JP4516258B2 - 新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法 - Google Patents

新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法 Download PDF

Info

Publication number
JP4516258B2
JP4516258B2 JP2001525230A JP2001525230A JP4516258B2 JP 4516258 B2 JP4516258 B2 JP 4516258B2 JP 2001525230 A JP2001525230 A JP 2001525230A JP 2001525230 A JP2001525230 A JP 2001525230A JP 4516258 B2 JP4516258 B2 JP 4516258B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
sequence
antibacterial
amino acid
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001525230A
Other languages
English (en)
Inventor
由光 高倉
茂 桑田
康宏 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc filed Critical Japan Tobacco Inc
Application granted granted Critical
Publication of JP4516258B2 publication Critical patent/JP4516258B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/37Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/37Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi
    • C07K14/375Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi from Basidiomycetes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N63/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing microorganisms, viruses, microbial fungi, animals or substances produced by, or obtained from, microorganisms, viruses, microbial fungi or animals, e.g. enzymes or fermentates
    • A01N63/50Isolated enzymes; Isolated proteins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6888Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms
    • C12Q1/689Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms for bacteria

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Agronomy & Crop Science (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Description

技術分野
本発明は、抗菌活性を有する新規なタンパク質、上記タンパク質をコードする遺伝子、並びに上記タンパク質および上記遺伝子の利用法に関する。さらに詳細には、本発明は、少なくともイネ紋枯病菌およびイネいもち病菌に対する抗菌活性を有するホンシメジ由来タンパク質、上記タンパク質をコードする遺伝子、並びに上記タンパク質および上記遺伝子の利用法に関する。
本出願は、1999年9月21日に提出された日本特許出願 特願平11−267238号を基礎とする優先権主張出願である。当該日本特許出願の内容は全て本明細書に援用される。
背景技術
植物病原菌に対して抗真菌活性あるいは抗菌活性を有する植物のタンパク質としては、キチナーゼ、β−1,3−グルカナーゼなどの溶菌酵素が従来から知られている。In vitro実験では、これらの酵素は単独でも効果があるが(Schlumbaum他(1986),Nature 324,p.365−367;Broglie他(1991),Science 254,p.1194−1197)、一般には2種類以上の酵素を組み合わせて使用することにより、より高い効果が得られることが知られている(Mauch他(1988),Plant Physiol.88,p.936−942;Sela−Buurlage他(1993),Plant Physiol. 101,p.857−863)。これら溶菌酵素が糸状菌の生育を抑制する濃度は一般的には、単独の場合で数十〜数百μg/ml程度、組み合わせの場合でも各々の酵素当たり数μg/ml程度を必要とすることが知られている。しかしながら、これらの溶菌酵素の中で、イネの重要病害であるいもち病菌(Pyricularia oryzae)に対して抗菌的に働くことが証明されたものは本発明者が知る範囲では未だ報告されていない。
一方、ディフェンシンをはじめとする小分子量AFP(抗真菌ペプチド;Anti−fungal peptide)も抗微生物活性を有する。このうちイネのいもち病菌(Pyricularia oryzae)と紋枯病菌(Rhiz octonia solani)の両方に対して抗菌的に働くものとしては、Ca−AMP1(特表平8−505048)及びCB−1(Oita他(1996),Biosci.Biotech.Biochem. 60,p.481−483)が、いもち病菌(Pyricularia oryzae)に対して抗菌活性があるものとして、Rs−AFP1とRs−AFP2(Terras他(1992),J.Biol.Chem.267,p.15301−15309)、及びAce−AMP1(特表平9−501424)が報告されている。これらの低分子ペプチドは数μg/ml程度で上記病原菌を含む各種の植物病原菌の生育を50%阻害する。
溶菌酵素あるいは低分子量抗菌ペプチドの遺伝子を単離して、植物に導入し、病害抵抗性植物を作出しようという試みもなされている(Broglie他(1991),Science 254,p.1194−1197;Zhu他(1994),Bio/Technology 12,p.807−812;Lin他,(1995),Bio/Technology 13,p.686−691;Terras他(1995),The Plant Cell 7,p.573−588)。しかし、現状では、必ずしも実用化レベルの抵抗性を付与された植物体が得られていないことが多い。この理由としては、導入した遺伝子の発現レベルが低いことがあげられるが、より本質的には、これまでに報告されている抗菌タンパク質自体の抗菌力が低いことによるものと考えられる。従って、従来の抗菌タンパク質よりさらに強力な抗菌タンパク質を同定して利用を図ることが望まれている。
発明の概要
本発明の目的の1つは、比較的低濃度でイネの2大病害であるいもち病菌と紋枯病菌をはじめとする様々な植物病原菌の生長を抑止できる新規な抗菌タンパク質を検索、同定することである。
本発明の別の目的は、上記の新規タンパク質をコードする遺伝子をクローニングし、その塩基配列を特定することである。
本発明のさらに別の目的は、本発明の遺伝子を宿主生物(微生物、動物または植物など)に導入して形質転換体を作出し、本発明の遺伝子の利用を図ることである。
本発明のさらに別の目的は、本発明の抗菌タンパク質を含む抗菌剤を提供することである。
発明の詳細な説明
上記課題を解決することを目的として、本発明者らは、先ず、いもち病菌および紋枯病菌に対するin vitroでの抗菌活性を検定するためのアッセイ系を確立した。次いで、本発明者らは、食用キノコの一種であるホンシメジからタンパク質を抽出し、イオン交換カラムクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を組み合わせ、各画分を上記アッセイ系に供試することにより、抗菌タンパク質画分を同定し、抗菌タンパク質を単離・精製することに成功した。さらに本発明者らは、精製タンパク質の部分アミノ酸配列を決定し、このアミノ酸配列に基づき合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用するRT−PCR法により当該タンパク質をコードする部分長cDNAを得た。次いで、本発明者らは、この部分長cDNAをプローブとして用いてホンシメジ由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、当該タンパク質をコードする完全長のcDNAを単離し、全塩基配列を決定した。上記の通り、本発明者らは、ホンシメジ由来の新規な抗菌タンパク質の単離とそれをコードするDNAのクローニングに成功し、また当該タンパク質のアミノ酸配列と当該DNAの塩基配列を決定して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1の側面によれば、ホンシメジの水性抽出液から硫安沈殿法で沈殿する画分から得ることができ、少なくともイネ紋枯病菌またはイネいもち病菌に対する抗菌活性を有し、SDS−PAGE法で分子量が前駆体型で約70kDa、そして成熟型で約65kDaである、抗菌タンパク質が提供される。
本発明の抗菌タンパク質は、典型的には、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する。限定されるわけではないが、約65kDaの成熟型は、配列番号1のアミノ酸残基76−618からなると推測される。
本発明の抗菌タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列のみでなく、当該配列において1から複数個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列若しくはこの配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、イネ紋枯病菌またはイネいもち病菌に対する抗菌活性を示す抗菌タンパク質も含む。
本発明の抗菌タンパク質は、好ましくは、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列と60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する。
本発明の第2の側面によれば、配列表の配列番号2の部分アミノ酸配列、例えばアミノ酸残基76−618、からなるポリペプチド;並びに上記アミノ酸配列の何れかの中に1〜複数個のアミノ酸変異を有するポリペプチドおよび上記アミノ酸配列の何れかと50%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、イネ紋枯病菌またはイネいもち病菌に対する抗菌活性を示す当該ポリペプチド;の単独又は何れかのポリペプチドの組み合せから成る抗菌タンパク質が提供される。
本発明の第2の側面による上記抗菌タンパク質に関して、各々の具体的アミノ酸配列と「50%以上の相同性を有するタンパク質」という定義は、少なくとも50%以上の相同性を有していればよいことを意味するが、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質が意図される。
本発明の第3の側面によれば、ホンシメジの水性抽出液から硫安75%飽和を使用する硫酸沈殿法で沈殿する画分を回収する工程;および
上記画分をイオン交換クロマトグラフィーにかけNaCl濃度0.05Mから1Mの濃度で溶出する画分を回収する工程;
を含む、本発明の抗菌タンパク質の製造方法が提供される。
本発明の第4の側面によれば、本発明の抗菌タンパク質をコードする遺伝子が提供される。
本発明の遺伝子は、典型的には、配列表の配列番号1に記載の塩基配列、上記塩基配列中に1〜複数個の塩基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を有する塩基配列、または上記塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する。
本発明の遺伝子は、一般的には、配列表の配列番号1に記載の塩基配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を有する。
本発明の第5の側面によれば、ホンシメジ由来の抗菌タンパク質を得るためのオリゴヌクレオチドであって、
配列表の配列番号1に示す抗菌タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列から以下の条件を満たすように2つの領域を選択し:
1)各領域の長さが15−30塩基であること;
2)各領域中のG+Cの割合が40−60%であること;
上記領域と同じ塩基配列若しくは上記領域に相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを製造し、または、上記一本鎖DNAによってコードされるアミノ酸残基を変化させないように遺伝子暗号の縮重を考慮した一本鎖DNAの混合物を製造し、さらに必要であれば上記抗菌タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に対する結合特異性を失わないように修飾した上記一本鎖DNAを製造する
ことを含む方法により製造された当該オリゴヌクレオチドが提供される。
本発明のオリゴヌクレオチドは、好ましくは配列表の配列番号7ないし12の何れか1項に記載のヌクレオチド配列を有する。
本発明の第6の側面によれば、上記オリゴヌクレオチドの2種の組をプライマーとして用いて、ホンシメジcDNAライブラリーを鋳型にして増幅反応を行い本発明の抗菌タンパク質をコードする遺伝子の一部を増幅し、得られた増幅産物をプローブとして使用して上記cDNAライブラリーをスクリーニングして完全長cDNAクローンを単離することを含む、本発明の遺伝子の単離方法が提供される。
本発明の第7の側面によれば、本発明の遺伝子を含む組換えベクターが提供される。
本発明の組換えベクターにおいて、好ましくは、ベクターは発現ベクターである。
本発明の第8の側面によれば、宿主生物に本発明の組換えベクターを導入して得られる形質転換体が提供される。
本発明の第9の側面によれば、本発明の抗菌タンパク質を有効成分として含む抗菌剤が提供される。
以下、本発明の説明のために、好ましい実施形態に関して詳述する。
本発明の第一の側面によれば、植物病原菌に対して抗菌効果のあるホンシメジ由来のタンパク質が提供される。本発明のタンパク質は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。即ち、本発明の抗菌タンパク質は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現させたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。
本発明のタンパク質は典型的には、配列表の配列番号2に記載の618個のアミノ酸配列を有する。しかし、天然のタンパク質の中にはそれを生産する生物種の品種の違いや、生態型(ecotype)の違いによる遺伝子の変異、あるいはよく似たアイソザイムの存在などに起因して1から複数個のアミノ酸変異を有する変異タンパク質が存在することは周知である。なお、本明細書で使用する用語「アミノ酸変異」とは、1以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加などを意味する。本発明のタンパク質は、クローニングされた遺伝子の塩基配列からの推測に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するが、その配列を有するタンパク質のみに限定されるわけではなく、本明細書中に記載した特性を有する限り全ての相同タンパク質を含むことが意図される。相同性は少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。
本明細書において、相同性のパーセントは、例えばAltschulら(Nucl.Acids.Res.25.,p.3389−3402,1997)に記載されているBLASTプログラムを用いて配列情報と比較し決定することが可能である。当該プログラムは、インターネット上でNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、あるいはDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェブサイトから利用することが可能である。BLASTプログラムによる相同性検索の各種条件(パラメーター)は同サイトに詳しく記載されており、一部の設定を適宜変更することが可能であるが、検索は通常デフォルト値を用いて行う。
一般的に、同様の性質を有するアミノ酸同士の置換(例えば、ある疎水性アミノ酸から別の疎水性アミノ酸への置換、ある親水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸への置換、ある酸性アミノ酸から別の酸性アミノ酸への置換、あるいはある塩基性アミノ酸から別の塩基性アミノ酸への置換)を導入した場合、得られる変異タンパク質は元のタンパク質と同様の性質を有することが多い。遺伝子組換え技術を使用して、このような所望の変異を有する組換えタンパク質を作製する手法は当業者に周知であり、このような変異タンパク質も本発明の範囲に含まれる。
本発明のタンパク質は、SDS−PAGEで分子量が前駆体型(配列表の配列番号2の配列のうち第1番目から第618番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドに相当)が約70kDa、そして成熟型(配列表の配列番号2の配列のうち第76番目から第618番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドに相当)が約65kDaである。限定されるわけではないが、本発明の抗菌タンパク質は、典型的には、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する。
従って、本発明によれば、配列表の配列番号2の第1番目から第618番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド;および第76番目から第618番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドの単独又は何れかの組み合せから成る抗菌タンパク質が提供される。なお、上記ポリペプチドには、本明細書中上記したような変異を有する相同なポリペプチドも含まれる。
本発明のタンパク質は、例えば後述の実施例に従ってホンシメジ子実体から硫安沈殿法およびイオン交換カラムクロマトグラフィー等を用いて精製することができる。あるいは、本発明による配列表の配列番号1のDNA配列のうち、第8番目から第1861番目の配列から成るDNA配列、または第233番目から第1861番目の配列から成るDNA配列を、大腸菌や酵母あるいは昆虫やある種の動物細胞に、それぞれの宿主で増幅可能な発現ベクターを用いて導入、発現させることにより、当該タンパク質を大量に得ることができる。
本発明のホンシメジ由来抗菌タンパク質について、DDBJのBLASTによる相同性検索を行うと、最も相同性の高いものでアミノ酸配列全体同士で45%の相同性しか有しておらず、これ以外で相同性のある配列は存在していないことから、本タンパク質は新規なタンパク質であると考えられる。本発明によってこのタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列が開示されれば、当該配列またはその一部を利用して、ハイブリダイゼーション、PCR等の核酸増幅反応などの遺伝子工学的手法を用いて、他の生物種から同様の生理活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を容易に単離することができる。このような場合、それらの遺伝子がコードする新規タンパク質も本発明の範囲に含まれる。上述のBLASTプログラムを用いて本発明のDNA配列の相同性検索を行うと、非常に短い範囲(32塩基)で相同性(93%)を有するものがヒットするのみである。
本発明のホンシメジ由来の抗菌タンパク質が最も高い相同性(アミノ酸配列全体同士で45%)を有していたのは、カワラタケ(Coriolus versicolor)のピラノースオキシダーゼであった。ピラノースオキシダーゼは、グルコースを始めとするピラノース類を酸化し、2−ケト産物を過酸化水素を生成させる酵素で、他のピラノースの測定への応用価値が述べられている。本明細書に援用される特開平8−205861参照。本発明のホンシメジ由来抗菌タンパク質は、実際にピラノースオキシダーゼ活性を示し、その比活性は非常に高く、グルコースなどに対するKm値も低いことが判明した。またイオン交換カラムによる画分の抗菌活性の強さとピラノースオキシダーゼ活性の高さはよく一致した。よって、本発明において見出されたホンシメジ由来の抗菌タンパク質の抗菌活性は、ピラノースオキシダーゼに関連すると推定される。理論に縛られるわけではないが、本発明における抗菌活性の作用機序としては、アッセイ培地に含まれるグルコースが本酵素によって化される過程で生じる過酸化水素が病原菌に有害に働く可能性が考えられる。
本発明のタンパク質の精製および単離は、硫安沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー(MonoQ、Q SepharoseまたはDEAEなど)などのタンパク質の精製および単離のために慣用される方法を適宜組み合わせて行うことができる。
例えば、下記の実施例において記載するように、細粉化したホンシメジを緩衝液で抽出した後、ろ過し、その上清に硫安(硫酸アンモニウム)を好適な濃度、例えば75%飽和になるまで添加して静置することにより本発明のタンパク質を含む沈殿が得られる。この沈殿をさらに透析した後、イオン交換クロマトグラフィーにかけ、塩濃度のグラジェント(例えば、塩化ナトリウムで50mMから1M)で溶出し、所望のタンパク質を含む画分を回収すればよい。
本発明はまた、本発明の抗菌タンパク質をコードする遺伝子をも提供する。遺伝子の種類は特に限定されず、天然由来のDNA、組換えDNA、化学合成DNAの何れでもよく、またゲノムDNAクローン、cDNAクローンの何れでもよい。
本発明の遺伝子は典型的には、配列表の配列番号1に記載の塩基配列を有するが、これは本発明の一例を示すにすぎない下記の実施例で得られたクローンの塩基配列である。天然の遺伝子の中にはそれを生産する生物種の品種の違いや、生態型(ecotype)の違いに起因する少数の変異やよく似たアイソザイムの存在に起因する少数の変異が存在することは当業者に周知である。従って、本発明の遺伝子は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子のみに限定されるわけではなく、本発明の抗菌タンパク質をコードする全ての遺伝子を包含する。
特に、本発明によってこのタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列が開示されれば、この配列またはその一部を利用して、ハイブリダイゼーションや核酸増幅反応等の遺伝子工学の基本的手法を用いて、他の生物種から同様の生理活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を容易に単離することができる。このような場合、そのような遺伝子も本発明の範囲に含まれる。
相同遺伝子のスクリーニングのために使用するハイブリダイゼーション条件は特に限定されないが、一般的にはストリンジェントな条件が好ましく、例えば、6×SSC、5×Denhardt’s、0.1%SDS、25℃ないし68℃などのハイブリダイゼーション条件を使用することが考えられる。この場合、ハイブリダイゼーションの温度としては、より好ましくは45℃ないし68℃(ホルムアミド無し)または25℃ないし50℃(50%ホルムアミド)を挙げることができる。ホルムアミド濃度、塩濃度及び温度などのハイブリダイゼーション条件を適宜設定することによりある一定の相同性以上の相同性を有する塩基配列を含むDNAをクローニングできることは当業者に周知であり、このようにしてクローニングされた相同遺伝子は全て本発明の範囲の中に含まれる。
核酸増幅反応は、例えば、複製連鎖反応(PCR)(サイキら、1985,Science 230,p.1350−1354)、ライゲース連鎖反応(LCR)(ウーら、1989,Genomics 4,p.560−569;バリンガーら、1990,Gene 89,p.117−122;バラニーら、1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,p.189−193)および転写に基づく増幅(コーら、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,p.1173−1177)等の温度循環を必要とする反応、並びに鎖置換反応(SDA)(ウォーカーら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,p.392−396;ウォーカーら、1992,Nuc.Acids.Res.20,p.1691−1696)、自己保持配列複製(3SR)(グアテリら、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,p,1874−1878)およびQβレプリカーゼシステム(リザイルディら、1988,BioTechnology 6,p.1197−1202)等の恒温反応を含む。また、欧州特許第0525882号に記載されている標的核酸と変異配列の競合増幅による核酸配列に基づく増幅(Nucleic Acid Sequence Based Amplification:NASABA)反応等も利用可能である。好ましくはPCR法である。
上記のようなハイブリダイゼーション、核酸増幅反応等を使用してクローニングされる相同遺伝子は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列に対して少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する。
本発明によればまた、ホンシメジ由来の抗菌タンパク質を得るためのオリゴヌクレオチドであって、
配列表の配列番号1に示す抗菌タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列から以下の条件を満たすように2つの領域を選択し:
1)各領域の長さが15−30塩基であること;
2)各領域中のG+Cの割合が40−60%であること;
上記領域と同じ塩基配列若しくは上記領域に相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを製造し、または、上記一本鎖DNAによってコードされるアミノ酸残基を変化させないように遺伝子暗号の縮重を考慮した一本鎖DNAの混合物を製造し、さらに必要であれば上記抗菌タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に対する結合特異性を失わないように修飾した上記一本鎖DNAを製造する
ことを含む方法により製造された当該オリゴヌクレオチドが提供される。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば本発明の遺伝子を検出もしくは単離するためのハイブリダイゼーション、あるいは適当な2種をプライマー対として用いたPCR等の増幅反応に用いることが可能である。
本発明のオリゴヌクレオチドは、好ましくは配列表の配列番号8〜12の何れかに記載のヌクレオチド配列を有する。このヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸配列に基づいて、各々のタンパク質をコードする遺伝子断片のクローニングのためのPCR用プライマーとして設計されたものであり、当該アミノ酸をコードすることが可能な全ての塩基をミックスしたプライマーである。
本発明の遺伝子の部分断片は、上記オリゴヌクレオチドの適切な組み合せを使用してホンシメジ子実体cDNAライブラリーを鋳型にしてPCR等の核酸増幅反応を行うことにより増幅させて単離することができる。かくして得られた増幅産物をプローブとして使用してさらにcDNAライブラリーをプラークハイブリダイゼーションなどでスクリーニングすることにより完全長のcDNAクローンを単離することができる。核酸増幅反応の手順及び条件、プラークハイブリダイゼーションの条件などは当業者に周知である。
本発明によればまた、本発明の遺伝子を含む組換えベクターが提供される。プラスミドなどのベクターに本発明の遺伝子のDNA断片を組み込む方法としては、例えば、Sambrook,J.ら,Molecular Cloning, A Laboratory Manual(2nd edition),Cold Spring Harbor Laboratory,1.53(1989)に記載の方法などが挙げられる。簡便には、市販のライゲーションキット(例えば、宝酒造製等)を用いることもできる。このようにして得られる組換えベクター(例えば、組換えプラスミド)は、宿主細胞(例えば、E−Coil TB1, LE392 またはXL−1Blue等)に導入される。
プラスミドを宿主細胞に導入する方法としては、Sambrook,J.ら,Molecular Cloning, A Laboratory Manual(2nd edition),Cold Spring Harbor Laboratory,1.74(1989)に記載のリン酸カルシウム法または塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法、エレクトロインジェクション法、PEGなどの化学的な処理による方法、遺伝子銃などを用いる方法などが挙げられる。
ベクターは、簡便には当業界において入手可能な組換え用ベクター(例えば、プラスミドDNAなど)に所望の遺伝子を常法により連結することによって調製することができる。用いられるベクターの具体例としては、大腸菌由来のプラスミドとして、例えば、pBluescript、pUC18、pUC19、pBR322などが例示されるがこれらに限定されない。
所望のタンパク質を生産する目的においては、特に、発現ベククーが有用である。発現ベクターの種類は、原核細胞および/または真核細胞の各種の宿主細胞中で所望の遺伝子を発現し、所望のタンパク質を生産する機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、大腸菌用発現ベクターとして、pQE−30、pQE−60、pMAL−C2、pMAL−p2、pSE420などが好ましく、酵母用発現ベクターとしてpYES2(サッカロマイセス属)、pPIC3.5K、pPIC9K、pAO815(以上ピキア属)、昆虫用発現ベクターとしてpBacPAK8/9、pBK283、pVL1392、pBlueBac4.5などが好ましい。
形質転換体は、所望の発現ベクターを宿主細胞に導入することにより調製することができる。用いられる宿主細胞としては、本発明の発現ベクターに適合し、形質転換され得るものであれば特に制限はなく、本発明の技術分野において通常使用される天然の細胞、または人工的に樹立された組換え細胞など種々の細胞を用いることが可能である。例えば、細菌(エシェリキア属菌、バチルス属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキア属など)、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞などが挙げられる。
宿主細胞は、大腸菌、酵母または昆虫細胞が好ましく、具体的には、大腸菌(M15、JM109、BL21等)、酵母(INVSc1(サッカロマイセス属)、GS115、KM71(以上ピキア属)など)、昆虫細胞(BmN4、カイコ幼虫など)などが例示される。また、動物細胞としてはマウス由来、アフリカツメガエル由来、ラット由来、ハムスター由来、サル由来またはヒト由来の細胞若しくはそれらの細胞から樹立した培養細胞株などが例示される。さらに、植物細胞に関しては、細胞培養が可能であれば特に限定されないが、例えば、タバコ、アラビドプシス、イネ、トウモロコシ、コムギ由来の細胞などが例示される。
宿主細胞として細菌、特に大腸菌を用いる場合、一般に発現ベクターは少なくとも、プロモーター/オペレーター領域、開始コドン、所望の抗菌タンパク質をコードする遺伝子、終止コドン、ターミネーターおよび複製可能単位から構成される。
宿主細胞として酵母、植物細胞、動物細胞または昆虫細胞を用いる場合には、一般に発現ベクターは少なくとも、プロモーター、関始コドン、所望の抗菌タンパク質をコードする遺伝子、終止コドン、ターミネーターを合んでいることが好ましい。またシグナルペブチドをコードするDNA、エンハンサー配列、所望の遺伝子の5’側および3’側の非翻訳領域、選択マーカー領域または複製可能単位などを適宜含んでいてもよい。
本発明のベクターにおいて、好適な開始コドンとしては、メチオニンコドン(ATG)が例示される。また、終止コドンとしては、常用の終止コドン(例えば、TAG、TGA、TAAなど)が例示される。
複製可能単位とは、宿主細胞中でその全DNA配列を複製することができる能力をもつDNAを意味し、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミド(天然のプラスミドから調製されたプラスミド)および合成プラスミド等が含まれる。好適なプラスミドとしては、E.coilではブラスミドpQE30、pETまたはpCALもしくはそれらの人工的修飾物(pQE30、pETまたはpCALを適当な制限酵素で処理して得られるDNAフラグメント)が、酵母ではプラスミドpYES2もしくはpPIC9Kが、また昆虫細胞ではプラスミドpBacPAK8/9等があげられる。
エンハンサー配列、ターミネーター配列については、例えば、それぞれSV40に由来するもの等、当業者において通常使用されるものを用いることができる。
選択マーカーとしては、通常使用されるものを常法により用いることができる。例えばテトラサイクリン、アンピシリン、またはカナマイシンもしくはネオマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシン等の抗生物質耐性遺伝子などが例示される。
発現ベクターは、少なくとも、上述のプロモーター、開始コドン、所望の抗菌タンパク質をコードする遺伝子、終止コドン、およびターミネーター領域を連続的かつ環状に適当な複製可能単位に連結することによって調製することができる。またこの際、所望により制限酵素での消化やT4DNAリガーゼを用いるライゲーション等の常法により適当なDNAフラグメント(例えば、リンカー、他の制限酵素部位など)を用いることができる。
本発明の発現ベクターの宿主細胞への導入[形質転換(形質移入)]は従来公知の方法を用いて行うことができる。
例えば、細菌(E.coil, Bacillus subtilis等)の場合は、例えばCohenらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci,USA,69,2110(1972)]、プロトプラスト法[Mol.Gen.Genet.,168,111(1979)]やコンピテント法[J.Mol.Biol.,56,209(1971)]によって、Saccharomyces cerevisiaeの場合は、例えばHinnenらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1927(1978)]やリチウム法[J.Bacteriol.,153,163(1983)]によって、植物細胞の場合は、例えばリーフディスク法[Science,227,129(1985)]、エレクトロポレーション法[Nature,319,791(1986)]によって、動物細胞の場合は、例えばGrahamの方法[Virology,52,456(1973)]、昆虫細胞の場合は、例えばSummersらの方法[Mol.Cell.Biol.,3,2156−2165(1983)]によってそれぞれ形質転換することができる。
本願発明のDNA断片を用いて病害抵抗性植物を作出する目的においては、植物形質転換用ベクターが有用である。植物用ベクターとしては、植物細胞中で当該遺伝子を発現し、当該タンパク質を生産する能力を有するものであれば特に限定されないが、例えば、pBI221、pBI121(以上Clontech社製)、及びこれらから派生したベクターが挙げられる。また、特に単子葉植物の形質転換には、pIG121Hm、pTOK233(以上Hieiら, Plant J.,6, 271−282(1994))、pSB424(Komariら, Plant J.,10, 165−174(1996))などが例示される。
形質転換植物は、上述のベクターのβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の部位に本願発明のDNA断片を入れ替えて植物形質転換用ベクターを構築し、これを植物に導入することで調整することができる。植物形質転換用ベクターは、少なくともプロモーター、翻訳開始コドン、所望の遺伝子(本願発明のDNA配列またはその一部)、翻訳終始コドンおよびターミネーターを含んでいることが好ましい。また、シグナルペプチドをコードするDNA、エンハンサー配列、所望の遺伝子の5’側および3’側の非翻訳領域、選抜マーカー領域などを適宜含んでいてもよい。
プロモーター、ターミネーターは植物細胞で機能するものであれば特に限定されないが、構成的発現をするプロモーターとしては、上記ベクターに予め組み込まれている35Sプロモーターの他に、アクチン、ユビキチン遺伝子のプロモーターなどが例示される。しかしながら、より好適には誘導性のプロモーターを組み入れて用いてもよい。こうすることで病害虫が形質転換植物に接触した時にのみ、当該タンパクが生産され、抵抗性となる。用いられるべき誘導性プロモーターとしてはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ、キチナーゼ、グルカナーゼ、チオニン、オズモチンあるいは病害虫やストレスに反応するその他の遺伝子のプロモーターが考えられる。
植物への遺伝子導入法としては、アグロバクテリウムを用いる方法(Horsch et al., Science,227, 129(1985)、Hiei et al., Plant J.,6, 271−282(1994))、エレクトロポレーション法(Fromm et al., Nature,319,791(1986))、PEG法(Paszkowski et al., EMBO J.,3, 2717(1984))、マイクロインジェクション法(Crossway et al., Mol.Gen,Genet.,202, 179(1986))、微小物衝突法(McCabe et al., Bio/Technology, 6, 923(1988))などが挙げられるが、所望の植物に遺伝子を導入する方法であれば特に限定されない。また、宿主となる植物種も本発明の植物形質転換用ベクターに適合し、形質転換されうるものであれば特に限定されず、本発明の技術分野において通常使用される植物、例えば双子葉植物ではタバコ、アラビドプシス、トマト、キュウリ、ニンジン、ダイズ、バレイショ、テンサイ、カブ、ハクサイ、ナタネ、ワタ、ペチュニアなどが挙げられ、単子葉植物では、イネ、トウモロコシ、コムギなどが挙げられる。
本発明のタンパク質は極めて強力な抗菌活性をもつ。例えばイネのいもち病菌に対しては5ng/mlという非常に低い濃度で胞子の発芽を完全に抑制する(後述の実施例2を参照)。この濃度においては長時間のインキュベーションの後にも胞子の発芽はみられないことから、本発明のタンパク質のいもち病菌に対する効果は、生長の部分的阻害というよりはむしろ、殺菌効果であると考えられる。このような低い濃度(ナノグラムオーダー)で、病原菌の生育を完全に抑止できる抗菌タンパク質は本発明者の知る範囲では現在までに報告されていない。後述の実施例においては、抗菌タンパク質の精製のための抗菌アッセイのための植物病原菌としてイネの最重要病害であるいもち病菌と紋枯病菌を使用したが、同定したホンシメジ抗菌タンパク質が、これら以外の植物病害にも大差ないレベルで抗菌効果を有している可能性は極めて高い。このように本発明のホンシメジ由来の抗菌タンパク質は強い抗菌活性を有していることから、本発明のタンパク質は、抗菌剤や農薬などの薬剤としてそれが活性のある形で含まれるような製剤として利用することができる。この場合、本発明のタンパク質をコードするDNA配列を用いれば、先述のように例えば大腸菌や酵母などで機能する発現ベクターにそのDNAを組み込んで大量に製造することができる。
本発明のタンパクは、上記の如く調製された発現ベクターを含む形質転換細胞を栄養培地で培養することによって発現(生産)することができる。栄養培地は、宿主細胞(形質転換体)の生育に必要な炭素源、無機窒素源もしくは有機窒素源を含んでいることが好ましい。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストラン、可溶性デンプン、ショ糖、メタノールなどが、例示される。無機窒素源もしくは有機窒素源としては、例えばアンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などが例示される。また、所望により他の栄養素(例えば無機塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム)、ビタミン類、抗生物質(例えばテトラサイクリン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)など)を含んでいてもよい。培養は、当業界において知られている方法により行われる。培養条件、例えば温度、培地のpH及び培養時間は、本発明のタンパクが大量に生産されるように適宜選択される。例えば、本発明の実施例4では大腸菌(M15)を宿主細胞として本発明の組換え抗菌タンパク質の発現を行った。限定されるわけではないが、大腸菌での発現の場合、組換えタンパク質発現のための培養条件として、好ましくは4℃ないし40℃の温度で培養し、0.01mMないし5.0mMのIPTGによる誘導を行う。
本発明のタンパクは、上記培養により得られる培養物より以下のようにして取得することができる。すなわち、本発明のタンパクが宿主細胞内に蓄積する場合には、遠心分離やろ過などの操作により宿主細胞を集め、これを適当な緩衝液(例えば濃度が10M〜100mM程度のトリス緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、MES緩衝液などの緩衝液。pHは用いる緩衝液によって異なるが、pH5.0〜9.0の範囲が望ましい)に懸濁した後、用いる宿主細胞に適した方法で細胞を破壊し、遠心分離により宿主細胞の内容物を得る。一方、本発明のタンパクが宿主細胞外に分泌される場合には、遠心分離やろ過などの操作により宿主細胞と培地を分離し、培養ろ液を得る。宿主細胞破壊液、あるいは培養ろ液はそのまま、または硫安沈殿と透析を行なった後に、本発明のタンパク質の精製、単離に供することができる。
精製・単離の方法としては、以下の方法が挙げることができる。即ち、当該タンパクに6×ヒスチジンやGST、マルトース結合タンパクといったタグを付けている場合には、一般に用いられるそれぞれのタグに適したアフィニティークロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。例えば、限定するわけではないが、本明細書で後述する実施例4では、N−末端に6×ヒスチジンのタグを有する組換え抗菌タンパク質を発現させた。当該組換えタンパク質は、6×ヒスチジンに親和性を有するNi−NTAアガロース(Qiagen社)を使用して精製した。一方、そのようなタグを付けずに本発明のタンパクを生産した場合には、例えば後述する実施例に詳しく述べられている方法、即ちイオン交換クロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。また、これに加えてゲルろ過や疎水性クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーなどを組み合わせる方法も挙げることができる。
上記の通り本発明の抗菌タンパク質は、真菌類あるいは細菌が関与する植物の疾患の予防及び治療などに利用することが可能である。即ち、本発明によれば、本発明の抗菌タンパク質を有効成分として含む抗菌剤が提供される。本発明の抗菌剤は通常、植物の全身または局所的に、散布することができる。
散布量は、植物の種類、生育段階、症状、散布方法、処理時間、散布するタンパク質の種類(全長のタンパク質、該タンパク質の一部を置換、欠失、挿入及び/又は付加したクンパク質など)、生育している場所の気候、生育している場所の土壌などにより異なるが、一日一回から複数回散布することができる。散布量は種々の条件により変動する。本発明の抗菌剤の散布に際しては、必要に応じて、溶液剤、懸濁剤、乳濁剤などを混合して散布することも可能である。水性または非水性の溶液剤、懸濁剤としては、一つまたはそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤として混合される。水性の希釈剤としては、例えば蒸留水、食塩水などが挙げられる。非水性の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類などが挙げられる。
このような抗菌組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散別または安定化剤(例えばアルギニン、アスパラギン酸など)などの補助剤を含んでいてもよい。
これらは、必要に応じてバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。これらはまた、例えば凍結乾燥法などによって無菌の固体組成物の形態で製造し、使用前に無菌の蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することもできる。
このようにして得られる抗菌剤の剤形としては、使用する用途に応じて決めればよく、上記のような添加物と混合し、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、液剤、乳剤等の形態により散布することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
実施例
実施例1 アッセイ系の構築
1)検定系の確立
病原菌の培養:イネいもち病菌(菌株TUS−1、レース337;農林水産省東北農業試験場より分譲)はオートミル培地(Difco社製,1%ショ糖添加)上で培養して分生胞子を得た。胞子液は10%グリセロールを加えて、−80℃で保存した。
イネ紋枯病菌(菌株JT872)は1/2ジャガイモ煎汁培地(PD培地:Difco社製)で2日間培養し、5×5mm程度の菌糸塊を3個をテフロンホモジナイザーで1/2PD培地とともに軽く磨砕して得られた断片化菌糸を接種源とした。
上記の接種源を96穴マイクロタイタープレート(コーニング社製)に1ウェル当たりいもち病菌分生胞子は約1,000個、紋枯病菌は断片化菌糸は約300個になる様に100μlの1/2PD培地とともに加え、28℃の恒温器で培養した。菌の増殖はマイクロプレートリーダー(Bio−Rad社製Benchmark)で595nmの吸光度を測定した。
塩、緩衝液の影響:菌の増殖に対する塩や緩衝液の影響を、培地にNaClやリン酸緩衝液、Tris緩衝液、Hepes緩衝液、牛血清アルブミン、ジチオスレイトールなどを一定量加えて判定した。
2)ホンシメジからのタンパク質抽出
ホンシメジ(日本産。滋賀県森林センターより入手)10gをあらかじめハサミで細かく切断後、液体窒素を用いて凍結して乳鉢で細粉となるまで磨砕し、30mlの50mM Hepes緩衝液を加えて30分間抽出を行った。抽出液はミラクロスでろ過後、10,000×g、20分間の遠心を行った上清に硫安を75%飽和になるように加えて、一晩4℃で静置した。再度、15,000×g、20分間の遠心で沈殿させて、沈殿物を3mlの10mM Hepes緩衝液, pH7.5に溶解し、透析チューブ(Spectra/Por1 MWCO 6−8000, Spectrum Medical Industries社製)またはベンゾイル化透析チューブ(SIGMA社製)を用いて10mM Hepes緩衝液、pH7.5に対して透析を行って、不溶物を遠心によって除去してホンシメジタンパク質試料とした。ホンシメジタンパク質試料のタンパク質濃度は牛血清アルブミン(BSA)を標準タンパク質としてBradford法で測定した。
実施例2 抗菌タンパクの精製
1)ホンシメジ粗タンパク試料の抗菌活性
いもち病菌、紋枯病菌の培養系に培養開始直後にホンシメジの粗タンパク質抽出液試料を一定量加えて、2日間まで培養して、吸光度変化を経時的に測定して抗菌性の有無について判定した。タンパク試料は希釈系列を作成し、抗菌性に対する希釈限界点を検出した。その結果、いもち・紋枯の両病原菌に対する高い抗菌活性が見いだされた(表1)。
Figure 0004516258
いもち病菌に対する完全生長阻害濃度は、30μg全抽出タンパク/ml以下と概算され、このことから、ホンシメジの抽出物の中には高い抗菌活性をもつ物質が含まれていることが明らかとなった。このタンパク抽出液の菌に対する生長阻害の様式は、濃度の高い場合は発芽の完全抑制、低い場合は菌糸の生長阻害が観察された。菌糸の伸長阻害程度は、明らかに濃度依存的であった。また、いもち病菌の細胞は、その細胞質が細胞壁から離れ、原形質分離様の様相を呈した。
2)イオン交換カラムによる精製
次に抗菌タンパク質の精製を行った。ホンシメジ70gを液体窒素中で粉砕し、200mlの緩衝液(50mM MES,50mM NaCl,pH6.0)中で30分間タンパクを抽出した。二重のミラクロスで濾過した後、15000×gで20分間遠心し、不純物を沈殿させた。上清を濾紙でさらに濾過し、タンパク試料とした。タンパク試料約200mlを、イオン交換体Q−SepharoseFF(Pharmacia社製)を充填したカラム(内径1.1cm×20cm)にかけた。流速は2.5ml/分とし、基本緩衝液は50mM Mes pH6.0, 50mM NaCl、溶出緩衝液は50mM Mes pH6.0, 1M NaClを用い、グラジェント(NaClで50mMから1M)は、試料を打った100分後から120分間かけた。この後さらに溶出緩衝液を40分間流した。画分の回収は、グラジェント開始から40分ごとに4回行った(100 ml/画分)。これら4種の画分(I,II,III,IV)の希釈系列を作製して、イネいもち病菌に対する抗菌アッセイを行った。その結果、画分II〜IVに抗菌活性が認められた。これらの画分によって病原菌細胞には原形質分離が生じた。最も活性の高かった画分II(0〜333mM NaClに相当)をセントリプレップ10(Amicon社製、MWCO10,000)で濃縮し、イオン交換カラムMonoQHR5/5(Pharmacia社製)にかけ、抗菌タンパクを部分精製した。流速は1ml/分とし、基本緩衝液は50mM Mes pH6.0, 50mM NaCl、溶出緩衝液は50mM Mes pH6.0, 1M NaClを用い、グラジェント(NaClで50mMから1M)は、試料を打った20分後から40分間かけた。各画分(1ml)の一部をいもち病菌に対する抗菌アッセイと、SDS−PAGE電気泳動に供試した。まず、HPLCのチャートと抗菌性の強さとの関係を図1に示した。抗菌性はMonoQの各画分から5、1、0.2μlをとり、いもち病菌に対するアッセイを行い、+++(0.2μlまで阻害)、++(1μlまで阻害)、+(5μlまで阻害)、−(5μlでも阻害しない)の4段階で表示した。その結果、A280と、いもち菌に対する抗菌活性によりタンパクをモニターすると、pH6.0においてイオン強度(NaCl濃度)が250mM付近に抗菌タンパクの溶出ピークが現れた。その後、イオン強度が高くなるにつれ、単位溶出液あたりのタンパク質の抗菌性は徐々に減少することが明らかとなった。
次に各画分から10μlをとり、等量の2×SDS泳動用緩衝液(Sambrook et al.1989)を加え、95℃で5分間処理した後、Laemmli(1970)の方法に従い、SDS−PAGE電気泳動を行った。ゲルは15%のPAGEL(ATTO社製)を用い、銀染色IIキットワコー(和光純薬社製)によりタンパク質を検出した。タンパクのおよその分子量と量を見積もるため、分子量マーカー(LMW:Pharmacia LKB社製、分子量の大きい順に94kDa、67kDa、43kDa、30kDa、20.1kDa、14.4kDa)を1本のバンドが20ngとなるように泳動した。電気泳動像と抗菌性の強さの関係を図2に示した。各レーンの上に表示した数字は、図1の画分の番号と同じもので、抗菌性の強さも図1に準じて表示した。抗菌性とリンクすると考えられるタンパクのバンドを精査すると、約70kDaと、約65kDaの2つのバンドが候補として挙げられた(図2矢印)。これら2種のバンドの濃度と抗菌活性の度合いは正の相関関係にあるので、これらのバンドが抗菌タンパク質本体である可能性が強く示唆された。このうち、特に65kDaタンパクは、Q−Sepharoseによる分画においても、MonoQによる分画においても、タンパクのバンドの濃度と、抗菌活性の強さとが非常によくリンクしていた。分子量マーカー(67kDaのアルブミン)から、デンシトメーターにより抗菌タンパクの量を推定し、いもち病菌に対する完全生長阻害濃度を算出すると、およそ5ng/mlとなった。
3)抗菌性タンパク質のN末アミノ酸配列の解読
上記のmonoQの画分番号36〜44をセントリカットV−20(クラボウ社製)で濃縮し、SDS−PAGE電気泳動した。トリスを除去し、グリシンを含まない緩衝液系でPVDF膜(ミリポア社製)へ転写し、クマシーブリリアントブルーR−250で軽く染色した後、脱色した。その後、抗菌性タンパク質であると考えられた70kDaと、65kDaのタンパクバンドを切り出した。N末端アミノ酸配列は、気相プロテインシークエンサー(HPG1005A Protein Sequencing System)を用いて、エドマン分解法により決定した。
その結果、65kDaタンパクからは次のような30アミノ酸
N末端−NAEEGTAVPYVPGYHKKNEIEFQKDIDRFV−C末端(配列番号3)
が決定された。
一方、70kDaタンパクは解読が不可能であった。この原因として、N末端がブロックされていることが考えられた。そこで、リシルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼを用いて、70kDaタンパク質を部分消化し、43kDaリシルエンドペプチダーゼ消化物、45kDaV8プロテアーゼ消化物を得た。これらの部分消化タンパク質のアミノ酸配列を再解析した結果、前者から24残基N末端−EFDESIRHTLVLRSLQDAYKDRQR−C末端(配列番号4)
後者から29残基
N末端−AERLIGTSTKEFDESIRHTLVLRSLQDAY−C末端(配列番号5)
が決定された。両アミノ酸配列は大部分が重複していたので、部分分解による内部アミノ酸配列は、全体で34残基
N末端−AERLIGTSTKEFDESIRHTLVLRSLQDAYKDRQR−C末端(配列番号6)
が決定されたことになる。決定されたアミノ酸配列に関して、データベースサーチを行ったところ、65kDaタンパクからの30アミノ酸、70kDaタンパクからの34アミノ酸は、ともにカワラタケのピラノースオキシダーゼと相同性を示した。そこで、MonoQの各画分のピラノースオキシダーゼ活性を測定した。測定法は、Nishimura et al(1996)の方法に準じた。その結果、ピラノースオキシダーゼ活性の高さと、抗菌活性の強さはよく一致した。従って、抗菌性は、培地中のグルコースが本酵素によって酸化される際に生じる過酸化水素に由来すると推定された。次に、65kDaと70kDaの両タンパク質のみを含む画分(図2 番号42〜44)を濃縮し、ピラノースオキシダーゼの諸性質を解析した。その結果、ホンシメジ由来抗菌タンパク質のピラノースオキシダーゼ活性は非常に高く、グルコースや、1,5−アンヒドログルシトールに対するKm値も低いことが明らかとなった(表2)。
Figure 0004516258
* 1U=1μmole H/分 pH7.0中、37℃
酵素タンパク量(65kDa+70kDa)は、SDS−PAGE銀染色により定量した。
実施例3 cDNAの単離
1)縮重プライマーの設計
1)で決定されたアミノ酸配列を基に、考えられる全ての塩基がミックスされたプライマーを合成した(Tmは52〜56℃、括弧内の数字は縮重度を示す)。具体的には、65kDaタンパク由来のアミノ酸配列(30残基)から以下の3種のプライマーを合成した。
65R1(5’−gargarggiacigcigticc−3’(4))(配列番号7)
65R2(5’−garttycaraargayathgaymg−3’(384))(配列番号8)
65R3(5’−ttygtiaaygtiathtgyggigc−3’(24))(配列番号9)
一方、70kDaタンパクの部分分解物由来のアミノ酸配列(34残基)からも、以下の3種のプライマーを合成した。
70F1(5’−tgickdatiswytcrtcraaytc−3’(384))(配列番号10)
70F2(5’−tgickrtcyttrtaigcrtcytg−3’(64))(配列番号11)
70F3(5’−ggigcraadatickytgickrtc−3’(96))(配列番号12)
上記プライマー中、rはaまたはgを、yはcまたはtを、hはaまたはcまたはtを、mはaまたはcを、kはgまたはtを、dはaまたはgまたはtを、sはgまたはcを、wはaまたはtを、iはイノシンをそれぞれ示す。
2)ホンシメジ子実体cDNAライブラリーの構築
ホンシメジ子実体からSDSフェノール法で全核酸を抽出し、塩化リチウム沈殿により全RNAを回収した。これからmRNA purification kit(Pharmacia社製)によりホンシメジmRNAを調製した。子実体約10gから20μgのmRNAが得られた。このうち5μgをZAP cDNA synthesis kit(Stratagene社製)に供試し、cDNAを合成した。ゲル濾過カラムにより1〜5kbのcDNAを分画し、Uni−ZAP XRベクター(Stratagene社製)にライゲーションし、Gigapack III(Stratagene社製)によりパッケージングを行った。全ての手順はキット添付の説明書に従った。構築したホンシメジcDNAライブラリーのタイターは、およそ300万pfuと算出された。
3)RT−PCRによるプローブの取得
1)で合成したプライマーを用いて2)で合成したcDNAを鋳型にPCRを行い、ライブラリーをスクリーニングするためのプローブとなるホンシメジタンパクの部分長cDNAの増幅を試みた。反応条件は以下のように行った。50μlの反応液中に、cDNA 100ng,10×Ex taq buffer 5μl,dNTPs 4μl,primer 10pmoles/each kind of sequence,Ex taq(Takara社製)+Taq START antibody(Clontech社製)1μlをそれぞれ含み、プログラムテンプコントロールシステムPC−700(ASTEK社)を用いて、94℃ 3分を1回、94℃ 1分、50℃ 1分、72℃ 1分を35回、72℃ 6分を1回行った。その結果、65R1−70F1、65R1−70F2、65R2−70F1、65R2−70F2、65R2−70F3、65R3−70F1のプライマー組み合わせにおいて約0.4〜0.5kbの産物が増幅された。これらのうち増幅効率のより高かった65R2−70F1の組み合わせによる約0.4kbの断片をゲル精製し、ベクターpCRII(Invitrogen社製)にクローニングし、塩基配列を決定した。この塩基配列から推定されるアミノ酸配列は、23)で決定されたアミノ酸配列の一部と同一の配列を含み、しかも配列全体に渡ってカワラタケのピラノースオキシダーゼと緩い相同性を示した。このことから、精製した70kDaと65kDaの抗菌タンパク質は、一つの遺伝子にコードされ、RT−PCRにより得られたcDNAクローンはホンシメジ抗菌タンパク質の部分長cDNAであることが確認された。
4)完全長cDNAのスクリーニング
3)で得られたクローンをベクターから切り出し、これをプローブに用いて2)で構築したホンシメジcDNAライブラリーをスクリーニングした。14×10 cmの角形シャーレにZAP cDNA synthesis kit(Stratagene社製)の説明書に従って、約15000pfuのファージを宿主菌XL1−blue MRF’とともにプレーティングした。プラークをHybond−N+ナイロンメンブレンフィルター(Amersham社製)に接触させ、メンブレン添付の説明書きに従ってアルカリ処理を行い、DNAを変性させ、メンブレン上に固定させた。ハイブリダイゼーション、および洗浄の条件は、メンブレンに添付の説明書きに従って高いストリンジェンシー下で行った。1次スクリーニングで約120,000pfuのファージから20個のポジティブクローンが得られた。これらのクローンに関して、2次スクリーニング、プラークの精製を兼ねた3次スクリーニングを行い、20個全てについてZAP cDNA synthesis kit(Stratagene社製)の説明書きに従って、in vivo excisionを行った。その結果、18個のクローンが、ファージミドベクターpBluescript SKに組み込まれたcDNAとして回収された。これらのクローンの長さは1.7〜2.1kbであり、制限酵素分析から非常によく似た遺伝子由来であることが示唆された。
5)塩基配列の決定
上記の18個のcDNAクローンについて、5’および3’側の塩基配列およそ500bpを決定した。得られた塩基配列データをGenetyx ver.9.0解析ソフト(Software Development社製)を用いて解析した。その結果、ポリA付加部位にはクローン間で差異があるものの、全てのクローンが23)で決定した65kDaタンパクの30アミノ酸をコードするDNA配列を含んでいた。番号13(2.1kb)のcDNAクローンが最長であったので、このクローンの全塩基配列を決定した。プライマーウォーキング法により、ABI PRISM蛍光シークエンサー(Mode1310 Genetic Analyzer,Perkin Elmer社製)を用いて塩基配列を決定した。その結果、ホンシメジ抗菌タンパクをコードするcDNAは全長2106塩基対からなり、1854塩基対のオープンリーディングフレームを含み、618個のアミノ酸をコードしていた(配列番号1および2)。アミノ酸配列から推定される分子量は約68487、等電点は6.12と算出された。精製タンパクから決定されたアミノ酸配列は、65kDa由来30アミノ酸が、配列表配列番号2のアミノ酸番号76〜105に、70kDa由来34アミノ酸が、同211〜244にそれぞれ対応した。これは65kDaと70kDaタンパクが同じ一つの遺伝子にコードされていることを意味する。さらに推定糖鎖付加部位が7カ所(配列表配列番号2のアミノ酸番号154、319、360、412、558、573、583)存在していた。
以上の結果から、クローニングしたcDNAはホンシメジ抗菌タンパクをコードする遺伝子に由来すると結論された。本発明のホンシメジ由来抗菌タンパク質のアミノ酸配列について、データベース(DDBJ)上で相同性検索(BLAST)を実施したところ、カワラタケのピラノースオキシダーゼのアミノ酸配列と全体で45%の同一性を有していた。これ以外で有意に相同性のある配列は存在していないことから、本遺伝子は新規なピラノースオキシダーゼ様タンパク質をコードする遺伝子であると考えられる。
実施例4.大腸菌内発現と組換えタンパク質の精製
1)発現ベクターの構築
実施例3の5)で単離した13番のcDNAクローンには、翻訳終止コドンの約0.06kb下流に唯一のEcoT22I制限部位が、また翻訳終止コドンの約0.25kb上流に唯一のBamHI制限部位が存在する。またこのcDNAの5’側のベクター上のマルチクローニングサイトには、BamHIが存在する。そこで、まずこのcDNAが組みこまれたプラスミド(ベクターはpBluescript)を制限酵素EcoT22I(Takara社製)で完全消化し、その後BamHI(Takara社製)で部分消化した。その結果生じた約2kbのBamHI(ベクター上のBamHI)−EcoT22I断片を、予め制限酵素BamHI、PstIで二重消化した大腸菌用発現ベクターpQE30(Qiagen社製)へ組みこんだ(pQEHSPOfullと命名)。完成した構築物は、本発明のホンシメジピラノースオキシダーゼ様タンパクをコードする完全長cDNAの最長オープンリーディングフレーム(ORF)を含み(配列表の配列番号1の第8番目から第1864番目の塩基配列を含む。これは配列表の配列番号2の全アミノ酸配列をコードする)、発現タンパク質のN末端にはタグとして6個のヒスチジン残基が付加される。
2)大腸菌内発現
宿主大腸菌M15株を用いて発現実験を行った。菌の培養方法、IPTG(Isopropyl β−D−Thiogalactopyranoside)によるタンパク発現誘導方法はQiagen社の説明書に従った。抗生物質アンピシリン、カナマイシンを含むLB培地中でOD600=0.5程度になるまで菌を前培養し、その後同じ培地中で各種温度、各種IPTG濃度にて一定時間培養し発現誘導を行った。菌体からQiagen社の説明書に従って可溶性タンパク質を抽出し、そのうちの一定量をNishimura et al. (1996)の方法に従ってピラノースオキシダーゼ活性を測定した。組換えタンパク質の発現結果を表3にまとめた。
Figure 0004516258
まず最初に通常の誘導条件である培養温度37℃、IPTG濃度2mMで誘導を試みたが、不溶性封入体は大量に発現したものの、可溶性画分のピラノースオキシダーゼ活性が検出されなかった。そこで種々の条件で発現誘導を行い、可溶性画分のピラノースオキシダーゼ活性を測定した。その結果、誘導条件を緩くするににつれ、即ち培養温度やIPTG濃度を下げていくにつれピラノースオキシダーゼ活性が上昇した。これは誘導条件の緩和により、可溶性組換えタンパク質含量が増加したためと考えられた。一方、対照としたpQE30(ベクターのみ)では活性は全く検出されなかった。以上の結果からクローニングしたcDNAは確かに活性のあるピラノースオキシダーゼ様タンパク質をコードしていることが明らかとなった。なお、培養温度25℃、IPTG濃度0.5mMでは5時間の培養に比べ、21時間での培養は活性が下がった。これはおそらく発現タンパク質が分解されていることを示唆している。
次に発現タンパク質の精製を試みた。培養温度16℃、IPTG濃度0.1mMで発現誘導した菌体由来の可溶性タンパク質画分から、Ni−NTAアガロース(Qiagen社製)を用いて組換えピラノースオキシダーゼ様タンパク質の精製を行った。Qiagen社の説明書に従って、タンパク質の吸着、洗浄、溶出を行ったところ、溶出画分にのみピラノースオキシダーゼ活性が検出された。従って、組換えタンパク質のN末端は大腸菌内で分解されておらず、ヒスチジン残基がN末に結合していること、それを利用して組換えタンパク質をNi−NTAアガロースによって容易に精製出来ること、またクローニングした完全長cDNAの全コード領域は、そのままで(タンパクのN末端側に相当する部分を除去しなくても)活性のあるタンパク質をコードしていることが明らかとなった。組換えタンパク質の収量は大腸菌培養液11当たり数mgと推定された。
効果
本発明の配列表の配列番号2の配列または、このうち第1番目から第75番目の配列を除いた全配列を含むことを特徴とするタンパク質成分を有効成分として含む製剤を作出すれば、強力な抗菌剤としての利用が期待できる。また、上記タンパク質成分を有効成分として含む試薬を作出すれば、血糖など、糖の測定に利用することが出来る。本発明の配列表の配列番号1のDNA配列のうち、第8番目から第1864番目の配列であることを特徴とするDNA配列、または第233番目から第1864番目の配列であることを特徴とするDNA配列を、植物細胞の中で機能しうる適当な構成的、器官・時期特異的、あるいはストレスや病害虫で誘導されるプロモーター配列と、植物細胞で機能しうるターミネター配列の発現カセットに組み込み、植物細胞に導入、再生個体を得ることにより、病害虫抵抗性植物を作出できることが期待される。あるいはまた、上記のDNA配列を大腸菌や酵母あるいは昆虫やある種の動物細胞に、それぞれの宿主で増幅可能な発現ベクターを用いて導入、発現させることにより、当該タンパクを大量に安価に得ることができる。
【配列表】
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258
Figure 0004516258

【図面の簡単な説明】
図1は、MonoQカラムによるホンシメジタンパク質の分離のチャートと抗菌性との関係を示す。
図2は、MonoQカラムによるホンシメジ抗菌タンパク質の分離の電気泳動像と抗菌性との関係を示す。レーン上の番号は図1の画分番号に一致し、Mは分子量マーカーを示す。またレーン下の記号(−、+、++、+++)は抗菌活性の強さを示す。抗菌タンパク(70kDaと65kDa)を矢印で示した。

Claims (17)

  1. 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列、あるいはこの配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、イネ紋枯病菌またはイネいもち病菌に対する抗菌活性を示す抗菌タンパク質。
  2. 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する請求項1に記載の抗菌タンパク質。
  3. 配列表の配列番号2の部分アミノ酸配列76−618からなるポリペプチド、並びに上記アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドであってイネ紋枯病菌またはイネいもち病菌に対する抗菌活性を示す当該ポリペプチド、の単独又は何れかのポリペプチドの組み合せから成る抗菌タンパク質。
  4. ホンシメジの水性抽出液から硫安75%飽和を使用する硫酸沈殿法で沈殿する画分を回収する工程;および
    上記画分をイオン交換クロマトグラフィーにかけNaCl濃度0.05Mから1Mの濃度で溶出する画分を回収する工程;
    を含む、請求項1または3に記載の抗菌タンパク質の製造方法。
  5. 請求項1または3に記載の抗菌タンパク質をコードする遺伝子。
  6. 配列表の配列番号1に記載の塩基配列、または上記塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する請求項5に記載の遺伝子。
  7. 配列表の配列番号1に記載の塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項5に記載の遺伝子。
  8. 配列表の配列番号1に記載の塩基配列と95%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項5に記載の遺伝子。
  9. ホンシメジ由来の抗菌タンパク質をコードする遺伝子を得るためのオリゴヌクレオチドの対であって、
    配列表の配列番号1に示す抗菌タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列から以下の条件を満たすように2つの領域を選択し:
    1)各領域の長さが15−30塩基であること;
    2)各領域中のG+Cの割合が40−60%であること;
    上記領域と同じ塩基配列若しくは上記領域に相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを製造し、または、上記一本鎖DNAによってコードされるアミノ酸残基を変化させないように遺伝子暗号の縮重を考慮した一本鎖DNAの混合物を製造する
    ことを含む方法により製造された当該オリゴヌクレオチドの
  10. 配列表の配列番号7ないし9から選択されるヌクレオチド配列を有する1種のオリゴヌクレオチド、並びに、配列番号10ないし12から選択されるヌクレオチド配列を有する1種のオリゴヌクレオチド、からなる、請求項9に記載のオリゴヌクレオチドの対
  11. 請求項9に記載のオリゴヌクレオチドの対を用いて、ホンシメジ子実体cDNAライブラリーを鋳型にして核酸増幅反応を行い請求項1に記載の抗菌タンパク質をコードする遺伝子の一部を増幅し、得られた増幅産物をプローブとして使用して上記cDNAライブラリーをスクリーニングして完全長cDNAクローンを単離することを含む、請求項5に記載の遺伝子の単離方法。
  12. 請求項5に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  13. ベクターが発現ベクターである請求項12に記載の組換えベクター。
  14. 宿主生物に請求項12に記載の組換えベクターを導入して得られる形質転換体。
  15. 請求項1の形質転換体を抗菌タンパク質の発現を促進する条件下で培養することを含む、請求項1または3に記載の抗菌タンパク質の製造方法。
  16. 請求項15に記載の方法によって得られた組換え抗菌タンパク質。
  17. 請求項1または3に記載の抗菌タンパク質を有効成分として含む抗菌剤。
JP2001525230A 1999-09-21 2000-09-20 新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法 Expired - Fee Related JP4516258B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26723899 1999-09-21
PCT/JP2000/006404 WO2001021657A1 (fr) 1999-09-21 2000-09-20 Nouvelle proteine, gene la codant et son procede d'utilisation

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP4516258B2 true JP4516258B2 (ja) 2010-08-04

Family

ID=17442065

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001525230A Expired - Fee Related JP4516258B2 (ja) 1999-09-21 2000-09-20 新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法

Country Status (10)

Country Link
US (2) US6881720B1 (ja)
EP (1) EP1132400B1 (ja)
JP (1) JP4516258B2 (ja)
KR (1) KR100824107B1 (ja)
CN (1) CN100406469C (ja)
AT (1) ATE414713T1 (ja)
AU (1) AU780720B2 (ja)
CA (1) CA2351894C (ja)
DE (1) DE60040835D1 (ja)
WO (1) WO2001021657A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002325519A (ja) 2000-09-07 2002-11-12 Japan Tobacco Inc 病害抵抗性植物及びその作出方法
PT1369476E (pt) * 2001-03-12 2010-08-25 Japan Tobacco Inc Nova proteína, gene que a codifica e método de utilização da mesma
US20100035044A1 (en) * 2006-12-29 2010-02-11 Bai Feng Article comprising an adhesion promoter coating
CN108893475A (zh) * 2018-07-18 2018-11-27 四川农业大学 烟草14-3-3蛋白、编码基因及其在烟草低钾反应中的应用

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08205861A (ja) * 1994-12-07 1996-08-13 Kikkoman Corp 新規なピラノース・オキシダーゼ、ピラノース・オキシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体dna及びピラノース・オキシダーゼの製造法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2836749B2 (ja) * 1989-05-09 1998-12-14 株式会社リコー 液体噴射記録ヘッド
JP2767521B2 (ja) * 1992-09-04 1998-06-18 農林水産省食品総合研究所長 新規抗腫瘍性蛋白質とその製造法および該蛋白質を有効成分として含有する抗腫瘍剤
CA2147122A1 (en) 1992-11-12 1994-05-26 Willem Frans Broekaert Biocidal chitin binding proteins
AU677407B2 (en) 1993-08-04 1997-04-24 Zeneca Limited Antimicrobial proteins
US5496547A (en) * 1994-01-24 1996-03-05 Ciba-Geigy Corporation Pseudomonas biocontrol strains
JP4041913B2 (ja) * 1997-02-13 2008-02-06 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 抗腫瘍タンパク質およびその遺伝子
US6291648B1 (en) * 1997-02-13 2001-09-18 Nat Food Res Antitumor protein and corresponding gene sequence isolated from matsutake mushrooms
DE69841894D1 (de) * 1997-11-21 2010-10-21 Merck Serono Biodevelopment Sa Äusseres Membranpolypeptid von Chlamydia pneumoniae sowie Fragmente davon und deren Verwendung, insbesondere zur Diagnose, Prävention und Behandlung einer Infektion
JPH11267238A (ja) * 1998-03-19 1999-10-05 Toshiba Corp 扉の開放方向切替装置

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08205861A (ja) * 1994-12-07 1996-08-13 Kikkoman Corp 新規なピラノース・オキシダーゼ、ピラノース・オキシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体dna及びピラノース・オキシダーゼの製造法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010003521, J.Biotechnol.,Vol.52(1996)p.11−20 *

Also Published As

Publication number Publication date
US6881720B1 (en) 2005-04-19
AU780720B2 (en) 2005-04-14
DE60040835D1 (de) 2009-01-02
KR20010089478A (ko) 2001-10-06
WO2001021657A1 (fr) 2001-03-29
ATE414713T1 (de) 2008-12-15
AU7317000A (en) 2001-04-24
CA2351894C (en) 2011-04-19
EP1132400A4 (en) 2005-07-27
CN100406469C (zh) 2008-07-30
KR100824107B1 (ko) 2008-04-21
CN1335855A (zh) 2002-02-13
CA2351894A1 (en) 2001-03-29
EP1132400A1 (en) 2001-09-12
US20050288224A1 (en) 2005-12-29
US7232673B2 (en) 2007-06-19
EP1132400B1 (en) 2008-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4758448B2 (ja) 新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法
Hardham et al. Phytophthora cinnamomi
Vallelian-Bindschedler et al. Structure, expression and localization of a germin-like protein in barley (Hordeum vulgare L.) that is insolubilized in stressed leaves
Sooriyaarachchi et al. Expression and β-glucan binding properties of Scots pine (Pinus sylvestris L.) antimicrobial protein (Sp-AMP)
US8227573B2 (en) Utility of phylloplanins as antibiotics, selective fungicides and for enhancing microbial resistance in plants
US7232673B2 (en) Antimicrobial protein from Lyophyllum shimeji
US20090281038A1 (en) Phylloplanins Inhibition of Microbial Growth on Organic Materials
JP2000175698A (ja) ピラノースオキシダーゼを含有するピラノース測定用試薬
Zhang et al. Cloning, characterization, and expression of the gene encoding polygalacturonase-inhibiting proteins from strawberry
AU2007219286B2 (en) Novel protein, gene encoding the same and method of using the same
JP2000083675A (ja) 新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法
MXPA04012451A (es) Cepas mejoradas de trichoderma como agentes de biocontrol, metodos para su obtencion y su uso para el control de enfermedades causadas por hongos fitopatogenos.
AU2007203494A1 (en) Novel protein, gene encoding the same and method of using the same
JP2015139382A (ja) カビ毒低減機能を有する植物の作製方法およびその利用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100415

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100514

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees