JP4528275B2 - 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents

伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 Download PDF

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本発明は、自動車などの高強度構造用部品に採用される高強度熱延鋼板に関し、詳しくは、バーリング加工性や伸びフランジ性に優れ、かつ、鋼板の打ち抜き時の端面の損傷が発生し難い高強度熱延鋼板に関するものである。
最近の自動車用部材においては、省エネルギー化の視点から軽量化が重視されながらも、安全性や耐久性も重視される傾向があり、従来にも増して、鉄鋼材料部材の高強度化が急速に進んでいる。その結果、従来の外板パネルに要求されてきた高成形能に対し、構造用部材では、穴拡げ性などの異なる指標での加工性も要求されるようになり、加工性の優れた高強度熱延鋼板の開発が進められてきた。
引張強さ590MPa以上の高強度鋼に着目した場合、炭素、シリコン、マンガンといった従来の固溶強化法だけでは、要求される強度の達成は容易でない。元来、フェライト組織だけでは強度不足であるため、ベイナイトやマルテンサイトなどの硬質相を組み合わせた複合組織鋼板の延性が研究された。
その結果、例えば、フェライトとベイナイトの混合組織を用いた鋼板(例えば、特許文献1、参照)、または、マルテンサイト組織をさらに混合した鋼板(例えば、特許文献2、参照)が開発された。
しかしながら、これらの鋼板においては、引張強度590MPa以上の強度クラスの鋼板にしては、伸びフランジ性が低い。つまり、これらの鋼板は、一様伸びなどには優れるが、穴拡げ性に代表される伸びフランジ性が、むしろ劣化するという欠点を抱えていて、近年の高強度鋼板に要求される加工性を実現させるには、ベイナイトやマルテンサイトなどの硬質相を混合させた鋼材組織では、どうしても限界があると考えられ始めている。
これに対し、ベイナイトを主体とした組織により穴拡げ性を改善した熱延鋼板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3、参照)が、この鋼板は、伸び特性に劣ることから適用部品に制約があった。また、フェライトとベイニティック・フェライトと呼ばれる相からなる組織を有し、伸びフランジ性に優れる鋼板が開示されている(例えば、特許文献4、参照)が、延性に欠けるものである。
これらの技術経過をまとめると、従来の2相組織(Dual Phase:例えば、フェライト+マルテンサイト、フェライト+ベイナイト等)を持つ鋼板では、軟質なフェライト相を持つが故、延性に優れるが、2相の硬度差が大きいため伸びフランジ性に欠け、単相組織を持つ高強度鋼板は、一様の組織を持ち、伸びフランジ性に優れるが、延性に欠けるという問題があった。
このように、高強度鋼板の延性と伸びフランジ性の改善は相反する指標であり、両者を同時に向上させることは困難であった。
マルテンサイトやベイナイトなどの強化組織を利用する検討に対し、本来のフェライト相の均一組織の優れた変形能を維持したまま高強度化を図ろうとする技術開発が、近年、再び検討され始め、例えば、TiやNbなどの易炭化物形成元素を活用して微細な炭化物を析出させ、それらの炭化物と転位の相互作用を利用する強化法が注目されている。
このような鋼板として、複合析出物を検討し、TiとMoを含む微細な炭化物をフェライト組織中に分散析出させ、鋼中のC固溶量を0.002%以下とすることで、引張強さを780MPa以上、全伸び(一様伸び+局部伸び)を20%以上、穴広げ率を70%以上とした鋼板が開示されている(例えば、特許文献5、参照)。
この技術の特徴は、微細炭化物を一様に分布させて均一化組織を得るところにあると考えられるが、その思想は、粒子分散強化法により最大強度を得つつ、さらに、析出炭化物を微細化することで延性の確保を図るということである。
しかし、この鋼板では、鋼板の伸びフランジ加工時に発生する打ち抜き端面の損傷に関しては考慮されておらず、上記全伸びと引張強さを維持しつつ、鋼板の打ち抜き時に発生する端面の損傷を抑えることができなかった。
また、TiやNbを含み、製造条件を工夫することで、延性と伸びフランジ性のバランスを改善した鋼板が開示されているが(例えば、特許文献6、参照)、炭化物を含む組織が詳細に規定されておらず、鋼材の設計指針を提示するまでには至っていない。
特開平8−269615号公報 特開平7−150291号公報 特開平4−88125号公報 特開平6−172924号公報 特開2002−322540号公報 特開2005−120435号公報
本発明は、上記した従来の問題点を解決するためなされたものであって、590MPaクラス以上の薄鋼板において、優れた伸びフランジ性と延性を両立させ、さらには、打ち抜き端面の損傷を防止した高強度熱延鋼板を提供しようとするものである。
本発明は、上記新知見に基づきなされたものであり、その要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 引張強度590MPa以上のフェライト単相組織からなる高強度熱延鋼板において、(a)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.25〜3%を含有し、さらに、炭化物形成元素として、Ti:0.03〜0.2%、Nb:0.01〜0.2%、V:0.01〜0.2%、および、Mo:0.01〜0.2%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、(b)上記C量のうち、固溶C量が、質量%で、0.002%以上であり、(c)上記フェライト単相組織が、(c-1)結晶粒内に、最大径8nm以下の析出炭化物が個数密度1×1017〜5×1018個/cm3で分散した硬質フェライト結晶粒Aと、(c-2)結晶粒内に、最大径8nm以下の析出炭化物が個数密度1×1015〜5×1016個/cm3で分散した軟質フェライト結晶粒Bからなり、かつ、(d)全体積に占める上記硬質フェライト結晶粒Aの体積分率A/(A+B)が、0.1〜0.5であることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板。
(2) 前記硬質フェライト結晶粒Aおよび軟質フェライト結晶粒Bにおける粒界偏析C量が、粒界位置の両側2nmの範囲において平均したとき、原子数%で、0.5〜3%であることを特徴とする前記(1)に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板。
本発明の適用により、引張強さ590MPaクラス以上で、従来にない伸びフランジ性−延性バランスを有し、かつ、打ち抜き端面の損傷発生を抑制した熱延高強度鋼板を供給することが可能になり、さらに、上記バランスを制御することが可能になった。
本発明の詳細について、以下に説明する。
従来の技術課題に対し、本発明者らは、延性と伸びフランジ性の両立を図るため、フェライト組織をベースに、微細炭化物の分散析出法による強化と延性に係る挙動を鋭意検討した。
その結果、本発明者らは、従来の同一フェライト結晶粒のみからなるフェライト単一組織とは異なり、炭化物の析出状態の異なる2種のフェライト粒からなるフェライト単一組織をもって、今までにない延性と伸びフランジ性の両立と、引張強度を確保できる鋼板に辿り着いた。
即ち、本発明者らは、検討の結果、鋼板組織の結晶粒として延性に優れるフェライト結晶粒を持ちながらも、該結晶粒を、析出炭化物密度の異なる2種類のフェライト粒とすることにより、延性と伸びフランジ性の両方をともに改善した鋼板を見出したのである。
また、本発明者らは、打ち抜き端面の損傷に関して、析出炭化物の分散により最大強度を得た場合、固溶炭素が低減し、粒界の偏析炭素が少なくなることにより発生するのではないかと考え、フェライト結晶粒中に析出炭化物を部分的に分散析出させて、粒界に偏析炭素を残すことにより、打ち抜き端面の損傷を抑えることを見出した。
即ち、本発明は、延性(20%以上)、伸びフランジ性(穴拡げ性:80%以上)、引張強度(590MPa以上)、および、耐打ち抜き端面損傷性の全てを満足する鋼板を提供することを技術課題とし、この技術課題を解決する技術手段を得るため、
(A)延性が良好なフェライト単相組織をベースとし、該組織の結晶粒内に、伸びフランジ性(穴拡げ性)を低下させないサイズ(8nm以下)の微細析出炭化物を析出分散させることにより、引張強度を向上させ、
(B)前記フェライト単相組織中に、耐打ち抜き端面損傷性の向上に寄与する粒界偏析Cを適正量確保するため、鋼中に、所定量のC固溶量を維持しつつ、(B-1)前記微細析出炭化物の個数密度が高い(1×1017/cm3以上)硬質フェライト結晶粒Aと、粒内析出炭化物の個数密度が低い(5×1016個/cm3以下)軟質フェライト結晶粒Bの2種類のフェライト結晶粒を形成して、鋼板の引張強度(590MPa以上)を良好に維持し、(B-2)従来の析出強化型フェライト高張力鋼板に比べて延性の向上(20%以上)を図り、
(C)前記硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物の個数密度(上限)、および、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物の個数密度(下限)を、これらの結晶粒における硬度差が過度に大きくならない適正範囲(1×1015〜5×1018個/cm3)内にすることで、従来のフェライトとベイナイトまたはマルテンサイトの2相組織高張力鋼板に比べて伸びフランジ性(穴拡げ率:80%以上)の向上を図り、
(D)前記フェライト単相組織の全体積に占める前記硬質フェライト結晶粒Aの体積分率A/(A+B)を、適正範囲(0.1〜0.5)にすることで、引張強度(A/(A+B)の下限)と延性(A/(A+B)の上限)の両方を満足すること、
を技術思想とする。
さらに、本発明は、耐打ち抜き端面損傷性をより良好なものとする技術的手段を得るため、
(E)前記粒内微細析出炭化物の析出量を調整することにより、前記硬質フェライト結晶粒Aおよび軟質フェライト結晶粒Bの粒界偏析Cを、原子量%で、0.5〜3%とすること、
も技術思想とする。
本発明では、フェライト単相組織としたが、これは、実質的に、析出物以外のマトリックスがフェライト組織だけからなることを意味する。つまり、本発明の目的とする鋼板特性を阻害しない限り、フェライトの体積分率を97%以上確保できれば、フェライト組織中に規定する以外の組織相または成分の析出物を含有することが許容される。
また、フェライトとは、結晶構造としてBCCであるフェライト結晶粒を意味し、転位を含んでいてもよく、ポリゴナルフェライト、アシュケラーフェライト、ベイネティックフェライト等を含むものとする。
また、上記析出炭化物のサイズは、析出炭化物の最大径、すなわち、析出炭化物が球状の場合は直径、板状の場合は対角長とし、測定値の平均値を析出炭化物のサイズとする。
また、本発明において上記析出炭化物とは、炭化物だけでなく、炭化物中に窒素が若干混入した炭窒化物も含むものを意味する。
次に、本発明の特徴とする鋼板のミクロ組織に係る限定理由について説明する。
本発明者らは、上記技術的思想の下に、鋼板の延性、伸びフランジ性、および、引張強さを満足するため、フェライト単相組織を構成する2種のフェライト結晶粒内に存在する析出炭化物のサイズおよび個数密度の最適条件について、実験的に検討した。
表1に示す成分組成を有する鋼材を熱延し、異なる熱処理条件で、表2に示す種々の鋼板を製造した。なお、表中の化学成分の分析値の単位は質量%である。それぞれの鋼板の引張強さについては、JISZ 2201に記載の5号試験片を作製し、JIS Z 2241に記載の試験方法に従って引張試験を行って評価した。また、鋼板の伸びフランジ性については、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の試験方法に従って穴拡げ試験を行って評価した。
小さな析出炭化物を透過型電子顕微鏡で観察する場合、転位との識別が困難であるので、フェライト結晶粒内の析出炭化物サイズと析出炭化物密度の測定は、FIM観察および三次元アトムプローブ測定法を用いて、以下のように行った。
まず、測定対象の試料から、切断と電解研磨法により、針状の試料を作製する。なお、この際、電解研磨法と併せて、集束イオンビーム加工法を活用してもよい。次に、FIM観察により、比較的広い視野で、析出炭化物の有無を観察し、任意の30個の析出炭化物のサイズを測定し、その平均値を求める。
また、三次元アトムプローブ測定では、積算されたデータを再構築して、実空間での実際の原子の分布像を求めることができる。析出炭化物の立体分布像の体積と析出炭化物の数から、析出炭化物の個数密度(析出物密度)を求めることができる。
本発明において、フェライト結晶粒内の析出炭化物のサイズは、析出炭化物の最大径、すなわち、析出炭化物が球状の場合は直径、板状の場合は対角長を測定した30個の値の平均値とする。
図1に、鋼板のフェライト結晶粒内の析出炭化物サイズ(nm)と鋼板の穴拡げ率λ(%)の関係を示す。図1によれば、フェライト結晶粒内の析出炭化物の平均サイズが8nmを超える場合は、鋼板の穴拡げ率が著しく低下する。このため、本発明では、鋼板のフェライト結晶粒内の析出炭化物のサイズ(nm)は、8nm以下とする。
さらに、フェライト結晶粒内の析出炭化物により、穴拡げ率を低下させず、鋼板の強度を安定して維持する点から、析出炭化物の平均サイズ(nm)は、好ましくは0.4〜5nmとする。
また、鋼板におけるフェライト結晶粒界においては、粒界が優先核生成サイトとなり、粒界に、比較的粗大な粒界析出炭化物が析出する場合があるが、該析出は、鋼板の伸びフランジ性に悪影響を及ぼさないので、本発明においては、フェライト結晶粒界の析出炭化物のサイズは、特に限定する必要はない。
図2に、2種のフェライト結晶粒の析出炭化物の個数密度と、鋼材の延性および穴拡げ率の関係を示す。
縦軸および横軸は、それぞれ、硬質フェライト結晶粒Aおよび軟質フェライト結晶粒Bの平均析出炭化物の個数密度である。また、図中、目標とする鋼板の伸び(≧20%)と引張強さ(≧590MPa)を共に満足する領域を(1)で示し、目標とする鋼板の穴拡げ率(≧80%)と引張強さ(≧590MPa)を共に満足する領域を(2)で示した。
ここで、2種類あるフェライト粒のうち、析出炭化物の個数密度の高い方の粒を、硬質フェライト結晶粒Aとし、析出炭化物の個数密度の低い方の粒を、軟質フェライト結晶粒Bとし、何れのフェライト結晶粒についても、析出炭化物のサイズは、図1において、穴拡げ率を低下させないサイズ範囲内にある、8nm以下とした。
図2において、硬質フェライト結晶粒Aおよび軟質フェライト結晶粒Bのいずれにおいても、結晶粒内に存在する析出炭化物の個数密度が高くなると、それに伴い、鋼板の強度が上昇するが、両方のフェライト結晶粒内の析出炭化物の個数密度が過度に高くなると、鋼板の伸びおよび穴拡げ率は低下する(図中(4)の領域)。
逆に、硬質フェライト結晶粒Aおよび軟質フェライト結晶粒Bのいずれにおいても、結晶粒内に存在する析出炭化物の個数密度が低くなるほど、鋼板の伸びを確保する上で有利であるが、析出炭化物の個数密度が過度に低くなると、鋼板の引張強さは低下する(図中(3)の領域)。
また、フェライト単相組織を、結晶粒内における析出炭化物の個数密度が異なる2種類のフェライト結晶粒で構成する場合において、鋼板の引張強度を維持しつつ、鋼板の穴拡げ率および伸びの両方の加工性を向上させるためには、2種類のフェライト結晶粒内の析出炭化物の個数密度を、それぞれ、最適な範囲にすることが必要である。
つまり、図2から解るように、鋼板の引張強度590MPa以上の強度と、伸び20%以上の高い延性の両方を満足するためには、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物の個数密度を1×1017個/cm3以上、かつ、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物の個数密度を5×1016個/cm3以下(図中(1)の範囲)とする必要がある。この理由は、析出炭化物密度の低い軟質フェライト粒Bが、延性を確保するからであると考えられる。
さらに、鋼板の引張強度590MPa以上の高強度と、穴拡げ性80%以上の高い伸びフランジ性の両方を満足するためには、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物の個数密度の上限、および、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物の個数密度の下限が、ともに、1×1015〜5×1018個/cm3の範囲内(図中(2)の範囲)にある必要がある。
この理由は、経験的に、鋼板の伸びフランジ性は、強度が同じ場合、一様な組織を持つ鋼板の方が良いことが知られているところ、2種類のフェライト結晶粒内の析出炭化物の個数密度が互いに近いほど、伸びフランジ性が向上するからであると考えられる。
つまり、2種類のフェライト結晶粒内の析出炭化物の個数密度が、互いに、大きく異なる場合には、2種類のフェライト結晶粒間の硬度差が大きくなり、硬質フェライト結晶粒Aが、鋼板の局部伸びが起こった際に割れの起点となると考えられる。
前述したように、従来のフェライトとベイナイトまたはマルテンサイトの2相組織高張力鋼板(DP鋼板)において、鋼板の伸びフランジ性が悪い理由は、フェライトの軟質相とベイナイトまたはマルテンサイトの硬質相との硬度差が大きいためである。したがって、本発明において、2種類のフェライト結晶粒内の析出炭化物の個数密度が、互いに大きくなると、2相組織高張力鋼板(DP鋼板)と同様に、鋼板の伸びフランジ性が劣化するので、好ましくない。
以上のことから、本発明では、目標とする鋼板の引張強度590MPa以上において、20%以上の伸び、および、80%以上の穴拡げ率の全ての特性を満足させるため、前述したように、析出炭化物サイズを、穴拡げ性を阻害しないサイズの8nm以下とすることに加え、フェライト単一組織を構成する2種類のフェライト結晶粒について、硬質フェライト結晶粒A内の析出炭化物の個数密度を1×1017〜5×1018個/cm3とし、軟質フェライト結晶粒B内の析出炭化物の個数密度を1×1015〜5×1016個/cm3とする。
さらに、鋼板の上記特性をより安定して得るためには、好ましくは、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物密度を3×1017〜2×1018個/cm3とし、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物密度を3×1015〜2×1016個/cm3とする。
図1および図2において鋼板の引張強さ、伸び、および、穴拡げ率を満足し、フェライト結晶粒Aについては、析出炭化物がサイズ2nm、析出炭化物の個数密度が6×1017、フェライト結晶粒Bについては、析出炭化物サイズが3nm、析出炭化物の個数密度が7×1015の鋼板について、FIM観察および三次元アトムプローブ法により、硬質フェライト結晶粒Aと、軟質フェライト結晶粒Bの体積を測定し、鋼板組織の全体積に占める硬質フェライト結晶粒Aの体積分率「硬質フェライト結晶粒Aの体積%/(硬質フェライト結晶粒Aの体積%+軟質フェライト結晶粒Bの体積%)」を見積もった。
なお、上記体積分率については、鋼板の化学成分および熱処理条件を変え、硬質フェライト結晶粒Aの体積%を変えることにより調整した。
図3に、鋼板組織の全体積に占める硬質フェライト結晶粒Aの体積分率(A/A+B)と鋼板の強度および延性との関係を示す。図3から、鋼板組織の全体積に占める硬質フェライト結晶粒Aの体積分率を0.1〜0.5の範囲とすることにより、引張強度と鋼板の伸びがともに満足し、強度延性バランスが良好な鋼板を得ることができることが解った。鋼板組織における硬質フェライト結晶粒Aの体積分率が0.1より小さいと、強度が低下し、引張強度590MPa以上の強度を確保することが困難となる。
一方、鋼板の延性を確保するためには、軟質フェライト結晶粒Bをフェライト単相組織中に含有させることが不可欠である。フェライト単相組織中の硬質フェライト結晶粒Aの体積分率が0.5以上となると強度は増加するが、軟質フェライト結晶粒Bの比率の低下に伴い、鋼板の延性および伸びフランジ性が低下するので、鋼板の20%以上の伸びと、80%以上の穴拡げ率を得ることが困難となる。
したがって、本発明では、鋼板の全体積に占める硬質フェライト結晶粒Aの体積分率を0.1〜0.5とする。さらに好ましくは0.15〜0.3とする。
以上の結果より、本発明鋼板のマクロ組織は、硬質フェライト結晶粒Aと軟質フェライト結晶粒Bからなるフェライト単相組織とし、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物の個数密度が1×1017〜5×1018個/cm3、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物の個数密度が1×1015〜5×1016個/cm3であり、かつ、フェライト単相組織における全体積に占める硬質フェライト相Aの体積分率(A/A+B)が0.1〜0.5であるものとする。
これにより、引張強度590MPa以上の強度を有し、かつ、穴拡げ率80%以上の伸びフランジ性、および、伸び20%以上の延性を有する、強度および加工性に優れた高張力鋼板を実現することが可能となる。
また、本発明では、前述のように、2種類のフェライト結晶粒中の析出炭化物サイズと析出炭化物個数密度を規定することにより、それぞれのフェライト結晶粒内に適正量の析出炭化物を分散析出させることに加えて、後述する鋼板成分のCのうち、固溶Cを0.002%以上確保し、それぞれのフェライト結晶の粒界に偏析する偏析炭素を適量残留させることで、鋼板の耐打ち抜き端面の損傷性も良好に維持することができる。なお、固溶C量は、より好ましくは0.005%以上である。
本発明の鋼板では、鋼板の熱延後の冷却過程において、析出炭化物の析出量のピークよりもやや早い段階で冷却を終了し、フェライト結晶粒内に、部分的に、適正サイズおよび適正個数密度の析出炭化物を分散析出させつつ、フェライト結晶粒内に固溶Cを残すことにより、強度、延性、および、伸びフランジ性とともに、鋼板の打ち抜き時の端面の耐損傷性を良好に維持することができる。
さらに、鋼板の打ち抜き時の端面の耐損傷性を向上させるためには、以下の通り、フェライト結晶粒界の粒界偏析C量を適正量化することが好ましい。
表2に、粒界偏析C量の測定結果、および、実施例に示す穴拡げ試験と同様に10mm径の穴を打ち抜き、その端面欠陥の有無を目視観察した結果を示す。また、図4に、鋼板組織中のフェライト結晶粒界の偏析C量と鋼板の打ち抜き端面の損傷発生率との関係を示す。
ここで、粒界偏析C量は、フェライト結晶の粒界面の両側2nm以内に含まれる原子の平均濃度(原子数%)とし、粒界を含む領域の三次元アトムプローブによる測定の結果から、粒界位置両側2nmの範囲を区切り、その中のC原子数から求める平均C濃度である。
表2に示す結果から、鋼板組織中のフェライト結晶粒内に固溶Cが質量%で0.002%以上存在する場合には、結晶粒界に偏析Cが0.5原子数%以上残留させることが可能となることが解る。即ち、表2および図4から、鋼板の打ち抜き端面における損傷の発生を抑制することができる。
フェライト結晶粒界における偏析C量が0.5原子数%以上である場合に、鋼板の耐端面損傷性が向上する理由は、偏析Cにより結晶粒界が強化され、伸びフランジ加工時に、粒界におけるき裂の進展が抑制されるからであると考えられる。
また、表2および図4から、フェライト結晶粒界における偏析C量が3原子数%を超えると、結晶粒界にCが濃化し、鋼板の伸びフランジ性を低下させるセメンタイトの析出を抑えることができなくなり、鋼板の打ち抜き端面の損傷が発生し易くなって、好ましくないことが解る。
図4に示すように、本発明においては、鋼板の伸びフランジ加工時における耐端面損傷性を安定して向上させるために、鋼板のフェライト結晶粒における偏析C量を0.5〜3原子数%とすることが好ましく、より好ましくは0.8〜2%とする。
本発明は、鋼板組織として、上記粒内析出炭化物の析出分散状態の異なる2種類のフェライト結晶粒からなるフェライト単相組織を実現し、鋼板の延性(20%以上)、伸びフランジ性(穴拡げ性:80%以上)、引張強度(590MPa以上)、および、耐打ち抜き端面損傷性の全てを満足する鋼板を実現するためには、鋼板の成分組成を、以下のように規定する必要がある。
なお、本発明においては、以下に説明する基本成分組成により、目的とする鋼板特性は十分に得られる。また、以下に示す「%」は、特に説明がない限り、「質量%」を意味する。
C:Cは、0.01〜0.2%とする。C含有量を0.01%以上としたのは、0.01%未満では強度が低下するからである。一方、C含有量を0.2%以下としたのは、0.2%を超える炭素濃度の増加は、セメンタイトの生成や、パーライトやマルテンサイトなどの変態組織の形成を促進し、本発明で扱うところのフェライト相を得るための製造条件が厳しくなるからである。
Si:Siは、固溶強化元素として強度上昇に有効であるが、Si含有量が0.01%未満では、強度上昇効果が得られず、一方、Si含有量が1.5%を超えると、加工性が劣化する。したがって、Si含有量は0.01〜1.5%の範囲が好ましい。
Mn:Mnは、脱酸、脱硫のために必要であり、また、固溶強化元素としても有効であるが、Mn含有量が0.25%未満では、上記効果が得られず、一方、Mn含有量が3.0%を超えると、偏析が生じ易くなり、伸びフランジ性が劣化する。したがって、Mn含有量は0.25〜3.0%が好ましい。
Ti、Nb、V、Moのうちの1種または2種以上:本発明では、鋼板のフェライト結晶粒内の炭化物析出元素として、Ti、Nb、V、Moのうちの1種または2種以上を、鋼板中に含有させる。
Tiは、フェライト結晶粒内に炭化物を析出し、析出強化により鋼板の強度上昇に寄与するとともに、この析出により、セメンタイト生成に寄与するCを固着する作用をなすが、0.03%未満では、上記効果が不十分であり、一方、0.2%を超えて含有すると、炭化物の粗大化が避けられず、結晶粒内の個数密度を低減する原因となる。したがって、Tiを含有させる場合は、Ti含有量を0.03〜0.2%とするのが好ましい。
V、Nb、Moも、Tiと同様に、フェライト結晶粒内に炭化物を析出し、Tiを補完する析出強化元素として、また、セメンタイト生成に寄与するCを固着する作用をなす元素として添加される。ただし、これらの元素の含有量が0.01%未満であると、上記効果が不十分であり、一方、0.2%を超えると、粗大析出炭化物が生成し、結晶粒内の個数密度を低減する原因となる。したがって、V、Nb、Moを添加する場合は、いずれもその含有量を0.01〜0.2%とするのが好ましい。
以上が、本発明鋼板の基本成分組成であるが、さらに、本発明鋼板において不可避的不純物成分として扱うN、P、S、および、Alの含有量の上限は、以下のように制限するのが好ましい。
N:Nは、TiNを形成し、鋼板の加工性を低下させるので、できるだけ少ないほうが好ましい。特に、N含有量が0.009%を超えると、粗大なTiNが生成し、鋼板の加工性が劣化するので、N含有量は0.009%以下に制限するのが好ましい。
P:Pは、固溶強化元素として作用し、鋼板の強度を上昇させるが、その含有量が高くなると、鋼板の加工性や溶接性が低下するので、好ましくない。特に、P含有量が0.1%を超えると、鋼板の加工性や溶接性の低下が顕著となるので、P含有量は0.1%以下に制限するのが好ましい。
S:S含有量は、高すぎるとMnSなどの介在物を形成し伸びフランジ性を劣化させ、さらに、熱間圧延時に割れを引き起こすので、極力、低減するのが好ましい。特に、熱間圧延時に割れを防止し、加工性を良好にするためには、S含有量を0.005%以下に制限するのが好ましい。
Al:Alは、溶鋼脱酸のために0.002%以上の添加が必要であるが、鋼板の加工性を向上させるためには低減するのが好ましい。Al含有量が0.5%を超えると、Alは、窒化物などの粗大析出物を形成し、鋼板の伸びを劣化させる。鋼板の伸びを良好にするためには、Al含有量は0.5%以下に制限するのが好ましい。
ここで、本発明の熱延鋼板を製造する製造方法について説明する。製造方法は、析出炭化物サイズを8nm以下に抑え、かつ、析出炭化物密度を本発明で規定する範囲内に、粒界偏析C濃度を0.5〜3原子数%の範囲にすることができれば、どのような製造条件を採用しても構わないが、中でも、好ましい製造条件の一つを以下に説明する。
まず、上記成分組成を有する鋼片を1200℃以上の温度に再加熱する。鋼片は、連続鋳造設備で製造した直後のスラブであってもよいし、電気炉で製造したものでもよい。また、1200℃以上の温度への再加熱は、溶鋼から直接製造したスラブに対する加熱条件でもある。
1200℃以上と規定している理由は、炭化物形成元素と炭素を、鋼材中に、十分に分解溶解させるためである。場合によっては、1250℃に上げることもある。そして、1時間以上の加熱保持の後に熱間圧延を施すが、鋼板の特性ばらつきを抑えるためには、オーステナイト域で熱間圧延を終了するのが好ましい。
次に、熱間圧延終了後は、フェライト変態および炭化物の形成を極力抑制するために、30℃/sec以上の速い速度で700℃以下まで冷却することが望ましい。その後、部分的に、フェライト変態および炭化物の析出を実現させるために、700℃から550℃の間のある温度(T1)において、2秒から10秒の間の短時間、保定処理を行うことが望ましい。保定時間が2秒より短いと、フェライト変態および炭化物の析出が起きず、また、10秒より長いと、フェライト変態が進んでしまい、本発明の2種類のフェライト粒を得ることが困難となる。それ故、保定時間は、2〜10秒が好ましい。
次に、T1温度で、短時間、保定した後は、部分的に析出した析出炭化物の粗大化を抑制するために、10℃/sec以上の冷却速度で、600℃から480℃の間のある温度(T2)まで冷却する。その後、未変態部におけるフェライト変態および析出を起こさせるために、T2温度において、再び、2秒から10秒の間の短時間保定処理を行うことが望ましい。
次に、T2温度で、短時間の保定処理を行った後は、再び、10℃/sec以上の冷却速度で、巻取り温度へ冷却する。巻取り温度が350℃未満であると、硬質なマルテンサイトが生成し、伸びフランジ性が劣化する可能性があるので、巻取り温度は350℃以上が望ましい。逆に、巻取り温度が600℃超になると、結晶粒内で炭化物の析出が進み、粒界への偏析C量が減少し、打抜き時に、端面損傷が発生するばかりか、伸びフランジ性に有害なパーライトセメンタイトが生成する可能性があるので、600℃以下での巻取りが好ましい。
このような多段の冷却工程を採用すると、出発成分や途中での保定条件により、様々な鋼材組織を、しばしば形成するが、冷却に係る諸条件を吟味し、析出炭化物密度の異なる2種類のフェライト結晶粒からなる組織を得た時に、本発明が完成し、伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板を製造することができる。
本発明の実施例を、比較例とともに説明する。
表1に示す成分組成を有する材料を種々溶解した。表の成分値は、化学分析値であり、単位は、質量%である。炭化物形成元素として、主に、Tiを選択し、その他、Nb、V、Moを選択した。
Figure 0004528275
次に、それぞれの熱延板について、JIS Z 2201に記載の5号試験片を作製し、JIS Z 2241に記載の試験方法に則って試験し、引張強度を評価した。本発明では、引張強度が590MPa以上の鋼板を対象とする。
伸びフランジ性については、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の試験方法に従う穴拡げ試験を行って評価した。また、打ち抜き端面における損傷の発生の有無は、穴拡げ試験と同様に、鋼板に10mm径の穴を打ち抜き、その端面形状を目視で観察して確認した。
また、鋼板から、0.3mmx0.3mmx10mmの柱状試料を切り出し、その先端部分を、電解研磨で先鋭な針状形状とし、三次元アトムプローブ測定法により、析出炭化物のサイズと密度、および、粒界近傍の偏析C濃度を計測した。さらに、TEM観察により、8nm超の大型析出炭化物の有無を確認した。
一連の結果を、種々の製造条件とともに、表2に示した。表2においては、各試験に用いた試料の鋼種をA〜Dで記載している。種々の製造条件で作製した鋼板について、引張強度(TS)、伸び、穴拡げ率を測定した。材質パラメーターとしての析出炭化物のサイズは、FIM観察および三次元アトムプローブ測定法で計測した時のサイズであり、同密度は、体積当たりの析出炭化物の個数である。
Figure 0004528275
次に、表2に示す各データについて、その概略を説明する。
試料Aを用いた試験1〜4において、試験1では、強度の高い硬質フェライト結晶粒Aの体積比率が不足したために、590MPa以上の強度を実現できず、試験4では、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物密度が高くなって、延性が劣化し、また、粒界C濃度が低下して、打ち抜き端面に損傷が発生した。
試料Bを用いた試験5〜7において、試験6では、1種類のフェライト結晶粒しか存在せず、伸びフランジ性は良いが、十分な延性を確保できず、試験7では、析出炭化物サイズの大きいものが含まれていて、伸びフランジ性が十分でない。
試料Cを用いた試験8〜11において、試験8では、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物密度が非常に低くて、十分な延性を発現しているが、伸びフランジ性が十分でなく、試験10では、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物密度が高く、伸びフランジ性が悪化している。また、試験11では、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物密度が高く、延性が劣化している。
試料Dを用いた試験12〜14において、試験12では、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物密度が低くて、延性が十分でなく、試験13では、軟質フェライト結晶粒Bの析出炭化物密度が低くて、伸びフランジ性が悪化している。
試料Eを用いた試験15〜17において、試験16では、硬質フェライト結晶粒Aの析出炭化物密度が低くて、延性が劣化していて、また、析出炭化物サイズが大きいので、伸びフランジ性も十分でなく、試験17では、フェライト結晶粒ABにおいて析出炭化物が粗大化し、伸びフランジ性、延性が、ともに十分な値に達しておらず、また、粒界C濃度が低下し、打ち抜き端面に損傷が発生している。
前述したように、本発明の適用により、引張強さ590MPaクラス以上で、従来にない伸びフランジ性−延性バランスを有し、かつ、打ち抜き端面の損傷発生を抑制した熱延高強度鋼板を供給することが可能になり、さらに、上記バランスを制御することが可能になった。したがって、本発明は、産業上極めて有用なものである。
析出炭化物サイズの分布(nm)と穴拡げ率(%)の関係を示す図である。 2種類のフェライト結晶粒の析出炭化物密度(個/cm3)と、伸び(%)および穴拡げ率(%)の関係を示す図である。 鋼板が伸び20%以上、かつ、引張強度590MPa以上を達成するときの、硬質フェライト結晶粒Aの体積分率の範囲を示す図である。 鋼板組織中のフェライト結晶粒界の偏析C量と鋼板の打ち抜き端面の損傷発生率との関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 引張強度590MPa以上のフェライト単相組織からなる高強度熱延鋼板において、
    (a)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.25〜3.0%を含有し、さらに、炭化物形成元素として、Ti:0.03〜0.2%、Nb:0.01〜0.2%、V:0.01〜0.2%、および、Mo:0.01〜0.2%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    (b)上記C量のうち、固溶C量が、質量%で、0.002%以上であり、
    (c)上記フェライト単相組織が、(c-1)結晶粒内に、最大径8nm以下の析出炭化物が個数密度1×1017〜5×1018個/cm3で分散した硬質フェライト結晶粒Aと、(c-2)結晶粒内に、最大径8nm以下の析出炭化物が個数密度1×1015〜5×1016個/cm3で分散した軟質フェライト結晶粒Bからなり、かつ、
    (d)全体積に占める上記硬質フェライト結晶粒Aの体積分率A/(A+B)が、0.1〜0.5である
    ことを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 前記硬質フェライト結晶粒Aおよび軟質フェライト結晶粒Bにおける粒界偏析C量が、粒界位置の両側2nmの範囲において平均したとき、原子数%で、0.5〜3%であることを特徴とする請求項1に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板。
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