JP4527309B2 - ディスク形電磁ブレーキ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主としてエレベーターの巻上機に装備されて、回転ディスクに制動板が押圧されることにより制動動作するディスク形電磁ブレーキに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、例えば特許公開2000−130483号公報に示された構成に類似した従来のディスク形電磁ブレーキの要部を概念的に示す断面図である。図において、1は回転ディスク、2は回転ディスク1の制動面から離れて配置された固定鉄心、3は回転ディスク1の制動面に対面して配置され、この制動面及び固定鉄心2の間に設けられた制動板である。
【0003】
4は可動鉄心で、制動板3の反回転ディスク1側に配置された板状体5及びこの板状体5から突設され回転ディスク1の回転軸線上に配置されて固定鉄心2に摺動可能に嵌合された案内軸6からなり、要時に制動板3の反回転ディスク1側に配置されて、制動板3の反回転ディスク1側に設けられた球面座板7を介して制動板3を押圧する。8は保持片で、両端がそれぞれ制動板3及び板状体5の両者に連結された引張りコイルばねからなり上記両者を結合状態に保持する。
【0004】
9は固定鉄心2に設けられて可動鉄心4の板状体5における反制動板3側に対応して配置された電磁コイル、10は固定鉄心2に設けられて可動鉄心4の板状体5における反制動板3側を押圧する制動ばね、11は固定鉄心2を支持するフレームである。なお、電磁コイル9及び制動ばね10は、固定鉄心2における回転ディスク1の回転軸線を中心とした円周線上に互いに離れて交互に配置されている。
【0005】
従来のディスク形電磁ブレーキは上記のように構成され、例えばエレベーターの停止中、すなわちエレベーターの巻上機(図示しない)の停止中は電磁コイル9が消勢される。そして、制動ばね10によって可動鉄心4が押圧されることによって、制動板3が回転ディスク1に押圧され回転ディスク1を制動するようになっている。
【0006】
これによって、エレベーターの巻上機が制動されてエレベーターの昇降体が停止位置に保持される。また、エレベーターの昇降体の昇降指令によってエレベーターの巻上機が付勢されると共に電磁コイル9が付勢される。これにより、制動ばね10の押圧力に抗して可動鉄心4が吸引されて、可動鉄心4による制動板3の押圧力が消失して回転ディスク1の制動が解除され、エレベーターの巻上機が作動してエレベーターの昇降体が昇降するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のディスク形電磁ブレーキでは、エレベーターの巻上機の運転中に電磁コイル9が単純に消勢されると、制動ばね10の押圧力による全制動力が直ちに作用する。このため、エレベーターの巻上機が急停止するので例えば異常発生時であって、通常運転時における速度制御が行われない場合には過大な減速度がエレベーターの昇降体内乗客に作用するという問題点があった。
【0008】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、電磁コイルの単純消勢時においても直ちに全制動力が作用しないディスク形電磁ブレーキを得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るディスク形電磁ブレーキにおいては、回転ディスクの制動面から離れて配置された固定鉄心と、回転ディスクの制動面及び固定鉄心の間に設けられて回転ディスクの制動面に対面して配置された制動板と、この制動板の反回転ディスク側に配置された板状体及びこの板状体から突設されて回転ディスクの回転軸線上に配置され固定鉄心に摺動可能に嵌合された案内軸からなり要時に制動板を制動面へと押圧する主可動鉄心と、この主可動鉄心の板状体の反制動板側に重合されて回転ディスクの回転軸線方向に変位可能に配置され、要時に板状体を制動板側へと押圧する副可動鉄心と、固定鉄心に設けられて主可動鉄心及び副可動鉄心に対応して配置された電磁コイルと、固定鉄心に設けられて主可動鉄心を制動板側へと押圧する主制動ばねと、固定鉄心に設けられて副可動鉄心を板状体へと押圧する副制動ばねと、主可動鉄心に形成されて固定鉄心に対向して配置された磁気的ギャップ手段とが設けられる。
【0010】
また、この発明に係るディスク形電磁ブレーキにおいては、非磁性材料によって構成された磁気的ギャップ手段が設けられる。
【0011】
また、この発明に係るディスク形電磁ブレーキにおいては、副可動鉄心と固定鉄心との間に形成された空隙よりも、主可動鉄心と固定鉄心との間に形成された幅広の空隙によって構成された磁気的ギャップ手段が設けられる。
【0012】
また、この発明に係るディスク形電磁ブレーキにおいては、主可動鉄心及び副可動鉄心の対向面に設けられて、副可動鉄心の副制動ばねによる動作時における主可動鉄心との衝突を緩衝する緩衝材が配置される。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1はディスク形電磁ブレーキの要部を概念的に示す断面図、図2は図1の側面図である。図において、1は回転ディスク、2は回転ディスク1の制動面から離れて配置された固定鉄心、3は回転ディスク1の制動面に対面して配置され、この制動面及び固定鉄心2の間に設けられた制動板である。
【0014】
12は主可動鉄心で、制動板3の反回転ディスク1側に配置された板状体13、この板状体13から突設されて回転ディスク1の回転軸線上に配置され固定鉄心2に摺動可能に嵌合された案内軸6及び板状体13に設けられて反制動板3側に配置された凹所14からなり、制動板3の反回転ディスク1側に配置されて、制動板3の反回転ディスク1側に設けられた球面座板7を介して制動板3を要時に押圧する。
【0015】
8は保持片で、両端がそれぞれ制動板3及び主可動鉄心12の板状体13の両者に連結された引張りコイルばねからなり上記両者を結合状態に保持する。15は副可動鉄心で、環状をなし主可動鉄心12の案内軸6に挿通されて、主可動鉄心12に形成された凹所14に嵌合されて主可動鉄心12に重合され、回転ディスク1の回転軸線方向に摺動可能に配置されている。
【0016】
16は電磁コイルで、固定鉄心2に設けられて制動板3側において、主可動鉄心12及び副可動鉄心15に対応して配置されている。17は固定鉄心2に設けられて主可動鉄心12に対向して配置されて主可動鉄心12を押圧する主制動ばねである。
【0017】
18は固定鉄心2に設けられて副可動鉄心15に対向して配置されて副可動鉄心15を押圧する副制動ばねである。なお、電磁コイル9と主制動ばね17及び副制動ばね18とは、固定鉄心2における回転ディスク1の回転軸線を中心とした円周線上に互いに離れると共に交互に配置されている。19は磁気的ギャップ手段で、主可動鉄心12の板状体13における固定鉄心2との対向面に装着された黄銅板等の非磁性材料によって形成されて、主可動鉄心12及び固定鉄心2の間に配置されている。11は固定鉄心2を支持するフレームである。
【0018】
上記のように構成されたディスク形電磁ブレーキにおいて、例えばエレベーターの停止中、すなわちエレベーターの巻上機(図示しない)の停止中は電磁コイル16が消勢される。そして、主制動ばね17によって主可動鉄心12が、副制動ばね18によって副可動鉄心15が押圧されることによって、球面座板7を介して制動板3が回転ディスク1に押圧されて回転ディスク1が制動される。
【0019】
これによって、エレベーターの巻上機が制動されてエレベーターの昇降体が停止位置に保持される。また、主可動鉄心12の固定鉄心2との対向面に装着された黄銅板によって磁気的ギャップ手段19が形成されて、固定鉄心2と主可動鉄心12の磁性体相互が吸着しないように構成されている。
そして、エレベーターの昇降体の昇降指令によってエレベーターの巻上機が付勢されると共に電磁コイル16が付勢される。
【0020】
これにより、主制動ばね17の押圧力に抗して主可動鉄心12が吸引され、また副制動ばね18の押圧力に抗して副可動鉄心15が吸引される。このときに、主可動鉄心12よりも固定鉄心2に対して近接して配置された副可動鉄心15が先に固定鉄心2に吸着する。これにより、副可動鉄心15の吸着動作に対応して制動板3の押圧力が減少する。
【0021】
そして、副可動鉄心15の吸着動作後に、主可動鉄心12が主制動ばね17の押圧力に抗して吸引されて固定鉄心2に吸着する。これによって、主可動鉄心12による制動板3の押圧力が消失して回転ディスク1の制動が解除されエレベーターの巻上機が作動してエレベーターの昇降体が昇降する。
【0022】
また、エレベーターの巻上機の運転中に電磁コイル16が単純に消勢された場合に、磁気的ギャップ手段19を介して固定鉄心2に吸着されている主可動鉄心12が主制動ばね17の押圧力によって、副可動鉄心15よりも先に固定鉄心2から離脱する。これによって、主制動ばね17の押圧力による主可動鉄心12の変位によって、制動板3が回転ディスク1に押圧されて制動トルクが発生し始める。
【0023】
また、電磁コイル16の消勢によって副可動鉄心15も副制動ばね18の押圧力により固定鉄心2から離脱する。このときに、副可動鉄心15が固定鉄心2に密着して吸着されているため、電磁気の特性として副可動鉄心15には固定鉄心2から離脱する瞬間に磁束の変化に抵抗する起磁力が作用する。
【0024】
このような固定鉄心2からの離脱時に磁束変化に抵抗して副可動鉄心15に生じる起磁力は、磁気的ギャップ手段19を介して固定鉄心2に吸着されている主可動鉄心12における起磁力よりも強力になる。これにより、副可動鉄心15は短時間であるものの主可動鉄心12よりも遅れて固定鉄心2から離脱して、副制動ばね18の押圧力による副可動鉄心15の変位により、制動板3が回転ディスク1に押圧されて制動トルクが付加される。
【0025】
これによって、エレベーターの巻上機の運転中に電磁コイル16が単純に消勢されたときに、主可動鉄心12及び副可動鉄心15の制動板3を押圧する作用に時差が発生する。したがって、電磁コイル16の単純消勢時において発生する制動トルクが二段階に作用し、主制動ばね17及び副制動ばね18の押圧力に基づく全制動力が直ちに作用することが無い。
【0026】
このため、エレベーターの巻上機が急停止することが無く、例えば異常発生時であって、通常運転時における速度制御が行われることなくエレベーターが緊急停止する場合に、過大な減速度によってエレベーターの巻上機が急停止し、衝撃が発生してエレベーターの昇降体内の乗客が不快感を感じる不具合を解消することができる。
【0027】
また、図1及び図2の実施の形態における構成を応用して、容易に次に述べるようにディスク形電磁ブレーキを構成することができる。すなわち、主可動鉄心12及び副可動鉄心15によって構成された可動鉄心に、さらに主可動鉄心12の反制動板3側に重合された環状の第三の可動鉄心を追加する。そして、固定鉄心2に第三の可動鉄心を押圧する第三の制動ばねを追加した構造とする。このような構成においても磁気的ギャップ手段を設けることにより、それぞれの可動鉄心による制動板3の押圧動作に時差を発生させることによって図1及び図2の実施の形態における作用を得ることができる。
【0028】
実施の形態2.
図3は、この発明の他の実施の形態の一例を示す前述の図1相当図である。図において、前述の図1及び図2と同符号は相当部分を示し、20は磁気的ギャップ手段で、主可動鉄心12の板状体13における固定鉄心2との対向面に形成されて、副可動鉄心15及び固定鉄心2の対向面の間に形成された空隙よりも幅広の空隙によって構成されている。
【0029】
上記のように構成されたディスク形電磁ブレーキにおいても、主可動鉄心12の板状体13における固定鉄心2との対向面に磁気的ギャップ手段20が構成されている。そして、エレベーターの巻上機の通常運転中に電磁コイル16が単純に消勢されたときに、磁気的ギャップ手段20により主可動鉄心12及び副可動鉄心15による制動板3押圧作用に時差が発生する。
【0030】
したがって、詳細な説明を省略するが図3の実施の形態においても図1及び図2の実施の形態と同様な作用が得られる。また、図3の実施の形態において前述の黄銅板によって形成された磁気的ギャップ手段19を主可動鉄心12に装着する必要がなく、磁気的ギャップ手段19の製作及び取付の費用を節減することができる。
【0031】
実施の形態3.
図4も、この発明の他の実施の形態の一例を示す前述の図3相当図である。図において、前述の図3と同符号は相当部分を示し、21は磁気的ギャップ手段で、副可動鉄心15の固定鉄心2との対向面に装着された黄銅板によって形成されて、副可動鉄心15及び固定鉄心2の間に配置されている。
【0032】
上記のように構成されたディスク形電磁ブレーキにおいて、副可動鉄心15と固定鉄心2との対向面に磁気的ギャップ手段21が構成される。そして、エレベーターの巻上機の通常運転中に電磁コイル16が単純に消勢されたときに、磁気的ギャップ手段20により主可動鉄心12及び副可動鉄心15による制動板3押圧作用に時差が発生する。
【0033】
したがって、詳細な説明を省略するが図4の実施の形態においても図1及び図2の実施の形態と同様な作用が得られる。また、図4の実施の形態において電磁コイル16が消勢されたときに副可動鉄心15に磁気的ギャップ手段21が構成されているので、副可動鉄心15における逆起磁力の影響が少なくなる。このため、副可動鉄心15と固定鉄心2が密着している場合よりも、副可動鉄心15の制動動作応答を早期化することができる。これにより、主可動鉄心12及び副可動鉄心15による制動板3押圧作用の時差を適宜に調整することができ、所要の制動性能を容易に実現することができる。
【0034】
実施の形態4.
図5も、この発明の他の実施の形態の一例を示す前述の図3相当図である。図において、前述の図3と同符号は相当部分を示し、22は緩衝材で、主可動鉄心12の凹所14における底面に敷き詰められて、副可動鉄心15の制動板3側の面に対向する。
【0035】
上記のように構成されたディスク形電磁ブレーキにおいて、主可動鉄心12と固定鉄心2との対向面に磁気的ギャップ手段20が構成されている。そして、エレベーターの巻上機の通常運転中に電磁コイル16が単純に消勢されたときに、磁気的ギャップ手段20により主可動鉄心12及び副可動鉄心15による制動板3押圧作用に時差が発生する。
【0036】
したがって、詳細な説明を省略するが図5の実施の形態においても図1及び図2の実施の形態と同様な作用が得られる。また、図5の実施の形態において電磁コイル16が消勢されたときに副制動ばね18の押圧力によって副可動鉄心15が変位する。このときの主可動鉄心12に対する副可動鉄心15の衝突が緩衝材22によって緩衝される。このため、制動動作時に発生する衝突音が少なくなって制動動作を静粛化することができる。
【0037】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、回転ディスクの制動面から離れて配置された固定鉄心と、回転ディスクの制動面及び固定鉄心の間に設けられて回転ディスクの制動面に対面して配置された制動板と、この制動板の反回転ディスク側に配置された板状体及びこの板状体から突設されて回転ディスクの回転軸線上に配置され固定鉄心に摺動可能に嵌合された案内軸からなり要時に制動板を制動面へと押圧する主可動鉄心と、この主可動鉄心の板状体の反制動板側に重合されて回転ディスクの回転軸線方向に変位可能に配置され、要時に板状体を制動板側へと押圧する副可動鉄心と、固定鉄心に設けられて主可動鉄心及び副可動鉄心に対応して配置された電磁コイルと、固定鉄心に設けられて主可動鉄心を制動板側へと押圧する主制動ばねと、固定鉄心に設けられて副可動鉄心を板状体へと押圧する副制動ばねと、主可動鉄心に形成されて固定鉄心に対向して配置された磁気的ギャップ手段とを設けたものである。
【0038】
このような構成によって、ディスク形電磁ブレーキが次に述べるように制動動作する。すなわち、付勢されていた電磁コイルが単純に消勢されると、磁気的ギャップ手段を介して固定鉄心に吸着されている主可動鉄心が主制動ばねの押圧力によって、副可動鉄心よりも先に固定鉄心から離脱する。これによって、主可動鉄心及び副可動鉄心における制動板の押圧作用に時差が発生して、電磁コイルの消勢時において発生する制動トルクが二段階に作用する。このため、主制動ばね及び副制動ばねの押圧力に基づく全制動力が直ちに作用することが無い。したがって、制動される機器が過大な減速度によって急停止することが無く、急停止による衝撃等に伴う不具合の発生を未然に防止する効果がある。
【0039】
また、この発明は以上説明したように、非磁性材料によって構成された磁気的ギャップ手段を設けたものである。
【0040】
このような構成によって、ディスク形電磁ブレーキが次に述べるように制動動作する。すなわち、付勢されていた電磁コイルが単純に消勢されると、非磁性材料によって形成された磁気的ギャップ手段を介して固定鉄心に吸着されている主可動鉄心が主制動ばねの押圧力によって、副可動鉄心よりも先に固定鉄心から離脱する。これによって、主可動鉄心及び副可動鉄心における制動板の押圧作用に時差が発生して、電磁コイルの消勢時において発生する制動トルクが二段階に作用する。このため、主制動ばね及び副制動ばねの押圧力に基づく全制動力が直ちに作用することが無い。したがって、制動される機器が過大な減速度によって急停止することが無く、急停止による衝撃等に伴う不具合の発生を未然に防止する効果がある。
【0041】
また、この発明は以上説明したように、副可動鉄心と固定鉄心との間に形成された空隙よりも、主可動鉄心と固定鉄心との間に形成された幅広の空隙によって構成された磁気的ギャップ手段を設けたものである。
【0042】
このような構成によって、ディスク形電磁ブレーキが次に述べるように制動動作する。すなわち、付勢されていた電磁コイルが単純に消勢されると、副可動鉄心と固定鉄心との間に形成された空隙よりも、主可動鉄心と固定鉄心との間に形成された幅広の空隙によって形成された磁気的ギャップ手段を介して、固定鉄心に吸着されている主可動鉄心が主制動ばねの押圧力によって、副可動鉄心よりも先に固定鉄心から離脱する。これによって、主可動鉄心及び副可動鉄心における制動板の押圧作用に時差が発生して、電磁コイルの消勢時おいて発生する制動トルクが二段階に作用する。このため、主制動ばね及び副制動ばねの押圧力に基づく全制動力が直ちに作用することが無い。したがって、制動される機器が過大な減速度によって急停止することが無く、急停止による衝撃等に伴う不具合の発生を未然に防止する効果がある。
【0043】
また、この発明は以上説明したように、主可動鉄心及び副可動鉄心の対向面に設けられて、副可動鉄心の副制動ばねによる動作時における主可動鉄心との衝突を緩衝する緩衝材が配置される。
【0044】
このような構成によって、ディスク形電磁ブレーキが次に述べるように制動動作する。すなわち、付勢されていた電磁コイルが単純に消勢されると、磁気的ギャップ手段を介して固定鉄心に吸着されている主可動鉄心が主制動ばねの押圧力によって、副可動鉄心よりも先に固定鉄心から離脱する。これによって、主可動鉄心及び副可動鉄心における制動板の押圧作用に時差が発生して、電磁コイルの消勢時おいて発生する制動トルクが二段階に作用する。このため、主制動ばね及び副制動ばねの押圧力に基づく全制動力が直ちに作用することが無い。したがって、制動される機器が過大な減速度によって急停止することが無く、急停止による衝撃等に伴う不具合の発生を未然に防止する効果がある。また、緩衝材が設けられているので、副可動鉄心の動作時における主可動鉄心との衝突が緩衝され、衝突音が少なくなって制動動作を静粛化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す図で、ディスク形電磁ブレーキの要部を概念的に示す断面図。
【図2】 図1の側面図。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す図で、前述の図1相当図。
【図4】 この発明の実施の形態3を示す図で、前述の図3相当図。
【図5】 この発明の実施の形態4を示す図で、前述の図3相当図。
【図6】 従来のディスク形電磁ブレーキの要部を概念的に示す断面図。
【符号の説明】
1 回転ディスク、 2 固定鉄心、 3 制動板、 6 案内軸、 12 主可動鉄心、 13 板状体、 14 凹所、 15 副可動鉄心、 16 電磁コイル、 17 主制動ばね、 18 副制動ばね、 19 磁気的ギャップ手段、 20 磁気的ギャップ手段、 21 磁気的ギャップ手段、 22 緩衝材。

Claims (4)

  1. 回転ディスクの制動面から離れて配置された固定鉄心と、
    上記制動面及び固定鉄心の間に設けられて上記制動面に対面して配置された制動板と、
    上記制動板の反上記回転ディスク側に配置された板状体及びこの板状体から突設されて上記回転ディスクの回転軸線上に配置され上記固定鉄心に摺動可能に嵌合された案内軸からなり要時に上記制動板を上記制動面へと押圧する主可動鉄心と、
    上記板状体の反上記制動板側に重合されて上記回転軸線方向に変位可能に配置され、要時に上記板状体を上記制動板側へと押圧する副可動鉄心と、
    上記固定鉄心に設けられて上記主可動鉄心及び副可動鉄心に対応して配置された電磁コイルと、
    上記固定鉄心に設けられて上記主可動鉄心を上記制動板側へと押圧する主制動ばねと、
    上記固定鉄心に設けられて上記副可動鉄心を上記板状体へと押圧する副制動ばねと、
    上記主可動鉄心に形成されて上記固定鉄心に対向して配置された磁気的ギャップ手段とを備えたディスク形電磁ブレーキ。
  2. 磁気的ギャップ手段を、非磁性材料によって構成されたものとしたことを特徴とする請求項1記載のディスク形電磁ブレーキ。
  3. 磁気的ギャップ手段を、副可動鉄心と固定鉄心との間に形成された空隙よりも、主可動鉄心と上記固定鉄心との間に形成された幅広の空隙によって構成されたものとしたことを特徴とする請求項1記載のディスク形電磁ブレーキ。
  4. 主可動鉄心及び副可動鉄心の対向面に設けられて上記副可動鉄心の副制動ばねによる動作時における上記主可動鉄心との衝突を緩衝する緩衝材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載のディスク形電磁ブレーキ。
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