JP4521939B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関し、特に像担持体に形成したトナー像をシートに転写する方式としてローラ転写方式を採用したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プリンタや複写機、静電記録装置等の電子写真方式の画像形成装置の多くは像担持体に形成されたトナー像をシートに転写させる転写方式として接触転写方式を採用している。そして、このような接触転写方式のなかでも、転写部でのシート搬送性に優れたローラ転写方式が主流となっている。
【0003】
ここで、このローラ転写方式は、転写ローラを像担持体に約5〜20Nの総圧で圧接させて像担持体と転写ローラとの問に転写ニップを形成し、この転写ニップ部でシートを挟持搬送しつつ、転写ローラに印加した転写電圧(転写バイアス)の作用により、像担持体上に形成されたトナー像をシート上に転写する構成のものである。
【0004】
図9は、転写方式としてこのようなローラ転写方式を採用した画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。
【0005】
同図において、1は像担持体であるドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)であり、この感光ドラム1は装置本体Mによって回転自在に支持されており、不図示の駆動手投によって矢印R1方向に所定のプロセススピードで回転駆動されるようになっている。なお、この感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に帯電ローラ(帯電装置)2、露光装置3、現像装置4、転写手段である転写ローラ(転写装置)5、クリーニング装置6が配設されている。
【0006】
また同図において、7は装置本体Mの下部に配置され、紙等のシート状の記録材Pを収納した給紙カセット、Rは記録材Pの搬送経路であり、この搬送経路Rに沿って上流側から順に、給紙ローラ15、搬送ローラ8、トップセンサ9、搬送板金10、定着装置11、搬送ローラ12、排紙ローラ13が配置されている。なお、トップセンサ9と搬送板金10との間には転写ローラ5が配置されている。
【0007】
次に、このように構成されたレーザビームプリンタにおける画像形成動作について説明する。
【0008】
画像形成動作が開始されると、まず駆動手段によって矢印R1方向に回転駆動された感光ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の極性、所定の電位に一様に帯電される。そして、このように表面が帯電された後の感光ドラム1は、その表面に対しレーザ光学系等の露光装置3によって画像情報に基づいた画像露光Lがなされ、この結果、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
【0009】
次に、この静電潜像は、現像装置4によって現像され、感光ドラム上にトナー像が形成される。なお、この現像装置4は現像ローラ4aを有しており、この現像ローラ4aに現像バイアスを印加し、感光ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させることで、トナー像としての現像(顕像化)を行うようにしている。
【0010】
一方、このようなトナー像形成動作に並行して給紙カセット7に収納されている記録材Pは、給紙ローラ15、搬送ローラ8によって給紙・搬送され、トップセンサ9を通過した後、感光ドラム1と転写ローラ5との間のニップ(以下、転写ニップ部という)に搬送される。
【0011】
なお、このとき記録材Pはトップセンサ9によって先端が検知され、感光ドラム1上のトナー像と同期がとられるようになっており、これにより記録材Pが転写ニップ部に搬送されると、転写ローラ5に印加される転写バイアスにより感光ドラム上のトナー像が記録材P上の所定の位置に転写される。
【0012】
次に、このように転写によって表面に未定着トナー像を担持した記録材Pは、搬送板金10に沿って定着装置11を構成する加熱ローラ11aと、この加熱ローラ11aに圧接する加圧ローラ11bとにより構成される定着ニップに搬送され、ここで未定着トナー像が加熱・加圧されて記録材表面に定着される。なお、このようにしてトナー像が定着された後の記録材Pは、搬送ローラ12、排紙ローラ13によって装置本体M上面に設けられた排紙トレイ14上に搬送・排出される。
【0013】
一方、トナー像転写後の感光ドラム1は、記録材Pに転写されずに表面に残ったトナーがクリーニング装置6のクリーニングブレード6aによって除去され、次の画像形成に備える。以上の動作を繰り返すことで、次々と画像形成を行うことができる。
【0014】
なお、トナー像を転写するための転写バイアスが印加される転写ローラ5は、同図に示すようにFe、SUS等の芯金5aと、この芯金上に設けられた導電性ゴムあるいは導電性スポンジ等の弾性層5bとからなるものである。さらに、この転写ローラ5は弾性体層5bをカーボン等により10〜1010Ωに抵抗調節することにより電子導電性体とされている。
【0015】
一方、図10は、この転写ローラ5に印加される転写電圧の制御を示す図であり、感光ドラム1に露光装置3からのレーザビームにより画像情報を書き込むまでの間、もしくは紙間等においては、即ち同図に示すAの部分では、転写ローラ5に対しては一定の電流値Iで定電流制御を行う。なお、このような定電流制御時において転写ローラ5に生じた電圧Vを検出すると定電流制御を停止する。
【0016】
次に、このように電圧Vを検出した後、この電圧Vに基づいて転写電圧Vtを演算すると共に記録材通紙中は、この転写電圧Vtを転写ローラ5に印加する定電圧制御を行う。なお、このような制御はActive−Transfer−Voltage−Controlと呼ばれる。なお、以下、この制御をATVCという。
【0017】
ここで、このようなATVCを行う理由は、接触転写方式では記録材特性、或いは転写ローラ5の抵抗値により印加すべき最適な電圧値が変わると共に、転写ローラ5は抵抗値のバラツキが大きく、さらに高湿環境から低湿環境において転写材特性も激しく変化するが、このような場合でも転写ローラ5による転写性が変わらないようにするためである。
【0018】
ところで、記録材Pにトナー像を転写する際、転写電圧が不適な場合には爆発飛び散り、スナジ画像及びゴーストが発生する。ここで、爆発飛び散りとは、低湿環境で転写電圧が低い時に記録材表面に流れる電流が、トナーのある部分とない部分との差で大きいために、トナーが付与された電荷に引き付けられて飛び散る現象である。
【0019】
また、スナジ画像とは低湿環境で転写電圧が高すぎる時に転写ローラに印加されたプラス電位が感光ドラムにリークし、過剰に電流が流れることによって、感光ドラムにスポット状にプラスのメモリーを発生させ、このメモリーが他と電位が異なることで次回現像時に黒い点となり画像上に発生する現象である。
【0020】
また、ゴーストとは、高湿環境で転写電流が大き過ぎる時、感光ドラム上のトナーのある部分とない部分に、記録材を通して流れる転写電流の差が帯電メモリーとなって、次回帯電時に電位差を消しきれずに前に描いた画像が次の画像上にうっすらと見える現象である。
【0021】
図11は転写ローラ5の抵抗を変化させて、その抵抗毎に出力画像上の不具合、即ち爆発飛び散り、スナジ画像及びゴーストが発生する電圧をプロットしたものである。なお、同図において、横軸は転写ローラの抵抗値、縦軸は各々の抵抗値の転写ローラに印加する転写電圧である。
【0022】
同図において、ラインL1は低湿環境において転写電圧がこのラインL1よりも矢印の様に低いと爆発飛び散りが発生し、またラインL2はこのラインL2よりも転写電圧が高すぎるとスナジ画像が発生し、さらにラインL3は高湿環境において、このラインL3よりも転写電圧が高いとゴーストが発生することを示している。例えば、1.0×10Ωの転写ローラは、2.7kv以下の転写電圧で爆発飛び散りが発生し、3.2kv以上でスナジ画像になることが示されている。
【0023】
そして、ATVCにより、転写電圧をこれらの転写不良現象が発生しない領域となるように制御すれば良好な画像を安定して得ることができる。しかし、ATVCを行わず、転写電圧をある一定の電圧Vcに固定した場合には、爆発飛び散りの発生ラインL1を上回る領域と、スナジ画像・ゴースト現象の発生ラインL2,L3を下回る領域の抵抗の転写ローラ以外は使用できず、使用可能な転写ローラの抵抗値は著しく限定されたものとなる。
【0024】
このことから、同図に示す爆発飛び散り発生ラインL1とスナジ画像・ゴースト発生ラインL2,L3との間の転写電圧として使用できる領域A内に、各ローラ抵抗での出力電圧曲線Sを押し込みATVCを行う事で、より広い範囲の抵抗の転写ローラを使用できるようにするのがローラ製造コストの観点から好ましい。
【0025】
なお、このようなATVCによって転写ローラ抵抗に関わらず転写性を変わらなくすることが可能となるが、制御ラインとしては転写電圧をより低く制御した方が電源への負担が少なく、画像品質上も良いため爆発飛び散りのラインL1に沿わせるように制御するのが一般的である。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、電子写真方式のプリンタ(画像形成装置)は全世界で幅広く使用され、これに伴ってプリンタで使用される記録材も多種多様化し、例えば体積抵抗率では10Ω・cm〜1017Ω・cmといった様々な抵抗値の記録材が使われている。
【0027】
ここで、記録材は空気中水分の影響を強く受けるため環境が異なることで抵抗値が大きく変化する。具体的には、気温15℃、湿度10%の低温低湿環境から気温32℃、湿度80%の高温高湿環境への推移で5桁以上の抵抗変動がある。この結果、高湿環境の低抵抗紙においては、転写電流が記録材を伝わって搬送経路へ漏れることで、ATVCを行っても転写ニップ部において転写バイアス不足が生じ、トナー像が記録材に適正に転写されない現象が起きる。
【0028】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、転写電流の漏れが生じた場合でも安定したトナー像の転写が可能な画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トナー像が形成される像担持体と、前記像担持体と転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部に搬送される記録材に前記像担持体からトナー像を転写する転写部材と、定着ニップ部に搬送される記録材に転写されたトナー像を定着する定着手段と、記録材搬送方向において前記転写ニップ部よりも上流側に設けられ記録材の搬送をガイドする記録材搬送ガイドと、記録材搬送方向において前記記録材搬送ガイドよりも上流側に設けられ記録材を前記転写ニップ部に搬送するレジストローラと、前記転写部材に電圧を印加する転写電圧発生手段と、前記転写電圧発生手段が前記転写部材に印加する電圧を制御する制御手段と、を有し、前記転写ニップ部に記録材が搬送される前に前記転写部材に所定電流値が流れるように前記転写電圧発生手段が前記転写部材に印加する電圧を基準電圧とし、前記制御手段は、前記基準電圧を基準に、記録材にトナー像を転写する際に前記転写部材に印加する定電圧の転写電圧を決定する画像形成装置において、前記転写部材に流れる電流を検出する転写電流検出手段と、記録材の搬送方向における記録材の先端の位置を検知する位置検知手段と、を有し、記録材は、前記レジストローラによって前記転写ニップ部に搬送された後、先端が前記定着ニップ部に到達した際には前記記録材搬送ガイドに接触せず、後端が前記レジストローラを離れると前記記録材搬送ガイドに接触するものであり、
記録材の先端が前記定着ニップ部に到達したと前記位置検知手段によって判断したタイミングで前記転写電流検出手段により前記転写部材に流れる電流を検出し、前記転写電流検出手段が検出した電流値が前記所定電流値に対して大きい場合、前記制御手段は、前記転写電圧を、前記電流検出手段が検出した前記電流値と前記所定電流値の差分に応じて大きくするように補正することを特徴とするものである。
【0031】
また本発明は、前記転写電圧を大きくするように補正した後に記録材の後端が前記レジストローラを離れて記録材が前記記録材搬送ガイドに接触する際に、前記位置検知手段によって記録材が前記記録材搬送ガイドに接触したと判断したタイミングで前記転写電流検出手段が検出する電流値が前記所定電流値に対して大きい場合、前記制御手段は、補正した前記転写電圧を、前記電流検出手段が検出した前記電流値と前記所定電流値の差分に応じて更に大きくするように補正することを特徴とするものである。
【0032】
また本発明は、前記転写電圧には、上限値が予め設定されており、前記制御手段は、前記電流検出手段が検出した前記電流値と前記所定電流値の差分に応じた補正後の前記転写電圧の大きさが前記上限値を超える場合は、前記上限値を前記転写電圧として決定することを特徴とするものである。
【0033】
また本発明のように、転写電圧発生手段によって発生する転写電圧を転写手段に印加することにより、像担持体に形成されたトナー像をシートに転写する。そして、転写電圧制御手段はトナー像を転写する際、位置検知手段からの検知信号に基づいてシートが所定の位置に到達したと判断したときに転写電圧発生手段を制御し、転写電圧を変化させるようにする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の参考例に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。なお、同図において、図9と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0036】
同図において、16は記録材Pの斜行を補正すると共に所定のタイミングで記録材Pを転写ニップ部に搬送するためのレジストローラ、17はトップセンサ9が設けられると共に給紙カセット7に収納されている記録材Pを転写ニップ部に搬送する搬送通路Rの底面を構成する搬送前板金であり、この搬送前板金17は転写ニップ部とレジストローラ16との間に設けられている。
【0037】
20は転写ローラ5に印加する転写電圧を発生する転写電圧発生手段である直流高電圧発生装置、21はこの直流高電圧発生装置20を制御する転写電圧制御手段(以下、制御手段という)である。
【0038】
ここで、この制御手段21は、記録材Pの位置に応じて転写ローラ5に印加する電圧を制御するようにしている。即ち、通紙中の記録材Pが低抵抗のものである場合、トナー像を転写する際、記録材Pの先端が定着装置11の定着ニップに突入すると、記録材Pを通して定着装置11に転写電流が流れて漏れ電流が発生する。
【0039】
そして、このように漏れ電流が発生すると、転写抜けが発生することから、この漏れ電流による転写抜けを防止するため、制御手段21は定電圧制御の際、記録材Pの先端が定着装置11の定着ニップに突入すると転写ローラ5に印加する転写電圧を増加するよう直流高電圧発生装置20を制御するようにしている。
【0040】
ここで、このように先端が定着装置11の定着ニップに突入したとき、記録材Pは転写ニップ部とレジストローラ16とに挟持された状態となっており、このように転写ニップ部とレジストローラ16とにより挟持された状態のとき、記録材Pは搬送前板金17とは非接触の状態となっている。
【0041】
一方、この後、さらに記録材Pが搬送されると、レジストローラ16による挟持が解消され、後端が搬送前板金17に接触するようになる。ここで、このように搬送前板金17に接触すると、さらに漏れ電流が発生する。したがって、制御手段21は、このように記録材Pが搬送前板金17に接触するタイミングでさらに転写電圧を増加するよう直流高電圧発生装置20を制御するようにしている。
【0042】
そして、このように転写電圧を記録材Pの位置に応じて順次増加させることにより、電流漏れによる転写抜けの発生を防止するようにしている。
【0043】
次に、このような制御手段21の転写電圧制御について、図2及び図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0044】
まず、感光ドラム1に露光装置3からのレーザビームにより画像情報を書き込むまでの間、もしくは紙間等の非画像形成時において、即ち図2に示すAの部分においては、転写ローラ5に一定の電流値Iを流す定電流制御を行ない(S50)、このとき転写ローラ5に生じた電圧Vを検出する(S51)。
【0045】
そして、この定電流制御時において転写ローラ5に生じた電圧Vを検出すると定電流制御を停止する。なお、図4は、通紙時における記録材P、感光ドラム1、転写ローラ5等の等価回路を示す図であり、電圧Vは転写ローラ5の抵抗RIによって変化する。
【0046】
次に、このようにして検出された電圧Vを基に通紙時における印加電圧Vtを算出し(S52)、記録材通紙中はこの転写電圧Vtで定電圧制御を行う(S53)。なお、制御手段21は転写電圧Vtを、記録材先端が転写ニップ部に突入するまでに立ち上がるようにして直流高電圧発生装置20から転写ローラ5に印加する。なお、この転写電圧Vtは、転写ローラ5の抵抗が10〜1010Ωなので、通常環境ならば2.5kv〜5kvくらいである。
【0047】
ところで、トップセンサ9が記録材Pの先端を検知すると、このトップセンサ9の検知信号は制御手段21に入力される。そして、この位置検知手段であるトップセンサ9からの検知信号に基づき、制御手段21は記録材先端が転写ニップ部に突入したか否かを判断する。
【0048】
更に、この後、記録材Pが定着装置11の定着ニップに突入したか否かを判断し、記録材Pが定着ニップに突入したと判断すると、制御手段21は図2に示すように転写電圧をVtからVt1へと変更し、このVt1で定電圧制御を行うようにしている(S54)。
【0049】
なお、同図の比較例1で示すように一定電圧Vtで定電圧制御を行った場合には、記録材Pが定着ニップに突入した時に転写電流の漏れが生じ、転写抜けが発生する。また、比較例2で示すように転写電圧を予め高く設定した場合、例えば転写電圧をVt1とVt2との間に設定した場合には、転写抜けは防止できるが、漏れ電流のないところでの転写電圧が高過ぎるため、スナジ画像・ゴースト現象などが現れる。
【0050】
次に、トップセンサ9からの検知信号に基づき記録材Pの後端が搬送前板金17に接触したと判断すると、制御手段21は記録材Pが搬送前板金17に接触するタイミングで転写電圧をVt1からVt2へと変更し、このVt2で定電圧制御を行うようにしている(S55)。そして、このように転写電圧をVt1からVt2へと変更することにより電流漏れによる転写抜けの発生を防止することができる。
【0051】
このように、トナー像を転写する際、直流高電圧発生装置20を制御手段21により制御して記録材Pの位置に応じて転写電圧を変化させるようにすることにより、漏れ電流が発生した場合でも安定した転写を行うことができる。また、このように構成することにより、転写ローラ5、転写回路及び転写装置周辺部材のグレードを下げることができ、コストダウンを図ることができる。さらに、転写装置周辺部材の耐久寿命を延ばすことも可能となる。
【0052】
なお、これまでの説明においては、定着ニップ及び搬送前板金17における漏れ電流について説明したが、もちろん感光体表面の抵抗値低下によって漏れる転写電流に対して、帯電・露光・現像等のタイミングに合わせて出力値を変えることも有効である。
【0053】
ところで、これまでは記録材Pの搬送位置に応じて転写電圧を制御するようにしたものについて説明したが、本発明はこれに限らず記録材Pの搬送位置における転写電流の変化に応じて転写電圧を制御するようにしても良い。
【0054】
次に、このような本発明の第の実施の形態について説明する。
【0055】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。なお、同図において、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0056】
同図において、23は転写電流を検するための転写電流検出手段であり、本実施の形態において、制御装置21はこの転写電流検出手段23からの検知信号に応じて直流高電圧発生装置20を制御するようにしている。
【0057】
次に、このような制御装置21の転写電圧制御について、図6及び図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0058】
まず、感光ドラム1に露光装置3からのレーザビームにより画像情報を書き込むまでの間、もしくは紙間等の非画像形成時において、即ち図6に示すAの部分においては、転写ローラ5に一定の電流値Iを流す定電流制御を行ない(S60)、このとき転写ローラ5に生じた電圧Vを検出する(S61)。
【0059】
そして、この定電流制御時において転写ローラ5に生じた電圧Vを検出すると定電流制御を停止する。次に、このようにして検出された電圧Vを基に通紙時における印加電圧Vtを算出し(S62)、記録材通紙中はこの転写電圧Vtで定電圧制御を行う(S63)。なお、制御手段21は転写電圧Vtを、記録材先端が転写ニップ部に突入するまでに立ち上がるようにして直流高電圧発生装置20から転写ローラ5に印加する。
【0060】
次に、トップセンサ9からの検知信号に基づいて記録材Pが定着ニップに突入したと判断すると、制御手段21は転写電流検出手段23によってこのときの転写電流値I1を検知し(S64)、このとき検知された転写電流値I1と適切な転写を可能とする目標電流値Iとの差ΔIを算出する(S65)。
【0061】
ここで、記録材Pが定着ニップに突入したとき記録材Pの抵抗が低ければ漏れ電流が発生し、このような電流漏れが発生すると転写抜けが発生することから、制御手段21はこの差ΔIに応じて転写電圧をVtからVt1に変更し、このVt1で定電圧制御を行う(S66)。そして、このように転写電圧をVtからVt1へと変更することにより電流漏れによる転写抜けの発生を防止することができる。
【0062】
なお、記録材Pの抵抗が高ければ、記録材Pを通して電流が漏れることはないので△Iは小さくなる。よってVt1はVtとほとんど変わることがないため、転写バイアスが高くなりすぎることはなく、これによりスナジ画像・ゴースト現象等の画像不良の発生はなくなる。
【0063】
次に、トップセンサ9からの検知信号に基づいて記録材Pが搬送前板金17に接触したと判断すると、制御手段21は記録材Pが搬送前板金17に接触するタイミングで転写電流値I2を検知する(S67)。
【0064】
そして、このとき検知された転写電流値I2と適切な転写を可能とする目標電流値Iとの差ΔIを算出し(S68)、この差ΔIに応じて出力電圧をVt1からVt2に変更し、このVt2で定電圧制御を行う(S69)。これにより、漏れ電流による転写抜けの発生を防止することができる。
【0065】
なお、記録材Pが低抵抗紙の場合には、図6に示すように転写電圧をVt1からVt2と上げることで、同時に転写電流も上昇するが図4の等価回路に示すトナーに流れる電流はほぼ一定となる。これにより記録材Pに適した転写電圧を印加することができ、良好な画像を出力することが可能となる。
【0066】
このように、トナー像を転写する際、記録材Pの搬送位置における転写電流の変化に応じて転写電圧を制御することにより、漏れ電流が発生した場合でも安定した転写を行うことができる。
【0067】
ところで、転写電圧を変更したとき、変更した転写電圧が極めて大きくなった場合、転写ローラ5と接触している感光ドラム1の端部に過剰な電流が流れるようになる。そして、このように過剰な電流が流れると、爆発飛び散り、トナーが蓄積されることによるトナーのボタ落ち、ドラムメモリー及びクリーニング装置6におけるブレードメクレ等が発生するようになる。
【0068】
そこで、このような不具合の発生を防止するため、記録材通紙中の転写電圧を所定範囲内で変化させるようにしても良い。
【0069】
次に、このような本発明の第の実施の形態について説明する。
【0070】
図8は、本実施の形態に係る転写電圧制御を示すフローチャートであり、次にこのフローチャートを用いて転写電圧制御を説明する。
【0071】
まず、感光ドラム1に露光装置3からのレーザビームにより画像情報を書き込むまでの間、もしくは紙間等の非画像形成時において、即ち既述した図6に示すAの部分においては、転写ローラ5に一定の電流値Iを流す定電流制御を行ない(S70)、このとき転写ローラ5に生じた電圧Vを検出する(S71)。
【0072】
そして、この定電流制御時において転写ローラ5に生じた電圧Vを検出すると定電流制御を停止する。次に、このようにして検出された電圧Vを基に通紙時における印加電圧Vtを算出し(S72)、記録材通紙中はこの転写電圧Vtで定電圧制御を行う(S73)。なお、制御手段21は転写電圧Vtを、記録材先端が転写ニップ部に突入するまでに立ち上がるようにして直流高電圧発生装置20から転写ローラ5に印加する。
【0073】
次に、トップセンサ9からの検知信号に基づいて記録材Pが定着ニップに突入したと判断すると、制御手段21は転写電流検出手段23によってこのときの転写電流値I1を検知し(S74)、このとき検知された転写電流I1と適切な転写を可能とする目標電流値Iとの差ΔIを算出する(S75)。
【0074】
ここで、このとき記録材Pの抵抗が低ければ漏れ電流が発生し、このような電流漏れが発生すると、転写ニップ部では転写抜けが発生することから、制御手段21はこの差ΔIに応じて転写電圧をVtからVt1に変更し、このVt1で定電圧制御を行う(S76)。
【0075】
ところで、記録材Pの抵抗が充分小さい時には、Vt1は極めて大きくなる。そして、このような大きな電圧Vt1を印加すると、転写ローラ5と感光ドラム1とが接触している端部に過剰な電流が流れるため、トナーが蓄積してトナーのボタ落ち等の不具合が生じ、出力画像にも影響を与える。
【0076】
そこで、本実施の形態においては、このような現象を防止するため電流が極めて多い(記録材Pの抵抗が極めて低い)場合において、Vt1−Vtの差ΔVが2kv以上となると、Vt1の値をVt+2kvとするようにしている。即ち、転写電圧の上限を設けるようにしている。そして、このように転写電圧の上限を設けることにより、感光ドラム端部に流れ込む過剰電流を防止することが可能になり、端部で発生する上記のような不具合を防止することができる。
【0077】
なお、逆に電流が極めて少ない(記録材の抵抗が極めて大きい)場合や、誤差検知によって目標電流値I≦電流値I1になる可能性がある。そして、この場合、転写電圧を下げてしまうと、記録材Pが高抵抗紙のときには、爆発飛び散り等の画像不良が発生してしまう。
【0078】
そこで、本実施の形態においては、このような現象を防止するため、この場合には漏れ電流は発生していないと判断し、Vt1=Vtとすることで転写電圧をVtのまま定電圧制御するようにしている。そして、このようにVt1の下限をVtとするよう制御することにより、転写電圧不足のない転写制御を行うことができる。
【0079】
次に、トップセンサ9からの検知信号に基づいて記録材Pが搬送前板金17に接触したと判断すると、制御手段21は記録材Pが搬送前板金17に接触するタイミングで転写電流値I2を検知する(S77)。
【0080】
そして、このとき検知された転写電流値I2と適切な転写を可能とする目標電流値Iとの差ΔIを算出し(S78)、この差ΔIに応じて出力電圧をVt1からVt2に変更し、このVt2で定電圧制御を行う(S79)。これにより、漏れ電流による転写抜けの発生を防止することができる。
【0081】
なお、このときVt2が極めて大きくなったり、目標電流値I≦電流値I2となった場合には上記と同様の制御を行う。
【0082】
このように、転写電圧の上下限を設けることにより、即ち転写電圧を所定範囲内で変化させることにより、超低抵抗記録材・超高抵抗記録材においても、ドラムメモリーやトナー蓄積・プレードメクレなど帯電ローラ(帯電装置)2、現像装置4、クリーニング装置6に及ぼす影響を防止することができると共に爆発飛び散り等の画像不良の発生を防止することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トナー像を転写する際、シートが所定の位置に到達したときに転写電圧を変化させるようにすることにより、転写電流の漏れが生じた場合でも安定したトナー像の転写が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図。
【図2】 上記レーザビームプリンタの定電圧制御を示す図。
【図3】 上記レーザビームプリンタの定電圧制御を説明するフローチャート。
【図4】 上記レーザビームプリンタの通紙時における記録材、感光ドラム、転写部材等の等価回路図。
【図5】 本発明の第の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図。
【図6】 上記レーザビームプリンタの定電圧制御を示す図。
【図7】 上記レーザビームプリンタの定電圧制御を説明するフローチャート。
【図8】 本発明の第の実施の形態に係る画像形成装置の定電圧制御を説明するフローチャート。
【図9】 従来の画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図。
【図10】 上記従来のレーザビームプリンタに設けられた転写部材に印加される転写電圧の制御を示す図。
【図11】 上記転写ローラの抵抗と、出力画像上の不具合と、印加電圧との関係を示す図。
【符号の説明】
1 感光ドラム
5 転写ローラ
9 トップセンサ
11 定着装置
17 搬送前板金
20 直流高電圧発生装置
21 転写電圧制御手段
23 転写電流検出手段
P 記録材

Claims (3)

  1. トナー像が形成される像担持体と、前記像担持体と転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部に搬送される記録材に前記像担持体からトナー像を転写する転写部材と、定着ニップ部に搬送される記録材に転写されたトナー像を定着する定着手段と、記録材搬送方向において前記転写ニップ部よりも上流側に設けられ記録材の搬送をガイドする記録材搬送ガイドと、記録材搬送方向において前記記録材搬送ガイドよりも上流側に設けられ記録材を前記転写ニップ部に搬送するレジストローラと、前記転写部材に電圧を印加する転写電圧発生手段と、前記転写電圧発生手段が前記転写部材に印加する電圧を制御する制御手段と、を有し、前記転写ニップ部に記録材が搬送される前に前記転写部材に所定電流値が流れるように前記転写電圧発生手段が前記転写部材に印加する電圧を基準電圧とし、前記制御手段は、前記基準電圧を基準に、記録材にトナー像を転写する際に前記転写部材に印加する定電圧の転写電圧を決定する画像形成装置において、
    前記転写部材に流れる電流を検出する転写電流検出手段と、
    記録材の搬送方向における記録材の先端の位置を検知する位置検知手段と、を有し、
    記録材は、前記レジストローラによって前記転写ニップ部に搬送された後、先端が前記定着ニップ部に到達した際には前記記録材搬送ガイドに接触せず、後端が前記レジストローラを離れると前記記録材搬送ガイドに接触するものであり、
    記録材の先端が前記定着ニップ部に到達したと前記位置検知手段によって判断したタイミングで前記転写電流検出手段により前記転写部材に流れる電流を検出し、前記転写電流検出手段が検出した電流値が前記所定電流値に対して大きい場合、前記制御手段は、前記転写電圧を、前記電流検出手段が検出した前記電流値と前記所定電流値の差分に応じて大きくするように補正することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記転写電圧を大きくするように補正した後に記録材の後端が前記レジストローラを離れて記録材が前記記録材搬送ガイドに接触する際に、前記位置検知手段によって記録材が前記記録材搬送ガイドに接触したと判断したタイミングで前記転写電流検出手段が検出する電流値が前記所定電流値に対して大きい場合、前記制御手段は、補正した前記転写電圧を、前記電流検出手段が検出した前記電流値と前記所定電流値の差分に応じて更に大きくするように補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記転写電圧には、上限値が予め設定されており、前記制御手段は、前記電流検出手段が検出した前記電流値と前記所定電流値の差分に応じた補正後の前記転写電圧の大きさが前記上限値を超える場合は、前記上限値を前記転写電圧として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
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