JP4525451B2 - 半導体装置及びそれを用いたイメージセンサ装置 - Google Patents

半導体装置及びそれを用いたイメージセンサ装置 Download PDF

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Description

本発明は半導体装置及びそれを用いたイメージセンサ装置に関し、特に絶縁基板上に半導体素子が形成された半導体装置及びそれを用いたイメージセンサ装置に関する。
絶縁基板上に半導体素子が形成された半導体装置として、従来よりガラス基板上に多結晶シリコンによる薄膜トランジスタを形成した半導体装置が知られている。ガラス基板を用いるため、液晶表示装置等の光学装置に適応できる、安価である、配線の寄生容量が非常に小さい、チップサイズの制限が少ない等の利点をもつ。
ところで、特開昭60−22881号公報には、上記装置としてイメージセンサに関する技術が開示されている。同公報によれば、図15に示されているように、このイメージセンサは一次元の密着型イメージセンサであって、絶縁基板上に作成した多結晶シリコンによる薄膜トランジスタで形成した走査回路101と、同薄膜トランジスタによるスイッチ105と、半導体光導電膜とから構成される。そして、イメージセンサのチップサイズは、その長手方向に30cmのものが作成できるとされている。なお、同図中の102はエレメント、103はスイッチング回路、104は感光セルである。
しかしながら、本発明者がガラス基板上にイメージセンサを作成し実施を試みたところ大きな問題点に直面した。ここで、本発明者が実施を試みたイメージセンサについて説明する。
図16は実施を試みたイメージセンサのブロック図である。このイメージセンサは厚さ1.1mmのガラス基板上に作成した一次元の密着型イメージセンサであって、その長手方向のチップサイズは120mm、短手方向のチップサイズは2mmである。このイメージセンサの回路は、多結晶シリコン薄膜トランジスタで構成したCMOS型走査回路101と、多結晶シリコン薄膜トランジスタのスイッチ105と、アモルファスシリコン薄膜で作成したフォトダイオード113とから構成されている。走査回路101は基本的にシフトレジスタである。そして、このシフトレジスタの各段の出力はバッファを介してスイッチのゲート端子114に入力され、スイッチのオン/オフをコントロールする。走査回路101の走査段数、すなわちフォトダイオードの数は864である。なお、図16中に記したC1〜C8、及びCgdは全て寄生素子であり、後に参照する。イメージセンサの出力端子115には、初段アンプとしてI−V変換器111を接続し、I−V変換器の出力に積分器112を接続した。
イメージセンサ素子の断面構造について、図17を参照しながら説明する。1.1mmのガラス基板120上に酸化シリコン膜121を形成し、その上に多結晶シリコン膜100を活性層とする薄膜トランジスタ123を形成している。薄膜トランジスタのゲート電極124を形成した後、酸化シリコン膜からなる層間膜125で覆い、その上にフォトダイオード126を形成した。最後に、これら素子をアルミニウムの配線128で接続した後、保護膜127を形成した。なお、「a−SiC」はP+−a−SiC:H(P+非晶質シリコンカーバイト)であり、a−Siとの連結成膜により、400オングストローム堆積されるので、a−Siの上を薄く覆うことになる。「a−Si」はa−Si:Hであり、非結晶シリコンである。
基本動作は、フォトダイオードに逆バイアスをかけておき、次に走査したときに露光量に応じた電荷を読出す、いわゆる蓄積方式である。864ビットのシフトレジスタの各段の出力が順次出力されると、スイッチングトランジスタが順次選択されることに応じて、各フォトダイオードの充電電流が出力線に流れる。この充電電流を各段毎に積分した信号が露光量に応じてフォトダイオードに蓄積された電荷であるので、積分器の出力信号が露光量に比例した信号レベルとなる。
本発明者は、このイメージセンサを用いてイメージセンサモジュールを組立て、印刷物の画像読取りを試みた。図18は、そのイメージセンサモジュールの模式断面図である。同図において、イメージセンサモジュールは、イメージセンサ110と、イメージセンサ基板裏面に配設した光源130と、イメージセンサ受光面に接着剤136で接着された光ファイバアレイプレート131と、ローラ132と、プリント基板133と、ケース134とを含んで構成されている。光ファイバアレイプレート表面には、ノイズ防止用にITO(indiumtinoxide)膜135を蒸着し接地した。なお、同図中の113はフォトダイオード、222はベースガラス、223は光ファイバである。
かかる構成において、イメージセンサ裏面に配設した光源130からの光は、ガラス基板であるイメージセンサ基板を透過し、光ファイバ223を通して図示せぬ原稿を照明する。原稿からの情報は各光ファイバ単位で量子化されイメージセンサの各フォトダイオードに伝達される。このモジュールは、ローラの回転方向に副走査することで原稿情報を読取るものである。このモジュールの更に詳細な構造については特開平6−291935号公報に記載されている。
しかしながら、上記イメージセンサを駆動したところ、次の問題点が発覚した。第1の問題点は、イメージセンサのセンサ出力端子115に接続した初段アンプ111の出力がクロックの遷移に同期したインパルス性のノイズで飽和してしまうことである。この現象により、初段アンプのゲインが制限されてしまう。すなわち、出力が飽和しないようにゲインを下げる必要があり、これは一般にSN低下の原因となる。
第2の問題点は、積分器112の出力で、イメージセンサの偶数段目と奇数段目の出力がスプリットする固定パターンノイズ(偶奇信号段差Qs)があらわれ、さらにこの偶奇信号段差Qsが変動することである。以下、この変動をΔQsと呼ぶ。この変動により、画像に縞ノイズが発生する。
図19にはイメージセンサの出力信号波形が示されている。同図には、白原稿を読取った時の10段目から13段目にかけての積分器の出力波形と走査回路に供給したクロック波形とが示されている。同図を参照すると、偶数段目の出力と奇数段目の出力とで段差が生じている様子が分かる。この現象の性質から、これらの問題点は寄生素子を介したノイズ混入であると考えられる。
図16内に示されている容量C1〜C8及びCgdは、イメージセンサ内の主な寄生容量をあらわしている。本発明者が綿密な解析をした結果、これらの寄生容量のうちクロック1配線140と出力配線142との容量C1と,クロック2配線141と出力配線142との容量C2とにより上記問題点が生じていることを見出した。すなわち容量C1,C2を介して、大きなクロックノイズが出力配線に混入していることを見出した。
図20はこれら配線のレイアウトの様子を示したイメージセンサの模式的斜視図である。クロック1配線140やクロック2配線141や出力線142は、イメージセンサの1段目から864段目にわたって共通に接続されて延びるレイアウトで、これらは一般にバスラインと呼ばれる。このように、センサの長手方向のサイズととほぼ等しい長さの平行配線であるため、センサの長手方向の長さが長くなればなるほどこれらの容量は比例して増加する。容量C1,C2の具体的な容量値は順に840fF、605fFであった。
クロック信号は振幅が5Vで、クロック1信号とクロック2信号は互いに逆相になるような信号である。クロック1信号の立上りで、容量C1を介して出力配線に投入される電荷は、5(V)×840(fF)=4200fCである。一方、容量C2を介して出力線に投入される電荷は、−5(V)×605(fF)=−3025fCとなる。このため、結果的に1175fCの電荷が出力信号に重畳されることになる。
次段の出力はクロック1信号の立下り時のタイミングで出力されるため、上記と逆のことがおこり、−1175fCの電荷が重畳されることになる。これが偶奇信号段差Qsの原因であることが分かった。また、初段アンプの出力がクロックの遷移に同期したインパルス性のノイズで飽和してしまうことの主原因も、この大きな電荷投入であった。
信号電荷量は、画像読込みの高速化の要請に応えるため、時代とともに少なくなる傾向にある。先に示した1175fCのノイズ電荷は信号電荷の1倍〜10倍に相当し、深刻な問題となっている。
以上説明したように、クロック配線から出力配線に投入される電荷の値、すなわちクロック振幅電圧と容量C1,C2の容量値との各積の値は出力信号電荷量に対して非常に大きな値であるといえる。また互いに逆相のクロックで駆動し、ノイズのキャンセルを試みてはいるものの、容量C1,C2の差があるため十分なキャンセルではない。たとえ、容量C1,C2の値を精度よく合わせ込んだとしても、クロック振幅電圧の変動により、容易に混入電荷量が変動しキャンセルされなくなることが予想される。
さらに問題を複雑化させている原因は、これら容量C1,C2がセンサ周囲の広い空間で形成されていることである。図21は上記イメージセンサの断面であって、イメージセンサを空中に浮かせた時にクロック1配線と出力線とで形成される容量に伴う等電位面及び電気力線を表したものである。クロック1配線に5Vその他の配線を0Vとしてある。ガラス基板のように絶縁基板上に配線を形成した場合、いわゆる接地電位面が存在しないため、誘電体であるガラス基板内部、ガラス基板裏面の空中、センサ表面の空中等を介して容量が形成される。点線で記載した電気力線がイメージセンサ外部の空間に広く広がっているということは、イメージセンサ外部の空間の物体の影響で容易に容量C1,C2の値が変動することを意味する。図22には図21のイメージセンサの裏面に接地金属板225を置いた場合の等電位面が示されている。等電位面の様子が大きく変化すると共に、容量C1,C2の値にも大きな変化が見られた。図21のように空中に浮かせた場合と、図22のように接地金属板を置いた場合との容量C1,C2の各値が表1に示されている。各容量値は約3倍も変化した。











Figure 0004525451

偶奇信号段差Qsが変動するΔQsは、図23に示されているようにスキャナモジュール161を接地金属板160に近づけたり、遠ざけたりしたときに生じる。このときの容量C1,C2の値が表2に示されている。このように、容量C1,C2の値が変化することで容量C1とC2との差が変動し、偶奇信号段差の変動ΔQsが生じることが分かった。
Figure 0004525451

以上述べたように、イメージセンサで見られた問題の原因は配線間の結合容量が大きいことと、その容量値が変動することに起因していた。一般に、絶縁基板上に回路を形成した場合、配線と基板との結合が弱いため、配線同士の結合容量が大きくなる。このことについて、図24のモデルを参照して説明する。図24(A)はシリコン基板173上に1μmの絶縁膜172を挟んで2本の平行配線170,171を、互いに5μm離して形成したモデルである。一方、同図(B)はガラス基板上に配線した場合のように、配線以外には導体が存在しないような空間に平行配線を形成したモデルである。
配線の寄生容量は、同図(A)の場合に117pF/m、同図(B)の場合に12pF/mとなり、当然同図(B)の方が小さくなる。しかしながら、クロストークの原因となる配線間の容量は、同図(A)の場合に1.5pF/m、同図(B)の場合に12pF/mとなり、同図(B)の方が8倍も大きくなっていることに注目する必要がある。
なお、イメージセンサ以外の装置、例えば駆動回路を同一基板上に形成した液晶表示装置等でも同様な問題が生じる。
本発明者は、絶縁基板上に半導体素子が形成された半導体装置では以上述べたように、クロック信号配線から発生するノイズが他の配線に混入しやすく、大きな問題であることを突き止めた。
本発明は上述した従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、その目的は高速かつノイズの少ない半導体装置及びこれを用いたイメージセンサ装置を提供することである。
本発明による半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上においてアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1、第2の領域の間の領域には少なくとも固定電位が与えられた配線が設けられ、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、前記絶縁基板上で、前記第1の領域の上または下にシールド電極を設け、前記アナログ信号配線の上層および下層の領域にはシールド電極を設けないことを特徴とする。
本発明による他の半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上においてアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1、第2の領域の間の領域には少なくとも固定電位が与えられた配線が設けられ、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、前記絶縁基板上で、少なくとも前記第1の領域の上または下にシールド電極を設ける一方、前記第2の領域にはシールド電極を設けないことを特徴とする。
本発明による他の半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上において電荷信号を通すアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、前記絶縁基板上で、前記第1の領域の上または下にシールド電極を設け、前記アナログ信号配線の上層および下層の領域にはシールド電極を設けないことを特徴とする。
本発明による他の半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上において電荷信号を通すアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、前記絶縁基板上で、前記第1の領域の上または下にシールド電極を設け、前記アナログ信号配線の上層および下層の領域にはシールド電極を設けない構成であり、前記電荷信号を通すアナログ信号配線には、所定の時間毎に前記電荷信号を通すアナログ信号配線に流れた電荷の積算量に対応する信号を得る回路が接続されることを特徴とする。
また、本発明によるイメージセンサ装置は、半導体装置と、前記光電素子に前記入力光を導く光学部品と、前記シールド電極と共に前記デジタル信号配線を挟むように前記光学部品に設けられたシールド部材とを含むことを特徴とする
要するに、上記の問題点を解決するために、ノイズ発生源であるディジタル回路領域の一部、あるいはディジタル回路領域全体の上層又は下層の少なくとも一方に、導電層からなる電極を配設し、かつ、アナログ信号配線の上層及び下層の領域には、電極を設けないことを特徴としているのである。
以上説明したように本発明は、ディジタル回路領域の上層あるいは下層の少なくとも一方に、導電層からなる電極を設け、かつ、アナログ信号配線の上層及び下層の領域には、電極を設けないことにより、クロック配線とアナログ配線との結合容量を減少させ、高速かつノイズの少ない半導体装置を実現できるという効果がある。
次に、本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等部分には同一符号が付されている。
図2は本発明による半導体装置の断面構造図である。同図を参照すると、本半導体装置は、入力光を電気信号に変換するフォトダイオード領域Pと、このフォトダイオードを充電するためのスイッチ領域Sと、このスイッチをオン/オフ制御するための走査回路101とを含んで構成されている。
次に、本装置の製造手順について図3及び図4を参照して説明する。
図3において、図2中のガラス基板120は厚さ1.1mmである。このガラス基板120からの汚染防止、平坦化のため、酸化シリコン膜121をCVD(chemicalvapordeposition)法で約3000オングストロームの厚みで形成し、全面を覆う(ステップS31)。
この酸化シリコン膜121の上であって、走査回路101が形成される領域の下部及びスイッチングトランジスタ123が形成される領域の下部に相当する位置に第1のシールド電極180及び遮光膜210を形成する(ステップS32)。このシールド電極180は、シールド電極形成以降のプロセス温度に耐えられるよう高融点の導電体が望ましく、例えばWSiを膜厚1800オングストロームでスパッタしてフォトリソ法で形成する。
次に、これら全体を覆う膜として、厚み10000オングストロームの酸化シリコン膜181を形成する(ステップS33)。この酸化シリコン膜181の膜厚により回路に寄生する容量が決まるため、この回路に要求される動作速度や消費電力に応じて膜厚を調整することが望ましい。
次に、多結晶シリコン薄膜240を例えばCVD法で厚み500〜1000オングストロームに形成し、トランジスタ形状にフォトリソ工程で分離し(ステップS34)、その上にゲート酸化膜241を厚み100〜1000オングストロームに形成する(ステップS35)。多結晶シリコン薄膜240は、CVD法でアモルファスシリコンを形成した後、この膜をレーザアニール法で溶融、再結晶化させることで、より低温に形成できる。
次に、ゲート電極124としてポリシリコン又は金属膜とシリサイドの積層構造を1000〜3000オングストローム程度の厚みで形成し(ステップS36)、同様にパターニングする。
次に、薄膜トランジスタのソース・ドレイン領域形成のためのイオンドーピングを行う(ステップS37)。このときn型には燐(P)を、p型にはボロン(B)イオンを所定のドーズ量で導入する。
このようにして多結晶シリコンを活性層とする薄膜トランジスタ123を形成する。この後、シールド電極180と後で形成されるアルミニウム配線190、191とのコンタクトをとりやすくするため、コンタクトホール192を形成する予定部周囲の絶縁用の酸化シリコン膜181をエッチングしておく(ステップS38)。
その後、これら全面を覆って第1の層間膜125として酸化シリコン膜を2000〜5000オングストロームの厚みにCVD法で形成する(ステップS39)。この第1の層間膜125上にフォトダイオード部の下部電極242を、例えばクロム等の金属で形成する(ステップS40)。
図4に移り、次に、これらの上にアモルファスシリコン層243を下からi層、p層の順でCVD法により約8000オングストロームの厚みに形成する(ステップS41)。その上に透明電極245としてのITO層を1000オングストローム、タングステンシリサイド等のバリアメタル層による電極246を500〜2000オングストロームの膜厚に順次形成した後(ステップS42、S43)、バリアメタル層、ITO層、アモルファスシリコン層をフォトリソ工程によりフォトダイオード形状に形成する(ステップS44)。
続いて、これらの上に第2の層間膜として窒化シリコン膜182を2000〜5000オングストローム程度の膜厚にCVD法で形成する(ステップS45)。
この後、薄膜トランジスタ領域と、フォトダイオードの上部電極246のコンタクトホール部、フォトダイオード下部電極242のコンタクトホール部、シールド層とのコンタクトホール192の部分を形成する予定部周囲部の第2の層間膜182を除去する(ステップS46)。
次に、TFTのソース・ドレイン、ゲート電極及びシールド電極180へのコンタクトホール192の部分の第1の層間膜125を除去する(ステップS47)。シールド電極とのコンタクトについては、第1のシールド電極180の抵抗値を下げる目的で、アルミニウム配線190、191と第1のシールド電極180とを多数のコンタクトホール192で接続し、このアルミニウム配線両端にボンディングパッドを設けることが望ましい。続いてAl等の金属でアルミニウム配線190、191を5000〜10000オングストロームの膜厚に形成して所望の配線形状にエッチングする(ステップS48)。
最後にパッシベーション膜127として窒化シリコン膜やポリイミド膜を形成して、ボンディングパッド部の保護膜をエッチングする(ステップS49)。なお、コンタクトホール192同士の間には、トランジスタ123が多数形成される。
次に、本イメージセンサの回路構成について図5を参照して説明する。図5(A)は本イメージセンサの回路図である。同図において、本イメージセンサは、シフトレジスタ及びバッファからなるCMOS構成の走査回路101と、走査回路101の各段の出力に接続されたp型トランジスタによるスイッチ105と、このスイッチ105に接続されたフォトダイオード113と、スイッチに接続され電荷を蓄積する蓄積容量183とを含んで構成されている。なお、同図中のクロックトインバータは、同図(B)に示されているように、2つのNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタで構成されるものとする。
走査回路101のシフトレジスタは互いに逆相の2相クロック、クロック1(φ)、クロック2(/φ)信号を用いて駆動される。各フォトダイオードに共通に接続された出力配線VOUT142と、各蓄積容量に共通に接続された蓄積容量配線VST200はイメージセンサ基板外部で互いに接続する。この接続された端子に、イメージセンサの出力信号電荷が出力される。このため、本明細書内においては、「出力配線」と表現した場合は特に誤解が生じない限り、このVOUT配線とVST配線とをまとめて示すこととする。
図6はこのイメージセンサのタイミングチャートであり、各波形は図5内に示されている各ノードの記号に対応する。シフトレジスタは各クロックの半周期で1ビットシフトするハーフビット構成である。イメージセンサの基本動作は、フォトダイオードに逆バイアスをかけておき、次に走査したときに、露光量に応じた電荷を読出すいわゆる蓄積方式である。1728ビットのシフトレジスタの各段の出力が順次出力されると、スイッチングトランジスタ105が順次選択されることに応じて、各フォトダイオードの充電電流が出力配線142,200にでてくる。この充電電流を各段毎に積分した信号が露光量に応じてフォトダイオードと蓄積容量に蓄積された電荷であるので、積分器の出力信号が露光量に比例した信号レベルとなる。
図7を参照して平面レイアウトについて詳しく説明する。第1のシールド電極180は図示されているように走査回路領域下部に形成する。このシールド電極180とアルミニウム配線190,191とを複数のコンタクト192を介して接続し、アルミニウム配線両端に設けた接続パッドをグランド電位のような定電圧源に接続する。接続パッドはアルミ配線の両端以外にも複数個設け、定電圧源に接続することで更にシールド効果を高めることができる。シールド電極180を走査回路領域に配設することで、クロックバスライン140,141から出力配線142,200への電荷混入防止に加えて、トランジスタ配置領域150まで延びたクロック枝線から出力配線への電荷混入を防止することができる。
一方、出力配線142,200の領域にはこのシールド電極は設けない。この領域にシールド電極を設けると、照明光が遮られるからである。また、例えば「低雑音電子回路の設計」、斎藤正男訳、近代科学社発行の57ページに記されているように、出力配線の容量増加が初段アンプの等価入力雑音を増す原因になることも、このシールド電極を設けない理由である。
図8には実際に発明者が測定した結果が示されている。同図中の「2.48V/pC」は、初段アンプ111及び積分器112からなる検出回路の電荷−電圧変換ゲインを示す。つまり、作成した初段アンプはセンサの電荷信号1pCにつき2.48Vの電圧信号を出力することを意味している。同図を参照すると、出力配線142,200の容量(図8中では入力容量と記載)の増加に伴いノイズ量が増加していることが分かる。
走査回路領域下部に第1のシールド電極180を設けた結果、クロック1配線140、クロック2配線141と、出力配線142,200とで形成される寄生容量C1,C2の値が、シールド電極を設けない場合と比較し1/20以下と大きな効果が得られた。表3に数値が示されている。












Figure 0004525451

また、図7において、第1のシールド電極180と同一の導電膜をスイッチングトランジスタ下部にも配設し遮光膜210とした。この遮光膜210も、第1のシールド電極180と同様にアルミニウムとコンタクトを取り、アルミニウム配線端にパッドを設け定電圧源であるグランドに接続した。この遮光膜はイメージセンサ裏面に照明光が配設された場合に、チャネルが形成される領域の活性層に照明光が入射するのを防ぎ、スイッチオフ時のリーク電流を低減させる効果がある。さらに、この遮光膜の電位を制御することで遮光膜上部に存在するトランジスタのしきい値電圧を制御することができ、より厳密にトランジスタ特性を制御できる。
なお、図7においては、走査回路領域のシールド電極180と遮光膜210とを電気的に分離し、それぞれ別々の電極で実現しているが、これらをまとめて1つの電極で実現しても良い。すなわち、クロック配線、バッファを含む走査回路領域、スイッチ領域これら全てを含む領域一面に電極を配設しても良い。つまり、出力配線領域とフォトダイオード領域とを除いた領域に電極を配設するのである。このようにすると、その電極は静電シールドの機能と遮光機能との両者を兼ねた働きをすることになる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は、第1のシールド電極を電気的に複数に分離した構成である。上述した第1の実施例においては、第1のシールド電極がシフトレジスタ領域全体に配設されている。シールド電極がインピーダンスを持つため、場合によってはクロック配線から第1のシールド電極を介して、電源線やシフトレジスタ回路にノイズが混入し問題となる。そこで図9に示されているように、クロックバスライン140,141領域に第1のシールド電極180を、トランジスタ領域150に第2のシールド電極211を配設しこれらのシールド電極を少なくともイメージセンサ基板内では電気的に分離させる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本実施例は、シールド電極の他のレイアウト方法を採用したものである。
これについて図10を参照して説明する。同図においては、シールド電極180,211をクロックバスライン領域にのみ配設した。さらにクロック1配線140領域と、クロック2配線141領域とでシールド電極を電気的に分離させた。これによりクロック配線同士の干渉が低減される。また、トランジスタ配置領域150の寄生容量が減少するため走査回路の動作速度が向上する。
次に、本発明の第4の実施例について説明する。本実施例は、シールド電極の他のレイアウト方法を採用したものである。
これについて図11を参照して説明する。同図においては、シールド電極180,211,212を、クロック1配線140領域、クロック2配線141領域、VDD1,VSS配線内部のトランジスタ領域150の3つに分離している。これにより、クロック信号同士の干渉を低減すると共に、クロック支線と出力配線との容量も低減させている。
次に、本発明の第5の実施例について説明する。上述した第1から第4の実施例ではディジタル回路領域の配線の下層にシールド電極を設けている。本実施例では、これに加えて上層にシールド電極を配設している。こうすることで、さらにノイズを低減させることができる。
図1を参照して第5の実施例について説明する。同図において、本実施例のイメージセンサモジュールは、ディジタル回路領域下層にシールド電極180を配設したイメージセンサ110と、イメージセンサ受光面に接着された光ファイバアレイプレート131とを含んで構成されている。
ここで、光ファイバアレイプレート131は、例えば旭硝子(株)から商品名FAPとして提供されている。光ファイバアレイプレート131は、光ファイバ223をアレイ状に束ねた部分と、これを挟み込むベースガラス222の部分とで構成される。
本実施例では、この光ファイバアレイのイメージセンサ110に接着される面の一部に蒸着によってアルミニウム膜221を形成する。そして、このアルミニウム付きの光ファイバアレイプレートを、アルミニウムがイメージセンサのディジタル回路領域220上部に存在して、イメージセンサ出力配線142,200上部には存在しないようにシリコーン系樹脂136で接着する。
さらに、シールド電極180,221をグランド又は定電圧源に接続する。接着層の厚さは、光学特性の点からは薄ければ薄いほど良いが、組立方法や容量負荷の点から実際には0.1μmから20μmまでの間に設定する。
このようにディジタル回路上下面をシールドすることで、シールドが全くない場合と比較して、クロック配線と出力配線との容量C1,C2の値が10桁以上低減され大きな効果が得られた。表4にはこれら容量C1,C2の値が比較して示されている。














Figure 0004525451

一方、上層のみにシールドを設けた場合、すなわちイメージセンサ基板内にシールド層180を設けない場合は表5に示されているように大きな効果は得られなかった。
Figure 0004525451

図12は上層のみシールドした場合のクロック1配線と出力線とで形成される容量に伴う等電位面を表したものである。クロック1配線に5Vその他の配線を0Vとしてある。上層のみシールドしても、誘電体であるガラス基板内部を介して容量が形成される。このため、上層のみのシールドでは効果が薄いことが分かる。
図1において、光ファイバアレイプレートのイメージセンサに接着される面の反対面、すなわち原稿面にはITO膜135を蒸着し、これを接地した。このITO膜は、イメージセンサモジュール外部からのノイズや静電気に対して有効なシールド層であり、駆動回路部220のクロックノイズに対してのシールドではない。クロックノイズは既に示したとおり、ディジタル回路領域近傍面(配線から100μm以内)のシールド180,221により遮蔽されるので、出力配線近傍にはシールド層が無くてもよくなり、その結果出力配線の容量増加に対する問題が回避できる。
次に、本発明の第6の実施例について説明する。本実施例は、センサに接着する光ファイバアレイプレートにシールドを配設する構成を採用したものである。
図13は本実施例によるイメージセンサモジュールの断面構造図である。シールド層221は光ファイバアレイプレートの接着面と垂直な面に配設した。シールド221の位置は当然、ディジタル回路領域220と出力配線142,200との間とする。本実施例によるシールド方法を用いれば、イメージセンサ上面に形成される結合容量を低減することができる。
したがってディジタル回路の容量負荷が減少し、高速に動作する。結合容量C1,C2の値はシールドが無い場合と比較して約1/100以下とかなり低減できる。表6には本実施例による容量C1,C2の値が示されている。
Figure 0004525451

次に、本発明の第7の実施例について説明する。本実施例では、センサに接着する光ファイバアレイプレートにシールドを配設する構成を採用したものである。図14は本実施例によるイメージセンサモジュールの断面構造図である。ベースガラスの代わりに、金属224を用いて光ファイバアレイプレートを保持するようにしている。本構成においても第5の実施例の場合と同等なシールド効果が得られる。
ディジタル回路領域上部のシールド電極は、これまでの説明において全て、光学部品である光ファイバアレイプレートに配設していたが、光学部品が接着されない装置にあっては単に金属板をディジタル回路領域に接着し、接地すればよい。または、薄膜工程にてディジタル回路領域上部にアルミニウム等の金属をパターンニングして、シールド電極として用いればよい。
また、これまでイメージセンサを1つの装置例として説明してきたが、絶縁基板上に作成された全ての回路、例えば、駆動回路内蔵型の液晶表示装置等においても本発明を適用できることは明白である。
以上説明してきたとおり、ディジタル回路領域の上層あるいは下層の少なくとも一方に、導電層からなる電極を配設し、かつ、アナログ信号配線の上層及び下層の領域には、第1及び第2の電極を配設しないことで、クロック配線とアナログ配線との結合容量が最大5桁以上減少する。このようにクロックノイズが大きく減少する構成でありながら、アナログ配線の容量増加を防ぐことができ、高速かつノイズの少ない半導体装置が提供できる。
また、上記第1の電極をトランジスタ領域に形成することで、チャネルが形成される領域の活性層に照明光が入射するのを防ぎ、スイッチオフ時のリーク電流を低減させる効果がある。光学部品に予めシールド電極を形成してからイメージセンサに接着するため、光学的位置合わせと同時にシールド電極の位置合わせが行われ、組立が容易である。
なお以上は、イメージセンサ装置の場合について説明したが、それ以外の半導体装置であってディジタル回路領域とアナログ信号配線領域とを有するものについて本発明が適用でき、同様の効果が得られることは明らかである。
本発明の第5の実施例によるイメージセンサモジュールの構成を示す断面図である。 本発明の一実施例の半導体装置を示す断面図である。 図2の半導体装置の製造手順を示すフローチャートである。 図2の半導体装置の製造手順を示すフローチャートである。 図(A)はイメージセンサの回路図、図(B)は図(A)中のクロックトインバータのより具体的な例を示す図である。 イメージセンサ回路のタイミングチャートである。 本発明の一実施例の半導体装置のレイアウト図である。 発明に際して検討した容量値とノイズの測定結果である。 半導体装置の別の実施例を示すレイアウト図である。 半導体装置の別の実施例を示すレイアウト図である。 半導体装置の別の実施例を示すレイアウト図である。 本発明の半導体装置断面における等電位面を示す図である。 イメージセンサ装置の別の実施例を示す断面図である。 イメージセンサ装置の別の実施例を示す断面図である。 従来のイメージセンサの構成を示すブロック図である。 本発明に際して検討したイメージセンサの構成を示すブロック図である。 本発明に際して検討したイメージセンサの断面構造図である。 本発明に際して検討したイメージセンサモジュールの模式断面図である。 本発明に際して検討したイメージセンサの出力信号波形である。 本発明に際して検討したイメージセンサの模式的斜視図である。 本発明に際して検討したイメージセンサ断面における等電位面及び電気力線を示す図である。 本発明に際して検討したイメージセンサ断面における等電位面を示す図である。 本発明に際して行った実験の方法を示す図である。 図(A)及び図(B)は、本発明に際して検討した配線容量値を示す図である。
符号の説明
101走査回路
102エレメント
103スイッチング回路
104感光セル
105スイッチングトランジスタ
110イメージセンサ
111初段アンプ
112積分器
113,126フォオダイオード
114ゲート端子
115出力端子
120ガラス基板
121酸化シリコン膜
123薄膜トランジスタ
124ゲート電極
125第1の層間膜
127保護膜
128アルミ配線
130光源
131光ファイバアレイプレート
132ローラ
133プリント基板
134ケース
135ITO膜
136接着剤
140クロック配線1
141クロック配線2
142出力配線
150トランジスタ配置領域
160金属板
161スキャナモジュール
170,171配線
172絶縁膜
173シリコン基板
180シールド電極
181絶縁膜
182第2の層間膜
183蓄積容量
190,191,193,194配線
192コンタクト
200蓄積容量配線
210〜212電極
220ディジタル回路領域
221金属層
222ベースガラス
223光ファイバ
224,225金属
230コンタクトホール
240多結晶シリコン膜
241ゲート酸化膜
242下部電極
243アモルファスシリコン
245透明電極
246バリアメタル

Claims (9)

  1. 絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上においてアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1、第2の領域の間の領域には少なくとも固定電位が与えられた配線が設けられ、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、
    前記絶縁基板上で、前記第1の領域の上または下にシールド電極を設け、前記アナログ信号配線の上層および下層の領域にはシールド電極を設けないことを特徴とする半導体装置。
  2. 絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上においてアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1、第2の領域の間の領域には少なくとも固定電位が与えられた配線が設けられ、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、
    前記絶縁基板上で、少なくとも前記第1の領域の上または下にシールド電極を設ける一方、前記第2の領域にはシールド電極を設けないことを特徴とする半導体装置。
  3. 絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上において電荷信号を通すアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、
    前記絶縁基板上で、前記第1の領域の上または下にシールド電極を設け、前記アナログ信号配線の上層および下層の領域にはシールド電極を設けないことを特徴とする半導体装置。
  4. 絶縁基板と、前記絶縁基板上においてディジタル信号配線が形成された第1の領域と、前記絶縁基板上において電荷信号を通すアナログ信号配線が形成された第2の領域とを有し、前記第1の領域に含まれる前記ディジタル信号配線と、前記第2の領域に含まれるアナログ信号配線とが隣接しないようにレイアウトされた半導体装置であって、
    前記絶縁基板上で、前記第1の領域の上または下にシールド電極を設け、前記アナログ信号配線の上層および下層の領域にはシールド電極を設けない構成であり、
    前記電荷信号を通すアナログ信号配線には、所定の時間毎に前記電荷信号を通すアナログ信号配線に流れた電荷の積算量に対応する信号を得る回路が接続されることを特徴とする半導体装置。
  5. 前記第1の領域の上下両方に前記シールド電極を設けたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項記載の半導体装置。
  6. 入力光を検出して電気信号を出力する光電素子を有しこの出力電気信号を電荷導出用スイッチングトランジスタ領域に伝達するイメージセンサ回路を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記電荷導出用スイッチングトランジスタ領域の下に設けられ前記入力光を出力する光源から前記電荷導出用スイッチングトランジスタ領域への光の入射を遮る遮光膜を更に含むことを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
  8. 前記シールド電極と前記遮光膜とを同一の導体によって実現したことを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の半導体装置と、前記光電素子に前記入力光を導く光学部品と、前記シールド電極と共に前記デジタル信号配線を挟むように前記光学部品に設けられたシールド部材とを含むことを特徴とするイメージセンサ装置。
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