JP4516472B2 - プラズマトーチ - Google Patents

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Description

本発明はチタン、ジルコニウムなどの高融点活性金属の溶接に好適に使用される溶接用プラズマトーチに関し、特に陽極電極型、そのなかでも特に銅製ロッド型のプラズマトーチに関する。
チタン、ジルコニウムなどの高融点活性金属を工業的規模で製造するためには、これらの原料となる素材を溶解し、インゴットをつくらなければならない。このインゴットを製造する方法として現在最も一般的なのは、消耗電極式真空アーク溶解炉(VAR炉)を使用する方法である。この方法では、まず、溶解原料となる素材を用いて棒状の消耗電極を製作する。次いで、これを真空又は不活性ガス雰囲気中で直流電源の印加により水冷銅るつぼ内でアーク溶解することにより、目的とするインゴットを得る。
消耗電極の製作過程では、従来より塊粒状の素材を押し固めて作製したコンパクトを溶接で繋ぎ合わせて所定の棒状に形成することが行われている。ところが、この電極を製作するための溶接過程では、注意を払わなければならないことある。代表的な高融点活性金属であるチタンを例にとって説明すると以下のとおりである。
通常、高融点活性金属の溶接にはTIG溶接やプラズマ溶接が使用されており、トーチ電極としては耐久性に優れたタングステンが用いられている。ところが、このタングステン電極は、そのごく一部でも溶損して溶接ビード中へ混入した場合、溶解工程でも拡散することなはく、最終チタン製品に高密度介在物(HDI)として残り、材料欠陥を発生させる。このため、特定の分野では、タングステン電極を使用しないトーチでインゴットの製作を行うことが強く求められている。
このような要求に応えるため、本発明者は銅電極型のプラズマトーチ、そのなかでも特に、特許文献1に記載されるようなロッド型の銅電極をもつプラズマトーチの使用を企画した。すなわち、銅電極の場合でも溶接ビード中への混入の危険はあるが、仮に溶接ビード中へ混入しても、VAR溶解時に母材マトリックス中へ拡散し、最終製品中にHDI欠陥として残らないのである。しかも銅は、熱伝導性が極めて高いので、発熱が集中する電極先端からの冷却を高めるという観点からも好ましい材質であり、銅の代わりに銅合金を用いてもよい。また、銅電極には中空型電極とロッド型電極があるが、本発明者が前記消耗電極の作製に両者を試験的に使用してみたところ、中空型電極はロッド型電極より寿命が短かった。これらのため、本発明者は銅電極型のプラズマトーチ、そのなかでも特にロッド型の銅電極をもつプラズマトーチを、前記消耗電極の製作用に選択した。
特開2001−170760号公報
VAR一次溶解用の消耗電極の製作に使用される銅電極型プラズマトーチでは、熱効率の点から直流電源、移行型プラズマトーチが使用されることが多く、またトーチ側の極性は通常とは逆の陽極とするのが望まれる。なぜなら、銅電極の表面での電子の放出特性に起因して、逆極性(陽極)としなければ、銅電極は電子の放出により短期間で消耗し、安定な操業が不可能となる懸念があるからである。このことから、プラズマトーチ用の銅電極は陽極電極として使用するのが推奨される。ちなみに、タングステン電極は電子の放出による消耗が少なく、通常の負極電極として使用される。ただし、消耗が少なくともタングステンの混入が高融点活性金属の製造の場合に致命的な問題となることは前述したとおりである。
銅電極型プラズマトーチにおける特徴の一つは、逆極性に起因する銅電極の先端面形状である。銅電極はタングステン電極に比べると低融点であり、耐熱性が著しく低い。このため、タングステン電極のように先端部を尖らせると、実用的な寿命が確保されない。このため、銅電極の先端面は平坦面とされる。銅電極の先端面を平坦面とすると、トーチ内の電極先端における電流集中、熱集中が軽減され、耐久性が向上する。それでも未だ先端面の特定箇所に電流集中、熱集中が生じる傾向があり、これを緩和するために、前述した特許文献1では、銅電極の先端面を先端側へ向かって凹の方向に湾曲した凹型曲面とすることが提示されている。
ところで、従来の銅電極型プラズマトーチは、殆どがタンディッシュ内の溶鋼加熱用に開発されており、特許文献1に記載された銅電極型プラズマトーチも例外ではなく、溶接用に開発されたものは殆ど存在しないのが現状である。このため、VAR一次溶解用の消耗電極の製作に使用される銅電極型プラズマトーチは、タンディッシュ内の溶鋼加熱用に開発されたものをスケールダウンして用いている。しかしながら、タンディッシュ内の溶鋼加熱用に開発されたものを消耗電極製作のための溶接に転用した場合、以下のような問題のあることが本発明者による種々の調査から判明した。
プラズマアーク熱を利用して溶接、溶断などを行う場合、アークのエネルギーを集中させることが重要である。このアークのエネルギー集中が悪いと、熱が周囲へ拡散するために、熱影響部が大きい割に溶接ビードの溶け込みが浅くなり、熱効率の悪い溶接となる。結果、溶接速度は遅くなり、更には母材の熱ひずみなどの溶接欠陥も発生しやすくなる。このため、エネルギー密度を高めることが必要となり、そのためにはプラズマアークの温度を高めるのが最も効果的である。
プラズマアークは、周囲から冷却されると収縮して高温になる性質(熱的ピンチ効果)があり、これを利用すると熱集中のよいプラズマアークが得られる。そして、この熱的ピンチ効果を最も簡単に高めることができるのが、プラズマトーチのノズル内周面を先細り状に絞り、ノズル拘束長さを確保する方法であり、銅電極型プラズマトーチを使用して溶接を行う場合は、このノズルの絞りが不可欠となる。加えて、銅電極型プラズマトーチを使用して溶接を行う場合は、下記のような別の観点からもノズルの絞りが重要となる。
前述したように、銅電極型プラズマトーチでは、その銅電極を陽極としなければならず、電子は溶接母材の側からトーチへ向かって流れることになる。このため、電子の放出による消耗が回避されることは前述のとおりである。しかし、その一方ではアークの発生点が陰極である母材側に位置することになり、その発生位置が定まらず、アークが不安点にりやすい。母材側にアーク発生点が位置する場合、酸化皮膜からアークが発生しやすい特性があり、チタンやジルコニウムのように酸化皮膜が薄い母材の場合はアーク発生点は酸化皮膜を求めて走り回る傾向が強い。ちなみに、陰極電極型プラズマトーチの場合(正極性の場合)では、電子の放出点である陰極は常にトーチ内にあるため、アーク発生点が溶接母材上を走り回ってアークを不安定にするような問題は発生しない。
これに加え、スポンジ状高融点金属のVAR一次溶解に使用される消耗電極の製作では、複数のブリケットを組み合わせるために、溶接母材の表面に凹凸部分が生じやすい。このため、従来の銅電極型プラズマトーチで溶接を行うと、アーク発生点が溶接箇所以外に飛ぶおそれもあり、更に大きな問題となる。
銅電極型プラズマトーチを使用したときの溶接母材上でのアーク発生点(陰極点)の移動を抑え込むためには、プラズマトーチのノズル内周面を先細りに絞る対策が有効である。この対策が熱的ピンチ効果によるアークエネルギーの集中の点からも望ましいものであることは前述したとおりである。
しかしながら、銅電極型プラズマトーチをタンディッシュ内の溶鋼加熱に使用する場合は、熱的ピンチ効果によりアークエネルギーを集中させる対策も、溶接母材上でのアーク発生点(陰極点)の移動を抑え込む対策も必要ではない。なぜなら、タンディッシュ内の溶鋼加熱では、その溶鋼をなるべく均一に加熱することが必要であり、むしろアークエネルギーは分散し、溶接母材上でのアーク発生点(陰極点)は移動した方が好ましいとさえ言えるのである。このため、プラズマトーチのノズル内周面はストレートで、その絞りはなく、前述した特許文献1に記載の銅電極型プラズマトーチでも、ノズル内周面は絞りのないストレート形状である。
したがって、従来の銅電極型プラズマトーチは、溶接には本質的に不向きであり、効率的な溶接を行うことが困難である。また熱集中、及びアーク発生点の固定のために、仮にそのトーチのノズル内周面を先細り形状に絞ったとしても、次のような別の問題が発生する。
トーチに付加する電流値に対してトーチのノズル内周面を細く絞り過ぎたり、ノズル拘束長が大きくなると、ノズルの開口部からのプラズマアークの発生だけでなく、ノズルを介してのアークの発生が起こる。この現象はダブルアーク或いはシリーズアークと呼ばれており、短時間でトーチを破壊し使用不能に至らしめるので、プラズマトーチ設計上、使用上、最も注意しなければならない項目の一つとされている。このダブルアークのため、ノズル内周面を十分に絞ることができず、結果、溶接、溶断に必要な熱集中、アーク発生点の固定を実現できないのが現状である。
また、陽極電極の場合は、前述したとおり、熱損に対する耐久性が本質的に欠如しているので、陽極の先端面で陽極点(アーク発生点)が固定、集中することによる溶損を防止し、長寿命化を図ることも忘れてはならない重要な技術課題である。
本発明の目的は、溶接を行う場合に十分な熱集中及びアーク発生点の固定を行い、且つ長寿命である陽極電極型のプラズマトーチを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のプラズマトーチは、少なくとも先端部におけるアーク発生箇所の全てが銅又は銅合金からなるロッド型の陽極電極と、これを包囲する円筒状のノズルとを備えた陽極電極型の溶接用プラズマトーチにおいて、前記ノズルの内周面を、先端側へ向かって漸次滑らかに縮径した先細り形状とし、且つ前記陽極電極の先端面の中心部を除く部分を、先端側へ向かって漸次縮径した先細り形状としたものであり、より詳しくは、前記陽極電極の先端面中心部を、先端側へ向かって凹の方向へ湾曲した凹型曲面とし、前記陽極電極の先端面の中心部を除く部分が、先端側へ向かって凸の方向へ湾曲した凸型曲面としたものである
なお、本発明において縮径とは内周面の場合は内径が減少することであり、外周面の場合は外径が縮小することである。また拡径とは内周面の場合は内径が増大することであり、外周面の場合は外径が増大することである。
本発明のプラズマトーチにおいては、電極先端部におけるアーク発生箇所の全てが銅又は銅合金からなるため、タングステン混入の問題が生じない。その銅電極が陽極であるため、銅電極からの電子の放出が抑制され、安定な操業が可能となる。ノズルの内周面が、先端側へ向かって漸次滑らかに縮径した先細り形状とされている。このため、陽極電極型であるにもかかわらず、熱的ピンチ効果によりプラズマアーク熱を集中させることができる。また、陰極母材側におけるアーク発生点の移動を抑制することができる。陽極電極の先端面が、中心部を除く部分で先端側へ向かって漸次縮径した先細り形状とされているので、ノズルの内周面を先細り形状としたときのダブルアークを効果的に防止することができ、これによりノズル内周面の絞り程度を強くすることができる。陽極電極の先端面の全体を先細り形状としていない、すなわち陽極電極を尖らせていないので、電極先端における電流集中、熱集中が軽減され、耐久性が維持される。かくして、陽極電極の耐久性を維持しつつ、溶接に十分な熱集中及びアーク発生点の固定を行うことができる。
陽極電極の材質は、少なくとも先端部、より詳しくは先端部におけるアーク発生箇所の全てについては銅又は銅合金が導電性、熱伝導率、溶接ビードに混入したときの問題解消の点から必要である。
銅電極型でありながらアーク発生点を安定させ、且つアーク熱を集中させることができる本発明のプラズマトーチは、溶接、なかでもチタンやジルコニウムなどの高融点活性金属の溶接に好適であり、とりわけスポンジ状高融点金属のVAR一次溶解に使用される消耗電極の製作に特に適する。
ノズルの内周面は、プラズマガスに乱流を発生させないために、内径が一定割合で滑らかに縮小するテーパー周面が好ましい。そして、そのノズルの最小内径は、絞り効果を高めるために、陽極電極の外径より小さくすることが望まれる。また、ノズルの出口近傍、すなわち内径が漸減する先絞り部の先端側は、内径が一定のストレート周面とすることが望まれる。この部分をストレート周面とすることにより、プラズマアークを一層安定させることができる。ストレート周面としないまでも、内径が緩やかに変化する小傾斜のテーパー周面とすれば、これに近い効果を得ることもできる。
陽極電極先端面の中心部を除く部分は、先端側へ向かって凸の方向へ湾曲した凸型曲面とした。これによりトーチ内周面を絞った場合のダブルアークを特に効果的に抑制することができる。
すなわち、ノズル内周面から陽極電極までの距離は安定したアークを発生させる上で非常に重要である。移行型プラズマトーチの場合、メインアークを発生させる前にノズルとでの間でパイロットアークを発生させ、これを着火源として、目的のメインアークを発生させる。このため、この間の距離が大きすぎると、パイロットアークの発生が困難となり、操業に支障をきたする問題が発生する。逆にこの間の距離が小さすぎるとダブルアークが発生する。500Aクラスのプラズマトーチの場合、この間の適正距離は1〜3mm程度と非常に僅かである。このため、単にノズルの内周面だけを絞ると、使用に伴う陽極電極の僅かの消耗、変形により、この距離が正しく維持されなくなり、ダブルアークが発生してトラブルに見舞われたり、パイロットアークの発生が困難となる。陽極電極の先端面の中央部を除く部分を限定的に絞ることにより、適正距離の変化が抑制され、この部分が凸型曲面の場合に、その効果が特に大きくなる。
また、陽極電極の先端面中心部については、先端側へ向かって凹の方向へ湾曲した凹型曲面とした。これにより、電極先端における電流集中、熱集中が特に効果的に軽減され、耐久性が向上する。
溶接などに通常使用される高融点金属製ロッド型陰極電極では、ノズル径を絞ることによる熱的ピンチ効果によってアークを集中させる手法が用いられてきたが、銅製ロッド型陽極電極ではそのような手法が用いられてこなかった。すなわち、銅は高融点金属より遥かに融点が低い上に、電極が陽極となるため銅製ロッド型電極の先端部へ電子が衝突して局部発熱を引き起こす。この現象は一般に使用されている陰極電極では発生せず、陽極電極に特有の問題である。この問題のため、熱的ピンチ効果によりアークを集中させて溶接に使用するとロッド型電極の局部発熱がますます増大するので、そのような使用法は実用に耐えないのが常識とされてきた。
このような状況下で本発明者は、上記常識を打破し、銅製ロッド型陽極電極であっても、電極先端面を中央部と中心部を除く外周部に分けた本発明に固有の2段形状とするならば、ノズル径の絞りにより熱的ピンチ効果を高めて溶接に使用できるようになることを発見し、その結果、溶接対象物に凹凸がある上に、高融点金属が混入してはならないという特殊な事情をもつスポンジ状高融点金属のブリケット溶接においても、実用に耐え得る溶接用プラズマトーチを始めて実現したのである。
本発明のプラズマトーチは、銅製陽極電極型で問題となる電極寿命の低下、熱拡散及びアーク発生点の移動を高い次元で解消し、銅製陽極電極型でありながら溶接に適した性能及び実用性を示す。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すプラズマトーチの縦断面図である。
本実施形態のプラズマトーチは、チタンやジルコニウムなどのVAR溶解用消耗電極の製作に使用される溶接用トーチである。このプラズマは円筒形状のノズル10と、その内側に同心状に配置された丸棒状の陽極電極20とを備えている。
ノズル10は例えば銅又は銅合金などからなり、内側の陽極電極20との間に環状のプラズマガス流路30を形成する。ノズル10の先端部内周面は、先端近傍を除く部分で、先端側へ向かって内径が一定比率で漸減する先細りのテーパー周面11とされている。また、先端近傍の内周面は内径が一定のストレート周面(円筒周面)である。
ノズル10の最小内径、すなわちノズル先端のノズル孔径Dは、陽極電極20の外径より小さく設計されており、その外径をdとして0.2d≦D<1.0dの範囲内が好ましい。陽極電極20の外径dに比してノズル孔径Dが大きすぎる場合は熱集中のよいアークが得られず、逆に小さすぎる場合はダブルアーク発生の確率が大となる。またテーパー周面11の中心線に対する傾斜角度θは5〜45度が好ましい。これが小さいと、必要とするノズル孔径まで絞り込むためのノズル軸方向の長さが過大となり、大きすぎるとプラズマガス通過時の断面が急激に変化するので、プラズマ流が乱れやすくなる。後述の比較試験ではこの傾斜角度θは15度とした。
陽極電極20は銅又は銅合金からなるいわゆる銅電極であり、且つロッド型である。すなわち銅製ロッド型陽極電極である。陽極電極20の先端面はテーパー周面11の中心軸方向中間部に位置しており、その先端面の中心部を除く部分は、先端側へ向かって凸の方向へ湾曲した凸型曲面21であり、中心部は先端側へ向かって凹の方向へ湾曲した凹型曲面22である。
凸型曲面21は曲率が一定の球面であり、凹型曲面22も曲率が一定の球面である。凹型曲面22の領域(直径)は、陽極電極20の外径dの0.2倍以上、0.8倍以下が好ましい。凹型曲面22の領域が狭すぎると、陽極側アーク発生点が狭い領域に集中し、電極側における電流集中、熱集中が軽減されにくい。逆に広すぎる場合は電極先端外周部の肉厚が不足し、強度不足、冷却不足が生じやすくなると共に、ダブルアークが発生しやすくなる。後述の比較試験ではこの領域(直径)は、陽極電極20の外径dの0.5倍とした。
図2(a)〜(c)は本発明と比較するための本発明範囲外のプラズマトーチの縦断面図である。同図(a)では、陽極電極20の先端面の中心部を除く部分21′が一定角度の錐状に形成されており、中心部22′が平坦面になっている。同図(b)では、陽極電極20の先端面の中心部を除く部分21′が球状の凸型曲面となっており、中心部22′が平坦面になっている。同図(c)では、陽極電極20の先端面の中心部を除く部分21′が一定角度の錐状に形成されており、中心部22′が球状の凹型曲面となっている
陽極電極20の先端面の中心部を除く部分21′が一定角度の錐状の場合、その角度は中心線に対する傾斜角度で5〜45度が好ましい。これが小さいと、必要とするノズル孔径まで絞り込むためのノズル軸方向の長さが過大となり、大きすぎるとプラズマガス通過時の断面が急激に変化するので、プラズマ流が乱れやすくなる。後述の比較試験ではこの角度θは15度とした。この錐面は球面まではいかずとも、外周側に向かって徐々に角度が大きなる曲面であってもよい。
図3(a)〜(d)は本発明と比較するための本発明範囲外の更に別のプラズマトーチの縦断面図である。同図(a)では、ノズル10の内周面は絞られておらず、ストレート周面である。また陽極電極20の先端面は全体で平坦である。同図(b)では、ノズル10の内周面は絞られていないが、陽極電極20の先端面は、外周縁部(平坦面)以外が先端側へ向かって凹の方向の球状凹型曲面に形成されている。同図(c)では、ノズル10の内周面が若干絞られているが、陽極電極20の先端面は全体で平坦である。同図(d)では、ノズル10の内周面が前記実施形態と同様に絞られており、陽極電極20の先端面は、全体が先端側へ凸の球状の凸型曲面とされている。
これらの陽極電極型プラズマトーチの溶接用プラズマトーチとしての性能・適性を比較するために溶接試験を行った。プラズマトーチの規模は溶接電流で500Aクラスである。被溶接物(母材)はスポンジチタンを押し固めたチタンブリケットとした。溶接電流、溶接速度、プラズマガス種類、プラズマガス流量は共通とし、溶接後に図4に示すビード幅W、深さh及び断面積Aから熱集中の度合いを比較し、正常なアークが得られなくなるまでの時間をトーチ寿命とした。試験は同じトーチについて3回行い、その平均値を採用した。共通の試験条件を表1に示し、比較試験結果を表2に示す。
Figure 0004516472
Figure 0004516472
比較例1は図3(a)に示すトーチであり、タンディッシュ内の溶鋼加熱用に通常使用されているプラズマトーチを単純にスケールダウンしたものである。プラズマアークの熱集中度が悪く、熱が拡散する結果、ビード幅W、深さh及び断面積A共に小さい。銅電極先端の熱変形、消耗の度合いは中程度である。
比較例2は図3(b)に示すトーチであり、前述の特許文献1に記載されたタンディッシュ内の溶鋼加熱用のプラズマトーチをスケールダウンしたものである。プラズマアークの熱集中度が悪く、熱が拡散する結果、ビード幅W、深さh及び断面積A共に小さい。ただし、銅電極先端の熱変形、消耗の度合いは低減し、長寿命となる。
比較例3は図3(c)に示すトーチであり、ノズル内周面のみを絞り込んだタイプである。銅電極の側を絞ってないので、ノズル側の絞り込みは僅かである。電極の先端面外周が角張っているため、適正な間隔を確保する上からノズル側の絞り込みを強くできないのである。比較例1及び比較例2と比べて、熱集中度はやや改善され、ビード幅W、深さh及び断面積Aも改善傾向であるが、溶接用トーチとして満足できるレベルではない。銅電極先端の熱変形、消耗の度合いは中程度である。
比較例4は図3(d)に示すトーチであり、ノズル内周面を比較的強く絞り込むと共に、銅電極の先端面を球状の凸型曲面としている。熱集中度は非常に改善され、ビード幅W、深さh及び断面積Aとも溶接用トーチとして満足できるレベルである。また、電極先端の少々の溶損、熱変形にも間隔の変化が少なく、ノズル内周面を比較的強く絞り込んでいるにもかわらず、ダブルアークの発生は頻度は低い。しかし、電極側の陽極点(アーク発生点)が先端面の中心に集中し、消耗が激しく、電極寿命が短い。
実施例は図1に示すプラズマトーチである。ノズル内周面は強く絞り込まれ、プラズマアークの熱集中度は良好で溶接用として満足のいくレベルである。電極先端面の中心部を除く部分が凸型曲面になっているので、ノズルと電極の間隔が長時間使用しても変化しにくく、ダブルアークの発生確率が低い。さらに、電極先端面の中心部が凹型曲面になっているので、電極先端の陽極点(アーク発生点)が適度に移動・分散し、狭い部分に熱が集中することがないため、電極寿命も長い。
比較例5は図2(a) に示すプラズマトーチである。ノズル内周面は強く絞り込まれ、プラズマアークの熱集中度は良好で溶接用として満足のいくレベルである。ただし、電極先端面の中心部を除く部分が一定角度の錐状に形成されているので、ノズルと電極の間のギャップ保持性は劣り、この分、ダブルアークの発生確率が高くなる。また、電極先端面の中心部が平坦面になっているので、電極先端における熱集中が顕著となり、この分、電極寿命が短くなる。
比較例6は図2(b) に示すプラズマトーチである。ノズル内周面は強く絞り込まれ、プラズマアークの熱集中度は良好で溶接用として満足のいくレベルである。また、電極先端面の中心部を除く部分が凸型曲面になっているので、ノズルと電極の間隔が長時間使用しても変化しにくく、ダブルアークの発生確率が低い。ただし、電極先端面の中心部が平坦面になっているので、電極先端における熱集中が顕著となり、この分、電極寿命は短くなる。
比較例7は図2(c) に示すプラズマトーチである。ノズル内周面は強く絞り込まれ、プラズマアークの熱集中度は良好で溶接用として満足のいくレベルである。ただし、電極先端面の中心部を除く部分が一定角度の錐状に形成されているので、ノズルと電極の間のギャップ保持性は劣り、この分、ダブルアークの発生確率が高くなる。一方、電極先端面の中心部は凹型曲面になっているので、電極先端の陽極点(アーク発生点)が適度に移動・分散し、狭い部分に熱が集中することがないため、電極寿命も長い。
本発明の一実施形態を示すプラズマトーチの縦断面図である。 (a)〜(c)は本発明の別の実施形態を示すプラズマトーチの縦断面図である。 (a)〜(d)は本発明範囲外のプラズマトーチの縦断面図である。 溶接試験でのビード部の評価因子を示す断面図である。
符号の説明
10 ノズル
11 テーパー周面
20 陽極電極
21 凸型曲面
22 凹型曲面
30 プラズマガス流路

Claims (3)

  1. 少なくとも先端部におけるアーク発生箇所の全てが銅又は銅合金からなるロッド型の陽極電極と、これを包囲する円筒状のノズルとを備えた陽極電極型の溶接用プラズマトーチにおいて、前記ノズルの内周面が、先端側へ向かって漸次滑らかに縮径した先細り形状であり、且つ前記陽極電極の先端面中心部が、先端側へ向かって凹の方向へ湾曲した凹型曲面であり、前記陽極電極の先端面の中心部を除く部分が、先端側へ向かって凸の方向へ湾曲した凸型曲面であることを特徴とするプラズマトーチ。
  2. 前記凹型曲面領域の直径は前記陽極電極の外径の0.2倍以上、0.8倍以下である請求項1に記載のプラズマトーチ。
  3. スポンジ状高融点金属のブリケットを溶接してVAR一次溶解用消耗電極とする際の溶接用プラズマトーチである請求項1に記載のプラズマトーチ。
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