JP4524933B2 - マルチフィルム敷設方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マルチフィルム、又はマルチボードの敷設方法に関するもので、野菜苗やイチゴ苗等の移植栽培を行う場合に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
土壌面に敷設する一枚のマルチフィルムに一定間隔に苗植穴を形成して野菜苗を植え付ける技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
マルチフィルム栽培では、このマルチフィルムに形成される苗植穴の大きさによって栽培の適否が変わることがある。例えば、イチゴのように高い気温の時期にイチゴ苗(作物)の植付を行って冬場の低気温時期に渡って栽培する場合には、培地面に覆われたマルチフィルムの植付穴が小さい場合は、植付時の高温時期に培地面が高温になって、イチゴには高温障害を生じる。更に、マルチフィルムを敷設した後苗を植え付ける場合に、マルチフィルムの植付穴が小さいため、苗の植付作業が困難なものとなってしまう。又、マルチフィルムの植付穴を大きく形成しておくときは、冬場の低温時期の保温効果を低下させたり、防虫効果等を十分に発揮でき難い。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、苗植穴1を形成した一対のマルチフィルム2、又はマルチボード3を上下に重合させて培地面Aに敷設し、この重合部の苗植穴1に苗Bを位置させて培地面Aに移植し、苗Bの生育に伴って両マルチフィルム2、又はマルチボード3を相対的に移動させて苗植穴1の重合部を狭く絞ることを特徴とするマルチフィルム敷設方法とする。
【0005】
【発明の効果】
この発明は、植付穴1を上下に重合させて大きく形成した状態で苗B植付けを行わせることにより、苗B植付けを行い易くし、高温期であるときは培地面Aの温度をこの作物B株周りの大きい植付穴1から容易に逃散させることができる。又、作物Bの生育にともなって外気温が低くなると、前記マルチフィルム2、又はマルチボード3を移動させて、作物株周りに重合の苗植穴1の径を小さく絞ることによって、培地面Aの温度逃散を少なくすることができる。このように作物Bの生育中において植付穴1の大きさを調節して、その時期の作物B生育に適応した培地A温度の管理を行わせることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明は、植付穴1を形成するマルチフィルム2、又はマルチボード3を土壌面Aに敷設して、これらの植付穴1部の土壌面Aに苗Bを植付て栽培するものである。図1、図2においては、マルチフィルム2を敷設して苗の植付栽培を行う場合を示す。このマルチフィルム2は、ビニールシートのように比較的薄く成形された合成樹脂製のシートであり、所定の大きさの円形状の植付穴1を一定の間隔に配置形成している。このようなマルチフィルム2を二枚を一対として用意する。この一対のマルチフィルム2を上下に重合させて、両マルチフィルム2の各植付穴1部を重合一致させる。この状態にあっては、上下の植付穴1が一致した状態で土壌面に開通する有効な植付穴の大きさは最大であり、両マルチフィルム2を移動させて各植付穴1を前後、又は左右にずらせることによって小さくできる。
【0007】
このように上下の植付穴1を一致させた状態にした重合状態の一対のマルチフィルム2を畝土壌面Aに敷設して、適宜位置に土壌を載せて敷設状態を固定することができる。各植付穴1部から土壌面Aに苗Bを移植する。このとき各苗Bの植付部の植付穴1は最大の状態に形成されているために、土壌面Aが高温状態になろうとしても、この植付穴1からの放熱量も大きく維持されるために、過度の土壌温度の上昇を防止することができる。
【0008】
この植付苗Bの生育に伴って外気温が低温期になると、一対のマルチフィルム2のうち、左右いずれか一方のマルチフィルム2を横方向へ適量移動させると、上下重合状態の植付穴1が左右にずれて、苗Bの株元部周りの植付穴1の開口面積、即ち有効穴面積が狭くなる。このため土壌温度の植付穴1部からの逃散量も少なくすることができ、土壌温度を維持することができる。このようなマルチフィルム2の移動による植付穴1大きさの変更は、外気温の変化や、苗Bの生育の状態等に応じて、数段階に渡って行うことができる。
【0009】
前記各マルチフィルム2は、前後の長手方向に移動させることもできる。又、植付穴1の形成は、無穴のマルチフィルム2を土壌面に敷設した後ちに、植付穴1を形成することもできる。このとき苗植機等によって苗植付けと同時に植付穴1を形成することもできる。
【0010】
次に図3において上例と異なる点は、前記マルチフィルム2に代えて、合成樹脂製板状の適宜厚さのマルチボード3を用いるものである。又、各植付穴1は方形状に形成している。
更に、図4、図5において上例と異なる点は、前記マルチボード3の植付穴1を切欠部4形態として、一対のマルチボード3の重合によって形成するものである。各マルチボード3の長手方向の片側に沿って凹状の切欠部4と凸状の仕切部5とを交互に形成してラック状形態に形成したものである。この形態では、左右のマルチボード3の間隔を広くした状態で植付穴1は大きく開口でき、又、間隔を狭くすることによって小さく開口できる。このようなマルチボード3の形態では、一対のマルチボード3の位置決めを正確に行わせるために、相互の重合面6に案内凸条7や凹条8を形成して、これらの嵌合によって移動方向を規制案内するように構成することことができる。
【0011】
図6において、温室9の遮光制御を説明する。栽培床10を覆って構成される温室9のガラス屋根11の下側に沿ってブラインド(ブラインド形態のスクリーン、乃至カーテン)12を敷設する。このブラインド12のかくブラインド片13の角度によって、この各ブラインド片13間の間隔部を通しての日光の栽培床10への照射光量を変更することができる。このブラインド12は、角度を変更することによって、日光の照射透過量を多、少に変更される。そこで、左右の方向に渡って長く構成された温室9のガラス屋根11は、南向きに傾斜にして形成される。このため日光は東西に移動するために、この照射角方向が矢印S1,S2,S3,...Snのように時間と共に変位する。この照射角度の変更によってブラインド片13の角度が一定であっても、日光の透過量が変化する。
【0012】
各ブラインド片13は、ブラインド軸14を有して、このブラインド軸14の周りに回動自在に支持される。この各ブラインド軸14にはピニオン15を有してラック16の噛合によって回動される。このラック16はブラインドモータ17の正逆転によって駆動される。ブラインド12は全幅を前部12Fと、中央部12Cと、後部12Rとの各ブラインド群に区分して、各区分毎の各ブラインド片13のブラインド軸14ピニオン15を、同一ラック16に噛合させて同時回動させる構成としている。
【0013】
日光センサー18は、日光の照射方向Sを検出するもので、遮光制御のコントローラ19に入力させている。更に、温度センサー20は、前部20F,中央部20C,後部20Rとして、前記各ブラインド区分ごとの栽培床10の前部10F,中央部10C,後部10Rに配置される。コントローラ19では前記の日光センサー18による照射方向Sと、温度センサー20F,20C,20Rによる各栽培床部10F,10C,10Rにおける室温とによって、日光照射量を演算しながら、この日光照射量が目標量になるようにブラインドモータ17F,17C,17Rを駆動して、ブラインド12F,12C,12Rの角度を変更して、遮光制御するものである。これによって、温室全体に渡って均一な育成、及び栽培を行わせることができる。
【0014】
次に図8において、上例と異なる点は、温室内で育成されるトマトのような果実の温度を検出しながら、遮光ブラインドの角度を変更調節して、適正な温度管理を行わせて、高温期における例えば、果実の尻腐れや、ベト病、着色不良等の如き生理的障害を防止するものである。そして、遮光制御のコントローラ19には、果実の温度を検出する果実温度センサー21を設けて、果実の温度が標準値よりも高いときは、ブラインドモータ17により遮光度を大きくして温室の光量を少なくするように制御する。又、逆に果実の温度が低いときは遮光度を小さくして光量を多くするように制御する。22はブラインド片13の角度を検出するブラインド角センサーである。
【0015】
図9においては、遮光度を検出する遮光度センサー23の検出によって、コントローラ24を経て養液ポンプ25を駆動させて、栽培床に対する養液の供給量を調整制御するものである。ここに、遮光度はブラインド片13の角度や、日光の照射方向等に基づいて示され、前記果実の温度と温室の室内温度との間の温度差に応じて適正に決定される。遮光度が高くなって光量が少なくなれば、養液ポンプ25による養液の供給量が減少する。又、逆に遮光量が低くなれば養液の供給量が増加する。このようにして適正な養液量が供給される。26は供給された養液量を検出するの養液量センサーである。
【0016】
図10において、上例と異なる点は、前記栽培床の形態を断熱形態に形成したもので、温室内の温度変化が栽培床に影響し難くしたものである。このため、栽培ポット27を載せて生育栽培する栽培ベッド28の外周を包囲するように発砲スチロール等の断熱材からなるガータ29を構成する。このガータ29は上辺部30を栽培ポット27の横側面にまで形成して、このガータ29と栽培ベッド28との間の液槽部31に溶液を供給させて栽培することができる。即ち、トンネル形態のガータ29の上辺部30に栽培ポット27を嵌合できるポット穴32を形成したものである。このため、栽培時には、ポット27やベッド28等における遮光と、温度上昇防止がおこなわれる。
【0017】
図11〜図13において、上例と異なる点は、栽培ベッド28に形成のポット穴33にポット27苗Bを受けた苗皿34を載せて置くことができ、この苗皿34から取り出したポット27苗Bを該ポット穴33に嵌合させて、育成栽培することが出きるようにしたものである。このとき栽培ベッド28の外周部はビニールシートで包装している形態では、このビニールシートの上側に栽培ポット27を載せておくことができ、苗皿34を不要とすることができる。また、このときの栽培ポット27をポット穴33に嵌合させるときは、このビニールシートを切裂いて取外した状態にして行うことができる。
【0018】
トマト栽培のように果実を収穫する場合には、幹や葉等を成育させる栄養成長と、果実や花を成長させる生殖成長とのバランスを維持する必要がある。これら両者のバランスが崩れると、果実が変形したり、芯腐れや尻腐れが発生し易い。このバランスをとるために、第一花房が咲いた後では、幹や葉を切断することにより前記両者のバランスを調整することができるが、この第一花房が咲くまでの間は、幹の成長が不充分なために、この幹を切断して前記バランスをとることが困難である。
【0019】
そこで、図12のように前記苗皿34を用いて、この上に載せた栽培ポット27のみによる床材で育苗することにより根毛部の伸長を抑えて、これにより栄養成長を抑えるようにするものである。ここで第一花房が咲いたときに、図13のようにこの栽培ポット27を苗皿34から取り出して栽培ベッド28のポット穴33に定植することができる。この方法では、苗皿34を用いることによって栽培ベッド28上を利用することができて取扱作業を簡単化できる。
【0020】
前記栽培ベッドを置いて栽培する温室9において、この床部35から適宜の高さ位置に上下を仕切る仕切シート36を設ける。これによって栽培の根圏部を直射日光から防いで、給液の温度上昇を防ぐことができ、暖房時は暖房費を節約できる。
【0021】
又、この仕切シート36は一定の方形状形態で多数枚を合わせながら敷き詰める。この各仕切シート36の合わせ目37を、誘引紐38の位置に合わせることによって、この誘引紐38は仕切シート36の合わせ目37を通して上方へ伸ばすことができる。このため仕切シート36に拘らず、トマトやキュウーリ等の育成に伴って誘引紐38の巻上げや、巻降ろしを行うことができる。各誘引紐38の下端は作物の幹部に結び付け、上端部は吊り下げリール39に巻きかける。40は仕切シート36の両端部を固定する支持桟である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マルチフイルムの敷設状態を示す斜視図。
【図2】その正面図。
【図3】マルチボードの敷設状態を示す斜視図。
【図4】その一部別実施例を示す平面図。
【図5】その作用を示す平面図と、一部の断面図。
【図6】別実施例に係る温室部の斜視図と、その一部の正面図。
【図7】その遮光制御の制御ブロック図。
【図8】一部別実施例を示す遮光制御のブロック図。
【図9】一部別実施例を示す溶液制御のブロック図。
【図10】一部別実施例を示す栽培ベッド部の斜視図と、断面図。
【図11】一部別実施例を示す栽培ベッド部の斜視図。
【図12】その作用を示す斜視図。
【図13】その作用を示す斜視図。
【図14】一部別実施例に係る温室部の作用を示す正面図。
【図15】その一部の斜視図。
【符号の説明】
1 植付穴
2 マルチフィルム
3 マルチボード
A 土壌面
B 苗
Claims (1)
- 苗植穴1を形成した一対のマルチフィルム2、又はマルチボード3を上下に重合させて培地面Aに敷設し、この重合部の苗植穴1に苗Bを位置させて培地面Aに移植し、苗Bの生育に伴って両マルチフィルム2、又はマルチボード3を相対的に移動させて苗植穴1の重合部を狭く絞ることを特徴とするマルチフィルム敷設方法。
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