー病の治療に用いることができると考えている。
上記の候補化合物、あるいは本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、本発明のポリペプチド、上記ポリヌクレオチドもしくはその相補鎖を含む組換えベクター、これら組換えベクターを用いて形質転換した形質転換体、または上記ポリペプチドを免疫学的に認識する抗体は、適当な医薬担体と組み合わせて処方してアストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)の防止および/または治療剤として用いることができる。かかる処方は、治療有効量の上記の候補化合物、あるいは本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、本発明のポリペプチド、上記ポリヌクレオチドもしくはその相補鎖を含む組換えベクター、これら組換えベクターを用いて形質転換した形質転換体、または上記ポリペプチドを免疫学的に認識する抗体と、医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む。かかる担体としては、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。処方は、投与経路に適したものを選択すればよい。
投与経路は、全身投与であっても局所投与であってもよい。全身投与の好ましい一態様は、注射、例えば、静脈注射が挙げられる。皮下、筋肉内、または腹腔内のような他の注射経路を用いることもできる。投与の別の態様として、腸溶処方またはカプセル処方等の経口投与も可能である。さらに、胆汁酸塩またはフジシン酸または他の界面活性剤のような浸透剤を用いる経粘膜または経皮投与を用いることもできる。局所的な投与のときは、膏薬、パスタ、ゲルなどの形態を利用できる。
必要な用量範囲は、上記の候補化合物、あるいは本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、これらがコードするポリペプチド、上記ポリヌクレオチドもしくはその相補鎖を含む組換えベクター、これら組換えベクターを用いて形質転換した形質転換体、または上記ポリペプチドを免疫学的に認識する抗体の有効性、投与経路、処方の性質、対象の症状および担当医師の判断によるが、適当な用量は、例えば、対象の体重1kgあたり0.01〜1000μg、好ましくは体重1kgあたり0.05〜500μg、より好ましくは体重1kgあたり0.1〜100μgの範囲である。
製剤化にあたっては、化合物、ポリペプチド、蛋白質、ポリヌクレオチド、抗体等、各対照に応じた自体公知の製剤化手段を導入すればよい。具体的には、例えば、散剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、水溶液製剤、エタノール溶液製剤、リポソーム製剤、脱脂乳剤、シクロデキストリンなどの包接体などの製剤化方法を利用できる。
散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤は、ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトールなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、マグネシウムステアレート、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、シドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
懸濁剤は、水、またはスクロース、ソルビトールおよびフルクトースなどの糖類、ポリエチレングリコールなどのグルコール類、油類等を使用して製造できる。
注射用の溶液は、塩溶液、グルコース溶液または塩水とグルコース溶液の混合物からなる担体等を用いて調製可能である。
リポソーム化は、例えば、リン脂質を有機溶媒(クロロホルムなど)に溶解した溶液に、当該物質を溶媒(エタノールなど)に溶解した溶液を加えた後、溶媒を留去し、これにリン酸緩衝液を加え、浸とう、超音波処理および遠心分離した後、上清をろ過処理して回収することにより行い得る。
脂肪乳化剤は、例えば、当該物質、油成分(大豆油、ゴマ油、オリーブ油などの植物油など)、乳化剤(リン脂質など)などを混合、加熱して溶液とした後に、必要量の水を加え、乳化機(ホモジナイザー)を用いて、乳化および/または均質化処理して行い得る。また、これを凍結乾燥することも可能である。なお、脂肪乳剤化するとき、乳化助剤を添加してもよく、乳化助剤としては、例えば、グリセリン、糖類(例えば、ブドウ糖、ソルビトール、果糖など)が例示される。
シクロデキストリン包接化は、例えば、当該物質を溶媒(エタノール)に溶解した溶液に、シクロデキストリンンを水などに加温溶解した溶液を加えた後、冷却して析出した沈殿をろ過し、滅菌乾燥することにより行い得る。この際、使用されるシクロデキストリンは、当該物質の大きさに応じて、空隙直径のことなるシクロデキストリン(α型、β型、γ型)を適宜選択すればよい。
本発明のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、本発明のポリペプチド、上記ポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含む組換えベクター、これら組換えベクターを用いて形質転換した形質転換体、および上記ポリペプチドを免疫学的に認識する抗体は、アストログリア細胞の移動、アストログリア細胞の突起の伸長、および/またはアストログリア細胞の炎症性因子の産生と関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)の診断手段として有用である。特に、アルツハイマー病の診断マーカーおよび/または試薬等の診断手段として有用である。本明細書において手段とは、目的達成のために使用する方法および/または媒体を意味する。すなわち、例えば、診断手段には、診断するための方法、診断に用いる試薬、キットなどが含まれる。
診断は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの試料中での存在量を決定することによって行う。試料としては血液、ずい液、脳生検サンプル等が好適であり、特に脳脊ずい液が好ましい。診断に用いる測定法は、自体公知の抗原抗体反応、酵素反応系、PCR反応系等を利用することができる。
以下、実施例を示してこの発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(グリア細胞の培養)
アストログリア細胞はラット大脳皮質から得た。Wister系ラット胎仔(チャールスリバー、17日齢)の大脳を採取し、トリプシン処理により細胞を分散させた。得られた細胞を20%の牛胎仔血清(FCS)、抗生物質液を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で1週間培養後、10% FCSを含むDMEM中でさらに二次培養した。90%以上の細胞がグリア線維酸性蛋白陽性であることを、蛍光抗体法により確認した。
(βアミロイドの調製およびアストログリア細胞のβアミロイド処理)
βアミロイド(Anaspec社製、βアミロイド1−40)を滅菌水に溶解し−70℃で保存し用時融解して用いた。βアミロイドの凝集は、1mMのβアミロイドをイーグル緩衝液に溶解し、COインキュベーターで1週間保持後、10000×gで10分間遠心処理することにより行った。ペレットをB27サプリメント(Gibco BRL社製)を含むDMEM中に再懸濁し、適宜の濃度に調製して用いた。二次培養後のアストログリア細胞をリン酸緩衝液(PBS)で洗浄後、B27サプリメントを含む無血清培地に変換し、2日間培養後、25μMの凝集βアミロイドを添加してさらに15時間培養した。
(cDNAサブトラクションおよびライブラリースクリーニング)
βアミロイド処理および未処理のアストログリア細胞(6cmプラスチックディッシュ、各20枚)よりAGPC法にて9回にわたり全RNAを抽出した。poly A(+)RNAはオリゴdT−ラテックス(ロシュ社製)を用いて調製した。
βアミロイド処理および未処理のアストログリア細胞由来のpoly A(+)RNA各2μgを出発原料として(βアミロイド処理遺伝子)−(未処理遺伝子)および(未処理遺伝子)−(βアミロイド処理遺伝子)のcDNAサブトラクション処理を、Diatchenkoらの方法(Proc.Natl.Acad.USA 93,pp6025−6030(1996))に準じて、PCR−select cDNA subtraction kit(CLONTECH社製)を用いて行った。サブトラクション処理のポジティブコントロールとして、Rsa I消化後のテスターにφΧ174/Hae III消化DNAフラグメントをテスター中の重量比で約2.5×10−5になるように加えた。
実施したサブトラクション処理の効率を検証するため、陽性対照であるφΧ174/Hae III消化DNAフラグメントをプローブとして、サブトラクション後のPCR産物およびサブトラクション前のPCR産物についてサザンブロット・ハイブリダイゼーションを実施した。
(βアミロイド処理遺伝子)−(未処理遺伝子)のPCR産物のベクター〔pBluescript SK+(Stratagene社製)〕へのライゲーションを行い、プラスミドライブラリーを作製し、DH5αコンピテントセル(Gibco BRL社製)のトランスフォーメーションを行った。
プラスミドライブラリーの960クローンのベクター挿入部分をPCR法により増幅し、それらの遺伝子を60〜100ngずつメンブレン(Hybond−N+;Amersham社製)にドットブロットしたものを2セット作製した。このドットブロットメンブレンに対して、(βアミロイド処理遺伝子)−(未処理遺伝子)および(未処理遺伝子)−(βアミロイド処理遺伝子)のサブトラクション後のPCR産物のプローブで、0.5M NaHPO(pH6.8)、10μg/ml サケ精子DNAを含む7% SDS液中、68℃、16時間のハイブリダイゼーションをそれぞれ実施した。0.1% SDSを含む0.1×SSCを用いてメンブレンを68℃で30分間洗浄した。(未処理遺伝子)−(βアミロイド処理遺伝子)のサブトラクション後のPCR産物と比較して(βアミロイド処理遺伝子)−(未処理遺伝子)のサブトラクション後のPCR産物において特異的に濃縮が認められるクローンを選択した。
(ノーザンブロットハイブリダイゼーションによる解析)
選択したクローン群のそれぞれのベクター挿入部分を32Pで標識後プローブとし、βアミロイド処理および未処理アストログリア細胞由来poly A(+)RNAを用いたノーザンブロット・ハイブリダイゼーションを実施した。上記方法により、βアミロイド処理および未処理のアストログリア細胞から、それぞれのpoly A(+)RNAサンプルを調製した。常発現性遺伝子であるグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)cDNA、βアクチンcDNA(CLONTECH社製)を内部標準プローブとして用いた。検出はBAS2000(富士フィルム社製)を用いて行った。G3PDH遺伝子、βアクチン遺伝子は、βアミロイド処理時および未処理時において発現量に差が認められないのに対し、本発明の遺伝子は、βアミロイド未処理時では低レベルで維持されていた発現量が、βアミロイド処理により約7.0倍増加した(図1)。
(塩基配列解析および相同性検索)
本発明の遺伝子は、高次構造をとりやすく通常のシークエンス反応条件では配列の同定が困難であった。本発明者は、シークエンス反応の変性温度、変性時間およびアニーリング温度を詳細に検討し、本遺伝子の配列解析を可能にした。具体的なシークエンス反応の条件は、増幅反応中の変性温度を96℃に高め、さらに変性時間も20〜30秒に延長した。また、アニーリング温度に関しては、低温でのテンプレートDNAの2次構造の再形成を回避するために、それぞれのプライマーについて可能な限り高い温度に設定した。βアミロイドにより発現が誘導されるこのクローンは、蛍光色素(Cy5;ファルマシア)標識M13ユニバーサルプライマー、リバースプライマー、および内部配列プライマーを用いてシークエンス反応を行い、ALF Express蛍光シークエンサー(ファルマシア社製)を用いてベクター挿入部分の塩基配列を解析した。得られた配列について、NCBIデータベースで相同性検索を実施した。得られた全長cDNAのうちの1クローンは相同性を示す遺伝子はなく、新規と考えられた。βアミロイド添加ラットアストログリア細胞由来ファージライブラリーのスクリーニングで得られたcDNA全長は、6,996bp(配列番号1)で2,106アミノ酸(配列番号2)をコードする新規遺伝子であった。予測プログラムPSORTにて本蛋白質を解析すると、シグナル配列(アミノ酸1〜27)に続き、23回の膜貫通領域(アミノ酸33〜49、アミノ酸82〜98、アミノ酸143〜159、アミノ酸165〜181、アミノ酸196〜212、アミノ酸248〜264、アミノ酸361〜377、アミノ酸387〜403、アミノ酸409〜425、アミノ酸486〜502、アミノ酸548〜564、アミノ酸568〜584、アミノ酸599〜615、アミノ酸717〜733、アミノ酸739〜755、アミノ酸769〜785、アミノ酸1247〜1263、アミノ酸1264〜1280、アミノ酸1538〜1554、アミノ酸1576〜1592、アミノ酸1610〜1626、アミノ酸1753〜1769、アミノ酸2020〜2036)を有していた。膜貫通領域を多数有していることから、この遺伝子をMib(A membrane protein induced by beta−amyloid)と名付けた。ラットMibは新規配列であり、mRNAとして転写されていることを今回初めて示した。
(ヒトオーソログの取得)
ヒトオーソログを見出すため、NCBIヒトゲノムデータベースを検索したところ、ヒトの対応遺伝子の断片がNCBIゲノムデータベース上に見つかった。本情報をもとに、ヒト小腸由来ポリA (+)RNA(1μg、CLONTECH社製)よりSuperScript II (GIBCO社製)を用いて、プライマーをオリゴdT(12−18)とするRT−PCR法にて全長配列のクローニングと同定を実施した。ラットMibと同様に、ヒトMibも高次構造をとりやすく、通常のシークエンス反応条件では配列の同定が困難であり、シークエンス反応の条件を詳細に検討した。具体的なシークエンス反応の条件は、増幅反応中の変性温度を96℃に高め、さらに変性時間も20〜30秒に延長した。また、アニーリング温度に関しては、低温でのテンプレートDNAの2次構造の再形成を回避するために、それぞれのプライマーについて可能な限り高い温度に設定した。ベクター挿入部分の塩基配列は、BigDye標識ターミネーター(ABI社製)、M13ユニバーサルプライマー、リバースプライマー、および内部配列プライマーを用いてシークエンス反応を行い、蛍光キャピラリーシークエンサー ABI PRISM 3100(ABI社製)を用いて解析した。cDNA全長が長い本遺伝子のPCRエラーによる配列決定ミスを避けるため、独立した5つのクローンの配列を決定し、それらを総合判断して本遺伝子の配列を決定した。さらにcDNAの5’端、3’端を完全に同定するため、5’−race法、3’−race法(GeneRacer kit:Invitrogen社製)をそれぞれ実施した。PCRにはKOD plus (TOYOBO社製)をDNAポリメレースとして用い、PCR産物はpCR−Blunt II−TOPO(Invitrogen社製)に組み込み、シークエンスを行った。
本ヒトcDNAは、全長6,795bp(配列番号3)で2,090アミノ酸(配列番号4)をコードする遺伝子であり、シグナル配列(アミノ酸1〜27)に続き、24回の膜貫通領域(アミノ酸33〜49、アミノ酸83〜99、アミノ酸148〜164、アミノ酸166〜182、アミノ酸197〜213、アミノ酸249〜265、アミノ酸378〜394、アミノ酸399〜415、アミノ酸421〜437、アミノ酸498〜514、アミノ酸560〜576、アミノ酸580〜596、アミノ酸611〜627、アミノ酸729〜745、アミノ酸751〜767、アミノ酸781〜797、アミノ酸1258〜1274、アミノ酸1275〜1291、アミノ酸1300〜1316、アミノ酸1532〜1548、アミノ酸1569〜1585、アミノ酸1604〜1620、アミノ酸1747〜1763、アミノ酸2004〜2020)を有していた。ヒトMibは新規遺伝子であり、mRNAとして転写されていることを今回初めて示した。ヒトMibは、ラットMibと比較して、アミノ酸レベルで83%の相同性を示し、ヌクレオチドレベルで69%の相同性を示した。rMibとhMibのアミノ酸配列の比較を図2〜4に示す。
(ラットMibおよびヒトMibの組織発現分布)
ラットおよびヒトの各組織から抽出した、poly A(+)RNAを用いたノーザンブロット解析方法は、特開2001−258575、特開2001−352991、または特開2003−164290に記載の方法と同様に実施した。具体的には、ラットMibについてはプローブとして配列番号1のヌクレオチド6645〜6939の295bpの遺伝子フラグメントを用い、ヒトMibについてはプローブとして配列番号3のヌクレオチド3616〜3975の360bpの遺伝子フラグメントを用いた。ラットまたはヒトの各組織から抽出したpoly A(+)RNAのノーザンブロット(共に、CLONTECH社製)に、ラットMibまたはヒトMibのcDNAを32P標識後、ハイブリダイゼーションさせた。本発明者は、ラットMibが肺と腎臓において約9kbpの転写産物として発現すること、ならびに、ヒトMibが心臓、胎盤、肺、肝臓、腎臓、および膵臓において約11.6kbpまたは約9.0kbpの転写産物として発現することを確認した。
(pBS SK(−)−rMib(FERM BP−08654号)の作製)
pBS SK(−)−rMibは、ラットMib cDNA全長(約7.0kbp)をpBluescript SK(−)(Stratagene社製)のPstIサイト−XhoIサイト間に組み込まれた形で得た。具体的には、βアミロイド添加ラットアストログリア細胞由来ファージライブラリーのスクリーニングで得られた当該ファージを、ヘルパーファージを用いたインビボエクサイジョン法により得た。
図1は、本発明の遺伝子がβアミロイド処理により誘導されることを確認したノーザンブロッティングの結果の図である。図中、レーンNは無処理のラットアストログリア細胞由来poly(A)+RNAサンプルを示し、レーンAは25μMのβアミロイドで15時間処理した後のラットアストログリア細胞由来poly(A)+RNAサンプルをそれぞれ示す。(A)はMib遺伝子、(B)は内部標準としてのG3PDH遺伝子をプローブとして用いた結果を示す。内部標準であるG3PDH遺伝子は、βアミロイド処理時および未処理時において発現量に差が認められないのに対し、本発明の遺伝子は、βアミロイド未処理時では低レベルで維持されていた発現量がβアミロイド処理により約7.0倍増加した。 図2は、ヒトMib(上段)とラットMib(下段)のアミノ酸配列の比較を示す図である。図中、「*」はアミノ酸が同一であることを示し、「.」は性質の類似したアミノ酸であることを示す。 図3は、図2の続きである。ヒトMib(上段)とラットMib(下段)のアミノ酸配列の比較を示す図である。図中、「*」はアミノ酸が同一であることを示し、「.」は性質の類似したアミノ酸であることを示す。 図4は、図3の続きである。ヒトMib(上段)とラットMib(下段)のアミノ酸配列の比較を示す図である。図中、「*」はアミノ酸が同一であることを示し、「.」は性質の類似したアミノ酸であることを示す。 図5は、pBS SK(−)−rMib(FERM BP−08654号)の構築を示す図である。図中、rMib(約7.0kbp)は、ラットMib遺伝子の挿入部分を示す。rMibは、ベクターのマルチクローニングサイトのPst I制限酵素部位とXho I制限酵素部位との間に挿入されている。f1(−)oriはファージミド複製開始配列、Ampはアンピシリン耐性遺伝子部位、ColE1 oriはプラスミド複製開始配列を示す。
配列表の配列番号1:ラットMib遺伝子の塩基配列。
配列表の配列番号2:ラットMib蛋白質のアミノ酸配列。アミノ酸1〜27にシグナル配列が存在する。以下の部分に23回の膜貫通領域が存在する:アミノ酸33〜49、アミノ酸82〜98、アミノ酸143〜159、アミノ酸165〜181、アミノ酸196〜212、アミノ酸248〜264、アミノ酸361〜377、アミノ酸387〜403、アミノ酸409〜425、アミノ酸486〜502、アミノ酸548〜564、アミノ酸568〜584、アミノ酸599〜615、アミノ酸717〜733、アミノ酸739〜755、アミノ酸769〜785、アミノ酸1247〜1263、アミノ酸1264〜1280、アミノ酸1538〜1554、アミノ酸1576〜1592、アミノ酸1610〜1626、アミノ酸1753〜1769、アミノ酸2020〜2036。
配列表の配列番号3:ヒトMib遺伝子の塩基配列。
配列表の配列番号4:ヒトMib蛋白質のアミノ酸配列。アミノ酸1〜27にシグナル配列が存在する。以下の部分に24回の膜貫通領域が存在する:アミノ酸33〜49、アミノ酸83〜99、アミノ酸148〜164、アミノ酸166〜182、アミノ酸197〜213、アミノ酸249〜265、アミノ酸378〜394、アミノ酸399〜415、アミノ酸421〜437、アミノ酸498〜514、アミノ酸560〜576、アミノ酸580〜596、アミノ酸611〜627、アミノ酸729〜745、アミノ酸751〜767、アミノ酸781〜797、アミノ酸1258〜1274、アミノ酸1275〜1291、アミノ酸1300〜1316、アミノ酸1532〜1548、アミノ酸1569〜1585、アミノ酸1604〜1620、アミノ酸1747〜1763、アミノ酸2004〜2020。

Claims (9)

  1. 下記のいずれかのポリヌクレオチドまたはその相補鎖:
    (1)配列表の配列番号1または3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;または
    (2)配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  2. 配列表の配列番号2または4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  3. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
  4. プラスミド pBS SK(−)−rMib(FERM BP−08654号)。
  5. 請求項3に記載の組換えベクターまたは請求項4に記載のプラスミドを用いて形質転換させた形質転換体。
  6. 請求項5に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項2に記載のポリペプチドの製造方法。
  7. 脳組織由来の被検組織試料が、アルツハイマー病患者由来の組織試料であるか否かを判定する方法であって、該被検組織試料における請求項1に記載のポリヌクレオチドの発現量を測定し、該ポリヌクレオチドの発現が該被検組織試料中の神経細胞において低下しているか又はアストリグリア細胞において亢進していれば該被検組織試料はアルツハイマー病患者由来であると判定することを特徴とする、方法。
  8. 請求項1に記載のポリヌクレオチド、請求項2に記載のポリペプチド、請求項3に記載の組換えベクター、請求項4に記載のプラスミド、請求項5に記載の形質転換体または請求項に記載のポリペプチドを免疫学的に認識する抗体のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、アルツハイマー病の診断手段である試薬。
  9. 請求項1に記載のポリヌクレオチド、請求項2に記載のポリペプチド、請求項3に記載の組換えベクター、請求項4に記載のプラスミド、請求項5に記載の形質転換体または請求項に記載のポリペプチドを免疫学的に認識する抗体のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする、アルツハイマー病の診断用キット。
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