JP4516162B2 - 排気消音装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械、その他の機械に使用される内燃機関の排気消音装置に関する。
【0002】
【背景技術】
建設機械などで使用される内燃機関では、燃焼室からの排気音を低減させるためにマフラと称される排気消音装置が排気管に接続されている。
この排気消音装置は、従来より、種々の構造のものが存在するが、建設機械用内燃機関で使用される排気消音装置の従来例として、排気ガスの収縮と拡大とを繰り返して消音するものや、主に、排気ガスを共鳴させ消音するものがある。
【0003】
排気ガスの収縮拡大を繰り返して消音する従来例が図7に示されている。
図7において、従来の排気消音装置50は、ドラム状本体51の内部を4つの室51A〜51Dに区切る3枚の取付板52A〜52Cが軸方向に並んで配置され、これらの取付板52A〜52Cに連通管53が本体51と同芯上に支持され、最上流の室51Aに臨むように導入管54の一端部と中間部とが本体51に固定され、最下流の室51Dに臨むように排出管55の一端部と中間部とが本体51に固定された構造である。
【0004】
取付板52A〜52Cのうち連通管53の両端側を支持する取付板52A,52Cには、それぞれ隣合う室を連通する大きな開口部52Dが形成されている。
連通管53は、第1の室51Aと第4の室61Dに臨む両端部53Aが閉塞されるとともに、周面に多数の連通孔53Bが形成されている。
導入管54は、その一端部54Aが閉塞されるとともに、その周面に複数の連通孔54Bが形成されている。排出管55は、周面に複数の連通孔55Bが形成されるとともに、他端部が大気に開口している。
【0005】
排気管から送られてきた排気ガスは、導入管54の連通孔54Bで径方向に整流されて第1の室51Aに送られ、第1の室51Aから開口部52Dを通って第2の室52Bに送られることで消音される。その後、排気ガスは、連通孔53Aを通って収縮して連通管53の内部に流入し、さらに、軸方向に角度を変更して流通し、連通孔53Aを通って第3の室52Cに拡大して送られる。さらに、排気ガスは、第3の室53Cから開口部54Dを通って第4の室54Cに送られ、連通孔55Bを通って排出管55に流入された後、大気に放出される。
【0006】
共鳴室を有する排気消音装置の従来例は、ドラム状の本体内部を仕切板で複数の室に区切るとともに、複数の室の一部を排気音を消すための共鳴室とする。
この共鳴室は、周面に共鳴室と開口した連通孔を多数形成した連通管が設けられ、この連通管の両端が上流側と下流側とにそれぞれ隣り合う室と開口されれた構造である。
上流側の室から送られた排気ガスは、その主要部分が連通管を通って下流側の室に送られ、残りが連通孔を通って共鳴室に送られる。共鳴室では排気ガスが反射などしてエネルギーが減衰した後、連通管の内部に戻されて下流側の室に向けて流れる排気ガスと合流する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図7で示される従来の排気消音装置では、隣り合う室を区切る取付板52A,52Cには、排気ガスを絞るための開口部52Dが形成されているが、この開口部52Aの開口面積が大きいので、十分な消音効果が得られない。
つまり、従来例では、消音室は、見かけ上、第1の室51Aから第4の室51Dの4室あるが、2枚の取付板52A,52Cの開口部52Dの開口面積が大きいので、消音室は、実質的に、真ん中の取付板52Bを境に上流側の室と下流側の室との2室となる。2室のみの消音室では、騒音低減効果が少ない。
【0008】
また、共鳴室を有する従来例では、共鳴室で消音されるのは、排気音のうちある範囲の周波数のみであり、排気音全域の騒音対策には効果がない。
また、共鳴室は内燃機関の機種毎に調整(チューニング)を行わなければならず、設計が煩雑となり、汎用性がない。
その上、共鳴室を設ける場合には、排気消音装置に大きなスペースが必要とされるので、装置自体が大型化される。
【0009】
本発明の目的は、排気音を十分に消すことができる排気消音装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本件出願人は消音対策の基本原理を十分検討し、合理的な設計をしたものであって、本発明の排気消音装置は、次の構成を備えることによって、上記目的を達成しようとするものである。請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気管に接続される排気消音装置であって、少なくとも3室以上の複数の消音室を有し、これらの消音室のうち最上流の消音室に、前記内燃機関の排気ガスを直接流入させる排気ガス導入口を設けるとともに、最下流の消音室に排気ガスを流出させる排気ガス流出口を設け、かつ、前記最上流の消音室を含む複数の消音室の室間を連通させる連通管を設け、この連通管の両端に隔壁を設けるとともに、連通させようとする室に対応した外周の所定位置に多数の連通孔を設け、前記最上流の消音室に開口している連通孔の全開口面積が下流の消音室であって前記最上流の消音室に隣接した消音室に開口している連通孔の全開口面積より小さく、かつ、前記最上流の消音室に開口している連通孔の全開口面積は前記連通管の断面積より小さく、前記消音室は前記最上流に位置する第1消音室と、前記最下流に位置する第3の消音室と、前記第1の消音室と前記第3の消音室との間に配置された第2の消音室とから構成され、複数の消音室に開口される多数の連通孔が外周に形成されるとともに端部に隔壁が設けられた管を1本あるいは2本備え、前記1本の管の一部あるいは2本の管のうち1本が前記連通管であり、前記連通管に形成される多数の連通孔のうち一部が前記第1の消音室に開口され、残りが前記第2の消音室に開口され、前記第2の消音室に開口する連通孔の全開口面積は前記連通管の断面積より大きいことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、内燃機関で発生する排気ガスは、まず、排気ガス導入口に直接流入されて最上流の消音室に送り込まれて拡大され、排気音が減衰される。最上流の消音室を含む3室以上の複数の消音室の所定の空間は連通管で連通され、この連通管は、両端に隔壁が設けられ外周に多数の連通孔が設けられているので、最上流の消音室に送り込まれた排気ガスは連通孔で絞られた状態で径方向から管内部に送り込まれ、その後、管内部を軸方向に移動し、さらに連通孔で絞られた後拡大して次の消音室に送られる。さらに、この消音室から次の消音室、最終的には、最下流側の消音室に排気ガスが連通管を通じて送り込まれ、排気ガス流出口から外部に放出される。
下流側の消音室に排気ガスが送り込まれる際に、排気ガスは連通管の連通孔によって絞りと拡大とが繰り返されて圧力が損失され、かつ、軸方向と径方向とに流れを変化させることでエネルギーが減衰され、十分な消音効果が得られる。
【0012】
しかも、請求項1に記載の排気消音装置において、前記最上流の消音室に開口している連通孔の全開口面積が下流の消音室に開口している連通孔のそれぞれの全開口面積より小さいから、小さな開口面積から入って大きな開口面積から出ることになるので、排気ガスが実質的に膨張されることになり、排気音の低減効果が大きいとともに、上流側で発生した気流音が下流側にまで残らない。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の排気消音装置において、前記複数の消音室のうち最上流の室の容積または最小開口面積をもつ連通管の直後に連通孔が開口している室の容積を最も大きくしたことを特徴とする。
この発明によれば、最上流の室または最小開口面積をもつ連通管の直後に連通孔が開口している室の消音室が十分な容積を有するので、この消音室に送られる排気ガスが急激に拡大することになり、より、排気音を効果的に低減できる。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の排気消音装置において、前記連通管の両端の隔壁は、小孔の形成などにより一部軸方向に排気ガスの流入・流出を許容して準密閉構造にされていることを特徴とする。
すなわち、連通管の両端の隔壁は完全に密閉されているものに限らず、連通管外周の連通孔からの排気ガスの流入・流出が実質的に行えれば、隔壁に小孔などの連通部が形成されているものでもよい。
この発明によれば、隔壁に設けられた小孔などを連通孔の補助として使用することができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の排気消音装置において、前記連通管の断面積は、上流側より下流側の方が大きいことを特徴とする。
下流側に向かって断面積が大きくなると、下流に行くに従って連通管内の排気ガスの流速が減速され、または、連通管内の排気ガスが膨張し、連通管内で発生する気流音を低減することができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の排気消音装置において、前記連通管は、全体を1本の連続した連通管により形成されるとともに、前記最上流の消音室と最下流の消音室以外の各消音室の中間位置に連通管内閉め切り用隔壁を形成されたことを特徴とする。
この発明によれば、同一の消音室に複数の連通管を径方向に並べて配置することがないので、排気消音装置を小型化することができる。また、構造が単純化されることで、装置を安価に提供することができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の排気消音装置において、前記閉め切り用隔壁の外周位置に、当該各消音室の一部を仕切る仕切壁を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、閉め切り用隔壁の上流側の連通孔から流出された排気ガスは仕切壁を迂回して下流側の連通孔に流入することになるため、この仕切壁で排気ガスがもう1つの別個の消音室(ダンピング室)を経由したようになり、消音効果を十分に発揮することができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の排気消音装置において、前記連通管の連通孔の開口面積を排気の流れ方向下流側に向かって小さくしたことを特徴とする。
この発明によれば、連通管内部で軸方向に送られた排気ガスは下流側の隔壁近傍において集中して連通孔から流出しようとするが、連通管の下流側に向けて連通孔の開口面積が小さいため、排気ガスは、所定個所に集中することなく、軸方向に並べられた連通孔から均一に流出することになり、連通管内で発生する気流音を低減することができる。
つまり、上流側に向かうに従って排気ガスの流出がより容易となり、下流側のパイプを絞ったような効果がある。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の排気消音装置において、隣り合う前記消音室同士を仕切る隔壁部に小孔の形成などにより一部の排気ガスをバイパスさせることを特徴とする。
すなわち、隣り合う消音室同士を仕切る隔壁部は完全に密閉されているものに限らず、連通管外周の連通孔からの排気ガスの流入・流出が実質的に行えれば、隔壁部に小孔などが形成されて排気ガスをバイパスさせるものでもよい。
この発明によれば、隔壁部に設けられた小孔などを連通管に形成された連通孔の補助として使用することができる。
【0021】
通常、連通管内を軸方向に流れる排気ガスは隔壁に当たって隔壁近傍の連通孔から流出するため、連通管の連通孔から流出する排気ガスの速度分布、あるいは、流出量分布をみると、隔壁近傍の速度分布が大きく、あるいは、流出量分布が多く、隔壁から離れるに従って小さく(少なく)なる。そのため、隔壁近傍での十分な消音効果が得られない。
これに対して、この発明によれば、連通管内部で軸方向に送られた排気ガスは凹み板から形成される隔壁により径方向に流れやすくなるだけでなく、下流側に向かうに従って流路が狭くなるので、隔壁で衝突して管外に流出する排気ガスは、連通孔から軸方向に均一に流出しやすくなり、連通管内で発生する気流音を低減することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、各実施形態中、同一構成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にする。
図1および図2には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1は第1実施形態の全体構成を示す断面図であり、図2は第1実施形態の側面図である。
これらの図において、第1実施形態の排気消音装置10は、建設機械用ディーゼルエンジンの排気管(図示せず)に接続されるものであって、両端が端板1で閉塞された両端有底円筒状、つまり、ドラム状の本体2と、この本体2の軸方向に並設して第1から第3の消音室2A〜2Cに仕切る第1および第2の仕切板3A,3Bと、第1の消音室2Aと連通するとともに前記排気管が接続された排気ガス導入管4と、第3の消音室2Cと連通するテールパイプ5と、第1の仕切板3Aに中間部が、第2の仕切板3Bに端部がそれぞれ支持された第1の連通管6と、第1の仕切板3Aに端部が、第2の仕切板3Bに中間部がそれぞれ支持された第2の連通管7とを備えて構成されている。
【0023】
第1および第2の仕切板3A,3Bは、それぞれ円板部3Dと、この円板部3Dの周縁に起立して設けられ本体2の内周面に当接する周縁部3Eと、円板部3Dの中心部において2本の連通管6,7を支持する支持部3Fとを備えて構成されている。
これらの仕切板3A,3Bの一方の周縁部3Eは、本体2の内周面に溶接などで固定され、仕切板3A,3Bの他方の周縁部3Eは、本体2の内周面に軸方向移動可能に圧入されている。
【0024】
排気ガス導入管4は、その軸線が本体2の軸方向と直交するように本体2の外周部に溶接などで固定されており、最上流側の第1の消音室2Aに開口する端部は、ディーゼルエンジンで発生した排気ガスを接続管を介して導入する排気ガス導入口4Aとされる。なお、図1では、排気ガス導入管4は本体2の軸線を挟んでテールパイプ5とは反対側(図中下方:180度位置)に描かれているが、これは、排気ガス導入管4と第1の消音室2Aとの関係を明確にするためであって、実際は図2に示される通り、本体2の軸芯を中心として排気ガス導入管4と略90度位置に取り付けられている場合もある。
テールパイプ5は、その軸線が本体2の軸方向と直交するように本体2の外周部に溶接などで固定されており、最下流側の第3の消音室2Cに開口する端部は排気ガスを外部に流出させる排気ガス流出口5Aとされる。
【0025】
第1の連通管6は、軸線が本体2の軸方向と平行とされる円筒部材8と、この円筒部材8の両端に設けられた隔壁9とから構成されている。円筒部材8の外周には第1の消音室2Aに臨む部分に連通孔8A1が多数形成され、第2の消音室2Bに臨む部分に連通孔8A2が多数形成されている。第1の消音室2Aに開口する連通孔8A1の数は、第2の消音室2Bに開口する連通孔8A2の数より小さくされ、そのため、第1の連通管6において第1の消音室2Aに開口している連通孔8A1の全開口面積は、第2の消音室2Bに開口している連通孔8A2の全開口面積より小さい。具体的には、第1の消音室2Aに開口する連通孔8A1の全開口面積は第1の連通管6の断面積より小さく、第2の消音室2Bに開口する連通孔8A2の全開口面積は第1の連通管6の断面積より大きい。隔壁9は、完全に密閉された完全密閉構造に限らず、連通管6の外周の連通孔8Aからの排気ガスの流入・流出が実質的に行えれば、小孔などの連通部が形成された準密閉構造であってもよい。準密閉構造とする場合、特に、第1の消音室2Aに配置された隔壁9を準密閉構造とする方が排気ガスの流れの抵抗を低減させる上で好ましい。
【0026】
第2の連通管7は、第1の連通管7と同様に、その軸線が本体2の軸方向と平行とされた円筒部材8と、この円筒部材8の両端に設けられた隔壁9とから構成される。
第2の連通管7の円筒部材8の外周には第2の消音室2Bに臨む部分に連通孔8A3が多数形成され、第3の消音室2Cに臨む部分に連通孔8A4が多数形成されている。第2の消音室2Bに開口する連通孔8A3の数は、第3の消音室2Cに開口する連通孔8A4の数と同等、あるいは、それ以下とされている。そのため、第2の連通管7において第2の消音室2Bに開口している連通孔8A3の全開口面積は、第3の消音室2Cに開口している連通孔8A4の全開口面積と同等あるいは小さい。
【0027】
第2の連通管7の隔壁9も、第1の連通管6と同様に、完全密閉構造であってもよく、あるいは、準密閉構造であってもよい。ただし、第3の消音室2Cに配置された隔壁9を準密閉構造とする方が排気ガスの流れの抵抗を低減させる上で好ましい。
第1および第2の仕切板3A,3Bは、隔壁部を構成するものであって、完全に密閉された完全密閉構造に限らず、連通管6,7の外周の連通孔8A1〜8A4からの排気ガスの流入・流出が実質的に行えれば、小孔などが形成されて一部の排気ガスをバイパスさせる準密閉構造であってもよい。
【0028】
第1の消音室2Aは、最上流側に位置するものであって、図1では、容積比率が消音室全体、すなわち、第1から第3の消音室2A〜2Cの合計の容積の40〜50%に形成され、第1から第3の消音室2A〜2Cのうち最も容積が大きい消音室である。
この際、第1の消音室2Aの消音室全体に対する容積比率を40%未満とすると、排気ガス導入管4から流入された排気ガスが第1の消音室2Aで拡大することで減衰される排気音が少なくなり、一方、前記容積比率が50%を超えると、他の消音室2B,2Cとの関係で排気消音装置10全体が大型化し、大型化する割合に比べて消音効果が少ないものとなる。
すなわち、他の消音室2B,2Cも排気ガス導入管4へ流入する排気ガスの流量に応じて一定値以上の容積が必要であるため、この容積を確保した上、第1の消音室2Aの大きさを全体容積の50%を越えることは、本体2が大型化し、ひいては、排気消音装置10全体が大型化することとなる。
【0029】
第2の消音室2Bと第3の消音室2Cとの容積比率は第2の消音室2Bが第3の消音室2Cより大きくてもよく、その逆でもよく、あるいは、同じでもよい。図1では、第1の消音室2Aが最も容積が大きな消音室であったが、第1実施形態では、第1の連通管6の連通孔8A1の全開口面積が他の連通孔8A2〜8A4の全開口面積より小さければ、この最小開口面積をもつ連通孔8A1の第1の連通管6の直後に連通孔8A2が開口している室、つまり、第2の消音室2Bの容積を最も大きくしてもよい。
【0030】
排気消音装置10を組み立てるには、端板1を外した状態の本体2の内部に、予め、第1の連通管6と第2の連通管7とを取り付けた第1および第2の仕切板3A,3Bの半組立体を挿入する。ここで、本体2の端面が開放されているから、本体2に対して第1および第2の仕切板3A,3Bを軸方向に微調整させて位置決めし、その後、第1および第2の仕切板3A,3Bの一方を本体2に溶接などで固定し、他方を本体2の圧入する。その後、本体2の両端を端板1で閉塞し、本体2の外周部に排気ガス導入管4とテールパイプ5とを取り付け、ディーゼルエンジンの排気管を排気ガス導入管4に接続する。
【0031】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
ディーゼルエンジンで発生した排気ガスは、排気管を通って排気ガス導入管4に送られる。排気ガス導入管4に送られた排気ガスは、最上流側に位置する第1の消音室2Aに急激に拡大しながら送り込まれることで、低周波成分を含んだ排気音が取り除かれる。
この第1の消音室2Aに送り込まれた排気ガスは、第1の連通管6の連通孔8A1により絞られた状態で第1の連通管6の内部に送り込まれるが、この排気ガスの絞り込みの工程で排気ガスが消音される。この第1の連通管6の連通孔8A1から第1の連通管6の内部に排気ガスが入る工程で2回目の消音作用がある。
【0032】
連通孔8A1を通じて径方向から第1の連通管6の内部に流入した排気ガスは、管内部では軸方向に方向変更して整流され、さらに、下流側では連通孔8A2で再度流通方向を直角に変更し、かつ、整流された後、第2の消音室2Bに拡大して送られることで、排気ガスの圧力変動が低減される。
第2の消音室2Bに送り込まれた排気ガスは、第2の連通管7の連通孔8A3に絞られた状態で第2の連通管7の内部に送り込まれるが、この排気ガスの絞り込みの工程で排気ガスが消音される。
【0033】
連通孔8A3を通じて径方向から第2の連通管7の内部に流入した排気ガスは、管内部では軸方向に方向変換して流通し、排気ガスの圧力変動が低減され、さらに、下流側では連通孔8A4で整流された後、最下流側に位置する第3の消音室2Cに拡大して送られることで、排気ガスの圧力変動が低減される。
第3の消音室2Cに送り込まれた排気ガスはテールパイプ5を通って外部に放出される。
【0034】
なお、圧力変動が低減される時、第1の連通管6内で方向転換した軸方向流れ、第1の連通管6から第2の消音室2Bへの流出時、第2の連通管7内で方向転換した軸方向流れ、第2の連通管7から第3の消音室2Cへの流出時における排気ガスの圧力損失は、前述の第1の連通管6の流入時および第2の連通管7の流入時に発生する圧力損失の残りをほぼ均等に割り振った値となるように連通管6,7の連通孔8A1〜8A4の径、大きさなどが設定される。
【0035】
第1実施形態によれば、(1)排気消音装置10は第1から第3の消音室2A〜2Cを有し、このうち最上流の第1の消音室2Aにディーゼルエンジンの排気ガスを直接流入させる排気ガス導入口4Aを設けたので、この排気ガス導入口4Aから第1の消音室2Aに導入された排気ガスは拡大することで、排気音を消すことができる。その上、これらの消音室2A〜2Cの隣り合う室間を連通させる第1および第2の連通管6,7を設け、これらの連通管6,7の両端に隔壁9を設けるとともに、連通させようとする室に対応した外周の所定位置に多数の連通孔8A1〜8A4を設けたから、隣り合う消音室2A〜2Cに排気ガスが送り込まれる際に、排気ガスは、連通管6,7の連通孔8A1〜8A4によって絞りと拡大とが繰り返されて圧力が損失され、エネルギーが減衰される。そのため、排気音を効率的に消すことができる。
換言すれば、少ない消音室の割に、十分な消音効果を発揮することができるから、装置全体を小型化することができる。
【0036】
(2)最上流側に位置する第1の消音室2Aの容積を全体容積の40〜50%と最も大きくし、あるいは、最小開口面積をもつ連通管6の直後に連通孔8A2が開口している第2の消音室2Bの容積を最も大きくしたから、排気ガス導入口4Aから第1の消音室2Aに導入された排気ガス、あるいは、第2の消音室2Bに導入された排気ガスは急激に拡大することで、低周波成分を含む排気音の消音効果がより大きくなる。
(3)連通管6,7における上流の消音室2A,2Bに開口している連通孔8Aの全開口面積が下流の消音室2B,2Cに開口している連通孔8Aの全開口面積より小さいから排気音の低減効果が大きいとともに、上流側で発生した気流音が下流側にまで残らない。
【0037】
(4)第1の消音室2Aに開口する連通孔8A1の全開口面積は第1の連通管6の断面積より小さく、第2の消音室2Bに開口する連通孔8A2の全開口面積は第1の連通管6の断面積より大きいから、下流側の排気ガスの流速を下げて圧力損失を低減するとともに、気流音を低減することができる。つまり、第1の連通管6の内部において、排気ガスは、軸方向に流速を持っているのが、この流れに直交するように連通孔8A1,8A2が開口されているので、下流側の連通孔8A2の全開口面積が連通管6の断面積より大きくないと、下流側の流速が過大になる。圧力損失は流速の二乗で影響を受けるものであり、連通管6の内部での流れかあるいは連通孔8A2を通過する流れかによっても影響を受けるので、下流側の連通孔8A2の全開口面積を連通管6の断面積より大きくしないと、圧力損失が発生し、気流音が増加する。
【0038】
(5)第1の連通管6の入口側での排気ガスの圧力損失を最大(全圧力損失の約3分の1から2分の1)となるように連通孔8A1を形成したから、排気ガスのエネルギーの最も大きい上流側で有効に圧力損失を発生させることができ、消音効果を大きなものにできる。
(6)連通管6,7の両端の隔壁9を小孔の形成などにより準密閉構造とすれば、隔壁9に設けられた小孔などを連通孔8Aの補助として使用して圧力損失を低減できる。
(7)隔壁部である仕切板3A,3Bに小孔の形成などにより一部の排気ガスをバイパスさせる構成とすれば、仕切板3A,3Bに設けられた小孔などを連通管6,7に形成された連通孔8A1〜8A4の補助として使用して圧力損失を低減できる。
【0039】
(8)3つの消音室を形成するために2枚の仕切板3A,3Bを使用するので、これらの仕切板3A,3Bの本体2の内周面に対する位置合わせが簡単であるから、組み立て作業を容易に行える。これに対して、従来の構造の排気消音装置50を組み立てるには、取付板52B〜52Cに連通管53を取り付けたものをドラム状の本体51の円筒部内周に取り付ける。この際、取付板52A〜52Cをそれぞれ本体51の軸方向に移動して位置決めする必要があり、取付板52Aと連通管53との位置調整が困難であるため、装置の組み立て作業が煩雑となる。
【0040】
(9)排気消音装置10を組み立てるにあたり、まず、第1の連通管6と第2の連通管7とを第1および第2の仕切板3A,3Bに支持固定して部品化(半組立品化)し、これを本体2の内部に取り付け、本体2に対して第1および第2の仕切板3A,3Bを軸方向に微調整させて位置決めしたから、組立作業が容易かつ正確に行える。
(10)第1および第2の仕切板3A,3Bの一方を溶接などで本体2に固定し、他方を圧入したから、排気ガスの熱で連通管6,7が膨張しても、圧入した仕切板3A,3Bが本体2に対して相対的に移動することで、連通管6,7の熱膨張を吸収することができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態を図3に基づいて説明する。
第2実施形態は連通管を1本の連続した連通管により形成した点が第1実施形態と異なるもので、他の基本構成は第1実施形態と同じである。
全体構成を示す図3において、第2実施形態の排気消音装置20は、ドラム状本体2と、この本体2を第1から第3の消音室2A〜2Cに仕切る第1および第2の仕切板3A,3Bと、本体2に設けられた排気ガス導入管4と、本体2に設けられたテールパイプ5と、第1の仕切板3Aと第2の仕切板3Bとにそれぞれ支持された連通管16と、この連通管16の内部において軸方向略中間位置で、第2の消音室2Bの中間に対応した位置に設けられた閉め切り用隔壁17と、この閉め切り用隔壁17の外周位置に設けられた仕切壁19とを備えて構成されている。
【0042】
連通管16は軸線が本体2の軸方向と平行とされる1本の円筒部材18と、この円筒部材18の両端に設けられた隔壁9とから構成されている。隔壁9および仕切板3A,3Bは、第1実施形態と同様に、完全密閉構造でもよく、準密閉構造であってもよい。
連通管16の閉め切り用隔壁17より上流側において、円筒部材18の外周には第1の消音室2Aに臨む部分と第2の消音室2Bに臨む部分とにそれぞれ連通孔8A1,8A2が多数形成されている。第1の消音室2Aに開口する連通孔8A1の数は、第2の消音室2Bに開口する連通孔8A2の数より小さくされ、そのため、第1の消音室2Aに開口している連通孔8A1の全開口面積は、第2の消音室2Bに開口している連通孔8A2の全開口面積より小さい。
【0043】
連通管16の閉め切り用隔壁17より下流側において、円筒部材18の外周には第2の消音室2Bに臨む部分と第3の消音室2Cに臨む部分とにそれぞれ同一形状の連通孔8A3,8A4が多数形成されている。第2の消音室2Bに開口する連通孔8A3の数は、第3の消音室2Cに開口する連通孔8A4の数と同等または小さくされ、そのため、第2の消音室2Bに開口している連通孔8A3の全開口面積は、第3の消音室2Cに開口している連通孔8A4の全開口面積と同等あるいは小さい。
【0044】
閉め切り用隔壁17は、円板状部材17Aの周縁に連通管16の内周面と当接する周縁部17Bが起立して設けられた略浅皿状の形状である。
閉め切り用隔壁17は1本の連通管16を2本の連通管として使用するために設けられるもので、この閉め切り用隔壁17より上流側の部分は第1実施形態における第1の連通管6に相当し、閉め切り用隔壁17より下流側の部分は第1実施形態における第2の連通管7に相当する。
【0045】
仕切壁19は、閉め切り用隔壁17と同一平面上に設けられるものであって、第2の消音室2Bに臨んで配置されたリング状部材19Aと、このリング状部材19Aの周縁に起立して設けられた周縁部19Bと、リング状部材19Aの中心部において連通管16を支持する支持部19Cとを備えて構成されている。
【0046】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、排気ガス導入管4に送られた排気ガスは最上流側に位置する第1の消音室2Aに急激に拡大しながら送り込まれることで排気音の圧力変動成分が低減される。
この第1の消音室2Aに送り込まれた排気ガスは、連通管16の連通孔8A1に絞られた状態で連通管16の内部に送り込まれるが、この排気ガスの絞り込みの工程で排気ガスが消音される。以下の各部で排気ガスのエネルギーの消耗(圧力損失)により、圧力変動成分が低減されて消音されるものであり、これは第1実施形態と同様である。
【0047】
連通孔8Aを通じて径方向から連通管16の内部に流入した排気ガスは、管内部では軸方向に流通することで排気ガスの圧力が損失され、さらに、閉め切り用隔壁17より上流側において連通孔8Aで整流された後、第2の消音室2Bに拡大して送られることで、排気ガスの圧力変動が低減され、ここでも消音される。閉め切り用隔壁17の上流側から第2の消音室2Bに送り込まれた排気ガスは、仕切壁19を迂回して下流側の連通孔8Aに絞られた状態で流入するが、この排気ガスの迂回により、あたかも、もう1つの消音室(膨張室,ダンピング室)を経由して仕切壁19の下流側に流入することとなり、これによっても消音され、さらに、連通孔8Aによる絞り込みの工程でも排気ガスが消音される。
【0048】
連通孔8Aを通じて径方向から連通管16の内部に流入した排気ガスは、管内部では軸方向に流通して排気ガスの圧力変動が低減され、さらに、下流側では連通孔8Aで整流された後、最下流側に位置する第3の消音室2Cに拡大して送られることで、排気ガスの圧力変動がさらに低減される。第3の消音室2Cに送り込まれた排気ガスはテールパイプ5を通って外部に放出される。
【0049】
第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(10)の作用効果を奏することができる他に、次の作用効果を奏することができる。
(11)連通管16は、全体を1本の連続した連通管により形成されるとともに、最上流にある第1の消音室2Aと最下流にある第3の消音室2C以外の第2の消音室2Bの略中間位置に連通管内閉め切り用隔壁17を形成したから、同一の消音室に複数の連通管を径方向に並べて配置することがないので、排気消音装置20を小型化することができる。
【0050】
(12)閉め切り用隔壁17の外周位置に、第2の消音室2Bの一部を仕切る仕切壁19を設けたから、閉め切り用隔壁17の上流側の連通孔8Aから流出された排気ガスは仕切壁19を迂回して下流側の連通孔8Aに流入することになるため、この仕切壁19で第2の消音室2Bをあたかも2室の消音室として機能させることができ、消音効果をより十分に発揮することができる。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態を図4に基づいて説明する。
第3実施形態は、第2実施形態の応用例である。
全体構成を示す図4において、第3実施形態の排気消音装置30は、第1から第3の仕切板3A〜3Cで本体2を第1から第4の消音室2A〜2Dに仕切り、これらの仕切板3A〜3Cに実質的に1本の連通管26を支持し、この連通管26に第1および第2の仕切部材29A,28Bを設けた構成である。
第3の仕切板3Cは第1および第2の仕切板3A,3Bと同様な構造である。
【0052】
連通管26は、第1から第3の筒状部材28A〜28Cと、第1の筒状部材28Aの一端に設けられた隔壁9と、第3の筒状部材28Cの一端に設けられた隔壁9とを備え、第1の筒状部材28Aの他端と第2の筒状部材28Bの一端との間には第1の仕切部材29Aが介装され、第2の筒状部材の他端と第3の筒状部材28Cの他端との間には第2の仕切部材29Bが介装されている。
これらの仕切部材29A,29Bは、筒状部材28A〜28Cの端面とは溶接などで固定されているもので、筒状部材28A〜28Cの断面積より大きな面積を有する円板から形成される。
これらの仕切部材29A,29Bは、その中心部が第2実施形態の連通管内閉め切り用隔壁17として機能するものであり、筒状部材28A〜28Cの断面より大きな周縁部が第2実施形態の仕切壁19として機能するものである。
第3実施形態の作用は第2実施形態の作用と同じである。
【0053】
第3実施形態では、第2実施形態の(1)〜(7)(9)(11)(12)の作用効果を奏することができる他に、次の作用効果を奏することができる。
(13)第1から第4の4つの消音室2A〜2Dを設けたから、消音効果を向上させることができる。
(14)連通管内閉め切り用隔壁と仕切壁とを1枚の仕切部材29A,29Bで形成したから、部品点数を減少させることができ、かつ、製造を容易にできて安価に提供できる。
【0054】
次に、本発明の第4実施形態を図5に基づいて説明する。
第4実施形態は連通管の下流側端部の形状が第1〜3実施形態と異なるもので、他の基本構成は第1〜3実施形態と同じである。
全体構成を示す図5において、第4実施形態の排気消音装置40は、ドラム状本体2と、この本体2を第1から第3の消音室2A〜2Cに仕切る前記第1および第2の仕切板3A,3Bと、本体2に設けられた前記排気ガス導入管4と、本体2に設けられた前記テールパイプ5と、第1の仕切板3Aに中間部が第2の仕切板3Bに端部がそれぞれ支持された第1の連通管36と、第1の仕切板3Aに端部が第2の仕切板3Bに中間部がそれぞれ支持された第2の連通管37とを備えて構成されている。
【0055】
第1の連通管36は、連通孔8Aが多数形成された前記円筒部材8と、この円筒部材8の上流側端部に設けられた隔壁9と、円筒部材8の下流側に設けられた隔壁としての凹み板39とを備えて構成されている。
凹み板39は、第1の連通管36の内側に凹んで形成されており、その形状は図5の実線で示される通り、球面状のもの、あるいは、図5の想像線で示される通り、コーン状(円錐形状)のものである。
第2の連通管37は第1の連通管36と同様の構造であり、連通孔8Aが多数形成された前記円筒部材8と、この円筒部材8の上流側端部に設けられた隔壁9と、円筒部材8の下流側に設けられた隔壁としての凹み板39とを備えて構成されている。
【0056】
次に、第4実施形態の作用について説明する。
第4実施形態では、第1実施形態と同様に、排気ガス導入管4に送られた排気ガスは最上流側に位置する第1の消音室2Aに急激に拡大しながら送り込まれることで排気音の圧力変動成分が低減される。
この第1の消音室2Aに送り込まれた排気ガスは第1の連通管36の連通孔8Aに絞られた状態で管内部に送り込まれるが、この排気ガスの絞り込みの工程で排気ガスが消音される。
【0057】
連通孔8Aを通じて径方向から第1の連通管36の内部に流入した排気ガスは、管内部では軸方向に流通することで排気ガスの圧力変動が低減され、さらに、凹み板39に向けて流れる。
この際、従来では、連通管内を軸方向に流れる排気ガスは隔壁に当たって隔壁近傍の連通孔から流出するため、連通管の連通孔から流出する排気ガスの速度分布や流出量分布をみると、隔壁近傍の速度分布が大きく、あるいは、流出量分布が多く、隔壁から離れるに従って小さく(少なく)なるが、第4実施形態では、凹み板39に向けて流れる排気ガスは、この凹み板39によって絞られることになり、連通孔8Aで均一化された後、第2の消音室2Bに拡大して送られる。さらに、第2の消音室2Bにある排気ガスは、第2の連通管37の連通孔8Aで絞られて管内部に送り込まれ、第2の連通管37の内部に流入した排気ガスは、管内部では軸方向に流通し、凹み板39によって軸方向に絞られて連通孔8Aで均一化された後、第3の消音室2Cに拡大して送られる。その後、第1実施形態と同様に、第3の消音室2Cから排気ガスがテールパイプ5を通じて外部へ放出される。
【0058】
第4実施形態では、第1実施形態の(1)〜(10)の作用効果を奏することができる他に、次の作用効果を奏することができる。
(15)第1および第2の連通管36,37の下流側の隔壁は、管内側に凹んだ凹み板39としたから、連通管内部で軸方向に送られた排気ガスは凹み板39から形成される隔壁により径方向に流れやすくなる。そのため、連通孔8Aからさらに軸方向に均一に流出しやすくなり、連通管内で発生する気流音を低減することができる。
【0059】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明では、連通孔8A1〜8A4の大きさ、形成箇所などは前記各実施形態に限定されるものではない。例えば、排気ガスが流入する場所の連通孔8A1の数や全開口面積を排気ガスが流出する場所の連通孔8A2の数や全開口面積より小さくしたが、本発明では、この逆であってもよく、あるいは、連通管に偏りなく均等に形成するものであってもよい。
【0060】
また、前記各実施形態では円筒部材8,18は、その断面積が軸方向に沿って同一のストレート状に形成したが、本発明では、図6(A)に示される通り、全体に上流側より下流側の方が大くなるテーパ状に形成してもよく、あるいは、図6(B)に示される通り、上流側から中間部分までストレート状とし、この中間部分から下流側にかけて断面積が大きくなるテーパ状としてもよい。これらの円筒部材8,18の外周には多数の連通孔8Aが全面に形成されている。
このように、連通管6,7,16の外周がテーパ状に形成されることにより、下流に行くに従って連通管6,7,16内の排気ガスの流速が減速され、または、連通管6,7,16内の排気ガスが膨張し、連通管内で発生する気流音を低減することができる。
【0061】
さらに、本発明では、図5の連通管36,37と同様の効果を達成するために、図6(C)に示される通り、連通管6,7の下流側近傍において連通孔8Aを下流側に向かうに従って開口面積を小さくし、あるいは、図6(D)に示される通り、連通管6,7の下流側近傍において連通孔8Aを下流側に向かうに従って配置間隔を広くするものでもよい。つまり、連通管6,7の連通孔8Aの開口面積を排気の流れ方向下流側に向かって小さくしてもよい。
この構成では、上流側に向かうに従って排気ガスの流出がより容易となり、排気ガスは、所定個所に集中することがなくなり、下流側のパイプを絞ったような効果がある。
【0062】
また、第2実施形態では仕切壁19を必ずしも設けることを要しない。設ける場合であっても、閉め切り用隔壁17の外周位置であることを要せず、閉め切り用隔壁17から軸方向に所定寸法離れているものでもよい。閉め切り用隔壁17は輪郭形状が矩形状や多角形状などの他の形状であってもよい。
さらに、本発明の排気消音装置10,20,30,40に共鳴室を設けてもよい。
また、排気消音装置10,20,30,40をディーゼルエンジンに適用したが、ガソリンエンジンなどの内燃機関に適用してもよく、この内燃機関も建設機械に用いられるものに限定されるものではなく、乗用自動車などに用いられるものであってもよい。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、3室以上の複数の消音室のうち最上流の消音室に内燃機関の排気ガスを直接流入させる排気ガス導入口を設けるとともに、最下流の消音室に排気ガスを流出させる排気ガス流出口を設け、かつ、前記複数の消音室の所定の室間を連通させる連通管を設け、これらの連通管の両端に隔壁を設けるとともに、連通させようとする室に対応した外周の所定位置に多数の連通孔を設けたから、排気ガス導入口から最上流の消音室に導入された排気ガスが拡大することで、低周波成分を含む排気音を消すことができ、その上、隣り合う消音室に排気ガスが送り込まれる際に、排気ガスは、連通管の連通孔によって絞りと拡大とが繰り返されて圧力が損失されることでエネルギーが減衰されるため、排気音を効率的に消すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における排気消音装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における排気消音装置の全体構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態における排気消音装置の全体構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態における排気消音装置の全体構成を示す断面図である。
【図6】(A)から(D)は本発明の変形例を示す断面図である。
【図7】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
2A,2B,2C,2D 消音室
2 本体
3A,3B,3C 仕切板(隔壁部)
4A 排気ガス導入口
5A 排気ガス流出口
6,7,16,26,36,37 連通管
8A,8A1〜8A4 連通孔
9 隔壁
10,20,30,40 排気消音装置
17 閉め切り用隔壁
19 仕切壁
39 凹み板

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気管に接続される排気消音装置であって、少なくとも3室以上の複数の消音室を有し、これらの消音室のうち最上流の消音室に、前記内燃機関の排気ガスを直接流入させる排気ガス導入口を設けるとともに、最下流の消音室に排気ガスを流出させる排気ガス流出口を設け、かつ、前記最上流の消音室を含む複数の消音室の室間を連通させる連通管を設け、この連通管の両端に隔壁を設けるとともに、連通させようとする室に対応した外周の所定位置に多数の連通孔を設け、前記最上流の消音室に開口している連通孔の全開口面積が下流の消音室であって前記最上流の消音室に隣接した消音室に開口している連通孔の全開口面積より小さく、かつ、前記最上流の消音室に開口している連通孔の全開口面積は前記連通管の断面積より小さく、
    前記消音室は前記最上流に位置する第1消音室と、前記最下流に位置する第3の消音室と、前記第1の消音室と前記第3の消音室との間に配置された第2の消音室とから構成され、複数の消音室に開口される多数の連通孔が外周に形成されるとともに端部に隔壁が設けられた管を1本あるいは2本備え、前記1本の管の一部あるいは2本の管のうち1本が前記連通管であり、前記連通管に形成される多数の連通孔のうち一部が前記第1の消音室に開口され、残りが前記第2の消音室に開口され、
    前記第2の消音室に開口する連通孔の全開口面積は前記連通管の断面積より大きいことを特徴とする排気消音装置。
  2. 請求項1に記載の排気消音装置において、前記複数の消音室のうち最上流の室の容積または最小開口面積をもつ連通管の直後に連通孔が開口している室の容積を最も大きくしたことを特徴とする排気消音装置。
  3. 請求項1または2に記載の排気消音装置において、前記連通管の両端の隔壁は、小孔の形成などにより一部軸方向に排気ガスの流入・流出を許容して準密閉構造にされていることを特徴とする排気消音装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の排気消音装置において、前記連通管の断面積は、上流側より下流側の方が大きいことを特徴とする排気消音装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の排気消音装置において、前記連通管は、全体を1本の連続した連通管により形成されるとともに、前記最上流の消音室と最下流の消音室以外の各消音室の中間位置に連通管内閉め切り用隔壁を形成されたことを特徴とする排気消音装置。
  6. 請求項5に記載の排気消音装置において、前記閉め切り用隔壁の外周位置に、当該各消音室の一部を仕切る仕切壁を設けたことを特徴とする排気消音装置。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載の排気消音装置において、前記連通管の連通孔の開口面積を排気の流れ方向下流側に向かって小さくしたことを特徴とする排気消音装置。
  8. 請求項1に記載の排気消音装置において、隣り合う前記消音室同士を仕切る隔壁部に小孔の形成などにより一部の排気ガスをバイパスさせることを特徴とする排気消音装置。
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