JP4525885B2 - フォトレジスト用現像液及びフォトレジストの現像方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォトレジスト用現像液に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIデバイスの製造におけるリソグラフィー技術では、回路の高密度化、超微細化が更に要求され、露光光源は従来のi線(波長365nm)などの水銀ランプから、より短波長であるKrFエキシマレーザ(波長248nm)、更にはArFエキシマレーザ(193nm)に移行しつつある。
【0003】
この様な光源の移行に伴い、使用するフォトレジストも、従来のノボラック樹脂とナフトキノンジアジド化合物を組み合わせた組成物から、ベース樹脂に光酸発生剤を含有した化学増幅型レジスト組成物に移行しつつあり、更には、ベース樹脂も従来のノボラック樹脂のようなフェノール系樹脂からArFエキシマレーザ光に透明性を有するテルペン、ボルネン、トリシクロデカン、アダマンタンなどの脂環式化合物に代わりつつある。
【0004】
このようなレジスト用の現像液としては、一般にはアルカリ性化合物の水溶液が使用されるが、LSIデバイス製造には、デバイス特性に悪影響を及ぼす金属を含有しない非金属アルカリ化合物、例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物(以下、TMAHと略称する。)のような第四級アンモニウム水酸化物の水溶液が使用される。
【0005】
このような現像液はレジスト表面に対しての濡性が十分でなく、微細なレジストパターンに対する浸透が不十分となる、または、基板の面内全体に均一に作用しないなど現像不良の原因となる場合があった。そこで、上記の問題を解決するために、特公平6−38159号公報では有機塩基の水溶液に非イオン性界面活性剤が添加された現像液などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ArFエキシマレーザー用の脂環式化合物系のレジストではレジスト表面の疎水性が益々顕著となり、上記のような現像液でも濡性は不十分であり、また、現像液に添加する界面活性剤の種類によっては高露光部と低露光部の溶解選択性が十分とれないという問題があった。更には、従来のフェノール樹脂をベースとするレジストに使用してきた現像液を、脂環式化合物系レジストに適用した場合には、現像後に溶解部にレジストの溶け残りが発生する問題もあった。このような問題により、微細なパターンを安定して形成できる脂環式化合物系レジスト用の現像液に対する需要が拡大していた。
【0007】
そこで、本発明は、脂環式化合物系レジストに対する濡性と溶解選択性に優れ、更には現像後の溶解残渣を発生せず、微細なパターンを安定して形成することが可能な現像液、及び、現像方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、脂環式アミン化合物と非金属アルカリ化合物を含有するフォトレジスト用現像液が、脂環式化合物系レジストに対する濡性と溶解選択性に優れ、更には現像後の溶解残渣を発生せず、微細なパターンを安定して形成することが可能であることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0010】
本発明の現像液の原料には非金属アルカリ化合物が使用される。この非金属アルカリ化合物としては、従来からアルカリ可溶性レジストの現像液として使用されるものをそのまま使用することができる。具体的には、一級、二級、三級の脂肪族アミン類の水溶液、炭素、窒素、酸素、硫黄原子の中から選ばれた少なくとも1種を含む複素環式アミンの水溶液、又は第四級アンモニウム水酸化物などである。これらの内、揮発性がなくハンドリングが容易である、現像特性が優れているなどの理由で第四級アンモニウム水酸化物が特に好適である。
【0011】
一級、二級、三級の脂肪族アミン類としてはプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0012】
複素環式アミン類としては、ピロール、ピロリジン、ピロリドン、ピリジン、モルホリン、ピラジン、ピペリジン、オキサゾール、チアゾール等が挙げられる。
【0013】
第四級アンモニウム水酸化物の例としてはテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、トリメチルエチルアンモニウム水酸化物、トリエチルメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラプロピルアンモニウム水酸化物、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物)などが挙げられ、これらの中ではTMAH、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物が特に好適である。これら第四級アンモニウム水酸化物は単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもかまわない。
【0014】
現像液中の非金属アルカリ化合物の濃度としては、使用されるアルカリによって、pHが13〜14となるように適切な濃度が選ばれるが、一般的に0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。濃度がこの範囲より低いと溶解に時間を要し現像時間が長くなり、またこの範囲より高いと溶解選択性を損なう点で好ましくない。
【0015】
本発明の現像液の原料として前記アルカリ化合物とともに、脂環式アミン化合物が使用される。脂環式アミン化合物は現像液に含まれることでその表面張力を下げるとともに、レジストの脂環骨格との親和性を高めることでレジストに対する濡性を向上させ、更に現像溶解部に溶解残渣を残さない働きを示すものである。
【0016】
本発明に使用される脂環式アミン化合物の脂環骨格としては、一般式Cn2n(n=3以上)で表される環状シクロ化合物や環状ビシクロ化合物、及びそれらの縮合環などが挙げられ、具体的には例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロヘプタン環、及びシクロオクタン環などが挙げられる。またこれらの脂環化合物に橋かけ炭化水素が導入された化合物も用いることができ、具体的には、スピロヘプタン、スピロオクタンなどのスピロ環、ノルボニル環、アダマンチル環、ボルネン環、メンチル環、メンタン環などのテルペン環、ツジャン、サビネン、ツジョン、コレステリック環などのステロイド骨格、ショウノウ環、イソショウノウ環、セスキテルペン環、サントン環、ジテルペン環、トリテルペン環などが挙げられる。
【0017】
脂環式アミン化合物は分子中にアミノ基を1以上有しているものであり、そのアミノ基としては、一般式−N・R12 (R1とR2は水素又は炭素数1〜4の炭化水素)で表されるアミノ基、又は−(CH2n−N・R34(n=1〜6、R3とR4は水素又は炭素数1〜4の炭化水素)で表されるアミノアルキル基が挙げられる。
【0018】
前記の脂環式アミン化合物は、分子中にアミノ基の他にアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、又はニトロ基などから選ばれる1種またはそれ以上が脂環骨格に直接結合している化合物でもよい。
【0019】
アミノ基を分子構造に含む脂環式化合物としては、アミノシクロブタン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノシクロヘプタン、1,2―ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、アミノメチルシクロブタン、アミノメチルシクロペンタン、アミノメチルシクロヘキサン、1,2−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン、1,4−ビス−(アミノメチル)−シクロペンタン、1,4−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、メチレン−ビス−4,4’−アミノシクロヘキサン、メチレン−ビス−2,4’−アミノシクロヘキサン、及び、ビス−(アミノメチル)−トリシクロデカン類、アミノメチルノルボルネン類、ビス−(アミノメチル)−ノルボルネン類、イソホロンジアミン類などが好ましい。これらの内、生分解性に優れ、生体毒性の少ない1,3−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン、1,4−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン等のシクロヘキサン環を有する脂環式化合物が特に好適である。
【0020】
現像液中の脂環式アミン化合物含有量としては、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.02〜1重量%である。この範囲より少ないと、表面張力が低下しないなどレジスト親和性が低下する。この範囲より多いと、溶解選択性が十分でなくなる。尚、脂環式アミン化合物は、必要に応じて、2種以上を混合して使用しても良い。
【0021】
本発明の現像液には、脂環式アミン化合物及び非金属アルカリ化合物の他に、従来の現像液で添加されていた公知の添加成分、例えば、界面活性剤、有機溶剤、防食剤等を合わせて使用しても良い。
【0022】
本発明の現像液はArFエキシマレーザー用化学増幅型レジストに特に好適である。このレジストは脂環式化合物を含むアルカリ可溶性樹脂に保護基を導入した樹脂と光酸発生剤を組み合わせた脂環式レジストである。このようなレジストの例としては、脂環式化合物としては、アダマンチル(メタクリレート)系やイソボニルメタクリレート系重合体、または、その誘導体等が挙げられる。また、保護基としては、t−ブチルオキシカルボニル基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
【0023】
光酸発生剤としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ハロゲン化イソシアヌレート、ハロゲン化トリアジン、ニトロベンジルスルフォン酸エステル、ジアゾナフトキノン−4−スルフォン酸エステル、アルキルスルフォン酸エステル等が挙げられる。
【0024】
本発明の現像液は従来の芳香族系のアルカリ可溶性樹脂と光酸発生剤を組み合わせたレジスト、及びアルカリ可溶性のノボラック樹脂とアジド化合物系感光剤を組み合わせたレジストなどアルカリ現像型のポジ、及び、ネガ型レジストにも使用することができる。
【0025】
現像方法は、一般的には、基板表面上に現像液を滴下するパドル法、現像液槽に基板を浸漬するディップ法、基板にスプレーするスプレー法などの方法により、露光されたフォトレジストを現像する。本発明の現像液はいずれの方法にも適用できる。現像時の温度は10〜60℃、好ましくは15〜30℃である。
【0026】
本発明の現像液、及び現像方法によれば、ArFエキシマレーザーを用いた脂環式レジストの現像において基板面内均一性、及び、溶解選択性に優れた現像を行うことが可能となり基板上に微細なデバイス構造を形成することができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例1〜10
非金属アルカリ化合物としてTMAHを2.38重量%、及び、表1に示す種々の脂環式アミン化合物を0.2重量%含有する水溶液を調整し現像液とした。調製した現像液の表面張力を表1に示す。
【0029】
最初に、ArFエキシマレーザー用ポジ型フォトレジストをスピナーにより6インチシリコンウェハー上に0.5マイクロメーターの膜厚で塗布した。次いで、ホットプレート上で100℃で2分間のプリベークを行った。その後、波長193nmのArFエキシマレーザー光を光源とした露光装置を用いてパターン露光を行い、露光後速やかにホットプレート上で110℃で2分間のベークを行った。
【0030】
表1記載の組成の現像液を用いて、2分間現像してレジストパターンを形成した。現像後のシリコンウェハー上の未露光部のレジスト膜厚を膜厚計を用いて測定し残膜量を求めた。また、SEM観察により露光部のレジスト溶解残渣の有無を確認した。これらの結果を表1に示す。表中、○は残渣が観察されなかった、△は残渣が多少観察された、×は残渣が顕著に観察されたことを表す。
【0031】
表1に示した様に実施例の現像液で現像を行った場合、未露光部の膜減りは抑制され、また露光部の溶解残渣も認められず、良好な結果であった。
【0032】
比較例1〜3
TMAH2.38重量%水溶液、及び添加剤としてトリブチルアミン、ヘキサメチレンジアミンを加えた現像液を調製した。実施例と同様に現像を行い評価した。その結果を表1に示す。表中の記号は実施例と同様である。未露光部の残膜量は実施例の現像液と同様であったが、露光部にはレジストの溶解残渣が認められた。
【0033】
【表1】
Figure 0004525885
【0034】
【発明の効果】
本発明のレジスト現像液は脂環式化合物系レジストに対する濡性に優れ、現像の均一性を高めることができる。更には溶解選択性、及び現像後の溶解残渣が発生しないため、ArFエキシマレーザーを用いた超微細構造のパターンを精度良く安定して形成することが可能となる。

Claims (3)

  1. 脂環式化合物から成るArFエキシマレーザー用化学増幅型フォトレジストの現像液であって、1,3−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン、1,4−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン、アミノシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メチレン−ビス−4,4‘−アミノシクロヘキサン、メチレン−ビス−2,4‘−アミノシクロヘキサン、アミノメチルノルボルネン、およびビス−(アミノメチル)−トリシクロデカンから選択される1種以上第4級アンモニウム水酸化物を含有するフォトレジスト用現像液。
  2. 第4級アンモニウム水酸化物がテトラメチルアンモニウム水酸化物、および/またはトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物で有ることを特徴とする請求項1記載のフォトレジスト用現像液。
  3. 請求項1記載のフォトレジスト用現像液を用いて、露光されたフォトレジストを現像することを特徴とするフォトレジストの現像方法。
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