JP4527973B2 - 苗植付け装置 - Google Patents

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本発明は、植付け爪の先端が回動軌跡を描いて苗載せ台と植付け土壌面の間を機体上下方向に往復移動するように駆動される苗植付け機構を備えた苗植付け装置に関する。
上記苗植付け装置にあっては、植付け爪が苗載せ台からの苗取り出しを終えて下降する行程において、苗載せ台から苗取り出しするなどの他の行程に比して大きな慣性が発生しやすくなる。殊に、植付け爪の先端が回動軌跡の下死点付近を高速で通過するように不等速駆動されると、慣性差が著しく発生しやすくなる。苗植付け機構がこのように慣性差の発生しやすい状態で駆動されると、大きなトルク変動が発生し、苗植付け機構が「シャクリ現象」を起こすなどスムーズに苗植え運動しなくなる。
従来、例えば特許文献1に示されるように、植付け伝動ケース3の出力軸8(植付け駆動軸に相当)に一体回動自在に支持されてこの出力軸8によって回動駆動されるロータリケース10、このロータリケース10に駆動回動自在に設けた植付けアーム13、この植付けアーム13に設けた植付け爪12を備えて、植付け機構を構成し、植付けアーム13をロータリケース10に駆動回動自在に連結している駆動回動自在な支軸14に一体回転自在に設けたカム41、このカム41に巻きバネ43で押圧付勢される制動アーム42を備えて、ガタ吸収機構Gを構成するとともに、このガタ吸収機構Gは、植付け爪12が植付け位置に来ると、制動アーム42がカム41の制動突起41bに摺接する状態になり、支軸14に制動力を作用させて、ロータリケース10の回転に伴うトルク変動(減少)をその制動力と相殺させるものがあった。
特開平10−136735号公報( 〔0012〕,〔0013〕,〔0037〕−〔0039〕、図2,10 )
上記した従来のトルク変動を抑制する技術を採用した場合、トルク変動抑制の機構を苗植付け機構に装備する必要があることから、苗植付け機構が重量化しやすくなっていた。また、重量化することから、トルク変動の抑制効果も得にくくなっていた。
本発明の目的は、苗植付け機構の重量化を回避しながらトルク変動を効果的に抑制した状態で苗植付け機構を駆動することができる苗植付け装置を提供することにある。
本第1発明にあっては、植付け駆動軸によって一体回動自在に支持されるとともに回動駆動されるロータリケース、このロータリケースに回動駆動自在に設けた植付けアーム、この植付けアームに設けた植付け爪を備えて構成され、前記植付け爪の先端が回動軌跡を描いて苗載せ台と植付け土壌面の間を機体上下方向に往復移動するように駆動される苗植付け機構を備えた苗植付け装置において、
前記植付け駆動軸に一体回動自在に連結している回動カム、及び前記回動カムのカム周面に位置する抵抗カム面に圧接操作されて前記回動カムに抵抗付与する抵抗アームを備えて、前記植付け駆動軸に回動抵抗を付与する抵抗機構を構成し、
前記カム周面の所定箇所から前記回動カムの外側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって急傾斜の立ち上がり角度で立ち上がる立ち上がり部、及び前記立ち上がり部の立ち上がり終点部から前記回動カムの内側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって前記立ち上がり角度よりも緩傾斜の下り角度で下る下り部を前記抵抗カム面に備え、
前記植付け爪が前記苗載せ台からの苗取り出しを終えてから下降すると、前記抵抗アームが前記立ち上がり部に当接し始め、前記植付け爪の先端が前記回動軌跡のうちの下死点の手前側に下死点から設定距離を離れて位置する下死点手前箇所に至るに伴って前記抵抗アームが前記立ち上がり部の立ち上がり終点部に当接し、前記植付け爪の先端が前記下死点手前箇所から下降していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部を摺動し、前記植付け爪が苗植付けを完了して前記回動軌跡の上死点に向かって上昇していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部から外れていくように構成してある。
すなわち、植付け爪が苗載せ台から苗取り出しする行程を終えて移動する行程において植付け駆動軸に回動抵抗を付与する抵抗機構を設けてあるものだから、抵抗機構が苗植付け機構以外の部位に位置して苗植付け機構が抵抗機構のために重量アップしないようにしながら、植付け爪が苗取り出しを行なって移動する行程において抵抗機構のために植付け駆動軸に回動抵抗が掛かって苗植付け機構に慣性が付きにくいようにして苗植付け機構を駆動することができる。また、苗植付け機構が重量アップしないことにより、かつ、抵抗機構が植付け駆動軸に回動抵抗を付与してロータリケース及び植付けアームなど苗植付け機構全体の重量に起因する慣性回動を抑制することにより、苗植付け機構の慣性回動を効果的に抑制しながら苗植付け機構を駆動することができる。
従って、本第1発明によれば、苗植付け機構の慣性回動を効果的に抑制し、苗植付け機構をトルク変動が極めて発生しにくい状態で駆動して振動発生が少ない静かな状態で苗植付け作業をすることができる。
本第2発明にあっては、植付け駆動軸によって一体回動自在に支持されるとともに回動駆動される駆動アームと、揺動自在な揺動リンクとによって揺動駆動される植付けアーム、この植付けアームに設けた植付け爪を備えて構成され、前記植付け爪の先端が回動軌跡を描いて苗載せ台と植付け土壌面の間を機体上下方向に往復移動するように駆動される苗植付け機構を備えた苗植付け装置において、
前記植付け駆動軸に一体回動自在に連結している回動カム、及び前記回動カムのカム周面に位置する抵抗カム面に圧接操作されて前記回動カムに抵抗付与する抵抗アームを備えて、前記植付け駆動軸に回動抵抗を付与する抵抗機構を構成し、
前記カム周面の所定箇所から前記回動カムの外側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって急傾斜の立ち上がり角度で立ち上がる立ち上がり部、及び前記立ち上がり部の立ち上がり終点部から前記回動カムの内側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって前記立ち上がり角度よりも緩傾斜の下り角度で下る下り部を前記抵抗カム面に備え、
前記植付け爪が前記苗載せ台からの苗取り出しを終えてから下降すると、前記抵抗アームが前記立ち上がり部に当接し始め、前記植付け爪の先端が前記回動軌跡のうちの下死点の手前側に下死点から設定距離を離れて位置する下死点手前箇所に至るに伴って前記抵抗アームが前記立ち上がり部の立ち上がり終点部に当接し、前記植付け爪の先端が前記下死点手前箇所から下降していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部を摺動し、前記植付け爪が苗植付けを完了して前記回動軌跡の上死点に向かって上昇していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部から外れていくように構成してある。
すなわち、植付け爪が苗載せ台から苗取り出しする行程を終えて移動する行程において植付け駆動軸に回動抵抗を付与する抵抗機構を設けてあるものだから、抵抗機構が苗植付け機構以外の部位に位置して苗植付け機構が抵抗機構のために重量アップしないようにしながら、植付け爪が苗取り出しを行なって移動する行程において抵抗機構のために植付け駆動軸に回動抵抗が掛かって苗植付け機構に慣性が付きにくいようにして苗植付け機構を駆動することができる。また、苗植付け機構が重量アップしないことにより、かつ、抵抗機構が植付け駆動軸に回動抵抗を付与して植付けアームなど苗植付け機構全体の重量に起因する慣性回動を抑制することにより、苗植付け機構の慣性回動を効果的に抑制しながら苗植付け機構を駆動することができる。
従って、本第2発明によれば、苗植付け機構の慣性回動を効果的に抑制し、苗植付け機構をトルク変動が極めて発生しにくい状態で駆動して振動発生が少ない静かな状態で苗植付け作業をすることができる。
本第1及び第2発明の構成によると、抵抗機構を植付け駆動軸に一体回動自在に連結した回動カム、この回動カムに圧接操作される抵抗アームを備えて構成してあるものだから、抵抗機構が構造簡単かつ軽量なものになるようにしながら、植付け機構の慣性回動が抑制されるように植付け駆動軸に回動抵抗を付与することができる。
従って、本第1及び第2発明によれば、抵抗機構を構造簡単及び軽量に得て、苗植付け機構をトルク変動が発生しにくい状態で駆動できるものを安価かつ軽量に得ることができる。
本第発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記植付け駆動軸に対して不等速伝動し、前記植付け爪の先端が前記回動軌跡の下死点付近をその下死点付近の前後よりも高速で通過する状態で苗植付け機構を駆動させる伝動機構を設けてある。
すなわち、株間を大きくして苗植付けされるように苗植付け機構を駆動させると、植付け爪が苗を圃場に植え付ける工程において、植付け爪が圃場内に突入している時間が長くなって植付け爪によって圃場にあけられる植付け穴が走行方向に長くなる。ところが、伝動機構による不等速伝動により、植付け爪の先端が回動軌跡の下死点付近を高速で通過する状態で苗植付け機構を駆動することができるものだから、走行速度に対する爪土壌内速度が速くなり、植付け爪によって圃場に開けられる植付け穴が小さくなるようにしながら大株間で苗植付けさせることができる。
従って、本第発明によれば、大株間での苗植付けを行なわせるのに、植付け爪によって圃場に開けられる植付け穴が小さくなり、植付け苗の姿勢乱れが発生しにくい仕上がりのよい苗植付け作業を行なうことができ、しかも、抵抗機構によって苗植付け機構の慣性回動を抑制し、トルク変動が発生しにくくて振動発生が少ない静かな状態で苗植付け作業できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、左右一対の操向操作自在な前車輪1、及び、左右一対の後車輪2が原動部のエンジンEからの駆動力によって駆動されて走行するように構成し、かつ、原動部の後方に位置する運転座席3を有した運転部、原動部の両横側に位置する予備苗載せ台装置4を備えた自走車体の車体フレーム5の後部に、リフトシリンダ6が付いたリンク機構7を介して苗植付け装置10を連結するとともに、前記エンジンEからの駆動力が回転軸8を介して苗植付け装置10に伝達されるように構成し、自走車体の後部に施肥装置30を設けて、施肥装置付き乗用型田植機を構成してある。
この田植機は、複数条の稲苗の植付けと施肥を行なうものであり、リフトシリンダ6を操作すると、このリフトシリンダ6がリンク機構7を自走車体に対して上下に揺動操作して苗植付け装置10を整地フロート11が植付け土壌面Tに接地した下降作業状態と、複数個の整地フロート11が植付け土壌面Tから高く浮上した上昇非作業状態とに昇降操作する。苗植付け装置10を下降作業状態にして自走車体を走行させると、苗植付け装置10は、これの機体横方向に並ぶ複数の苗植付け機構20によって整地フロート11が整地した後の植付け土壌面に稲苗を植え付けていく。これとともに、施肥装置30は、肥料タンク31の下部に連結している繰り出し機構32によって肥料タンク31から肥料を繰り出し、繰り出し機構32からの肥料を電動ブロワ33からの搬送風によって複数本の施肥ホース34に送り込む。すると、苗植付け装置10の整地フロート11に機体横方向に並べて設けてある複数個の作溝施肥器35のそれぞれが、苗植付け機構20による苗植付け箇所の横側近くで圃場に施肥溝を形成し、この施肥溝に施肥ホース34からの肥料を供給していく。
苗植付け装置10についてさらに詳述すると、この苗植付け装置10は、図1,3に示すように、植付け機体横方向に沿う角形鋼管材で成るメインフレーム12、このメインフレーム12の中央部に連結するフィードケース13、メインフレーム12の複数箇所から植付け機体後方向きに延出する植付け伝動ケース14などで成る植付け機体、前記各植付け伝動ケース14の後端部の両横側に駆動自在に取り付けた前記苗植付け機構20、前記植付け機体の上側に植付け機体横方向に摺動自在に取り付けた苗載せ台15、前記植付け機体の下部に植付け機体横方向に並べて取り付けた前記複数個の整地フロート11を備えて構成してある。
図1,3,8に示すように、前記各苗植付け機構20は、前記植付け伝動ケース14に植付け駆動軸21を介して回転自在に取り付けたロータリケース22、このロータリケース22の両端部に回転自在に取り付けた植付けアーム23、各植付けアーム23に一体回動自在に取り付けた植え付け爪24、各植付けアーム23に摺動駆動自在に設けた苗押し出し具25などを備えて構成してあり、前記回転軸8からフィードケース13の内部に位置する伝動機構16、この伝動機構16の出力軸に一体回転自在に連結している回転伝動軸17、植付け伝動ケース14の内部に位置する伝動チェーン利用の伝動機構18を介して植付け駆動軸21に動力伝達されてこの植付け駆動軸21が回転駆動されると、この植付け駆動軸21によってロータリケース22が植付け駆動軸21の軸芯まわりで回転するように駆動され、前記植付け駆動軸21の駆動力によって駆動されるようにしてロータリケース22の内部に設けたアーム駆動機構(図示せず)によって各植付けアーム23がロータリケース22の駆動に連動してロータリケース22に対して自転回動するように駆動されて、図8に示す如く駆動される。すなわち、各植付けアーム23の植付け爪24の先端が回動軌跡Pを描いて苗載せ台15の下端部と植付け土壌面Tの間を植付け機体上下方向に往復移動するように、かつ、一方の植付けアーム23の植付け爪24の先端が回動軌跡Pの上端部に位置するタイミングでは、他方の植付けアーム23の植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下端部に位置するように駆動される。これにより、各苗植付け機構20は、一対の植付け爪24によって交互に、ガイドレール19の切欠き部で成る苗取り出し口19aにおいて苗載せ台15上のマット状苗の下端部から一株分のブロック苗を切断して保持しながら下降し、植付け土壌面Tにブロック苗を苗押し出し具25によって植付け爪24から押し出して植え付けるように苗植え運動を行なう。
苗載せ台15は、フィードケース13からの駆動力によって回動駆動される図3の如き横送り軸15aを有した横送り機構によって苗植付け機構20の苗植え運動に連動して前記ガイドレール19に沿って植付け機体横方向に往復移送されるように構成してあり、各苗植付け機構20の植付け爪24がマット状苗の下端部からその横一端側から他端側に向けて順次にブロック苗を取り出していくように、マット状苗を前記苗取り出し口19aに対して植付け機体横方向に往復移動させる。
図2に示すように、前記エンジンEの駆動力を、自走車体の前部に位置する静油圧式無段変速装置で成る主変速装置40、この主変速装置40が連結しているフロントミッションケース41の内部に位置する副変速装置50及び前輪差動機構42、自走車体の後部に設けた後輪駆動ケース43を備えた走行用伝動系によって前後輪1,2に伝達するように構成してある。図3に示すように、前記主変速装置40の出力を、前記フロントミッションケース41の内部に位置する株間変速装置60、作業用伝動系においては前記株間変速装置60と互いに直列に位置し合うように配置して自走車体の後部に設けた伝動切り換え装置70、前記回転軸8を備えた作業用伝動系によって苗植付け装置10の入力軸としての前記フィードケース13の入力軸13aに伝達するように構成してあり、さらに詳述すると、次の如く構成してある。
すなわち、図2に示すように、エンジンEの出力軸44の駆動力を伝動ベルト45を介して主変速装置40の入力軸40aに伝達し、この主変速装置40の出力軸40bを、伝動ギヤ46を介して移動作業切り換えミッションとしての副変速装置50の入力ギヤ51に連動させ、この副変速装置50の走行用出力軸52を、伝動ギヤ53を介して前輪用差動機構42の入力ギヤ42aに連動させ、前輪用差動機構42の前記入力ギヤ42aと一体回動するデフケースの駆動力を、前記後輪駆動ケース43を有する後輪伝動機構を介して左右後輪2,2に伝達するようにしてある。
図3に示すように、前記副変速装置50の前記入力ギヤ51が一体回転自在に連結している入力筒軸54の端部に一体部品に形成した作業用出力ギヤに兼用の低速伝動ギヤ55を、伝動ギヤ体80を介して株間変速装置60の入力ギヤ61に連動させ、株間変速装置60の出力ベベルギヤ62を、定位置停止機構が装備された植付けクラッチ81を有した回転伝動軸82を介して伝動切り換え装置70の入力軸71に連動させ、この伝動切り換え装置70の出力軸72を前記回転軸8を介してフィードケース13の入力軸13aに連動させてある。
図2に示すように、前記副変速装置50は、前記入力筒軸54と一体部品に形成してあることによって入力筒軸54と一体回転する高速伝動ギヤ56及び前記低速伝動ギヤ55、前記走行用出力軸52にスプライン構造を介して摺動及び一体回動自在に外嵌しているシフトギヤ体57を備えて構成してあり、このシフトギヤ体57が摺動操作されてシフトギヤ体57の一端側に位置する高速伝動ギヤ57aが入力筒軸54の高速伝動ギヤ56に噛合うと、主変速装置40から入力ギヤ51を介して入力筒軸54に導入した駆動力を両高速伝動ギヤ56,57aを介して走行用出力軸52に伝達してこの走行用出力軸52から前輪差動機構42及び後輪駆動ケース43に伝達するように移動走行用の高速伝動状態になり、前記シフトギヤ体57の他端側に位置する低速伝度ギヤ57bが入力筒軸54の低速伝動ギヤ55に噛合うと、入力筒軸54の駆動力を両低速伝動ギヤ55,57bを介して走行用出力軸52に伝達してこの走行用出力軸52から前輪差動機構42及び後輪駆動ケース43に伝達するように作業用の低速伝動状態になる。
図4に示すように、前記株間変速装置60は、副変速装置50の前記入力筒軸54を相対回転自在に支持する支軸に兼用してあるとともに株間変速装置60の前記入力ギヤ61が中間部に一体回転自在に連結している入力軸63、前記出力ベベルギヤ62が中間部に外嵌しているとともにキー62aによって一体回転自在に係合している出力軸64、この出力軸64と前記入力軸63の間に設けた5組みの非偏芯ギヤ対65A〜65E及び2組の偏芯ギヤ対66,67、前記入力軸63の内部と、フロントミッションケース41のボス部41aにわたって摺動自在に設けたロッド状のシフト部材90を備えて構成してある。
前記5組の非偏芯ギヤ対65A〜65Eは、入力軸63に相対回転自在に外嵌するとともに回転軸芯が円形の中心に合致した円形の非偏芯ギヤ65a〜65eと、出力軸64に対してキーによって一体回転自在に係合した状態で外嵌しているとともに回転軸芯が円形の中心に合致した円形の非偏芯ギヤ65a′〜65e′とによって構成してある。前記2組みの偏芯ギヤ対66,67は、入力軸64に対して相対回転自在に外嵌するとともに回転軸芯が円形の中心から外れた円形の偏芯ギヤ66a,67aと、出力軸64に対してキーによって一体回転自在に係合した状態で外嵌しているとともに回転軸芯が円形の中心から外れた円形の偏芯ギヤ66b,67bとによって構成してある。
図5に偏芯ギヤ対66,67の場合を例示する如く、各ギヤ対65A〜65E、66,67の入力軸63に付いている方のギヤ65a〜65e,66a,67aの内周側のギヤ周方向での複数箇所にクラッチ用凹部91を設け、入力軸63の周方向及び軸芯方向に並ぶ複数個の球体で成るクラッチ体92を、1個のギヤ65a〜65e,66a,67aに対して2個ずつ対応するように配置して、かつ、1個のギヤ65a〜65e,66a,67aに対応する2個のクラッチ体92,92がギヤ65a〜65e,66a,67aの回転方向に等間隔で並ぶように配置して入力軸63に設けてある。前記シフト部材90の前記ボス部41aから外部に突出する端部に連結した変速レバー(図示せず)によってシフト部材90をスライド操作して、シフト部材90の入力軸内端部に位置する操作部93を複数のギヤ65a〜65e,66a,67aから選択した1個のギヤ65a〜65e,66a,67aに合致させると、シフト部材90の前記操作部93が合致したギヤ65a〜65e,66a,67aの前記2個のクラッチ体92をギヤ65a〜65e,66a,67aの方に押圧操作し、この2個のクラッチ体92の一部を入力軸63の保持孔からギヤ65a〜65e,66a,67aの方に突出させてギヤ65a〜65e,66a,67aの前記凹部91に係入させるように、かつ、操作部93が外れた他の各ギヤ65a〜65e,66a,67aの各クラッチ体92は、操作部93による押圧操作が解除されることのために入力軸63の保持孔の方に引退してギヤ65a〜65e,66a,67aの凹部91から離脱するように構成してある。各クラッチ体92は、入力軸64の保持孔に入り込んでいて、入力軸63に対して一体回転自在に係合しており、一部がギヤ65a〜65e,66a,67aの凹部91に係入されると、ギヤ65a〜65e,66a,67aと入力軸63を一体回転自在に連結し、ギヤ65a〜65e,66a,67aの凹部91から離脱すると、ギヤ65a〜65e,66a,67aと入力軸63の連結を解除してそれらの相対回転を許容するようになっている。
各ギヤ対65A〜65E,66,67は、入力軸側のギヤ65a〜65e,66a,67aが前記2個のクラッチ体92によって入力軸63に連結されると、入力軸63の駆動力を出力軸64に伝達するように伝動入り状態になり、入力軸63の等速回転の駆動力を所定の回転速度に変速して出力軸64に伝達するように、かつ、各ギヤ対65A〜65E,66,67が伝動入り状態になったときの各苗植付け機構20による植付け苗の株間Dが図9に示す如くなるように、各ギヤ対65A〜65E,66,67の伝動比を設定してある。5組の非偏芯ギヤ対65A〜65Eは、入力軸63の等速回転の駆動力を等速回転のままで出力軸64に伝達して、ロータリケース22が等速回転する状態に各苗植付け機構20を駆動することになるように、各非偏芯ギヤ対65A〜65Eの伝動角速度比を設定してある。2組の偏芯ギヤ対66,67は、入力軸63の等速回転の駆動力を不等速の回転駆動力に変換して出力軸64に伝達して、ロータリケース22が不等速回転して駆動されて各植付け爪24が回動軌跡Pの下死点付近をその前後よりも高速で通過する状態に各苗植付け機構20を駆動することになるように、かつ、一方の偏芯ギヤ対67が伝動入り状態になって植付け爪24が下死点付近を通過する速度が、他方の偏芯ギヤ対66が伝動入り状態になって植付け爪24が下死点付近を通過する速度よりも高速になるように、2組の偏芯ギヤ対66,67の伝動角速度比を設定してある。
これにより、株間変速装置60は、伝動切り換え装置70とは別に単独で切り換え操作するための専用の切り換えレバー(図示せず)によるシフト部材90の摺動操作により、7組のギヤ対65A〜65E,66,67を入力側ギヤ65a〜65e,66a,67aが2個のクラッチ体92によって入力軸63に連結された伝動入り状態と、入力側ギヤ65a〜65e,66a,67aと入力軸63の連結が解除された伝動切り状態とに切り換わるように、かつ、いずれか1組のギヤ対65A〜65E,66,67だけが伝動入り状態になるように切り換え操作されて、ギヤ対65Aが伝動入り状態になった第1変速伝動状態、ギヤ対65Bが伝動入り状態になった第2変速伝動状態、ギヤ対65Cが伝動入り状態になった第3変速伝動状態、ギヤ対65Dが伝動入り状態になった第4変速伝動状態、ギヤ対65Eが伝動入り状態になった第5変速伝動状態、ギヤ対66が伝動入り状態になった第6変速伝動状態、ギヤ対67が伝動入り状態になった第7変速伝動状態の7段階の変速伝動状態に変速操作され、自走車体の走行速度に対する各苗植付け機構20の駆動速度を7段階に変速して図9に示す7種の株間Dを択一的に現出する。第1〜5変速伝動状態に操作された場合には、入力軸63の駆動力をその等速回転のままで出力ギヤ62から出力し、ロータリケース22が等速回転して苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出するが、第6及び第7変速伝動状態に操作された場合には、入力軸63の駆動力を等速回転から不等速回転に変換して出力ギヤ62から出力し、植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点付近をその前後よりも高速で通過するようにして各苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出する。第7変速伝動状態に操作された場合には、第6変速伝動状態に操作された場合よりも高速で植付け爪24の先端が下死点付近を通過する駆動状態を現出する。
図6に示すように、前記伝動切り換え装置70は、これのミッションケース73の内部に、前記入力軸71と前記出力軸72を同軸芯状に配置するとともに筒軸形の中間伝動軸74を回転自在に設け、入力軸71と中間伝動軸74の間に1組の非偏芯ギヤ対75を設け、中間伝動軸74と出力軸72の間に1組の非偏芯ギヤ対76及び2組の偏芯ギヤ対77,78を設け、中間伝動軸74の内部と、ミッションケース73のボス部73aとにわたってシフトロッド100を摺動自在に設けて構成してある。
入力軸71と中間伝動軸74の間の非偏芯ギヤ対75は、入力軸71に対してスプライン噛合いによって一体回動自在に係合しているとともに回動軸芯が円形の中心に合致した円形の非偏芯ギヤ75aと、中間伝動軸74に一体形成してあることによって中間伝動軸74と一体回動するとともに回動軸芯が円形の中心に合致した円形の非偏芯ギヤ75bとで成り、入力軸71の回転駆動力を変速しないで中間伝動軸74に伝達する。
中間伝動軸74と出力軸72の間の非偏芯ギヤ対76は、中間伝動軸74に対して相対回転自在に外嵌するとともに回転軸芯が円形の中心に合致した円形の非偏芯ギヤ76aと、出力軸72に対してキー72aによって一体回転自在に係合した状態で外嵌しているとともに回転軸芯が円形の中心に合致した円形の非偏芯ギヤ76bとによって構成してある。中間伝動軸74と出力軸72の間の2組の偏芯ギヤ対77,78は、中間伝動軸74に対して相対回転自在に外嵌するとともに回転軸芯が円形の中心から外れた円形の偏芯ギヤ77a,78aと、出力軸72に対してキー72aによって一体回転自在に係合した状態で外嵌しているとともに回転軸芯が円形の中心から外れた円形の偏芯ギヤ77b,78bとによって構成してある。
図7に偏芯ギヤ対77,78の場合を例示する如く、中間伝動軸74と出力軸72の間の各ギヤ対76,77,78の中間伝動軸74に付いている方のギヤ76a,77a,78aの内周部にキー溝101を設け、前記シフトロッド100の前記ボス部73aから外部に突出する端部に連結した切り換えレバー102によってシフトロッド100をスライド操作すると、シフトロッド100の伝動軸内端部に装着してあるクラッチキー103が中間伝動軸74のキー溝104に沿って各ギヤ76a,77a,78aのキー溝101に係脱しながら移動して、いずれか1個のギヤ76a,77a,78aのキー溝101に係入するように構成してある。クラッチキー103は、ギヤ76a,77a,78aのキー溝101に係入すると、ギヤ76a,77a,78aのキー溝101と中間伝動軸74のキー溝104にわたって入り込むことによって、そのギヤ76a,77a,78aと中間伝動軸74を一体回動自在に連結する。
中間伝動軸74と出力軸72の間の各ギヤ対76,77,78は、中間伝動軸74のギヤ76a,77a,78aがクラッチキー103によって中間伝動軸74に連結されると、中間伝動軸74の駆動力を出力軸72に伝達するように伝動入り状態になり、中間伝動軸74と出力軸72の間の非偏芯ギヤ対76は、中間伝動軸74の駆動力を出力軸72に対して等速伝達し、入力軸71が等速回転する場合、出力軸72を入力軸71と同一の回転数で等速回動させ、ロータリケース22が等速回転する状態で各苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出するように構成してある。
中間伝動軸74と出力軸72の間の一方の偏芯ギヤ対77は、中間伝動軸74の回転駆動力を出力軸72に対して不等速伝達し、入力軸71が不等速回転する場合、出力軸72を入力軸71の角速度変化とは異なる角速度変化を備えた不等速回転で回動させ、ロータリケース22が不等速回転して各植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点付近をその前後よりも高速で通過する状態で各苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出するように構成してある。
中間伝動軸74と出力軸72の間の他方の偏芯ギヤ対78は、中間伝動軸74の回転駆動力を出力軸72に対して前記偏芯ギヤ対77の伝動角速度比とは異なる伝動角速度比で不等速伝達し、入力軸71が不等速回転する場合、出力軸72を入力軸71の角速度変化とは異なる角速度変化を備えた不等速回転で回動させ、ロータリケース22が不等速回転して各植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点付近をその前後よりも高速で、前記偏芯ギヤ対77が伝動入り状態になった場合よりもさらに高速で通過する状態で各苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出するように構成してある。
これにより、伝動切り換え装置70は、株間変速装置60とは別に単独で切り換え操作するための専用の切り換えレバー102の揺動操作によるシフトロッド100の摺動操作により、中間伝動軸74と出力軸72の間の3組のギヤ対76,77,78をギヤ76a,77a,78aがクラッチキー103によって中間伝動軸74に連結された伝動入り状態と、ギヤ76a,77a,78aと中間伝動軸74の連結が解除された伝動切り状態とに切り換わるように、かつ、いずれか1組のギヤ対76,77,78だけが伝動入り状態になるように切り換え操作されて、非偏芯ギヤ対76が伝動入り状態になった等速伝動状態と、偏芯ギヤ対77が伝動入り状態になった低速側の不等速伝動状態と、偏芯ギヤ対78が伝動入り状態になった高速側の不等速伝動状態の3段階の伝動状態に変速操作され、等速伝動状態に変速操作されると、株間変速装置60からの等速回転の駆動力を変速しないでその等速回転のままで出力軸72から出力し、ロータリケース22が等速回転する状態で各植付け機構20が駆動される駆動状態を現出する。低速側又は高速側の不等速伝動状態に変速操作されると、株間変速装置60からの不等速回転の駆動力をその角速度変化とは異なる角速度変化を備えた不等速回転の駆動力に変換して出力軸72から出力し、ロータリケース22が不等速回転して各植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点付近をその前後よりも高速で通過するようにして各苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出する。そして、高速側の不等速伝動状態に操作されると、ロータリケース22が低速側の不等速伝動状態に操作された場合とは異なる角速度変化を備えた不等速回転で回転して各植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点付近を通過する速度が低速側の不等速伝動状態に操作された場合のその速度より高速になる状態で各苗植付け機構20が駆動される駆動状態を現出する。
これにより、株間変速装置60の偏芯ギヤ対66,67と、伝動切り換え装置70の偏芯ギヤ対77,78とが、植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点付近をその下死点付近の前後よりも高速で通過する状態で苗植付け機構20が駆動されるように入力を植付け駆動軸21に対して不等速伝動する伝動機構110を構成している。
つまり、植付け作業を行なうに当たり、副変速装置50を低速伝動状態に切り換え操作し、主変速装置40からの駆動力が副変速装置50で走行用と作業用とに分岐されて前後輪1,2と各苗植付け機構20が主変速装置40からの駆動力によって連動させて駆動されるようにしながら、かつ、前後輪1,2に対して比較的低速で出力されて前後輪1,2が圃場泥土による抵抗に抗して強固に駆動されるようにしながら走行する。
このとき、株間変速装置60を第1〜第7変速伝動状態のいずれかの変速伝動状態に変速操作して、自走車体の走行速度に対する苗植付け機構20の駆動速度を所望の株間Dが現出される速度に調節設定しておき、各苗植付け機構20を所望の株間Dで苗植付けしていくように駆動する。さらに、このとき、図9に示すように、株間変速装置60を第1〜第5変速伝動状態のいずれかの変速伝動状態に変速した場合、すなわち株間Dが12〜21cmになるように変速操作した場合、伝動切り換え装置70を等速伝動状態に切り換え操作しておいてロータリケース22が等速回転する状態で苗植付け機構20が駆動されるようにしておく。株間変速装置60を第6変速伝動状態に変速した場合、すなわち株間Dが24cmになるように変速操作した場合、伝動切り換え装置70を低速側の不等速伝動状態に切り換え操作しておいてロータリケース22が不等速回転して各植付け爪24の先端が下死点付近をその前後よりも高速で通過する状態で苗植付け機構20が駆動されるようにしておく。株間変速装置60を第7変速伝動状態に変速した場合、すなわち株間Dが28cmになるように変速操作した場合、伝動切り換え装置70を高速側の不等速伝動状態に切り換え操作しておいてロータリケース22が不等速回転して各植付け爪24の先端が下死点付近をその前後よりも高速で、かつ、伝動切り換え装置70を低速側の不等速伝動状態に変速した場合より高速で通過する状態で苗植付け機構20が駆動されるようにしておき、いずれの場合も、植付け爪24によって植付け土壌面Tに形成される植付け穴が走行方向に長くなることを回避しながら植付け作業する。
図3に示すように、前記各植付け伝動ケース14の後部内に、前記植付け駆動軸21に付設した抵抗機構120を設けてある。
図10,11に示すように、前記各抵抗機構120は、植付け駆動軸21にボス部121aで外嵌している回動カム121、植付け伝動ケース14の左右一対の支持部14aに回転支軸122を介して一端側が回転自在に連結していて、植付け伝動ケース14に対して回転支軸122の軸芯まわりで揺動する抵抗アーム123、前記回転支軸122から一体回転自在に延出する揺動アーム124と植付け伝動ケース14の間に介装したコイルばねで成る抵抗ばね125を備えて構成してある。
回動カム121の前記ボス部121aと植付け駆動軸21とがスプライン構造によって一体回動自在に係合し合っており、回動カム121は植付け駆動軸21とともに図10に示す回動方向Fに回動するように植付け駆動軸21に対して一体回動自在に連結している。抵抗ばね125が揺動アーム124を介して回転支軸21を回転付勢しており、抵抗アーム123は、これの遊端部123aが回動カム121のカム周面に当接するように抵抗ばね125によって回動カム121のカム周面に押圧操作されている。回動カム121のカム周面に、回動カム121の回転方向に等間隔を隔てて並ぶ一対の抵抗カム面126を設けてあるとともに、各抵抗カム面126は図10の如きカム面に形成してある。
すなわち、一対の植付け爪24,24のうちの一方の植付け爪24が苗載せ台15のマット状苗からブロック苗を取り出してから若干下降すると、抵抗アーム123の遊端部123aが一対の抵抗カム面126,126のうちの一方の抵抗カム面126の立ち上がり部126aに当接し始め、この後、植付け爪24がさらに下降し、植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点DP(図8)に至る手前30度の回動位相に植え付け駆動軸21がなるに伴い、抵抗アーム123の遊端部123aが前記一方の抵抗カム面126の立ち上がり終点部126bに至り、この後、植付け爪24がさらに下降していくに伴って、抵抗アーム123の遊端部123aが前記一方の抵抗カム面126の下り部126cを摺動していき、植付け爪24が苗植付けを完了して回動軌跡Pの上死点に向かって上昇していくに伴って、抵抗アーム123の遊端部123aが前記一方の抵抗カム面126の下り部126cから外れていく。一対の植付け爪24,24のうちの他方の植付け爪24が苗載せ台15のマット状苗からブロック苗を取り出してから若干下降すると、抵抗アーム123の遊端部123aが一対の抵抗カム面126,126のうちの他方の抵抗カム面126の立ち上がり部126aに当接し始め、この後、植付け爪24がさらに下降し、植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点DPに至る手前30度の回動位相に植え付け駆動軸21がなるに伴い、抵抗アーム123の遊端部123aが前記他方の抵抗カム面126の立ち上がり終点部126bに至り、この後、植付け爪24がさらに下降していくに伴って、抵抗アーム123の遊端部123aが前記他方の抵抗カム面126の下り部126cを摺動していき、植付け爪24が苗植付けを完了するに伴って、抵抗アーム123の遊端部123aが前記他方の抵抗カム面126の下り部126cから外れていくように各抵抗カム面126を形成してある。
これにより、各抵抗機構120は、一つの苗植付け機構20の一対の植付け爪24,24の一方の植付け爪24が苗載せ台15から苗取り出しする行程を終えて下降移動する行程、及び、他方の植付け爪24が苗載せ台15から苗取り出しする行程を終えて下降移動する行程において、抵抗アーム123が回動カム121の抵抗カム面126に乗り上がって抵抗ばね125を弾性変形させ、この抵抗ばね125によって抵抗アーム123を回動カム121に強く押圧操作することにより、植付け爪24が前記下降移動をする行程以外の行程において付与する回動抵抗に比して強い回動抵抗を植付け駆動軸21に対して付与する。
植付け爪24の先端が回動軌跡Pの下死点DPに至る手前30度の回動位相に植付け駆動軸21がなるとき、苗植付け機構20の駆動負荷が最も軽くなるのであり、トルク変動対策を施さないで苗植付け機構20を駆動した場合に発生するトルク変動、及び、抵抗機構120が付加されるトルクを図12(イ)に示し、抵抗機構120が作用することによって発生するトルク変動を図12(ロ)に示す。
図12(イ)、(ロ)に示す横軸は、苗植付け機構20を駆動する時間tを示し、縦軸はトルクTRを示し、駆動時間t0は、1回の苗植付けを行なうのに必要な駆動時間を示す。図12(イ)の曲線Xはトルク変動対策を施さない場合のトルク変動を示し、図12(イ)の曲線Yは、抵抗機構120が付加するトルクを示す。図12(ロ)の曲線Zは、抵抗機構120が作用することによって発生するトルク変動を示す。
従って、抵抗機構120による抵抗付与のために各苗植付け機構20がトルク変動の少ない状態で駆動され、振動が発生しにくい静かな状態で苗植付け作業を行なうことができる。
〔第2実施形態〕
図13は、第2実施形態を備えた苗植付け装置10の苗植付け機構130を示し、この苗植付け機構130は、植付け伝動ケース14の後端部に駆動回動自在に位置する植付け駆動軸21に一端側が一体回動自在に連結していて、前記植付け駆動軸21によって一体回動自在に支持されているとともに植付け伝動ケース14に対して植付け駆動軸21の軸芯まわり回動する状態に植付け駆動軸21によって駆動される駆動アーム131、この駆動アーム131より機体後方側で植付け伝動ケース14に対して機体横向きの軸芯まわりで機体前後方向に揺動するように連結している揺動リンク132、前記駆動アーム131の遊端側に中間部が相対回動自在に連結し、前記揺動アーム132の遊端側に後端部が相対回動自在に連結していて前端側が機体上下方向に回動移動するように駆動アーム131と揺動アーム132によって揺動駆動される植付けアーム134、この植付けアーム134の前端側に固設した植付け爪135、植付けアーム134の前端側に駆動摺動自在に設けた苗押し出し具136を備えて構成してある。
これにより、この苗植付け機構130は、植付け爪135の先端が回動軌跡Pを描いて苗載せ台15の下端側と植付け土壌面Tの間を機体上下方向に往復移動するように駆動アーム131と揺動リンク132によって駆動され、植付け爪135によって苗載せ台15上のマット状苗の下端部から一株分のブロック苗を切断して保持しながら下降し、植付け土壌面Tにブロック苗を苗押し出し具136によって植付け爪135から押し出して植え付けるように苗植え運動を行なう。
この苗植付け装置10にあっては、自走車体のエンジンEからの駆動力を伝動機構140の入力部に伝達し、この伝動機構140からの回転出力を苗植付け装置10の入力軸に伝達することによって各苗植付け機構130の植付け駆動軸21に伝達すように構成するとともに、伝動機構140は、エンジンEからの回動駆動力を不等速回転の駆動力に変換して前記入力軸から植付け駆動軸21に伝達するように構成してある。これにより、各苗植付け機構130は、植付け爪135の先端が回動軌跡Pの下死点付近をその下死点付近の前後よりも高速で通過する状態で駆動されるようになっている。
この苗植付け装置10にあっては、第1実施形態の苗植付け装置10の抵抗機構120と同様に構成して植付け駆動軸21に付設した抵抗機構120を植付け伝動ケース14の後部内に設けてある。第1実施形態の苗植付け装置10の抵抗機構120にあっては、一対の抵抗カム面126を備えて、植付け駆動軸21が一回転する間に二度回動抵抗を付与するように構成してあるが、この苗植付け装置10の抵抗機構120にあっては、植付け駆動軸21が一回転する間に一度回動抵抗を付与するように構成してある。
施肥装置付き乗用型田植機の全体の側面図 走行用伝動系の概略図 作業用伝動系の概略図 株間変速装置の断面図 株間変速装置の偏芯ギヤ対の正面図 伝動切り換え装置の断面図 伝動切り換え装置の偏芯ギヤ対の正面図 植付け爪の回動軌跡を示す苗植付け機構の側面図 株間変速装置及び伝動切り換え装置の操作要領示す説明図 抵抗機構の側面図 抵抗機構の断面図 (イ)は、抵抗機構を備えない苗植付け機構のトルク変動、及び、抵抗機構が発揮するトルク変動を示す説明図、(ロ)は、抵抗機構を備えた苗植付け機構のトルク変動を示す説明図 別の実施形態を備えた苗植付け機構の側面
20,130 苗植付け機構
21 植付け駆動軸
22 ロータリケース
23,134 植付けアーム
24,135 植付け爪
110,140 伝動機構
120,150 抵抗機構
121 回動カム
123 抵抗アーム
126 抵抗カム面
126a 立ち上がり部
126b 立ち上がり終点部
126c 下り部
131 駆動アーム
132 揺動リン

Claims (3)

  1. 植付け駆動軸によって一体回動自在に支持されるとともに回動駆動されるロータリケース、このロータリケースに回動駆動自在に設けた植付けアーム、この植付けアームに設けた植付け爪を備えて構成され、前記植付け爪の先端が回動軌跡を描いて苗載せ台と植付け土壌面の間を機体上下方向に往復移動するように駆動される苗植付け機構を備えた苗植付け装置であって、
    前記植付け駆動軸に一体回動自在に連結している回動カム、及び前記回動カムのカム周面に位置する抵抗カム面に圧接操作されて前記回動カムに抵抗付与する抵抗アームを備えて、前記植付け駆動軸に回動抵抗を付与する抵抗機構を構成し、
    前記カム周面の所定箇所から前記回動カムの外側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって急傾斜の立ち上がり角度で立ち上がる立ち上がり部、及び前記立ち上がり部の立ち上がり終点部から前記回動カムの内側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって前記立ち上がり角度よりも緩傾斜の下り角度で下る下り部を前記抵抗カム面に備え、
    前記植付け爪が前記苗載せ台からの苗取り出しを終えてから下降すると、前記抵抗アームが前記立ち上がり部に当接し始め、前記植付け爪の先端が前記回動軌跡のうちの下死点の手前側に下死点から設定距離を離れて位置する下死点手前箇所に至るに伴って前記抵抗アームが前記立ち上がり部の立ち上がり終点部に当接し、前記植付け爪の先端が前記下死点手前箇所から下降していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部を摺動し、前記植付け爪が苗植付けを完了して前記回動軌跡の上死点に向かって上昇していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部から外れていくように構成してある苗植付け装置。
  2. 植付け駆動軸によって一体回動自在に支持されるとともに回動駆動される駆動アームと、揺動自在な揺動リンクとによって揺動駆動される植付けアーム、この植付けアームに設けた植付け爪を備えて構成され、前記植付け爪の先端が回動軌跡を描いて苗載せ台と植付け土壌面の間を機体上下方向に往復移動するように駆動される苗植付け機構を備えた苗植付け装置であって、
    前記植付け駆動軸に一体回動自在に連結している回動カム、及び前記回動カムのカム周面に位置する抵抗カム面に圧接操作されて前記回動カムに抵抗付与する抵抗アームを備えて、前記植付け駆動軸に回動抵抗を付与する抵抗機構を構成し、
    前記カム周面の所定箇所から前記回動カムの外側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって急傾斜の立ち上がり角度で立ち上がる立ち上がり部、及び前記立ち上がり部の立ち上がり終点部から前記回動カムの内側にかつ回動カム回動方向上手側に向かって前記立ち上がり角度よりも緩傾斜の下り角度で下る下り部を前記抵抗カム面に備え、
    前記植付け爪が前記苗載せ台からの苗取り出しを終えてから下降すると、前記抵抗アームが前記立ち上がり部に当接し始め、前記植付け爪の先端が前記回動軌跡のうちの下死点の手前側に下死点から設定距離を離れて位置する下死点手前箇所に至るに伴って前記抵抗アームが前記立ち上がり部の立ち上がり終点部に当接し、前記植付け爪の先端が前記下死点手前箇所から下降していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部を摺動し、前記植付け爪が苗植付けを完了して前記回動軌跡の上死点に向かって上昇していくに伴って前記抵抗アームが前記下り部から外れていくように構成してある苗植付け装置。
  3. 前記植付け駆動軸に対して不等速伝動し、前記植付け爪の先端が前記回動軌跡の下死点付近をその下死点付近の前後よりも高速で通過する状態で前記苗植付け機構を駆動させる伝動機構を設けてある請求項1又は2記載の苗植付け装置。
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