JP4522608B2 - プリント基板の押出し装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷前又は後のプリント基板を一時的に収納して保管する段積み式のプリント基板収納ラック内に収納されている複数枚のプリント基板を一枚づつ押し出すことのできるプリント基板の押出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水平方向に進退可能な押出し部材の先端部に押圧ヘッドを取り付けてなる押出し手段を具備し、該押出し手段を前進させることによりその押圧ヘッドで上記の如き段積み式プリント基板収納ラック内に収納されている複数枚のプリント基板を一枚づつ押し出すことができるように構成されたプリント基板の押出し装置は、例えば特開平6−275660号公報等により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
段積み式のプリント基板収納ラック(単にマガジンラックとも呼称される)としては、近時においては、プリント基板の収納幅を調整できるようにした、互いに対向する固定ラック板と移動ラック板とを備えたタイプのものが広く利用されている。これは、収納すべきプリント基板のサイズに応じて収納幅を調整することにより大小各種サイズのプリント基板の収納に汎用することができるからである。
【0004】
また、近時においては、サイズが60×40mm程度、厚みが0.5mm程度、重さが10g以下といった小型でしかも薄くて軽いプリント基板の需要が携帯電話等の小型電子機器の出現により高まってきている一方、上記の如き収納幅の調整可能なプリント基板収納ラックを使用する場合でもその奥行きの調整は不可能であるため、上記の如き小型プリント基板の収納に当たって該収納ラックのスペースを有効に活用するためには、そのラック板の各段に複数枚のプリント基板を順次並べて配置することが望ましい。
【0005】
しかし乍ら、小型でしかも薄くて軽いプリント基板を各段に複数枚づつ順次並べて配置した場合において、それらを順次押し出すべく手前のプリント基板に押出し手段の押圧ヘッドを当接させて押してやると、手前のプリント基板が次のプリント基板上に乗り上げて重合してしまい、押出しが失敗したりプリント基板を損傷してしまうといった不都合な事態が発生し易いことが実験によって判明している。
【0006】
そこで、奥にあるプリント基板から順次押し出してやるようにすれば、上記の如き問題の発生を回避することができるが、従来公知の押出し装置の押出し手段では奥にあるプリント基板から順次押し出してやることは不可能である。
【0007】
また、従来公知のプリント基板押出し装置にあっては、押出し部材が、一般に、湾曲断面を有する一枚の長尺薄板で作られているため、押出し動作の際に押圧ヘッドが上下に振動し、押し出すべきプリント基板の端面に的確に当接しなかったり、押出し動作中に該基板から外れてしまうといった不都合な事態が発生し易い。
【0008】
本発明は、従来公知のプリント基板押出装置の有する上述の如き不都合ないし問題点を解消すべくなされたものであって、段積み式のプリント基板収納ラックの各段にプリント基板を複数枚づつ順次並べて配置した場合でも、奥側のプリント基板から順次安全に押し出してやることができるようにしたプリント基板押出し装置を提供することをその第1の目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、プリント基板の押出し動作の際に押圧ヘッドの上下振動を防止し得る構造の押出し手段を備えたプリント基板押出し装置を提供することをその第2の目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明に係るプリント基板の押出し装置は、水平方向に進退可能な押出し部材の先端部に押圧ヘッドを取り付けてなる押出し手段を具備し、該押出し手段を前進させることによりその押圧ヘッドでプリント基板収納ラック内に収納されている複数枚のプリント基板を一枚づつ押し出すことができるように構成されたプリント基板の押出し装置において、前記押圧ヘッドをプリント基板を押圧する押圧片を先端部にそれぞれ設けた上あご部と下あご部とからなるクリップ状の形態を有するヘッドとして構成すると共に、それら上下二つのあご部間に直動カム機構を設け、該直動カム機構をこれに作動連結した操作手段を介して操作することにより前記上あご部の押圧片をその先端部と一体に所定の高さ位置まで押し上げ得るようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明に係るプリント基板の押出し装置は、上記構成のものにおいて、前記押出し部材をほぼ同一の湾曲断面を有する2枚の長尺薄板をそれぞれの凹面を互いに対向させた態様で重ね合わせて断面ほぼ長円形の中空殻体構造に形成すると共に、その内空部に押圧ロッドを進退可能に挿通し、該押圧ロッドを介して前記操作手段を前記直動カム機構に作動連結したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の他の構成上の特徴については請求項3〜4の各記載事項を参照されたい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプリント基板押出し装置の実施の形態の一例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図面において、1はハウジング、2は押出し手段、3は水平方向に進退可能な押出し部材、4は該押出し部材3の先端部に固定された押圧ヘッドである。前記押出し部材3は、ほぼ同一の湾曲断面、すなわちアーチ型湾曲断面を有する2枚の長尺薄板3A、3Bをそれぞれの凹面を互いに対向させた態様で重ね合わせてほぼ長円形の中空殻体構造に形成されている。
【0014】
前記押出し部材3と共に押出し手段2を構成する応押圧ヘッド4は、プリント基板を押圧する押圧片5A、6Aを先端部にそれぞれ設けた上あご部5と下あご部6とからなるクリップ状の形態を有するヘッドとして構成されており、それら上下二つのあご部5、6間には直動カム7Aと上あご部5の内側にこれと一体に形成した従節としての突起7Bとからなる直動カム機構7が設けられている。上記該あご部5と下あご部6とは常態においてはその先端開口部において互いに弾接して該先端開口部を閉鎖している。
【0015】
前記直動カム7Aは前記の如き中空殻体としての押出し部材3の内空部に長手方向に進退可能に挿通された押圧ロッド8を介して操作手段としてのエアシリンダ9のピストンロッド9Aに連結されており、該エアシリンダ9を作動させて該押圧ロッド8を前進させると、図2及び7に示すように、直動カム7Aが前進して従節としての突起7Bと係合することにより前記上あご部5の押圧片5Aのみがその先端部と一体に所定の高さ位置まで押し上げられ、押圧ヘッド4が開口状態となり、この状態において押圧ロッド8を前記エアシリンダ9を操作して後退させると、直動カムAが突起7Bとの係合を解除されて後退するので、押圧ヘッド4は閉鎖状態となる。なお、図5において、8Aは押圧ロッド8を案内する管体であって、押出し部材3の内空部に固定されている。
【0016】
前記した押出し部材3を構成する2枚の長尺薄板3A、3Bは、それぞれの内端部側において一定の長さに亘ってそれぞれ各別に渦巻状に巻き込まれている一方、該長尺薄板3A、3Bの両側縁は、電動歯車機構10によっ垂直軸線周りに互いに逆回転せしめられると共に、引張りコイルスプリング11A、11Bを介して互いに内方へ付勢されている、V溝12A、13Aを付けた左右一対の溝ローラ12、13の該V溝12A、13A間に弾性的に挟持されており、該溝ローラ12、13の回転方向を切り替えることにより前記長尺薄板3A、3B、すなわち押出し部材3を前進又は後退させることができるようになっている。
【0017】
前記電動歯車機構10は、電動機14の出力ピニオン14Aと噛合する大径の歯車15、該歯車15と同軸の横長の歯車16及び該横長の歯車16と噛合する左右一対のクラウンギヤ17、18からなっており、溝ローラ12、13の縦軸12B、13Bを左右方向に遊動可能かつ垂直軸線周りに回動可能に支承する取付け板19A、19Bを介してハウジング1の内側に取り付けられている。また、各長尺薄板3A、3Bの渦巻部分19A、19Bは、該電動歯車機構10の後方においてハウジング1の内側にそれぞれ所要の間隔を置いて取り付けられた上下一対のボックス20A、20B内にそれぞれ収納されており、互いに逆回転する前記溝ローラ12、13の回転方向の切り替えにより該ボックスから出没し、電動機14の正回転に伴う該溝ローラ12、13の回転によりその前方に形成され、かつ前方へ繰り出されるところの中空殻構造体としての押出し部材3の長さは、該溝ローラ12、13の回転量の調整によっ任意に調整することができるようになっている。
【0018】
一端が前記直動カム機構7の直動カム7Aに連結されている押圧ロッドは、図示の例にあっては、可撓性と弾性とを併有するピアノ線等の線材で作られており、その他端は前記ボックス20A、20B間の隙間及びハウジング1の後壁に設けた透孔21を通して外部へ導出され、かつ柔軟な合成樹脂製の細管22を通して操作手段としての前記エアシリンダ9のピストンロッド9Aに連結部材を介して連結されている。
【0019】
前記押圧ヘッド4を構成する上あご部5と下あご部6は、図示の例にあっては、それぞれ金属薄板にプレス加工を施して成型したものであり、上あご部5の押圧片5Aは上方斜め前方に、下あご部6の押圧片6Aは下方斜め前方にそれぞれ対称的に突出するように形成されている。そして、押圧ヘッド4の全体の厚みは、図示の例にあっては、7mm前後とし、10mmピッチの溝が設けられているラック板を備えたプリント基板収納ラック内に収納された多数のプリント基板を一枚づつ押し出す際に当該基板に隣接するプリント基板に摺接することがないようにされている。
【0020】
図7は、段積み式のプリント基板収納ラック23の各段に2枚のプリント基板24、25が前後に所定の間隔を置いて並べて配置されている場合において、本発明に係るプリント基板押出し装置を用いて先ず最初に奥にある方のプリント基板25を押し出す場合の該装置の作動態様を図解したものである。前記プリント基板収納ラック23は、昇降装置(図示してない)上に裁置されており、必要に応じて昇降させることができるようになっている。
【0021】
先ず最初に奥側のプリント基板25を押し出すためには、先ず第1に、押圧ヘッド4を、図1に示すように、その先端開口部を閉じたままの状態で前進させると共に、手前側のプリント基板24の下面に沿って該基板23と奥側のプリント基板25との間の空間部位26の直下まで直進させた後、そこで一旦停止させ、その停止中に、図2に示すように、前記直動カム機構7をエアシリンダ9及び押圧ロッド8を介して操作することにより上あご部5の押圧片5Aをその先端部と一体に所定の高さ位置まで押し上げてやる。次いで、このようにして押圧片5Aを押し上げた状態において押圧ヘッド4を直進させると、図7に示すように、該押圧片5Aのみが奥側のプリント基板24の前端面に当接し、該基板24を押圧してこれを収納ラック22外に押し出してやり、目的の機器に供給する。
【0022】
次に、手前側のプリント基板23を押し出してやるためには、前記直動カム機構7を操作して押圧ヘッド4の先端開口部を閉鎖した状態で該押圧ヘッドを収納ラック23を所定の高さ位置まで下降させ、その状態において押圧ヘッド4を再前進させてその下あご部6の押圧片6Aを介して該プリント基板24を押し出すようにする。
【0023】
図8は、本発明に係るプリント基板押出し装置を、該押出し装置とプリント基板収納ラック23との間に複数のプリント基板27を積載した昇降台28を配置することにより該プリント基板27を一枚づつ該プリント基板収納ラック23内に収納することができるプリント基板挿入装置として使用することができることを示した説明図である。この使用態様においては、押圧ヘッド4は、図示のように、その先端開口部を閉じたままで下あご部6の押圧片6Aでプリント基板27の前端面を押してやることにより当該プリント基板を収納ラック23内に挿入する。
【0024】
請求項1に係る発明は、その前文に記載のプリント基板の押出し装置において、押圧ヘッドをプリント基板を押圧する押圧片を先端部にそれぞれ設けた上あご部と下あご部とからなるクリップ状の形態を有するヘッドとして構成すると共に、それら上下二つのあご部間に直動カム機構を設け、該直動カム機構をこれに作動連結した操作手段を介して操作することにより前記上あご部の押圧片をその先端部と一体に所定の高さ位置まで押し上げ得るようにしたものであるから、プリント基板収納ラックの各段にプリント基板を複数枚づつ順次並べて配置した場合でも、上あご部の押圧片で奥側のプリント基板から順次安全に押し出してやることができるので、プリント基板、殊に小型でしかも薄くて軽いプリント基板の収納に当ってプリント基板収納ラックのスペースを有効に活用することが可能となる。
【0025】
また、上記の如く構成されたプリント基板の押出し装置において、押出し部材をほぼ同一の湾曲断面を有する2枚の長尺薄板をそれぞれの凹面を互いに対向させた態様で重ね合わせて断面ほぼ長円形の中空殻体構造に形成すると共に、その内空部に押圧ロッドを進退可能に挿通し、該押圧ロッドを介して前記操作手段を前記直動カム機構に作動連結したものにあっては、プリント基板の押出し動作の際に押圧ヘッドの上下振動を有効に防止することができるので、押圧ヘッドが押し出すべきプリント基板の端面に的確に当接し、該プリント基板を確実に押し出すことが可能となる。
【0026】
さらにまた、請求項3に記載のものにあっては、左右一対の溝ローラの回転によって前方へ繰り出される押出し部材の長さを、該溝ローラの回転量を調整することによって、任意に調整することができるので、奥行きの比較的長いプリント基板収納ラック内に収納されている基板をも容易に押し出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るプリント基板押出し装置の側面図であり、全体の構成の概略を示すものである。
【図2】図2は、図1と同様の側面図であるが、押圧ヘッドにおける上あご部の押圧片がその先端部と一体に所定の高さ位置まで押し上げられるようになっていることを示す概略図である。
【図3】図3は、エアシリンダ等を除去して示した上記装置の斜視図である。
【図4】図4は、上記装置における動力機構部の正面図である。
【図5】図5は、中空構造体としての押出し部材の拡大断面図である。
【図6】図6は、上あご部の押圧片が上方へ押し上げられて、押圧ヘッドの先端開口部が開口している状態を示す押圧ヘッドの拡大正面図である。
【図7】図7は、プリント基板収納ラックに収納されている奥側の、すなわち該ラックの出口側のプリント基板を押圧ヘッドが押し出す様子を図解した説明図である。
【図8】図8は、上記装置をプリント基板挿入装置として使用する場合の一使用態様を示した説明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 押出し手段
3 押出し部材
4 押圧ヘッド
5 上あご部
6 下あご部
6A 押圧片
7 直動カム機構
8 押圧ヘッド
9 エアシリンダ
10 電動歯車機構
11 引っ張りコイルスプリング
12 溝ローラ
12A V溝
13 溝ローラ
13A V溝

Claims (4)

  1. 水平方向に進退可能な押出し部材の先端部に押圧ヘッドを取り付けてなる押出し手段を具備し、該押出し手段を前進させることによりその押圧ヘッドでプリント基板収納ラック内に収納されている複数枚のプリント基板を一枚づつ押し出すことができるように構成されたプリント基板の押出し装置において、前記押圧ヘッドをプリント基板を押圧する押圧片を先端部にそれぞれ設けた上あご部と下あご部とからなるクリップ状の形態を有するヘッドとして構成すると共に、それら上下二つのあご部間に直動カム機構を設け、該直動カム機構をこれに作動連結した操作手段を介して操作することにより前記上あご部の押圧片をその先端部と一体に所定の高さ位置まで押し上げ得るようにしたことを特徴とするプリント基板の押出し装置。
  2. 請求項1に記載のプリント基板の押出し装置において、前記押出し部材をほぼ同一の湾曲断面を有する2枚の長尺薄板をそれぞれの凹面を互いに対向させた態様で重ね合わせて断面ほぼ長円形の中空殻体構造に形成すると共に、その内空部に押圧ロッドを進退可能に挿通し、該押圧ロッドを介して前記操作手段を前記直動カム機構に作動連結したことを特徴とするプリント基板の押出し装置。
  3. 請求項2に記載のプリント基板押出し装置において、前記2枚の長尺薄板がそれぞれの内端部側において一定の長さに亘ってそれぞれ各別に渦巻状に巻き込まれている一方、前記長尺薄板の両側縁が電動歯車機構によって垂直軸線周りに互いに逆回転せしめられると共にスプリングを介して互いに内方へ付勢されているV溝を付けた左右一対の溝ローラの該V溝間に弾性的に挟持されており、該溝ローラの回転方向を切り替えることにより前記長尺薄板を前進又は後退させることができるようになっていることを特徴とするプリント基板の押出し装置。
  4. 請求項1、2又は3に記載のプリント基板の押出し装置において、当該押出し装置と前記プリント基板収納ラックとの間に複数枚のプリント基板を積載した昇降台を配置することにより該プリント基板を一枚づつ該プリント基板収納ラック内に挿入することができるプリント基板挿入装置として使用することができるようにしたことを特徴とするプリント基板の押出し装置。
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