JP4522898B2 - 単結晶製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気相法により単結晶を製造する単結晶製造装置に関する。
単結晶の製造方法には、気相法や液相法など様々なものがある。これらの製造方法は一般的に、種結晶を準備し、その種結晶上に単結晶を成長させるものである。例えば、気相法による単結晶の製造は、種結晶と、単結晶の原料を収容した容器と、これらを収容する炉とを備える単結晶製造装置において行われる(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
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しかしながら、従来の一般的な気相法の単結晶製造装置では、種結晶だけでなく、単結晶の原料が収容される容器上や炉を構成する炉材上に、雑晶(結晶)が生成してしまう課題があった。これにより、単結晶の製造歩留まりの低下を招いていた。特に、容器上に生成する雑晶は、容器の開口部を塞いでしまう場合があった。その結果、容器に収容された原料が種結晶にほとんど到達できず、単結晶の収率が非常に低くなってしまうおそれがあった。
又、単結晶の原料が収容される容器や炉材は、非常に反応性の高い環境に曝されるため、それらの劣化が激しかった。そのため、容器や炉材の寿命が短く、溶解した容器や炉材の成分が不純物として単結晶に混入するおそれがあった。
そこで、本発明は、気相法を用いた単結晶の製造において、種結晶上に適切に単結晶を成長させることを目的とする。
本発明の単結晶製造装置は、種結晶と、単結晶の原料が収容される容器と、種結晶及び容器が収容される炉を構成する炉材とを備え、気相法により単結晶を製造するものである。そして、単結晶製造装置は、少なくとも容器の開口部を形成する一部が単結晶の晶系と異なる晶系の材料で形成されていることを特徴とする。
このような単結晶製造装置によれば、単結晶の原料が収容される容器の少なくとも開口部を形成する一部が、目的とする単結晶の晶系とは異なる晶系の材料で形成されているため、容器の開口部を形成する部分に雑晶が生成することを抑制できる。よって、容器に収容された原料が気相となり、種結晶に到達することができる。その結果、気相法を用いた単結晶の製造において、種結晶上に適切に単結晶を成長させることができる。
単結晶の晶系と異なる晶系の材料は、製造する単結晶の成長面と整合性が良い格子面を持たず、単結晶との濡れが悪いことが好ましい。
更に、炉材の種結晶の周辺部分の少なくとも一部が、単結晶の晶系と異なる晶系の材料で形成されていることが好ましい。これによれば、炉材上に雑晶が生成することも抑制できるため、より確実に種結晶上に単結晶を成長させることができ、製造歩留まりを向上できる。
単結晶の晶系と異なる晶系の材料は、窒化物であることが好ましい。これによれば、単結晶の原料が収容される容器や炉材の劣化を抑制することができる。そのため、容器や炉材の寿命を長くでき、単結晶に不純物が混入することを防止できる。単結晶の晶系と異なる晶系の材料は、窒化チタン、又は、窒化ジルコニウムであることが好ましい。
製造する単結晶は、六方晶系であることが好ましい。六方晶系の単結晶は、窒化アルミニウム、又は、炭化珪素であることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、気相法を用いた単結晶の製造において、種結晶上に適切に単結晶を成長させることができる。
図1に示すように、単結晶製造装置10は、単結晶の原料が収容される容器1と、炉2と、種結晶3と、ヒーター4とを備える。単結晶製造装置10は、種結晶3上に単結晶6を成長させて、単結晶6を製造する。単結晶製造装置10は、気相法の1つである昇華法により、単結晶6を製造する。
容器1内には、単結晶6の原料5が収容される。容器1は、開口部を有している。容器1内に収容された原料5は気相となり、容器1の開口部から出て種結晶3に向かう。炉2は、開口部を有する本体部21と、本体部21の開口部を塞ぐ蓋体部22と、保持部23とを備える。本体部21には、容器1が収容される。保持部23は、種結晶3を保持する。保持部23は、蓋体部22に取り付けられている。蓋体部22は、保持部23により種結晶3が保持された状態で、本体部21の開口部を塞ぐように配置される。このようにして、容器1及び種結晶3は、炉2内に収容される。同時に、種結晶3は、容器1上方に容器1と対向して配置される。
ヒーター4は、炉2の周囲に設けられ、炉2内を加熱する。ヒーター4による加熱により、容器1内に収容された原料5が昇華し、種結晶3上に単結晶6が成長する。ヒーター4は、炭素ヒーター、タングステンヒーターなどを用いることができる。このような単結晶製造装置10は、例えば、真空排気が可能な反応室(チャンバー)や、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス、単結晶の種類に応じた化合物ガスなどが導入可能な反応室(チャンバー)に収容できる。又、炉2の周囲に断熱材を設けることもできる。
次に、容器1及び炉2について、より詳細に説明する。容器1は、その開口部を形成する部分(以下「開口部形成部」という)Aの少なくとも一部が、目的とする単結晶6の晶系と異なる晶系の材料で形成されている。更に、炉2を構成する本体部21、蓋体部22、保持部23などの炉材のうち、種結晶3の周辺部分(以下「種結晶周辺部」という)Bの少なくとも一部が、単結晶6の晶系と異なる晶系の材料で形成されている。
晶系には、三斜晶系、単斜晶系、正方晶系、六方晶系、三方晶系、立方晶系がある。例えば、単結晶6が六方晶系の場合、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部を、六方晶系以外の三斜晶系、単斜晶系、正方晶系、三方晶系、又は、立方晶系のいずれかの晶系の材料で形成できる。
単結晶の晶系と異なる晶系の材料は、製造する単結晶の成長面と整合性が良い格子面を持たず、単結晶との濡れが悪いことが好ましい。
単結晶6の晶系と異なる晶系の材料は、窒化物であることが好ましい。これによれば、容器1や炉材の劣化を抑制することができる。そのため、容器1や炉材の寿命を長くでき、単結晶6に不純物が混入することを防止できる。より具体的には、窒化物は、高温においても安定なものが多く、単結晶の成分や容器1内に収容された原料成分と反応しにくい。そのため、昇華した原料成分が付着しやすい容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部を窒化物で形成することにより、容器1や炉材は長時間に渡る単結晶の成長に耐えることができ、容器1や炉材の成分が単結晶に混入する不純物となることを抑制できる。よって、単結晶製造装置10は、長時間に渡る単結晶の育成が可能となり、不純物の混入が少ない単結晶を製造できる。特に、窒化物として、窒化チタン(TiN)や窒化ジルコニウム(ZrN)を用いることが好ましい。
単結晶製造装置10は、セラミックスの単結晶を製造できる。例えば、単結晶製造装置10は、六方晶系のセラミックスの単結晶を製造できる。単結晶製造装置10は、六方晶系のセラミックスの単結晶として、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などを製造できる。
六方晶系の窒化アルミニウムや炭化珪素などの単結晶を製造する場合、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部は、単結晶6の晶系と異なる晶系の材料として、立方晶系である窒化チタン(TiN)や窒化ジルコニウム(ZrN)を用いて形成されることが好ましい。
又、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部を形成する材料は、単結晶6の晶系以外に、単結晶6の製造に用いる原料5に対して最適なものを用いることが好ましい。例えば、窒化アルミニウムの単結晶を製造する場合、その原料としては、窒化アルミニウム又は窒化アルミニウムの前駆体の少なくとも1つを用いることができる。更に、窒化アルミニウム又は窒化アルミニウムの前駆体の少なくとも1つに、酸化アルミニウム(Al23)又は酸化アルミニウムの前駆体の少なくとも1つを混合した原料を用いることもできる。あるいは、酸窒化アルミニウム(AlON)又は酸窒化アルミニウムの前駆体の少なくとも1つを用いることができる。
酸化アルミニウムの前駆体としては、例えば、加熱により酸化アルミニウムに変化する水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、硫酸アルミニウム(Al2(SO43)、アルミニウムアルコキシド(Al(RO)3、R:アルキル基)などを用いることができる。窒化アルミニウムの前駆体としては、例えば、加熱により酸化アルミニウムに変化するアルミニウム(Al)、炭化アルミニウム(Al43、Al26)、ベーマイト(AlO(OH)、Al23・H2O)、塩化アルミニウム(AlCl3)などを用いることができる。
又、炭化珪素の単結晶を製造する場合、その原料としては、炭化珪素、シリカ(SiO2)及び炭素(C)、珪素(Si)及び炭素などを用いることができる。
例えば、窒化アルミニウムの単結晶を製造する際に、原料5として窒化アルミニウム又は窒化アルミニウム前駆体の少なくとも1つを単独で用いる場合、単結晶製造中に原料からアルミニウム(Al)が揮発する。そのため、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部は、自由エネルギー的に窒化アルミニウムよりも安定な窒化物であって、窒化アルミニウムと晶系が異なる材料により形成することが好ましい。例えば、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部は、窒化チタンや窒化ジルコニウムにより形成されることが好ましい。
又、窒化アルミニウムの単結晶を製造する際に、原料5として窒化アルミニウム又は窒化アルミニウム前駆体の少なくとも1つに、酸化アルミニウム又は酸化アルミニウムの前駆体の少なくとも1つを混合したものを用いる場合や、酸窒化アルミニウムを用いる場合、単結晶製造中に原料からアルミニウムの低級酸化物(例えば、Al2Oなど)が揮発すると考えられている。そのため、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部の形成材料は、自由エネルギー的に窒化アルミニウムよりも安定な窒化物であって、かつ、形成材料に含まれる金属元素から生成される酸化物が酸化アルミニウムよりも不安定なものであり、窒化アルミニウムと晶系が異なるものであることが好ましい。例えば、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部は、窒化チタンにより形成されることが好ましい。
容器1は、図1に示したように、容器1の開口部形成部Aの少なくとも一部が、単結晶6の晶系と異なる晶系の材料で形成されればよい。例えば、図2(a)に示すように、容器の開口部形成部1a全体を単結晶6と異なる晶系の材料で形成することができる。又、図2(b)に示すように、容器の開口部形成部の一部を、単結晶6と異なる晶系の材料の被覆層1cで形成することもできる。例えば、昇華した原料が付着しやすい、容器の開口部形成部の内壁や端部を被覆層1cで形成することができる。
炉材も、図1に示したように、炉材の種結晶周辺部Bの少なくとも一部が、単結晶6の晶系と異なる晶系の材料で形成されればよい。例えば、種結晶3を中心とした、容器1の開口部の半径(内径)の1.5倍の半径を持つ円の範囲内にある炉材を、単結晶6と異なる晶系の材料で形成することができる。又、炉材の種結晶周辺部Bにおける、昇華した原料が付着しやすい部分を単結晶6と異なる晶系の材料で形成することができる。
例えば、図2(c)に示すように、蓋体部22の中央部22a及び保持部23といった種結晶周辺部全体を、単結晶6と異なる晶系の材料で形成することができる。又、図2(d)に示すように、蓋体部22の中央部分の下部といった種結晶周辺部の一部を、単結晶6と異なる晶系の材料の被覆層22cで形成することもできる。
容器の原料を収容する原料収容部1bや、被覆層1cを支持する本体部1dの材料は限定されない。又、蓋体部22の中央部22aの外周を囲む外周部22bや、被覆層22cを支持する本体部22dの材料も限定されない。
例えば、容器の原料収容部1bや本体部1d、蓋体部22の外周部22bや本体部22dは、容器の開口部形成部1aや被覆層1c、蓋体部22の中央部22aや被覆層22cと同種の材料で形成することができる。この場合、単結晶の原料が収容される容器全体や、炉材(蓋体部22)全体が、単結晶6の晶系と異なる晶系の材料で形成されることになる。例えば、単結晶と異なる晶系の材料として、窒化チタンや窒化ジルコニウムなどの窒化物を用いている場合には、容器全体や炉材全体の劣化を抑制できるため、容器や炉材の寿命をより長くでき、単結晶に不純物が混入することをより一層防止できる。容器の内壁全体を被覆層で形成することや、炉材の容器と対向する部分全体(蓋体部22の下部全体)を被覆層で形成することによっても、同様の効果が得られる。
あるいは、容器の原料収容部1bや本体部1d、蓋体部22の外周部22bや本体部22dは、窒化硼素(BN)、窒化アルミニウム、カーボン(C)などで形成してもよい。これによれば、単結晶6と異なる晶系の材料が、熱衝撃などに弱い場合や、単結晶6の熱膨張係数との差が大きい場合などに、容器の原料収容部1bや本体部1d、蓋体部22の外周部22bや本体部22dが、容器の開口部形成部1aや被覆層1c、蓋体部22の中央部22aや被覆層22cを補強することができる。よって、容器や炉材をより一層高寿命化できる。例えば、容器の原料収容部1bや本体部1d、蓋体部22の外周部22bや本体部22を、窒化アルミニウムで形成し、容器の開口部形成部1aや被覆層1c、蓋体部22の中央部22aや被覆層22cを窒化チタンで形成することができる。
容器1全体や蓋体部22全体を、単結晶6と異なる晶系の材料で形成する場合、原料粉末を調整して成形し、焼成することにより、容器1や蓋体部22を作製できる。又、容器1や蓋体部22の一部を単結晶6と異なる晶系の材料で形成し、残部を他の材料で形成する場合には、まず、それぞれの原料粉末を調整して成形し、複数の成形体を作成する。その後、各成形体を焼成し、得られた複数の焼結体を、例えば、接合剤を用いて液相接合法や固相接合法により接合することにより、容器1や蓋体部22を作製できる。あるいは、複数の成形体を、ホットプレス法などにより一体に焼成することにより、一体焼結体の容器1や蓋体部22を作製できる。
又、本体部1d,22dに被覆層1c,22cを形成する場合には、まず、本体部1d,22dの原料粉末を調整して成形し、焼成することにより、本体部1d,22dを作製する。次に、本体部1d,22dに、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などにより被覆層1c,22cを形成できる。被覆層1c,22cの厚さは、1〜20μmであることが好ましい。
更に、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの単結晶6と異なる晶系の材料で形成されている部分の平均粒子径は、0.5〜10μmであることが好ましい。又、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの単結晶6と異なる晶系の材料で形成されている部分の表面粗さ(Ra)は、20μm以下であることが好ましい。これらによれば、雑晶の生成をより抑制でき、容器1や炉材の劣化をより抑制できる。
更に、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの単結晶6と異なる晶系の材料で形成されている部分の気孔径は、20μm以下であることが好ましい。又、容器1の開口部形成部Aや炉材の種結晶周辺部Bの単結晶6と異なる晶系の材料で形成されている部分の気孔率は、10%以下であることが好ましい。これらによれば、容器1や炉材の劣化をより抑制できる。
このような単結晶製造装置10によれば、単結晶の原料が収容される容器1の開口部形成部Aの少なくとも一部が目的とする単結晶6の晶系とは異なる晶系の材料で形成されているため、容器1の開口部形成部Aに雑晶が生成することを抑制できる。よって、雑晶が容器1の開口部を塞いでしまうことがなく、容器1に収容された原料5が気相となり、種結晶3に到達することができる。その結果、気相法を用いた単結晶6の製造において、種結晶3上に適切に単結晶6を成長させることができる。よって、単結晶6の収率を向上でき、製造歩留まりを向上できる。
更に、炉2を構成する本体部21、蓋体部22、保持部23などの炉材のうち、種結晶周辺部Bの少なくとも一部が、単結晶6の晶系と異なる晶系の材料で形成されているため、炉材上に雑晶が生成することも抑制できる。よって、より確実に種結晶3上に単結晶6を成長させることができ、製造歩留まりをより向上できる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、炉2を構成する炉材としては、他にも、容器1を支持する支持台や、単結晶6が生成する空間と雑晶が付着する空間を効率的に分離するためのテーパーなどがある。又、炉材の種結晶周辺部B以外の材料、例えば、本体部21の材料は限定されず、例えば、図2に示した蓋体部22の外周部22bや本体部22dと同様にできる。又、本体部21のうち、容器1よりも上方部分を、単結晶6と異なる晶系の材料で形成することにより、昇華した原料が炉材に到達することをより確実に防止できる。
又、上記実施形態では、気相法の1つである昇華法により単結晶を製造する場合について説明したが、本発明の単結晶製造装置は、あらゆる気相法に使用することができる。例えば、昇華法以外の化学輸送法、化学気相合成法などの気相法により、単結晶を製造する場合にも適用できる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1、比較例1〜3)
実施例1として、開口部形成部を含め、全体を窒化チタンで形成した単結晶の原料が収容される容器を作製した。具体的には、粒度分布が0.5〜2μmの窒化チタン粉末を金型成形法により、20MPaの圧力で成形した。成形体を窒素ガス中でホットプレス法により、1800℃で焼成した。得られた焼結体に研削加工を施し、容器を得た。
又、比較例1〜3として、開口部形成部を含め、全体を黒鉛で形成した容器(比較例1)、窒化硼素で形成した容器(比較例2)、窒化アルミニウムで形成した容器(比較例3)を準備した。
容器内に35mol%の窒化アルミニウムと65mol%の酸化アルミニウムを混合した原料5を収容し、図1に示した炉2の本体部21内に配置した。窒化アルミニウムの種結晶3を保持部23で保持し、蓋体部22を本体部21の開口部を塞ぐように配置した。更に、単結晶製造装置10を、反応室内に収容し、反応室内を5×10-4Paまで減圧した後、窒素ガスを導入した。そして、昇温速度20℃/分で2200℃まで昇温して、2200℃で2時間保持し、六方晶系の窒化アルミニウム単結晶を製造した。
実施例1、比較例1〜3の容器について、雑晶の生成状況、単結晶の原料との反応状況、劣化状況を観察した。劣化状況は、観察だけでなく、単結晶製造前の容器の重量と、単結晶製造後の容器の重量を測定し、劣化による減少量も評価した。更に、得られた単結晶における不純物混入状況を観察した。評価結果を表1に示す。又、単結晶製造後の実施例1、比較例1〜3の容器の開口部の状態(容器を上方から観察した状態)を、それぞれ図3〜図6に示す。
Figure 0004522898
窒化アルミニウム単結晶と異なる立方晶の窒化チタンで形成した容器(実施例1)は、図3に示すように容器の開口部形成部に雑晶は全く生成されていなかった。又、原料との反応もなく、重量減少もなく、劣化はほとんど観察されなかった。更に、得られた単結晶に不純物は混入しておらず、高純度の窒化アルミニウムの単結晶を歩留まりよく製造できた。
これに対して、窒化アルミニウム単結晶と同一の六方晶系の黒鉛で形成した容器(比較例1)は、図4に示すように容器の開口部形成部に雑晶が多量に生成していた。又、原料の酸化アルミニウムとも反応しており、重量減少が大きく、劣化が激しかった。更に、得られた単結晶は全体的に青色に着色しており、不純物が多量に混入していた。又、単結晶の収率が低く、歩留まりが低かった。
又、窒化アルミニウム単結晶と同一の六方晶系の窒化硼素で形成した容器(比較例2)は、図5に示すように、容器の開口部形成部の内壁に沿って雑晶が生成していた。又、原料の酸化アルミニウムとも反応しており、重量減少があり、劣化が生じていた。更に、得られた単結晶の表面が黄色に着色しており、不純物が混入していた。
更に、窒化アルミニウムで形成した容器(比較例3)は、図6に示すように、多量に雑晶が生成しており、容器の開口部が完全に塞がれていた。又、原料の酸化アルミニウムとも反応しており、重量減少があり、劣化が生じていた。不純物の混入はないものの、単結晶の収率が非常に低く、歩留まりが極めて低かった。
本発明の実施の形態に係る単結晶製造装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る容器及び炉材を示す図である。 実施例1の容器の開口部の状態を示す上面図である。 比較例1の容器の開口部の状態を示す上面図である。 比較例2の容器の開口分の状態を示す上面図である。 比較例3の容器の開口部の状態を示す上面図である。
符号の説明
1 容器
2 炉
3 種結晶
4 ヒーター
5 原料
6 単結晶
10 単結晶製造装置
21 本体部
22 蓋体部
23 保持部

Claims (2)

  1. 種結晶と、六方晶系の窒化アルミニウム単結晶の原料が収容される容器と、前記種結晶及び前記容器が収容される炉を構成する炉材とを備え、気相法により前記単結晶を製造する単結晶製造装置であって、
    少なくとも前記容器の開口部を形成する一部が立方晶系の窒化チタンで形成されていることを特徴とする単結晶製造装置。
  2. 前記容器は、全体が窒化チタンで形成されている、請求項1に記載の単結晶製造装置。
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