以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本発明の一実施例である超音波位置合わせ装置は、計測部として機能する超音波探触子と被検体である足部との相対的な位置関係を、適正位置に位置合わせするものであって、例えば、超音波骨密度計測器(以下、単に「超音波計測器」ともいう。)に装備されている。超音波計測器は、超音波の発信から受信までに要した時間(以下「透過伝播時間」という。)Tを計測して、この透過伝播時間Tの計測値を利用して、踵骨の骨密度を計測する機器である。
図1は、本発明の一実施例である超音波位置合わせ装置を装備した超音波計測器1に関する基本構成を示す概略平面図である。図1に示すように、超音波計測器1は、被検体である足部100が設置される平面視略矩形状の足設置台2を備えており、この足設置台2には、被検体である足部100の足軸方向(長手方向)が足設置台2の縦方向に向けられた姿勢で、当該足部100が設置される。
踵当て板3は、踵部101の後端面を当接させて位置決めするものであって、足設置台2上に立設されている。この踵当て板3の両側には、かかる踵当て板3に当接される踵部101内にある踵骨101aに向けて超音波を発信する超音波探触子(以下「プローブ」ともいう。)4,5がそれぞれ配設されている。
一対のプローブ4,5は、上記した透過伝播時間Tを計測する場合に、その一方のプローブ(以下「固定プローブ」ともいう。)4から発信されて足部100内の踵骨101aを透過した超音波パルスを、その他方のプローブ(以下「可動プローブ」ともいう。)5により受信するものであり、この一対のプローブ4,5には、超音波パルスの発信及び受信を行うことが可能な単一の超音波振動素子P1,P2がそれぞれ内蔵されている。この超音波振動素子P1,P2は、後述するパルス発生回路23(図3参照)からの電気的パルスが入力されると超音波を発信し、逆に、超音波を受信するとその超音波を電気的信号(以下「超音波信号」という。)に変換して後述するアンプ回路24(図3参照)へ出力するものである。
固定プローブ4及び可動プローブ5は、支持ホルダ(図示せず)を介して、足設置台2上に対向して配置されている。これらの各プローブ4,5は、互いに対向している面部が超音波振動素子P1,P2によって振動される振動面とされており、この各プローブ4,5の振動面には、ポリウレタンシートなどの柔軟で且つ超音波透過性に優れた合成樹脂製の薄膜で形成される接触カバー6,6がそれぞれ取着されている。
接触カバー6,6は、各プローブ4,5と足部100との間にその足部100に接触して介在されるものであり、この各接触カバー6,6と各プローブ4,5の振動面とにより囲まれた内空間には、水(水と超音波の伝播速度がほぼ等価となるゲル状物などの流動性物質を含む。)などの音響整合材(図示せず)が充填されている。よって、一対のプローブ4,5は、足設置台2に設置される足部100の踵部101を、音響整合材が充填された接触カバー6,6を介して挟み込むことができる。
しかも、一対のプローブ4,5間で足部100を位置合わせする場合、足部100の移動変位に応じて各接触カバー6,6に充填されている音響整合材が流動して各接触カバー6,6が変形されるので、足部100を各プローブ4,5間で無理なく移動させて位置合わせすることができる。
また、可動プローブ5は、支持ホルダによって固定プローブ4との対向方向へ移動可能に保持されており、更に、付勢手段としての弾性体7の弾性復元力によって、固定プローブ4の配設側(図1左側)へ向けて付勢されている。よって、接触カバー6,6を足部100に接触させたまま状態を維持しながら、足部100の大きさに応じて固定プローブ4及び可動プローブ5の間の距離であるプローブ間距離(探触子間距離)Lを変更できるのである。
また、可動プローブ5には把手レバー(図示せず)が取着されており、この把手レバーを把持して可動プローブ5を弾性体7による付勢方向とは反対方向へ移動させて、一対のプローブ4,5間のプローブ間距離Lを拡幅することができ、一対のプローブ4,5間に足部100の踵部101を無理なく挟み込ませることができる。
足設置台2上には、踵部101が設置される箇所付近を曲率中心としている略円弧状の軌道溝8が穿設されており、この軌道溝8には、この軌道溝8に沿って足設置台2の略横方向へ移動可能な移動ガイド9が遊嵌されている。また、軌道溝8には予め6箇所の固定点R1〜R3,L1〜L3が設定されており、足設置台2の内部には移動ガイド9を各固定点R1〜R3,L1〜L3で固定するための位置固定機構(図示せず)が配設されている。なお、図1では、移動ガイドは固定点R2に固定されており、その他の各固定点R1,R3,L1〜L3を2点鎖線で図示している。
この位置固定機構による移動ガイド9の固定点R1〜R3,L1〜L3は、軌道溝8に沿って合計6箇所設けられており、そのうち3箇所が足設置台2の横方向略中央よりも左側に略等間隔で、残る3箇所が足設置台2の横方向略中央よりも右側に略等間隔で、それぞれ設けられている。また、足設置台2内部であって軌道溝8上にある移動ガイド9の各固定点R1〜R3,L1〜L3には、移動ガイド9の存否を検出するための足先位置センサ20(図3参照)がそれぞれ配設されている。
移動ガイド9には軸状のアーム部材10が連結されており、このアーム部材10は、軌道溝8の曲率中心側、つまり、一対のプローブ4,5間の間隙部へ向けて延設されている。アーム部材10は、その先端部に取着される足先係合ピン11を移動ガイド9に連結するための部材である。足先係合ピン11は、足先(足先部)102にある第一趾(親指)102aと第二趾(人差指)102bとの間に挟入されることで足先102と係合されるものであり、移動ガイド9の固定位置を固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれかに変更させることで、この足先係合ピン11と係合される足先102の向きを変更することができる。
図2は、図1に示している超音波計測器1の右側面図である。図2に示すように、足設置台2の後端部上面には、上記した踵当て板3が立設されており、足設置台2の前端部上面には、上記した移動ガイド9が立設されている。移動ガイド9からはアーム部材10が踵当て板3へ向けて延設されており、このアーム部材10の先端部には足先係合ピン11が足設置台2の上面から立設するような姿勢で取着されている。もっとも、足先係合ピン11の下端面は、足設置台2の上端面に摺動可能に当接されており、かかる足先係合ピン11は、足設置台2上を移動ガイド9とともに移動自在とされている。
図3は、超音波位置合わせ装置を備えた超音波計測器1の電気的構成を説明するためのブロック図である。図3に示すように、超音波計測器1は、主に、上記した一対の固定プローブ4及び可動プローブ5にそれぞれ内蔵される超音波振動素子P1,P2と、合計6個の足先位置センサ20との他に、第1切換スイッチ21と、第2切換スイッチ22と、パルス発生回路23と、アンプ回路24と、フィルタ回路25と、プローブ間センサ26と、ディスプレイ27と、入力装置28と、メモリ29と、演算処理回路30とを備えている。
ここで、図3に示すように、被検体である足部100の踵部101は、固定プローブ4の超音波振動素子P1と可動プローブ5の超音波振動素子P2との間に挟み込まれる。もっとも、図3では図示を省略するが、各超音波振動素子P1,P2と踵部101との間には、実際には上記した接触カバー6,6及び音響整合材が介装される。
また、固定プローブ4の超音波振動素子P1から足部100内の踵骨101aまでの区間(以下「第1区間」という。)に関する距離を第1伝播距離L1とし、可動プローブ5の超音波振動素子P2から足部100内の踵骨101aまでの区間(以下「第2区間」という。)に関する距離を第2伝播距離L2とし、踵骨101aの幅を踵骨幅Wとし、各プローブ4,5の超音波振動素子P1,P2間の距離をプローブ間距離Lとする。
固定プローブ4の超音波振動素子P1は、第1切換スイッチ21及び第2切換スイッチ22の1番ピン(端子)とそれぞれ接続されており、また、可動プローブ5の超音波振動素子P2は、第1切換スイッチ21及び第2切換スイッチ22の2番ピンとそれぞれ接続されている。そして、第1切換スイッチ21の3番ピンはパルス発生回路23の出力端と接続されており、第2切換スイッチ22の3番ピンはアンプ回路24の入力端と接続されている。
パルス発生回路23は、第1切換スイッチ21により選択されるプローブ4又はプローブ5の超音波振動素子P1又は超音波振動素子P2が発信する超音波パルスを生成するため、所定の電気的パルス信号を生成して出力するための回路であり、このパルス発生回路23の入力端は演算処理回路30と接続されている。このパルス発生回路23は、演算処理回路30からタイミング信号が入力されると、それを受けて電気的パルス信号を出力するように構成されている。
アンプ回路24は、第2切換スイッチ22により選択されるプローブ4又はプローブ5の超音波振動素子P1又は超音波振動素子P2から出力される超音波信号を増幅するための回路であり、その出力端がフィルタ回路25の入力端に接続されている。フィルタ回路25は、アンプ回路24により増幅された超音波信号から、演算処理回路30による処理に適した周波数帯域にある超音波信号のみを出力するものであり、その出力端が演算処理回路30と接続されている。
プローブ間センサ26は、固定プローブ4の超音波振動素子P1と可動プローブ5の超音波振動素子P2との間の距離であるプローブ間距離Lを測長するためのセンサであって、演算処理回路30と接続されている。よって、プローブ間距離Lが変動する場合には、このプローブ間センサ26によって、逐次最新のプローブ間距離Lを計測してメモリ29に記憶格納することができるのである。
メモリ29は、演算処理回路30による各種処理で用いられる各種パラメータや、各種処理で用いられる下記する演算式(1)〜(3)や、各種処理による計測結果や演算結果や、これらの各種処理の制御プログラムなどを記憶して格納するための記憶装置である。
このメモリ29には、長期的に各種データを記憶保持するための機能が付与されており、被検者を特定するための識別情報として登録されるID番号と、これに対応つけて、同一被検者の同一足部100について、過去の骨密度計測処理S4で使用された移動ガイド9の位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを示すコード(以下「過去固定点コード」という。)と、第1伝播距離(以下「過去の第1伝播距離」という。)L1’と、踵骨幅(以下「過去の踵骨幅」という。)W’とがそれぞれ記憶される。
また、メモリ29には、骨密度計測処理S4で得られる各種データを記憶管理するためのデータベースエリアが設けられており、このデータベースエリアには、被検者を特定するID番号に対応つけて、同一被検者の同一足部100に対して過去に実行された骨密度計測処理S4で計測及び演算された骨密度計測データや、後述する初期設定フレーム40(図4参照)を用いて設定される性別や、計測時における調整用スペーサの使用の有無や、氏名や、年齢などが記憶されている。
なお、移動ガイド9の固定点R1〜R3,L1〜L3のうち、固定点R1には「R1」が、固定点R2には「R2」が、固定点R3には「R3」が、固定点L1には「L1」が、固定点L2には「L2」が、固定点L3には「L3」が、コードとしてそれぞれ付与されている。
また、このメモリ29は、短期的に各種データを一時的に記憶保持するためのワークエリアも有しており、このワークエリアには、後述する初期設定フレーム40(図4参照)のID入力欄47に入力されたID番号に対応つけて、移動ガイド9の標準的な固定位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを表すコード(以下「標準固定点コード」という。)と、プローブ間距離Lと、第1区間に関する超音波の伝播速度(以下「第1伝播速度」という。)V1と、第2区間に関する超音波の伝播速度(以下「第2伝播速度」という。)V2と、性別及び年齢に基づいて決定される標準的な踵骨幅の範囲を表す標準踵骨幅範囲Wsとが、それぞれ記憶されている。ここで、伝播速度V1,V2には、例えば、皮下組織中での超音波の伝播速度を超音波整合材(水)中での超音波の伝播速度とほぼ等価と仮定して、水中での超音波の伝播速度を計測しておき、これを採用することができる。
なお、本実施例では、標準固定点コードとして、固定点R2を示す「R2」及び固定点L2を表す「L2」が、メモリ29に記憶されている。
ディスプレイ27は、その画面上に後述する各種の情報画像を表示するためのLCD又はCRTなどの表示器であって、演算処理回路30と接続されている。なお、本実施例で用いられるディスプレイ27は、必ずしも超音波計測器1に装備されるものに限定されるものではなく、例えば、かかる超音波計測器1の演算処理回路30とパーソナルコンピュータ(PC)等の電子計算機とを通信ケーブル等を介して通信可能に接続して、その電子計算機に装備されている表示器を、本実施例の超音波計測器1のディスプレイ27として利用するようにしても良い。
入力装置28は、ディスプレイ27に表示される情報画像内に所定の入力操作を行うためのデバイスであり、ディスプレイ27の画面上に表示されるマウスポインタを操作するためのマウスや、トラックボールや、マウスパッドなどのポインティングデバイスと、情報画像内のデータボックス内に必要な文字データを入力するためのキーボードなどの文字入力装置とを備えている。
演算処理回路30は、超音波計測器1の動作を制御するための演算機能を備えている制御装置であって、上記した第1切換スイッチ21、第2切換スイッチ22、パルス発生回路23、フィルタ回路25、プローブ間センサ26、合計6個ある足先位置センサ20、ディスプレイ27、入力装置28、及び、メモリ29が接続されている。
また、演算処理回路30は、主に、メモリ29に記憶されている制御プログラムを実行することによって、後述する初期設定処理S1と、計測準備処理S2と、計測部位検知処理S3と、骨密度計測処理S4とを行うものであるが、ディスプレイ27の画面上の表示内容を制御する表示制御手段として機能するものでもある。
なお、ディスプレイ27の表示内容を制御する表示制御手段については、必ずしも、超音波計測器1の演算処理回路30である必要はなく、例えば、超音波計測器1の演算処理回路30とPCなどの電子計算機とを通信ケーブル等を介して通信可能に接続して、かかる電子計算機を表示制御手段として用いても良い。
演算処理回路30は、超音波計測器1の各種動作タイミングを制御する機能を備えており、第1切換スイッチ21及び第2切換スイッチ22に対してその接続先の切り換えを指令するための切換信号を出力し、パルス発生回路23に対して電気的パルスの発生を指令するためのタイミング信号を出力し、フィルタ回路25に対して超音波信号の通過帯域を調節するための調節信号を出力する回路でもある。
次に、図4から図6を参照して、演算処理回路30によってディスプレイ27の画面上に表示される情報画像について説明する。なお、下記する各フレーム40,60,80に表示される見出しや項目には、ポインティングデバイスによりクリックされると、それに関連付けられている指令を実行する機能や、入力された数値データ等をメモリ29へ書き込む機能などが付与されている。
図4(a)は、ディスプレイ27の画面上に表示される初期設定フレーム40を示した図であり、図4(b)は、被検者のID番号がメモリ29に未登録の場合における初期設定フレーム40の表示例を示す部分図であり、図4(c)は、被検者のID番号がメモリ29に既登録の場合における初期設定フレーム40の表示例を示す部分図である。なお、図4(b)及び図4(c)では、点灯状態にある固定点指示ランプ51bにハッチングを付している。
図4に示している、初期設定フレーム40は、初期設定処理S1の実行時にディスプレイ27の画面上に表示される情報画像である。
図4(a)に示すように、初期設定フレーム40には、その左側部分に、男性又は女性を選択するためのラジオボタンである性別ボタン41と、計測時に調整用スペーサを使用するか否かを選択するためのチェックボックス42と、被検者の名前を入力するためのテキストボックスである姓名入力欄43と、被検者の年齢を入力するためのテキストボックスである年齢入力欄44と、年齢入力欄44へ数値を入力するための「0」〜「9」の文字が付された数字ボタン45と、年齢入力欄44内の入力数値を消去するための「クリア」の文字が付された消去ボタン46とが設けられている。
また、初期設定フレーム40の右上部分には、被検者を識別するためのID番号を入力するためのテキストボックスであるID入力欄47と、そのID番号用のテキストボックスに入力されたID番号がメモリ29に既に記憶されているか否かの情報が表示されるID登録情報欄48と、ID入力欄47にID番号を再入力する際にクリックされる「再入力」の文字が付された再入力ボタン49と、ID入力欄47に入力されたID番号を確定する際にクリックされる「ID入力完了」の文字が付された確定ボタン50と、が表示されている。
そして、初期設定フレーム40の右下部分には「爪先ガイド」の文字が付された初期固定点指示欄51が設けられており、この初期固定点指示欄51には、移動ガイド9を固定すべき位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを文字情報により指示する文字情報欄51aと、移動ガイド9を固定すべき位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを指示するための「R1」、「R2」、「R3」、「L3」、「L2」、「L1」の文字が付された合計6個の矩形状の固定点指示ランプ51bとが設けられている。
なお、これらの固定点指示ランプ51bにそれぞれ付される「R1」、「R2」、「R3」、「L3」、「L2」、「L1」の文字(表示)は、上記した移動ガイド9の固定点R1〜R3,L1〜L3を示すコードと対応つけられている。また、本実施例では、初期設定フレーム40に設けられる固定点指示ランプ51bの点灯色(表示色)は緑色とされている。
このように構成された初期設定フレーム40によれば、ID番号がID入力欄47に入力されて確定ボタン50がクリックされると、演算処理回路30によって、このID入力欄47に入力されたID番号がメモリ29に記憶されているか否かが判断される。そして、かかるID番号がメモリ29に記憶されておらず未登録の場合は、図4(b)に示す状態の初期設定フレーム40がディスプレイ27の画面上に表示される。一方、ID入力欄47に入力されたID番号がメモリ29に記憶されていて既登録と判断される場合は、図4(c)に示す状態の初期設定フレーム40がディスプレイ27の画面上に表示される。
図4(b)に示すように、ID番号が未登録の場合は、初期設定フレーム40のID登録情報欄48には「新規登録者です。」の表示がなされ、利用者(操作者及び被検者を含む。)に対して、被検者のID番号が未登録であることが教示される。しかも、このとき初期設定フレーム40の初期固定点指示欄51の文字情報欄51aには「データがありません。一旦R2又はL2にセットして下さい。」の表示がなされ、メモリ29に記憶される標準固定点コードに対応する固定点指示ランプ51bが点灯される。
ここで、図4(b)の場合、メモリ29に記憶されている標準固定点コードが固定点R2及び固定点L2を表す「R2」及び「L2」であるので、「R2」及び「L2」の文字が付された固定点指示ランプ51bがそれぞれ点灯される。この結果、利用者に対して、移動ガイド9を固定点R2にセットして被検体を右足部の踵部101にすべきこと、又は、移動ガイド9を固定点L2にセットして被検体を左足部の踵部101にすべきことを教示できる。
図4(c)に示すように、ID番号が既登録の場合は、初期設定フレーム40のID登録情報欄48には「検査実績があります。」の表示がなされ、利用者に対して、被検者のID番号が既登録であることが教示される。しかも、このとき初期設定フレーム40の初期固定点指示欄51の文字情報欄51aには「前回の位置です。同じ位置にガイドを移動してください。」の表示がなされ、ID番号に対応つけてメモリ29に記憶される過去固定点コードに対応する固定点指示ランプ51bが点灯される。
ここで、図4(c)の場合、ID番号に対応つけてメモリ29に記憶されている過去固定点コードが固定点R2を表す「R2」であるので、「R2」の文字が付された固定点指示ランプ51bが点灯される。この結果、利用者に対して、移動ガイド9を固定点R2にセットして、被検体を右足部の踵部101にすべきことを教示できる。
なお、メモリ29に記憶されている過去固定点コードが「R1」なら「R1」の固定点指示ランプ51bが、「R3」なら「R3」の固定点指示ランプ51bが、「L1」なら「L1」の固定点指示ランプ51bが、「L2」なら「L2」の固定点指示ランプ51bが、「L3」なら「L3」の固定点指示ランプ51bが、初期設定フレーム40上で点灯されて、その他の固定点指示ランプ51bについては消灯されたままとなる。
また、上記した初期設定フレーム40の左下部分には、「計測準備」の文字が付されたボタンである計測準備ボタン52が設けられている。この計測準備ボタン52は、初期設定フレーム40を計測準備フレーム60へ切り換える場合にクリックされるボタンであり、ID入力欄47にID番号が入力されて確定ボタン50がクリックされて、ID登録情報欄48および初期固定点指示欄51に図4(b)又は図4(c)に例示する情報が表示された場合にクリック可能な状態となる。
図5(a)は、ディスプレイ27の画面上に表示される計測準備フレーム60を示した図であり、図5(b)は、被検者のID番号がメモリ29に未登録の場合における計測準備フレーム60の表示例を示す部分図であり、図5(c)は、被検者のID番号がメモリ29に既登録の場合における計測準備フレーム60の表示例を示す部分図である。なお、図5(b)及び図5(c)では、点灯状態にある固定点指示ランプ66にハッチングを付している。
図5に示している、計測準備フレーム60は、図4に示した初期設定フレーム40の計測準備ボタン52がクリックされて、演算処理回路30により計測準備処理S2が実行されることで、ディスプレイ27の画面上に表示される情報画像である。
図5(a)に示すように、計測準備フレーム60には、その左側部分に、踵部101の両側に計測用ゼリーを塗着することを利用者に対して指示する文字情報と画像情報(図示せず)とが表示される表示欄61が設けられており、この表示欄61の下側には「計測部位検知」の文字が付された計測部位検知ボタン62と、この計測準備フレーム60をディスプレイ27の画面上から消去して初期設定フレーム40を再表示するための「キャンセル」の文字が付されたキャンセルボタン63とが設けられている。
計測部位検知ボタン62は、一対のプローブ4,5による踵部101の計測位置を適正位置に位置合わせするための、後述する計測部位検知処理S3を、演算処理回路30によって実行させる場合にクリックされるボタンである。また、この計測部位検知ボタン62と上記表示欄61との間には、計測部位検知ボタン62がクリックされた場合に利用者がなすべき対処について教示する表示欄64が設けられている。
また、計測準備フレーム60の右上部には表示欄65が設けられており、この表示欄65には、利用者に対して、把手レバーを把持して可動プローブ5を移動させて各プローブ4,5間の間隔を拡幅させて踵部101を挟入させることを指示する文字情報が表示されている。更に、この表示欄65の下側には、移動ガイド9を固定すべき位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを指示するための「R1」、「R2」、「R3」、「L3」、「L2」、「L1」の文字が付された合計6個の矩形状の固定点指示ランプ66が設けられている。なお、本実施例では、計測準備フレーム60に設けられる固定点指示ランプ66の点灯色(表示色)は緑色とされている。
そして、これらの固定点指示ランプ66の下側には、超音波計測器1を平面視した画像である計測器画像67が表示されており、この計測器画像67は、計測準備フレーム60中の固定点指示ランプ66によって指示される固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれかに移動ガイド9が固定された状態を模写した画像となっている。よって、この計測器画像67を用いることで移動ガイド9を固定すべき位置を固定点R1〜R3,L1〜L3の中から、利用者に対して視覚的に教示することができる。また、この計測器画像67の下側には、移動ガイド9を、固定点指示ランプ66及び計測器画像67で指示されている固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれかに固定させて、足先係合ピン11により足先102を固定すべきことを指示する表示欄68が設けられている。
このように構成された計測準備フレーム60によれば、被検者のID番号が未登録の場合に表示される初期設定フレーム40(図4(b)参照)の計測準備ボタン52がクリックされるとき、図5(b)に示す状態の計測準備フレーム60がディスプレイ27の画面上に表示される。一方、被検者のID番号が既登録の場合に表示される初期設定フレーム40(図4(c)参照)の計測準備ボタン52がクリックされるとき、図5(c)に示す状態の計測準備フレーム60がディスプレイ27の画面上に表示される。
図5(b)に示す計測準備フレーム60によれば、図4(b)に示す初期設定フレーム40の場合と同様に被検者のID番号が未登録なので、メモリ29に記憶される標準固定点コードに対応する固定点指示ランプ66が点灯される。ここで、図5(b)の場合は、メモリ29に記憶されている標準固定点コードが固定点R2及び固定点L2を表す「R2」及び「L2」であるので、「R2」及び「L2」の文字が付された固定点指示ランプ66がそれぞれ点灯されるのである。
しかも、このとき計測標準フレームの計測器画像67には、計測準備フレーム60中の固定点指示ランプ66によって指示される固定点コード、つまり、標準固定点コードと一致する固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれかの位置に移動ガイド9が固定された状態を表したものが表示される。図5(b)の場合は、メモリ29に記憶されている標準固定点コードが固定点R2及び固定点L2を表す「R2」及び「L2」であるので、移動ガイド9が固定点R2及び固定点L2の双方に固定された状態を表した計測器画像67が、ディスプレイ27の画面上に表示される。
この結果、利用者に対して、移動ガイド9を固定点R2にセットして被検体を右足部の踵部101にすべきこと、又は、移動ガイド9を固定点L2にセットして被検体を左足部の踵部101にすべきことを、より一層理解しやすく教示することができる。
図5(c)に示す計測準備フレーム60によれば、図4(c)に示す初期設定フレーム40の場合と同様に被検者のID番号が既登録なので、メモリ29に記憶される過去固定点コードに対応する固定点指示ランプ66が点灯される。ここで、図5(c)の場合は、メモリ29に記憶されている過去固定点コードが固定点R2を表す「R2」であるので、「R2」の文字が付された固定点指示ランプ66が点灯されるのである。
なお、メモリ29に記憶されている過去固定点コードが「R1」なら「R1」の固定点指示ランプ66が、「R3」なら「R3」の固定点指示ランプ66が、「L1」なら「L1」の固定点指示ランプ66が、「L2」なら「L2」の固定点指示ランプ66が、「L3」なら「L3」の固定点指示ランプ66が、計測準備フレーム60上で点灯されて、その他の固定点指示ランプ66については消灯されたままとなる。
しかも、このとき計測標準フレームの計測器画像67には、計測準備フレーム60中の固定点指示ランプ66によって指示される固定点コード、つまり、過去固定点コードと一致する固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれかの位置に移動ガイド9が固定された状態を表したものが表示される。ここで、図5(c)の場合は、メモリ29に記憶されている過去固定点コードが固定点R2を表す「R2」であるので、移動ガイド9が固定点R2に固定された状態を表した計測器画像67が、ディスプレイ27の画面上に表示される。
なお、メモリ29に記憶されている過去固定点コードが「R1」ならば移動ガイド9が固定点R1に固定された状態を表した計測器画像67が、「R3」ならば移動ガイド9が固定点R3に固定された状態を表した計測器画像67が、「L1」ならば移動ガイド9が固定点L1に固定された状態を表した計測器画像67が、「L2」ならば移動ガイド9が固定点L2に固定された状態を表した計測器画像67が、「L3」ならば移動ガイド9が固定点L3に固定された状態を表した計測器画像67が、計測準備フレーム60上に表示される。
この結果、利用者に対して、移動ガイド9を固定点R2にセットして被検体を右足部の踵部101にすべきことを、より一層理解しやすく教示することができる。
図6は、ディスプレイ27の画面上に表示される計測部位検知フレーム80を示した図である。図6に示す、計測部位検知フレーム80は、図5に示した計測準備フレーム60の計測部位検知ボタン62がクリックされて、演算処理回路30により計測部位検知処理S3が実行されることで、ディスプレイ27の画面上に表示される情報画像である。
図6に示すように、計測部位検知フレーム80には、その中央最上部に、この計測部位検知フレーム80内の指示に従って踵部101の位置を調整するように利用者に対して指示する、文字情報が表示される表示欄81が設けられている。この表示欄81の下側には、移動ガイド9の現在位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のうちいずれであるかを利用者に提示するための「R1」、「R2」、「R3」、「L3」、「L2」、「L1」の文字が付された合計6個の矩形状の現在固定点報知ランプ82が設けられている。
また、この現在固定点報知ランプ82の左下方には、ID番号に対応つけてメモリ29に記憶される過去固定点コードを表示する過去固定点指示欄83が設けられており、ここに過去固定点コードを表示することで、移動ガイド9を固定すべき位置を固定点R1〜R3,L1〜L3の中から、利用者に対して教示できる。そして、過去固定点指示欄83の右方であって現在固定点報知ランプ82の下側には、超音波計測器1を平面視した画像である計測器画像84が表示されている。
この計測器画像84は、上記した計測準備フレーム60の計測器画像67の機能に加えて、更に、計測器画像84における固定プローブ4を示す画像部(固定プローブ画像)84aと可動プローブ5を示す画像部(可動プローブ画像)84bとの間に、現時点の踵部101(踵骨101a)の位置を示す踵部ポインタ85と、踵部101(踵骨101a)が位置合わせされるべき適正範囲を示す適正範囲マーク86と、現時点の踵骨幅の計測値を表示する踵骨幅表示欄87とを備えている。
また、計測器画像84の左側には、足部100を超音波計測器1の左側、即ち、固定プローブ4の配設側へ移動させるべきことを指示するため、先端部が左方へ向けられた略三角形矢印状の左方向指示画像88が設けられている。また、計測器画像84の右側には、足部100を超音波計測器1の右側、即ち、可動プローブ5の配設側(固定プローブ4の反配設側)へ移動させるべきことを指示するため、先端部が右方へ向けられた略三角形矢印状の右方向指示画像89が設けられている。
これらの左右の方向指示画像88,89は、超音波計測器1に設置される踵部101の移動方向を利用者に対して指示するための表示であって、いずれも大中小3つの三角形ランプLP1,LP2,LP3が計測器画像84から離れるに従ってサイズが大きくなるように配置されている。また、左右の方向指示画像88,89はいずれも、小サイズの三角形ランプLP1が黄色の表示色で点灯され、中サイズの三角形ランプLP2がオレンジ色の表示色で点灯され、大サイズの三角形ランプLP3が赤色の表示色で点灯される。
また、計測器画像84の右方には、「計測実行」の文字が付された計測実行ボタン90と、この計測部位検知フレーム80をディスプレイ27の画面上から消去して計測準備フレーム60を再表示するための「キャンセル」の文字が付されたキャンセルボタン91とが設けられている。計測実行ボタン90は、超音波計測器1によって骨密度を計測するための骨密度計測処理S4を、演算処理回路30により実行して開始する場合にクリックされるボタンである。
計測実行ボタン90は、また、これがクリックされた場合に、初期設定フレーム40のID入力欄47に今回入力されたID番号に対応つけてメモリ29のワークエリアに記憶されている最新の現在固定点コード、第1伝播距離L1、第2伝播距離L2、及び、踵骨幅Wのそれぞれを、同一のID番号に対応つけてメモリ29のデータベースエリアに、新たな過去固定点コード、過去の第1伝播距離L1’、過去の第2伝播距離L2’及び、過去の踵骨幅W’として書き込んで、これらの過去固定点コード、過去の第1伝播距離L1’、過去の第2伝播距離L2’及び、過去の踵骨幅W’を更新するための処理を実行するボタンでもある。
また、計測器画像84の下側には、踵部ポインタ85の表示色が所定の色彩(ここでは緑色としている。)となった場合には、被検者への注意事項と、足部100の骨密度の計測実行が可能な状態であることとを表示するための表示欄92が設けられている。
次に、上記した演算処理回路30によって実行される、初期設定処理S1、計測準備処理S2、計測部位検知処理S3、及び、骨密度計測処理S4について順番に説明する。
<初期設定処理>
初期設定処理S1は、上記した図4(a)に示す初期設定フレーム40をディスプレイ27の画面上に表示して、利用者に対して、骨密度を計測するための初期設定をさせるための処理である。この初期設定処理S1は、超音波計測器1の電源がオンされた後、メモリ29から制御プログラムが読み出されて演算処理回路30により実行されると、その制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行が開始される。
この初期設定処理S1によれば、まず、ディスプレイ27の画面上に初期設定フレーム40(図4(a)参照)が表示され、確定ボタン50がクリックされるまで待機しつつ、この待機中に、ID入力欄47にID番号の入力操作があれば、その入力操作に対応するID番号が初期設定フレーム40のID入力欄47に演算処理回路30によって表示される。
その後、確定ボタン50がクリックされると、性別ボタン41、チェックボックス42、姓名入力欄43、年齢入力欄44、数字ボタン45、及び、消去ボタン46が操作不能な状態から操作可能な状態に変更される。
また、確定ボタン50がクリックされると、ID入力欄47に入力されているID番号がメモリ29に記憶されているか否かが判断され、当該ID番号がメモリ29に未登録であれば、図4(b)に示すように、ID登録情報欄48に「新規登録者です。」を表示し、ID入力欄47内のデータを書き換え不能な状態に変更し、再入力ボタン49を操作可能な状態に変更し、確定ボタン50を操作不能な状態に変更し、初期固定点指示欄51の文字情報欄51aに所定の表示をし、メモリ29に記憶されている標準固定点コードに対応する固定点指示ランプ51bを点灯する。
一方、確定ボタン50がクリックされたときに、ID入力欄47に入力されているID番号がメモリ29に既登録であれば、図4(c)に示すように、ID登録情報欄48に「検査実績があります。」を表示し、ID入力欄47内のデータを書き換え不能な状態に変更し、再入力ボタン49を操作可能な状態に変更し、確定ボタン50を操作不能な状態に変更し、初期固定点指示欄51の文字情報欄51aに所定の表示をし、メモリ29に記憶されている過去固定点コードに対応する固定点指示ランプ51bを点灯する。
なお、確定ボタン50がクリックされて、ID入力欄47に入力されたID番号がメモリ29に既登録と判断される場合は、そのID番号に対応つけてメモリ29のデータベースエリアに記憶されている性別、調整用スペーサの使用の有無、姓名、年齢が読み出されて、これらの内容が初期設定フレーム40の性別ボタン41、チェックボックス42、姓名入力欄43、年齢入力欄44に、演算処理回路30によって表示される。
この後は、再入力ボタン49又は計測準備ボタン52がクリックされるまで、処理を待機して、この待機中に、性別ボタン41、チェックボックス42、姓名入力欄43、数字ボタン45、消去ボタン46への操作があれば、この操作に応じた表示処理を初期設定フレーム40に対して行う。その後、計測準備ボタン52がクリックされれば、この初期設定フレーム40をディスプレイ27の画面上から消去するとともに、この初期設定処理S1を終了して、次の計測準備処理S2を実行する。
一方、再入力ボタン49がクリックされれば、図4(a)に示すように、ID登録情報欄48に「データを入力してください!」を表示し、ID入力欄47内のデータを書き換え可能な状態に変更し、再入力ボタン49を操作不能な状態に変更し、確定ボタン50を操作可能な状態に変更し、初期固定点指示欄51の文字情報欄51aから表示を消去し、全ての固定点指示ランプ51bを消灯する。
<計測準備処理>
計測準備処理S2は、上記した計測準備フレーム60をディスプレイ27の画面上に表示して、利用者に対して、骨密度を計測するための準備作業をさせるための処理である。この計測準備処理S2は、上記した初期設定フレーム40の計測準備ボタン52がクリックされると、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される。
この計測準備処理S2によれば、まず、ディスプレイ27の画面上に計測準備フレーム60が表示される。ここで、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に未記憶(未登録)の場合には、メモリ29に記憶されている標準固定点コードに対応する固定点指示ランプ66を点灯する(図5(b)参照)。一方、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に記憶済み(既登録)の場合には、メモリ29に記憶されている過去固定点コードに対応する固定点指示ランプ66を点灯する(図5(c)参照)。そして、この後は、計測部位検知ボタン62又はキャンセルボタン63がクリックされるまで、処理を待機する。
この処理の待機中は、計測準備フレーム60内の指示に従って、被検者の計測準備が行われる。具体的には、被検者の被検体となる方の足部100の踵部101に計測用ゼリーが塗着される。また、移動ガイド9が軌道溝8に沿って足設置台2上を略横方向に移動されて、固定点R1〜R3,L1〜L3のうち、計測準備フレーム60において点灯されている固定点指示ランプ66が示す位置に移動ガイド9が固定される。
また、被検者の足部100は、その足軸が足設置台2の縦方向に向けられた状態で、足設置台2に設置される。更に、足部100は、その踵部101が各プローブ4,5間に接触カバー6,6内に充填された音響整合材を介して挟み込まれ、その足先102が足先係合ピン11と係合される。このとき、足先係合ピン11は、足部100の足先102にある第一趾102aと第二趾102bとの間に挟入される。すると、足先係合ピン11によって足先102の向きが固定されるとともに、プローブ4,5間にある足部100の踵部101の動きも制限されて、足部100の踵部101の姿勢もほぼ定まる。
このように被検者の足部100が設置された後、計測部位検知ボタン62がクリックされると、この計測準備フレーム60をディスプレイ27の画面上から消去するとともに、この計測準備処理S2を終了して、次の計測部位検知処理S3が実行される。一方、キャンセルボタン63がクリックされれば、この計測準備フレーム60をディスプレイ27の画面上から消去するとともに、この計測準備処理S2を終了して、初期設定フレーム40を再表示して、初期設定処理S1が再実行される。
<計測部位検知処理>
計測部位検知処理S3は、上記した計測部位検知フレーム80をディスプレイ27の画面上に表示して、被検者の踵部101と各プローブ4,5との相対的な位置関係、つまり、各プローブ4,5による踵部101の計測位置(計測部位)を適正位置に位置合わせするための処理であって、主として、利用者に対して、実際の踵部101の位置と適正位置とのずれ具合を教示して、踵部101の位置修正を指導するための処理である。
ここで、この計測部位検知処理S3は、主として、プローブ間測長処理S31と、固定点検出処理S32と、時間計測処理S33と、伝播距離及び踵骨幅の演算処理S34と、適正判断処理S35と、踵部変位判断処理S36と、表示制御処理S37とから構成されている。なお、この計測部位検知処理S3は、例えば、略100msの実行間隔で定期的に実行され、計測部位検知フレーム80内の表示内容を逐次更新するように構成されている。
<プローブ間測長処理>
プローブ間測長処理S31は、上記した計測準備フレーム60の計測部位検知ボタン62がクリックされると、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理であり、プローブ間センサ26によってプローブ間距離Lとを計測するものである。また、このプローブ間測長処理S31により計測されたプローブ間距離Lは、演算処理回路30によってメモリ29に一時的に記憶保持される。
<固定点検出処理S32>
固定点検出処理S32は、プローブ間測長処理S31と同様に、図5に示す計測準備フレーム60の計測部位検知ボタン62がクリックされると、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理であって、演算処理回路30によって、合計6個ある足先位置センサ20からの出力信号をそれぞれチェックすることで、移動ガイド9の現在位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを検出するものである。
なお、各足先位置センサ20には、その足先位置センサ20が配設される(移動ガイド9の)固定点R1〜R3,L1〜L3を表すコードが1つずつ付されている。例えば、固定点R1に配設される足先位置センサ20にはコード「R1」が、固定点R2に配設される足先位置センサ20にはコード「R2」が、固定点R3に配設される足先位置センサ20にはコード「R3」が、固定点L1に配設される足先位置センサ20にはコード「L1」が、固定点L2に配設される足先位置センサ20にはコード「L2」が、固定点L3に配設される足先位置センサ20にはコード「L3」が、それぞれ付されている。
この固定点検出処理S32によれば、演算処理回路30によって各足先位置センサ20の出力信号がチェックされて移動ガイド9の存在が検出されると、その移動ガイド9を検出した足先位置センサ20を示すコード、つまり、現時点において移動ガイド9が存在する位置が固定点R1〜R3,L1〜L3のいずれであるかを示すコード(以下「現在固定点コード」という。)が、メモリ29のワークエリアに一時的に記憶保持される。例えば、固定点R2に配設されている足先位置センサ20によって移動ガイド9が検出される場合には、現在固定点コードとして「R2」がメモリ29のワークエリアに記憶されるのである。
<時間計測処理>
時間計測処理S33は、プローブ間測長処理S31及び固定点検出処理S32の実行後に、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理であり、固定プローブ4及び可動プローブ5の各々により発信されて足部100内の踵骨101aで反射した超音波の各々の伝播時間T1,T2を計測するものである。
この時間計測処理S33によれば、第1切換スイッチ21及び第2切換スイッチ22の双方とも1番ピンと3番ピンとが接続され、超音波の発信元及び受信先として固定プローブ4が選択される。この状態で、演算処理回路30からタイミング信号がパルス発生回路23へ出力されると、パルス発生回路23により電気的パルスが生成される。この電気的パルス信号が第1切換スイッチ21を経由して固定プローブ4の超音波振動素子P1に入力されると、その固定プローブ4の超音波振動素子P1から踵骨101aに向けて超音波パルスが発信される。
この超音波パルスの一部は、音響整合材及び足部100の皮下組織を伝播して踵骨101aで反射されて、固定プローブ4の超音波振動素子P1により受信される。この受信された超音波は、固定プローブ4の超音波振動素子P1から超音波信号として出力され、第2切換スイッチ22を経由してアンプ回路24により増幅された後、所定の周波数について通過帯域が設定されたフィルタ回路25を通過して演算処理回路30へ入力される。すると、この演算処理回路30によって、超音波の送信から受信までに要した時間、即ち、第1区間の往復に伝播時間(以下「第1伝播時間」ともいう。)T1が計測される。
また、時間計測処理S33によれば、第1切換スイッチ21及び第2切換スイッチ22の双方とも2番ピンと3番ピンとが接続され、超音波の発信元及び受信先として可動プローブ5が選択される。この状態で、演算処理回路30からタイミング信号がパルス発生回路23へ出力されると、パルス発生回路23により電気的パルスが生成される。この電気的パルス信号が第1切換スイッチ21を経由して可動プローブ5の超音波振動素子P2に入力されると、その可動プローブ5の超音波振動素子P2から踵骨101aに向けて超音波パルスが発信される。
この超音波パルスの一部は、音響整合材及び足部100の皮下組織を伝播して踵骨101aで反射されて、可動プローブ5の超音波振動素子P2により受信される。この受信された超音波は、可動プローブ5の超音波振動素子P2から超音波信号として出力され、第2切換スイッチ22を経由してアンプ回路24により増幅された後、所定の周波数について通過帯域が設定されたフィルタ回路25を通過して演算処理回路30へ入力される。すると、この演算処理回路30によって、超音波の送信から受信までに要した時間、即ち、第2区間の往復に伝播時間(以下「第2伝播時間」ともいう。)T2が計測される。
このようにして時間計測処理S33により計測された第1伝播時間T1と第2伝播時間T2とは、演算処理回路30によってメモリ29のワークエリアに一時的に記憶保持される。
<演算処理>
演算処理S34は、時間計測処理S33の実行後に、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理である。この演算処理S34は、時間計測処理S33によって計測された第1伝播時間T1及び第2伝播時間T2とメモリ29に記憶される第1伝播速度V1及び第2伝播速度V2とに基づいて、固定プローブ4及び可動プローブ5の各々から踵骨101aまでの現時点の第1伝播距離L1及び第2伝播距離L2をそれぞれ演算し、更に、その現時点の各伝播距離L1,L2とメモリ29に記憶されるプローブ間距離Lとに基づいて足部100の踵骨幅Wを演算するものである。
この演算処理S34によれば、演算処理回路30によって、時間計測処理S33により計測された第1伝播時間T1とメモリ29に記憶される第1伝播速度V1とが、下記式(1)に代入されて演算されることで、現時点の第1伝播距離L1が求められる。
L1=V1・T1/2 …… (1)
また、演算処理回路30によって、時間計測処理S33により計測された第2伝播時間T2とメモリ29に記憶される第2伝播速度V2とが、下記式(2)に代入されて演算されることで、現時点の第2伝播距離L2が求められる。
L2=V2・T2/2 …… (2)
そして更に、演算処理回路30によって、先に求められた各伝播距離L1,L2とメモリ29に記憶されるプローブ間距離Lとが、下記式(3)に代入されて演算されることで、足部100の踵骨幅Wが求められる。
W=L−L1−L2 …… (3)
そして、このようにして演算処理S34により演算された、現時点の第1伝播距離L1と第2伝播距離L2と踵骨幅Wは、演算処理回路30によってメモリ29のワークエリアに一時的に記憶保持される。また、このようにして演算された踵骨幅Wは、計測部位検知フレーム80の踵骨幅表示欄87に、後述する表示制御処理S37によって表示される。
<適正判断処理>
適正判断処理S35は、演算処理S34の実行後、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理である。この適正判断処理S35は、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に未記憶(未登録)であると判断された場合に、現時点の踵骨幅Wが標準踵骨幅範囲Wsにあるか否かを判断するものである。
なお、この適正判断処理S35による判断で用いられる標準踵骨幅範囲Wsは、上記した初期設定フレーム40を介して設定された性別及び年齢情報に応じて切り換えられるものであり、被検者の性別及び年齢に応じてメモリ29から選択的に読み出されて、この適正判断処理S35による判断に使用される。
また、適正判断処理S35は、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に記憶済み(既登録)であると判断された場合に、現時点の第1伝播距離L1が過去の第1伝播距離L1’に基づき設定される第1伝播距離の適正範囲(以下「第1伝播距離適正範囲」という。)内にあるか否かを判断し、なおかつ、現時点の踵骨幅Wが過去の踵骨幅W’に基づき設定される踵骨幅の適正範囲(以下「踵骨幅適正範囲」という。)内にあるか否かを判断するものである。
このようにして適正判断処理S35では、足設置台2に設置される足部100とプローブ4,5との相対的な位置関係、つまり、プローブ4,5による踵骨101aの計測位置を、第1伝播距離L1と踵骨幅Wとによって定量化しているのである。
一方、同一被検体の同一足部100について求められた過去の第1伝播距離L1’と、過去の踵骨幅W’とはメモリ29のデータベースエリアに予め記憶保持されており、この過去の第1伝播距離L1’に基づいて第1伝播距離適正範囲が設定され、過去の踵骨幅W’に基づいて踵骨幅適正範囲が設定される。これらの第1伝播距離適正範囲及び踵骨幅適正範囲はプローブ4,5に対する踵骨101aの計測位置の適正位置に相当する。
なお、本実施例においては、第1伝播距離適正範囲は、メモリ29に記憶されている過去の第1伝播距離L1’に対する±1.0mmの範囲とされ、踵骨幅適正範囲は、メモリ29に記憶されている過去の踵骨幅W’に対する±1.0mmの範囲とされている。
この適正判断処理S35による判断の結果は、演算処理回路30により実行される表示制御処理S37によって、計測部位検知フレーム80に表示される。このように計測部位検知フレーム80を用いてディスプレイ27の画面上に、適正判断処理S35による判断結果を表示することで、現時点における踵骨101aの計測位置が適正位置にあるか否かを利用者に対して教示することができ、また、踵骨101aの計測位置が適正位置から逸れている場合には、足部100とプローブ4,5との相対的な位置関係を適正位置に位置合わせするための手掛かりとなる教示情報を利用者に対して教示することができるようになる。
<踵部変位判断処理>
踵部変位判断処理S36は、初期設定処理S1でID番号が既登録と判断された場合に適正判断処理S35の実行後、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理であって、適正判断処理S35によって現時点の第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲外である場合に、その現時点の第1伝播距離L1と過去の第1伝播距離L1’との大小関係を判断するものである。換言すれば、踵部変位判断処理S36は、現時点の第1伝播距離L1が、第1伝播距離適正範囲の下限値よりも小さいか、又は、第1伝播距離適正範囲の上限値よりも大きいかを判断する処理である。
<表示制御処理>
次に、図7及び図8を参照して、足部100の位置修正に供する教示情報を、ディスプレイ27の画面上に表示される計測部位検知フレーム80を用いて提示する、表示制御処理S37について説明する。
図7は、計測部位検知フレーム80を示した図であって、現在固定点報知ランプ82及び過去固定点指示欄83の表示例を示したものである。図8は、計測部位検知フレーム80の部分図であって、左右の方向指示画像88,89及び踵部ポインタ85の表示例を示したものである。なお、図7及び図8では、現在固定点報知ランプ82の点灯状態、並びに、過去固定点指示欄83、三角形ランプL1,L2,L3及び踵部ポインタ85の表示色(点灯状態)をハッチングで表し、非表示状態又は非点灯状態を白抜きで表している。
表示制御処理S37は、固定点検出処理S32、適正判断処理S35及び踵部変位判断処理S36の実行後、制御プログラムに基づいて動作する演算処理回路30によって実行される処理であって、固定点検出処理S32の結果、適正判断処理S35による判断結果、及び、踵部変位判断処理S36による判断結果に基づいて足部100の位置修正に供する教示情報を、計測部位検知フレーム80を用いて、ディスプレイ27の画面上に表示するものである。
この表示制御処理S37によれば、現在固定点報知ランプ82を用いて現時点における移動ガイド9の固定位置を教示するため、メモリ29に記憶された現在固定点コードに対応する現在固定点報知ランプ82が点灯される(図7参照)。例えば、現在固定点コードが「R1」ならば「R1」の、「R2」ならば「R2」の、「R3」ならば「R3」の、「L1」ならば「L1」の、「L2」ならば「L2」の、又は、「L3」ならば「L3」の、文字が付されている現在固定点報知ランプ82を点灯させるのである。なお、本実施例では、計測部位検知フレーム80に設けられる現在固定点報知ランプ82の点灯色(表示色)はピンク色とされている。
また、表示制御処理S37によれば、過去固定点指示欄83を用いて移動ガイド9を固定すべき固定点を教示するため、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に記憶済み(既登録)の場合に、そのID番号に対応つけてメモリ29に記憶されている過去固定点コードを過去固定点指示欄83に表示する(図7参照)。一方、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に未記憶(未登録)の場合に、過去固定点指示欄83に表示すべき内容がないため、かかる過去固定点指示欄83を空欄とする(図6参照)。
例えば、メモリ29に記憶される過去固定点コードが「R1」ならば「R1」を、「R2」ならば「R2」を、「R3」ならば「R3」を、「L1」ならば「L1」を、「L2」ならば「L2」を、又は、「L3」ならば「L3」を、過去固定点指示欄83内に表示する。なお、本実施例では、過去固定点指示欄83内に表示される過去固定点コードは、現在固定点報知ランプ82の点灯色とは異なる色彩、例えば、緑色矩形状の枠で縁取った状態で表示される。
また、表示制御処理S37によれば、踵部変位判断処理S36によって現時点の第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲の下限値よりも小さいと判断される場合に、足部100を可動プローブ5側へ移動させるべきことを指示する教示情報を、計測部位検知フレーム80の右方向指示画像89と踵部ポインタ85とを用いて、ディスプレイ27の画面上に表示する。一方、踵部変位判断処理S36によって現時点の第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲の上限値よりも大きいと判断される場合には、足部100を固定プローブ4側へ移動させるべきことを指示する教示情報を、計測部位検知フレーム80の左方向指示画像88と踵部ポインタ85とを用いて、ディスプレイ27の画面上に表示する。
なお、上記した初期設定処理S1においてメモリ29にID番号が未登録であると判断された場合は、上記のように左右の方向指示画像88,89と踵部ポインタ85とを用いて足部100の移動方向を指示する表示制御処理S37は実行されない。足位置を位置合わせすべき適正位置である、第1伝播距離適正範囲や踵骨幅適正範囲が、同一の被検者について予めメモリ29に記憶されていないからである。
まず、計測部位検知フレーム80の方向指示画像88,89を用いた足部100の移動方向の指示では、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲の下限値より小さい場合、図8(a)〜図8(c)に示すように、右方向指示画像89の三角形ランプLP1,LP2,LP3が点灯又は消灯される。このとき、例えば、第1伝播距離L1と第1伝播距離適正範囲の下限値との差分値が1mm未満ならば小サイズの三角形ランプLP1が点灯され(図8(a)参照)、差分値が1mm以上2mm未満ならば小サイズ及び中サイズの三角形ランプLP1,LP2の双方が点灯され(図8(b)参照)、差分値が2mm以上ならば大中小全ての三角形ランプLP1,LP2,LP3が点灯される(図8(c)参照)。
一方、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲の上限値より大きい場合、図8(d)〜図8(f)に示すように、左方向指示画像88の三角形ランプLP1,LP2,LP3が点灯又は消灯される。このとき、例えば、第1伝播距離L1と第1伝播距離適正範囲の上限値との差分値が1mm未満ならば小サイズの三角形ランプLP1が点灯され(図8(d)参照)、差分値が1mm以上2mm未満ならば小サイズ及び中サイズの三角形ランプLP1,LP2の双方が点灯され(図8(e)参照)、差分値が2mm以上ならば大中小全ての三角形ランプLP1,LP2,LP3が点灯される(図8(f)参照)。
このように左右の方向指示画像88,89を用いることで、利用者に対して踵部101の位置ずれ具合(変位量)を視覚的に教示でき、なおかつ、踵部101を位置修正する場合の踵部101の移動方向を視覚的に教示できる。なお、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲内である場合には、左右の方向指示画像88,89の双方とも消灯されたままの状態とされる。
また、計測部位検知フレーム80の踵部ポインタ85を用いた足部100の移動方向の指示では、踵部ポインタ85の適正範囲マーク86に対する変位量が、現時点の第1伝播距離L1についての過去の第1伝播距離L1’に対する変位量の大きさに応じて調整されるのである。
具体的には、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲の下限値より小さい場合には、図8(g)〜(i)に示すように、踵部ポインタ85を、適正範囲マーク86に対して固定プローブ画像84a側、すなわち、適正範囲マーク86に対して左側に変位させて表示する。このとき、例えば、第1伝播距離L1と第1伝播距離適正範囲の下限値との差分値が1mm未満ならば踵部ポインタ85を適正範囲マーク86に対して左側へ幅dだけ変位させて表示し(図8(g)参照)、差分値が1mm以上2mm未満ならば踵部ポインタ85を適正範囲マーク86に対して左側へ幅dの2倍(2×d)だけ変位させて表示し(図8(h)参照)、差分値が2mm以上ならば踵部ポインタ85を適正範囲マーク86に対して左側へ幅dの3倍(3×d)だけ変位させて表示する(図8(i)参照)。
なお、このとき第1伝播距離L1と第1伝播距離適正範囲の下限値との差分値が1mm未満ならば踵部ポインタ85の表示色は小サイズの三角形ランプLP1と同一色とされ、差分値が1mm以上2mm未満ならば踵部ポインタ85の表示色は中サイズの三角形ランプLP2と同一色とされ、差分値が2mm以上ならば踵部ポインタ85の表示色は大サイズの三角形ランプLP3と同一色とされる。
一方、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲の上限値より大きい場合には、図8(j)〜(l)に示すように、踵部ポインタ85を、適正範囲マーク86に対して可動プローブ画像84b側、すなわち、適正範囲マーク86に対して右側に変位させて表示する。このとき、例えば、第1伝播距離L1と第1伝播距離適正範囲の上限値との差分値が1mm未満ならば踵部ポインタ85を適正範囲マーク86に対して右側へ幅dだけ変位させて表示し(図8(j)参照)、差分値が1mm以上2mm未満ならば踵部ポインタ85を適正範囲マーク86に対して右側へ幅dの2倍(2×d)だけ変位させて表示し(図8(k)参照)、差分値が2mm以上ならば踵部ポインタ85を適正範囲マーク86に対して右側へ幅dの3倍(3×d)だけ変位させて表示する(図8(l)参照)。
なお、第1伝播距離L1と第1伝播距離適正範囲の上限値との差分値が1mm未満ならば踵部ポインタ85の表示色は小サイズの三角形ランプLP1と同一色とされ、差分値が1mm以上2mm未満ならば踵部ポインタ85の表示色は中サイズの三角形ランプLP2と同一色とされ、差分値が2mm以上ならば踵部ポインタ85の表示色は大サイズの三角形ランプLP3と同一色とされる。
このように踵部ポインタ85を用いることで、利用者に対して踵部101の位置ずれ具合(変位量)を視覚的に教示でき、なおかつ、踵部101を位置修正する場合の踵部101の移動方向を視覚的に教示できる。なお、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲内である場合には、図6に示すように、踵部ポインタ85と適正範囲マーク86の中心位置が一致する状態で重畳して表示される。
また、表示制御処理S37によれば、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に未記憶(未登録)であって、適正判断処理S35によって現時点の踵骨幅Wが標準踵骨幅範囲Ws内にあると判断されると、計測部位検知フレーム80の踵部ポインタ85が第1の表示色(本実施例では緑色に設定されている。)で、計測部位検知フレーム80内に表示される。一方、適正判断処理S35によって現時点の踵骨幅Wが標準踵骨幅範囲Ws外にあると判断される場合は、計測部位検知フレーム80の踵部ポインタ85が第2の表示色(本実施例ではピンク色に設定されている。)で、計測部位検知フレーム80内に表示される。
更に、表示制御処理S37によれば、上記した初期設定処理S1においてID番号がメモリ29に記憶済み(既登録)であって、適正判断処理S35によって現時点の踵骨幅Wが踵骨幅適正範囲内にあると判断され、かつ、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲内にあるならば、計測部位検知フレーム80の踵部ポインタ85が第1の表示色(本実施例では緑色に設定されている。)で、計測部位検知フレーム80内に表示される。一方、適正判断処理S35によって現時点の踵骨幅Wが踵骨幅適正範囲外にあると判断され、かつ、第1伝播距離L1が第1伝播距離適正範囲内にあるならば、計測部位検知フレーム80の踵部ポインタ85が第2の表示色(本実施例ではピンク色に設定されている。)で、計測部位検知フレーム80内に表示される。
このように踵部ポインタ85の表示色を適正範囲にある場合と、そうでない場合とで異ならせることで、利用者に対して、各プローブ4,5による踵骨101aの計測位置が不適切であることを視覚的に教示できる。
以上のようにして計測部位検知処理S3における各処理が実行されて、左右の方向指示画像88,89の全ての三角形ランプLP1,LP2,LP3が消灯され、踵部ポインタ85と適正範囲マーク86とが合致した状態で重畳表示され、この踵部ポインタ85が第1の表示色で表示されると、計測部位検知フレーム80の計測実行ボタン90が操作可能な状態に変更される。そして、この計測実行ボタン90がクリックされると、この計測部位検知フレーム80を消去して、この計測部位検知処理S3が終了され、次の骨密度計測処理S4が実行される。
また、計測実行ボタン90がクリックされて、計測部位検知処理S3が終了するとき、上記した初期設定フレーム40のID入力欄47に今回入力されたID番号に対応つけてメモリ29のワークエリアに記憶されている最新の現在固定点コード、第1伝播距離L1 、第2伝播距離L2、及び、踵骨幅Wのそれぞれを、同一のID番号に対応つけてメモリ29のデータベースエリアに記憶されている過去固定点コード、過去の第1伝播距離L1’、過去の第2伝播距離L2’及び、過去の踵骨幅W’として書き込み、これらの過去固定点コード、過去の第1伝播距離L1’、過去の第2伝播距離L2’及び、過去の踵骨幅W’を記憶保持するのである
<骨密度計測処理>
骨密度計測処理S4は、上記した計測部位検知フレーム80の計測実行ボタン90がクリックされることで、制御プログラムに基づいて動作する演算処理S34装置によって実行される処理である。この骨密度計測処理S4によれば、第1切換スイッチ21の1番ピンと3番ピンとが接続され、第2切換スイッチ22の2番ピンと3番ピンとが接続され、固定プローブ4が発信元として選択され、可動プローブ5が受信先として選択される。
なお、このスイッチ設定は、第1切換スイッチ21の2番ピンと3番ピンとを接続し、第2切換スイッチ22の1番ピンと3番ピンとを接続しても良く、この場合は、可動プローブ5が発信元となり、固定プローブ4が受信先となる。
各切換スイッチ21,22の設定後、演算処理回路30からタイミング信号がパルス発生回路23へ出力されると、パルス発生回路23により電気的パルスが生成される。この電気的パルス信号が第1切換スイッチ21を経由して固定プローブ4の超音波振動素子P1に入力されると、その固定プローブ4の超音波振動素子P1から踵骨101aに向けて超音波パルスが発信される。
そして、踵部101の踵骨101aを透過した超音波パルスは、可動プローブ5の超音波振動素子P2により受信される。この受信された超音波は、可動プローブ5の超音波振動素子P2から超音波信号として出力され、第2切換スイッチ22を経由してアンプ回路24により増幅された後、所定の周波数について通過帯域が設定されたフィルタ回路25を通過して演算処理回路30へ入力される。すると、この演算処理回路30によって、超音波の送信から受信までに要した時間、即ち、各プローブ4,5間に関する透過伝播時間Tが計測される。それから、この透過伝播時間Tに基づいて、演算処理回路30によって骨密度が演算されて求められるのである。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、各部材の形状や素材、又は、具体的数値について、種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、演算処理S34によって同一の被検体について求めた過去の第1伝播距離L1’をメモリ29に記憶し、その過去の第1伝播距離L1’に基づき設定される第1伝播距離適正範囲内に現時点の第1伝播距離L1があるか否かを判断した。しかしながら、演算処理によって同一の被検体について求めた過去の第1伝播距離L1’及び第2伝播距離L2’をそれぞれメモリに記憶し、その過去の第1伝播距離L1’に基づき設定される第1伝播距離適正範囲内に現時点の第1伝播距離L1があるか否かを判断し、なおかつ、その過去の第2伝播距離L2’に基づき設定される第2伝播距離の適正範囲内に現時点の第2伝播距離L2があるか否かを判断して、その結果を、計測部位検知フレームの表示内容に反映させるようにしても良い。