JP4530472B2 - 有機溶剤回収装置、及び同回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状に形成された活性炭素繊維(略語:ACF)を吸着要素とする吸着素子を吸着缶内に垂直に配置してなる溶剤回収装置、及び前記装置を用いる被処理ガス中の有機溶剤回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子産業、化学工業その他各種工業において、溶剤を使用する洗浄工程、乾燥工程より排出される、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、MEK等のケトン類;トリクレン、パークレン等の塩素系溶媒等の各種有機溶剤を含有する被処理ガス(原ガス)をACFを吸着要素とする吸着素子に供給して各種有機溶剤をこれに吸着させると共に、前記吸着素子を通過して溶剤が除去された清浄化ガスを系外に排出し、一方前記有機溶剤を吸着している吸着素子に加熱気体(例:空気)や加熱水蒸気を供給して有機溶剤を脱着回収する有機溶剤回収方法は広く知られ、これらの方法は工業的に採用されている(例えば、特公昭54−30917号公報、特公平4−66605号公報、実公平58−37456号公報)。
【0003】
前記有機溶剤を含有する被処理ガスから有機溶剤を回収する方法に用いられる従来の装置には、筒状に形成されたACFを吸着要素とする吸着素子を、吸着缶内にその内壁から隔てて垂直に配置し、前記吸着素子の外側に外室を、前記吸着素子の内側に内室を形成した構造の有機溶剤回収装置がある。前記有機溶剤回収装置は、有機溶剤を含有する被処理ガスと、脱着用ガスとを交互にACFに通過させることにより、吸着と脱着を順次行なわせている。
【0004】
通常、前記吸着缶を2基(2ユニット)以上並設し、各々の吸着缶を吸着と脱着処理に、或いは処理のタイミングをずらして使い分け、並行して脱着処理及び吸着処理を連続的に行う方式を採用している。
【0005】
ACFを吸着要素とする溶剤回収方法、及び同回収装置は、ACFの特性、即ち、極めて低濃度の有機溶剤を吸着できる特性や、吸着速度が大きい特性を利用し、オンラインで効率的に被処理ガスの処理と溶剤回収を行うことが出来る利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ACFを吸着要素とする吸着素子を用いた溶剤回収装置を使用して有機溶剤を吸着させた後、有機溶剤を吸着している吸着素子に水蒸気を供給して有機溶剤を脱着させる場合、吸着素子は細いACFをフェルト状に高い密度で成形した構造であるので、脱着工程で用いた水蒸気の一部が比重の大きい有機溶剤を含んだ水蒸気やドレンとなり、これらが内室下部、吸着素子下層部、及び外室下部に溜りやすい。
【0007】
特に、筒状のACF吸着素子を垂直に吸着缶に取付けている場合や、被処理ガスとして供給される有機溶剤含有ガス(原ガス)の温度が低い場合は、脱着工程において、吸着素子下層部及び内室下部に有機溶剤を含んだ水蒸気、及びドレンが残留しやすい。
【0008】
ところで、ACFを吸着要素とする吸着素子を用いる従来の有機溶剤回収装置の吸着缶には、通常、脱着工程において吸着缶内の底部に残存するドレンは、吸着缶底部に設けた排出口より排出される。しかし、ガスの排出に関しては清浄化ガス排出口が吸着缶上部にしかないため、脱着工程終了時においては、吸着缶内底部には有機溶剤ガスを含む水蒸気が残存している。同様に、上記したように、吸着素子の下層部は、有機溶剤を含んだ水蒸気とドレンを含んでいる。
【0009】
上述した、脱着工程終了後において吸着缶内底部及び吸着素子の下層部に残留している、有機溶剤を多量に含んだ水蒸気及びドレンは、引き続き行われる吸着工程において、吸着素子を通過する被処理ガス(原ガス)の圧力によって内室下部に押し出される。その結果、内室下部の有機溶剤を含む水蒸気及びドレンからガス化した有機溶剤ガスが吸着缶内上部に移行し、清浄化ガス排出口から系外へ排出されることがある。特に、吸着工程に切換えた直後の工程初期には多量の有機溶剤が系外へ排出されることがある。
【0010】
このような場合の対策として、水蒸気を脱着用ガスとして供給した後、吸着工程初期には有機溶剤含有被処理ガスの供給量を低く保ち、吸着缶が十分に冷却された後に供給量を高める第1の方法、及び脱着工程において充分過剰量の水蒸気を吸着素子に供給し、残存する上記有機溶剤を多量に含んだ水蒸気を完全に除去する第2の方法等が考えられる。
【0011】
しかしながら、前記第1の方法は、有機溶剤の排出は有る程度抑制し得るが完全なものではない。更に、工程が複雑になる。また前記第2の方法は、過剰の水蒸気を供給するため、脱着工程に要する時間が長くなり、しかも多量の水蒸気を消費するのでランニングコストが高くなる等の問題を有する。
【0012】
本発明は、このようなACFを吸着要素とする吸着素子を有する溶剤回収装置及び溶剤回収方法において、水蒸気による脱着工程を行った後の、吸着素子に含まれる有機溶剤含有水蒸気・ドレン、及び溶剤回収装置の下部に残存する有機溶剤含有水蒸気・ドレンにより、系外へ排出される清浄化ガスが汚染されることを改善し、さらに工程及び装置の簡単な改善によって、前記問題を解決する有機溶剤回収方法及び回収装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に示すものである。
【0014】
〔1〕 天板及び底板で上下を閉塞した吸着缶内に筒状に成形された活性炭素繊維吸着素子を前記吸着缶の内壁から隔てて垂直に配置させることにより、前記吸着素子の外側に外室と、前記吸着素子の内側に内室を形成すると共に、前記吸着缶に有機溶剤含有被処理ガスを前記外室に供給する被処理ガス供給口と、前記内室の頂部から清浄化ガスを排出する清浄化ガス排出口と、前記内室の下部から脱着用水蒸気を供給する水蒸気供給口と、脱着された有機溶剤を水蒸気と共に前記外室から排出する水蒸気排出口とを有する有機溶剤回収装置において、前記吸着缶の底板が前記外室の下方向に突出した環状の外室ドレン溝及び外室ドレン排出口と前記内室下方向に突出した内室ドレン溝及び内室ドレン排出口とを備えてなり、上記各ドレン溝にドレンを流下させることにより吸着素子がドレンと接触して湿潤状態になることを回避するように構成したことを特徴とする有機溶剤回収装置。
【0015】
〔2〕 内室下部に底部ガス排出口を備えてなり、前記内室底部に滞留する有機溶剤含有ガスを被処理ガスに返送する〔1〕に記載の有機溶剤回収装置。
【0016】
〔3〕 前記〔2〕に記載の有機溶剤回収装置を用い、有機溶剤含有被処理ガスを前記吸着素子に通過させることによって、前記被処理ガス中に含まれる有機溶剤を前記吸着素子に吸着させると共に、前記吸着素子を通過して有機溶剤が除去された清浄化ガスを系外に排出させる吸着・清浄化工程、並びに前記吸着素子に吸着している有機溶剤を水蒸気で脱着して有機溶剤を回収する脱着・回収工程を含む有機溶剤回収方法において、脱着によって再生された後の吸着素子に、有機溶剤含有被処理ガスを供給し、前記吸着素子の下層部以外を通過して有機溶剤が除去された清浄化ガスを清浄化ガス排出口から排出すると共に、前記吸着素子の下層部を通過した有機溶剤含有ガスを被処理ガスに還流させることを特徴とする有機溶剤回収方法。
【0017】
〔4〕 吸着・清浄化工程の初期に前記吸着素子の下層部を通過した有機溶剤含有ガスを被処理ガスへ還流させる〔3〕に記載の有機溶剤回収方法。
【0018】
〔5〕 吸着工程の全期間にわたり前記吸着素子の下層部を通過した有機溶剤含有ガスを被処理ガスに還流させる〔3〕に記載の有機溶剤回収方法。
【0019】
〔6〕 前記被処理ガスに還流させる有機溶剤含有ガスの割合が、吸着缶へ供給する被処理ガスの供給量に対して0.1〜10vol%である〔3〕乃至〔5〕の何れかに記載の有機溶剤回収方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の有機溶剤回収装置の一例を示す概略構成図である。
【0022】
図2は、2個の吸着缶が並設され、各吸着缶で吸着と脱着とを交互に行う本発明の有機溶剤回収装置の例を示す概略構成図である。実用上は、通常、2個以上の複数の吸着缶を併設し、各々の吸着缶の運転時間を互いにずらして交互に吸着と脱着とを行うサイクルを連続的に行うことが望ましい。
【0023】
図1、図2において、1及び2は吸着素子を内部に配置した吸着缶で、天板、底板で上下を閉塞した略円筒状の形状をしている。3〜10、13及び14は弁(バルブ)、11は凝縮装置、12は吸着素子である。
【0024】
吸着缶1、2内には円筒状の吸着素子12が、吸着缶1、2の内壁から一定の距離を隔てて垂直に配置されている。これにより、吸着素子12の外側に外室15と、吸着素子12の内側に内室16が形成されている。
【0025】
吸着缶1、2には、有機溶剤含有被処理ガス(原ガス)を外室15内に供給するための被処理ガス供給口17と、前記被処理ガス供給口17へ供給する有機溶剤含有被処理ガスの流量をコントロールする弁3、4と、吸着素子12を通過して内室16へ移動した処理済の清浄化ガスを系外へ排出する清浄化ガス排出口18と、前記清浄化ガス排出口18から排出する清浄化ガスの排出量をコントロールする弁5、6と、内室16の底部に設けた供給口であって吸着素子12に吸着している有機溶剤を脱着する水蒸気S1を供給する水蒸気供給口19と、前記水蒸気供給口19へ水蒸気の流入量をコントロールする弁7、8と、水蒸気によって脱着された有機溶剤を高濃度に含む水蒸気を排出するために外室15の下部に設けた水蒸気排出口20と、前記水蒸気排出口20からの有機溶剤含有水蒸気の排出量をコントロールする弁10と、内室16の底部に滞留する有機溶剤含有ガス(有機溶剤蒸気、水蒸気、被処理ガス等を含むガス)及びドレンを排出する底部排出口21と、及び前記高濃度の有機溶剤含有ガス及びドレンの排出をコントロールする弁13、14が設けられている。
【0026】
前記弁13、14の下流側には内室16の底部から排出される有機溶剤含有ガス及びドレンを受入れて液体とガスとを分離する気液分離器23が配置されている。さらに前記気液分離器23で分離されるガスを被処理ガス供給側へ還流させる還流路22が設けられている。また、気液分離器23から排出される液体は後述する凝縮装置11へ移送され、ここで有機溶剤が回収される。
【0027】
前記水蒸気供給口19は、吸着素子12の内側の内室16に水蒸気を供給し、吸着素子12の外側の外室15に向かって水蒸気が吸着素子12を通過するように設けることが、水蒸気の温度低下を防止する上で好ましい。
【0028】
前記被処理ガス供給口17は、水蒸気の流れる方向と反対に、被処理ガスが外室15に供給できるように、且つ吸着素子12の中心に向かって被処理ガスが吸着素子12を通過できるように設けることがACFの脱着効率を向上させる上で好ましい。
【0029】
前記吸着缶1、2の外室15には、弁10を介して凝縮装置11が連結されている。前記凝縮装置11は、外室15から排出される有機溶剤含有水蒸気を有機溶剤と水とに凝縮分離して有機溶剤を回収する。
【0030】
吸着缶1、2の円盤状底板100には、外室15の下端部が下方向に突出した環状の外室ドレン溝102と、内室16の下部に下方行に突出した内室ドレン溝104が形成されている。外室15、及び内室16に発生するドレンは前記外室ドレン溝102、内室ドレン溝104に流れ落ち、外室ドレン106、内室ドレン108として各溝に貯留される。このため、吸着素子12はドレン106、108を含浸して湿潤状態になることを避けることができる。ドレン溝の形状、寸法等は運転条件、ドレン量等を勘案して適宜決定する。
【0031】
外室ドレン排出口110はバルブ112、113を介して気液分離器23に連結されている。また、内室ドレン排出口114、115はバルブ116、117を介して気液分離器23に連結されている。
【0032】
本発明の有機溶剤回収装置の吸着素子に使用されるACFは、アクリロニトリル繊維、レーヨン、フェノール系繊維、ピッチ系繊維等を原料として製造されるACFが使用できる。吸着素子に使用されるACFは、ACF織物、マット等を通気性支持体に巻き付けてACF層を形成するか、又は層厚を大きくすることにより自己支持性を付与し、円筒状に形成したものが用いられる。
【0033】
上記本発明の有機溶剤回収装置を用いる有機溶剤回収方法を、本発明を単純化して説明するために、吸着缶が一個の場合を例にして図1参照して説明する。
【0034】
有機溶剤含有ガス(被処理ガス)G1は、弁3を経て、被処理ガス供給口17から吸着缶1の外室15内に供給される。このとき脱着用水蒸気供給口19に連結された弁7、及び有機溶剤含有水蒸気排出口20に連結された弁10は閉とされている。
【0035】
外室15に供給された被処理ガスG1は吸着素子12の層を通過し、この際に被処理ガスG1に含有される有機溶剤は吸着素子12により吸着除去される。吸着素子12を通過した吸着済ガスのうち、内室16の上、中部に存在する清浄化ガスG2は清浄化ガス排出口18、弁5を順次通って系外に排出される。
【0036】
一方、被処理ガスG1の供給圧力によって、吸着素子12の下層部に含浸保持されている水蒸気・ドレンと共に有機溶剤も押し出され、これらは内室16の下部に移動する。この残留水蒸気やドレンには、多量の有機溶剤が溶解しており、しかも温度が高いから、そのままの状態が続けば、徐々に有機溶剤が気化し、高濃度の有機溶剤を含むガスが内室16の下部に滞留することになるが、この吸着素子12に溜まる有機溶剤・水蒸気及びドレンは吸着工程の時間経過と共に徐々に減少する。
【0037】
吸着缶1内に残留する水蒸気及びドレンの内、ドレンは、吸着缶1の底板100に形成されたドレン溝102、104に迅速に流下し、吸着素子12と迅速に分離される。このため、吸着素子12がドレンで湿潤状態になることが防止される。
【0038】
上記ドレン溝102、104内に溜ったドレン106、108は、吸着工程開始時に一時的に缶内圧力が原ガスによって高められたとき、一気に外室ドレン排出口110、内室ドレン排出口114から排出される。また、吸着素子の下層部に残留した水蒸気は、バルブ13が開とされて、吸着缶1の底部排出口21から排出された後、気液分離器23に送られ、ここで液体とガスに分離される。分離された液体は凝縮装置11へ移送されてここで有機溶剤が回収されると共に、有機溶剤を含有するガスは還流路22を通じて被処理ガス供給側へ還流ガスG3として還流され、被処理ガスと合流して再度吸着缶1内で処理されることを繰返す。
【0039】
気液分離器23は、冷却機構が備えられていることが好ましく、これにより排出ガス中の水分を効率よく除去できると共に、ガス温度を低くすることにより還流ガス中の有機溶剤の吸着素子への吸着効率を高められる。
【0040】
被処理ガス供給側へ還流される還流ガスG3の量(底部排出口21から排出されるガス量)は、供給される被処理ガスG1量の0.1〜10vol%が好ましく、特に0.5〜5vol%が望ましい。
【0041】
脱着工程終了直後の吸着素子12の下層は、前述の通り脱着に使用した水蒸気により湿潤状態にある。このため、吸着素子12の下層を通過した被処理ガス中の有機溶剤の濃度は、吸着工程初期においては比較的高い。しかし、時間の経過と共に吸着素子12が乾燥し、これに伴い有機溶剤濃度が減少する。
【0042】
吸着素子12が完全に乾燥したときには、清浄化ガス中に有機溶剤の混入を生じる吸着阻害は無く、もはや還流の必要はないので、この時点で還流路22に介装された弁13を閉として、内室16内のガスの全量を清浄化ガスとして清浄化ガス排出口18から系外に排出することができる。
【0043】
しかしながら、被処理ガスへ還流する期間は、吸着工程初期における比較的高濃度の有機溶剤が内室16底部に滞留している期間だけではなく、吸着工程の全期間であってもよく、任意な期間を適宜選択することができる。なお、被処理ガスを供給する吸着工程時に、還流路22の弁13を開とし、吸着素子12の層を通過した処理済ガスのうち、内室16の下部のガスの一定量を常時還流系に戻すプログラムで運転する場合は、装置の簡素化、運転の簡素化を図れ、好ましいものである。
【0044】
還流路22の弁13を閉じるタイミング及び系外放出ガスと還流ガスG3との比は、装置運転の実績データにより適宜決定する。しかし、清浄化ガス排出口18に濃度センサーを設置し、経過状況を監視しながら、自動的又は手動によって弁13の開閉を制御することもできる。
【0045】
上記還流路を設けることにより、吸着素子の乾燥機構又は乾燥工程を設けなくても清浄化ガスに有機溶剤の混入を確実に防止しながら溶剤回収を行うことが出来る。しかしながら、本発明は乾燥機構を必ずしも排除するものではなく、乾燥工程を併用することも可能である。
【0046】
例えば、脱着工程の終了後、次の吸着工程の前に十分清浄な空気を吸着素子に通風することにより、脱着水蒸気によって湿った吸着素子を乾燥、冷却しておくことも好適な例として推奨される。すなわち、脱着後乾燥用ガスを供給する際、前記吸着素子12を通過した後の被処理ガスと同様に、吸着素子12の上、中層を通過したガスは系外に、下層を通過したガスは弁13を開いて還流路22に戻し、吸着素子12が乾燥するまで還流を続けさせることもできる。
【0047】
吸着工程終了後、被処理ガス供給弁3を閉とすると共に、水蒸気供給弁7を開として脱着用水蒸気を吸着素子12に通過させることにより、吸着素子12に吸着固定されている有機溶剤を脱着させる。次いで、脱着した有機溶剤を含有する水蒸気を水蒸気排出口20から排出させ、弁10を通して凝縮装置11に供給し、ここで水と有機溶剤とに分離して有機溶剤を回収する。
【0048】
上記の操作は、図1に示す吸着缶が一個の場合の有機溶剤回収装置について説明しているが、吸着缶を2個以上用いる有機溶剤回収装置においても、同様の操作が適用できる。
【0049】
例えば、図2に示す2個(2ユニット)の吸着缶1、2を用いる有機溶剤回収装置の場合においては、一方の吸着缶1側の弁3、弁5、弁13を開とし、弁7を閉にしておけば、有機溶剤を含むガスは還流路22を流れ、再度、吸着缶1に返送されて吸着が行われ、浄化された清浄化ガスは系外へ排出される。
【0050】
上記期間、吸着缶2側において、弁8、弁10を開とし、弁4、弁6、弁14を閉にすれば、水蒸気S1による吸着素子の脱着が行われ、脱着ガスは弁12を通って凝縮装置11に送られ、ここで凝縮されて有機溶剤が回収される。有機溶剤が回収された後の水蒸気S2は系外に排出される。その後、所定時間が経過すると前記各弁の開閉をすべて逆転することにより、吸着缶1で脱着が行われ、且つ吸着缶2で吸着が行われる。
【0051】
【実施例】
〔実施例1〕
図1に示す1個の吸着缶を有する有機溶剤回収装置を用いて下記の通り被処理ガスを処理した。
【0052】
容積0.35m3 の略円筒状の気密缶内に、フェノール系繊維から誘導されたACF4kgを通気性支持体に巻き付けて円筒状に成形した吸着素子を軸方向を垂直にして取付けて吸着缶を形成した。
【0053】
前記吸着缶の底板は、底板の周縁部に沿って形成した下方に突出した環状の外室ドレン溝(幅5cm、深さ5cm)と、前記外室ドレン溝の内側において形成した下方に膨出する半球状の内室ドレン溝(直径15cm、深さ10cm)を有していた。
【0054】
有機溶剤を含む被処理ガス(原ガス)として塩化メチレンを約5,000ppm含有する空気を5Nm3 /minの流速で吸着缶1に送った。吸着缶1上部の清浄化ガス排出口からの塩化メチレン排出濃度は吸着開始後より徐々に上がり始め、ピーク時には10ppmとなったが、その後、減りつづけ吸着開始8分後には測定装置の測定下限以下になったので測定することができなかった。
【0055】
また、内室下部の処理済ガスを弁13から排出して原ガスに還流する還流ガスの量は原ガス流量の0.9%とした。この還流ガスの塩化メチレン濃度は10,000ppmであった。
【0056】
原ガスを5Nm3 /minの流速で8分間吸着缶1に供給し吸着処理を行った後、吸着缶1の原ガス系の弁3を閉とし、脱着系の弁7を開として140℃の水蒸気を6分間、蒸気量0.52kg/ACFkgで供給し、吸着素子に吸着されている有機溶剤を脱着し、凝縮装置で有機溶剤を凝縮回収した。
【0057】
脱着工程の後半で、弁112、116を開とし、各ドレン溝102、104に溜ったドレンを気液分離器23に送った。各ドレン溝に溜ったドレンの合計は
lであった。
【0058】
以上の結果、塩化メチレンの回収率は99.8%であった。
【0059】
〔比較例1〕
上記実施例と同様の装置を用いて、実施例と同様に操作した。但し、吸着缶1の底板は平板で形成し、ドレン溝を有しないものであった。さらに、実施例1の操作と異なり、脱着工程の後半で、弁112、116を開とし、各ドレン溝102、104に溜ったドレンを気液分離器23に送る操作をしなかった。
【0060】
比較例の場合、吸着缶上部の清浄化ガス排出口からの塩化メチレン排出濃度は吸着開始後より徐々に上がり始め、ピーク時には250ppmとなったが、その後減りつづけた。しかし、吸着開始8分後でも85ppmもの溶剤含有ガスが排出された。
【0061】
塩化メチレンの回収率は98.0%であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明においては、吸着缶の底板にドレン溝を形成し、吸着素子の脱着、乾燥工程において吸着素子の下部に溜るドレンをドレン溝に導くようにしたので、吸着素子がドレンを吸収して湿潤状態に保たれることが回避できる。このため、吸着工程において、清浄化ガス中に有機溶剤が混入して清浄化ガス中の有機溶剤濃度を高めることを有効に防止できる。さらに、吸着素子の乾燥に有する時間、蒸気量等を減少でき、運転コストの減少を図れる。
【0063】
また、還流路を設けて還流ガスを被処理ガスに返送するようにする場合は、清浄化ガス中の有機溶剤濃度を更に低下させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一構成例を示す概略フロー図である。
【図2】本発明の他の構成例を示す概略フロー図である。
【符号の説明】
1、2 吸着缶
3〜10、13、14 弁
11 凝縮装置
12 吸着素子
15 外室
16 内室
17 被処理ガス供給口
18 清浄化ガス排出口
19 水蒸気供給口
20 水蒸気排出口
21 底部排出口
22 還流路
23 気液分離器
100 円盤状底板
102 外室ドレン溝
104 内室ドレン溝
106 外室ドレン
108 内室ドレン
110 外室ドレン排出口
112、113 バルブ
114、115 内室ドレン排出口
116、117 バルブ
Claims (6)
- 天板及び底板で上下を閉塞した吸着缶内に筒状に成形された活性炭素繊維吸着素子を前記吸着缶の内壁から隔てて垂直に配置させることにより、前記吸着素子の外側に外室と、前記吸着素子の内側に内室を形成すると共に、前記吸着缶に有機溶剤含有被処理ガスを前記外室に供給する被処理ガス供給口と、前記内室の頂部から清浄化ガスを排出する清浄化ガス排出口と、前記内室の下部から脱着用水蒸気を供給する水蒸気供給口と、脱着された有機溶剤を水蒸気と共に前記外室から排出する水蒸気排出口とを有する有機溶剤回収装置において、前記吸着缶の底板が前記外室の下方向に突出した環状の外室ドレン溝及び外室ドレン排出口と前記内室下方向に突出した内室ドレン溝及び内室ドレン排出口とを備えてなり、上記各ドレン溝にドレンを流下させることにより吸着素子がドレンと接触して湿潤状態になることを回避するように構成したことを特徴とする有機溶剤回収装置。
- 内室下部に底部ガス排出口を備えてなり、前記内室底部に滞留する有機溶剤含有ガスを被処理ガスに返送する請求項1に記載の有機溶剤回収装置。
- 請求項2に記載の有機溶剤回収装置を用い、有機溶剤含有被処理ガスを前記吸着素子に通過させることによって、前記被処理ガス中に含まれる有機溶剤を前記吸着素子に吸着させると共に、前記吸着素子を通過して有機溶剤が除去された清浄化ガスを系外に排出させる吸着・清浄化工程、並びに前記吸着素子に吸着している有機溶剤を水蒸気で脱着して有機溶剤を回収する脱着・回収工程を含む有機溶剤回収方法において、脱着によって再生された後の吸着素子に、有機溶剤含有被処理ガスを供給し、前記吸着素子の下層部以外を通過して有機溶剤が除去された清浄化ガスを清浄化ガス排出口から排出すると共に、前記吸着素子の下層部を通過した有機溶剤含有ガスを被処理ガスに還流させることを特徴とする有機溶剤回収方法。
- 吸着・清浄化工程の初期に前記吸着素子の下層部を通過した有機溶剤含有ガスを被処理ガスへ還流させる請求項3に記載の有機溶剤回収方法。
- 吸着工程の全期間にわたり前記吸着素子の下層部を通過した有機溶剤含有ガスを被処理ガスに還流させる請求項3に記載の有機溶剤回収方法。
- 前記被処理ガスに還流させる有機溶剤含有ガスの割合が、吸着缶へ供給する被処理ガスの供給量に対して0.1〜10vol%である請求項3乃至5の何れかに記載の有機溶剤回収方法。
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