JP4524446B2 - 糖脂質抗原の活性化剤及び活性化方法、並びに試料中の抗糖脂質抗体の測定方法及び測定試薬キット - Google Patents
糖脂質抗原の活性化剤及び活性化方法、並びに試料中の抗糖脂質抗体の測定方法及び測定試薬キット Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖脂質抗原の活性化及び試料中の抗糖脂質抗体の測定に関するものである。
本発明は、糖脂質分野、生化学分野、分析化学分野、臨床検査分野及び生命科学分野等において重要なものであるが、特に神経疾患等の診断において重要なものである。
【0002】
【従来の技術】
糖脂質は、従来より神経組織に多く存在することが知られており、神経組織の糖脂質に反応する抗体が体液中に産生されると重篤な神経症状を起こすことが知られるようになってきた。
これらの自己抗体は、先行感染した菌体に対するものとして体内に産生され、これが神経組織の糖脂質抗原と交差反応し、自己抗体として神経を傷害する自己免疫型の神経疾患を起こすことが知られている。
【0003】
例えば、糖脂質抗原に対する抗体(抗糖脂質抗体)の一つであるIgG型の抗GM1a抗体は、急性軸策型ギラン・バレー症候群などの運動神経疾患に関与することが知られている。
急性軸策型ギラン・バレー症候群の場合、食中毒菌として知られる菌体Campylobacter jejuniが先行感染し、菌体のリポ多糖(LPS)上のGM1aと類似の糖鎖構造部分に対する抗体が体内に産生されることにより発病する。(結城ら,J.Exp.Med.,178巻,1771〜1775頁,1993年)
そして、この抗体は血液中に見い出されることが判明している。(A.J.Kornbergら,Ann.Neurol.,35巻,234〜237頁,1994年;L.H.Visserら,Brain,118巻,841〜847頁,1995年)
【0004】
現状では効果的な治療法は、血漿交換療法、免疫グロブリンの大量静脈注射療法、又は免疫吸着療法であるが、病因である抗GM1a抗体が測定されることは少ない。
なぜなら、国内では測定試薬もなく、海外の検査センターに血清試料を送って検査している程度であるからである。
【0005】
また、別の抗糖脂質抗体であるIgG型の抗GQ1b抗体は、フィッシャー症候群やビッカースタッフ型脳幹脳炎などの神経疾患に関与しており、その所見は脳幹梗塞などの他の中枢神経系疾患と類似しているが、その治療法は全く異なる。
この抗体も患者血清中に見い出される。(千葉ら,Ann.Neurol.,31巻,677〜679頁,1992年;結城ら,J.Neurol.Sci.,118巻,83〜87頁,1993年)
その他、感覚失調型ポリニューロパシーで抗GD2抗体、抗GT1b抗体、抗GQ1b抗体が上昇するとの報告や感覚神経疾患で抗スルファチド抗体が高いとの報告がある。
また、糖脂質抗原と反応する抗体が癌患者由来試料より検出されるとの報告もある。
【0006】
以上のように、研究レベルでは各種疾患と抗糖脂質抗体の関係が解き明かされ、臨床現場で使用できる抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法が待たれているが、ヒト由来試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法はその実用化の困難さゆえ、未だ実用化されるには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、試料中の抗糖脂質抗体を簡便かつ正確に測定することができる方法及び試薬を開発すべく研究を進めている中で、以下のことに気が付いた。
すなわち、試料に含まれていた抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応により特異的に結合させ、この糖脂質抗原に結合した抗糖脂質抗体を測ることにより、試料に含まれていた抗糖脂質抗体を測定しようとする際に、糖脂質抗原の抗原活性が低下してしまっており、試料に含まれていた抗糖脂質抗体と充分に反応(結合)することができず、このため測定により得られるシグナルが低いものとなってしまい、低い感度でしか測定が行えないということである。
この糖脂質抗原の抗原活性の低下は、特に乾燥状態におかれていたものにおいて顕著であった。
【0008】
そこで、本発明者らは、この糖脂質抗原の抗原活性を活性化すること、そして、糖脂質抗原を用いた試料中の抗糖脂質抗体の測定を高感度に行えるようにし、正確な測定値が得られるようにすることを課題として検討を行い、その結果解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下の本発明の構成により、前記の課題を解決することができる。
【0010】
(1) 界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質よりなる、乾燥状態におかれていたガングリオシド抗原の活性化剤。
(2) 界面活性作用を有する物質が界面活性剤である、前記(1)記載の活性化剤。
(3) 界面活性作用を有する物質が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、前記(1)又は(2)記載の活性化剤。
(4) 界面活性作用を有する物質が、両性界面活性剤以外の界面活性作用を有する物質である、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の活性化剤。
(5) タンパク質が、アルブミンである、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の活性化剤。
(6) ガングリオシド抗原が担体に固定化されたものである、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の活性化剤。
(7) ガングリオシド抗原が乾燥状態におかれてその抗原活性が低下したものである、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の活性化剤。
【0011】
(8) 乾燥状態におかれていたガングリオシド抗原を界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させることよりなる、乾燥状態におかれていたガングリオシド抗原の活性化方法。
(9) 界面活性作用を有する物質が界面活性剤である、前記(8)記載の活性化方法。
(10) 界面活性作用を有する物質が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、前記(8)又は(9)記載の活性化方法。
(11) 界面活性作用を有する物質が、両性界面活性剤以外の界面活性作用を有する物質である、前記(8)〜(10)のいずれか1項に記載の活性化方法。
(12) タンパク質が、アルブミンである、前記(8)〜(11)のいずれか1項に記載の活性化方法。
(13) ガングリオシド抗原が担体に固定化されたものである、前記(8)〜(12)のいずれか1項に記載の活性化方法。
(14) ガングリオシド抗原が乾燥状態におかれてその抗原活性が低下したものである、前記(8)〜(13)のいずれか1項に記載の活性化方法。
【0012】
(15) 試料中のガングリオシドに対する抗体を、ガングリオシド抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う方法において、乾燥状態におかれていた前記ガングリオシド抗原を界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質よりなるガングリオシド抗原の活性化剤と接触させた後に、前記ガングリオシド抗原を前記試料に含まれていたガングリオシドに対する抗体と接触させ、反応させることを特徴とする、試料中のガングリオシドに対する抗体の測定方法。
(16) 界面活性作用を有する物質が界面活性剤である、前記(15)記載の測定方法。
(17) 界面活性作用を有する物質が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、前記(15)又は(16)記載の測定方法。
(18) 界面活性作用を有する物質が、両性界面活性剤以外の界面活性作用を有する物質である、前記(15)〜(17)のいずれか1項に記載の測定方法。
(19) タンパク質が、アルブミンである、前記(15)〜(18)のいずれか1項に記載の測定方法。
(20) ガングリオシド抗原が担体に固定化されたものである、前記(15)〜(19)のいずれか1項に記載の測定方法。
(21) ガングリオシド抗原が乾燥状態におかれてその抗原活性が低下したものである、前記(15)〜(20)のいずれか1項に記載の測定方法。
【0013】
(22) 試料中のガングリオシドに対する抗体を、ガングリオシド抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う測定試薬キットにおいて、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質よりなる乾燥状態におかれていたガングリオシド抗原の活性化剤を含有する試薬を含むことを特徴とする、試料中のガングリオシドに対する抗体の測定試薬キット。
(23) 界面活性作用を有する物質が界面活性剤である、前記(22)記載の測定試薬キット。
(24) 界面活性作用を有する物質が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、前記(22)又は(23)記載の測定試薬キット。
(25) 界面活性作用を有する物質が、両性界面活性剤以外の界面活性作用を有する物質である、前記(22)〜(24)のいずれか1項に記載の測定試薬キット。
(26) タンパク質が、アルブミンである、前記(22)〜(25)のいずれか1項に記載の測定試薬キット。
(27) ガングリオシド抗原が担体に固定化されたものである、前記(22)〜(26)のいずれか1項に記載の測定試薬キット。
(28) ガングリオシド抗原が乾燥状態におかれてその抗原活性が低下したものである、前記(22)〜(27)のいずれか1項に記載の測定試薬キット。
【0014】
〔1〕 糖脂質抗原の活性化剤
本発明の糖脂質抗原の活性化剤は、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質よりなるものである。
【0015】
なお、界面活性作用とは、二つの相が接するとき、その界面に一つ又は二つの相に溶けている物質が強く吸着し界面張力を低下させる作用のことである。
本発明における界面活性作用を有する物質は、界面活性作用を有する物質であれば、特に制限なく用いることができる。
この界面活性作用を有する物質は、その分子内に親水性原子団と疎水性原子団を持つ両親媒性物質が代表的なものである。
【0016】
この界面活性作用を有する物質としては、例えば、界面活性剤等の界面活性作用を有することが知られている物質を挙げることができる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0017】
▲1▼ 非イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のもの等を挙げることができる。
(a) ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレンエーテル化合物。
【0018】
(b) グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、又はショ糖脂肪酸部分エステルなどの多価アルコール部分エステル化合物。
【0019】
(c) ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、又はポリオキシエチレン化ひまし油などのポリオキシエチレン化多価アルコール脂肪酸エステル。
【0020】
(d) 脂肪酸ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、又はトリアルキルアミンオキシドなどのアミド若しくはアミン化合物。
【0021】
▲2▼ 陰イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のもの等を挙げることができる。
(a) 脂肪族モノカルボン酸塩、N−アシロイルサルコシン塩、N−アシロイル−β−アラニン塩、若しくはN−アシロイルグルタミン酸塩などの脂肪族化合物カルボン酸塩;又はアビエチン酸塩などの環式化合物カルボン酸塩。
【0022】
(b) ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、若しくはヒドロキシアルカンスルホン酸塩などの脂肪族化合物スルホン酸塩;直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸塩、若しくはナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物などの環式化合物スルホン酸塩;又はN−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム、若しくはN−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩などの含窒素化合物スルホン酸塩。
【0023】
(c) 硫酸化ひまし油、硫酸化牛脚油、脂肪酸アルキルエステル・硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、若しくはポリオキシエチレンアルキロイルアミド硫酸塩などの脂肪族化合物硫酸エステル塩;又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、若しくはポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩などの環式化合物硫酸エステル塩。
【0024】
(d) アルキルリン酸エステル塩、若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩などの脂肪族化合物リン酸エステル塩;又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩などの環式化合物リン酸エステル塩。
【0025】
(e) スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、又はオレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物などの重合型高分子化合物のけん化物。
【0026】
(f) ナフタレンスルホン酸塩−ホルマリン縮合物などの重縮合型高分子化合物。
【0027】
▲3▼ 陽イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のもの等を挙げることができる。
(a) モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、又はトリアルキルアミン塩などの脂肪族化合物アミン塩。
【0028】
(b) テトラアルキルアンモニウム塩などの脂肪族化合物第四級アンモニウム塩;又はトリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、若しくはN,N−ジアルキルモルホリニウム塩などの環状化合物第四級アンモニウム塩。
【0029】
(c) ポリエチレンポリアミン脂肪族アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪族アミドの尿素縮合物の塩、又はポリエチレンポリアミン脂肪族アミド尿素縮合物の第四級アンモニウム塩などのポリエチレンポリアミン誘導体。
【0030】
▲4▼ 両性界面活性剤としては、例えば、以下のもの等を挙げることができる。
(a) N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシアルキレンアンモニウムベタインなどのカルボキシベタイン化合物。
【0031】
(b) N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアミノカルボン酸化合物。
【0032】
(c) N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタインなどのスルホベタイン化合物。
【0033】
(d) N−アルキル−N,N−ビスポリオキシエチレン硫酸エステル塩などのアミノ硫酸エステル化合物。
【0034】
(e) 2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウム塩などのイミダゾリン化合物。
【0035】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤においては、1種類の界面活性作用を有する物質だけを用いてもよく、又は2種類以上の界面活性作用を有する物質を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明におけるタンパク質は、タンパク質であれば特に制限なく用いることができる。
【0037】
タンパク質としては、例えば、アルブミン、カゼイン、又はゼラチン等を挙げることができる。
これらのタンパク質は、ヒト由来、ウシ由来、ブタ由来、ウマ由来、鶏卵由来、又は遺伝子工学技術により調製したもの等、いずれに由来するものでも制限なく用いることができる。
【0038】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤においては、1種類のタンパク質だけを用いてもよく、又は2種類以上のタンパク質を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤においては、前記の界面活性作用を有する物質だけを用いてもよく、若しくは、前記のタンパク質だけをもちいてもよく、又は前記の界面活性作用を有する物質と前記のタンパク質とを組み合わせて用いてもよい。
【0040】
本発明における糖脂質抗原の抗原活性の活性化は、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を糖脂質抗原と接触させることにより達成することができる。
【0041】
これは、例えば、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液を、糖脂質抗原に接触させることにより、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と糖脂質抗原との接触を行うことができる。
【0042】
すなわち、本発明の糖脂質抗原の活性化剤は、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する水溶液等の溶液であってもよく、好適である。
【0043】
この際の、溶液中の界面活性作用を有する物質の濃度であるが、これは、適宜適した濃度を用いればよいが、通常、0.0001%(w/v)以上の濃度とすることが好ましく、0.001%(w/v)以上の濃度とすることがより好ましく、そして、0.004%(w/v)以上の濃度とすることが特に好ましい。
【0044】
なお、この濃度の上限であるが、この濃度が余りに高くなり過ぎると、担体に固定化された糖脂質抗原が剥離してくる可能性も考えられる。
よって、通常は、5%(w/v)以下の濃度とすることが好ましく、0.5%(w/v)以下の濃度とすることがより好ましく、0.1%(w/v)以下の濃度とすることが更に好ましく、0.01%(w/v)以下の濃度とすることが特にに好ましい。
【0045】
また、溶液中のタンパク質の濃度であるが、これは、適宜適した濃度を用いればよいが、通常、0.001%(w/v)以上の濃度とすることが好ましく、0.01%(w/v)以上の濃度とすることがより好ましく、そして、0.1%(w/v)以上の濃度とすることが特に好ましい。
【0046】
なお、この濃度の上限は特にはないものの、コスト上の観点より、通常は、20%(w/v)以下の濃度とすることが好ましく、10%(w/v)以下の濃度とすることがより好ましい。
【0047】
本発明において、糖脂質抗原とは、その分子内に水溶性糖鎖と脂溶性基の両者を含む物質(糖脂質)であり、測定を行おうとする抗糖脂質抗体と特異的に結合することが可能な物質のことである。
【0048】
本発明における糖脂質抗原には、スフィンゴ糖脂質、及びグリセロ糖脂質等が含まれるものである。
【0049】
また、本発明における糖脂質抗原には、シアル酸を含む糖脂質であるガングリオシド、硫酸を含む糖脂質であるスルファチド(スルホリピド)、ウロン酸を含む糖脂質、又はリン酸を含む糖脂質などの酸性糖脂質、及び中性糖脂質等が含まれるものである。
【0050】
なお、ガングリオシド(シアロ糖脂質)は、シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称である。
このガングリオシドとしては、例えば、GM1a、GM1b、GM1−Fuc、GM2、GM3、GM3(NeuGc)、GM4、GD1a、GD1b、GD2、GD3、GD3(NeuAc/NeuGc)、GD3(NeuGc)2、GT1a、GT1b、GT1c、GQ1a、GQ1b、GQ1c、GP1a、GP1b、GP1c、又はLM1等を挙げることができる。
【0051】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤においては、糖脂質抗原がガングリオシド(ガングリオシド抗原)である場合に好適である。
【0052】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤には、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質とともに他の物質を共存させてもよい。
この他の物質としては、例えば、塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清、正常マウス血清、正常ウシ血清、若しくは正常ウマ血清などの各種動物血清、アジ化ナトリウム又は抗生物質などの各種防腐剤等の1種又は2種以上等を適宜共存させてもよい。
これらを糖脂質抗原の活性化剤に存在させる際の濃度は、特に限定されるものではないが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、特に0.01〜5%(w/v)が好ましい。
【0053】
また、本発明の糖脂質抗原の活性化剤には、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質とともに緩衝剤を共存させてもよい。
この緩衝剤としては、例えば、MES、Bis−Tris、Bis−Trisプロパン、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPES、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、リン酸、リン酸塩、リン酸等張化緩衝液(PBS)、ホウ酸、ホウ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、イミダゾール、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕等を挙げることができる。
この緩衝剤を糖脂質抗原の活性化剤に存在させる際の濃度は、特に限定されるものではないが、1〜2000mMが好ましく、特に5〜1000mMが好ましい。
【0054】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤は、担体に固定化された糖脂質抗原に対して特に好適である。
【0055】
この担体としては、粒子、マイクロタイタープレート(マイクロプレート)、試験管、トレイ、マイクロカプセル、ビーズ、スティック、試験片、イムノクロマト法用の担体、その他の容器、又はその他の測定器具等を挙げることができる。
【0056】
この担体の材質としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、メタクリル酸重合体、ポリアクリルアミド、ラテックス、リポソーム、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、シリカゲル、カーボン、ベントナイト、リン脂質、エマルジョン、金属、又は磁性体等を挙げることができる。
【0057】
なお、糖脂質抗原を固定化する担体の材質としては、ポリ塩化ビニルが好適である。
【0058】
糖脂質抗原の担体への固定化の方法としては、例えば、化学結合法、又は物理吸着法等を挙げることができる。
【0059】
なお、糖脂質抗原の抗原活性の低下は、特に乾燥状態におかれていたものにおいて顕著であるため、本発明の糖脂質抗原の活性化剤は、乾燥状態におかれていた糖脂質抗原の抗原活性の活性化において特に好適である。
【0060】
この糖脂質抗原の乾燥状態としては、例えば、凍結乾燥されたもの、真空乾燥されたもの、風を当てられ乾燥されたもの、又は自然乾燥されたもの等を挙げることができる。
【0061】
〔2〕 糖脂質抗原の活性化方法
本発明の糖脂質抗原の活性化方法は、糖脂質抗原を界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させることよりなる。
【0062】
糖脂質抗原を、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させることにより、この糖脂質抗原の抗原活性の活性化が達成される。
【0063】
なお、界面活性作用を有する物質、タンパク質、及び糖脂質抗原等については、前記〔1〕に記載した通りである。
【0064】
本発明の糖脂質抗原の活性化方法における界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質としては、界面活性剤が好適である。
【0065】
また、本発明の糖脂質抗原の活性化方法は、担体に固定化された糖脂質抗原に対して好適である。
【0066】
そして、本発明の糖脂質抗原の活性化方法は、乾燥状態におかれていた糖脂質抗原に対して好適である。
【0067】
更に、本発明の糖脂質抗原の活性化方法においては、糖脂質抗原がガングリオシド(ガングリオシド抗原)である場合に好適である。
【0068】
界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を、糖脂質抗原と接触させる時間であるが、これは、適宜適した時間接触させればよいが、通常、30秒間以上が好ましく、1分間以上がより好ましく、4分間以上が特に好ましい。
【0069】
なお、この接触時間の上限は特にはない。
但し、強いて挙げるとすると、作業時間が長くなることによりコストが上昇するとの観点に立てば、接触時間は10時間以内とすることが好ましく、3時間以内とすることがより好ましく、1時間以内とすることが特に好ましい。
【0070】
界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を、糖脂質抗原と接触させる際の温度であるが、これは、糖脂質抗原、界面活性作用を有する物質、及び/又はタンパク質が、熱で変性、失活してしまわない程度の温度(通常、55℃以下)で接触を行えばよい。
通常、2〜37℃の範囲内の温度において接触させることが好ましく、2〜30℃の範囲内の温度がより好ましく、15〜30℃の範囲内の温度が特に好ましい。
【0071】
〔3〕 試料中の抗糖脂質抗体の測定方法
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法は、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う方法において、前記糖脂質抗原を界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させた後に、前記糖脂質抗原を前記試料に含まれていた抗糖脂質抗体と接触させ、反応させることを特徴とするものである。
【0072】
糖脂質抗原を、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させて、この糖脂質抗原の抗原活性を活性化させ、その後に、この活性化させた糖脂質抗原を試料に含まれていた抗糖脂質抗体と接触させ、反応させることにより、抗糖脂質抗体の高感度な測定が達成されるものである。
【0073】
なお、界面活性作用を有する物質、タンパク質、及び糖脂質抗原等については、前記〔1〕に記載した通りであり、この界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質による糖脂質抗原の活性化方法等については、前記〔2〕に記載した通りである。
【0074】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法における界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質としては、界面活性剤が好適である。
【0075】
そして、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、糖脂質抗原が担体に固定化されている場合に好適である。
【0076】
また、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、糖脂質抗原が乾燥状態におかれていた場合に好適である。
【0077】
更に、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、糖脂質抗原がガングリオシド(ガングリオシド抗原)である場合に好適である。
【0078】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、試料に含まれていた抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と接触させ、両者間の抗原抗体反応により結合を行わせて測定を行う際に、この抗原抗体反応の前に、糖脂質抗原を界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させ、糖脂質抗原の抗原活性を活性化させることを特徴とするものである。
【0079】
なお、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質(界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液)を糖脂質抗原と接触させた後に、この界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質(界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液)を糖脂質抗原より分離、除去し、その後に、糖脂質抗原と試料に含まれていた抗糖脂質抗体とを接触、反応させてもよい。
【0080】
また、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質(界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液)を糖脂質抗原と接触させた後に、この界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質(界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液)を糖脂質抗原より分離、除去することなく、更に、糖脂質抗原を試料に含まれていた抗糖脂質抗体と接触させ、反応させてもよい。
【0081】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法において、試料は、抗糖脂質抗体が存在する可能性があり、抗糖脂質抗体の測定を行おうとするものであれば、どのようなものでもよい。
このようなものの例として、ヒト若しくは動物の血液、血清、血漿、若しくは髄液などの体液;ヒト若しくは動物の臓器若しくは筋肉などの抽出液;又は細胞若しくは菌体などの抽出液等を挙げることができる。
【0082】
また、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法において、抗糖脂質抗体は、糖脂質に対して特異的に結合することができる抗体である。
【0083】
本発明において、抗糖脂質抗体としては、例えば、スフィンゴ糖脂質に対する抗体、又はグリセロ糖脂質に対する抗体等を挙げることができる。
【0084】
更に、本発明において、抗糖脂質抗体としては、例えば、酸性糖脂質に対する抗体、又は中性糖脂質に対する抗体等を挙げることができる。
【0085】
そして、酸性糖脂質に対する抗体としては、例えば、ガングリオシドに対する抗体、スルファチドに対する抗体、ウロン酸を含む糖脂質に対する抗体、又はリン酸を含む糖脂質に対する抗体等を挙げることができる。
【0086】
また、ガングリオシドに対する抗体としては、例えば、抗GM1a抗体、抗GM1b抗体、抗GM1−Fuc抗体、抗GM2抗体、抗GM3抗体、抗GM3(NeuGc)抗体、抗GM4抗体、抗GD1a抗体、抗GD1b抗体、抗GD2抗体、抗GD3抗体、抗GD3(NeuAc/NeuGc)抗体、抗GD3(NeuGc)2抗体、抗GT1a抗体、抗GT1b抗体、抗GT1c抗体、抗GQ1a抗体、抗GQ1b抗体、抗GQ1c抗体、抗GP1a抗体、抗GP1b抗体、抗GP1c抗体、又は抗LM1抗体等を挙げることができる。
【0087】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、抗糖脂質抗体がガングリオシドに対する抗体である場合に好適である。
【0088】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法において、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う方法の測定原理は、特に制限はなく、どのような測定原理のものであってもよい。
【0089】
例えば、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、若しくは発光免疫測定法などの標識物質を用いる免疫測定法(標識免疫測定法);ラテックス比濁法;ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応測定法、若しくは粒子凝集反応測定法などの間接凝集反応測定法;イムノクロマト法;ウエスタンブロット法;又は特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定され被覆された面を有する担体並びに測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定された粒子を用いる測定法等を挙げることができる。
【0090】
そして、前記の標識免疫測定法の場合、サンドイッチ法、競合法、又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法においても本発明を適用することができる。
【0091】
なお、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、測定は用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
【0092】
また、測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
【0093】
なお、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法においては、いずれの測定原理(測定法)に基づいて実施するにしても、その測定原理(測定法)の公知の手法に従って、測定を行えばよい。
【0094】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法を、酵素免疫測定法などの標識免疫測定法を測定原理とする方法により実施する場合を例にとって、以下具体的に説明を行う。
標識免疫測定法のサンドイッチ法により測定を行う場合の一例を示す。
【0095】
▲1▼ 測定を行おうとする抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる糖脂質抗原を固定化した担体を用意する。(例えば、抗GM1a抗体の測定においては、GM1aをウェルに固定化したマイクロタイタープレートを用意する。)
【0096】
▲2▼ 前記▲1▼の担体の糖脂質抗原を固定化した部位に、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液を添加し、接触させる。
これにより、担体に固定化された糖脂質抗原に、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を接触させて、この糖脂質抗原の抗原活性の活性化を行う。
【0097】
▲3▼ 一定時間後、前記▲2▼で担体に添加した、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する溶液を吸い取り、除去する。
【0098】
▲4▼ 次に、試料としてヒト血清を、担体の糖脂質抗原を固定化した部位に一定量添加し、一定時間接触させる。
これにより、試料中に測定対象物質である抗糖脂質抗体が存在する場合には、抗原抗体反応により、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体」の結合を形成させる。(例えば、「マイクロタイタープレートのウェル−GM1a−抗GM1a抗体」)
【0099】
▲5▼ この試料の添加、接触と同時に、若しくは一定時間のうちに、又は洗浄の後に、前記の抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質に酵素等の標識物質を結合させたものの一定量を、担体の糖脂質抗原を固定化した部位に添加して、一定時間接触させる。
【0100】
なお、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質としては、例えば、この抗糖脂質抗体に対する抗体、又はこの抗糖脂質抗体と結合することができる抗原等を挙げることができる。
【0101】
より具体的には、この抗糖脂質抗体に対する抗体としては、例えば、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、及び抗ヒトIgE抗体より選ばれる1種又は2種以上の抗体等を挙げることができる。
【0102】
また、この抗糖脂質抗体と結合することができる抗原としては、例えば、この抗糖脂質抗体と結合することができる糖脂質抗原等を挙げることができる。(例えば、抗糖脂質抗体が抗GM1a抗体である場合には、GM1aを挙げることができる。)
【0103】
この操作により、試料中に測定対象物質である抗糖脂質抗体が存在する場合には、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」の結合が形成される。(例えば「マイクロタイタープレートのウェル−GM1a−抗GM1a抗体−抗ヒトIgG抗体−標識酵素」)
【0104】
▲6▼ 次に、担体に結合していない未結合の「標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質」を洗浄し、除去する。
【0105】
▲7▼ そして、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」の結合により担体に結合した標識物質を検出することにより、試料に含まれていた抗糖脂質抗体の測定を行う。
【0106】
この測定においては、担体と標識物質が、試料に含まれていた抗糖脂質抗体を介して、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」と結合するので、担体に結合した標識物質の量を測定することにより、試料に含まれていた抗糖脂質抗体の有無、又は量を測定することができるものである。
【0107】
なお、前記▲5▼において用いる「標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質」として、「標識物質を結合した、クラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を使用することにより、試料中の抗糖脂質抗体を免疫グロブリンのクラス別に測定することが可能となる。
このクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体としては、例えば、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、又は抗ヒトIgE抗体等を挙げることができる。
【0108】
また、これらの「標識物質を結合した、クラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を、適当な割合で混合して使用することにより、免疫グロブリンのクラスに依存しない抗糖脂質抗体の測定を行うことができる。
【0109】
更に、前記▲5▼において用いる「標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質」として、「標識物質を結合した、サブクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を使用することにより、試料中の抗糖脂質抗体を免疫グロブリンのサブクラス別に測定することが可能となる。
このサブクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体としては、例えば、抗ヒトカッパー(κ)抗体、抗ヒトラムダ(λ)抗体、抗ヒトIgG1抗体、抗ヒトIgG2抗体、抗ヒトIgG3抗体、又は抗ヒトIgG4抗体等を挙げることができる。
【0110】
また、これらの「標識物質を結合した、サブクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を、適当な割合で混合して使用することにより、免疫グロブリンのサブクラスに依存しない抗糖脂質抗体の測定を行うことができる。
【0111】
なお、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」の結合により担体に結合した標識物質の検出であるが、酵素免疫測定法等の標識物質として酵素を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識酵素にその至適条件下で基質を反応させ、その反応生成物の量を反応促進物質の吸光度を測るなどの光学的方法等により測定を行う。
【0112】
蛍光免疫測定法等の標識物質として蛍光物質を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識蛍光物質による蛍光強度を測定することにより測定を行う。
【0113】
放射免疫測定法等の標識物質として放射性物質を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識放射性物質による放射線量を測定することにより測定を行う。
【0114】
発光免疫測定法等の標識物質として発光反応に係わる物質を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識物質が係わる発光反応系における発光量を測定することにより測定を行う。
【0115】
なお、前記の標識物質であるが、標識物質として酵素を用いる酵素免疫測定法等により測定を行う場合には、パーオキシダーゼ(POD)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、又はα−アミラーゼ等の酵素を用いることができる。
【0116】
また、標識物質として蛍光物質を用いる蛍光免疫測定法等により測定を行う場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、又はジクロロトリアジンイソチオシアネート等の蛍光物質を用いることができる。
【0117】
そして、標識物質として放射性物質を用いる放射免疫測定法等により測定を行う場合には、トリチウム、ヨウ素125、又はヨウ素131等の放射性物質を用いることができる。
【0118】
また、測定を発光免疫測定法により行う場合には、アクリジニウムエステル、アルカリ性ホスファターゼ、パーオキシダーゼ、又はグルコースオキシダーゼ等を標識物質として用い、アクリジニウムエステル系、ジオキセタン化合物系、ルミノール−過酸化水素−POD系、又はNADH−FMNH2−ルシフェラーゼ系等により担体に結合した標識物質の検出を行うことができる。
【0119】
〔4〕 試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キット
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットは、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う測定試薬キットにおいて、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する試薬を含むことを特徴とするものである。
【0120】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットに含まれる、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する試薬を用い、測定時に、糖脂質抗原を、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させ、この糖脂質抗原の抗原活性を活性化させて測定を行うことにより、試料中に含まれていた抗糖脂質抗体の高感度な測定が達成されるものである。
【0121】
なお、界面活性作用を有する物質、タンパク質、及び糖脂質抗原等については、前記〔1〕に記載した通りであり、この界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質による糖脂質抗原の活性化方法等については、前記〔2〕に記載した通りであり、試料中の抗糖脂質抗体の測定の方法については、前記〔3〕に記載した通りである。
【0122】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットにおける界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質としては、界面活性剤が好適である。
【0123】
そして、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットにおいては、糖脂質抗原が担体に固定化されている場合に好適である。
【0124】
また、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットにおいては、糖脂質抗原が乾燥状態におかれていた場合に好適である。
【0125】
更に、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットにおいては、糖脂質抗原がガングリオシド(ガングリオシド抗原)である場合に好適である。
【0126】
本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットは、試料中の抗糖脂質抗体を測定するための試薬とともに、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する試薬を含むものである。
【0127】
この試料中の抗糖脂質抗体を測定するための試薬としては、例えば、糖脂質抗原を固定化した担体;標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質;発色などのシグナルの生成に係わる物質;試料希釈液;試薬希釈液;洗浄液;緩衝液;又は校正(キャリブレーション)を行うための物質等を挙げることができる。
【0128】
なお、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬キットに含まれる、界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質を含有する試薬の組成、及び使用方法等については、前記の〔1〕、〔2〕、及び〔3〕の記載の通りである。
【0129】
また、前記の試料中の抗糖脂質抗体を測定するための試薬については、各々の測定原理(測定法)における公知の測定試薬の通りでよい。
【0130】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0131】
なお、下記の実施例における各測定は、2重測定又はそれ以上の測定を行っているものであり、これらの測定により得た値の平均値を以下測定値として示した。
【0132】
〔実施例1〕(界面活性作用を有する物質による糖脂質抗原の活性化の効果の確認)
界面活性作用を有する物質(界面活性剤)であるTween20による、各種の糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0133】
〔1〕試料中の抗GM1a抗体の測定
【0134】
1.試薬の調製
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0135】
(2)アジ化ナトリウム含有PBSの調製
0.1gのアジ化ナトリウムに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、15mMアジ化ナトリウム含有PBSを調製した。
【0136】
(3)BSA含有PBSの調製
1.0gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0137】
(4)トリス等張化緩衝液(TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)を精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0138】
(5)アジ化ナトリウム含有TBSの調製
0.1gのアジ化ナトリウムに、前記(4)で調製したトリス等張化緩衝液(TBS)を加え、100mLとして、15mMアジ化ナトリウム含有TBSを調製した。
【0139】
(6)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(2)で調製したアジ化ナトリウム含有PBSを加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むアジ化ナトリウム含有PBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0140】
(7)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
25%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
10mM リン酸一水素二ナトリウム
【0141】
(8)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0142】
(9)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、pHをpH7.5(20℃)に調整して、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
50mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.7mM リン酸二水素一ナトリウム
【0143】
(10)基質液
ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を含有〕(サイテック社)を、基質液として用いた。
【0144】
(11)反応停止液
反応停止液〔TSB999〕(サイテック社)を、反応停止液として用いた。
【0145】
(12)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0146】
(13)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0147】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
【0148】
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(5)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0149】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
【0150】
その後、このウェル内の液を除去した。
【0151】
次に、このウェルに前記(3)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0152】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0153】
▲2▼対照担体の調製
【0154】
前記(5)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0155】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
【0156】
その後、このウェル内の液を除去した。
【0157】
次に、このウェルに前記(3)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0158】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0159】
2.試料
【0160】
抗GM1a抗体陽性血清:
神経疾患の患者の血清で、抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0161】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0162】
(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合
【0163】
▲1▼ 本実施例の〔1〕の1の(13)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の〔1〕の1の(6)の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注し、これを室温(25℃)で60分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0164】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0165】
▲3▼ 試料である本実施例の〔1〕の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の〔1〕の1の(7)の試料希釈液で1/400,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
【0166】
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0167】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料(抗GM1a抗体陽性血清)を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の〔1〕の1の(12)の洗浄液で洗浄した。
【0168】
▲5▼ 本実施例の〔1〕の1の(8)の酵素標識抗体を、本実施例の〔1〕の1の(9)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0169】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の〔1〕の1の(12)の洗浄液で洗浄した。
【0170】
▲7▼ 本実施例の〔1〕の1の(10)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温(23.5℃)で40分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0171】
▲8▼ 40分後に、本実施例の〔1〕の1の(11)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0172】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0173】
▲10▼ 対照として、本実施例の〔1〕の1の(13)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて本実施例の〔1〕の1の(13)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0174】
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1に示した。
【0175】
(2)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
【0176】
▲1▼ 本実施例の〔1〕の1の(13)の▲1▼で調製したGM1a抗原固定化担体のウェルに、試料である本実施例の〔1〕の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の〔1〕の1の(7)の試料希釈液で1/400,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0177】
▲2▼ 以下の操作は、前記(1)の▲4▼〜▲9▼の記載の通りに行い、担体に固定化されたGM1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させることなく、試料の測定を行い、吸光度測定値〔吸光度C〕を得た。
【0178】
▲3▼ また、対照として、本実施例の〔1〕の1の(13)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて本実施例の〔1〕の1の(13)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼及び▲2▼の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用い、かつ糖脂質抗原活性化剤を用いない場合の吸光度測定値〔吸光度D〕を得た。
【0179】
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1に示した。
【0180】
〔2〕試料中の抗GD1a抗体の測定
【0181】
1.試薬の調製
【0182】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0183】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0184】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0185】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むPBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0186】
(5)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0187】
(6)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0188】
(7)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
3%(v/v) ウマ血清
0.1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0189】
(8)基質液の調製
3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン塩酸塩(同仁化学社)を1.3mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH2.0に調整して、TMBZ溶液を調製した。
次に、クエン酸一水和物を41mMとなるように、リン酸一水素二ナトリウムを23mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH4.3に調整して、クエン酸緩衝液を調製した。
このクエン酸緩衝液に、過酸化水素水を5mMとなるように混合して過酸化水素溶液を調製した。
使用直前に、前記のTMBZ溶液と前記の過酸化水素溶液を、等量ずつ混和して、基質液を調製した。
【0190】
(9)反応停止液の調製
硫酸を0.7Nとなるように精製水に溶解して反応停止液を調製した。
【0191】
(10)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0192】
(11)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0193】
▲1▼GD1a抗原固定化担体の調製
GD1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を1.0mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0194】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GD1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0195】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0196】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GD1a抗原固定化担体を調製した。
【0197】
▲2▼対照担体の調製
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0198】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0199】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0200】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0201】
2.試料
抗GD1a抗体陽性血清:
神経疾患の患者の血清で、抗GD1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GD1a抗体陽性血清として用意した。
【0202】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0203】
(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合
▲1▼ 本実施例の〔2〕の1の(11)の▲1▼のGD1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の〔2〕の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注し、これを室温にて23分間放置して、担体に固定化されたGD1a抗原にTween20を接触させた。
【0204】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0205】
▲3▼ 試料である本実施例の〔2〕の2の抗GD1a抗体陽性血清を本実施例の〔2〕の1の(5)の試料希釈液で1/80,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGD1a抗原と試料に含まれていた抗GD1a抗体を接触させ、反応させた。
【0206】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料(抗GD1a抗体陽性血清)を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の〔2〕の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0207】
▲5▼ 本実施例の〔2〕の1の(6)の酵素標識抗体を、本実施例の〔2〕の1の(7)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0208】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の〔2〕の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0209】
▲7▼ 本実施例の〔2〕の1の(8)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、25℃で60分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0210】
▲8▼ 60分後に、本実施例の〔2〕の1の(9)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0211】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0212】
▲10▼ 対照として、本実施例の〔2〕の1の(11)の▲1▼のGD1a抗原固定化担体に替えて本実施例の〔2〕の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GD1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0213】
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1に示した。
【0214】
(2)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
▲1▼ 本実施例の〔2〕の1の(11)の▲1▼で調製したGD1a抗原固定化担体のウェルに、試料である本実施例の〔2〕の2の抗GD1a抗体陽性血清を本実施例の〔2〕の1の(5)の試料希釈液で1/80,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGD1a抗原と試料に含まれていた抗GD1a抗体を接触させ、反応させた。
【0215】
▲2▼ 以下の操作は、前記(1)の▲4▼〜▲9▼の記載の通りに行い、担体に固定化されたGD1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させることなく、試料の測定を行い、吸光度測定値〔吸光度C〕を得た。
【0216】
▲3▼ また、対照として、本実施例の〔2〕の1の(11)の▲1▼のGD1a抗原固定化担体に替えて本実施例の〔2〕の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼及び▲2▼の通りに操作を行い、GD1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用い、かつ糖脂質抗原活性化剤を用いない場合の吸光度測定値〔吸光度D〕を得た。
【0217】
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1に示した。
【0218】
〔3〕試料中の抗GQ1b抗体の測定
【0219】
1.試薬の調製
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0220】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0221】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0222】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むPBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0223】
(5)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
25%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0224】
(6)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0225】
(7)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0226】
(8)基質液
ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を含有〕〔TMBW−1000−01〕(バイオFXラボラトリーズ社)を、基質液として用いた。
【0227】
(9)反応停止液
反応停止液〔TSB999〕(サイテック社)を、反応停止液として用いた。
【0228】
(10)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0229】
(11)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0230】
▲1▼GQ1b抗原固定化担体の調製
GQ1b〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を1.0mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0231】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GQ1bをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0232】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0233】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GQ1b抗原固定化担体を調製した。
【0234】
▲2▼対照担体の調製
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0235】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0236】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0237】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0238】
2.試料
抗GQ1b抗体陽性血清:
神経疾患の患者の血清で、抗GQ1b抗体を含むことが確認されている血清を、抗GQ1b抗体陽性血清として用意した。
【0239】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0240】
(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合
▲1▼ 本実施例の〔3〕の1の(11)の▲1▼のGQ1b抗原固定化担体のウェルに、本実施例の〔3〕の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注し、これを室温にて20分間放置して、担体に固定化されたGQ1b抗原にTween20を接触させた。
【0241】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0242】
▲3▼ 試料である本実施例の〔3〕の2の抗GQ1b抗体陽性血清を本実施例の〔3〕の1の(5)の試料希釈液で1/50,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGQ1b抗原と試料に含まれていた抗GQ1b抗体を接触させ、反応させた。
【0243】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料(抗GQ1b抗体陽性血清)を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の〔3〕の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0244】
▲5▼ 本実施例の〔3〕の1の(6)の酵素標識抗体を、本実施例の〔3〕の1の(7)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0245】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の〔3〕の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0246】
▲7▼ 本実施例の〔3〕の1の(8)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、25℃で60分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0247】
▲8▼ 60分後に、本実施例の〔3〕の1の(9)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0248】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0249】
▲10▼ 対照として、本実施例の〔3〕の1の(11)の▲1▼のGQ1b抗原固定化担体に替えて本実施例の〔3〕の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GQ1b抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0250】
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1に示した。
【0251】
(2)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
▲1▼ 本実施例の〔3〕の1の(11)の▲1▼で調製したGQ1b抗原固定化担体のウェルに、試料である本実施例の〔3〕の2の抗GQ1b抗体陽性血清を本実施例の〔3〕の1の(5)の試料希釈液で1/50,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGQ1b抗原と試料に含まれていた抗GQ1b抗体を接触させ、反応させた。
【0252】
▲2▼ 以下の操作は、前記(1)の▲4▼〜▲9▼の記載の通りに行い、担体に固定化されたGQ1b抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させることなく、試料の測定を行い、吸光度測定値〔吸光度C〕を得た。
【0253】
▲3▼ また、対照として、本実施例の〔3〕の1の(11)の▲1▼のGQ1b抗原固定化担体に替えて本実施例の〔3〕の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼及び▲2▼の通りに操作を行い、GQ1b抗原を固定化させていない担体である対照担体を用い、かつ糖脂質抗原活性化剤を用いない場合の吸光度測定値〔吸光度D〕を得た。
【0254】
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1に示した。
【0255】
〔4〕測定結果
【0256】
【表1】
【0257】
(1) 抗GM1a抗体陽性血清を試料として測定を行った場合、担体に固定化されたGM1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させて測定を行ったときの測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、担体に固定化されたGM1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させずに測定を行ったときの測定値(吸光度差:吸光度C−吸光度D)の1.581倍の値が得られていることが分かる。
【0258】
(2) また、抗GD1a抗体陽性血清を試料として測定を行った場合、担体に固定化されたGD1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させて測定を行ったときの測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、担体に固定化されたGD1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させずに測定を行ったときの測定値(吸光度差:吸光度C−吸光度D)の5.823倍の値が得られていることが分かる。
【0259】
(3) そして、抗GQ1b抗体陽性血清を試料として測定を行った場合、担体に固定化されたGQ1b抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させて測定を行ったときの測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、担体に固定化されたGQ1b抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させずに測定を行ったときの測定値(吸光度差:吸光度C−吸光度D)の2.178倍の値が得られていることが分かる。
【0260】
(4) 以上のことより、糖脂質抗原がGM1a、GD1a、又はGQ1bのいずれの場合においても、界面活性作用を有する物質であるTween20を、糖脂質抗原に接触させることにより、この糖脂質抗原の抗原活性を活性化することができることが確かめられた。そして、これにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0261】
(5) なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B及び吸光度D)が、いずれも低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0262】
〔実施例2〕(界面活性作用を有する物質の濃度と糖脂質抗原の活性化の効果との関係の確認)
【0263】
界面活性作用を有する物質(界面活性剤)であるTween20の濃度を変えたときの、糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0264】
1.試薬の調製
【0265】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0266】
(2)アジ化ナトリウム含有PBSの調製
0.1gのアジ化ナトリウムに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、15mMアジ化ナトリウム含有PBSを調製した。
【0267】
(3)BSA含有PBSの調製
1.0gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0268】
(4)トリス等張化緩衝液(TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0269】
(5)アジ化ナトリウム含有TBSの調製
0.1gのアジ化ナトリウムに、前記(4)で調製したトリス等張化緩衝液(TBS)を加え、100mLとして、15mMアジ化ナトリウム含有TBSを調製した。
【0270】
(6)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)を下記の濃度となるように、前記(2)のアジ化ナトリウム含有PBSに加えて、各濃度のTween20を含むアジ化ナトリウム含有PBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0271】
▲1▼ 1%(w/v)
▲2▼ 0.5%(w/v)
▲3▼ 0.25%(w/v)
▲4▼ 0.13%(w/v)
▲5▼ 0.063%(w/v)
▲6▼ 0.031%(w/v)
▲7▼ 0.016%(w/v)
▲8▼ 0.0078%(w/v)
▲9▼ 0.0039%(w/v)
【0272】
また、比較のため、アジ化ナトリウム含有PBSを、Tween20濃度が0%の糖脂質抗原活性化剤とした。
▲10▼ 0%(w/v)
【0273】
(7)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
25%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.7mM リン酸二水素一ナトリウム
【0274】
(8)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0275】
(9)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、pHをpH7.5(20℃)に調整して、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
50mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.7mM リン酸二水素一ナトリウム
【0276】
(10)基質液
ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を含有〕(サイテック社)を、基質液として用いた。
【0277】
(11)反応停止液
反応停止液〔TSB999〕(サイテック社)を、反応停止液として用いた。
【0278】
(12)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0279】
(13)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0280】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(5)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0281】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0282】
次に、このウェルに前記(3)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0283】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0284】
▲2▼対照担体の調製
前記(5)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0285】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0286】
次に、このウェルに前記(3)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0287】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0288】
2.試料
抗GM1a抗体陽性血清:
神経疾患の患者の血清で、抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0289】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
糖脂質抗原活性化剤として、本実施例の1の(6)の▲1▼〜▲9▼の各濃度のTween20を含む糖脂質抗原活性化剤、及び▲10▼のTween20を含まない糖脂質抗原活性化剤をそれぞれ用いること以外は、前記実施例1の〔1〕の3の「(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合」の記載の通りに測定を行った。
【0290】
4.測定結果
【0291】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表2に示した。
【0292】
【表2】
【0293】
測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20の濃度が0%のときの値に比較して、糖脂質抗原活性化剤にTween20が含まれている場合には、いずれの濃度においても1.861倍〜2.247倍の値が得られていることが分かる。
【0294】
これにより、界面活性作用を有する物質であるTween20を、糖脂質抗原に接触させることによる糖脂質抗原の抗原活性の活性化が、広い濃度域において達成されることが確かめられた。そして、これにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0295】
なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B)が、いずれの濃度においても、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0296】
〔実施例3〕(界面活性作用を有する物質を糖脂質抗原に接触させる際の温度と糖脂質抗原の活性化の効果との関係の確認)
【0297】
界面活性作用を有する物質(界面活性剤)であるTween20を糖脂質抗原に接触させる際の温度を変えたときの、糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0298】
1.試薬の調製
【0299】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0300】
(2)アジ化ナトリウム含有PBSの調製
0.1gのアジ化ナトリウムに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、15mMアジ化ナトリウム含有PBSを調製した。
【0301】
(3)BSA含有PBSの調製
1.0gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0302】
(4)トリス等張化緩衝液(TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)を精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0303】
(5)アジ化ナトリウム含有TBSの調製
0.1gのアジ化ナトリウムに、前記(4)で調製したトリス等張化緩衝液(TBS)を加え、100mLとして、15mMアジ化ナトリウム含有TBSを調製した。
【0304】
(6)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)を下記の濃度となるように、前記(2)のアジ化ナトリウム含有PBSに加えて、各濃度のTween20を含むアジ化ナトリウム含有PBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0305】
▲1▼ 0.5%(w/v)
▲2▼ 0.05%(w/v)
▲3▼ 0.005%(w/v)
【0306】
また、比較のため、アジ化ナトリウム含有PBSを、Tween20濃度が0%の糖脂質抗原活性化剤とした。
▲4▼ 0%(w/v)
【0307】
(7)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
25%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.7mM リン酸二水素一ナトリウム
【0308】
(8)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0309】
(9)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、pHをpH7.5(20℃)に調整して、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
50mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.7mM リン酸二水素一ナトリウム
【0310】
(10)基質液
ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を含有〕(サイテック社)を、基質液として用いた。
【0311】
(11)反応停止液
反応停止液〔TSB999〕(サイテック社)を、反応停止液として用いた。
【0312】
(12)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0313】
(13)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0314】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(5)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0315】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0316】
次に、このウェルに前記(3)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0317】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0318】
▲2▼対照担体の調製
前記(5)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0319】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0320】
次に、このウェルに前記(3)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0321】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0322】
2.試料
抗GM1a抗体陽性血清:
神経疾患の患者の血清で、抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0323】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0324】
▲1▼ 本実施例の1の(13)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(6)の▲1▼、▲2▼、▲3▼、又は▲4▼の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注した。
これを、5℃、25℃、又は37℃で60分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0325】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0326】
▲3▼ 試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(7)の試料希釈液で1/400,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0327】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料(抗GM1a抗体陽性血清)を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(12)の洗浄液で洗浄した。
【0328】
▲5▼ 本実施例の1の(8)の酵素標識抗体を、本実施例の1の(9)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0329】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(12)の洗浄液で洗浄した。
【0330】
▲7▼ 本実施例の1の(10)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温(24.5℃)で45分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0331】
▲8▼ 45分後に、本実施例の1の(11)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0332】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0333】
▲10▼ 対照として、本実施例の1の(13)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて本実施例の1の(13)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0334】
4.測定結果
【0335】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表3に示した。
【0336】
【表3】
【0337】
(1) 糖脂質抗原活性化剤を糖脂質抗原に接触させたときの温度が5℃の場合、測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20の濃度が0%のときの値に比較して、糖脂質抗原活性化剤にTween20が含まれている場合には、いずれの濃度においても1.464倍〜1.583倍の値が得られていることが分かる。
【0338】
(2) また、糖脂質抗原活性化剤を糖脂質抗原に接触させたときの温度が25℃の場合、測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20の濃度が0%のときの値に比較して、糖脂質抗原活性化剤にTween20が含まれている場合には、いずれの濃度においても1.478倍〜1.581倍の値が得られていることが分かる。
【0339】
(3) そして、糖脂質抗原活性化剤を糖脂質抗原に接触させたときの温度が37℃の場合、測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20の濃度が0%のときの値に比較して、糖脂質抗原活性化剤にTween20が含まれている場合には、いずれの濃度においても1.430倍〜1.906倍の値が得られていることが分かる。
【0340】
(4) 以上のことより、界面活性作用を有する物質であるTween20を、糖脂質抗原に接触させることによる糖脂質抗原の抗原活性の活性化が、広い温度域において達成されることが確かめられた。そして、これにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0341】
(5) なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B)が、いずれの温度においても、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0342】
〔実施例4〕(界面活性作用を有する物質を糖脂質抗原に接触させる際の時間と糖脂質抗原の活性化の効果との関係の確認)
【0343】
界面活性作用を有する物質(界面活性剤)であるTween20を糖脂質抗原に接触させる際の時間を変えたときの、糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0344】
1.試薬の調製
【0345】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0346】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0347】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0348】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むPBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0349】
(5)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
25%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.7mM リン酸二水素一ナトリウム
【0350】
(6)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0351】
(7)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0352】
(8)基質液
ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を含有〕〔TMBW−1000−01〕(バイオFXラボラトリーズ社)を、基質液として用いた。
【0353】
(9)反応停止液
反応停止液〔TSB999〕(サイテック社)を、反応停止液として用いた。
【0354】
(10)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0355】
(11)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0356】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0357】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0358】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0359】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0360】
▲2▼対照担体の調製
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0361】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0362】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0363】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0364】
2.試料
抗GM1a抗体陽性血清:
神経疾患の患者の血清で、抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0365】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0366】
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注し、これを室温で放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0367】
なお、この糖脂質抗原活性化剤を担体に固定化されたGM1a抗原に接触させる時間は、それぞれ下記の時間において行った。
【0368】
60分間
30分間
15分間
10分間
7分間
5分間
4分間
2分間 又は、
1分間
【0369】
また、比較のため、前記のGM1a抗原固定化担体のウェルに、前記の糖脂質抗原活性化剤を接触させないものを、接触時間が0分間のものとした。
0分間
【0370】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0371】
▲3▼ 試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/200,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0372】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料(抗GM1a抗体陽性血清)を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0373】
▲5▼ 本実施例の1の(6)の酵素標識抗体を、本実施例の1の(7)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0374】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0375】
▲7▼ 本実施例の1の(8)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、25℃で60分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0376】
▲8▼ 60分後に、本実施例の1の(9)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0377】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0378】
▲10▼ 対照として、本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて、本実施例の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0379】
4.測定結果
【0380】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表4に示した。
【0381】
【表4】
【0382】
測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20を糖脂質抗原に接触させないときの値に比較して、糖脂質抗原に接触させたときは、接触時間がいずれの場合においても3.264倍〜3.722倍の値が得られていることが分かる。
【0383】
そして、たとえ、接触時間が1分間であっても、糖脂質抗原は充分に活性化されていることが分かる。
【0384】
以上のことより、界面活性作用を有する物質であるTween20を、糖脂質抗原に接触させる時間が1分間でも、又は60分間であっても、糖脂質抗原の抗原活性の活性化が達成され、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0385】
なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B)が、いずれの接触時間においても、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0386】
〔実施例5〕(界面活性作用を有する物質を糖脂質抗原に接触させる方法と糖脂質抗原の活性化の効果との関係の確認)
【0387】
界面活性作用を有する物質(界面活性剤)であるTween20を糖脂質抗原に接触させる方法を変えたときの、糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0388】
1.試薬の調製
【0389】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0390】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0391】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0392】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むPBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0393】
(5)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0394】
(6)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0395】
(7)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
3%(v/v) ウマ血清
0.1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0396】
(8)基質液の調製
3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン塩酸塩(同仁化学社)を1.3mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH2.0に調整して、TMBZ溶液を調製した。
次に、クエン酸一水和物を41mMとなるように、リン酸一水素二ナトリウムを23mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH4.3に調整して、クエン酸緩衝液を調製した。
このクエン酸緩衝液に、過酸化水素水を5mMとなるように混合して過酸化水素溶液を調製した。
使用直前に、前記のTMBZ溶液と前記の過酸化水素溶液を、等量ずつ混和して、基質液を調製した。
【0397】
(9)反応停止液の調製
硫酸を0.7Nとなるように精製水に溶解して反応停止液を調製した。
【0398】
(10)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0399】
(11)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0400】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELTSA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0401】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0402】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0403】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0404】
▲2▼対照担体の調製
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0405】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0406】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0407】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0408】
2.試料
抗GM1a抗体陽性血清:
試料として、神経疾患の患者の血清で、抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0409】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0410】
(1)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去することなく試料を接触させた場合
【0411】
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を100μL分注し、これを室温で19分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0412】
▲2▼ 次に、前記の糖脂質抗原活性化剤を除去することなく、試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/150,000に希釈した後に前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0413】
▲3▼ 次に、前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤及び試料を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0414】
▲4▼ 本実施例の1の(6)の酵素標識抗体を、本実施例の1の(7)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0415】
▲5▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0416】
▲6▼ 本実施例の1の(8)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温(25℃)で40分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0417】
▲7▼ 40分後に、本実施例の1の(9)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0418】
▲8▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0419】
▲9▼ 対照として、本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて、本実施例の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲8▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0420】
(2)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去し、その後試料を接触させた場合
【0421】
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を100μL分注し、これを室温で19分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0422】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0423】
▲3▼ 試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/300,000に希釈した後、前記のウェルに200μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0424】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0425】
以下の操作は、前記の「(1)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去することなく試料を接触させた場合」の▲4▼〜▲9▼の記載の通りに測定を行った。
【0426】
(3)糖脂質抗原活性化剤と試料を同時に接触させた場合
【0427】
▲1▼ 試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/150,000に希釈した後、この200μLを本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤の200μLと混合した。
【0428】
▲2▼ 前記の糖脂質抗原活性化剤と試料の混合液の200μLを、本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、糖脂質抗原活性化剤であるTween20及び試料である抗GM1a抗体陽性血清を、担体に固定化されたGM1a抗原に接触させた。
【0429】
▲3▼ 次に、前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤及び試料を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0430】
以下の操作は、前記の「(1)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去することなく試料を接触させた場合」の▲4▼〜▲9▼の記載の通りに測定を行った。
【0431】
(4)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
【0432】
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/300,000に希釈した後、前記のウェルに200μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0433】
▲2▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0434】
以下の操作は、前記の「(1)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去することなく試料を接触させた場合」の▲4▼〜▲9▼の記載の通りに測定を行った。
【0435】
4.測定結果
【0436】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表5に示した。
【0437】
【表5】
【0438】
測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20を糖脂質抗原に接触させないときの値に比較して、「(1)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去することなく試料を接触させた場合」及び「(2)糖脂質抗原活性化剤を接触させた後に除去し、その後試料を接触させた場合」においては、2.121倍、及び1.773倍の値がそれぞれ得られていることが分かる。
【0439】
これに対して、「(3)糖脂質抗原活性化剤と試料を同時に接触させた場合」においては、1.291倍であり、糖脂質抗原の活性化度は先の(1)及び(2)の場合よりも低いことが分かる。
【0440】
以上のことより、糖脂質抗原を糖脂質抗原活性化剤であるTween20と接触させた後に、試料に含まれていた抗糖脂質抗体と接触させ、反応させた場合には、糖脂質抗原の抗原活性の活性化が顕著であり、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0441】
なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B)が、いずれの接触方法においても、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0442】
〔実施例6〕(種々の界面活性作用を有する物質又はタンパク質を糖脂質抗原に接触させたときの糖脂質抗原の活性化の効果の確認)
【0443】
種々の界面活性作用を有する物質又はタンパク質を、糖脂質抗原に接触させたときの、糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0444】
1.試薬の調製
【0445】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0446】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0447】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0448】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
下記の界面活性作用を有する物質又はタンパク質を、下記の濃度となるように、前記(1)のリン酸等張化緩衝液(PBS)に加えて、各々の糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0449】
a.非イオン性界面活性剤
【0450】
▲1▼ 0.05%(w/v) Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(相光純薬工業社)
【0451】
▲2▼ 0.5%(w/v) Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)
【0452】
▲3▼ 0.01%(w/v) Triton X−100〔ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル〕(ナカライテスク社)
【0453】
▲4▼ 0.01%(w/v) BT−7〔ポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテル〕(日光ケミカル社)
【0454】
b.陰イオン性界面活性剤
【0455】
▲1▼ 0.01%(w/v) SDS〔ドデシル硫酸ナトリウム〕(和光純薬工業社)
【0456】
▲2▼ 0.01%(w/v) サルコシネート LN〔ラウロイルサルコシンナトリウム〕(日光ケミカル社)
【0457】
c.陽イオン性界面活性剤
【0458】
▲1▼ 0.01%(v/v) CA−101〔50%塩化ベンサルコニウム水溶液〕(日光ケミカル社)
【0459】
▲2▼ 0.01%(v/v) CA−2350〔50%塩化セチルトリメチルアンモニウム〕(日光ケミカル社)
【0460】
d.両性界面活性剤
【0461】
▲1▼ 0.01%(w/v) AM−301〔35%ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液〕(日光ケミカル社)
【0462】
▲2▼ 0.01%(w/v) AM−3130N〔30%ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液〕(日光ケミカル社)
【0463】
e.タンパク質
【0464】
▲1▼ 0.1%(w/v) ウシ血清アルブミン
【0465】
▲2▼ 1%(w/v) ウシ血清アルブミン
【0466】
また、下記のタンパク質を含む、200mM塩化ナトリウム及び1.5mMリン酸二水素一カリウムを含有する8.1mMリン酸一水素二ナトリウム水溶液よりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0467】
10%(v/v) ウマ血清 及び 1%(w/v) ウシ血清アルブミン
【0468】
(5)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
200mM 塩化ナトリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0469】
(6)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0470】
(7)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
3%(v/v) ウマ血清
0.1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0471】
(8)基質液の調製
3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン塩酸塩(同仁化学社)を1.3mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH2.0に調整して、TMBZ溶液を調製した。
次に、クエン酸一水和物を41mMとなるように、リン酸一水素二ナトリウムを23mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH4.3に調整して、クエン酸緩衝液を調製した。
このクエン酸緩衝液に、過酸化水素水を5mMとなるように混合して過酸化水素溶液を調製した。
使用直前に、前記のTMBZ溶液と前記の過酸化水素溶液を、等量ずつ混和して、基質液を調製した。
【0472】
(9)反応停止液の調製
硫酸を0.7Nとなるように精製水に溶解して反応停止液を調製した。
【0473】
(10)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0474】
(11)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0475】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0476】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0477】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。。
【0478】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0479】
▲2▼対照担体の調製
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0480】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0481】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0482】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0483】
2.試料
抗GM1a抗体陽性血清:
試料として、神経疾患の患者の血清で、抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0484】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0485】
(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を100μL分注し、これを室温にて20分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原に、前記糖脂質抗原活性化剤に含まれる界面活性作用を有する物質又はタンパク質を接触させた。
【0486】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0487】
▲3▼ 試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/300,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0488】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0489】
▲5▼ 本実施例の1の(6)の酵素標識抗体を、本実施例の1の(7)の標識抗体希釈液で1/4,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0490】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0491】
▲7▼ 本実施例の1の(8)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、25℃で60分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0492】
▲8▼ 60分後に、本実施例の1の(9)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0493】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0494】
▲10▼ 対照として、本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて、本実施例の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0495】
(2)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、試料である本実施例の2の抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/300,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていた抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0496】
▲2▼ 以下の操作は、前記の「(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合」の▲4▼〜▲10▼の記載の通りに測定を行った。
【0497】
4.測定結果
【0498】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表6に示した。
【0499】
【表6】
【0500】
この表より、界面活性作用を有する物質又はタンパク質を糖脂質抗原に接触させた場合は、これを接触させない場合に比べて、界面活性作用を有する物質又はタンパク質がいずれの場合においても、測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)が高くなっていることが分かる。
【0501】
このことより、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はタンパク質と糖脂質抗原とを接触させた後に、試料に含まれていた抗糖脂質抗体と糖脂質抗原とを接触させ、反応させることにより、糖脂質抗原の抗原活性が活性化されて、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0502】
なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B)が、いずれの場合においても、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0503】
〔実施例7〕(IgM型抗GM1a抗体の測定)
【0504】
そのクラスがIgMである抗GM1a抗体を測定する際の、糖脂質抗原活性化剤による糖脂質抗原の活性化の効果を確かめた。
【0505】
1.試薬の調製
【0506】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0507】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0508】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0509】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むPBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0510】
(5)試料希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように、トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)とともに1Lの精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
【0511】
(6)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgM抗体〔P0215〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
【0512】
(7)標識抗体希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように、トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)とともに1Lの精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
10%(v/v) ウマ血清
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
【0513】
(8)基質液
ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を含有〕〔TMBW−1000−01〕(バイオFXラボラトリーズ社)を、基質液として用いた。
【0514】
(9)反応停止液
反応停止液〔TSB999〕(サイテック社)を、反応停止液として用いた。
【0515】
(10)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0516】
(11)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0517】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0518】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0519】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0520】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0521】
▲2▼対照担体の調製
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
【0522】
その後、このウェル内の液を除去した。
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0523】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0524】
2.試料
IgM型抗GM1a抗体陽性血清:
試料として、神経疾患の患者の血清で、そのクラスがIgMである抗GM1a抗体を含むことが確認されている血清を、IgM型抗GM1a抗体陽性血清として用意した。
【0525】
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
【0526】
(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合
【0527】
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注し、これを室温にて78分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0528】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0529】
▲3▼ 試料である本実施例の2のIgM型抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/20,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていたIgM型抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0530】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、前記の試料(IgM型抗GM1a抗体陽性血清)を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0531】
▲5▼ 本実施例の1の(6)の酵素標識抗体を、本実施例の1の(7)の標識抗体希釈液で1/1,000に希釈し、この100μLを前記のウェルに分注して、37℃にて3時間反応させた。
【0532】
▲6▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(10)の洗浄液で洗浄した。
【0533】
▲7▼ 本実施例の1の(8)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、25℃で66分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0534】
▲8▼ 66分後に、本実施例の1の(9)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0535】
▲9▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0536】
▲10▼ 対照として、本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて、本実施例の1の(11)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲9▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0537】
(2)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
【0538】
▲1▼ 本実施例の1の(11)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、試料である本実施例の2のIgM型抗GM1a抗体陽性血清を本実施例の1の(5)の試料希釈液で1/20,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを低温庫(5℃)にて一晩保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と試料に含まれていたIgM型抗GM1a抗体を接触させ、反応させた。
【0539】
▲2▼ 以下の操作は、前記の「(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合」の▲4▼〜▲10▼の記載の通りに測定を行った。
【0540】
4.測定結果
【0541】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表7に示した。
【0542】
【表7】
【0543】
測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、糖脂質抗原活性化剤のTween20を糖脂質抗原に接触させないときの値に比較して、糖脂質抗原に接触させたときは、1.649倍の値が得られていることが分かる。
【0544】
このことより、そのクラスがIgGである抗糖脂質抗体の測定の場合だけでなく、そのクラスがIgMである抗糖脂質抗体の測定の場合においても、糖脂質抗原を糖脂質抗原活性化剤と接触させた後に、試料に含まれていた抗糖脂質抗体と接触させ、反応させることにより、糖脂質抗原の抗原活性が活性化されて、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定することができることが確かめられた。
【0545】
なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B)が、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0546】
〔実施例8〕(コレラトキシンBサブユニットとの反応による糖脂質抗原の活性化効果の確認)
【0547】
界面活性作用を有する物質(界面活性剤)であるTween20による、糖脂質抗原の活性化の効果を、GM1aと特異的に結合することが知られているコレラトキシンBサブユニットと糖脂質抗原との反応により確かめた。
【0548】
1.試薬の調製
【0549】
(1)リン酸等張化緩衝液(PBS)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。(pH7.5)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0550】
(2)BSA含有PBSの調製
0.1gのウシ血清アルブミン(BSA)に、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.1%(w/v)BSA含有PBSを調製した。
【0551】
(3)アジ化ナトリウム含有トリス等張化緩衝液(アジ化ナトリウム含有TBS)の調製
トリス等張化緩衝液粉末〔T−6664〕(シグマ社)及びアジ化ナトリウム1gを精製水に溶解し、全量を1Lとして、試薬の調製を行った。
【0552】
(4)糖脂質抗原活性化剤の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20を含むPBSよりなる糖脂質抗原活性化剤を調製した。
【0553】
(5)酵素標識コレラトキシンBサブユニット希釈液の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように精製水に溶解し、試薬の調製を行った。
1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA)
137mM 塩化ナトリウム
2.7mM 塩化カリウム
8.1mM リン酸一水素二ナトリウム
1.5mM リン酸二水素一カリウム
【0554】
(6)酵素標識コレラトキシンBサブユニット
コレラトキシンBサブユニット−ペルオキシダーゼコンジュゲート〔C−4672〕(シグマ社)を、酵素標識コレラトキシンBサブユニットとして用いた。
【0555】
(7)基質液の調製
3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン塩酸塩(同仁化学社)を1.3mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH2.0に調整して、TMBZ溶液を調製した。
次に、クエン酸一水和物を41mMとなるように、リン酸一水素二ナトリウムを23mMとなるように、及びEDTA・2Na・2H2Oを0.2mMとなるように精製水に溶解し、そしてpHをpH4.3に調整して、クエン酸緩衝液を調製した。
このクエン酸緩衝液に、過酸化水素水を5mMとなるように混合して過酸化水素溶液を調製した。
使用直前に、前記のTMBZ溶液と前記の過酸化水素溶液を、等量ずつ混和して、基質液を調製した。
【0556】
(8)反応停止液の調製
硫酸を0.7Nとなるように精製水に溶解して反応停止液を調製した。
【0557】
(9)洗浄液の調製
Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕(和光純薬工業社)の0.05gに、前記(1)で調製したリン酸等張化緩衝液(PBS)を加え、100mLとして、0.05%(w/v)Tween20含有PBSよりなる洗浄液を調製した。
【0558】
(10)糖脂質抗原固定化担体の調製
【0559】
▲1▼GM1a抗原固定化担体の調製
【0560】
GM1a〔ウシ脳由来〕(シグマ社)を0.1mg/Lとなるように前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSに溶解し、その100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0561】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置し、GM1aをマイクロタイタープレートのウェルに固定化させた。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0562】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0563】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、GM1a抗原固定化担体を調製した。
【0564】
▲2▼対照担体の調製
【0565】
前記(3)のアジ化ナトリウム含有TBSの100μLをマイクロタイタープレート〔ELISA用Eタイプ〕(住友ベークライト社)のウェルに分注した。
【0566】
そして、このマイクロタイタープレートを、一定時間放置した。
その後、このウェル内の液を除去した。
【0567】
次に、このウェルに前記(2)のBSA含有PBSの200μLを分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行った。
【0568】
次に、このマイクロタイタープレートのウェル内を精製水で洗浄した後、真空乾燥を行い、いずれの糖脂質抗原も固定化させていない対照用の担体(対照担体)を調製した。
【0569】
2.糖脂質抗原とコレラトキシンBサブユニットとの反応の確認
【0570】
(1)糖脂質抗原活性化剤を用いた場合
【0571】
▲1▼ 本実施例の1の(10)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体のウェルに、本実施例の1の(4)の糖脂質抗原活性化剤を200μL分注し、これを室温にて23分間放置して、担体に固定化されたGM1a抗原にTween20を接触させた。
【0572】
▲2▼ 前記のウェルより、前記の糖脂質抗原活性化剤を吸引して除去した。
【0573】
▲3▼ 本実施例の1の(6)の酵素標識コレラトキシンBサブユニットを本実施例の1の(5)の酵素標識コレラトキシンBサブユニット希釈液で1/200,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを恒温庫(25℃)にて3時間保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と酵素標識コレラトキシンBサブユニットを接触させ、反応させた。
【0574】
▲4▼ 次に、前記のウェルより、未結合の酵素標識コレラトキシンBサブユニットを吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(9)の洗浄液で洗浄した。
【0575】
▲5▼ 本実施例の1の(7)の基質液の100μLを、前記のウェルに分注し、25℃で42分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、基質液の3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン及び過酸化水素を反応させて、色素を生成させた。
【0576】
▲6▼ 42分後に、本実施例の1の(8)の反応停止液の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
【0577】
▲7▼ マイクロプレートリーダー〔3550型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値〔吸光度A〕を得た。
【0578】
▲8▼ 対照として、本実施例の1の(10)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて本実施例の1の(10)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼〜▲7▼の記載の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の吸光度測定値〔吸光度B〕を得た。
【0579】
(2)糖脂質抗原活性化剤を用いない場合
【0580】
▲1▼ 本実施例の1の(10)の▲1▼で調製したGM1a抗原固定化担体のウェルに、(6)の酵素標識コレラトキシンBサブユニットを本実施例の1の(5)の酵素標識コレラトキシンBサブユニット希釈液で1/200,000に希釈した後、前記のウェルに100μL分注し、これを恒温庫(25℃)にて3時間保管した。
これにより、担体に固定化されているGM1a抗原と酵素標識コレラトキシンBサブユニットを接触させ、反応させた。
【0581】
▲2▼ 以下の操作は、前記(1)の▲4▼〜▲8▼の記載の通りに行い、担体に固定化されたGM1a抗原に糖脂質抗原活性化剤を接触させることなく、一連の操作を行い、吸光度測定値〔吸光度C〕を得た。。
【0582】
▲3▼ また、対照として、本実施例の1の(10)の▲1▼のGM1a抗原固定化担体に替えて本実施例の1の(10)の▲2▼の対照担体を用いる他は、前記▲1▼及び▲2▼の通りに操作を行い、GM1a抗原を固定化させていない担体である対照担体を用い、かつ糖脂質抗原活性化剤を用いない場合の吸光度測定値〔吸光度D〕を得た。
【0583】
3.測定結果
【0584】
以上の測定結果(各吸光度測定値)を表8に示した。
【0585】
【表8】
【0586】
糖脂質抗原活性化剤のTween20を糖脂質抗原(GM1a)に接触させたときの測定値(吸光度差:吸光度A−吸光度B)は、接触させないときの測定値(吸光度差:吸光度C−吸光度D)に比較して、2.164倍の値が得られていることが分かる。
【0587】
このことより、GM1aとコレラトキシンBサブユニットとの結合反応においても、本発明の糖脂質抗原活性化剤を糖脂質抗原と接触させることにより、糖脂質抗原の抗原活性が活性化されることが確かめられた。
【0588】
なお、糖脂質抗原を固定化させていない担体である対照担体を用いた場合の測定値(吸光度B及び吸光度D)が、低い値にとどまっていることより、非特異的反応が生じていないことが分かる。
【0589】
【発明の効果】
本発明の糖脂質抗原の活性化剤及び活性化方法は、糖脂質抗原の抗原活性を活性化することができるものである。
たとえ、その抗原活性が低下してしまった糖脂質抗原であっても、本発明の活性化剤又は活性化方法により、活性化が図れるものである。
【0590】
また、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定方法及び測定キットは、試料中の抗糖脂質抗体の測定を高感度に行うことができるものである。
たとえ、測定に用いる糖脂質抗原の抗原活性が低下してしまって、試料に含まれていた抗糖脂質抗体と充分に反応(結合)することができないようになってしまっている場合であっても、本発明の測定方法又は測定キットにおいては、この糖脂質抗原の抗原活性を活性化して、正確な試料中の抗糖脂質抗体の測定値を得ることができるものである。
Claims (7)
- 乾燥状態におかれていたガングリオシド抗原を界面活性作用を有する物質及び/又はタンパク質と接触させることよりなる、乾燥状態におかれていたガングリオシド抗原の活性化方法。
- 界面活性作用を有する物質が界面活性剤である、請求項1記載の活性化方法。
- 界面活性作用を有する物質が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、請求項1又は2記載の活性化方法。
- 界面活性作用を有する物質が、両性界面活性剤以外の界面活性作用を有する物質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化方法。
- タンパク質が、アルブミンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性化方法。
- ガングリオシド抗原が担体に固定化されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性化方法。
- ガングリオシド抗原が乾燥状態におかれてその抗原活性が低下したものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性化方法。
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